223系電車(223けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流近郊形電車である[2]。
JR西日本223系電車 (共通事項) | |
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基本情報 | |
運用者 | 西日本旅客鉄道 |
製造所 | 川崎重工業車両カンパニー 近畿車輛[* 1] 日立製作所笠戸事業所[* 2] |
製造年 | 1994年[1] - 2008年 |
製造数 | 927両 |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 | 直流 1,500 V |
最高速度 | 130km/h(一部120km/h) |
車体 | ステンレス |
台車 | ボルスタレス台車 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
駆動方式 | WNドライブ |
歯車比 | 15:98 (1:6.53) |
制御方式 | VVVFインバータ制御 1C1M |
制動装置 | 電力回生併用電気指令式空気ブレーキ 抑速ブレーキ |
保安装置 | EB・TE装置、列車防護無線装置 |
備考 | 脚注 |
本項では、本系列と国鉄213系電車とで構成される同社の在来線技術試験車「U@tech」と、本系列と類似の車体を持つ鉄道総合技術研究所(鉄道総研)の「R291形電車」についても記述する。
概要
アーバンネットワークの各線におけるサービス向上及び従来車両の取り替えを目的として、1994年[1](平成6年)から導入を開始し、225系の登場まで10年以上の長期間に渡り製造が続けられた。
阪和線・関西空港線用の0番台・2500番台、東海道本線・山陽本線用の1000番台・2000番台、東海道本線・山陽本線・福知山線用の6000番台、北近畿地区用の5500番台、岡山地区用の5000番台の7つの番台が在籍する[注 1]ほか、試作車として製造されたのち事業用車に改造された9000番台も在籍した。
本系列をベースとしつつ各線区ごとの事情を加味して仕様変更を実施した単行電車の125系、交直流の近郊形電車521系 、四国旅客鉄道(JR四国)所有の5000系が導入されている。
車両概説
本項では登場当時の仕様を基本として記述し、番台別の差異については次項で述べる。
車体
1991年登場の207系通勤型電車で採用された軽量ステンレス鋼製を引き続き採用し、前頭部のみ一般構造用圧延鋼材 (SS400) の溶接組立構造としている[3]。
前面形状は新設計の半流線形で、221系同様に非常時貫通構造とした。ただし、常時貫通構造の5000番台・5500番台は垂直な形状となっている。前照灯は、0番台のみ円形で、1000番台以降は角型前照灯とフォグランプを2灯ずつ備える。尾灯は、1000番台以前は前面下部のステップに設置、2000番台以降は前照灯と一体化されている。運行番号表示器は、2000番台1次車と2500番台1次車のみLED式が採用されたが、その他の車両はマグサイン式である[注 2]。
カラーデザインは、0番台・2500番台が関西国際空港のイメージカラーである青と白のグラデーション[注 3]、それ以外は221系と共通イメージの白・茶((関西急電)シンボルカラー)・青(JR西日本コーポレートカラー)・ベージュ(新快速シンボルカラー)の4色帯で、茶色の帯は戸袋部分や窓周りにも貼付される。225系も同様のデザインである[注 4]。
223系(左)と221系の連結部。前面形状が異なる。
2000番台同士の連結部。
5000番台(右)と兄弟車であるJR四国5000系電車(左)との連結部。貫通幌を使用している。
2500番台と0番台
2000番台と1000番台
側窓は0番台は221系に準じた窓配置で、戸袋窓が設けられており、開閉可能な窓は下降式となっている。1000番台では車端部を除き戸袋窓が廃止された。2000・2500番台以降は戸袋窓がなくなり、内折れ式の開閉窓に変更された。5000番台および2000番台5次車、2500番台3次車以降は再び下降式の開閉窓となった。
0番台の側窓(戸袋に窓がある下降式)
2000番台の側窓(内折れ式)
2500番台3次車の側窓(下降式)
種別行先表示器は、221系以降JR西日本の標準となった幕式種別表示器とLED式行先表示器の組み合わせが引き続き採用された。先頭車前面には当初221系にはなかった行先表示器が設けられたほか、車体側面の種別幕の寸法が拡大された。側面行先表示器のLEDは寿命保持のため走行中は消灯する。
種別・行き先表示器
種別・行き先表示器(2500番台)
車内
221系に準じた(転換クロスシート)を主とした配置としながら、投入線区に合わせた仕様変更が行われている。
阪和線・関西空港線向けの0番台・2500番台は、関西国際空港利用客の大型荷物への対応や、ラッシュ時の収容力確保のために車端部の4人掛けボックスシートを除き2人+1人掛け配置となっており、座席モケットはブルー系としている。0番台の座席は当初ノルウェーからの輸入品(エクネス社製)で、1人掛け席の肘掛け下には荷物を固定するためのワイヤーが備えられていたが、2006年までに転換式の座席がすべて2500番台と同様の日本製(住江工業製)に交換されワイヤーおよび窓側の肘掛けが廃止された。扉間の座席は0番台が221系と同じく6列、2500番台は1列少ない5列となっている。2011年6月より225系5000番台に準じた座席モケットに変更された車両が登場しており[4]、0番台は既に交換が完了している。
東海道・山陽本線・瀬戸大橋線向けの1000番台・2000番台・5000番台・6000番台は、2人+2人掛け配置で座席モケットはブラウン系である。扉間の座席を221系より1列減らした5列として乗降扉付近のスペースを拡大し、同スペースの固定座席背面には収納式の(補助席)を設け、車掌の操作により補助席の一斉ロックを可能とすることでラッシュ時の混雑緩和を図るとともに、補助席使用時の1両あたりの座席定員を221系より8席増やしている。なお、1000番台では補助席ロック時に点灯する案内表示ランプが設けられているほか、補助席の座面を引き出すと背もたれ部分が連動してせり出す構造となっているが、2000番台以降はこれらが省略され、補助席の案内表示はプレート化された。
ワンマン仕様の5500番台は1000・2000・5000・6000番台の仕様を踏襲しつつ車端部が4人掛けのロングシートとされたほか、整理券発行機が設けられたスペースには補助席の設置がない。
0番台(日本製座席に交換後・旧モケット)
2000番台1次車
5500番台ロングシート部分
トイレは0番台・1000番台は和式で、トイレの向かい側には4人掛けボックス席が設けられた。2000・2500番台以降は車椅子での利用に対応した大型の洋式トイレとし、向かい側は手すりとヒーターを備えた車椅子スペースとしている。
0番台(トイレ未改造・車いすスペース未設置)
0番台(トイレ未改造・車いすスペース設置)
1000番台
2000番台
2500番台
車内乗降扉上部にはLED式の車内案内表示装置が設置されている。英語での案内にも対応しており、0番台は1両あたり6箇所(全てのドア上)に設置、1000番台以降は浜側2箇所・山側1箇所の千鳥配置となっている。
207系に引き続きドアチャイムが設置されている。当初は207系前期車と同様、閉扉時のみ鳴っていたが、後に開扉時にも鳴るよう改良された。なお、半自動時には鳴らない。
(0番台・1000番台・2000番台(4次車以前)・2500番台(2次車以前)・5000番台・6000番台(V編成)のドア開閉時に鳴動するドアチャイム) (223系2000番台(5次車以降)・2500番台(3次車)・6000番台(MA編成)のドア開閉時に鳴動するドアチャイム)
乗務員室
運転台のマスコンは、221系から引き続きブレーキとマスコンが別々の(横軸ツインレバー型)を採用している。車掌スイッチは間接制御式(リレー式)を採用、個別開閉にも対応している。207系と同様に補助警笛として(ミュージックホーン)が設置されており、運転席足下のペダルを軽く踏むとミュージックホーンのみが、強く踏むと通常の空気笛とあわせて鳴る仕組みとなっている。
機器類
221系では動力車の性能調整を(MM'ユニット方式)と単独電動車(1M)方式の2種類の電動車を用意することで行っていたが、本系列では走行に必要な機器類を1両の電動車に集中させ、それを3両に1両程度の割合で連結することで編成組成の自由度を向上させている。製造期間が長期にわたっているため、各部の構造はグループごと、さらにグループ内でも製造ロットごとに差違が生じている。例えば主回路装置(VVVFインバータ)の制御素子は0番台がゲートターンオフサイリスタ(GTO)、1000番台以降では絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)と異なったものを搭載しており、IGBT素子を搭載する番台では車両単位で三菱電機・東芝・日立製作所製が混在している。
電動車両にはVVVFインバータ・補助電源装置・集電装置など、運転に必要な機器を空気圧縮機を除いて集中搭載した[5]。これによって粘着性能の向上を図っている[5]。
屋根上機器は221系を踏襲した集約分散式冷房装置2基を全車に搭載している。また、電動車については屋根上後位寄り(大阪駅基準で播州赤穂・和歌山寄り)に下枠交差型パンタグラフを搭載、2基の冷房装置を挟んで前位寄りには搭載準備工事としてパンタ台を設置している。網干総合車両所宮原支所所属の6000番台と福知山電車区所属の5500番台では一部編成のみ前位寄りパンタ台にもパンタを搭載し、2基搭載としている。
台車はボルスタレス式を採用し、基礎ブレーキとして電動台車には踏面ブレーキ、付随台車にはディスクブレーキを備える。営業最高速度を130 km/hに向上させた1000番台以降は、高速走行を行う681系で採用実績のある軸梁式に変更およびヨーダンパが追加された[6]。
形式と編成
形式
2011年4月1日現在は以下の形式が存在し、9000番台にはクモヤ223形のみ存在する。
- クモハ223形(Mc・Mc1・Mc3)
- クモヤ223形(Mzc)
- 車体前位に運転台を持つ制御電動車。パンタグラフ・VVVFインバータおよび静止形インバータ(SIV)(0番台)・車両制御装置(1000番台以降)・空気圧縮機(CP)を搭載する。クモハ223形は9000番台を除く各番台に、クモヤ223形は9000番台(9001)のみ存在し、主要機器を全て搭載している。2000番台1次車とそれを番台変更した網干総合車両所の6000番台[注 5]に存在する3000番台・7000番台は主電動機1基を省略した3基設置[注 6]。上り向きに連結されている。なお、0番台と100番台はCPを搭載していない。
- モハ223形(M・M1)
- 中間電動車。クモハ223形から運転台を除いたもので、5000番台・5500番台以外の各番台に存在。2000番台2次車以降の中でCPを搭載していない車両は2100番台(網干総合車両所宮原支所の6000番台車では6100番台(6300番台も含む))[注 7]になっている。また、0番台もCPを搭載していない。
- モハ222形(M'・M'3)
- 中間電動車。モハ223形から補機類(SIV・CP)を除いたもので、2000番台1次車とそれを番台変更した網干総合車両所の6000番台[注 5]にのみ存在する。3000番台・7000番台は主電動機を3基設置。
- クハ222形(T'c・T'c1)
- 車体後位に運転台を持つ制御車。2位寄りにトイレを備え、0番台と100番台はCPを搭載する。
- サハ223形(T・T1)
- 付随車。100番台はCPを搭載している。5000番台・5500番台以外の各番台に存在。
クモハ223形0番台
モハ222形2000番台(1次車)
モハ223形2100番台(3次車)
クハ222形2000番台(5次車)
サハ223形0番台
番台別解説
0番台
0番台 | |
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0番台HE411編成 (2017年7月15日 浅香駅) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業 近畿車輛(先頭車4両を含む12両のみ) |
