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トリウム

トリウム (: thorium [ˈθɔəriəm]、漢字:釷) は原子番号90の元素で、元素記号Th である。アクチノイド元素の一つで、銀白色の金属

外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 トリウム, Th, 90
分類 アクチノイド
, 周期, ブロック n/a, 7, f
原子量 232.0381
電子配置 [Rn] 6d2 7s2
電子殻 2, 8, 18, 32, 18, 10, 2((画像))
物理特性
固体
密度室温付近) 11.7 g/cm3
融点 2115 K, 1842 °C, 3348 °F
沸点 5061 K, 4788 °C, 8650 °F
融解熱 13.81 kJ/mol
蒸発熱 514 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 26.230 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 2633 2907 3248 3683 4259 5055
原子特性
酸化数 4, 3, 2(弱塩基性酸化物
電気陰性度 1.3(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 587 kJ/mol
第2: 1110 kJ/mol
第3: 1930 kJ/mol
原子半径 179 pm
共有結合半径 206 ± 6 pm
その他
結晶構造 面心立方
磁性 常磁性[1]
電気抵抗率 (0 °C) 147 nΩ⋅m
熱伝導率 (300 K) 54.0 W/(m⋅K)
熱膨張率 (25 °C) 11.0 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(20 °C) 2490 m/s
ヤング率 79 GPa
剛性率 31 GPa
体積弾性率 54 GPa
ポアソン比 0.27
モース硬度 3.0
ビッカース硬度 350 MPa
ブリネル硬度 400 MPa
CAS登録番号 7440-29-1
主な同位体
詳細はトリウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
228Th trace 1.9116 y α 5.520 224Ra
229Th syn 7340 y α 5.168 225Ra
230Th trace 75380 y α 4.770 226Ra
231Th trace 25.5 h β 0.39 231Pa
232Th 100 % 1.405 × 1010 y α 4.083 228Ra
234Th trace 24.1 d β 0.27 234Pa

モナザイト砂に多く含まれ、多いもので10 %に達する。モナザイト砂は希土類元素セリウムランタンネオジム)資源であり、その副生産物として得られる。主な産地はオーストラリアインドブラジルマレーシアタイ

天然に存在する同位体は放射性のトリウム232一種類だけで、安定同位体はない。しかし、半減期が140.5億年と非常に長く、地殻中にもかなり豊富(10ppm前後)に存在する。水に溶けにくく海水中には少ない。 トリウム系列親核種であり、放射能を持つ(アルファ崩壊)ことは、1898年マリ・キュリーらによって発見された。

トリウム232が中性子を吸収するとトリウム233となり、これがベータ崩壊して、プロトアクチニウム233となる。これが更にベータ崩壊してウラン233となる。ウラン233は核燃料であるため、その原料となるトリウムも核燃料として扱われる。

名称

1828年スウェーデンイェンス・ベルセリウスによってトール石 (thorite、ThSiO4) から発見され、その名の由来である北欧神話の雷神トールに因んで命名された[2]

性質

銀白色の柔らかい金属で、非常に延性に富む。結晶構造は面心立方格子構造で、1400 °C付近で体心立方格子構造へ転移する。また、融点沸点の差が大きく、液体状態をとる温度幅は2946 °Cと元素中最大[3]

酸化しやすいが、表面に酸化皮膜が形成されるとそれ以上進行しない。空気中で加熱すると白光を発して激しく燃焼し、粉末は常温自然発火する。高温ではほかに、水素窒素第17族元素(ハロゲン)と反応する。純度が高ければ空気中でも安定しているが、酸化物と混合すると酸化が促進され、灰色から最終的には黒色となる。高純度の試料でも0.1 %ほどの酸化物を含んでいる。

水と反応して水酸化物を生じるが、不溶性なので不動態状となって反応は進みにくい。塩酸王水には溶けるが、硝酸には不動態被膜が形成され溶けない。ただし、濃硝酸に触媒として少量のフッ化物イオンを加えると、不動態が破られ溶けるようになる[4]。アルカリ溶液には不溶。

酸化物は、ほとんどの酸に溶けにくい[3]。塩類(塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩)は水溶性だが、塩基性にすると不溶性の沈殿を生じる。

化合物

トリウムの化合物はその酸化数が+4のとき安定となる[5]

  • 二酸化トリウム(ThO2) 酸化物中、融点が最高 (3300 °C)[6]
  • フッ化トリウム(IV) ThF44H2O 水和物をつくる[5]
  • 水酸化トリウム(IV) Th(OH)4 不溶性であり、両性ではない。
  • 硝酸トリウム(IV) Th(NO3)44H2O 水和物をつくる[5]
  • 炭酸トリウム(IV) Th(CO3)2[5]
  • 過酸化物 不溶性固体の中にわずかに存在する。この性質を利用すると、他のイオンとの混合溶液からトリウムを分離することができる[4]
  • リン酸イオンの存在下では、Th4+ はさまざまな組成の化合物を作り、どれも水や酸性溶液に不溶である[4]
  • フッ化カリウムフッ化水素酸と混ぜると、Th4+ThF62− のような錯イオンを作り、不溶性の塩 K2ThF6 として沈殿する[4]

