は列挙するだけでなく、(脚注)などを用いてしてください。 |
『ゴジラvsキングギドラ』(ゴジラたいキングギドラ)は1991年(平成3年)12月14日公開の日本の特撮映画[9]。ゴジラシリーズの第18作[出典 4]、平成VSシリーズ第2作[11][14]。カラー、ビスタビジョン((パナビジョン))、ドルビーステレオ[出典 5]。
ゴジラvsキングギドラ | |
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Godzilla vs. King Ghidora[出典 1][注釈 1] | |
監督 | |
脚本 | 大森一樹 |
製作 | 富山省吾 |
製作総指揮 | 田中友幸 |
出演者 | |
音楽 | 伊福部昭 |
撮影 | |
編集 | |
製作会社 | 東宝映画[2][7] |
配給 | 東宝[2] |
公開 | 1991年12月14日[出典 2] |
上映時間 | 103分[出典 3][注釈 2] |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
製作費 | 15億円[19] |
配給収入 | 14億5,000万円[20][18] |
前作 | ゴジラvsビオランテ |
次作 | ゴジラvsモスラ |
観客動員数は約270万人[22][18]、配給収入は14億5,000万円(1992年邦画配収第8位)を記録した[18]。
キャッチコピーは「世紀末・最大の戦いが始まった。[23]」「お前だけには絶対負けない!」「12・14決戦!」。
概要
東宝創立60周年記念作品[16][24]。物語は、タイムトラベルを経てゴジラ誕生の歴史を変えようとするなど、ゴジラシリーズの中でも意外性に満ちている[9][19]。また、ゴジラが放射能を浴びて怪獣化する前の「(ゴジラザウルス)」という恐竜も登場するなど、ゴジラ誕生の秘密が明らかになっている[出典 6]。監督・脚本の大森一樹は、怪獣もの・空想科学もの・戦記ものなど東宝特撮映画の集大成と自負している[27][12]。
ゴジラとキングギドラの対決は、1972年公開のシリーズ第12作『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』以来19年ぶりとなり[19][13]、1対1の対決はシリーズで本作品のみである[出典 7]。改題再上映版ではないオリジナル作品のタイトルとして、初めて「キングギドラ」が冠されている。本作品で、ゴジラは前作の身長80メートルから100メートルに巨大化した。また、キングギドラも昭和シリーズでの悪の宇宙怪獣から未来人によって生み出された現代人を救う怪獣に改められている[出典 8]。過去の人気怪獣を起用したことにより、幼少期に昭和シリーズを鑑賞した世代が親となり、子とともに作品を楽しむという親子2世代でのファン層を生み出すことになったとされる[28][29][注釈 3]。
本作品は東宝特撮で初めてタイムトラベルが物語の鍵となっていることが最大の特色であるが[出典 9][注釈 4]、(タイムパラドックス)が目立っており[出典 10]、その点において批判もある[21][注釈 5]。大森は、演出を優先して歴史改変については意図的に無視したとしており、映画の力で見ている間は違和感を感じさせないという意気込みであったと語っている[30]。
このほかにも、「人間そっくりのアンドロイド」(『ターミネーター』[30][31])や「クライマックスにロボットで戦うヒロイン」(『エイリアン2』)[21][注釈 6]、「「スピルバーグ少佐」なる人物の登場」など、ハリウッドのSF映画から影響を受けた場面も散見される[30][注釈 7]。
本作品以降、怪獣による日本縦断が恒例となり[33][18]、襲撃される各地の地元メディアと連携してエキストラ撮影を行い、ミニチュアセットでも怪獣に壊される看板などでタイアップを取るなどしている[33]。地元メディアが撮影を報じるほか、エキストラ自身が劇場へ足を運ぶようになるため宣伝効果は大きく、特技監督の川北紘一は前作でシリーズの方向性が定まり、本作品ではビジネスモデルが確立したと述べている[33]。
ストーリー
1992年7月、東京上空に巨大なUFOが突如飛来。やがてUFOは富士山麓に着陸し、23世紀の地球連邦機関の使者を名乗るウィルソン、グレンチコ、そして日本人であるエミーの3人が姿を現した。彼らはノンフィクションライターである寺沢健一郎が著書『ゴジラ誕生』の中で記した、「ラゴス島に生息していた恐竜が、1954年にビキニ環礁で行われた核実験によりゴジラへと変異した」との仮説に基づき、「恐竜が核実験に遭遇する前に別の場所に移動させ、ゴジラの存在自体を抹殺する」という計画を提案する。日本政府はこれを受諾し、寺沢、国立超科学研究センター所員の三枝未希、古生物学者の真崎洋典は、未来人のエミー、アンドロイドのM11と共に、タイムマシンKIDSで1944年のマーシャル諸島・ラゴス島にタイムスリップする。現地で彼らが目撃したのは、恐竜ゴジラザウルスであった。ゴジラザウルスは自身の縄張りを荒らした米軍に襲いかかり、結果的に新堂靖明率いる日本軍ラゴス島守備隊を窮地から救ったが、艦砲射撃に傷つき倒れ伏した。新堂らが撤退したあと、寺沢らは物質転送装置で瀕死のゴジラザウルスをベーリング海に転送した。これにより、ゴジラは歴史から完全に抹殺されたものと思われた。しかし、1992年の日本に帰還した寺沢たちが目にしたは、福岡市を襲撃する三つ首の巨大怪獣キングギドラの姿だった。
23世紀の日本はアメリカ、ソ連、中国をしのぐ超大国へ肥大し、圧倒的な軍事力と経済力で世界の国々を隷属させていた。そこで国力の格差是正を訴える組織に属するウィルソンらは、コントロール可能な怪獣キングギドラを使って20世紀の日本を脅迫し、23世紀の日本を弱体化させようと企んでいたのである。キングギドラは福岡周辺一帯を壊滅させた。一方、祖国の惨状に衝撃を受けたエミーはウィルソンたちの計画に疑念を抱き始め、以後寺沢たちに内通するようになる。