製造年 | 1994年 |
製造数 | 68両 |
投入先 | 大阪環状線・阪和線・関西空港線・きのくに線 |
主要諸元 | |
編成 | 2両・6両 → 3両・5両 → 4両・4両 |
最高運転速度 | 120 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h 130 km/h (準備工事) |
起動加速度 | 2.1 km/h/s(登場時) 2.5 km/h/s(主電動機交換後) |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.2 km/h/s |
自重 | 27.7 t(サハ223) 31.1 t(クハ222) 38.0 t(モハ223) 39.0 t(クモハ223) |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
台車 | 円錐積層ゴム式 WDT55A(電動車) WTR239A(付随車) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 0番台:180 kW(WMT100B・登場時) 230 kW (WMT102C) |
編成出力 | 1,840 kW 1,800 kW(2500番台混結) |
制御方式 | 3レベルGTO-VVVFインバータ(登場当初) PWMIGBT-VVVFインバータ(体質改善車) |
制御装置 | WPC4 WPC13(体質改善車)[要出典] |
制動装置 | 電気指令式(直通・回生・抑速) 純電気ブレーキ(体質改善車) |
保安装置 | (ATS-SW),(ATS-P) 車両異常挙動検知システム(体質改善車) |
1994年9月4日の関西国際空港開港にあわせ、関空快速に充当するため、1994年2月から3月にかけて2M4Tの6両編成9本(54両)と2両編成7本(14両)の計68両が新造された223系最初のグループ。近畿車輛・川崎重工業で製造され、日根野電車区(当時。現:吹田総合車両所日根野支所)に配置された。編成記号はHEである。
車体はビードと呼ばれる棒状の補強構造のないステンレス製で、221系と同配置の連窓(ドア間6、車端2)やビードのない外観を確保しつつ車体強度・剛性を維持するため、若干厚めの外板が用いられ側窓の上下寸法も221系と比較して縮小されている。関西国際空港連絡橋通過時の横風対策として、車高は221系より6 cm低く抑えられている[5]。
車両制御装置(WPC4)はGTOサイリスタ素子を用いた電圧形PWMインバータであり、インバータ1基で1基の電動機を制御する、いわゆる1C1M構成、つまり個別制御方式としている[7]。保守点検の容易化および操作性向上の観点から1車分4群のインバータ装置を1箱に集約している[7]。補助電源装置はGTO二重チョッパ+IGBT3レベルインバータで構成された静止形インバータWSC30(定格容量130 kVA)を採用する[8]。空気圧縮機は往復単動2段式が採用され、クハ222形0番台にはWMH3093-WTC2000B、クハ222形100番台・サハ222形100番台にはWMH3094-WTC1000Cが搭載される。冷房装置は集約分散式のWAU702Bを各車2台搭載する[8]。台車は207系をベースにした円錐積層ゴム支持式ボルスタレス台車を採用した。
なお、クハ222形100番台の空気圧縮機は前述の3連化の際に207系と同じWMH3093-WTC2000に交換されている[9]。2007年7月から2008年3月にかけて、223系0番台のM車のモーターを出力180 kWのWMT100Bから230 kWのWMT102Cに取替えた[10]。モーター交換と並行して、転落防止幌設置工事が進められている[10]。また、同年冬ごろ出場のクハ222-101より、クハ222形のトイレ前の座席を撤去して車椅子スペースに改造する工事が、2008年初頭出場のクハ222-105より、トイレを2000番台・2500番台と同型の車椅子対応の大型トイレに交換する工事が開始された。
(223系0番台の発車時の磁励音)
- 落成時の編成表[12]
← 大阪・天王寺 関西空港・和歌山 → | |||||||
6両編成 | 形式 | クモハ223 (Mc) | サハ223 (T) | サハ223 (T1) | モハ223 (M) | サハ223 (T) | クハ222 (Tc) |
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搭載機器 | VVVF, SIV, Pan | CP | VVVF, SIV, Pan | CP | |||
2両編成 | 形式 | クモハ223 (M1c) | クハ222 (T1c) | ||||
搭載機器 | VVVF, SIV, Pan | CP |
- VVVF:VVVFインバータ、CP:空気圧縮機、SIV:補助電源装置、Pan:集電装置
1000番台
1000番台 | |
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1000番台V4編成 (2021年01月31日) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業 近畿車輛 日立製作所笠戸事業所(W3編成のみ) |
製造年 | 1995年 - 1997年 |
製造数 | 92両 |
投入先 | 琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線・湖西線 |
主要諸元 | |
編成 | 4両(2M2T) 8両(3M5T) |
最高運転速度 | 130 km/h |
設計最高速度 | 130 km/h |
起動加速度 | 2.5 km/h/s |
減速度(常用) | 4.3 km/h/s |
減速度(非常) | 5.2 km/h/s |
自重 | 28.1 t(サハ223) 32.0 t(クハ222) 38.0 t(モハ223) 40.0 t(クモハ223) |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
台車 | 短腕軸梁式(ヨーダンパ付) WDT56(電動車) WTR240(付随車) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 WMT102A |
主電動機出力 | 220 kW |
編成出力 | 8両基本→220 kW×12 = 2,640 kW 4両付属→220 kW×8 = 1,760 kW |
定格速度 | 73 km/h(車輪径860 mm時)[13][14] |
制御方式 | PWMIGBT-VVVFインバータ |
制御装置 | (静止形インバータ一体型)WPC7 |
制動装置 | 電気指令式(直通・回生・抑速) |
保安装置 | (ATS-SW),(ATS-P) |
東海道本線・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)の新快速を中心とした更なるスピードアップを見据えて、最高130 km/h 運転に対応した仕様で製造されたグループである。編成記号は8両編成がW、4両編成がVである。
車体構造は0番台から変更が加えられており、車端ボックスシート部分を除いて戸袋窓が廃止され、車体板厚を薄くするとともに側面にはビードが付けられている[15]。
走行機器設計を行うにあたり、各機器の機能及び機器構成上集約できるものに関しては極力一体化・集約化・軽量化を図っている[6]。
車両制御装置(WPC7)は0番台のGTOサイリスタ素子に代わりIGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータを使用し、従来のVVVF装置とSIVは機器構成が共通であることから共通化を行い、車両制御装置として一体箱に収納することとした[6]。1基の装置中にインバータを5基(主回路部4基+補助電源部1基)搭載し、主回路部はインバータ1基で1台の主電動機を制御する1C1M制御方式を採用している。補助電源部は三相交流440 V、110 kVAの容量を有している[16]。主回路部と同じくIGBTを用いた2レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御し、補助電源部が故障した際には主回路用インバータをCVCF制御することで補助電源のバックアップとしている[17]。なお、この静止型インバータ一体型車両制御装置を採用したのは日本初の事例。後に、この静止型インバータ一体型車両制御装置はー部改良の上で名鉄などが使用している。空気圧縮機はレシプロ式であるWMH3093-WTC2000D形を採用する。冷房装置は電動車がWAU705、主要機器を搭載しない付随車については681系と同様、低重心化のため機器を屋根上と床下に分散させたセパレート型のWAU304を2基搭載する。
台車は681系で実績のある軸梁式ボルスタレス台車が採用された[18]。動力台車がWDT56、付随台車がWTR240と呼称される。高速走行時の乗り心地改善のため、ヨーダンパおよびアンチローリング装置が取り付けられた[18][19]。制動力確保のためWDT56は両抱き式の踏面ユニットブレーキ、WTR240は1軸2枚のディスクブレーキと片押し踏面ブレーキの併用とした[20]。
なお、国鉄時代に一部の快速に連結されていたグリーン車(1980年廃止)を復活させる構想があり、朝日新聞大阪版で報じられたが、最終的には見送られた[注 8]。
1000番台屋根上
手前のモハ223形と2両目のクハ222形とで冷房装置の形状が異なる。電動車手前側の枠がパンタグラフ増設用の台座。1000番台の車内
1次車
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災後の輸送力増強による在来車のフル運用により、これらの車両が検査回帰を迎えることとなり、当初の予定よりも前倒しして同年8月12日から営業運転を開始した[21]。1次車として8両の基本編成(W1 - W4)と4両の付属編成(V1 - V4)各4本の計48両が川崎重工業・近畿車輛・日立製作所で製造された。
試験期間を減じて前倒しで投入されたため、製造直後はWN継手からの異音や振動の発生、車両から発生する電気ノイズが近傍を走行する201系の保護回路を誤動作させ緊急停止させるなどの不具合が発生していたが、順次解消された。
1000番台1次車
2次車
1997年には2次車として基本編成5本40両(W5 - W9)と付属編成1本4両(V5)の計44両が川崎重工業・近畿車輛で製造された。このグループは東芝製と日立製の車両制御装置は冷却フィンの形状が変更され、全ての台車に軸ダンパが設置された(1次車も電動台車に限り軸ダンパを追設している)。
1000番台2次車
2000番台
2000番台 | |
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2000番台3次車W35編成 (2021年02月16日) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業車両カンパニー 近畿車輛 |
製造年 | 1999年 - 2008年 |
製造数 | 648両 |
投入先 | 琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線・湖西線 |
主要諸元 | |
編成 | 4両(2M2T) 6両(2M4T) 8両(3M5T) |
最高運転速度 | 130 km/h |
設計最高速度 | 130 km/h |
起動加速度 | 2.5 km/h/s |
減速度(常用) | 4.3 km/h/s |
減速度(非常) | 5.2 km/h/s |
編成定員 | 1,102名(8両) |
自重 | 29.0 t(サハ223) 32.4 t(クハ222) 36.7 t(モハ222) 38.5 t(モハ223) 40.7 t(クモハ223) |
編成重量 | 263.1 t(8両) |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
