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統合失調症

統合失調症(とうごうしっちょうしょう、英語: Schizophreniaドイツ語: Schizophrenie: SZ)は、自分が他者からコントロールされていると考え、思考知覚感情言語自己感覚、および行動における他者との歪みによって特徴付けられる症状を持つ、精神障害の一つである。青年期以降に後天的に発症し、症状は徐々に進行していく特徴がある[1][2]。この精神障害は「統合失調症スペクトラム障害」の一つであり、症状が進行しやすい[3]。日本では2002年平成14年)まで、精神分裂病(せいしんぶんれつびょう)と呼称されており[4]、2002年から「統合失調症」という呼称に改訂された[2]

統合失調症
統合失調症患者が作成した刺繍
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
精神医学, 臨床心理学
ICD-(10) F20
ICD-9-CM 295
OMIM 181500
DiseasesDB 11890
MedlinePlus 000928
eMedicine med/2072 emerg/520
Patient UK 統合失調症
GeneReviews
(テンプレートを表示)
統合失調症のフローチャート
遺伝的素因や環境や社会的・心理的な要因が重なり神経発達の異常や臨床的・神経生物学的な特徴が発生する。これにより脳の機能不全や化学的なバランスの崩れがおこり、統合失調症を発症する。

概要

一般に幻聴幻覚異常行動が見られる[1][5]。発症のメカニズムや根本的な原因は解明されておらず、また、単一の疾患ではない可能性が指摘されており、症候群である可能性がある[6]。様々な仮説が提唱されているが、未だに決定的な定説が確立されていない[6]

有病者の人数は、世界では2300万人ほどで[7]、日本では71万3千人の患者がいると推計されている[8]。成人の年間有病率は0.1から7.5%、生涯有病率は0.1から1.8%と世界保健機関(WHO)は報告している[9]。患者の死亡率は、一般人口より2.0から2.5倍ほど高く[1][10]、世界の障害調整生命年(DALY)のうち約1%を占める[11]

精神疾患として深刻なもの (Severe mental disorder) とされるが、治療が可能な病気である(具体的な治療法については「#治療」を参照)。しかし患者の2人に1人は、医師の受診につながっていない[1]。この疾患の担当診療科は精神科であり[12]精神科医が治療に当たる。

罹患者の90%は低所得国および中所得国に居住している[13]。世界保健機関は、低所得国および中所得国を対象とした計画である世界精神保健アクションプログラム (mhGAP) [14][15]を策定し、クリニカルパスおよび診療ガイドラインを作成、公開している[1][16]

統合失調症スペクトラム障害

「統合失調症スペクトラム障害」[17]、または「統合失調症スペクトラム」[18]、「統合失調スペクトラム」[19]とは、「統合失調症およびそれに連続する障害病気のまとまり」を指す医学用語[18]。(DSM-5)(『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版)で定義された診断基準である[18]

統合失調症スペクトラム障害の中心は、次の5つの症状である[3]

  1. 妄想[18]
  2. 幻覚[18]
  3. 思考障害[18]
  4. まとまりのない行動[18]
  5. 陰性症状[18]

現れた症状の数や重症度によって、診断名が次のように決まる[3]

大分類
(上位診断名)
小分類
(下位診断名)
症状 期間
統合失調症スペクトラム障害 統合失調症 5症状のうち2つ以上が現れており、かつ、それらのうち最低1つは妄想・幻覚・思考障害のどれか 6か月以上
統合失調感情障害 統合失調症と共に、うつ病躁病が現れる(※事例としては少ない) (特に無し)
統合失調症様障害 5症状のうち2つ以上が現れている 1か月以上6か月未満
短期精神病性障害 陰性症状を除いた4症状のうち1つ以上が現れている 1日以上1か月未満
妄想性障害 妄想だけが現れている 1か月以上
統合失調型パーソナリティ障害(STPD) 対人関係での苦手さ、風変わりな行動など 成人期になるまで徐々に

また精神医学論文では、スキゾイドパーソナリティ障害(SPD、統合失調質パーソナリティ障害)も、統合失調症スペクトラム障害の一種として分類されることがある[17][19]。『(MSDマニュアル)』では「シゾイド〔スキゾイド〕パーソナリティ障害は,統合失調症または統合失調型パーソナリティ障害家族歴がある人々でより多くみられる場合がある」とされている[20]。スキゾイドパーソナリティ障害にはしばしば併存症があり、それは例えば統合失調型パーソナリティ障害やうつ病などである[20]

定義

精神医学的(障害)の一種である。現在の統合失調症の定義は妄想・幻覚といったヒト特有の高次脳機能(心理症候)[注 1]に全て依存している[22]

1899年、エミール・クレペリンは、感情の欠如、奇妙な歩行、筋痙攣(きんけいれん)などを呈し、痴呆[注 2]へと至る患者を「早発性痴呆」と記述した[23]

1908年、オイゲン・ブロイラーが「schizophrenia」と名付けた[23]

1917年、(コンスタンチン・フォン・エコノモ)(英語版)が「嗜眠性脳炎」を記述し、「schizophrenia」から「嗜眠性脳炎」が除外された[23]

1920年代〜30年代、精神医学の教科書の記述が変化した[23]。従来の身体症状が全て削除され、幻覚、妄想などの精神症状が残った[23]

1937年、日本精神神経学会は、同学会における用語を「精神分裂病」とした[4]

1968年、(DSM-II)の前文は「最善は尽くしましたが、(アメリカ精神医学会の)委員会はこの障害について合意を得ることができませんでした。合意できたのは診断名だけです[注 3]」としている[注 4][24][25]

1980年、(DSM-III)は「精神分裂病の概念の範囲は曖昧です[注 5]」としている[注 6][26][27]。また、精神障害の基本概念に関して、「精神分裂病患者 (a schizophrenic) 」という人間を分類する表現は誤解を招くため、「精神分裂病を有する人 (an individual with Schizophrenia) 」というぎこちないがより正確な表現を採用すると説明している[28]。(DSM-III-R)(1987年)、(DSM-IV)(1994年)、(DSM-IV-TR)(2000年)にも同様の説明がある[28][29][30][31]。精神分裂病患者 (schizophrenics) が存在するのではなく、精神分裂病 (schizophrenic disorder) の診断基準を満たす症状を有する人々がいるだけである[30][31][32]

1987年、DSM-III-Rは「精神分裂病に限っては、単一の特徴をいつも示さなかったり、生じないことに注意すべきです[注 7]」としている[注 8][26][27]

1988年、ニューヨーク州立大学(トーマス・サズ)(英語版)博士は「精神分裂病はとても曖昧に定義されています。実のところ、話し手にとって気に入らない行動のほとんど全てにしばしば適用される用語です[注 9]」と述べている[33]

1990年、(メアリー・ボイル)(英語版)は、精神分裂病の指示対象について、「徐々に変化し、この診断名が最終的には、クレペリンの症状と表面的にもほとんど類似点がない集団に適用されるようになった[注 10]」と述べている[23]

1994年、著名な精神分裂病研究者[注 11]であるナンシー・C・アンドレアセンは、何が精神分裂病なのか分からないと認めており、「ヨーロッパの人々は、誰が本当に精神分裂病を持っているのか、何が本当の精神分裂病なのか、理解することによって、アメリカの科学の一助となる[注 12]」と述べている[35][36][37]

2002年、日本精神神経学会は、「精神分裂病」には差別的な意味合いが包含されているとして、同学会における用語を「統合失調症」に変更した[4]

2014年、アメリカ精神医学会が、(DSM-5)を発行し、DSM-IVにより画期的に明確化された診断基準を受け継ぎ、5つの統合失調症の特徴を示した。すなわち、以下の症状のうち、少なくとも2つがおのおの1か月症状として継続して示すものを、統合失調症として、統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群の一領域と定義した。

