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カドミウム

カドミウム: cadmium [ˈkædmiəm])は、原子番号48の金属元素で、元素記号Cd である。亜鉛族元素の1つであり、化学的挙動は亜鉛と似ており、常に亜鉛鉱にカドミウムも含まれているため、亜鉛精錬の際に回収されている。

カドミウム インジウム
Zn

Cd

Hg
48Cd
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 カドミウム, Cd, 48
分類 ポスト遷移金属
, 周期, ブロック 12, 5, d
原子量 112.411
電子配置 [Kr] 5s2 4d10
電子殻 2, 8, 18, 18, 2((画像))
物理特性
固体
密度室温付近) 8.65 g/cm3
融点での液体密度 7.996 g/cm3
融点 594 K, 321 °C
沸点 1038 K, 765 °C
融解熱 6.21 kJ/mol
蒸発熱 99.87 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 26.020 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 530 583 654 745 867 1040
原子特性
酸化数 2, 1(塩基性酸化物
電気陰性度 1.69(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 867.8 kJ/mol
第2: 1631.4 kJ/mol
第3: 3616 kJ/mol
原子半径 151 pm
共有結合半径 144 ± 9 pm
ファンデルワールス半径 158 pm
その他
結晶構造 六方晶系
磁性 反磁性[1]
電気抵抗率 (22 °C) 72.7 nΩ⋅m
熱伝導率 (300 K) 96.6 W/(m⋅K)
熱膨張率 (25 °C) 30.8 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(20 °C) 2310 m/s
ヤング率 50 GPa
剛性率 19 GPa
体積弾性率 42 GPa
ポアソン比 0.30
モース硬度 2.0
ブリネル硬度 203 MPa
CAS登録番号 7440-43-9
主な同位体
詳細はカドミウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
106Cd 1.25% > 9.5 × 1017 y εε2ν - 106Pd
107Cd syn 6.5 h ε 1.417 107Ag
108Cd 0.89% > 6.7 × 1017 y εε2ν - 108Pd
109Cd syn 462.6 d ε 0.214 109Ag
110Cd 12.49% 中性子62個で安定
111Cd 12.8% 中性子63個で安定
112Cd 24.13% 中性子64個で安定
113Cd 12.22% 7.7 × 1015 y β- 0.316 113In
113mCd syn 14.1 y β- 0.580 113In
IT 0.264 113Cd
114Cd 28.73% > 9.3 × 1017 y ββ2ν - 114Sn
115Cd syn 53.46 h β- 1.446 115In
116Cd 7.49% 2.9 × 1019 y ββ2ν - 116Sn

有害物質として知られる[2]。人体にとって有害であり、体内に吸収されると腎臓に機能障害を引き起こすなどするため、取り扱い、及び、鉱山などからの排水の管理には注意を要する。日本ではカドミウムによる環境汚染により、富山県の神通川流域で発生したイタイイタイ病が問題となった[3]。また、カドミウムとその化合物は、WHOの下部機関IARCよりヒトに対して発癌性を有する (Group1) と勧告されている。

ホタテガイ中腸腺(ウロ)には、カドミウムが蓄積する事が知られている。

名称

カドミウムの由来には、諸説が有る。例えば、フェニキアの伝説上の人物であるカドモスが由来という説も有る[4]。また、ギリシャ語菱亜鉛鉱を意味するカドメイア (Kadmeia) に由来するという説も有る。

性質

カドミウムの単体は、安定な六方最密充填構造 (HCP) をとる。銀白色で展性に富む軟金属である。比較的酸化され難く金属光沢を保ち易いものの、湿気の多い空気中では徐々に酸化されて灰色になり金属光沢も失う。

塩酸および希硫酸などとは徐々に反応し、無色の2価の水和カドミウムイオンを生成する。

 

2価の水和カドミウムイオン Cd2+(aq) は極めて弱い酸としての性質 (pKa = 10.2) を示すが、その程度はよりイオン半径の小さな亜鉛イオン Zn2+(aq) より低い。カドミウムイオンはHSAB則では中程度のルイス酸として分類され、ヨウ化物イオンなどハロゲン化物イオンおよび、アンモニアなどと錯体を作り易い。