台車 | 短腕軸梁式(ヨーダンパ・アンチローリング装置付) WDT59(電動車) WTR243(付随車) WTR243E(付随車、5次車以降(駐車ブレーキ準備)) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 WMT102B |
主電動機出力 | 220 kW |
編成出力 | 1次車(3000番台含む) 8両基本→220 kW×11 = 2,420 kW 4両付属→220 kW×6 = 1,320 kW 2次車以降(2000番台) 8両編成→220 kW×12 = 2,640 kW 6両・4両編成→220 kW×8 = 1,760 kW |
制御方式 | PWMIGBT-VVVFインバータ (静止形インバータ一体型) |
制御装置 | 1次車:WPC10 2次車以降:WPC13 |
制動装置 | 電気指令式(直通・回生・抑速) 純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車) |
保安装置 | (ATS-SW),(ATS-P) |
東海道・山陽線の113系・117系・221系の置き換えを目的に、1000番台をベースにコストダウンを図った増備車。1999年から2008年の10年間にわたり後述の6000番台と合わせて8両編成×30本240両・6両編成×14本84両・4両編成×81本324両の合計648両が川崎重工業と近畿車輛で製造された、223系の中で最大勢力を誇るグループである。
編成記号は8両・4両は1000番台の続番で、新たに設定される6両編成はJである。また、後に6000番台に改造された宮原所属の4両編成はMAである。
車体構造の見直しが行われ、従来の骨組み工法から外板自体に強度を持たせる工法に変更された。また、将来の先頭車化(中間車化)改造を容易にするため、構体妻壁は別扱いで組み立てられ、本体にボルトで後付けする方式となった。外観上の主な相違点は、尾灯の前照灯一体型ユニット化[22]、車体側面のビード廃止、車端部の戸袋窓廃止と側窓拡大である。車内設備では空調吹き出し口のFRP化や、座席構造の簡素化(背もたれ形状やクッションの見直し・窓側の肘掛け廃止・前述の補助席の仕様変更)などが行われている。
バリアフリー対策として、車端部連結面に転落防止幌が設置され、床面高さを20 mm下げることでホームとの段差を小さくした[23]。トイレは前述の通り車椅子対応の大型タイプとなった。
形式名 | WPC10-G1 | WPC10-G2 | WPC10-G3 | WPC10-G4 |
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主回路 インバータ | 4 | 3 | 4 | 3 |
補助回路 インバータ | 1 | 1 | 0 | 0 |
電動車両には、車両制御装置[注 9]と集電装置のほか、必要に応じて空気圧縮機などの補機類を搭載する。車両制御装置はIGBTを使用した3レベル電圧形PWMインバータで、1基の装置中にインバータを5基(主回路部4基+補助電源部1基)搭載し、主回路部はインバータ1基で1台の主電動機を制御する1C1M制御方式を採用している。補助電源部は三相交流440 V、150 kVAの容量を有しており、1000番台 (WPC7) より容量が増強されている[24]。主回路部と同じくIGBTを用いた3レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御し、補助電源部が故障した際には主回路用インバータをCVCF制御することで補助電源のバックアップとしている[25]。補助電源部故障によるCVCF制御への切り替えについて、1000番台(WPC7)では床下での手動切り替えとなっていたが、2000番台(WPC10・WPC13)では運転台からの遠隔切り替え方式となっている[26]。なお、編成に応じた必要最小限の機器構成に対応できるように1もしくは2基のインバータを省略できるようにしており、上表に示されるように形式名で区別されている。これらに関しては、インバータを追加することでフル装備(主回路インバータ4基+補助回路インバータ1基)とできるようにされている。また、空気圧縮機(CP)は電動車に除湿装置一体型のスクリュー式WMH3098-WRC1600形を搭載するが、容量に余裕がある場合は搭載が省略される場合もある(後述)。
台車はWDT59(電動車)・WTR243(付随車)が採用されている。床面高さの低下により、台車は側枠の形状を変更し枕ばね取り付け位置を引き下げた。またWDT59の基礎ブレーキは踏面ブレーキであるが、車輪踏面のメンテナンスの観点や床下スペース確保の要求、軽量化、騒音低減等の点から両抱き式から片押し式に変更している[26]。さらに、惰行時の騒音低減のために軸継手の改良を図った[26]。冷房装置についてはセパレートクーラーは採用されず、集約分散式WAU705Aに形式変更・統一された。クーラキセに内蔵されている車外放送用スピーカは2基から1基に減らされている[27]。また、コストダウンの一環としてメーカーごとの工法の差がある程度許容されており、製造メーカーによって妻面のビードの有無[注 10]など、細部の形状が異なっている[28]。
次車 | クモハ223形 | モハ223形 | モハ222形 | クハ222形 | サハ223形 |
---|---|---|---|---|---|
1次車 | 3001 - 3041 | 2001 - 2018 | 2001 - 2018 3019 - 3041 | 2001 - 2041 | 2001 - 2095 |
2次車 | 2042 - 2055 | 2019 - 2025 2140 - 2151 | 2042 - 2055 | 2096 - 2128 | |
3次車 | 2056 - 2088 | 2026 - 2039 2152 - 2176 | 2056 - 2088 | 2129 - 2195 | |
4次車 | 2089 - 2094 | 2077 - 2079 2180 - 2183 | 2089 - 2094 | 2196 - 2208 | |
5次車 | 2095 - 2110 | 2084, 2085 2186 - 2199 | 2095 - 2110 | 2209 - 2228 | |
6次車 | 2111 - 2123 | 2200 2301- 2312 | 2111 - 2123 | 2229 - 2241 | |
7次車 | 2124, 2125 | 2313, 2314 | 2124, 2125 | 2242, 2243 |
(日立製VVVFを搭載した2000番台・2500番台の発車時の磁励音)
(日立製VVVFを搭載した2000番台・2500番台の停車時の磁励音)
(東芝製のソフト変更後のVVVFを搭載した2000番台・2500番台の発車時の磁励音)
(東芝製のソフト変更後のVVVFを搭載した2000番台・2500番台の停車時の磁励音)
(2000番台・2500番台の惰行時の走行音)
1次車
新快速の最高速度130 km/hへの引き上げと、それに伴う使用車両の223系統一を目的として1999年3月から2000年3月にかけて8両編成18本144両(編成番号W10 - W27、以下同)と4両編成23本92両(V6 - V28)の計236両が製造された。これにより、(2000年3月のダイヤ改正)以降新快速がすべて223系で運転されるようになった。
従来、223系はMT比1:2を基本にして性能が設定されていたが、東海道・山陽本線の実際の編成は4両(MT比2:2)または8両(MT比3:5)で余裕があるため、本来は1両あたり4基搭載のところ、モーターを1基未搭載とした3個モーター車(0.75M)が設定された。8両編成のうちクモハ223形1両と4両編成のすべての電動車が主電動機を3基搭載とし、3000番台に区分された。将来の2000番台化(主電動機1基を増設し、現番号-1000)を考慮して、2000番台車を一部欠番としている。補機類は容量がアップし、1基あたり4両対応(従来は3両)となった。これに伴い補機類を省略した中間電動車をモハ222形とした[注 11]。
2008年1月より、このグループの4両編成9本(V20 - V28)が、221系との併結用に一部機器の設定変更を受け、車番に+4000を加えられて他の223系グループから運用が独立していた(6000番台を参照)。その後、2021年9月までに221系性能固定改造を解かれて原番復帰した[29]。
川重製試作車の223系2000番台V7編成。
223系1次車元6000番台V21編成
2次車
2003年に8両編成5本40両(W28 - W32)、4両編成7本28両(V29 - V35)、6両編成2本12両(J1・J2)の計80両が川崎重工業にて製造された。冷房装置が小改良されたWAU705Bに変更されたほか、川重製の特徴である車両の妻面のビード本数が削減されている。また緊急列車停止装置(EB装置)や緊急列車防護装置(TE装置)が搭載されている。
1次車は雨天時など走行中に駆動輪の空転が多発したため、対策として0.75M車(3000番台)が廃止された。車両制御装置の形式はWPC13に変更され、三菱・東芝製インバータ搭載車には新たにインバータ制御プログラムの変更により純電気ブレーキ機能が追加された。補機類の配置も見直されて冗長性確保のためモハ222形にSIVが搭載されるようになり、モハ223形の一種(2100番台、2140 - 2176・2180 - 2183・2186 - )という扱いに改められた。これらも1次車の3000番台と同様、将来空気圧縮機の追加による2000番台化が行われても番号が重複しないよう飛び番で番号が付され、下2桁が同じ番号の2000番台車両(2040 - 2076・2080 - 2083・2086 - )が欠番となっている。なお、この車両は運転台の液晶モニターには「M1」と表示される。
座席は、転換シートと化粧板の間にあった詰め物や座席背ずりの中央にあった窪みが省略されている。また、窓ガラスは緑色のUVカットガラスに変更された[注 12]。貫通扉の渡り板手前にスロープが設置されて段差がなくなったが、クハ222形はスロープがトイレと干渉したため設置されず、危険防止のため渡り板の段差部分に目立つよう蛍光テープが貼り付けられている。
また、2021年3月に先述の221系性能固定改造がV29編成に施され6000番台に編入し[30]、2021年3月のダイヤ改正において運用を開始した。その後、2021年9月に221系性能固定改造を解かれて原番復帰した[31]。
2000番台2次車
2000番台2次車の室内
3次車
2004年3月から2005年9月にかけて投入されたグループ。2004年に8両編成6本48両(W33 - W38)、4両編成17本68両(V36 - V52)、6両編成8本48両(J3 - J10)の計164両が、2005年4月25日のJR福知山線脱線事故発生後に福知山線ATS-P整備に伴うATS-P未設置の117系置き換えに転用された221系の補充用として追加で4両編成2本8両(V53・V54)が製造された。スカートが当初より大型タイプとなり、パンタ台の形状も変化している。また、追加製造分となるV53編成以降は速度計が変更されている。
2000番台3次車
4次車
2006年10月21日の新快速敦賀延長に際して2006年10月から2007年2月までに増備されたグループである。8両編成1本8両(W39)、6両編成2本12両(J11・J12)、4両編成3本12両(V55 - V57)の計32両が製造された。8両編成(W編成)の製造はこのグループが最後となった。
2003年2月18日に韓国で発生した大邱地下鉄放火事件の調査結果を受けて、国土交通省が2004年末に鉄道に関する技術上の基準を定める省令を改正したことを受け、蛍光灯カバーが321系と同様の特殊樹脂でコーティングしたガラス繊維製に変更された[注 13]。また、併せて貫通扉のストッパーの廃止、消火器や非常ボタンの表記デザインが見直された。また、車内の標記類が一部プレートからステッカーに変更されている。
2021年2月にV56・V57編成が吹田総合車両所京都支所に転属の上、6000番台に編入され[32]同所R01・R02編成となっている。
2000番台4次車外観
4次車の車内
5次車