  1. 妄想
  2. 幻覚
  3. まとまりのない思考(発語)
  4. ひどくまとまりのない、または異常な運動行動(緊張病を含む)
  5. 陰性症状

日本の精神医学は、概ねこの診断基準に基づいて、診断している。

症状

統合失調症に共通する症状は、思考や行動、感情がまとまりにくくなることである[38]。自閉や連合障害からくる大脳の疲弊によって、一部の患者では妄想幻覚を発症する頻度が少なくない。また、社会的または職業的機能の低下、つまりは、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能が病前に獲得していた水準より著しく低下している場合がある[38]認知情動、意欲、行動、自我意識など、多彩な精神機能の障害が見られる。大きく陽性症状と陰性症状の二つが挙げられ、他にその他の症状に分けられる[39]。全ての患者が全ての症状を呈するのではないことに注意が必要である。WHOによる国際的予備研究によれば、最も多く見られる症状は幻聴または関係念慮であり、患者の約70%に認められた[39]

陽性症状

陽性症状 (Positive symptoms) とは、おおよそ急性期に生じるもの。妄想や幻覚などが特徴的である[5]

思考の障害

思考過程の障害と思考内容の障害に分けられる。統合失調症の最大の特徴はこの自我意識面での思考の障害であるとされる。総合的に診断して自閉症と重複し、誤診されることもたびたびある。

思考過程の障害
  • 話せない状況:思考に割り込まれると神経過敏やうつ状態になり、思考が押し潰されて、まとまらない話になってしまう。思考が潰れることで今までの努力が水泡に帰すような自己喪失の陥穽にはまる。
  • 的外れな応答:他人の質問に対し、的外れな返答をすることがある。周囲の人間から、話をよく聞いていない人物とみなされることがある。自分が自分がという自己主張をしてこなかったため、その点において満足していないのでとにかく周囲よりも自分なのである。
  • 集中能力の喪失:テレビを視聴したり、新聞記事を読むことが困難となる[40]
  • 異常なほどの思考・神経機能の使い過ぎ:思考や神経の安定性・リラクゼーションが保たれず、絶えず思考が浮かんでくると訴える自生思考や相手に自分の考えが知れ渡っていると解釈し思い込ませられる思考伝播、自他の境界が曖昧になる境界障害などの通常ならばあってはならない思考によって障害・邪魔されるため、時間に関係なく睡眠が落ち着いてできなかったり、食物を摂取しても、思考や神経に栄養が奪取されて、結果的に食べても体重が増加せず、体重の劇的な痩せや減量、顔の頬がすぐにこける、頭髪の細毛化、薄毛状態が引き起こされるケースもある。抗精神病薬の服用によって、そうした敏感な熱思考状態や神経の過度の使い過ぎ状態が、いくぶん緩和し落ち着くこともある。統合失調症は、単なる思考・神経機能の使い過ぎから起こる神経症レベルで説明がつくほど、単純な疾患ではない。重度の神経症・神経障害と同等レベルで解釈できるか否かは、区別の判断が微妙で困難極まるものがある。統合失調症患者の精神症状と強迫神経障害患者の神経症状とを比較した時、前者の方がはるかに症状が複雑で重篤とされる今日の医学的な見解が、肯定・是認されると言える。
思考内容の障害(妄想)

妄想 (Delusions) とは、客観的に見て物理的にありえないことを事実だと完全に信じていること[39][40]。以下のように分類される。

  • 被害妄想:「近所の住民に嫌がらせをされる」「通行人がすれ違いざまに自分に悪口を言う」「自分の体臭を他人が悪臭だと感じている」などと思い込む[40]
  • 関係妄想:周囲の出来事を全て自分に関係付けて考える。「あれは悪意の仄(ほの)めかしだ」「自分がある行動をするたびに他人が攻撃をしてくる」などと思い込む。
  • 注察妄想:常に誰かに見張られていると思い込む[40]。「近隣住民が常に自分を見張っている」「盗聴器で盗聴されている」「思考盗聴されている」「カメラで監視されている」などと思い込む[41]
  • 追跡妄想:誰かに追われていると思い込む[40]
  • 微小妄想:自分を実際より低く評価し、劣っていると思い込む[42]
  • 心気妄想:重い体の病気にかかっていると思い込む[42]
  • 罪業妄想:過去に大きな罪を犯したと思い込む[42]
  • 貧困妄想:経済的に困っていると思い込む[42]
  • (誇大妄想):自分は実際の状態よりも、遥かに裕福だ、偉大だ、などと思い込む。
  • 宗教妄想:自分は神だ、などと思い込む。
  • 嫉妬妄想:配偶者や恋人が不貞を行っていると思い込む。
  • 恋愛妄想:異性に愛されていると思い込む。仕事で接する相手(自分の元を訪れるクライアントなど)が、好意を持っていると思い込む場合もある。
  • 血統妄想:自分は貴人の隠し子だ、などと思い込む。
  • 家族否認妄想:自分の家族は本当の家族ではないと思い込む。
  • 被毒妄想:飲食物に毒が入っていると思い込む[40]
  • 物理的被影響妄想:ビーム光線で攻撃されている、などと思いこむ。
  • 妄想気分:周りで、何かただ事でないことが起きている感じがする、などと思いこむ。世界が全体的に不吉であったり悪意に満ちているなどと感じる。
  • 世界没落体験:妄想気分の一つで、世界が今にも破滅するような感じがする、などと思いこむ。

一人の統合失調症患者においてこれら全てが見られることはまれで、1種類から数種類の妄想が見られることが多い。これらの妄想症状は突発的に起こることもあれば、数週間をかけて形成されていくこともある[40]

関連語に妄想着想(妄想を思いつくこと)、妄想知覚(知覚入力を、自らの妄想に合わせた文脈で認知すること)がある。また、妄想に質的に似ているが、程度が軽く患者自身もその非合理性にわずかに気づいているものを「 - 念慮」という。

統合失調症以外の疾患に伴って妄想がみられることもある。クレペリンは双極性障害(躁うつ病)の特徴として迫害妄想をあげており、双極性障害でないことが診断に重要である。

知覚の障害

 
幻視のイメージ

幻覚 (Hallucination) とは、実在しない知覚情報を体験する症状[39][40]。以下のものがある。

  • 幻聴 (auditory hallucination):聴覚の幻覚[注 13]
  • 幻視 (visual hallucination):視覚性の幻覚
  • 幻嗅 (olfactory hallucination):嗅覚の幻覚
  • 幻味 (gustatory hallucination):味覚の幻覚
  • 体感幻覚 (cenesthesic hallucination):体性感覚の幻覚

統合失調症では幻聴が多くみられる一方[40]、幻視は極めてまれである[41]。幻聴は、人によっては親切・丁寧であることもあるが、多くの場合はしばしば悪言の内容を持つ[40]

幻覚を体験する本人は、外部から知覚情報が入っていると感じるため、実際に知覚を発生する人物や発生源が存在すると考えやすく[40]、これらの幻覚の症状を説明するために、患者は妄想を形成しているのである。幻嗅、幻味などは被毒妄想に結びつくことがある。また、患者が嫌がらせや迫害を受けているなどと訴える例もある[40]

統合失調症以外の疾患(せん妄てんかんナルコレプシー気分障害認知症など)、あるいは特殊な状況(断眠、感覚遮断薬物中毒など)におかれた健常者でも幻覚がみられることがある[41]

  • (体感症)(英語版):体感幻覚に類似するが、その異常感が常態ではみられない奇妙な性状のものであることをよくわきまえている点で、他のさまざまな体感幻覚とは異なる。
  • 知覚過敏:音や匂いに敏感になる。光がとても眩しく感じる。
  • 知覚変容発作:発作的な視覚的な変容を特徴とし、患者自身が発作であると認識していることが多い[43]。抗精神病薬の副作用からくる。

自我意識の障害

 
当事者の自宅

自己と他者を区別することの障害である。自生思考や作為体験など、思考や行動における能動感と自他境界感の喪失がみられる。一説に(自己モニタリング機能)(英語版)の障害と言われている[44]。すなわち、自己モニタリング機能が正常に作動している人であれば、空想時などに自己の脳の中で生じる内的な発声を外部からの音声だと知覚することはないが、この機能が障害されている場合、外部からの音声だと知覚して幻聴が生じることになる。音声に限らず、内的な思考を他者の考えと捉えると考想伝播につながり、さらには「考えが盗聴される」などという被害妄想、関係妄想につながることになる。