この危機に対し、巨大コンツェルン帝洋グループの総帥で、かつてゴジラザウルスに命を救われた新堂は、ゴジラを復活させるべく、東南アジア某国に隠し持つ核搭載型原子力潜水艦ムサシ2号をベーリング海に派遣しようと企てる。そんな中で未希は、テレパシー能力によってベーリング海にゴジラザウルスとは異なる巨大な影を感知していた。ゴジラザウルスはテレポート地点に偶然にも沈没したソ連原子力潜水艦の核燃料の影響を受け、既にゴジラへ変異していたのだ。復活したゴジラはムサシ2号を撃沈してその核エネルギーを吸収し、さらに強大な存在と化して日本に上陸、北海道の原野でキングギドラと会敵する。「奴はもう一度、我々のために戦ってくれる……」と呟く新堂。ウィルソンの操るキングギドラにゴジラは苦戦を強いられるが、造反したエミーがキングギドラのコントロール装置を破壊すると形成が逆転、ゴジラはキングギドラをオホーツク海に沈め、ウィルソンのUFOも破壊する。しかしゴジラは日本に牙を向くかの如く、今度は首都東京への侵攻を開始した。
寺沢達はゴジラの脅威から日本を救うために、キングギドラを23世紀の技術で再生し、再度ゴジラと戦わせるという計画を思いつく。計画を実行するためにエミーは帰還を約束して未来へと帰っていった。ゴジラに破壊し尽くされた23世紀の日本は最貧国となっていたが、オホーツク海ではキングギドラもわずかながら生命力を残していた。
首都を破壊するゴジラは新宿の帝洋グループ本社ビルに接近。独り残る新堂を目の当たりにしたゴジラは一瞬沈黙するが、大きくほえるととともにビルを新堂もろとも破壊する。なおも侵攻を続けるゴジラの前に、時空を超えて再生を遂げたメカキングギドラがその姿を現した。
登場怪獣
- ゴジラ
- 詳細は「(ゴジラ (平成VSシリーズ)#『ゴジラvsキングギドラ』)」を参照
- ゴジラザウルス
- 詳細は「(ゴジラ (平成VSシリーズ)#ゴジラザウルス)」を参照
- キングギドラ
- 詳細は「(キングギドラ#『ゴジラvsキングギドラ』のキングギドラ)」を参照
- ドラット
- 詳細は「(キングギドラ#ドラット)」を参照
- メカキングギドラ
- 詳細は「(キングギドラ#メカキングギドラ)」を参照
登場人物
- エミー・カノー
- 本編の主人公。23世紀・地球均等環境会議の穏健派メンバー[出典 11]。25歳[出典 11]。
- 日本人女性で、1992年にMOTHERでウィルソンやグレンチコらと共にタイムワープしてやって来た。当初は現代人への警告名目でウィルソンたちに同行し、ゴジラを抹殺する作戦に協力した。しかし、新たに出現させたキングギドラで、現代の日本を攻撃して国力を消耗させようとするウィルソンたちに反発し、寺沢たちに協力する。
- 自分を力ずくで連れ戻そうとしたM11に野次をぶつけまくりながら追い払おうとしたり、メカキングギドラに乗り込んでゴジラに戦いを挑むなど、気丈でアクティブな女性である。
- 実は、寺沢の子孫である[37]。本編では寺沢本人に言うことはなかったが、ノベライズ版では別れの直前に画面越しに述べている。
- ノベライズ版では、寺沢と千晶の結婚パーティーにコッソリ現れ、受付に自分と母親の写真が入ったペンダントを千晶に渡すように頼んだ。
寺沢 健一郎 ()[39][40]- 超常現象専門のノンフィクションライター[出典 12]。33歳[出典 12]。
- 「太平洋戦争時代に恐竜を見た」というネタを追っていくうちに、ゴジラ誕生の仮説を立て『ゴジラ誕生』という著書で出版しようと目論んだことから、今回の一件に深く関わっていく。都会の外れに自らが書いた超能力関係の著書での収入で建てた一軒家に住んでいるクールな青年ライターだが、ウィルソンを殴り合いで倒すほど、血気盛んで腕っ節も強い。
- 結局、『ゴジラ誕生』は記録に残るほど話題には至らなかったが、ノベライズ版ではエミーが歴史を改変したため、国際的な大ベストセラーとなった。
三枝 未希 ()[39][15][42]- 超能力者で国立超科学研究センターのゴジラチームのメンバー[出典 13]。20歳[39][41]。
- ビオランテとの戦いで日本海に追われたゴジラを2年以上監視し続けていた[15][37]。今回はゴジラ監視だけでなく、ゴジラとゴジラザウルスの関係をテレパシーで確認するため、1944年のラゴス島へエミーや寺沢たちと共にタイムワープし[15]、ゴジラザウルスに遭遇するという体験をする。超能力を使用する場面は少ないが、本作品でもベーリング海でうごめくゴジラを感知している。
森村 千晶 ()[39][45]- 雑誌『ムー』の編集記者で、寺沢の恋人[出典 14]。29歳[出典 14]。
- 寺沢と共に、真崎や新堂の元を尋ねて取材を行う[37]。ゴジラやキングギドラの一連の事件には直接関わっていないが、ラストシーンで23世紀へ帰るエミーが乗るKIDSを寺沢と2人で見送る。
- 本編ではエミーとの血縁関係ははっきりしていないが、ノベライズ版ではエミーの母親が千晶と瓜二つであり、2人の血縁関係が示唆されている。
土橋 竜三 ()[39][46]- 内閣安全保障室室長[出典 15]。50歳[39][47]。
- 保障室内にGルームを再編成した中心人物で[37]、想像を絶する2大怪獣の対策に就く。キングギドラに対抗するため、ゴジラを再び誕生させてはと提案してしまう一幕もあったが、自身で決行するには至らない。
- 次作『ゴジラvsモスラ』では国家環境計画局に出向する。
真崎 洋典 ()[48][注釈 8]- 古生物学者で東都大学古生物学教授[出典 16][注釈 9]。48歳[出典 16]。
- 穏やかな人柄で、恐竜を専門とし、一部の恐竜は6550万年前の大量絶滅を生き延びたとする恐竜生存説を提唱している[37]。寺沢の取材を受けたことから、寺沢や未希と共にゴジラ抹殺作戦に参加することとなる。その後も、国立超科学研究センターに出向して協力する。
- ウィルソン
- 23世紀人で地球均等環境会議の過激派メンバー[出典 17]。40歳[出典 17]。
- 20世紀の日本の国力を消耗させる作戦を遂行するため、地球連邦機関のMOTHERをジャックし、1992年の日本へグレンチコたちと共に現れた[37]。日本の将来を救うためと偽ってゴジラを歴史から抹殺した後、自分たちが操るキングギドラで日本を攻撃する。エミーに裏切られて当初の作戦は失敗するが、それを笑い飛ばすと「キングギドラはもういらない。我々の目的はゴジラが達してくれる」と言い放つ[注釈 10]。
- 最後はエミーたちとの格闘で昏倒させられた後、MOTHERごと網走にいるゴジラの目前へ転送され、放射熱線で吹き飛ばされて死亡する。
林田 ()[50]- 内閣総理大臣[出典 18]。
- 自らが中心となってウィルソンたちと会談するが、彼らの本当の目的がキングギドラの力で現代の日本を支配することだと知ると、怒りをあらわにする[37]。
- ノベライズ版では、新堂とは大学の同級生であり本編でも交流があり、映画より登場が多い。
- モールズ
- 23世紀の地球連邦機関代表[51][15][52]。
