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アスタチン

アスタチン: astatine [ˈæstətiːn, -tɨn])は、原子番号85の元素元素記号Atハロゲン元素の一つ。約30の同位体が存在するが、安定同位体は存在せず半減期も短いため、詳しく分っていない部分が多い。

ポロニウム アスタチン ラドン
I

At

Ts
85At
外見
黒色固体(推定)
一般特性
名称, 記号, 番号 アスタチン, At, 85
分類 ハロゲン
, 周期, ブロック 17, 6, p
原子量 (210)
電子配置 [Xe] 4f14 5d10 6s2 6p5
電子殻 2, 8, 18, 32, 18, 7((画像))
物理特性
固体
融点 575 K, 302 °C, 576 °F
沸点 610 K, 337 °C, 639 °F
蒸発熱 40 kJ/mol
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 361 392 429 475 531 607
原子特性
酸化数 7, 5, 3, 1, -1
電気陰性度 2.2(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 1st: 890 ± 40 kJ/mol
共有結合半径 150 pm
ファンデルワールス半径 202 pm
その他
磁性 no data
熱伝導率 (300 K) 1.7 W/(m⋅K)
CAS登録番号 7440-68-8
主な同位体
詳細はアスタチンの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
210At syn 8.1 h ε, β+ 3.981 210Po
α 5.631 206Bi
211At syn 7.2 h

名称

半減期が短いため、ギリシア語の不安定という astatos が語源。

歴史

アスタチンはメンデレーエフによって「エカヨウ素」として予言された[1]1932年アラバマ工科大学のフレッド・アリソンがモナザイトから85番元素を発見したと発表し、アラバミン(Alabamine - 元素記号 Ab)と命名したが後に否定された。1940年、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校でセグレ等によりビスマス209にアルファ粒子を当てて、アスタチン211が初めて作られた。

特徴

アスタチンは壊変系列中の短寿命生成物として存在する元素で半減期が短いのが特徴である。したがって、実験している最中にどんどん崩壊して他の元素に変わっていくため、その詳しい化学的、物理的性質は分かっていない部分が多い。融点は302 °C沸点は337 °C(アスタチン210のものと思われる)である。

昇華性があり、に溶け、ヨウ素に似た化学的性質を持つが、ビスマスやポロニウムのように金属と非金属の中間的性質を持つ。アスタチンはヨウ素のように甲状腺に蓄積すると思われている。また色は黒もしくは銀色と推測されている。

また、常温では揮発するが、水溶液は安定しており、四塩化炭素によって水溶液からの抽出も可能である。

自然界にはアスタチン215、アスタチン217、アスタチン218、アスタチン219の存在が知られており、それ以外の同位体は人工放射性同位体である。アスタチンの人工放射性同位体の中で最も普通に作られるのはアスタチン210、アスタチン211である。

用途

アスタチンは強い放射能と短い半減期(アスタチン210でも8.1時間しかない)のため、研究用以外に用途はない。

しかし、アスタチン211は細胞殺傷性の高エネルギーのα線を放出するため、癌の治療という用途に期待されている。現在はアスタチン211の運び屋となる比較的長い半減期を持つ放射性同位体が研究されている。

同位体

アスタチンは約30の同位体の存在が確認されている。しかし前文で記入したとおり安定同位体は存在せず半減期も短い。一番長い半減期を持つのがアスタチン210で、半減期8.1時間、一番短い半減期を持つのはアスタチン213で半減期125ナノである。これらの質量数の範囲はアスタチン191からアスタチン223までの存在が確認されており、さらに23の核異性体が存在する。

アスタチン211

アスタチン211は7.2時間の半減期を持つ同位体である。生成法はいくつかある[2][3]が、例えばセグレ等によりビスマス209(209Bi)に亜鉛70(70Zn)のα粒子を当ててアスタチン211(211At)が作られる。大量生産には液体ビスマスにヘリウムビームを照射する 209Bi(α,2n)211At 反応が必須とされ[4]、アミノ酸と結合させたアスタチン211製剤が甲状腺がんの放射線治療に使われる[5][6]。日本では、2022年内服療法の第1相臨床試験が開始された[7]