2007年3月以降に製造を開始した。このグループは4両編成14本56両(V58 - V64・MA01 - MA07)と6両編成2本12両(J13・J14)の計68両で、8両編成(W編成)は製造されていない。6両編成の製造はこのグループが最後である。網干総合車両所宮原支所の6000番台は6000番台を参照。
4次車までとは車体など細部の構造が異なっており、開閉窓や窓周りの配色が1000番台と同じものへ戻され、前面貫通扉の窓が縦方向に短いものとされた。また、床材や付随台車の見直しも行われ、付随台車については駐車ブレーキ準備工事に伴い形式をWTR243Eに変更し、踏面ブレーキは片押しユニットブレーキとした[33]。
2022年3月のダイヤ改正後、網干総合車両所の運用数減少のため4両編成1本と6両編成2本(V64・J13・J14)の計16両が吹田総合車両所京都支所に転属の上、6000番台に編入された[34](V64 → R03・J13 - J14 → P01 - P02)。
下降窓を採用した5次車
6次車
2007年10月から2008年6月までに製造された4両13編成のグループ。全車が宮原総合運転所に配属され、配属後に6000番台となった。
まだ2000番台だった頃の6次車。JR東西線走行のためにパンタグラフを2基上げて試運転中の様子。
7次車
2008年8月に落成した最終製造車。50 km/hで衝突した際の室内残存空間が既存車両より約2割増加するよう車体強度が強化され、321系や683系4000番台と同程度の強度を有する[35]。4両編成2本8両(V65・V66編成)が製造され、網干総合車両所に配置された。
2012年3月のダイヤ改正を前に、6000番台に改番のうえ網干総合車両所宮原支所に転属した(V65 → MA21・V66 → MA22)。
- 屋根と車体側面、台枠と車体側面への結合部材の追加
- 戸袋部柱への補強の追加
- 車体側面の外板の材質変更
- 車両端と台枠の重なり代を65 mm延長し接合部を強化(車両前面の「オフセット衝突」対策)
車体構造が強化された223系2000番台7次車
2500番台
2500番台 | |
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2500番台HE420編成 (2017年7月15日 浅香駅) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業車両カンパニー(1・2次車) 近畿車輛(3次車) |
製造年 | 1999年(1次車)・2007年(2次車)・2008年(3次車) |
製造数 | 72両 |
投入先 | 大阪環状線・阪和線・関西空港線・きのくに線・嵯峨野線 |
主要諸元 | |
編成 | 3両・5両 → 4両 |
最高運転速度 | 120 km/h |
設計最高速度 | 130 km/h (準備工事) |
起動加速度 | 2.5 km/h/s (4M4T) |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.2 km/h/s |
自重 | 31.7 t(クハ222) 40.5 t(クモハ223) |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
台車 | 短腕軸梁式(ヨーダンパ付) WDT59(電動車) WTR243A(付随車) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 WMT102B |
主電動機出力 | 220 kW |
編成出力 | 1,760 kW 1,800 kW(0番台混結) |
制御方式 | PWMIGBT-VVVFインバータ(静止形インバータ一体型) |
制御装置 | 1次車:WPC10 2次車以降:WPC13 |
制動装置 | 電気指令式(直通・回生・抑速) 純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車) |
保安装置 | (ATS-SW),(ATS-P) |
備考 | 2500番台で統一された編成は2023年2月10日をもって京都へ全編成転属 |
1999年より0番台の運用線区へ2000番台をベースとした車両を投入し、番台区分は2500番台となった。
1次車
1999年の紀州路快速運転開始により、0番台の6両編成9本と2両編成7本を5両編成と3両編成各9本に組み替えるため、川崎重工業で2両編成2本の計4両が製造され、0番台の中間車を組み込んで5両編成を組成した。
0番台を踏襲したホワイトとブルーのドットグラデーションに加え、窓周りにパールブルーを配したカラーリングとしている。電動車両に搭載される車両制御装置[注 9]は、VVVF制御装置の異なる0番台との混結を考慮して、車両制御装置内の補助電源部バックアップ機能は準備工事としている。営業最高速度が120 km/hであることから、付随台車をディスクブレーキが1軸1枚のWTR243Aに変更し、アンチローリング装置を省略した。2000番台1次車と仕様上の共通点が多く、トイレは日根野電車区の223系では初の車椅子対応大型トイレを採用した。
2次車
日根野電車区223系の予備車確保のため、2006年度に製造されたグループで、2500番台初の中間車が製造された。5両編成と3両編成各1本の計8両が川崎重工業で製造され、2007年2月5日より営業運転を開始した。
基本的な形態は1次車に準じるが、2000番台での各種改良が取り入れられ、窓ガラス色や蛍光灯カバー形状などに変更が加えられている[注 14]。なお、1次車で準備工事とされた補助電源部バックアップ機能を本搭載している。
3次車
2008年3月15日ダイヤ改正に合わせ、日根野電車区所属車の増車と4両編成への統一のため、近畿車輛で60両製造されたグループで、改正前日の14日より営業運転を開始した。2000番台(5次車)に準じた仕様で、既存編成との混結を目的として製造されたため、クモハ223形-モハ223形-クハ222形の3両編成[注 15]やモハ223形単独[注 16]で落成した車両が多い。モハ223形2500番台は3次車だけで25両が製造された一方で、サハ223形2500番台は2次車合わせて8両が存在するのみである。
2500番台京都車
2500番台3次車(モハ単独製造分)
手前は2500番台1次車、奥は0番台で、帯や窓に差異がある。0番台(左)と2500番台(右)の比較
各部の色調やスカートの書式が異なる。0番台(右)と2500番台(左)の連結面側の比較
2500番台2次車の室内
蛍光灯カバーに丸みが付けられている。2500番台3次車の車内
(座席モケット変更後)
5000番台
5000番台 | |
---|---|
5000番台P2編成 (2022年1月2日) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業車両カンパニー |
製造年 | 2003年 |
製造数 | 7編成14両 |
投入先 | 瀬戸大橋線 |
主要諸元 | |
編成 | 2両(1M1T) |
最高運転速度 | 130 km/h |
設計最高速度 | 130 km/h |
起動加速度 | 2.5 km/h/s |
減速度(常用) | 4.3 km/h/s |
減速度(非常) | 5.2 km/h/s |
全長 | 20,100 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
台車 | 短腕軸梁式(ヨーダンパ・アンチローリング装置付) WDT59(電動車) WTR243(付随車) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 WMT102B |
主電動機出力 | 220 kW |
編成出力 | 220 kW×4 = 880 kW |
制御方式 | PWMIGBT-VVVFインバータ(静止形インバータ一体型) |
制御装置 | WPC13(三菱電機製) |
制動装置 | 電気指令式(直通・回生・抑速) 純電気ブレーキ |
保安装置 | (ATS-SW) |
備考 | ATS-P準備工事済み |
瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」の輸送改善と在来車の213系を置き換えるために投入されたグループで、2003年7月に2両編成7本14両(P1 - P7編成)が川崎重工業で製造され、岡山電車区(現・下関総合車両所岡山電車支区)に配属された。
車両使用料および線路使用料の相殺のため、JR四国が「マリンライナー」用に投入した5000系と連結して運用することから、本番台と5000系の岡山側2両を構成する普通車(自由席)車両とは共同開発・共通設計で、外見的な違いは車体に貼付されたJRマークの色と、排障器の形状の違い程度である[注 17]。
2000番台2次車をベースに様々な設計変更がなされ、先頭部は連結運転時に編成間を通り抜けできるよう貫通幌が設置されたことに伴い、前面ガラスが直立した形態となった。側窓は瀬戸大橋からの眺望に配慮して1000番台とほぼ同一の下降窓構造となった[注 18]。また、(ATS-P)が整備されていない路線で運用されるため、本番台は唯一準備工事のみの施工となっている[注 19]。
車内は、ドア上の広告スペースが従来より拡大され、乗務員室付近の意匠が125系に準じたものになった。助士側は開放スペースになっているが、いたずら防止のためにドアスイッチ類にカバーが設けられている。
「マリンライナー」専用車両として開発されたため、鳥越トンネル[注 20]の通過は考慮されず、パンタグラフ折り畳み高さは一般的な電車と同じになっている。
5000番台の車内
5500番台
5500番台 | |
---|---|
5500番台F16編成 (2018年08月24日) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業車両カンパニー 近畿車輛 |
製造年 | 2008年 |
製造数 | 16編成32両 |
投入先 | 山陰本線・福知山線・嵯峨野線 |
主要諸元 | |
編成 | 2両(1M1T) |
最高運転速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 2.1 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.2 km/h/s |
車両定員 | 133(129)名(クモハ223) 126(123)名(クハ222) (カッコ内は補助席未使用時) |
自重 | 42.0 t(1基パンタ車、クモハ223) 42.3 t(2基パンタ車、クモハ223) 34.4 t(クハ222) |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
台車 | 短腕軸梁式(ヨーダンパ付) WDT59(電動車) WTR243E(付随車・駐車ブレーキ準備) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 WMT102C |
主電動機出力 | 230 kW |
編成出力 | 230 kW×4 = 920 kW |
制御方式 | PWMIGBT-VVVFインバータ(静止形インバータ一体型) |
制御装置 | WPC13 |
制動装置 | 電気指令式(直通・回生・抑速) 純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車) |
保安装置 | (ATS-SW),(ATS-P) |
備考 | ワンマン対応 |
福知山地区で使用されていた113系3800番台・5800番台の置き換え用として2008年に製造された。
前述の5000番台をベースに、2000番台4次車以降で行われた耐燃焼性・耐溶融滴下性の向上や防音性の確保のための設計変更を盛り込んでいる。JR西日本の在来線電車としては、下枠交差型パンタグラフを装備して新造された最後の形式である。
車体は衝突安全性の観点から車体構造の見直しが行われている[36]。構体の台枠-側-屋根垂木の接合部を強化し、側構体の強化や戸袋部の補強など、従来車より車体の強度向上が図られている[37][36]。
乗務員室は5000番台同様な前面貫通扉を持った常時貫通構造とし、客室内展望を考慮して125系3次車と同様の背面仕切りにするとともにワンマン運転対応設備を設置している[33]。また、併結時の客室スペースとしての利用を考慮して助士席を解放できるようにしている[33]。