同位体

トリウムの同位体は全て放射性同位体で、存在率100.00 %のトリウム232をはじめ、27種が知られている。 原子量は210 uから236 uまで[7]

ほとんどの同位体の半減期は10分以内と短く、比較的安定な以下の4種を除いて全て30日以内である。

  • トリウム232 半減期140億年 アルファ線を放出してラジウム-228になる
  • トリウム230(イオニウム) ウラン238の崩壊生成物で、半減期は75380年。
  • トリウム229 励起エネルギーが7.6 eVと著しく低い核異性体を持つ[8]。半減期は7340年。
  • トリウム228(ラジオトリウム) 半減期は1.92年。

用途

直熱型真空管
仕事関数を下げ熱電子放出を促進させるため、フィラメント表面に塗布された。主に送信管で使用され、トリウムまたはトリエーテッド・タングステン・フィラメントと呼ばれた。
屈折率レンズ
1948年アメリカで発明されたトリウムレンズは、酸化トリウムを10-30 %程含む超低分散光学ガラスによる。色収差が小さく、1950-1970年頃販売されたが、崩壊生成物放射線の懸念からランタノイドに置き換えられた。経年変化による(ブラウニング現象)でガラスが黄変するという欠点がある。通常の紫外線には反応しないが、短波長紫外線照射で青色蛍光を発するので鑑別できる[9]
X線血管造影剤
第二次世界大戦前後、トロトラスト(二酸化トリウムのコロイド製剤)が用いられたが、大部分が肝臓に沈着し、数十年後に肝腫瘍(肝内胆管癌、血管肉腫など)の原因となった。また、泌尿器科領域などで用いられたウンブラトールも含トリウム造影剤であり局所に長期に沈着遺存した。
るつぼ
二酸化トリウムが高融点酸化物で、高温下でも安定なことから用いられた。
アーク溶接電極
着火性がよいTIG溶接用として、酸化トリウムまたはタングステン合金が用いられる。
ガス灯ガスマントル
硝酸トリウムを含浸させた繊維を灰化した発光体。炎中で硝酸トリウムが酸化されて生じる酸化トリウムは融点が非常に高いため安定で、加熱すると白色に強く発光することから、かつて白熱ガス灯やランタンのマントルとして利用されていた。
合金素材
耐熱マグネシウム合金や、タングステンとの合金が、前述のフィラメント、アーク溶接棒として用いられていた。
触媒
不飽和炭化水素の水素化反応に用いられる。
核燃料
第二次大戦後のアメリカでトリウム燃料サイクル[10]が着目、研究された。現在はインドの(トリウム炉)で利用されている。
天文学
超新星爆発時の元素合成モデルの推定のため、スペクトル観測される[11]

危険性

燃焼性
粉末状態のトリウムは自然発火性で、注意して扱うべき金属である。
放射性
トリウムは半減期の長いアルファ線源であり、外部被曝より内部被曝のリスクが高い。体内に入ると、膵臓肝臓について発癌危険性がある。国際がん研究機関 (IARC) は、トリウム232とその崩壊生成物を「ヒトに対して発癌性がある」(Group 1)に分類している[12]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds 2012年1月12日, at the Wayback Machine., in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  2. ^ 桜井弘『元素111の新知識 : 引いて重宝、読んでおもしろい』講談社〈ブルーバックス B-1192〉、1997年、365頁。ISBN (4062571927)。 NAID 10027573432。(全国書誌番号):(21536899)。 
  3. ^ a b Hammond, C. R. (2004). The Elements, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition. CRC press. ISBN (0849304857) 
  4. ^ a b c d Hyde, Earl K. (1960). The radiochemistry of thorium. Subcommittee on Radiochemistry, National Academy of Sciences—National Research Council. http://www.radiochemistry.org/periodictable/pdf_books/pdf/rc000034.pdf 
  5. ^ a b c d “Toxicological Profile Information Sheet” (PDF). Department of Health and Human Services. 2009年5月21日閲覧。
  6. ^ Emsley, John (2001). Nature's Building Blocks ((Hardcover, First Edition) ed.). Oxford University Press. pp. 441. ISBN (0198503407) 
  7. ^ Uusitalo, J. et al. (1995). “α decay of the new isotopes 210Th and 211Th”. Phys. Rev. C 52: 113. doi:10.1103/PhysRevC.52.113. 
  8. ^ Beck, B. R. et al. (2007). “Energy Splitting of the Ground-State Doublet in the Nucleus 229Th”. Phys. Rev. Lett. 98: 142501. doi:10.1103/PhysRevLett.98.142501. PMID (17501268). https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.98.142501. 
  9. ^ 「写真工業」2004年9月号
  10. ^ トリウム燃料の製造について 日本原子力学会 (PDF)
  11. ^ 銀河系外の星にアクチノイド元素トリウムを初検出すばる望遠鏡
  12. ^ “” (PDF) (英語). 国際がん研究機関. p. 4 (2010年5月27日). 2011年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年6月30日閲覧。 “Thorium-232 and its decay products”

関連項目

外部リンク

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