自然界での発生

アスタチンは壊変系列中の短寿命生成物として存在するため、鉱物の主成分とはならず、自然界では非常に稀な元素である。そして、アスタチンはすべての元素の中で地殻含有量が最も少ない元素で、ウラン100万個の原子の中にはアスタチンの原子は数個しか存在しない。地殻中に存在するアスタチンの全量は28g(約1オンス)といわれている[注釈 1]

アスタチンはウラン系列の崩壊では ウラン238(α崩壊)→トリウム234(β崩壊)→プロトアクチニウム234(β崩壊)→ウラン234(α崩壊)→トリウム230(α崩壊) →ラジウム226(α崩壊)→ラドン222(α崩壊)→ポロニウム218(α崩壊)→214(β崩壊)、アスタチン218(β崩壊)→続

このようにポロニウムはポロニウム218のα崩壊の分岐点でアスタチン218(半減期1.6秒)が生じる。また、アクチニウム系列の崩壊の際に、フランシウム223からアスタチン219(半減期56秒)が生じ、ポロニウム215(β崩壊)からアスタチン215(半減期0.001秒)が生じる。ネプツニウム系列の崩壊の際に、フランシウム221からアスタチン217(半減期0.323秒)が生じる。また、人工ではビスマス209に亜鉛70のアルファ粒子を当ててアスタチン211が作られる。

アスタチンは酸性溶液から硫化水素によって沈殿し、電解によって分離することができる。

アスタチンの化合物

酸化数は7, 5, 3, 1, -1価をとることがわかっている。うち、他のハロゲン同様-1価が最も安定である。

他のハロゲンと同じように水素との化合物を作ることが知られている。知られている化合物の中では、-1価の化合物が最も多い。

性質はヨウ化水素に似ており、刺激臭を持つ有毒な気体と考えられている。

その他にも AtO、AtO3 などの化合物も確認されている。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 地殻中に含まれるフランシウムは20g - 30gと言われており、アスタチンよりも稀な元素である可能性もある。

出典

  1. ^ (桜井弘)『元素111の新知識』講談社、1998年、347頁。ISBN (4-06-257192-7)。 
  2. ^ 豊嶋厚史 & 篠原厚 2018.
  3. ^ 羽場宏光「理研における核医学治療用ラジオアイソトープの製造」『Drug Delivery System』第35巻第2号、日本DDS学会、2020年、114-120頁、doi:10.2745/dds.35.114、ISSN 0913-5006、NAID 130007864106。 
  4. ^ 石岡典子、渡辺茂樹、近藤浩夫、高井俊秀、古川智弘、{{PDFlinkがん治療用アスタチン211 の連続製造を可能にする液体ビスマス標的の開発}} 日本原子力学会 2019年秋の大会発表資料
  5. ^ 渡部直史, 兼田加珠子, 白神宜史, 大江一弘, 豊嶋厚史, 篠原厚「アスタチンを用いた難治性甲状腺がんに対するアルファ線核医学治療」『アイソトープ・放射線研究発表会』第1巻、日本アイソトープ協会、2021年、67頁、doi:10.50955/happyokai.1.0_67、NAID 130008085301。 
  6. ^ 貝塚祐太, 鈴木博元, 上原知也「がんの標的α線治療を実現する211At標識アミノ酸誘導体の開発に向けた基礎的評価」『アイソトープ・放射線研究発表会』第1巻、日本アイソトープ協会、2021年、120頁、doi:10.50955/happyokai.1.0_120、NAID 130008085209。 
  7. ^ 注目高まるα線内用療法、アスタチンに期待 日経メディカル 2021/12/03

参考文献

  • 豊嶋厚史、篠原厚「アスタチン(At)の核化学」『RADIOISOTOPES』第67巻第10号、日本アイソトープ協会、2018年、461-469頁、doi:10.3769/radioisotopes.67.461、ISSN 0033-8303、NAID 130007498107。 

関連項目

外部リンク

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