客室設備は扉間は転換クロスシート、車端部はロングシートを基本とし、T'c車1位寄りに車椅子スペース、2位寄りに車椅子対応大型便所を備える[36]。便所の汚物処理形式は従来のカセット式(0番台・1000番台・2500番台は循環式)ではなく、521系で採用された防臭性に優れた真空式に変更された[33]。客室照明カバーは2000番台4次車に準じて変更されている[36]。運転席後ろの運賃表示器は、当初はLED・7セグ併用であったが、現在はLCDに交換されている。
主電動機はWMT102B(1時間定格出力220 kW)に代わり、長寿命化の観点から絶縁種別をH種からClass200に向上させた WMT102C(1時間定格出力230 kW)を搭載する[33]。
集電装置はクモハ223形後位寄りに1基搭載が基本であるが、5両(5501 - 5504・5509)には霜取り用パンタグラフが前位寄りに追加され、2基搭載となっている。
台車については2000番台5次車と同じく電動台車がWDT59・付随台車が駐車ブレーキ準備工事済みのWTR243Eである[33]。
最高速度は120 km/hで、嵯峨野線内で221系と併結して運用されることもあるため[注 21]、6000番台と同様に運転室扉と前面貫通扉にオレンジのラインが入っている。
クハ222形5500番台
223系5500番台と221系連結部
223系5500番台乗務員室
6000番台
6000番台 | |
---|---|
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業車両カンパニー 近畿車輛 |
種車 | 2000番台 |
導入年 | 2008年 - 2022年 |
投入先 | JR宝塚線・JR東西線・おおさか東線 嵯峨野線・湖西線・草津線 |
主要諸元 | |
編成 | 4両(2M2T) 6両(2M4T) |
最高運転速度 | 120 km/h |
設計最高速度 | 130 km/h |
起動加速度 | 2.1 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 5.2 km/h/s |
自重 | 29.0 t(サハ223) 32.4 t(クハ222) 36.7 t(1基パンタ車、モハ222) 38.5 t(2基パンタ車、モハ223) 40.7 t(1基パンタ車、クモハ223) |
全長 | 20,000 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
台車 | 短腕軸梁式(ヨーダンパ・アンチローリング装置付) WDT59(電動車) WTR243(付随車) WTR243E(付随車、旧6・7次車(駐車ブレーキ準備)) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 WMT102B |
主電動機出力 | 220 kW |
編成出力 | 220 kW×6 = 1,320 kW(旧1次車) 220 kW×8 = 1,760 kW(旧2次車以降) |
制御方式 | PWMIGBT-VVVFインバータ (静止形インバータ一体型) |
制御装置 | 旧1次車:WPC10 旧2次車以降:WPC13 |
制動装置 | 電気指令式(直通・回生・抑速) 純電気ブレーキ(三菱・東芝インバータ車) |
保安装置 | (ATS-SW),(ATS-P) |
221系運用に充当する目的で、車両性能を221系と同一水準になるよう機器の設定が変更された網干総合車両所本所・吹田総合車両所京都支所所属のグループと、走行線区のほとんどが130 km/h対応線区ではないため、221系と同等の車両性能に設定された宮原支所所属のグループがある[38]。
識別のため、先頭車(クモハ223形・クハ222形)の前面貫通扉の下部と側面乗務員扉の下部にはオレンジ色の細いライン2本が、運転台には「221系性能」標記が貼付されている。
網干総合車両所所属
2008年1月21日から運用を開始した。本系列は性能を221系に合わせられるよう設計されており[39]、一部で221系併結の定期運用が行われていた。その後増備に伴い221系の転出が進み、恒常的に両系列の併結が発生するようになったことから、性能選択スイッチの切り替えミス防止のため、221系相当の性能で固定されたグループである。
2008年1月から2月にかけて6編成(V21 - V26編成)、同年10月に2編成(V27・V28編成)、2010年2月に1編成(V20編成)が改番[40]された。その後、2012年3月に2編成(V27・V28編成)が221系性能固定を解かれて原番復帰。7編成(V20 - V26編成)が221系C編成と共通で運用されていた[41]が、2018年12月にV20・V21編成は性能固定を解かれ原番復帰し[30]、ほぼ同時期より6000番台で残存する編成は順次編成記号がV → CVに変更された。
さらに2021年3月13日のダイヤ改正より、吹田総合車両所奈良支所に転属した221系C編成の補充としてV27・V28編成が6000番台に再改造されたほか、新たにV29編成が6000番台に改番された。これまでは全車1次車を対象としていたが、今回初めて2次車も対象となった[30]。なお、この性能固定は、221系に代わる同数の225系100番台の投入によって2021年9月末から10月4日にかけて全編成が解除され、車両番号も元の番号に戻されている。
網干総合車両所宮原支所所属
2008年3月15日のおおさか東線開業にあわせて新造されたグループ。2000番台5次車および6次車として4両20編成(MA01 - MA20)の合計80両が宮原総合運転所(現:網干総合車両所宮原支所)に配置され、営業運転開始前に全車が6000番台に変更された。2000番台5次車までの仕様変更を受けて製造された新製車のため、2000番台1次車を番台変更した網干本所所属の6000番台とは編成形態や各部の仕様が異なっている。JR東西線の剛体架線区間を運転するため、離線対策として全ての電動車(クモハ223形・モハ223形)にパンタグラフを2基搭載して製造された。223系の電動車はもともとパンタグラフが2基搭載可能な構造だったが、実際に2基の搭載が行われたのは本グループが初めてである。なお、現在はJR東西線の剛体架線区間は走行しないが、そのパンタグラフは霜取り用として活用されている。
さらに2012年3月のダイヤ改正で113系及び221系の置き換えを目的として2008年に新造された7次車4両2編成が網干総合車両所本所から改番(V65 → MA21、V66 → MA22)のうえ転入した。これらの編成のパンタグラフの増設は行われていない。
その後、2022年3月のダイヤ改正で運用数が減少したことによる余剰で5次車の4両5編成(MA01 - MA05)が吹田総合車両所京都支所に転属した[34]。
吹田総合車両所京都支所所属
草津線・湖西線に残る113系・117系の置き換えを目的に、2021年3月13日のダイヤ改正より運用開始した。朝ラッシュ時の運用見直しに伴う網干・宮原からの転属車で、編成記号は4両編成がR、6両編成がPである[34]。J13、J14編成の京都支所への転属・改番により6000番台6両編成とモハ223形6000番台が誕生した。
6000番台網干車
6000番台宮原車
221系と連結した時のガイダンス表示
6000番台への改番された後の宮原車の運転台の様子。注意書きシールが拡大されている。
9000番台
9000番台 | |
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クモヤ223-9001 (U@tech) (2006年12月26日 岸辺駅) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業 |
製造年 | 1998年 |
製造数 | 1両 |
廃車 | 2019年3月31日 |
主要諸元 | |
最高速度 | 130 km/h (曲線通過+20) |
起動加速度 | 2.5 km/h/s |
減速度(常用) | 4.3 km/h/s |
減速度(非常) | 5.2 km/h/s |
車両定員 | 非営業車両(事業用) |
自重 | 39.4 t |
全長 | 19,670 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
台車 | 短腕軸梁式(ヨーダンパ付) WDT56XA |
主電動機 | 全閉自冷式永久磁石同期電動機 WMT926 |
主電動機出力 | 270 kW |
制御方式 | 2レベル電圧形PWMIGBT-VVVFインバータ |
制御装置 | WPC902 |
制動装置 | 電気指令式(回生・発電) |
保安装置 | (ATS-SW),(ATS-P) |
出典:鉄道ピクトリアル2005年10月臨時増刊号より |
1998年(平成10年)11月に川崎重工業が、2000番台の量産に先立ち1両のみ製造した2シート工法車体検証用の(試作車)である。クモハ223-9001と車号が付けられていたものの、川崎重工業の所有物であり、無車籍であった。
量産タイプの2000番台と異なり、前面にフォグランプが装備されておらず、2000番台のフォグランプに相当する部分に前照灯、前照灯に相当する部分に尾灯がそれぞれ設置され、尾灯の分だけ灯具部分の切り欠きが狭められて1000番台と同じ切り欠き高となっている。また冷房室外機も集中式1台である。鋼体試作車ゆえ車籍はなく、評価試験後は工場内に留置されていたが、在来線用技術試験車「U@tech」への転用のため、JR西日本が購入のうえ2004年9月に吹田工場(現在の吹田総合車両所)で改造を実施、クモヤ223-9001に改称された。
2019年3月31日付でクモヤ223-9001含む「U@tech」の3両が廃車扱いとなり、9000番台の区分は消滅した[42]。
なお、在来線で番号が9000番台に区分されている試験車両は、JR西日本のみならずJRグループ全体でも本車両が唯一である[注 22]。
在来線技術試験車「U@tech」
U@tech(ユーテック)とは、JR西日本が在来線の次世代鉄道へのシステム改革のために製作した試験車である。U@techの意味は、「あなた=お客様」(you)、アーバンネットワーク(Urban Network) 、ユビキタス(ubiquitous) 、未来(future)を表すUに、技術(technology)を組み合わせており、「U」を目指した技術試験車であることを表している。
試験車を用意するにあたり、快速マリンライナーの新車置き換えで余剰となった213系2両(クロ212-1・サハ213-1)と223系9000番台(クモハ223-9001)が試験車の種車として2004年8月に改造され、それぞれクヤ212-1・サヤ213-1・クモヤ223-9001に改称された。塗装は3両とも統一の青系統のラッピングが施され、この時点で配置区所の吹田工場を示す「京スイ」の文字も入れられた[43]。改造後も無車籍の状態が続いていたが、2007年3月31日付で正式にJR西日本籍に編入された。
U@techはさらなる安定輸送の提供・地上との大容量データ伝送と業務革新・快適な車内空間、環境・省エネルギーの4つのテーマについて開発を進めており、地上と車両を高速大容量通信で結ぶ「沿線無線WAN」[注 23]が搭載されたほか、本線走行用のATSに加え、車上主体列車制御システム(無線式)の実証試験用装置の設置[44][45]、新開発の東芝製全閉自冷式永久磁石同期電動機 (PMSM)(270 kW)[46]・台車・シングルアームパンタグラフなど、様々な試験装備を搭載してデータの収集を行っており、後に運転台もグラスコックピット化された。車両性能は最高速度130 km/hで、曲線通過性能は半径600 m以上の曲線では本則+20 km/hとし、加減速度は223系2000番台と同等である。後に車上主体列車制御システムの試験車両にもなっている。
走行試験は主に吹田総合車両所にある試運転線とJR京都線・JR神戸線・嵯峨野線で行われた。高槻駅の1番線には「U@tech」専用の停止位置目標(折り返し用)があったが新ホームの増設に伴い撤去された。
「U@tech」ロゴ
改造
荷物室新設・撤去工事