  • 考想操作(思考操作):他人の考えが入ってくると感じる。世の中には自分を容易に操作できる者がいる、心理的に操られている、と感じる。進むと、テレパシーで操作されていると感じる。
  • 考想奪取(思考奪取):自分の考えが他人に奪われていると感じる。自分の考えが何らかの力により奪われていると感じる。世の中には自らの考えがヒントになり、もっといい考えを出すものもいると感じる。進むと、脳に直接力がおよび考えが奪われていると感じる。
  • 考想伝播(思考伝播):自分の考えが他人に伝わっていると感じる。世の中には洞察力の優れたものがいると感じる。その人に対して敏感になっている。進むとテレパシーを発信していると感じる。
  • 自生思考(思考即迫):常に頭の中に何らかの思考があり、うつ病患者の症例に多い「観念奔逸」と似て、思考がどんどん湧いてくる、思考が自らの意志でもっても抑えられない特有な思考の苦痛な異常状態をいう。これは、統合失調症の陽性症状の中でも最も深刻で重要な精神症状であるとされる。程度が重い患者では、頭の中が不自然な思考の熱状態で気がめいり、頭の中がとても騒がしく落ち着かないと訴え思えるような心理状態になる。
  • 考想察知(思考察知):自分の考えは他人に知られていると感じる。世の中には自分の考えを言動から読めるものがいると感じる。進むと、自分は考えを知られてしまう特別な存在と感じる。自らのプライドを高く実際を認められずに、被害的にとらえてしまう。進むと、考想が自己と他者との間でテレパシーのように交信できるようになったと考え、波長が一致していると感じる。
  • 強迫思考:自生思考と類似して、ある考えを考えないと気が済まない、考えたくもない、あってはならない考えが不自然に浮かび上がり、他人に考えさせられていると感じられるような尋常ではない状態をいう。中には、読書をする際に、「この部分を何回読まないと頭に記憶されない、覚えられない」といった内容の不合理な思考が瞬間的および随伴的に浮かぶ「文字強迫」などの症状が表面化されることもある。統合失調症の患者の中には、こうした強迫性障害[注 14]を発病当初から慢性的に同時に併せ持つ型の人もいるとされる。
  • 作為体験:自分が外部の力によって考えさせられたり、支配されたりするように感じる[45]
  • 離人症

行動や思考の変化

行動が無秩序かつ予測不可能となる[40]

  • 興奮:妄想などにより有頂天になっている[40]。意味もなく叫ぶ[40]。また自分が神か神に近きものまたは天才と思い一種の極限状況にある場合もある。
  • 昏迷:意識障害なしに何の言動もなく、外部からの刺激や要求にさえ反応しない状態。表情や姿態が冷たく硬質な上、周囲との接触を拒絶反抗的であったり(拒絶症)、終始無言であったり(無言症)、不自然な同じ姿勢をいつまでも続ける(常同姿態〈カタレプシー〉)[46]
  • 拒食

陰性症状

陰性症状 (Negative symptoms) とは、エネルギーの低下からおこる症状で、おおよそ消耗期に生じる。無表情、感情的アパシー、活動低下、会話の鈍化、社会的ひきこもり自傷行為などがある[5][40][47]

陰性症状は、初回発症エピソードから数年以上継続しうる[40]。患者はこれらの陰性エピソードのために、家族や友人との関係にトラブルを招きやすい[40]

感情の障害

  • 感情鈍麻:感情が平板化し、外部に現れない。
  • 疎通性の障害:他人との心の通じあいがない。
  • カタレプシー:受動的にとらされた姿勢をとりつづける。
  • 緘黙:まったく口をきかない。
  • 拒絶:面会を拒否する。
  • 自閉:自己の内界に閉じ込もる。

思考の障害

  • 常同的思考:無意味な思考にこだわり続けている。興味の対象が少数に限定されている。
  • 抽象的思考の困難:物事を分類したり一般化することが困難である。問題解決においてかたくなで自己中心的となる。

意志・欲望の障害

  • 自発性の低下:自分ひとりでは何もしようとせず、家事や身の回りのことにも自発性がない。
  • 意欲低下:頭ではわかっていても行動に移せず、行動に移しても長続きしない。
  • 無関心:世の中のこと、家族や友人のことなどにも無関心でよく知らない。
  • 引きこもり:外出意欲が低下する[40]

その他の症状

  • 認知機能障害:統合失調症の中核をなす基礎的な障害である。クレペリンやブロイラーなどの当該疾患の定義の時代(1900年ごろ)より、統合失調症に特異的な症状群として最も注目されていた。認知機能とは、記憶力・集中力注意などの基本的な知的能力から、計画・思考・判断・実行・問題解決などの複雑な知的能力をいう。認知機能が障害されるため、社会活動全般に支障を来たす。疾患概念より障害概念に近いものとして理解されている。この障害ゆえに、作業能力の低下、臨機応変な対処の困難、経験に基づく問題解決の困難、新しい環境に慣れにくいことがあり、また、発達障害患者の代表的な症状の一つとされるディスレクシア(読字障害、難読症)と似ている。判断力・理解力・注意力の低下・散漫さから、本・文章・文字を理解して目で追って黙読したり、記憶・暗記したりすることが困難になる。しばしば、読書が普通にできない。本・文章・文字を読んだ時に、そこに書かれている内容が一見し、ちらりと目で認知はできるが、本を読んでも全く頭に内容が入ってこない。味わい咀嚼しながら理解・認識ができないなどと訴えるなど、社会生活上多くの困難を伴い、長期のリハビリテーションが必要となる。統合失調症が、慢性の脳細胞の機能性疾患・障害であると言われるのはこのためである。
  • 感情の障害:不安感、緊張感、焦燥感、挑戦的行動[48]が生じる。自分には解決するのが非常に難しい問題が沢山あるなどの理由から、抑うつ、不安になっていることもある。抑うつは現状、将来を悲観するという場合や病名から来る自分のイメージ、他者である健常者や同じ心の病を持つ者との比較からくる場合がある。一般的に、統合失調症の患者の中には、理性および感情面で、敏感と鈍感の共存状態に陥る例が多く認められると言われる。何でもできる気分になる、万能感がある、お金遣いが荒くなる、睡眠時間が少なくなる、躁状態になることがある。
  • 不眠:統合失調症では83%が不眠症状をきたし、再発の兆候として最も見られる症状である[49]。統合失調症では、脳形態の持続的変化とともに睡眠にも(ノンレム睡眠)の欠如といった変化が生じ、不眠治療は難渋しやすい[49]。統合失調症の症状の一つである場合と、統合失調症とは独立した不眠症を併発している場合が考えられる[50]
  • パニック発作:統合失調症者はパニック障害に類似のパニック発作が起こることがある[51][52]。治療法はパニック障害に準じる[53]
  • 連合弛緩:思考が脈絡なく飛躍する。これが進行すると「ワードサラダ」となる[54]連想が弱くなり、話の内容が度々変化してしまう。単語には連合があり、これをわかりやすく言えば、単語の意味とその関係にはグループ(連合)がある。連合弛緩は、この連合が弛緩する事で全く関係のない単語を連想してしまう。しかし、落語にあるようなダジャレは連合弛緩ではない。連合弛緩は、言葉の連想と関係を無視する場合がある。
  • 両価性:相矛盾した心的内容を同時に持つこと[55]
  • 独言・独笑:幻聴や妄想の世界での会話である。原因には、長年にわたる投薬の影響で、認知機能が低下するとの説もある[56]
  • 砂糖の過剰摂取:統合失調症者は清涼飲料水を大量に飲むなど、砂糖を好むことが知られている[57]
  • 多飲症・水中毒:過剰の水分摂取とそれにより生じる中毒[58]。著しい場合には1日に10リットル以上の水分を摂る[58]

原因

 
fMRIやその他の脳機能イメージング技術は統合失調症患者の脳活動のイメージを表すことができる。このイメージはfMRIによってワーキングメモリの脳活動の様子を表している。