常圧での融点は、320.9 °Cと金属元素の中では比較的低い方である[4]。常圧での沸点は、765 °Cである[5]。この値も金属元素としては、水銀およびアルカリ金属に次いで低く、したがって蒸気圧が比較的高い金属と言える。なお、カドミウム蒸気も有毒である。

用途

ウッド合金の成分材料、顔料カドミウムイエロー・レッド・オレンジ等)、二次電池ニッカド電池)の電極など様々な工業製品に利用されてきた。融点が低いという性質を利用して、ハンダの原料として用いられた事もある。また、比較的中性子を吸収し易い性質から、原子炉の制御用材料にも使われている。

カドミウムはめっき材料として、自動車関連業界で古くから用いられてきた。めっきが均質で、亜鉛よりはやや小さいイオン化傾向を持ち、犠牲電極として良好な性質を持つからである。また潤滑油とのなじみが良く、焼付きを防ぐ性質がある。やや黄色味がかったカドミウムめっきは、1960年代までのアメリカ車のエンジンルームでよく見られた。

しかし、近年はカドミウムの毒性が懸念され、その利用が忌避される傾向が強い。

化合物

カドミウムは一般に、最外殻の5s軌道の電子のみを失った状態である+2価の酸化数を取っている状態が安定である。 しかし、稀に不安定ながら+1価 (Cd22+) 状態を取る場合もある。なお、10個の電子で満たされている4d軌道の電子を失うような酸化数は取らない[4]

塩化物および硫酸塩などとの塩は、一般的に無色の物が多く水溶性である。しかし、カルコゲンとの化合物は、有色である場合が多く、極めて水に対して難溶性である。

  • 硫化カドミウム (CdS) - 黄色顔料・カドミウムイエロー、そして半導体として使われる。
  • (硫化亜鉛カドミウム) (ZnS•CdS) - カドミウムイエローのうち色合いの淡い物は、この化合物を主成分とする。
  • 酸化カドミウム (CdO)
  • (セレン化カドミウム) (CdSe) - 暗赤色の結晶。赤顔料、半導体などに用いる。
  • (硫セレン化カドミウム) (CdS•CdSe) - 赤色顔料・カドミウムレッドとして使われる。
  • テルル化カドミウム (CdTe) - 黒色結晶。半導体として用いる。非常に安定な物質。

同位体

カドミウムは、質量数が110から112の合計3つの核種が、安定核種である。この他に、質量数106、108、113、114、116も極めて長い寿命を持った核種であり、天然に存在する。

代謝

カドミウムは、ヒトで体重1 kg当たり約0.7 mg含まれると見積もられている。カドミウムは亜鉛と同族元素であるために、生体内での挙動も類似している。多くの生物種において蓄積性が見られ、ヒトでは体内に約30年間残留すると言われている。したがって、一旦カドミウムに暴露されると、長期間その毒性に蝕まれる危険性がある。

カドミウムの毒性については、骨が極めて脆弱化するイタイイタイ病で大きな社会問題となった。さらに、慢性毒性では、肺気腫腎障害蛋白尿が見られる。腎障害では糸球体ではなく、尿細管が障害を受けると言われている。また、カドミウムは発ガン性物質としても知られている。これらの毒性の一部は、カドミウムが亜鉛と類似の生体内挙動を示す事から、亜鉛含有酵素の作用を乱した結果と考えられる。

これらの毒性に対する生体側の防御として、金属結合性タンパク質のメタロチオネインが誘導され、カドミウムを分子内に取り込み毒性を軽減している。

食物の汚染

カドミウムは亜鉛に伴って産出するため、公害への関心が薄かった時代には亜鉛の精錬過程で環境に放出され、精錬所の下流域の土壌に蓄積された。 また、カドミウムを使用する工場からも排水を通じて環境にカドミウムが放出された。1970年通商産業省がメッキ工場、電気機器工場の排水を抜き打ち調査した結果、8割の工場で排水処理がされておらず、半数の工場で工場排水基準法の基準(当時0.1ppm)を超過した状態にあった[6]