JR難波駅直上に設置された大阪シティエアターミナル(OCAT)で国際線搭乗手続きを受けた乗客の荷物搬送用として、荷物室の新設工事が行われた。クモハ223形100番台(2両編成のJR難波方)の乗務員室側の一部座席を撤去して仕切壁を設け、大型荷物棚・火災報知器・荷物室用の蛍光灯などが新設され、荷物室となったエリアは戸袋窓と乗降ドアのガラスを外して車体と同色に塗った鉄板をはめ込み、ドア外側には赤地に白文字で「NO ENTRY」・「ここからは乗車できません」と書かれた戸袋部にまでかかる帯と、進入禁止のマークが書かれていた。
荷物室のドアはその他の乗降ドアの制御とは別回路とされ、個別スイッチにより開閉可能な構造に変更された。このため、停車駅側にも「この乗車位置からは乗車できない」旨の表示があった。荷物室は名目上業務用室とされ、制御電動車(クモ)かつ普通荷物合造車(ハニ)を示す「クモハニ」への形式変更は行われなかった。
1998年にOCATでの搭乗手続きの利用率低下により廃止され、荷物室部分は客室に復元された。
室内灯の消灯対策
最高130 km/hでの高速走行に伴い、パンタグラフが架線から一時的に離線してSIVが停止し、室内灯の消灯がしばしば発生していたことから、地上設備と車両設備に改良が行われ、地上設備に対しては架線電圧の乱れが多発する場所の架線を調整し、架線構成の乱れを制御するバランサなどが設置された。車両設備では1000番台と2000番台1次車の96両に対してコンデンサが増設された。
カーテン取り付け工事
2000番台1次車236両と2500番台1次車4両は、コスト削減とメンテナンスの改善を目的に、窓ガラスを濃い灰色の熱線吸収ガラスとしてカーテンを省略した[注 24][注 25]が、乗客からの要望を受けてカーテンが増設された。
車両前面強化対策
飛来物や人身事故時に窓ガラスの破損や乗務員の怪我が相次いで発生したため、運転士側前面にパイプ型のプロテクターや前面ガラスに貫通防止フィルム装着などが行われた。2000番台2次車以降はガラスの強度を向上させたため、この改造の対象外である。
避難用はしご設置
日根野支所所属車は紀勢本線や関西空港線など南海トラフ地震で津波の被害が予想される海沿いの区間を走行するため、各車両の中央扉付近に避難用はしご及び収納用ケースの設置が行われた。なお、日根野支所所属車両は新製当初から設置している225系5100番台・227系1000番台と、阪和線から撤退した103系・205系[注 26]を除き全車がこの改造を受けている。
先頭車間転落防止幌の取り付け
2010年12月17日に(舞子駅で発生した乗客転落死亡事故)を受けて、2編成併結での運用が多い本系列に、2015年より先頭車間転落防止幌の取り付けが進められている[47][48][49]。ただし、瀬戸大橋線で運用される5000番台およびJR四国5000系は設置対象外である。
転落防止幌の設置前後比較(2500番台)
幌設置部の拡大図(1000番台)
体質改善工事
最初に投入された0番台・1000番台は製造から25年以上経過したことから、2018年度より、順次体質改善工事を施工している。2018年5月16日に0番台HE401編成が本系列初の体質改善工事を施工され、吹田総合車両所から出場した[53]。工事内容は以下の通り。
- 行先・種別表示器をフルカラーLED式に交換
- 運行番号表示器の撤去
- 前照灯は白熱灯から323系に準じたLEDに変更され、新たにフォグランプを追加。また、従来車体下部に設置されていた尾灯は撤去され、前照灯スペースの下部に移設された。
- 運転台前面の窓に予備ワイパーを新設、これに伴いその箇所の窓を縮小
- 排障器に機器保護カバーを追設
- 客室内装材の改修
- 扉横の座席の交換
- VVVF制御装置の換装など、床下電子機器類の更新
- 車両異常挙動検知装置の設置
- トイレを車椅子対応の洋式トイレに変更
- 妻面角部に補強部材の取付
- 運転台計器類をアナログ式に変更
2019年7月には1000番台にも体質改善工事が波及し、V5編成が第一号となった。また、2500番台に対して、同一編成を組む0番台への体質改善工事施工に合わせ種別行先表示器や車内照明のLED化、手すりやつり革の交換など、仕様統一のための改造が行われている[54][注 27]。
体質改善後のHE413編成
フルカラーLED化された種別表示器と行先・号車番号表示器
0番台体質改善車の車内
車内照明は省エネのためLED照明へ換装(反射タイプ)
クモハ223形0番台後位に設けられた車いすスペース
クハ222形0番台前位にあったトイレは車いす対応の洋式便器に改められ、対面に車いすスペースを設定
車内通り抜け通路の踏み板は、危険防止のため225系以降同様、蛍光テープを貼付
運転計器類はアナログメーターに換装、電流計は片振りタイプ
モニタ装置下のスイッチ類は車両異常挙動検知装置に関連するものを追設
2500番台簡易体質改善のHE431
体質改善工事車外観
車内
車椅子スペース
V2編成体質改善後の運転台(タブレット用AUXケーブル非装備)
Aシート車化改造
クハ222-1007 Aシート車
新快速のAシートの車内
2019年3月16日ダイヤ改正より、新快速12両編成の9号車(京都・野洲側先頭車両から数えて4両目)に、有料座席サービス「Aシート」を導入するにあたり[55]、1000番台4両編成のクハ222-1007(V3編成)および1008(V4編成)が改造され、同年2月27日に報道公開された[56]。
外観は車両先頭部分を除き窓回りに黒を、窓下には521系(JR西日本所属車)にも似た青帯を配したデザインとし、車体中央の扉を埋め込んだ2扉車となり[55]、乗降扉部分には黄色いラインが入れられた。車両正面部分は変更がない。
車内はテーブル付きのリクライニングシートを備えた、JR西日本が保有する特急型車両の普通車に相当する仕様とされた。この他、公衆無線LANのサービスや荷物スペースの設置、JR西日本の普通車では初となる各座席コンセントが設置された[55]。
なお、この有料座席サービスは、これまで空席がある場合に乗客がその中から自由に選び着席した上で車内改札時に車掌に乗車整理券として着席料金(500円)を支払うことになっていたが、2022年3月12日のダイヤ改正で全席指定席となり、事前に指定席券(840円)を購入するシステムになった。
その後、2019年3月16日に行われるダイヤ改正と同時に導入されることが発表され、同日より実際に導入された。12両編成の9号車(京都・野洲側先頭車両から数えて4両目)が「Aシート」となり、運用は2019年4月時点で1日4本で、平日は野洲駅 - 姫路駅または網干駅間で1往復ずつ、土曜・休日は野洲駅 - 姫路駅間で2往復の運行となっている[57]。
車両ドアボタンの改善
ドアの開閉方法を分かりやすくするため、北近畿地区を走行する5500番台を対象にドア開閉ボタンの改良が実施された[58]。
車内ディスプレイ設置
JR京都・神戸線・琵琶湖線・湖西線・北陸本線で運用される車両を対象に、案内表示器を従来のLED式から20.7インチの液晶ディスプレイ(WESTビジョン)に交換することが発表された[59]。ディスプレイは全乗降口に設置される。2020年3月中旬から2021年度までに330両に設置された。1000番台はAシート車2本を除く全編成に、2000番台は1次車・2次車の大半の編成に設置。工事を終えた車両は2020年3月中旬から運行を開始している。
Wi-Fi機器の設置
日根野支所所属車は順次Wi-Fi機器の設置が行われている。なお、新製時からWi-Fiを設置している225系5100番台のステッカーとはデザインが異なっている。
防犯カメラの設置
2021年の会見でJR西日本の全車両への防犯カメラ設置が発表され、2022年度以降、駅間の走行距離が長い本系列および225系を優先して防犯カメラを設置する予定である[60]。
編成の組み替え
0番台・2500番台
3両と5両での運転当時の2500番台1次車(中間車は0番台)
3両編成の紀州路快速
1999年5月10日のダイヤ改正で、大阪環状線 - 和歌山駅間で(紀州路快速)の運転を開始(大阪環状線 - 日根野駅間は関空快速と併結)するにあたり、2500番台(1次車)4両を製造のうえ、6両編成9本と2両編成7本から5両編成と3両編成各9本に組み替えられた。2両編成の(ATS-P)は2両で1つのシステムを構成する集中制御方式であったため、この編成に挿入された7両の付随車にATS-Pの引き通し線が整備された。この際電動空気圧縮機の容量が不足するため、JR東西線開業に備えて編成を組み替えた207系1000番台のものと交換している。
さらに2008年3月には、2500番台(3次車)投入にあわせて再度編成組み換えが行われ、4両編成35本となった。
← 大阪・京橋 関西空港・和歌山 → | |||||||||
1994年4月 - | |||||||||
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1999年5月 - (紀州路快速運転開始) | |||||||||
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2008年3月 - (4両編成統一) | |||||||||
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2000番台・5000番台
2007年6月下旬から2010年1月23日まで、N700系新幹線投入による利用増加への期待と、ラッシュ時の混雑緩和策として、5000番台2両編成に網干総合車両所から貸し出されたサハ223形2000番台が組み込まれ、3両編成化された[61]。なお、この期間中に5000番台先頭車の事故修理のため、2000番台の先頭車が一部の編成に組み込まれていた[62]。
← 岡山 高松 → | |||
登場時 - 2007年6月 2010年1月 - 現在
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2007年6月 - 2010年1月
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本系列を用いた試験
- 2000番台1次車のクモハ223-3018+モハ222-3028(V15編成)は、2003年2月にシングルアーム式パンタグラフを搭載して試験走行を行った[63]。また2000番台1次車のクモハ223-3033(V25編成)も翌2004年からシングルアーム式パンタグラフを試験装備していたが、2005年11月に通常の下枠交差式のパンタグラフに戻された。シングルアーム式パンタグラフはのちに521系や225系で本採用された。
- また、2000番台3次車のクハ222-2081(W38編成)には2010年1月末からHIDランプ式の前照灯とフォグランプが試験として装備されていた[64]が、後年になって従来のシールドビームに復元された。なお、HIDランプも225系で本採用された。
- 2011年2月7日から14日にかけて、2000番台の車内にリチウムイオン電池を搭載し、試験走行を行った[65][66]。
- 2000番台1次車、W10編成は先頭部に試作型の転落防止幌を装着して試運転した[67]。
- 6000番台MA21編成は中間車2両を抜いた状態で広島地区に貸し出され、導入前のD-TAS(当時はATS-M形と呼称されていた)の実用試験に使用された[68]。
- 1000番台V5編成は、2019年10月に先頭車両屋根上に電車線非接触測定装置を搭載して試運転を行った。後方には2000番台V64編成を連結した。
クモハ223-3033で試験的に採用されていたシングルアーム式パンタグラフ
HIDライトが搭載されていたクハ222-2081
(2010年3月9日 米原駅)試験的に転落防止幌を装着したクハ222-2001
本採用された先頭車間転落防止幌と形状が異なる(2013年3月3日 網干総合車両所)試験のために広島地区に入線したMA21編成
車両配置と運用線区
2021年10月1日現在の配置区所と運用線区は以下の通り[69]。
吹田総合車両所日根野支所
吹田総合車両所日根野支所には0番台・2500番台が配置されており、4両編成27本(HE401 - HE418・HE421 - HE431編成)108両が配置されている。