- 20世紀から帰還したエミーとともに、深海調査艇で海底に眠るキングギドラを回収する[51][52]。
池畑 益吉 ()- 博多で焼き鳥屋台「らごす」を営む老人[47][53]。65歳[47][53]。
- 太平洋戦争中は新堂の部下の日本兵で、ラゴス島にてゴジラザウルスに遭遇する[47][53]。その時の経験を展示会「恐竜ワールド」会場で無断演説したことを機に、寺沢の取材を受ける。
- グレンチコ
- 23世紀人で地球均等環境会議の過激派メンバー[35][15][55]。30歳[出典 19]。
- ウィルソンの右腕的存在で[34]、共にキングギドラを操る。ゴジラの復活を知り、20世紀の人類を「愚かな時代だ。救いようのない原始人どもだ」と嘲う。
- 最後はウィルソンと共にエミーたちとの格闘で昏倒した後、MOTHERごと網走のゴジラの目前に転送され、放射熱線で吹き飛ばされて死亡する。
M11 ()[56][注釈 11]- 2204年の地球で生まれた23世紀の未来人をサポートする高性能アンドロイド[出典 20]。見た目は人間と変わらないが、KIDSやMOTHERの操縦や各種操作や防御のための戦闘などで人間を大きく超えた能力を発揮する[出典 21]。英語と片言の日本語で会話する[59]。表面は焼かれるが、炎の中でも活動可能[57]。
- 物語前半ではウィルソンの手先として暗躍するが、中盤でエミーによって頭部の命令系統のプログラムディスクを交換されて指令者を変更し[15]、彼女の仲間となる[37]。終盤では、そのAIのみがメカキングギドラのコクピットであるKIDSの操縦席に搭載される[37]。
藤尾 猛彦 ()[39][63]- 物理学者で国立超科学研究センター所長[出典 22]。45歳[出典 22]。
- 突如出現したMOTHERに対する会議に参加したことで、内閣安全保障室に協力する。紳士的な物腰かつ良識者で、新堂がベーリング海へ原潜を向かわせたと知った際には彼を強く非難している。ゴジラが復活してキングギドラを一度倒した後はGルームを退席するが、一連の事件を寺沢たちと最後まで見送る。
新堂 靖明 ()[39][64]- 帝洋グループ総帥[39][41][注釈 12]。75歳[出典 23]。
- 「恐竜博士」を自称する無類の恐竜マニア。太平洋戦争中は日本陸軍少佐、ラゴス島守備隊隊長だった[37]。部隊はアメリカ軍の猛攻の前に玉砕寸前だったが、戦闘中に現れたゴジラザウルスがアメリカ軍を蹴散らしたために結果的に救われ、ラゴス島撤退直前には傷ついたゴジラザウルスに涙を流しながら謝意と敬礼を送った。復員後は帝洋グループを創設して日本を経済大国として復興させたが、自らの企業に原子力潜水艦を所有させてしまうなど、その企業倫理は破綻していた。改変前の未来では、帝洋グループは世界最大の企業グループになっている。
- キングギドラへの対抗手段としてゴジラを復活させるため、前述の原潜をいち早くベーリング海へ向かわせる。自分を救ったゴジラザウルス=ゴジラを「救世主」と半ば神聖視していたが、やがて自らの認識錯誤を悟る。最後は、新宿の本社ビルに1人残ってゴジラと再会し、見つめ合って幾度かのうなずきを経て放射熱線を受け、爆死する[注釈 13]。
登場兵器・メカニック
架空
- 未来
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MOTHER ()[出典 24][注釈 14]- 地球連邦機関が開発した巨大円盤型タイムマシン[出典 25]。双子のアンドロイドであるM101・M102が操縦する[15]。
- 東京上空に出現した当初はUFOとして認識された[71]。元々は地球連邦機関 (EUO) の所有物で、ウィルソンら地球均等環境会議が強奪した[74]。船内にはアンドロイドが多数警備にあたり、KIDSやスカイモビル、フライングスクーター[注釈 15]などが収容できるパーキングドームをはじめ、三次元映像投影装置、エントランス中央の天井にはメインルームに通じる上階の通路へ乗員を上昇させる光を照射する装置など、現代の科学力を遥かに超えた設備を持つ。KIDSを搭載し、防御用のバリアも備えている。また、緊急時には20分後に元の時代に戻ることができる緊急避難装置がある[67]。着陸用に脚部を収納可能[60]。
- ウィルソンらに反旗を翻し、現代人側についたエミーたちの手で日本政府の政治を代行させるコンピュータを破壊された上、ゴジラの目の前に転送される。緊急避難装置は作動したが、未来へのタイムワープ約1分前に転送が完了したため、ゴジラの放射熱線によって破壊される。
- 全長:100メートル
- 決定デザインは青井邦夫が手掛けた[68]。そのほか、西川伸司により時計をモチーフにした自立可能で地面に置けるものもデザインされた[61][60]。
- 司令室のセットは、ウインド外の風景をプロジェクターで映し出すものとなっていたが、実際には合成処理が多用された[77]。また、合成を続けていては保たないため、窓にカバーが追加された[78][注釈 16]。エントランスはMOA美術館で撮影され、同施設の色彩が変化する照明がそのまま使われている[80]。
- ミニチュアは1/100スケール(直径1メートル)で[81]、回転用のモーターとライトを内蔵している[82][81]。爆破シーンは、石膏板に写真を貼り付けたものを爆破している[82]。
- 監督の大森一樹は、冒頭では発光体として登場させることをイメージしていたため、特撮班による映像で画面の真ん中から大映しになっていたのは想定外であったという[30]。
-
-
- キイブロッカー
- あらゆる電子ロックを解除できる装置[51]。
- 現代
-
- ムサシ2号[出典 31][注釈 17]
- 帝洋グループが、日本が何らかの理由で核汚染した際の核シェルター代わりとして極秘建造した原子力潜水艦[37]。核ミサイルを搭載している[96][37]。常時は東南アジアの軍事施設に保管され、乗組員は軍事訓練を受けた帝洋社員が搭乗している[37]。未来人の策謀により、ベーリング海に転送された「ラゴス島の恐竜(=(ゴジラザウルス))」をゴジラとして復活させようとしたが、同海域で起きたソ連の大型原子力潜水艦の沈没事故による核燃料漏れにより怪獣として復活していたゴジラに遭遇し撃沈され、ゴジラはさらに核エネルギーを吸収、強大化する。
- 劇中では「ムサシ」の名は使われず、「オペレーションG」と呼ばれている。小説版での艦名は帝洋コンツェルン総帥・新堂靖明の名をもじった「神童」となっている[97]。
