本記事に内容加筆および出典を追加される方へ: 本記事に新しい内容を加筆をする際は、(検証可能な出典を忘れない)でください。 Citeテンプレート使用時を含め、出典追加時は(最低限入力が求められている以下情報)の記入を必ずお願いします。 ビジュアルエディターを利用して出典を自動提示される方は、提示後に不備を埋めるようお願いします。 記事名(title)、配信元・作成元(publisher/work/newspaper/website)、配信日・記事作成日(date)。 |
天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会(てんのうはい JFA だい99かい ぜんにほんサッカーせんしゅけんたいかい)(英: Emperor's Cup JFA 99th Japan Football Championship)は、2019年5月25日から2020年1月1日まで開催された天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会。ヴィッセル神戸が初優勝を飾った。
概要
2018年12月13日にマッチスケジュールとシード枠が発表された[1]。前回大会同様の5月開幕となるが、2回戦から4回戦の日程が約1か月繰り下げられている。
決勝の日程と会場についてはマッチスケジュール発表に先立つ2018年10月12日に、(新)国立競技場での元日開催となることが発表されている[2]。元日開催は2年ぶりで、国立競技場での決勝は国立霞ヶ丘競技場陸上競技場(旧国立競技場)時代の第93回大会以来6年ぶり。また、今大会の決勝は(新)国立競技場で対外的に行う初めてのスポーツ競技大会となることが明らかにされており[1]、決勝と同年に開催される2020年東京オリンピック・2020年東京パラリンピックの運営準備に向けて組織委員会におけるオペレーションの確認も行われる予定となっている[3]。これに関連して、決勝戦では国際サッカー評議会 (IFAB) と国際サッカー連盟 (FIFA) の承認が得られることを条件に、天皇杯で初めてビデオ・アシスタント・レフェリー (VAR) を採用することが明らかになっている[3]。
本大会でのポスター・チラシ等に用いるメインビジュアルには、書道家の青柳美扇が墨書した「挑」の文字が用いられている[4]。
日程
2018年12月13日に発表された日程[1]および大会公式サイトの大会要項[5] に基づく。前回大会同様、1回戦は土日に、2回戦から準々決勝までは全て平日(水曜日)に開催される。
試合 | 開催日 | 予備日 | 参加チーム数変動 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1回戦 | 5月25、26日 | 5月27日 | 48 (1+47) → 24 | アマチュアシード、都道府県代表の参加 |
2回戦 | 7月3日、10日 | 7月10日、17日 | 64 (24+18+22) → 32 | J1・J2チームの参加 |
3回戦 | 8月14日 | 8月20日、21日、9月11日 | 32 → 16 | |
4回戦 | 9月18日 | 9月25日 | 16 → 8 | |
準々決勝 | 10月23日 | 11月27日 | 8 → 4 | |
準決勝 | 12月21日 | 12月26日 | 4 → 2 | |
決勝 | 2020年1月1日 | 2 → 1 |
出場チーム
以下の「出場回数」についてはJFAの公式記録に基づくが、基本的には「前身となるチーム(クラブ化前の実業団チーム、など)からの通算回数」としている。ただし、一部に例外もある。
J1リーグ
2019年のJ1リーグ所属の全18チーム[1]。
J2リーグ
2019年のJ2リーグ所属の全22チーム[1]。
アマチュアシードチーム
第67回全日本大学サッカー選手権大会優勝チーム[1]。
都道府県代表
愛知県代表は4月20日[6] に、秋田・鳥取・島根・岡山・広島・山口の6県代表は4月21日[7] に、徳島県代表は5月5日[8] に、茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・兵庫・奈良の9都県代表は5月11日[9] に、それ以外の30道府県代表は5月12日[10] に決定。
|
|
出場回数に関する備考
- ^ 日産自動車サッカー部→横浜マリノスからの出場回数を含む。なお、横浜フリューゲルスの出場回数(13回)は含まない。
