無声唇歯摩擦音(むせいしんしまさつおん)とは子音の類型の一つ。下唇と上歯で隙間を作って息を吹き込むことで起こる摩擦の音。国際音声字母では [f] と記述される。
無声唇歯摩擦音 | |
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f | |
IPA 番号 | 128 |
IPA 表記 | [f] |
IPA 画像 | |
Unicode | U+0066 |
文字参照 | f |
JIS X 0213 | 1-3-70 |
X-SAMPA | f |
Kirshenbaum | f |
(音声サンプル) |
特徴
言語例
この音は多くの言語に見ることができる。本来、ヨーロッパの言語に見られる二重音字 ph は日本語のファ行と同じ音素である無声両唇摩擦音 [ɸ] を表すが、現代においては [f] で発音されることが多い。
比較的新しい子音?
ブラージ(2019)[1]は、新石器時代以降柔らかい食べ物に慣れ咀嚼力が落ちたことから上の前歯と下唇との距離が縮まり、fを発音しやすくなったことにより、fの発音が一般化したと結論付けている。彼によると、6000~8000年前の言語(印欧祖語など祖語の時代)にfを有していた言語は3%程度だったが、現代語では76%にまでその割合が高まっているということである。実際、印欧祖語や上古中国語、ウラル祖語にはfは存在しないが、これらの言語の娘言語の多くには存在する。
脚注
- ^ Blasi, D. (2019), "Human sound systems are shaped by post-Neolithic changes in bite configuration"