- 当初ミニチュアが新造される予定だったが、予算の都合により1984年公開の『ゴジラ』で使用されたソ連原子力潜水艦を若干修正し再利用された[出典 32]。西川伸司や青井邦夫による検討デザインも描かれていた[69]。その後、ミニチュアは2009年の時点で東宝の倉庫に保管されているのが確認されている[99]。
- 大森の当初の構想では「自衛隊が実は核兵器を保有しており、日本の核で恐竜がゴジラになる」という案であった。しかし、これを知った田中友幸は「(被爆国の)日本が核兵器を持つとは何事だ」と反対意見を述べたため、日本国外に一企業が核を保有するという設定に変更になった。これに田中も「日本国内には無いんだな」と確認した上で同意したという[30]。原潜でゴジラを誕生させるという展開も、田中が人類が自ら核によりゴジラを生み出すことに強く反対し、完成作品での内容に改められた[出典 33]。
- 92式メーサー戦車
- 詳細は「(メーサー兵器#92式メーサー戦車)」を参照
実在
- 自衛隊
-
- 74式戦車[出典 34]
- MOTHER包囲作戦で出動[102]。
- 61式戦車[96]
- 82式指揮通信車[105]
- 73式装甲車[104]
- (73式大型トラック)
- 73式中型トラック
- (73式小型トラック)
- 1/4tトラック
- 中砲けん引車
- 偵察用オートバイ
- 75式ドーザ
- 75式130mm自走多連装ロケット弾発射機[出典 35]
- MOTHER包囲作戦で出動[102]。
- 67式30型ロケット弾発射機
- 75式自走155mmりゅう弾砲[107]
- 203mm自走榴弾砲[102][108]
- MOTHER包囲作戦で出動[102]。
- 155mmりゅう弾砲FH-70
- 地対空誘導弾ペトリオット(名称のみ)
- はるな型護衛艦「ひえい」[109][110]
- 未希と真崎を乗せ、オホーツク海のゴジラ調査へ向かう[102]。
- たかつき型護衛艦「たかつき」(名称のみ)[111]
- F-15Jイーグル[出典 36](F-15J要撃戦闘機[96])
- 航空自衛隊千歳基地の第2航空団がキングギドラ迎撃のため出動する[102]。
- (OH-6D)観測ヘリコプター[114]
- (HSS-2B)(哨戒ヘリコプター)[出典 37]
- 網走・オホーツク沿岸でゴジラを発見する[102]。
- (ベルUH-1B)[96]
- ヒューズ500[96]
- (M16A1自動小銃)
- 大日本帝国陸軍
- アメリカ軍
設定
- 国立超科学研究センター
- 藤尾が所長を務める組織。ゴジラを監視・研究する「ゴジラチーム」を編成し、防衛庁と連携して対G兵器の研究開発も行っている。
- 後に人員の多くが国連G対策センターに統合され、対ゴジラ専門機関として発展する。
- 内閣安全保証室Gルーム
- 土橋が中心となって再建された日本政府のゴジラ対策のための総本部。前作『ゴジラvsビオランテ』の同名の部署より規模が拡大したため専用の司令室を持つようになり、有事の際には防衛庁長官や幕僚長らもここの席に着き、指揮を執る。
- 帝洋グループ
- 太平洋戦争後、新堂が創立した巨大コンツェルンで、新宿に本社屋を構える。戦後日本の経済復興の立役者と言われており、むさし2号を東南アジアの軍事施設に保管するほどの規模を誇る。
- 歴史が改変されなければ、23世紀にはさらに巨大な影響力を全世界に振りかざし、右に出る者がいないほど肥大化しているとエミーが寺沢に語っている。しかし復活したゴジラにより、新宿の本社屋は新堂を巻き込んで破壊されてしまう。
- 恐竜ワールド
- 福岡県のシーサイド公園で開かれた帝洋グループ主催の展示会で、ここで池畑が許可なく抗議・演説を行ったことで寺沢の関心を引く。
- 外観は、当時シーサイドももちにあった西部ガスミュージアム(2003年3月に閉鎖)で撮影されている。
- ラゴス島
- 太平洋マーシャル諸島のルオット島とクェゼリン島に挟まれた小さな架空の島。第二次世界大戦中にゴジラの前身であるゴジラザウルスが住んでおり、攻め込んできたアメリカ軍や、本島の日本軍守備隊だった新堂と池畑たちに目撃されている。
- 池畑が博多で営んでいる「らごす」の名は、この島から採ったものと思われる。
- 本編班の撮影は三浦半島で行われた[117]。
- 23世紀の地球
- エミーの話によると、ゴジラは23世紀まで出現しておらず、21世紀、日本は経済大国となり、南アメリカやアフリカといった赤字国の国土まで買収して領土を拡張。22世紀末にはアメリカ・ロシア[注釈 19]・中国以上の国土を持つ地球一の大国となる。また、核兵器は21世紀末に地球上から全て破棄され、各国は武力で日本の暴走を抑えられなくなったという。
- しかし、現代においてキングギドラの出現やゴジラの復活といったウィルソンらの干渉で歴史が改変してしまい、ウィルソンらを倒した後にエミーらが一度23世紀に帰還した時には、日本は繁栄に溺れた末に怪獣によって滅ぼされ最貧国になったとモールズが明かしている。
- 地球連邦機関
- 英語表記はEUO(Earth Union Organization)。23世紀の地球統合機関。しかし、この組織ですら日本の肥大化は止められなかった。20世紀の日本の国力を消耗させる作戦を計画したウィルソンらによってMOTHERを奪取されている。また、改変されてしまった23世紀ではキングギドラをサイボーグ化させる。
- 地球均等環境会議
- 23世紀の国家間の力の極端な差を無くすことを目的とする運動グループ。世界中から穏健派・過激派までさまざまなメンバーが参加している。
キャスト
- エミー・カノー:中川安奈
- 寺沢健一郎:豊原功補
- 三枝未希:小高恵美
- 森村千晶:原田貴和子
- 土橋竜三:小林昭二
- 真崎洋典:佐々木勝彦
- ウィルソン:チャック・ウィルソン
- 林田:山村聡
- レポーター[注釈 20]:時任三郎
- ゲストコメンテーター:矢追純一
- アメリカ軍大佐[120][19][注釈 21]:ケント・ギルバート
- ラゴス島アメリカ軍少佐(スピルバーグ)[120][19][注釈 22]:ダニエル・カール
- アメリカ海軍副官:ジェフ・バーグランド
- モールズ:東銀之介
- カメラマン[注釈 20]:森末慎二
- 国立超科学研究センター所員:風見しんご
- 新堂の秘書:吉満涼太
- 防衛庁長官:佐原健二
- 航空幕僚長(高岡冬樹[注釈 23]):黒部進
- 統合幕僚会議議長:仙波和之
- 陸上幕僚長[2](志村武雄[注釈 23]):荻原賢三
- 海上幕僚長[2](平田大輔[注釈 23]):辰馬伸
