両唇放出音(りょうしんほうしゅつおん)とは子音の類型の一つ。下唇と上唇で口腔を閉鎖すると同時に声門も閉鎖させた状態で、喉頭を上昇させて声道内に気流を生じさせ、同時に両唇を開放することによって起こる閉鎖音に酷似した破裂の音。国際音声字母で[pʼ]と記述される。
両唇放出音 | |
---|---|
pʼ | |
IPA 番号 | 101+401 |
IPA 表記 | [pʼ] |
IPA 画像 | |
Unicode | U+0070 U+02BC |
文字参照 | pʼ |
JIS X 0213 | 1-3-80 1-2-15 |
X-SAMPA | p_> |
Kirshenbaum | p` |
(音声サンプル) |
特徴
言語例
放出音は一般に調音部位が奥の方である場合が多く、放出音を持つ言語でも両唇放出音は持っていないか、持っていても頻度が低い。たとえばアムハラ語では原則としてゲエズ語からの借用語にのみ見られ、ゲエズ語ではギリシア語からの借用語で無声無気音の p (π) を写すために用いられている[1]。
脚注
参考文献
- Joseph H. Greenberg (1970). “Some Generalizations concerning Glottalic Consonants, Especially Implosives”. International Journal of American Linguistics 36 (2): 123-145. doi:10.1086/465105. JSTOR 1264671.
- Grover Hudson (1997). “Amharic and Argobba”. In Robert Hetzron. The Semitic Languages. Routledge. pp. 457-485. ISBN (9780415412667)