発病メカニズムは不明であり、明確な病因は未だに確定されておらず、いずれの報告も仮説の域を出ない。仮説は何百という多岐な数に及ぶため、特定的な原因の究明が非常に煩わしく困難であり、今日の精神医学・脳科学の発達上の限界・壁である。現在の精神医学主流の仮説として、神経伝達物質ドーパミンの過不足による認知機能不全を原因とする説が有力である。

根本的な原因は不明であるが、遺伝と環境の複合要因と考えられている[57]。遺伝の影響度は研究によって異なるが、双子を用いた研究のメタ分析では遺伝率が81%と報告されている[59]。また、双生児法による研究によると、一卵性双生児のうちの一方が統合失調症に罹ると、もう一方も統合失調症に罹る確率は、50%であるという報告がある[60]

生物学的な因子としては、妄想および幻覚症状は脳内の神経伝達物質の化学的不均衡であるという仮説が提唱されている。主にドーパミン拮抗薬である抗精神病薬の適量の投与によって、症状の抑制が可能であるとする理論であるが、大きな成功をおさめている仮説であるとまでは言えない。

環境要因としては、心理社会的なストレスなど環境因子の相互作用が発症の発端になると予想されている。心理社会的な因子としては、「ダブルバインド」や「HEE(高い感情表出家族)」などが注目されている。家庭や学校が、歪んでいたりして、本人の意思や努力ではどうにもならないところで、不本意な想いをしていることが多く、それが発病のきっかけになっていることもよくあるという[61]

2019年、東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻の廣川信隆特任教授らからなるチームが、神経細胞のキネシン分子モーターKIF3Bの異常が統合失調症の原因とみられると発表した[62]。2021年、(東京都医学総合研究所)などの研究グループが、思春期に砂糖を過剰摂取すると、脳の毛細血管の炎症により神経細胞のグルコースの取り込みを低下させ、統合失調症などの精神疾患の原因となる可能性を発表した[57]

検査

心理検査

PANSS
PANSS(Positive and Negative Syndrome Scale、陽性・陰性症状評価尺度)[63]は、30項目の異なる精神症状につき、1点から7点までの得点をつける。最低点は30点、最高点は210点。
陽性尺度
7項目 - 妄想・概念の統合障害・幻覚による行動・興奮・誇大性・猜疑心 ・敵意
陰性尺度
7項目 - 情動の平板化・情動的ひきこもり・疎通性の障害・受動性意欲低下による社会的ひきこもり・抽象的思考の困難・会話の自発性と流暢さの欠如・常同的思考
総合精神病理評価尺度
16項目 - 不安・罪責感・緊張・衒奇症[注 15]と不自然な姿勢・抑うつ・運動減退・非協調性・不自然な思考内容・失見当識・注意の障害・判断力と病識の欠如・意志の障害・衝動性の調節障害・没入性・自主的な社会回避
BACS
BACS(The Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia、統合失調症認知機能簡易評価尺度)は、言語性記憶、ワーキング・メモリ(作動記憶)、運動機能、注意、言語流暢性、および遂行機能を評価する検査で構成される認知機能評価尺度である[65]

生理的検査

血液検査
血液検査は患者の血液採取をし、薬物投与による肝機能の衰えなど(ALT (GPT)など)の副作用の有無を検査するために行う。通常の場合は3か月程度の間隔で行われる。内分泌物質(ホルモン)や電解質の異常、糖尿病の形跡、低血糖症栄養失調の診断にも生かされ、より正確な診断がなされる。外部委託先にビタミンミネラル類の検査項目も追加できるが、そのような依頼は極めてまれである[66]
CT・MRI検査
CTMRI検査にて、側頭葉頭頂葉灰白質の体積の減少を認める場合がある。白質の体積は減少していない。人間間でも脳体積は少なくとも10%は異なるため、一度の体積測定で判定することはできない。
脳体積の減少は長期的な話である。また、抗精神病薬が脳体積を減少させることも知られている[67][68][69][70][71][72]
SPECTによる検査
SPECTにて、課題遂行中や会話時に通常見られる前頭前野の血流増加が少ないという報告がある。
プレパルス抑制試験
(プレパルス抑制)(英語版)を参照。
遺伝子検査
遺伝子性の疾患を特定するためのツールとしてDNAシークエンシングがある。
尿検査
国内の精神科において尿検査を行うことはない。ピロール尿症における(クリプトピロール)や違法薬物の使用有無を調査することができるが、臨床試験的に尿を検査することがごく稀にある。生化学研究設備があればクリプトピロールなどの化学物質を判別できるが、そのような精神科医療機関は国内には存在しない。
NIRS脳計測装置・光トポグラフィー検査
NIRS脳計測装置光トポグラフィー検査により、問診と同時に脳内の血流量を赤外線により測定する。統合失調症、うつ病双極性障害の判断材料になる可能性がある研究中の検査手法である。日本では僅かだが実施しており、最先進医療の分野である。
補助診断としてデータを見るものの、信頼性は未だ低く、「高価なおもちゃ(原文ママ)」の域を出ていない[73][74]

診断

生物学的指標は存在せず[75]、現在の診断は患者の心理症候に依存している[22]。精神科の病気の診断に最も重視される方法は、患者の体験を言葉で語ってもらうことによる問診である[76]が、同時に他の疾患との鑑別のため、各種の血液検査や生理検査が行われる。長時間に渡る問診と共に、エビデンスすなわち科学的な根拠を基とする判断の上で、精神科医は正確な統合失調症の症状を診断しなければならない。精神医学は数字で測れる指標は少ないが、主要な精神疾患については症状や経過の詳細がわかれば通常の診断能力を持つ精神科医にとって、正確に診断することは困難なものではなく、誤診も一般に思われているよりはるかに少ないとしている[77]

診断基準

ICD-10での診断基準[78] (DSM-IV-TR)での診断基準[78]
  • (1) 下記の症状が、1カ月以上続いてみられる。次のうち1項目以上(明白でなければ2項目以上)
    • (a) 考想反響、考想吹入、考想奪取、考想伝播、自他の境界が敏感で曖昧になる境界障害
    • (b) 他者から支配され、影響され、服従させられているという妄想で、身体、手足の動き、思考、行為、感覚に関連していること、および妄想知覚
    • (c) 患者の行動を注釈し続ける幻声
    • (d) 不適切でまったくありえないような持続的妄想
  • (2) あるいは、次の2項目以上
    • (a) あらゆるタイプの頑固な幻覚:浮動性または未完成の妄想や優格観念(感情に強く裏づけられた観念で、その人の思考や行動を持続的に支配するもの)を伴っていたり、数週または数カ月以上、毎日続くことがある。
    • (b) 思考連合の途絶や改ざん(滅裂思考、的はずれ会話、新語造成)
    • (c) 緊張病性の行動(興奮、蝋屈症、拒絶症、緘黙症、昏迷など)
    • (d) 陰性症状(著しい無感情、会話の貧困、感情反応の鈍化・不調和、通常は社会的引きこもりや社会的活動の低下を伴う):うつ病や神経遮断薬によらないことが明瞭なもの。
    • (e) 人格行動にみられる明らかな、持続性の質的変化(関心の喪失、無目的、無為、社会的な引きこもり)
  • (A) 以下の2つ以上が各1か月以上(治療が成功した場合は短い)いつも存在する。
    1. 妄想
    2. 幻覚
    3. 解体した会話
    4. ひどく解体した行動(例:不適切な服装、頻繁に泣く)、または、緊張病性の行動
    5. 陰性症状
  • 社会的または職業的機能の低下
  • (B) 障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準より著しく低下している(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達しない)。
  • (C) 障害の持続的な徴候が少なくとも6カ月間存在する。この6カ月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活動期の症状)は少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合はより短い期間)存在しなければならないが、前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期または残遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形(例:奇妙な信念、異常な知覚体験)で表されることがある。
  • (D) 統合失調感情障害と、「抑うつ障害または双極性障害、精神病性の特徴を伴う」が以下の理由で除外されていること
    1. 活動期の症状と同時に、抑うつエピソード、躁病エピソードが発症していない
    2. 活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、その持続期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続期間の合計の半分に満たない。
  • (E) その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。
  • (F) 自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加えて少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合はより短い)存在する場合にのみ与えられる。