- ラゴス島日本軍軍曹:渡辺哲
- 自衛隊情報処理室員:小木茂光、坂田祥一郎、井上康、秋田宗好
- M101:(マイケル・フォキャノン)
- M102:(マーク・フォキャノン)
- ニュースキャスター:(藤本修子)
- 池畑益吉:上田耕一
- グレンチコ:リチャード・バーガー
- M11:ロバート・スコット・フィールド
- 藤尾猛彦:西岡徳馬
- 新堂靖明:土屋嘉男
ノンクレジット
スーツアクター
スタッフ
- 製作:田中友幸
- 脚本・監督:大森一樹
- 特技監督:川北紘一
- 音楽監督:伊福部昭
- プロデューサー:富山省吾
- 撮影:関口芳則
- 美術:酒井賢
- 録音:宮内一男
- 音響効果:伊藤進一(東洋音響カモメ)
- 照明:粟木原毅
- 編集:池田美千子
- 助監督:米田興弘、松本清孝、井上隆、河畑孝夫、近藤孔明
- 製作担当者:徳増俊郎
- 衣装デザイン:(出川淳子)
- 技斗:宇仁貫三
- カースタント:スーパードライバーズ
- 特殊技術
- 特殊視覚効果:東京現像所、マリンポスト、日本エフェクトセンター、音響ハウス
- 資料提供:テレビ東京、東海大学情報技術センター
- 協力:防衛庁[注釈 25]
- 協賛:エフコープ生活協同組合、メンバーズ博多チェックメイト
- プロダクション協力:東宝映像美術、東宝スタジオ、東宝サウンドクリエイティブスタジオ、東宝コスチューム
- 製作協力:ファーストウッド・エンターテインメント
- 東宝映画作品
- 配給:東宝
作品解説
スタッフ
前作に引き続き脚本と監督には大森一樹が起用され[120][12]、特技監督は川北紘一が務めた[12]。田中友幸も引き続き製作としてクレジットされているが、体調面の問題から実務はプロデューサーの富山省吾に重きが置かれていった[125]。
前作で実質的にゴジラの造型作業を担当した小林知己は、本作品で初めて正式にクレジットされた[126]。
大森は、前作は大張り切りであったが、本作品は苦し紛れの開き直りであったと述懐している[127]。
未来人の衣装デザインは出川淳子が担当し、シリーズ初の衣装デザイナーとなった[118]。出川は短期間での作業を要望され、クランクイン10日前に3時間ほどでデザインを仕上げたという[118]。出川は以後VSシリーズの衣装デザインを担当するが、本作品の時点ではキャラクターデザインの一部という扱いで衣装の役割は軽かったと述懐している[118]。
配役
ヒロインの中川安奈を筆頭に、主要メンバーには前作でサブキャストだった豊原功補と佐々木勝彦に原田貴和子と前作に引き続き三枝未希の小高恵美が固める。悪役の未来人およびアンドロイドをチャック・ウィルソン、リチャード・バーガー、ロバート・スコット・フィールドら外国人が担当。それらにシリーズ初参加の西岡徳馬と『ウルトラマン』のムラマツ・キャップ役、「仮面ライダーシリーズ」の立花藤兵衛役などテレビ特撮で著名な小林昭二が、ゴジラシリーズに初出演した。そして東宝特撮映画の顔である土屋嘉男が『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』以来21年ぶり(ゴジラシリーズでは『怪獣総進撃』以来23年ぶり)に、佐原健二が『メカゴジラの逆襲』以来16年ぶりに出演している[128]。
土屋は、ゴジラからは離れたつもりであったが、大森から集大成として出演してほしいと口説かれたという[65]。
大森によればゴジラに縁のある俳優の起用は当初から意図していたものであったといい[30]、東宝特撮のファンであった富山や大森は土屋の出演に喜んだが[125][129]、旧来の東宝特撮のイメージを一新しようと意識から田中や東宝上層部は難色を示していたという[129]。
その他の出演者
『ノストラダムスの大予言』以来17年ぶりに山村聰が首相役を演じている。常連の上田耕一は軍人時代に恐竜を目撃した居酒屋の親父役を、その他、東宝特撮映画への出演は『(続・人間革命)』以来15年ぶりとなる黒部進をはじめ、時任三郎、ケント・ギルバート、ダニエル・カール、ゴジラファンの森末慎二や風見しんごが主要部分でゲスト出演している。
新宿戦で自衛隊とともにビルの屋上から撮影を行っているテレビスタッフの一部は、本作品のメイキング番組を撮影していたスタッフである[89]。
制作経緯
前作『ゴジラvsビオランテ』の成績が伸び悩んだことから、当初はモスラをメインに据えた『モスラVSバガン』が企画された[21]。しかし、東宝上層部はゴジラのほうが好成績を期待できると判断し、昭和ゴジラシリーズの人気怪獣で子供たちへのアンケートで最もリクエストが多かったキングギドラが登場することとなった[出典 39]。
敵を未来人ではなく宇宙人とする案も存在した[25]が、プロデューサーの富山省吾はリアリティに欠けるとの判断から未来人になったと証言している[125][注釈 26]。大森は、未来人の演出は『地球防衛軍』のミステリアンをイメージしたと述べている[117][注釈 27]。
大森は、前作の時点でゴジラへの思いは出し切ったと考えていたため、当初は続編のオファーに困惑し、新たにできることを考えた結果、ゴジラ誕生の秘密を描くことを思い立ったという[27][注釈 28][注釈 29]。また、DVDの大森のコメントによれば、23世紀の日本の増長や一企業の原子力潜水艦の所有などは、当時バブル経済真っ只中の日本がどこまで肥大化するかわからないことに対する不安と警鐘の意味合いがあったという。
大森によれば、タイムトラベルの要素は、前作公開時に田中友幸が隣の劇場で上映されていた『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』の方が客入りが良いことを指摘していたことから発想したものであるという[129]。過去には東宝プロデューサーの田中文雄がタイムトラベルものの企画を出していたが、田中友幸はタイムトラベルものはSFではないという信念からこれを突っぱねており、田中文雄は本作品の企画が通ったのは田中友幸が弱っていたからではないかと述べていたことを大森が証言している[129]。
なお、プロットでの仮タイトルは『キングギドラVSゴジラ(仮題)』とされており、脚本内のタイトルコール箇所では『ゴジラ3』と表記されていた[136]。
撮影
本作品では特撮パートが重視されており、従来の作品よりも怪獣の登場時間が長い[26]。ゴジラと対峙する新堂など、本編と特撮が相互に意識した演出も特徴である[26]。大森は、前作では普通の映画と同様にワンカットでの長回しを用いていたが、それでは特撮と合わない場面もあったため、本作品ではその反省からズームレンズを用いたりカメラを意識的に動かすなどして特撮のカットに近づけることを意図したと述べている[30]。