- ^ 鳥栖フューチャーズの出場回数(5回)を含む(なお、鳥栖と鳥栖Fには組織としての連続性はない。当該項参照)。
- ^ 前身である国見FCの出場回数(1回)は含まない。
- ^ 前身のヴォルカ鹿児島(6回)およびFC KAGOSHIMA(1回、別に前身の鹿屋体育大学クラブで1回出場)の出場回数は含まない。
- ^ 前身の北陸電力/アローズ北陸 (10回出場)およびYKK APサッカー部 (11回出場)の出場回数は含まない。
- ^ 承継元のサウルコス福井 (10回出場)での出場回数を含む。
- ^ 関学クラブ (10回出場)および全関学 (4回出場)の出場回数は含まない。
- ^ 松山商大学(1回出場)、松山MUC(1回出場)、全松山商大学(1回出場)の出場回数は含まない。
- ^ 前身のアイゴッソ高知 (「南国高知FC」として3回出場)の出場回数は含まない。
- ^ 前身の三菱化成黒崎サッカー部の出場回数 (4回)を含まない。
- ^ NTT熊本およびアルエット熊本の出場回数(5回)を含む(なお、ロアッソ熊本(および旧チーム名のロッソ熊本)とNTT熊本およびアルエット熊本には組織としての連続性はない。当該項参照)。
試合結果
3回戦までの対戦カード及び2回戦までのマッチスケジュールは2019年4月4日に発表された[11]。以下の方法で抽選が行われた[12]。
- 1回戦は、アウェイで対戦することが決まっている24チームについて、東エリア (北海道・東北・関東+アマチュアシード。8チーム)を第1ポット、中央エリア (北信越・東海・関西。7チーム)を第2ポット、西エリア (中国・四国・九州。9チーム)を第3ポットに分け、第1→第3ポットの順番に抽選を行い、第3ポットで最後に残ったチームを第2ポットに移し、第2ポットを抽選して対戦相手を決定 (これにより、1回戦は原則としてエリア内のチーム同士の対戦となる)。
- 2回戦は、2018年のJ1リーグ18チーム+2018年のJ2リーグ上位6チームの計24チームを上述のエリアごとに3つのポットに分け、各ポットごとに抽選を行って対戦カードを決定。これにより、2回戦も原則としてエリア内のチーム同士の対戦となるが、第1ポットが14チーム、第2ポットが7チーム、第3ポットが3チームと偏りが生じるため、「第2ポットから第3ポットに4チームを移動 → 第1ポットから8チームを抽選 → 第1ポットの残った5チームを第2ポットに移動 → 第2ポットを抽選 → 第3ポットを抽選」の手順で抽選が行われた。
なお、2018年のJ2リーグ7位以下のチームは、あらかじめ対戦カードが決められていた。
1回戦
2019年5月25日 No.2 | ホンダロックSC | 5 - 1 | FC徳島 | 延岡市 |
13:00 | 公式記録 |
| 競技場: 延岡市西階総合運動公園陸上競技場 観客数: 503人 主審: 田代雄大 |
2019年5月25日 No.3 | 栃木シティFC | 0 - 2 | ヴァンラーレ八戸 | 宇都宮市 |
13:00 | 公式記録 | 競技場: 栃木県グリーンスタジアム 観客数: 494人 主審: 原田雅士 |
2019年5月26日 No.4 | AC長野パルセイロ | 1 - 0 | 新潟医療福祉大学 | 佐久市 |
13:00 |
| 公式記録 | 競技場: 佐久総合運動公園陸上競技場 観客数: 893人 主審: 御厨貴文 |
2019年5月26日 No.9 | MD長崎 | 0 - 1 | 高知ユナイテッドSC | 長崎市 |
13:00 | 公式記録 |
| 競技場: 長崎市総合運動公園かきどまり陸上競技場 観客数: 462人 主審: 大橋侑祐 |
2019年5月26日 No.13 | 松山大学 | 0 - 2 | 沖縄SV | 今治市 |
13:00 | 公式記録 | 競技場: ありがとうサービス. 夢スタジアム 観客数: 588人 主審: 松尾明徳 |
2019年5月26日 No.14 | SRC広島 | 1 - 2 | 鹿屋体育大学 | 広島市 |
13:00 | 30分 (o.g.) | 公式記録 |
| 競技場: コカ・コーラボトラーズジャパン広島スタジアム 観客数: 750人 主審: 横山卓哉 |
2019年5月26日 No.15 | ガイナーレ鳥取 | 2 - 2 ((延長)) (4 - 3 PK戦) | 環太平洋大学 | 鳥取市 |
13:00 |
| 公式記録 |
| 競技場: とりぎんバードスタジアム 観客数: 823人 主審: 石丸秀平 |