下位分類

 
下位分類のフローチャート

分類はICD-10により[79][80][注 16]、「妄想型」「破瓜型」「緊張型」の3つが代表的である[81]

妄想型統合失調症 (ICD-10 F20.0 Paranoid schizophrenia)
連合障害や自閉などの基礎症状が目立たず妄想・幻覚が症状の中心である。統合失調症はかつて早発性痴呆症と呼ばれていたように早発(思春期から青年期)することが多いが、当該亜型は30代以降の比較的遅い発症が特徴的であるとされる。薬物療法に比較的感応的とされるが、抗精神病薬の服薬をしても精神症状がとれず慢性的に持続する症例もある。
破瓜型統合失調症 (ICD-10 F20.1 Disorganized schizophrenia)
破瓜型(Hebephrenia)[注 17]は思春期や青年期に好発とされる。感情や意志の鈍麻が主症状で慢性に経過し、人格荒廃に陥りやすい[82]。今日では破瓜型は社会的・精神医学的な発達の結果として、比較的軽症な程度ですみ、人格のまとまりを保持する症例が報告されるようになってきている。アメリカ精神医学では、破瓜型のことを「解体型(Disorganized)」と呼んでいる。
緊張型統合失調症 (ICD-10 F20.2 Catatonia schizophrenia)
筋肉の硬直症状が特異的で興奮・昏迷などの症状を呈する。陽性症状時には不自然な姿勢で静止したまま不動となったり、逆に無目的の動作を繰り返したりする。近年では比較的その発症数は減少したと言われる場合がある。
型分類困難な統合失調症 (ICD-10 F20.3 Undifferentiated schizophrenia)
一般的な基準を満たしてはいるが、妄想型、破瓜型、緊張型のどの亜型にも当てはまらないか、二つ以上の亜型の特徴を示す状態。
統合失調症後抑うつ (ICD-10 F20.4 Post-schizophrenic depression)
急性期の後に出現することが多く、自殺などを招くことがある。急性期を脱した20%から50%に出現する[83]。治療法は、うつ病にほぼ準じる。
残遺型統合失調症 (ICD-10 F20.5 Residual schizophrenia)
陰性症状が1年以上持続したもの。陽性症状はないかあっても弱い。他の病型の後に見られる急性期症状が消失した後の安定した状態である。
単純型統合失調症 (ICD-10 F20.6 Simple schizophrenia)
連合障害、自閉などの基礎症状が主要な症状で、妄想・幻覚はないかわずかである。破瓜型の亜型に含めるケースもあるが、破瓜型に比べ内省的で病識の欠如がまれであるとされる。
その他の統合失調症 (ICD-10 F20.8 Other schizophrenia)
その他の統合失調症は医療診断を示すために使用することができない。
その他の統合失調症には、F20.81(Schizophreniform disorder)とF20.89(Other schizophrenia)の2種のコードが含まれる[84]
遅発性統合失調症、体感症性統合失調症、統合失調様状態、急性統合失調症性エピソードの4つの下位分類がある[85]。短期統合失調症様障害(F23.2)は除外される[86]
統合失調症,詳細不明 (ICD-10 F20.9 Schizophrenia, unspecified)
統合失調症、特定不能のもの。
モレル・クレペリン病、統合失調症の2つの下位分類がある[87]

経過分類

第5桁の数字(F20.XYのY)は、経過分類に用いる[88]

第5桁の数字 経過
0 持続性
1 エピソード性[注 18]の経過で進行性の欠陥をともなうもの
2 エピソード性の経過で固定した欠陥をともなうもの
3 エピソード性の経過で寛解しているもの
4 不完全寛解
5 完全寛解
8 その他
9 観察期間が1年未満
出典:[88]

先進事例

先進的な医療、研究事例として統合失調症の判別に光トポグラフィー脳SPECTなどの装置による画像診断をおこなうことがある[90][91][92]

鑑別疾患

以下の疾患を除外する[78]

前述におけるプレパルス抑制およびびっくり病、さらには糖尿病低血糖症と差異を見出さなければならない。抗NMDA受容体抗体脳炎も2007年に提唱された比較的新しく発見された疾患であるが、NMDA受容体機能低下による統合失調症と共通病態と考えられるため、鑑別が必要である[94]

(薬物誘発性精神病)の症状は、統合失調症の症状に酷似しており、熟練した精神科医でも鑑別は困難とされる[95]。症状は同様であるが、薬物誘発性精神病は後天性で、統合失調症は遺伝性であるという点で異なる[95]。薬物誘発性精神病と統合失調症の区別は曖昧なため、薬物誘発性精神病モデルは、統合失調症モデルとして研究で頻用されているが、これが動物モデルとして理想的であるかは決定されていない[95]。つまり、1.幻覚など陽性症状、2.平坦な感情など陰性症状、3.混乱した言語や非論理的という認知症状の3種類の症状が統合失調症に特徴的であるが、アンフェタミンに誘発された精神病症状は陰性症状を明らかに誘発しないなど不完全であり、発症機序に関して別々であることは明らかである[95]DSM-5においては、薬物誘発性精神病は統合失調症と区別されており、統合失調症と異なり使用をやめると症状はおさまるものだと定義されている((精神刺激薬精神病#鑑別診断)も参照)。

発達障害自閉症スペクトラム障害 (ASD) と間違われやすい精神疾患・障害であり、見分け方かつ正反対な点としては、他者の目線を気にするか否かの点がある[96]。ASDの場合は先天性で非進行性の疾患・障害であり、自分がどう見られているか、どう思われるかを全く気にしない[96]

診断の問題点

統合失調症の確定診断は、そもそも難しい。統合失調症の性質、精神医療現場の環境が原因となって、他の精神疾患や発達障害との誤診が起きる可能性がある意見や報道もある[97]。誤診されやすいものとしては双極性障害、統合失調感情障害、強迫性障害、びっくり病、ナルコレプシーにおけるカタプレキシーアスペルガー症候群が挙げられる。特に双極性障害は、統合失調症と遺伝子的スペクトラムをなすという仮説もあり、しばしば幻聴やてんかんを伴う。

児童精神科医は約200人ほどしかおらず[98]児童精神医学は専門外の場合がある。

予防

様々な提唱がされているが、どれも反証可能性がない[注 21]貧困対策、大麻および違法薬物の使用の防止あるいは大麻の推奨、アルコール飲料摂取の防止、喫煙の防止、あるいは喫煙の推奨、小麦製品などのグルテン含有食品の摂取の防止((グルテン原因仮説))、レバー等に含まれるピリドキサミンの積極的な摂取((カルボニルストレス説))、コーヒーなどのカフェインの摂取の防止、幼少時期のトラウマ(虐待、いじめ等)の防止、家族・医療関係者の高感情表出、いわゆるHIGH-EE (High expressed emotion) の防止、妊婦のインフルエンザなどの感染症の防止、睡眠不足の防止あるいは過眠の防止、過食の防止、運動不足の解消、魚介類に多く含まれるω-3脂肪酸の積極的な摂取、朝食の摂取、親知らずの抜歯などが挙げられるが、いずれも仮説である[要出典]

英国国立医療技術評価機構(NICE)は、統合失調症発症リスクの高いグループについては、個人単位での認知行動療法(CBT)を提供し、さらに、もしパーソナリティ障害・薬物乱用・うつ病・不安障害などが見られれば、それらに診療ガイドラインに従った治療を提供するとしている[99]。発症防止・予防を目的とした、抗精神病薬の投与は行ってはならない[100]

支援

支援者

精神科医(精神保健指定医)・薬剤師看護師保健師精神保健福祉士社会福祉士作業療法士理学療法士公認心理師音楽療法士管理栄養士栄養士などの専門職が挙げられる。全国精神保健福祉会連合会が結成されている[101]。地方自治体は家族への相談窓口などを設置していることが多い。家族の多くが精神障害者の地域生活を支えている[102]。患者同士のピアサポートも注目されている。