撮影では、70mmフィルムによる移動マスク合成とハイビジョン合成を使用している[134]。
特撮は、第9スタジオで新宿副都心、福岡市街、札幌、綱走原野のセット、第7ステージで海底、本編のMOTHER内部の撮影[137]をそれぞれ行い、厚みを増す撮影となった。
前作では、操演のワイヤーを隠したいという川北の意図により戦闘シーンは夜が中心となったが、本作品では大森の要望により昼間の戦闘が中心となった[127]。
特撮班は1991年5月10日にクランクイン[138][注釈 30]。前作では、特撮班は途中から2班体制となったが、本作品では班分けは行われず、細かい撮影は助監督が行うに留まった[140]。同日から12日にかけて福岡・瀬戸大橋・札幌での特撮用実景ロケーション撮影が行われた[138][注釈 31]。川北は、北海道ロケでは牧場のウシの映像が特に欲しかったという[142][66]。福岡では、避難する群衆の撮影も行われた[142]。
5月16日から20日には、第9ステージでの新宿セットの設営期間を利用して、東宝スタジオのオープンセットおよび大プールでゴジラザウルスが登場するラゴス島のシーンが撮影された[143][138][注釈 32]。東宝スタジオの造園スペースをジャングルに見立てた撮影は、過去にも広島博覧会のイベント映像撮影で行われており、本作品での撮影はその時のノウハウを用いて当初から予定されていた[138]。川北は、ゴジラではなく恐竜映画を撮るという意識から、ゴジラザウルスのシーンはすべて自然光で撮影している[143]。プールでの米軍の艦船は、過去の作品での戦艦大和などのミニチュアを改造したものが用いられた[143]。
5月24日から6月4日にかけては、第9ステージの新宿新都心セットで撮影が行われた[141][145][注釈 33]。撮影用カメラが3台使用され、撮影当時に完成したばかりの東京都庁を舞台とする戦闘を展開して破壊し、造られた都庁ミニチュアは完成に1か月を要したうえにその高さは5メートルを超えたため、東宝特撮史上最高の石膏ビルとして大きな話題となった[146][147][注釈 34]。このミニチュアは、自重で倒壊するのを防ぐため、90センチメートルごとのパーツを組み上げており、内部には鉄骨を仕込んでいる[89][148]。
新宿のセットはミニチュアのフルセットではなく、各シーンや各セットでの切り替えに合わせたミニチュア・セットとなった[147][注釈 35]。川北は、このセットは新宿を再現するためのものではなく、映画の効果として壊すためのものであるため、前々作のようにディテールにはこだわらなかったと述べている[147]。新宿三井ビルディングの隣には、実在しないバンダイのビルが置かれている[139]。
しかし、撮影半ばの6月3日、メカキングギドラがゴジラに飛びかかり都庁舎へ突っ込むというシーンの撮影で、準備中にゴジラとメカキングギドラを吊っていたワイヤーが切れてしまい、スーツ2体が都庁舎のミニチュアに衝突し損壊するというアクシデントが発生した[出典 40]。美術の大澤哲三は、復旧には数日かかると考えたが、特技監督の川北紘一は翌日までに修復することを指示し、都庁舎の破損箇所には型紙とスプレーを用いて窓状の柄を描いた石膏ボードを貼り付けるという手法で、一晩での修復を実現した[145]。通常、石膏が完全に乾くまで1週間を要するが、川北はなんとかできるだろうと修復後すぐに撮影に入った[147]。
6月8日から11日には第9ステージでゴジラの札幌大通り出現シーンの撮影[注釈 36]、6月13日・14日には第7ステージでキングギドラの福岡出現シーンの撮影が行われた[149][注釈 37]。予算の都合でキングギドラの引力光線でビルが爆散するシーンの一部は石膏板に引き伸ばしたビルの写真を貼ったものを爆破しているが[142]、件のカットは映画のヒット後に新たに作られたテレビの宣伝でもオンエアされた。[要出典]
7月4日から18日には、第9ステージで網走でのゴジラとキングギドラの対決シーンが撮影された[150][注釈 38]。川北は、同シーンでは破壊する対象がないことから、ゴジラとキングギドラとの戦いをダイナミックに描写することを心がけていた[66]。7月16日には、簡易小ステージでMOTHERの合成カットが撮影された[81]。
7月12日から17日には、オープンセットや大プールでメカキングギドラの飛行シーンが撮影された[140]。大プールで行われたクライマックスの海上シーンは、水量不足により上から見下ろす構図が中心となった[152]。
7月18日から20日には第7ステージでMOTHER格納庫の撮影[140][注釈 39]、7月24日・25日には第9ステージで深海のシーンが撮影された[150][注釈 40]。深海の描写では、距離感を出すため、現実的なゴジラとの比率では見えないマリンスノーをあえて描いている[66]。疑似海底での潜水艦の表現は、映画『レッド・オクトーバーを追え!』を参考にしている[66]。
クランクアップは8月2日[138]。
避難する住民のシーンに、一部過去の作品の映像が流用され組み込まれている。
- キングギドラが福岡を攻撃し、避難するシーン - 1989年公開の『ゴジラvsビオランテ』でゴジラが大阪を襲う可能性が高まり避難するシーンの一部。
- ゴジラが札幌を襲う可能性が高まり避難するシーン - 1984年公開の『ゴジラ』でソ連の衛星から誤って核ミサイルが新宿へ向けて発射されたため地下へ避難するシーンの一部。
- キングギドラが中京の石油コンビナートを破壊するシーン - 『東京湾炎上』の流用[153]。該当シーンはもともと絵コンテに存在しなかったが、絵コンテにはゴジラが東京湾に上陸して、コンビナートを破壊するシーンが存在する(こちらは撮影されていない)。
音楽
前々作、前作ではシリーズ刷新の意味合いも込めて当時の人気作曲家が音楽を担当したが、「やはり最も有名なテーマを超えるものを造るのは難しいので、やってもらおう」という意向から[154]、本作品では『メカゴジラの逆襲』以来16年ぶりに音楽を伊福部昭が担当した[出典 41]。伊福部は、その間に2度ゴジラ映画での音楽の依頼を断っていたが、本作品で3度目であったことから道元の言葉である「三請不止」に従い引き受けた[156]。