土壌中に蓄積されたカドミウムは、土壌のpHが中性からアルカリ性では難溶であるために吸収され難いのに対して、土壌の酸化条件によりイオンとして溶出して農作物に吸収され、蓄積される。日本列島の土壌は、大半が中性から酸性であるためカドミウムが溶出し易い環境であり、このため食物がカドミウムによる汚染を受け易い状況にある。日本人は食事によってカドミウムを、1日当たり26 μgを平均して摂取していると見積もられている[7]

日本ではコメを始めとする食物に、カドミウムの含有基準が設けられており、基準値以上を含む農作物は販売が禁止されている。食品衛生法上は玄米において上限1 ppmと規定されており、これを超過した物は、全て焼却処分すると定められている。また、食糧庁通達により玄米中0.4 ppm以上が検出された場合は、食用にはされずに全て工業用途に回すとしてきたものの、2008年に発覚した汚染米問題で明らかになったように、糊原料には小麦粉が用いられており、コメの工業用の用途は確認されていない。

なお各国の含有基準は、台湾:0.5 ppm、韓国・中国・EU:0.2 ppm、タイ・オーストラリア:0.1 ppmである。2006年7月に開催されたコーデックス委員会総会において、国際基準が精米中に0.4 (mg/kg)とされた。

国立がん研究センターによると、食品に含まれるカドミウムの長期摂取と、がん発症のリスクには明確な関連が見られないことが分かった。研究では、9府県の男女約9万人を対象に、喫煙や飲酒など、他のリスクを除いて、カドミウムの摂取量とがんの発症を調べたところ、相関は認められなかった。その理由として、食品に含まれるカドミウムの量が少ないことと、吸入ではなく摂取であることが考えられている[7][8]

脱カドミウムの動き

ヨーロッパでは、カドミウムの人体への蓄積を防ぐため、カドミウムを含む製品の製造・輸入に関してRoHSとして知られる厳しい制限を課している。

2001年、ソニー・コンピュータエンタテインメントは、オランダ政府より、ゲーム機のPS oneの周辺機器から基準値を超えるカドミウムを検出したとして、対応策を求められた。配線の赤いビニール被覆の顔料として、カドミウムの化合物が用いられていた事が原因であった。ソニー・コンピュータエンタテインメントは欧州全域で100億円以上の費用を投入し、製品の回収と対策品の置き換えを余儀なくされた。この出来事は、世界の電機部品メーカーに強いショックを与え、工業製品の生産現場からカドミウム離れが起こった。

前後して市販の二次電池も、負極に水酸化カドミウム Cd(OH)2 を使用するニッケル・カドミウム蓄電池(いわゆるニッカド電池)から、より大容量でかつカドミウムを使わないニッケル・水素蓄電池リチウムイオン二次電池への転換が進められている。

歴史

1817年ドイツの科学者フリードリヒ・シュトロマイヤーによって、菱亜鉛鉱(炭酸亜鉛)から不純物として発見された[5]。同年には同じくドイツのカール・ザムエル・ヘルマンも酸化亜鉛から発見している。

出典

[脚注の使い方]
  1. ^ (PDF) (2004年3月24日時点のアーカイブ), in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  2. ^ “軽石の有害物質、基準以下 沖縄県、有効利用検討”. 産経ニュース (2021年11月5日). 2021年11月5日閲覧。
  3. ^ 鈴木勉、田中真知『学研雑学百科 毒学教室 毒のしくみから世界の毒事件ま簿まで 毒のすべてをわかりやすく解説』株式会社学研マーティング、2011年、11ページ、(ISBN 978-4-05-404832-4)
  4. ^ a b c 桜井 弘(編集)『元素111の新知識』 p.225、p.226 講談社(ブルーバックスB-1192) 1997年10月20日発行 (ISBN 4-06-257192-7)
  5. ^ a b 桜井 弘(編集)『元素111の新知識』 p.225 講談社(ブルーバックスB-1192) 1997年10月20日発行 (ISBN 4-06-257192-7)
  6. ^ カドミウム野放し状態 違反工場、半数越える 八割が排水処理もせず『朝日新聞』1970年(昭和45年)11月6日 12版 23面
  7. ^ a b 食事からのカドミウム摂取量とがん罹患との関連について 国立がん研究センター
  8. ^ 『読売新聞』2012年4月30日付朝刊2面

関連項目

外部リンク

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