援助の方針

家族の精神障害者の保護者としての負担は大きいとされる[102]。自らが病気であると認識できないケースも多いため、通院拒否する場合も多く、これも家族への負担を増加させている[要出典]。いろいろなことに深刻にならずに、「病気だからそう言うこともあるんだな」と受け止めることが大事である[61]。治療の開始にあたっては、統合失調症も他の病気と同様に薬で症状をコントロールできること(特殊な病気ではないこと)を伝え、回復への見通しを持てるようにサポートする。同時に、医師や周囲の人のサポートを約束し、本人のペースを尊重しながら協同で治療に取り組んでいくことを伝え、安心感を持てるよう支援する[103]。精神科医は、理解しようとすること、少なくともサポートしようとしている姿勢が患者に伝わることが必要となる[61]

患者に妄想・妄言が含まれる場合、それを否定すると孤立感が増し症状が悪化する例が多いとされ、また、逆に肯定すると妄想を補強することになり、症状が悪化する可能性がある[要出典]。話を聞かない場合においても孤立感が増すため、話を根気よく聞く必要があるが、あまりに真剣に聞きすぎると、聞き手側のストレスになり、場合によっては聞き手側にうつ病などの精神疾患をもたらすことがあるため、あまりに真剣に聞くことも推奨されない[要出典]介護職の対応としては、妄想の話をしているときには、否定も肯定もせず、中立的に話を最後まで聞き、相手には真剣に聞いている態度を示しつつも、内実あまり真剣に聞かずに軽く受け流すという対応を正解としている(ただし、症例は多様であり、ケースバイケースのため専門医の指示は必須である)[104]。実際に、本当のことを訴えている場合、あるいは利害関係から病気に仕立てられるケースが実在するので注意が必要である[注 22]

厚生労働省ウェブサイトにおいて、患者家族に対しては「病気とそのつらさを理解する」「医療チームの一員になる」「接し方を少し工夫する」「自分自身を大切にする」ことなどを推奨しており、患者に対して非難的あるいは批判的な言動を慎み、また「原因を探すのはひとまず脇に置いて、具体的な解決策を一緒に考える、という接し方が理想的」と呼びかけている。また、心配しすぎてオロオロしないようにも勧めている[105]

精神保健福祉法生活保護などの公的扶助制度の活用や様々なアドバイスなど治療や社会復帰をすすめるために必要な社会的援助を、精神保健福祉士などが支援する。看護師と精神保健福祉士が協働する訪問看護などもある。

問題点

患者にもよるが、患者本人の病気に対する問題意識が欠如していてフィードバックが効かず、入退院を繰り返すなどの日本固有の問題も指摘されている[要出典]。一定数一定規模における精神科ではソーシャルワーカーを設置する義務があるが、ソーシャルワーカーは患者本人の生活改善を提案・提示することなしに、生活保護の申請を勧めたり、障害年金受給の斡旋などを行っているのが現状である[要出典]

治療

外来治療と入院治療に分けられる。英国国立医療技術評価機構 (NICE) のガイドラインによれば、第一選択肢は経口抗精神病薬心理療法(個別認知行動療法および家族介入)の両方を行うことを提案している[106]。しかしプライマリケア医は、精神科専門医のアドバイスを得ていない限り、初回発症の段階で抗精神病薬を処方してはならないとしている[107]。薬物療法が大きな柱となるが、その他の治療法も病相の時期(急性期、慢性期など)に応じて適宜選択される。いずれにせよ、精神科医に受診、相談することが望ましい。統合失調症患者の主体的な人生や生活のゴールを達成するために、患者と医師による治療内容についての共同意思決定(SDM)が関心を高めている[108]

薬物療法

 
非定型抗精神病薬の一つ「クエチアピン」

薬物療法によって完治することはまれであるが、対症療法にはなる。日本神経精神薬理学会が『統合失調症薬物治療ガイド』[109]を公開している[110]

抗精神病薬(日本では20数種類が使用できる)の投与が、陽性症状を中心とした症状の軽減に有効である。また、統合失調症に抑うつ症状や強迫症状を伴う場合などには抗うつ薬を、不安症状が強い場合には抗不安薬を、不眠が強い場合には睡眠薬を併用することもある。NICEは、抗精神病薬の処方は利益と副作用を考慮した上、年に一度レビューするとしている[111]

近年、従来の定型抗精神病薬と呼ばれる薬剤よりも、副作用が少なく陰性症状にも有効性が高いなどの特徴をもった非定型抗精神病薬と呼ばれる新しいタイプの薬剤であるリスペリドンペロスピロンオランザピンクエチアピンが開発され、治療の主流になりつつある。さらに、最近アリピプラゾールブロナンセリンクロザピンリスパダール・コンスタパリペリドン(アセナピン)(英語版)[112]ブレクスピプラゾール[113]ルラシドン[114]が加わった。クロザピンは治療抵抗性統合失調症[注 23]に唯一有効な抗精神病薬であるとされる[116][注 24]。ただし、非定型抗精神病薬における新たな問題もあり、副作用面では、オランザピン、クエチアピンが、高血糖糖尿病肥満を誘発することがある。また医療経済面では、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールなどは薬価が非常に高く設定されている。こうした見解を経て、定型抗精神病薬が再考されている。

抗精神病薬の一般的な副作用として、黒質線条体系のドーパミン拮抗作用によるパーキンソン症候群錐体外路症状アカシジア悪性症候群ムスカリン拮抗作用による便秘、口渇、眼のかすみ、ヒスタミン拮抗作用などによる眠気、体重増加など、アドレナリンα1拮抗作用による低血圧性機能障害が生じることがある[82]。抗精神病薬の治療の副作用対策として抗パーキンソン病薬の使用は、認知機能を低下させる副作用があるため、なるべく少量の使用か、使用しない傾向にある[119]

NICEは、薬剤切替時を除いて抗精神病薬を多剤投与してはならない[120]、急速大量抗精神病薬飽和療法 (Rapid Neuroleptization) は、急性エピソード時の差し迫った暴力鎮静を除いて行ってはならないと勧告している[48][120]。日本の薬物療法においては多剤大量処方という問題を抱えており、その副作用で死亡者が出るなどの事例がある[121]。抗精神病薬の換算方法としてクロルプロマジン換算があり、統合失調症においてはクロルプロマジン換算量600mg程度を理想としている[122]

統合失調症維持期の抗精神病薬治療については、継続、中止、間欠投与[注 25]、減量・低用量の4つの戦略がある[124]。中止については、近年各国のガイドラインは初回エピソード患者を中心に肯定的に傾いてきており、減量・低用量についても、ガイドラインは完全に否定してはいない[124]。一方、複数エピソードを経験している患者に対しては中止は推奨されておらず、間欠投与については、いずれのガイドラインも推奨していない[124]

薬物療法を中断すると、中断した当初は調子がいいように感じることもあるが、多くは3か月、半年と時間が経つにつれて再発する(拒薬、怠薬[注 26])。自己判断で中断するのではなく、精神科医の指導のもとで継続して服用することが重要である[126]

2006年、アラスカ州最高裁判所は抗精神病薬に関する訴訟の判決文で、「向精神薬は患者の心身に重大で永続的な悪影響を及ぼすことがある[注 27]」「数々の破壊的な副作用を引き起こす可能性があることが知られている[注 28]」と説明している[127]

統合失調症に柴胡加竜骨牡蛎湯半夏瀉心湯加味逍遥散抑肝散など、漢方薬が有効なこともある。ただし、統合失調症を漢方薬のみで治療するのは難しく関連症状に対して使用される[131]。また、漢方の温胆湯が統合失調症に効果があり、短期的に全体的改善が生じる[132]。温胆湯は抗精神病薬と比較して有効性が高くはないが、錐体外路症状が生じにくいことが示されている[132]

心理社会的介入

十分な傾聴と受容を通して、妄想や幻覚の背景にある苦しみや、妄想や幻覚による苦悩を理解し、治療関係を構築した上で、次のような効果的な治療を患者と協同で進めていく[133]