ゴジラのテーマ曲が前面に押し出されたほか、キングギドラのテーマ曲や『宇宙大戦争』『キングコング対ゴジラ』『怪獣総進撃』で用いられた旋律が伊福部自らによる編曲を経て再び用いられている。伊福部は、ゴジラとキングギドラのどちらも手掛けてから数十年経っていたことから全面的に変えることを考えていたが、友人から「(伊福部に頼むということは)似たような音を求められているのではないか」と言われ、過去のモチーフを中心とした構成とした[156]。いわゆる「ゴジラのテーマ」は、本来ゴジラを主題にした楽曲ではなかったが、ゴジラの音楽としての認知度が高かったため本作品より明確なテーマ曲として用いられた[156]。例外的に、戦闘機がキングギドラを追撃するシーンで、前作同様にアルバム『OSTINATO』から「ラドン追撃せよ」が流用された[157] が、これは監督の意図が自衛隊主体のシーンだったのに対して伊福部がギドラの主題を用意していたため、新たに作曲し直す時間がなかったことによる[30]。
また、伊福部は引き受ける条件として当時すでに廃れていた「撮影所でフィルムを上映しながら録音する」という方法を要望し[158][159]、大型ステージを貸しきってオーケストラの録音を再度実行するという、非常に手間のかかるレコーディング作業が行われた。当時、東宝スタジオ内での音楽録音は行っていなかったため、録音機材や譜面台などは処分されていたため、機材や設備を1から揃えることとなった[159]。オーケストラは、コンサートとは異なり汚い音を出さねばならないなどの作業に当初は戸惑っていたが、次第に画にあわせて力強い演奏をするようになり、ラストでのエミーの別れの音楽ではフルートとハープが表情をつけすぎるなど、伊福部は薬が効きすぎたと評している[156]。
伊福部は、ダビング作業にも5日間立ち会っており、大森は音楽家とダビングを行ったのは初めてであったと述べている[30]。
冒頭の東宝ロゴでは、ピアノとティンパニの減七の和音による激しい楽曲が挿入された[156]。伊福部は、続く海底のシーンが静かな場面であったものの、静かな導入では前半がだらつくと考え、また東宝60周年でもあることから威勢のよい出だしとした[156]。
当初、伊福部は未来人のモチーフにはシンセサイザーを用いることを検討していたが、本作品の直前に手掛けた映画『土俗の乱声』でオーケストラにシンセサイザーをあわせたがうまくいかなかったため、本作品ではシンセサイザーを用いずピアノ、チェレスタ、ビブラホーンのアコースティック楽器3種類でのアトナルとした[156]。
ゴジラザウルスのテーマは、ゴジラのテーマとは似て非なる楽曲となっており、後半部は哀愁を感じさせるメロディとなっている[156]。
ラゴス島での日本軍の突撃ラッパについて、伊福部はドラマにあわせた音楽としてはテンポが遅いと感じたが、太平洋戦争での出兵経験者からは「これでいい」との評価を受けたという[156]。
ゴジラと新堂が対峙する場面では、伊福部は新堂が歩き出す場面から音楽を始めるという想定であったため、その直前のゴジラが接近する場面から音楽を始めたいという大森に対し「人間の音楽だから、怪獣に当ててもだめです」と言って反対しており、最終的にはゴジラは新堂の想像の姿だという想定で音を小さくすることで納得したという[30]。
受賞
- 第15回日本アカデミー賞
-
- 特殊技術賞(特別賞):川北紘一[16]
- 第11回藤本賞
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- 藤本賞:田中友幸「ゴジラ」他製作
- 第10回ゴールデングロス賞
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- 日本映画部門:優秀銀賞
備考
この節に(雑多な内容が羅列されています)。 |
- 予想以上のヒットを受けて、公開後にも新たな宣伝が行われ、前述のテレビのキングギドラの都市破壊シーンをメインにしたCMの他に、寺沢とエミーが銃を構える、怪獣映画には珍しい人間がメインのアクション映画風の広告(モノクロ)も新聞に掲載された。
- 写真ポスターのゴジラとキングギドラの瞳は色が暗かったので描き加えられている。もともとはゴジラの生物感を出すために前作から引き続いて、白目が分かりにくくなっていたが、それがきっかけとなり次作以降のゴジラは虹彩が明るく、瞳が分かりやすいように造形されるようになった。
- 本作品のラゴス島での米軍描写について米国の退役軍人団体などからクレームがついた[160]ほか、ゴジラ誕生の理由をアメリカの水爆実験と明言している点、さらに当時貿易摩擦で悪化していた対日感情からアメリカの配給会社も難色を示し、劇場公開されないどころか英語版すら製作されなかった[161]。本作品が米国で公開・ソフト化されたのは1998年になってからである。
映像ソフト
- VHS 品番 TG4360[162]
- LD 品番 TLL2200[162]
- DVDは2002年2月21日発売。
- 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
- 2008年4月25日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIV」に収録されており、単品版も同時発売。
- 2014年5月14日には「ゴジラ60周年記念版」として期間限定の廉価版が発売。
- 2016年6月15日、東宝DVD名作セレクション版発売。
- Blu-rayディスク((ハイビジョンマスター))は2009年11月20日発売。
コミカライズ
- 別冊コロコロコミックスペシャル 1991年12月号掲載。脚本:大森一樹、作画:坂井孝行『ゴジラVSキングギドラ』小学館てんとう虫コミックス、1991年。ISBN (4091490727)。
ストーリーは映画とほぼ同じだが、三枝美希や新堂を始めとしたラゴス島守備隊関係者は登場せず、前作の主要登場人物である黒木特佐が登場する[163]。
ノベライズ
コミカライズ版と同様にストーリーは映画に準じるが、冒頭には未来人が金星で「宇宙怪獣のキングギドラ」の死骸から体組織を回収するシーンが追加されていたり[97][163]、帝洋グループ所有の原子力潜水艦の名前が異なるなど、細かな差異がある[97]。
関連グッズ
脚注
注釈
- ^ 書籍『ゴジラ来襲』では「GODZILLA VS. GHIDORA」[5]、書籍『バトル・オブ・キングギドラ』では「GODZILLA VS KINGGHIDORAH」[6]と記述している。
- ^ 資料によっては、「106分」と記述している[10]。