PK戦 | ||||
|
2019年5月25日 No.16 | アルテリーヴォ和歌山 | 3 - 0 | 佐賀LIXIL FC | 和歌山市 |
13:00 | 安川常聖 20分
| 公式記録 | 競技場: 和歌山県紀三井寺公園陸上競技場 観客数: 524人 主審: 須谷雄三 |
2019年5月25日 No.18 | ザスパクサツ群馬 | 1 - 0 ((延長)) | 東京国際大学 | 前橋市 |
13:00 |
| 公式記録 | 競技場: 群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場 観客数: 1,326人 主審: 國吉真吾 |
2019年5月26日 No.19 | 岐阜協立大学 | 2 - 4 | 北陸大学 | 岐阜市 |
13:00 |
| 公式記録 |
| 競技場: 岐阜メモリアルセンター長良川球技メドウ 観客数: 518人 主審: 千葉直史 |
2019年5月26日 No.20 | ロアッソ熊本 | 2 - 0 | ヴェルスパ大分 | 熊本市 |
13:00 | 公式記録 | 競技場: えがお健康スタジアム 観客数: 1,456人 主審: 矢野浩平 |
2019年5月25日 No.23 | MIOびわこ滋賀 | 0 - 2 | FC大阪 | 東近江市 |
13:00 | 公式記録 | 競技場: 東近江市布引運動公園陸上競技場(布引グリーンスタジアム) 観客数: 267人 主審: 佐々木慎哉 |
2019年5月26日 No.24 | カターレ富山 | 2 - 0 | FC刈谷 | 高岡市 |
13:00 |
| 公式記録 | 競技場: 高岡スポーツコア サッカー・ラグビー場 観客数: 1,347人 主審: 山口大輔 |
2回戦
2019年7月3日 No.29 | 清水エスパルス | 1 - 0 | AC長野パルセイロ | 静岡市 |
19:00 |
| 公式記録 | 競技場: IAIスタジアム日本平 観客数: 2,253人 主審: 上田益也 |
2019年7月10日 No.32 | 東京ヴェルディ | 0 - 2 | 法政大学 | 東京都北区 |
18:30 | 公式記録 | 競技場: 味の素フィールド西が丘 観客数: 2,271人 主審: 川俣秀 |
2019年7月3日 No.38 | 水戸ホーリーホック | 1 - 0 | 京都サンガF.C. | 水戸市 |
19:00 |
| 公式記録 | 競技場: ケーズデンキスタジアム水戸 観客数: 1,341人 主審: 柿沼亨 |
2019年7月3日 No.39 | 横浜F・マリノス | 2 - 1 | 立命館大学 | 横浜市 |
19:00 | 公式記録 | 田中康介 51分 | 競技場: ニッパツ三ツ沢球技場 観客数: 3,434人 主審: 岡部拓人 |
2019年7月3日 No.42 | ツエーゲン金沢 | 1 - 0 | アルビレックス新潟 | 金沢市 |
19:00 |
| 公式記録 | 競技場: 石川県西部緑地公園陸上競技場 観客数: 1,635人 主審: 野田祐樹 |
2019年7月3日 No.48 | 大宮アルディージャ | 2 - 1 ((延長)) | ザスパクサツ群馬 | さいたま市 |
19:00 | 公式記録 |
| 競技場: NACK5スタジアム大宮 観客数: 2,571人 主審: 上原直人 |
3回戦
2019年8月14日 No.57 | 川崎フロンターレ | 2 - 1 ((延長)) | ファジアーノ岡山 | 岡山市 |
19:00 |
| 公式記録 |
| 競技場: シティライトスタジアム 観客数: 11,017人 主審: 高山啓義 |
2019年8月14日 No.70 | サガン鳥栖 | 1 - 0 ((延長)) | 柏レイソル | 柏市 |
19:00 |
| 公式記録 | 競技場: 三協フロンテア柏スタジアム 観客数: 6,589人 主審: 松尾一 |
2019年8月14日 No.72 | ベガルタ仙台 | 1 - 0 | カターレ富山 | 富山市 |
18:30 |
| 公式記録 | 競技場: 富山県総合運動公園陸上競技場 観客数: 3,238人 主審: 荒木友輔 |
ラウンド16 (4回戦)