認知行動療法 (CBT)
NICEは、すべての統合失調症患者に認知行動療法を提供すべきであり[134]、その場合は個人別セッションを最低16回行うとしている[135]。英国などで有効性が証明されており、日本での認知行動療法のさらなる導入が求められている[136]
認知行動療法では、以下のような技法を活用して、妄想や幻聴の妥当性を検証したり機能的な考え方や行動を形成したりすることができるよう患者を支援する[137]
1. 行動実験:妄想の内容や幻聴の要求に逆らって(もしくは無視して)行動し、その結果を検証するという行動実験を通して、患者をサポートする。行動実験により、妄想の内容は事実ではなく幻聴の要求も正しくないという気づきが得られ、妄想や幻聴の妥当性を否定でき、苦痛を和らげることができる[138]
2. 認知再構成法・論理的分析法:協同的な治療関係が確立した後、妄想や幻聴の内容を論理的・科学的に検討したり、妄想的信念の根拠を検証したり、別の解釈の探求を行ったり、妄想や幻聴の内容に反する出来事・体験に注意を払ったりすることを通じて、患者が妄想や幻聴の妥当性を検討することをサポートする[139][140]
3. 現実検討:認知的変容には実体験を通じた現実検討が有効である[141]。妄想や幻聴の内容を、患者が実体験・行動を通じて再検証することをサポートし、それにより得られた気づきを共有する[142]
4. 証拠・根拠の検討:妄想や幻聴の内容が事実であるかどうか・実在するかどうかについての証拠や根拠について、治療者と患者が協同で様々な角度から客観的に検討し、そこで得られた気づきを共有することで、妄想や幻聴は事実ではなく実在もしないと認識できるようサポートする[143][144][145]。たとえば、幻聴の訴えがある場合は、何らかの録音機器を使ったサポートを通して、幻聴を裏付けるような音声が録音されないという気づきを得て、幻聴は実在する音声ではないという確信を持つことができる[146]
5. 代替療法:妄想や幻聴に対する合理的な他の考え方を患者が見つけられるようにサポートしたり、治療者が提示したりする。どちらにおいても、患者と治療者が協同して、苦痛を伴わない合理的な別の考え方を見つけていく[147]
6. フォーカシング療法:セルフモニタリングの技法などを活用して、妄想や幻聴は自分の思考(自己派生の出来事)であり、実際に外部にあるもの・外部からの声(外部からの刺激)ではないということを認識できるようサポートする[148]
7. 競合刺激の活用:たとえば、幻聴が聞こえる状態で外部聴覚刺激(音楽など)を聞くと、幻聴が少なくなるという体験をすることなどを通じて、幻聴は実在する外部音声ではないという認知を形成できるようサポートする[149]
また、対処方略としては、妄想の考えをストップしたり幻聴を無視し聞き流したりしたあと他へ注意を向ける二段階法や、ちょっとした気晴らし行動などを用いた注意転換法を活用して、妄想や幻聴への注意を他の事柄(たとえば音楽など)に向け、そのような現実の事柄に意識を向けながら生活できるようサポートを行う[150][151]
心理教育 (Psycoeducation)
薬物療法によって陽性症状が軽減しても、自らが精神疾患に罹患しているという自覚(病識)を持つことは容易ではない。病識の不足は、服薬の自己中断から再発率を上昇させることが知られており、病識をもつことを援助し、疾患との折り合いの付け方を学び、治療意欲を向上させるために心理教育を行うことが望ましい。精神保健福祉士が主に担当する。統合失調症の患者は正直すぎると言われるが、なにもかも正直でなくていい、秘密があっていいということを教育する。秘密にすることで自分を守ることはマナーでもあり、社会復帰のために必要である。また、異性関係のことが自分の中であまりにも整理されていない人が多いとされ、異性の気持ちになって物事を見ることも大切な心理療法の一つである。
また、心理教育の一環として、統合失調症の診断に対してノーマライジングを実施することにより、患者の苦痛を軽減することができる。たとえば、①統合失調症は珍しい疾患ではなく多くの人が罹患しうること、②統合失調症は患者自身や家族のせいで発病するものではないこと、③統合失調症も治療可能な病気であり多くの患者が症状を克服していけること、などを理解してもらえるよう丁寧に説明する[152]
患者本人のみならず、家族の援助(家族教育)も行うこともある。家族への心理教育の再入院予防効果によって、医療コストは軽減されるといわれる[153]
ソーシャル・スキル・トレーニング (SST)
統合失調症を有する患者は、陰性症状に起因する社会的経験の不足が散見され、自信を失いがちなことにより、社交、会話などの社会技能が不足していることが多い。それらの訓練として、ソーシャル・スキル・トレーニングを行うことがある。デイケアプログラムの一環として行われることが多い。SSTトレーナー、SST認定講師、心理の専門家が担当する。NICEは、SSTを統合失調症患者にルーチンとして実施してはならないとしている[134]
作業療法芸術療法風景構成法
絵画ぬりえ折り紙手芸園芸陶芸スポーツなどの作業活動を主体として行う治療である。非言語的な交流がストレス解消につながったり自己価値観を高めたりする効果がある。病棟活動やデイケアプログラムの一環として行われることが多い。作業療法士が担当する。急性期では、作業活動を通して幻覚・妄想などを抑え、現実世界で過ごす時間を増やしたり、生活リズムを整えることを目標とし、そのためには患者が集中できるような作業活動を見つけて適用することが必要となる。慢性期では、退院を目標とし、そのためには服薬管理や生活リズム管理など、自分のことは自分でおこない自己管理ができるようになり、作業能力と体力も向上することが必要となる。慢性期での作業療法では患者のペースで行なえる作業活動を徐々に増やしていくよう心がける。
NICEは、陰性症状の緩和のため、すべての統合失調症患者に芸術療法が提供されるべきであるとしている[134]
その他
アドヒアランス療法は行ってはならない[134]カウンセリングや支持的精神療法[注 29]はルーチン実施してはならないが、他の心理療法が提供できない場合などは、患者の好みに合わせて提供できる[134]

オープンダイアローグ

薬物治療や入院治療を極力避け、対話による回復を目指す治療法である。世界的に注目されており、日本への導入が進められている[155][156]

食事と運動

NICEは患者に対し、健康的な食事と運動プログラムの組み合わせを提供すべきであるとしている[157]。統合失調症の患者はファーストフード、炭水化物や脂質の多い加工食品(インスタント食品や菓子)、ソフトドリンクの摂取が多く、食物繊維や果物の摂取が少ない傾向にあり適切な量や回数の理解が必要である[158]。長期間の運動プログラムを定期的に行った統合失調症患者は、そうでない患者と比較して高いメンタルヘルスの改善が認められた[159]。また、統合失調症における精神科のリハビリテーションにおいてメタボリックシンドロームの予防を目的にした運動プログラムが盛んになった[160]

その他

電気痙攣療法 (ECT)
薬物療法が確立される以前には、電気痙攣療法(電気ショック療法)が多く用いられてきた。この療法は左右の額の部分から脳に100Vの電圧、パルス電流を1 - 3秒間通電して、痙攣を人工的に引き起こすものである。電気痙攣療法の有効性は確立されている[161]が、一方で有効性の皆無も臨床実験で報告されている[162][163][164]。かつて電気痙攣療法が「患者の懲罰」に使用されていたこともあり、実施の際に患者が痙攣を起こす様子が残虐であると批判されている。
まれに電気痙攣療法により脊椎骨折などの危険性があるため、現在では麻酔を併用した「無痙攣電気痙攣療法」が主流である。しかし、副作用や実施の際には、麻酔科医との協力が必要であることなどからして、実質的に大規模な病院でしか実施できない。現在では、この治療法は主力の座を薬物療法に譲ったものの、急性期の興奮状態の際などに行われることもある。
NICEは現在の根拠では、ECTを統合失調症の一般的管理としては推奨することはできないとしている[注 30]。また、ECTは全ての治療の選択肢が失敗したか、または差し迫った生命危機の状況でのみ使われるべきであるとしている[165]
鍼治療
統合失調症の症状の軽減と関連疾患に対して鍼治療が行われることがある[166][167]