- ^ 書籍『ゴジラ・デイズ』では、ビデオソフトの普及により旧作の視聴が容易になったことも、旧作キャラクターの登場や2世代ファンの誕生などの一因になったと分析している[29]。
- ^ 書籍『ゴジラ・デイズ』では、過去を改変してゴジラを消滅させようとする展開は、『ゴジラ』(1984年版)で第1作以外の昭和シリーズをなかったことにした制作サイドの翻案と解釈している[26]。
- ^ 書籍『バトル・オブ・キングギドラ』では、タイムパラドックスを用いたストーリー展開が高く評価されていることを記述している[6]。
- ^ エミー・カノー役の中川安奈は演技で『エイリアン』のシガニー・ウィーバーも意識したという[32]。
- ^ このほか、大森は『スター・ウォーズ』も挙げている[30]。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ超全集』では、名字の読みを「まざき」と記述している[39]。
- ^ ノベライズ版では、寺沢の大学の先輩でもある。
- ^ 歴史改変後の23世紀では日本はゴジラに滅ぼされ、最貧国となっている。
- ^ 書籍によっては、アンドロイドM11[15]と表記している。
- ^ 資料によっては、帝洋コンツェルン会長[64]、帝洋グループ会長[37]と記述している。
- ^ ゴジラもすぐには熱線を吐かず、新堂を凝視して咆哮を上げた末、放射熱線を吐いている。
- ^ a b 資料によってはカタカナで表記している[72][73]。
- ^ 劇中未登場の一人乗り小型飛行マシーン。デザイン画ではスクーター風の形状であった[出典 26]。
- ^ このカバーは、次作『ゴジラvsモスラ』での地球環境分析室のメインモニターのカバーに流用された[78]。美術の酒井賢は、自身の好きな形状であったと述べている[79]。。
- ^ この名称は準備稿の段階でつけられていた名称である[60]。名称は、書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では原子力潜水艦MUSASHI-2[96]、書籍『平成ゴジラクロニクル』では帝洋コンツェルン原潜[69]と記述している。
- ^ 書籍『ゴジラ大辞典』では、該当する艦はないと記述している[116]。
- ^ 劇中では「ソビエト」と呼称している。
- ^ a b 役名は『東宝SF特撮映画シリーズVOL.6 ゴジラvsキングギドラ』掲載のシナリオに準拠。
- ^ 資料によっては、アメリカ軍中佐と記述している[39][51]。
- ^ 資料によっては、スピルバーグ軍曹と記述している[39][51]。
- ^ a b c 役名は小道具の名札に記載[121]。
- ^ 同シーンには、特撮班のスタッフがエキストラ参加している[123]。
- ^ 東部方面総監部の他に中盤での撮影地が北海道(網走方面)であった関係で美幌駐屯地もクレジットされている。
- ^ 大森は、未来人という設定が一線を越えない限界であったと述べている[135]。
- ^ 書籍『ゴジラ画報』では、未来人のアイデアは『怪獣大戦争』のX星人が原点であると記述している[3]。
- ^ 富山は、当時の恐竜ブームも反映していたと述べている[125]。
- ^ 大森は、悪役としてのゴジラを描いていたため、シリーズ化すると感情移入できずしんどかったと述べている[135]。
- ^ 書籍『超最新ゴジラ大図鑑』では、5月17日をクランクインとしている[139]。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では、「5月9日から13日」と記述している[141]。
- ^ 書籍『ゴジラvsキングギドラ 怪獣大全集』では、ジャングルの撮影を「5月17日から19日」、海岸線の撮影を「5月20日から21日」と記述している[141]。書籍『超最新ゴジラ大図鑑』では、「5月17日から一週間」と記述している[144]。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では、「5月23日から6月6日」と記述している[141]。書籍『超最新ゴジラ大図鑑』では、「7日に終了した」と記述している[139]。
- ^ 川北によれば、都庁のミニチュアはホリゾントより高かったという[147]。
- ^ そのため新宿のビル群での決戦シーンでは実景シーンでは映っている新宿住友ビルと新宿センタービル、新宿野村ビル、ヒルトン東京、KDDIビル、新宿グリーンタワー、東京医科大学病院がミニチュアセットではない。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では、「6月10日から12日」を新宿付近の進撃シーンと記述しており、札幌シーンの撮影は「6月18日から19日」と記述している[141]。書籍『超最新ゴジラ大図鑑』では、福岡シーンの撮影の後「6月17日から」と記述している[81]。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では、「6月14日から15日」と記述している[141]。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では「7月2日から17日」[141]、書籍『超最新ゴジラ大図鑑』では「6月の第4週から」[151]と記述している。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では「6月28日から7月1日」と記述している[141]。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では、「6月25日から27日」と記述している[141]。
出典
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外部リンク
- ゴジラvsキングギドラ - 東宝WEB SITE
- ゴジラvsキングギドラ - 日本映画データベース
- ゴジラvsキングギドラ - allcinema
- ゴジラvsキングギドラ - KINENOTE
- ゴジラvsキングギドラ - 文化庁日本映画情報システム
- ゴジラvsキングギドラ - MOVIE WALKER PRESS
- ゴジラvsキングギドラ - 映画.com
- Godzilla vs. King Ghidora - オールムービー(英語)
- Godzilla vs. King Ghidora - IMDb(英語)