ラウンド16 (4回戦)以降の組み合わせ抽選は、2019年8月16日に日本サッカー協会ビル (JFAハウス) 内にある日本サッカーミュージアム ヴァーチャルスタジアムで行われた。浦和と鹿島がAFCチャンピオンズリーグ2019に勝ち残っていること (この両チームの試合は予備日の9月25日に開催されることが決まっている)、横浜FM・Honda FC・法政大がラウンド16のホームスタジアムを確保できていないことを踏まえ、3つのポットを使って以下の手順で実施された[13]。
- No.73ホーム→No.73アウェー→No.74ホーム→…の順にトーナメントポジションに1から16の番号を割り当てる。
- まず、1・3・5・7・9・11・13・15の番号の書かれたカプセルの入ったポットBを抽選し、浦和・鹿島のチーム名の書かれたカプセルの入ったポットAを抽選し、2チームのトーナメントポジションを決定する (これにより、浦和と鹿島はラウンド16で必ずホーム側となる)。
- 次に、2・4・6・8・10・12・14・16の番号の書かれたカプセルの入ったポットCを抽選し、横浜FM・Honda FC・法政大のチーム名の書かれたカプセルの入ったポットAを抽選し、3チームのトーナメントポジションを決定する(これにより、横浜FM・Honda FC・法政大はラウンド16で必ずアウェイ側となる)。
- ポットCに残った5つのカプセルをポットBに移し、残りの11チームの書かれたカプセルをポットAに入れ、ポットB→ポットAの順に抽選して残りのチームのトーナメントポジションを決定する。
ドロワーは日本サッカー協会会長の田嶋幸三と、日本サッカー協会専務理事・天皇杯実施委員長の須原清貴、ゲストドロワーとして元日本代表の戸田和幸が参加[14]。
2019年9月25日 No.78 | 浦和レッズ | 0 - 2 | Honda FC | さいたま市 |
19:03 | 公式記録 | 競技場: 埼玉スタジアム2002 観客数: 11,953人 主審: 池内明彦 |
準々決勝
2019年10月23日 No.82 | サガン鳥栖 | 0 - 1 | 清水エスパルス | 鳥栖市 |
19:03 | 公式記録 |
| 競技場: 駅前不動産スタジアム 観客数: 5,664人 主審: 東城穣 |
準決勝
2019年12月21日 No.85 | ヴィッセル神戸 | 3 - 1 | 清水エスパルス | 神戸市 |
14:05 | 公式記録 |
| 競技場: ノエビアスタジアム神戸 観客数: 22,341人 主審: 木村博之 |
決勝
新・国立競技場のこけら落としにして、6年ぶりとなる「元日・国立」に駒を進めたのは元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタの1ゴール1アシストの活躍で清水を下した神戸と、MFセルジーニョ、FW伊藤翔の得点などでJ2勢唯一の勝ち残りだった長崎を振り切り3大会ぶりの決勝進出を決めた鹿島の2チーム[15]。神戸は天皇杯準決勝3度目にして初の決勝進出で、クラブ創設25年目(前身の川崎製鉄水島サッカー部時代も含めると55年目)で初の三大タイトル獲得を目指す戦いとなり[16]、鹿島は2年半指揮を執りこの年限りでの退任が決まっている大岩剛にとって最初で最後の国内タイトル獲得のチャンスとなった[17]。
序盤から神戸がポゼッションを高めて優勢に試合を運ぶ中、前半18分、左サイドを突破した神戸のMF酒井高徳が切り込んでブロックされた球を神戸のFWルーカス・ポドルスキが奪い返して切り込み、角度のないところからクロスを上げると、これを鹿島のGKクォン・スンテが手ではじき返すも、そのボールがゴール正面に詰めていた神戸のFW藤本憲明と鹿島のDF犬飼智也が絡んでいたところの足元に跳ね返ってそのままゴール(場内アナウンスでは藤本のゴールとされたがその後、犬飼の足に当たったとしてオウンゴールの判定に訂正された。)、神戸が先制に成功する[18]。さらに前半38分には神戸のMF西大伍の右サイドからのクロスの処理をミスした犬飼からこぼれたボールを再び藤本がそのまま流し込んで2点目を挙げ、前半を2-0で終えた[18]。
後半、鹿島はMF白崎凌兵に代わってFW土居聖真が投入して反撃を試み、さらに53分にはDF山本脩斗も投入しそれまでの鹿島の基本フォーメーションであった4-4-2を崩して、それまでほとんど試したことのない3-4-2-1に変更して攻勢を強めようとしたが、守備を固めた神戸ゴール前での精度を欠いたこともあり、得点には至らなかった[19]。試合は2-0で終了し神戸がクラブ初の三大タイトルとなる天皇杯を獲得した。なお神戸FWダビド・ビジャは現役最後の試合となり、後半終了間際に途中出場して有終の美を飾った。
|