大阪環状線 - 関西空港駅・和歌山駅間を結ぶ関空快速・紀州路快速や(直通快速)などの快速列車のほか、阪和線の普通・区間快速、関西空港線のシャトル、大阪環状線の周回列車などに充当されている。紀勢本線(きのくに線)の定期列車では和歌山駅 - 御坊駅間で運用されていたが、2011年3月12日のダイヤ改正で紀伊田辺駅まで運用範囲が広がった。2008年3月14日までは、日中の一部の関空快速が大和路線JR難波駅[注 28]へ乗り入れていた。
0番台は1994年4月1日に阪和線で運用を開始した。和歌山駅への乗り入れや、日中に2両編成2本併結の4両編成による天王寺駅 - 日根野駅・和泉砂川駅間の普通運用が存在した。同年6月15日のダイヤ修正で関西空港駅への乗り入れを開始し、その後関空開港に伴う9月4日のダイヤ改正で本格的に空港アクセス列車の関空快速として運用を開始した。当初、一部列車では京橋駅発着の6両編成とJR難波駅発着の2両編成が天王寺で増解結を行う運用が行われた。この時点で阪和線日根野駅以南へ乗り入れる列車は平日朝の和泉砂川駅発着の区間快速と夜の和泉砂川行きの最終快速を除き運用されず、和歌山駅への乗り入れが一旦なくなった。
臨時列車としては南紀熊野体験博期間中には白浜駅まで、2009年には紀州路快速の延長運転を行い快速「熊野古道号」として紀伊富田駅まで運行されたことがある。
また2014年2月17日 - 21日に実施された大阪環状線の朝ラッシュ時間帯の3ドア車両集中運用の関係でJRゆめ咲線に乗り入れたことがある[70]。
2018年3月17日のダイヤ改正より、阪和線全快速・普通列車が223・225系で統一された。(日根野 - 和歌山間除く)。また新大阪発着快速が廃止されたため、梅田貨物線での運行を終了した[71]。運行終了時、定期列車では深夜の新大阪駅 - 御坊駅間で225系5000番台と共通運用となっていた。
2022年3月12日以降のダイヤ改正での運用減に伴い、2500番台のうち2次車から3次車を中心に構成される8編成が2023年までに吹田総合車両所京都支所に転属し、2023年4月1日より運用を開始した。これにより、2500番台統一編成は全編成の転属が完了した。
吹田総合車両所京都支所
吹田総合車両所京都支所には2500番台・6000番台が配置されており、6000番台6両編成2本12両と6000番台4両編成8本32両[注 29]、2500番台4両編成8本32両の合計100両が配置されている。
4両編成の6000番台は2021年3月のダイヤ改正より運用を開始した。
6両編成の6000番台は、2022年11月より湖西線で営業運転に入っており、2500番台4両編成も3月18日のダイヤ改正より湖西線と嵯峨野線で営業運転を開始した[72]これら2種類の番台は、草津線と琵琶湖線の野洲 - 草津 - 山科 - 京都 - 向日町間(ただし、野洲 - 草津間と京都 - 向日町間は回送列車のみ)でも運用している。
同所所属の221系と原則共通運用であり同形式との併結運用(ただし併結するのは4両編成同士)のほか、山陰本線(嵯峨野線)では6000番台あるいは2500番台の4両編成が5500番台と併結する運用がある。
網干総合車両所
網干総合車両所本所には、1000番台・2000番台・6000番台が所属し、8両編成(W編成)39本312両、6両編成(J編成)12本72両、4両編成(V編成)63本252両の合計636両が配置されている[73]。
1000番台・2000番台は4 - 12両編成で(新快速)・快速・普通に運用されている。また、朝晩には草津線柘植駅に乗り入れる列車にも運用されている。同所に所属する225系0番台・100番台とは基本的に共通運用であり、1000番台・2000番台および225系0番台・100番台との併結列車が多く見られる。J編成は快速(普通)専用であり、221系同様に新快速には運用されない。2006年の直流化工事区間の近江塩津駅・敦賀駅へ乗り入れはホーム有効長の関係から4両編成(V編成)のみが運用されている。2016年3月26日のダイヤ改正以前はV編成とJ編成に限りJR東海管内の大垣駅まで3往復が入線していた。
221系と性能を合わせ、併結を目的として区分された6000番台も存在したが、2021年10月の運用見直しで225系100番台に置き換えられている。
1000番台・2000番台は、臨時列車として大阪方面から嵯峨野線に直通する臨時列車として春と秋の観光シーズンを中心に嵯峨嵐山駅や園部駅まで運転し、日中の113系による運用の一部を本系列が代走していた。また、1000番台はかつて1997年9月11日の京都駅ビルのオープンを記念し奈良駅から奈良線を経由し京都駅まで乗り入れたことがあり、臨時快速「レインボー号」として福知山駅を経由して北近畿タンゴ鉄道宮津線の天橋立駅まで乗り入れたこともある。2000番台は2004年3月13日の山陽本線天神川駅開業を記念して、本系列を使用した祝賀列車が広島地区で運転されたり、2016年9月10日 - 9月11日運転の団体列車「桃太郎ミステリー列車2016」に当形式が使用され新倉敷駅まで入線した事例や、イベントの臨時列車として下関駅や高松駅まで入線した実績もある。なお、2004年10月16日のダイヤ改正で113系に代わって大垣駅への乗り入れを開始したが、その際に名古屋駅まで乗務訓練として乗り入れている。
また2004年9月には、台風16号による高潮の影響で宇野線宇野駅構内に留置していた105系と115系がそれぞれ浸水して故障し、和歌山地区への転用や短編成化と車両の改造工事などにより予備車両がなく、車両不足が発生した。その際、岡山電車区に留置されていたJ1編成が宇野線岡山駅 - 宇野駅間で同月末まで使用された。その後2007年7月1日から2010年1月23日までは、岡山駅 - 高松駅間を運行する快速「マリンライナー」の増結用として、4両編成・6両編成のサハ223形2000番台の一部が後述する5000番台の中間車として運用についていた[61][74]。なお、編成から外されたサハ223形は、同年1月25日付けで網干総合車両所に返却されている[61]。
さらに2007年には、瀬戸大橋線での踏切事故によるクモハ223形5000番台破損の修理のため、網干所属の223系2000番台が応援運用に入ったことがある[62]。このときは、P10[注 30]・P11編成[注 31]を名乗っていた。
また、播但線にも代走として運用されることがある[75][76]。
網干総合車両所宮原支所
網干総合車両所宮原支所には6000番台4両(MA編成)17本の合計68両が配置されている[77]。
- 福知山線:全線
- 東海道本線:大阪駅 - 尼崎駅間
2008年3月15日から尼崎駅 - 奈良駅間(JR東西線・おおさか東線経由)の(直通快速)として運用されていたが、JR東西線内可動式ホーム柵設置に伴い使用車両を207系に変更したため、2011年3月11日をもって運用を終了した。以降は丹波路快速など、福知山線での快速運用が中心で、225系6000番台と共通で運用されている。
MA21編成は2両に減車の上、広島地区での乗務員訓練と山陽本線横川駅 - 五日市駅間に導入したATS-M形の試験に使用されていた[78]。
福知山電車区
福知山電車区には5500番台2両編成(F編成)16本の合計32両が配置されており、北近畿地区で運用されている。
2008年7月22日から福知山線篠山口駅 - 福知山駅間で、同年8月11日から山陰本線・舞鶴線でも運用を開始している。従来この区間で運用されていた113系を置き換えた(ただし配置両数の関係で113・115系の運転も山陰本線・舞鶴線内で残っている)。山陰本線内は主に園部駅 - 城崎温泉駅間で運用されているが、一部は吹田総合車両所京都支所の221系及び223系6000番台および223系2500番台と併結して京都駅 - 園部駅間でも運用されている。
下関総合車両所岡山電車支所
下関総合車両所岡山電車支所には5000番台2両編成(P編成)7本の計14両が配置されている。
一部時間帯を除き、2003年10月1日から同時に投入された共通設計のJR四国の高松運転所に所属する5000系と連結し、快速「マリンライナー」として岡山駅 - 高松駅間で運用されている。製造直後、2003年10月11日から13日まで「(マリンライナー京阪神ホリデー号)」として5000系とともに京都駅まで乗り入れたことがある[79]。
車体装飾
2000番台は2014年頃からラッピング広告編成となって運用されている。以下はその実施例。
- 2014年にはNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送に合わせ、網干総合車両所本所所属の223系2000番台1次車2本(W25・W27)に期間限定で施されていた。
- 2016年には京都鉄道博物館のオープンに合わせ、網干総合車両所本所所属の223系2000番台1次車(W16・W18)に期間限定で施されていた[80][81]。
- 2021年3月5日に、京都府から「森の京都QRトレイン〜Quality and Relaxing Train〜」の運行が発表[82]され、ラッピング車両としてR02編成が起用された[83]。223系では前面から側面の全てをラッピングしたのは初の事例となる[84]。外観デザインは「森の京都」のコンセプトカラーである赤みの茶色と黒・金をベースに、花・木・鳥の模様が描かれたものとなっている。
編成
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2012年4月1日現在の編成は次の通り[85]。
- 吹田総合車両所日根野支所所属車
← 天王寺(阪和線)・大阪環状線外回り先頭 関西空港・紀伊田辺 → | ||||
0番台 | クモハ223 - #0 (Mc) | サハ223 - #100 (T1) | モハ223 - #0 (M) | クハ222 - #0 (T'c) |
---|---|---|---|---|
2500番台 | クモハ223 - #2500 (Mc) | サハ223 - #2500 (T) | モハ223 - #2500 (M) | クハ222 - #2500 (T'c) |
0番台・2500番台 混結 | クモハ223 - #100 (Mc1) | サハ223 - #0 (T) | モハ223 - #2500 (M) | クハ222 - #100 (T'c1) |
クモハ223 - #2500 (Mc) | サハ223 - #0 (T) | モハ223 - #2500 (M) | クハ222 - #2500 (T'c) |
- 網干総合車両所所属車
← 敦賀 上郡・播州赤穂 → ← 柘植 草津(草津線) → | ||||||||
1000番台 | クモハ223 - #1000 (Mc) | サハ223 - #1000 (T) | サハ223 - #1000 (T) | モハ223 - #1000 (M) | サハ223 - #1000 (T) | サハ223 - #1000 (T) | モハ223 - #1000 (M) | クハ222 - #1000 (T'c) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クモハ223 - #1000 (Mc) | サハ223 - #1000 (T) | モハ223 - #1000 (M) | クハ222 - #1000 (T'c) | |||||
2000番台 (1次車) | クモハ223 - #3000 (Mc3) | サハ223 - #2000 (T) | サハ223 - #2000 (T) | モハ222 - #2000 (M') | サハ223 - #2000 (T) | サハ223 - #2000 (T) | モハ223 - #2000 (M) | クハ222 - #2000 (T'c) |
クモハ223 - #3000 (Mc3) | サハ223 - #2000 (T) | モハ222 - #3000 (M'3) | クハ222 - #2000 (T'c) | |||||
2000番台 (2 - 7次車) | クモハ223 - #2000 (Mc) | サハ223 - #2000 (T) | サハ223 - #2000 (T) | モハ223 - #2100 (M1) | サハ223 - #2000 (T) | サハ223 - #2000 (T) | モハ223 - #2000 (M) | クハ222 - #2000 (T'c) |
クモハ223 - #2000 (Mc) | サハ223 - #2000 (T) | サハ223 - #2000 (T) | モハ223 - #2000 (M) | サハ223 - #2000 (T) | クハ222 - #2000 (T'c) | |||
クモハ223 - #2000 (Mc) | サハ223 - #2000 (T) | モハ223 - #2100 (M1) | クハ222 - #2000 (T'c) | |||||
6000番台 | クモハ223 - #7000 (Mc3) | サハ223 - #6000 (T) | モハ222 - #7000 (M'3) | クハ222 - #6000 (T'c) |
- 網干総合車両所宮原支所所属車
← 大阪 福知山 → | ||||
6000番台 | クモハ223 - #6000 (Mc) | サハ223 - #6000 (T) | モハ223 - #6100 (M1) | クハ222 - #6000 (T'c) |
---|
- 福知山電車区所属車
← 京都・篠山口・東舞鶴 城崎温泉・綾部(舞鶴線) → | ||
5500番台 | クモハ223 - #5500 (Mc) | クハ222 - #5500 (T'c) |
---|
- 岡山電車区所属車
← 岡山 高松 → | ||
5000番台 | クモハ223 - #5000 (Mc) | クハ222 - #5000 (T'c) |
---|
- 吹田総合車両所所属車
← 米原 下関 → | |||
U@tech | クモヤ223 -9001 (Mzc) | サヤ213 -1 (Tz) | クヤ212 -1 (T'zc) |
---|
鉄道総研R291形電車
鉄道総研R291形電車 | |
---|---|
R291形試験車クヤR291-1 (2006年10月14日 鉄道総合技術研究所) | |
基本情報 | |
運用者 | 鉄道総合技術研究所 |
製造所 | 近畿車輛 |
製造年 | 2005年 |
製造数 | 2両 |
主要諸元 | |
編成 | 両運転台付単行車 → 2両 |
電気方式 | 直流 1,500 V |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 1.5 km/h/s → 2.5 km/h/s |
車両定員 | 非営業車両 |
自重 | 33.0 t → 30.8 t(クモヤR290) 29.2 (クヤR291) |
全長 | 19,670 mm |
全幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,640 mm |
車体 | ステンレス (前頭部のみ普通鋼) |
台車 | 短腕軸梁式 |
主電動機出力 | 120 kW → 95 kW(クモヤR290) 95 kW → 非搭載 (クヤR291) |
歯車比 | 1:7.07 |
出力 | 95 kW×4 = 380 kW |
編成出力 | 460 kW → 690 kW |
制御方式 | PWMIGBT-VVVFインバータ 1C2M×2群 |
制動装置 | 電力回生併用電気指令式空気ブレーキ |
備考 | 車籍なし |
鉄道総合技術研究所(鉄道総研)向けに、R291形試験車が223系2000番台の車体をベースに近畿車輛にて2両製造され、2005年に納入された。塗装は窓周りが茶・窓下が青紫の帯となっている。のちに、開発中の燃料電池システムと組み合わせて、燃料電池試験車のクヤR291-1に改造された。改造後は単独でも運転可能だが、動力車であるクモヤR290-1との2両編成が基本である。ただし車籍がないので本線走行はできない。
クヤR291-1は、35 MPa高圧水素タンクを床下に搭載するが、燃料電池システムとインバータは客室の一部を占める形で搭載されており、あくまで鉄道車両用燃料電池システム開発のための(試作車)である。セルスタックはアメリカ・NUVERA社製18.75 kWの固体高分子形燃料電池(PEFC)を8基[注 32]、電動機は95 kWを2基搭載する。実用規模での鉄道車両用燃料電池システムの開発は2007年 - 2008年を予定しており、二次電池も今後搭載される予定である。
2019年には機器を小型・高性能化し、起動加速度を高めた新型装置に換装された。床下艤装になったため客室のラジエーターは撤去され、座席が設置された。電力変換装置はクモヤR290-1に集約されたほか、クヤR291-1は電装を解除されたため単独運転ができなくなった[86]。
脚注
注釈
- ^ 2000番台と6000番台の編成に組み込まれた電動車の一部に3000番台・7000番台の番号が付けられた車両があるが、これは設置されている主電動機数の相違から便宜上区分されたもので、グループ上は3000番台は2000番台に、7000番台は6000番台に含まれる。
- ^ これは2018年以降、無線機器の変更などに伴い[要出典]順次撤去が進んでいる。
- ^ 2500番台および後継の225系(5000番台、5100番台)では窓周りと戸袋にグレーのフィルムを貼り付けている。
- ^ 阪和線で運用される5000・5100番台は青と白のグラデーション、網干総合車両所および宮原支所に所属する車両は223系1000・2000番台と同様の塗色。
- ^ a b ただし、全て3000番台を番台変更しているので変更後は7000番台のみ。
- ^ 第3軸のみ主電動機を省略。
- ^ 2201番以降の車両は、CPを搭載して2000番台化(100を引く)した際に2100番台(2140番以降)の車両と重複しないように2300番台(2301~)にされた。その後2193 - 2200・2301- は6000番台化され、6193 - 6200・6301 - に変更されている。なお、原番2200番は2100番台であり、2099 - 2200 - 2201 と続くのではなく、2199 - 2200 - 2301 (この3両は全て2100番台で、2000番台化となると、2099 - 2100 - 2201 ) と続いている。因みに、6301の原番は2000番台の2201であり、原番2201からCPなしと221系性能で、番号が+100と+4000で加えられている。
- ^ その後、2006年ごろに当時JR西日本の社長であった山崎正夫より再び指定席車両を連結する構想が発表されたが、これは普通車の指定席での構想でありグリーン車の設計名目での発表ではない。13年後の2019年には新快速に有料座席車両「Aシート」が設定され、本系列のV3・4編成のクハ222が改造されたが、こちらは当初座席定員制として運用したのち指定席に変更されているものの、2006年の構想時同様に普通車での運用となっている。
- ^ a b 主回路用インバータ(VVVF制御装置)と補助電源用インバータ (SIV) を一体化したもの。
- ^ 川崎重工業製はあるが、近畿車輛製はない。
- ^ モハ222形には空気圧縮機準備工事がなされている。
- ^ それ以前の車両でもガラス交換時に同様のものに変更された車両も存在する
- ^ これにより火災時の発煙が抑制されることになる。なお、321系と本系列ではつり革取り付け位置が異なるため、同系列では蛍光灯カバーと一体化されていたつり革支持棒が別取り付けに変更されている。
- ^ 結果的に同時期に製造された2000番台4次車との類似点が多く223系では少数派の仕様となっている。
- ^ 既存5両編成から脱車したサハ223形1両を組込む前提。
- ^ 既存3両編成に増結する前提。
- ^ 元は同形状だったが、本番台は新造後に前面のスカート部が強化され、5000形はスカート強化改造が行われていないため原形をとどめている。
- ^ 窓周りの茶帯は上下方向に縮小され、1000番台と同じ幅となったが、乗務員室扉後部の帯の角の丸みは省略された。のちに製造された2000番台5次車以降も同一仕様である。
- ^ 同じ下関総合車両所岡山電車支区所属車両でも、山陽本線上郡以東のATS-P(拠点P)設置区間に入線するために、113系全編成、115系のうち2両編成であるG編成を除く全編成、2023年から同区に導入される予定の(227系500番台)にはにATS-Pが設置されている。
- ^ 鳥越トンネルを通過する場合、パンタグラフ折り畳み高さは3900 mm以下に抑える必要がある。
- ^ この場合、221系は常時貫通構造ではないため、中間の先頭車両部分は通り抜けができない。
- ^ 営業用車ではJR九州のキハ47形機関換装改造車の中に、1000番台車の改造車が原車号+8000の加算改番により9000番台となっている例がある。
- ^ JR西日本傘下のジェイアール西日本テクノスとアメリカ・シスコシステムズ社が共同開発を行い、シスコシステムズが開発した無線装置内蔵モバイルルータの車載試験などを実施している。
- ^ なお、関西の地下鉄を除く鉄道事業者で、側窓のカーテンを省略した車両は2017年現在まで本系列のみである。
- ^ ただし、将来の設置を考慮して窓上部のロールカーテン巻き取り機構取り付けスペースと窓柱のカーテンレールは製造時より用意されていたが、カーテンレールに関してはベージュ色の樹脂製目隠し板によって隠されていた。
- ^ 2018年3月17日改正を以って引退。103系は廃車、205系は全車奈良支所へ転属となった。
- ^ 1000番台は車内照明が蛍光灯のままで窓側の肘掛けや補助シートの背もたれが残っている。2500番台については経年が浅いことや0番台との混成編成を優先している関係もあって簡易更新のみに留まり、前照灯・制御装置の換装がなされず排障器の機器保護カバーも未装着である。なお、2021年施行の0番台・HE406編成では、ドア横の座席の更新、客室内装材の改修が行われなかったほか、車内照明が蛍光灯のままで出場している。
- ^ ただし、2010年3月以降も回送列車としてJR難波駅へ乗り入れる運用が残っている。
- ^ うち6両編成と4両編成のうち3本が網干本所から転属した2000番台を改番した物、4両編成のうち5本は宮原支所から転入した当初より6000番台の物でパンタグラフの数など若干仕様が異なる。
- ^ クモハ223-2076(V46編成から)+クハ223-5003(P3編成)
- ^ クモハ223-2083(J9編成から)+サハ223-2130(J3編成 → P1編成)+クハ222-5001(P1編成)
- ^ システム内部で30 kW使用するので外部出力は120 kW。
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- ^ JR西日本223系に「京都鉄道博物館」ラッピングrailf.jp 鉄道ファン 2016年2月2日
- ^ 223系W16編成にも京都鉄道博物館ラッピングrailf.jp 鉄道ファン 2016年4月27日
- ^ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000556.000005484.html
- ^ https://rail.hobidas.com/rmnews/330215/
- ^ 側面フルラッピングは存在した
- ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2012夏』交通新聞社、2012年。(ISBN 978-4-330-28612-9)。
- ^ 新しい燃料電池ハイブリッド試験電車の完成 - 鉄道総合技術研究所ニュースリリース 2019年8月28日
参考文献
- 専門記事
- 永田光昭(JR西日本鉄道本部車両部車両課)「223系近郊形直流電車」『鉄道ファン』1994年5月号、交友社、pp.22 - 26。
- 大槻寧健(JR西日本車両部)「223系1000番台近郊形直流電車の概要」『鉄道ジャーナル』1994年11月号、鉄道ジャーナル社、pp.30 - 33。
- 大森正樹(JR西日本車両部在来線新製改良)「223系2000・2500番台」『鉄道ファン』1999年7月号、交友社、pp.106 - 113。
- 特集
関連項目
外部リンク
- 燃料電池での電車の試験走行 - 鉄道総研プレスリリース
- 燃料電池試験電車クヤR291が試験走行。 - 『鉄道ホビダス』ネコ・パブリッシング 編集長敬白アーカイブ