経過

 
統合失調症の経過の概念図。赤線が症状、青線が活動性を表す。

経過は、前駆期、急性期、消耗期(休息期)、回復期に分けられる。

前駆期
かかりはじめの時期。妙に身辺が騒がしく感じる、担がれている感じがする(神輿に乗った気分と騙されている気分の両方)、眠れない、音に敏感になるなどの状態。過労や睡眠不足に注意する。
急性期
症状が激しい時期。不安になりやすい、不眠、幻聴、妄想、脳が働き過ぎの状態。
消耗期
元気がなくなる時期。眠気が強い、体がだるい、ひきこもり、意欲がない、やる気がでない、自信が持てない、脳がほとんど働かないなどの状態。数か月単位の休息をとり、焦りは禁物である。
回復期
ゆとりがでてくる、周囲への関心が増える時期。ソーシャル・スキル・トレーニング、リハビリテーションなどを行う時期である。

例えば、重度の骨折をした場合、一般的に診断、治療、回復、リハビリ、寛解(かんかい)という段階を経るが、統合失調症もこれと同じことが当てはまり、中でもリハビリは困難を伴う一方大変重要な段階である。陽性症状は時間の経過により改善することも多いが、それとともに陰性症状が目立ってくる。しかし、抗精神病薬の投与をしても慢性的に陽性症状および陰性症状が持続して残る患者も多い。長期療養の結果、晩年期になると長年続いた顕著な精神症状が燃え尽きる様に寛解されるに至るという医学的な考え方もあり、「晩期寛解」と呼ばれる。多くの統合失調症患者は加齢とともに症状が改善する[168]

英国を中心とした実証的な家族研究の結論によると、確実な服薬遵守より、家族が患者に批判的な言動をするかどうかのほうが、患者の経過を左右する[169]

予後

統合失調症の予後について、過去(特に薬物療法がなかった時代)と比較すると、全体的にかなり向上しているといわれている。「進行性の経過を取り、ほとんどが人格の荒廃状態に至る」というイメージやスティグマ(偏見)が残っているが[5][170]、これは事実に反しており、一部の人が荒廃状態に至るだけである。イギリスのデータでは、患者は困難や将来的な再発への脆弱性を抱えながらも、一部の人々は、完治はしないが寛解するという根拠がある[注 31]

イギリスでの5年追跡調査では、22%は1回の発病エピソードのみで完全寛解、35%は数回のエピソードを繰り返し軽い機能障害が見られる、8%は数回のエピソードで障害も継続、35%は数回のエピソードで障害も増悪していた[172]。病型別の予後では、妄想型や緊張型は、妄想幻覚などの症状のほうが抗精神病薬に反応しやすいため、予後がよく、破瓜型や単純型などの陰性症状には治療の効果が得られにくいため、予後が悪いと一般的に言われている。ただし、こうした傾向はあるが、妄想型などでも治療に反応しない例がまれではなく、病型により機械的に予後が予測できるものではない。患者の生活態度や薬物投与を含めた環境を改善することで症状を軽減できるが、生活レベルでの具体的な改善策は得られていないのが現状である。

1961年、カリフォルニア州精神保健局は、18か月以内の退院率について、非投薬群が88%、投薬群が74%と報告している[173]

1977年、(アメリカ国立精神衛生研究所)(英語版)(NIMH)の臨床研究施設における研究報告は、退院時期について、非投薬群は投薬群より早いと報告している[174]。また、退院一年後の再発率について、非投薬群が35%、投薬群が45%と報告している[174]

1978年、モーリス・ラパポートの研究[注 32]は、退院3年後の転帰について、非投薬群は投薬群より良好で再入院率も低いと報告している[175]

1992年、世界保健機関の10ヵ国を対象とする研究報告は、2年後の転帰について、貧困国は3分の2近くが良好な転帰、3分の1強が慢性化、富裕国は37%が良好な転帰、59%が慢性化と報告している[176]。抗精神病薬の使用率は、貧困国が16%、富裕国が61%であり、使用率が3%のインドのアグラが最も良好、使用率が最も高いモスクワが最も悪かった[176]

2007年、マーティン・ハロウの研究[注 33]は、15年後の転帰について、抗精神病薬なしは40%が回復、44%が良好な転帰、16%が一様に不良、抗精神病薬ありは5%が回復、46%が良好な転帰、49%が一様に不良と報告している[177]

疫学

どの年齢でも発症するが、特に思春期から青年期において、自立した生活を開始した頃に発症することが多い[5]男性と比較して女性は平均発症年齢が遅く、閉経後にも小さな発症のピークがある。

罹患率・有病率など

 
2004年の100,000人あたりの統合失調症の障害調整生命年

生涯発病率は約0.85%(120人に1人)であり、まれな病気ではない[5]。アメリカ合衆国では、生涯罹患率は約1%[178]で年間発症者数は10万人当たり1,000人[179]カナダにおける12か月有病率は男性・女性ともに0.61%[180]であった。5歳から18歳の児童青年においては、有病率は0.4%[181]、イギリスの精神病院に入院する10歳から18歳のうち、24.5%は統合失調症であった[181]。研究対象となった地域・人種などにより罹患率に差があるが、診断基準によっても左右され、その意味は明確ではない[182]アイルランドでの地方間における罹患率の差も議論の対象となっている。

死亡率

統合失調症患者の死亡率は、一般人口の約2倍以上とされる[183]

患者の生涯自殺率は10%以上で、これは一般人口の12倍の値であり[9]、およそ5%が自殺を完遂する[184]。特に初発後・退院後に多く、初発退院後1年間の自殺率は一般人口に比べて100倍になっているという報告がある[185]。患者が喫煙者の場合も、自殺企図の危険は有意に高くなる[186]。陽性症状が強い時期に、幻聴から逃れたり妄想のために自殺をする患者もいるが、陰性症状しか見られない段階でも思考の短絡化[注 34]によって、少しの不安でも耐えられずに、自殺してしまうこともある。

統合失調症患者の生命予後(平均余命)は一般人口と比べると悪く、死因の大部分は心血管系疾患によるものと言われる[187]。統合失調症患者は心疾患や窒息による不慮の突然死が多く、突然死のリスクは健常者と比較して統合失調症患者全体で4.9倍、入院療養中の統合失調症患者では6.7倍であるとされる[188]。特に、メタボリックシンドロームは心血管系疾患および心血管系疾患死のリスクを上げ、原因として生活習慣、抗精神病薬による治療[注 35][注 36]、統合失調症の自体の影響などがある[187]。突然死リスクを減らすために対応可能な6つのリスクファクター(喫煙、高血圧、高血糖、運動不足、肥満、高脂血症)への取り組みが、発病早期から求められる[190]

合併症の疫学

統合失調症患者の合併症で、特に多いのは抑うつと薬物乱用である[183]。患者の少なくとも25%は常時抑うつであり、また米国患者ではアルコール依存症は30%以上、麻薬は25%以上、喫煙率は50%以上であった[183]

統合失調症患者はがんによる死亡率が低いことが知られている。デンマークで1980年まで行われた研究では、がん発生率は健常者との比較により男性で67%、女性で92%であった。男性統合失調症患者の肺がんは高い喫煙率にもかかわらず、健常者の38%であった。統合失調症治療に使われる向精神薬が抗腫瘍効果をもつためであるとされている[191]。また、統合失調症患者は関節リウマチに罹患しにくいことが知られており[192]、最近の研究によれば、およそ4倍程度罹患しにくいとされる[193]

歴史

 
スキゾフレニア (Schizophrenia) という用語を創設したオイゲン・ブロイラー (1857-1939)

19世紀ドイツの精神科医エミール・クレペリンが複数の脳疾患を統一的な脳疾患カテゴリーとしてまとめ、早発性痴呆症を提唱した。1911年スイスの精神科医オイゲン・ブロイラーが症状群の性質から、著書『早発性痴呆症あるいは精神分裂病群の集団』(『Dementia Praecox oder Gruppe der Schizophrenien』)の中でSchizophreniaを造語し定義した[6]。ブロイラーによれば、当該疾患の特徴は「精神機能の特徴的な分裂(Spaltung der verschiedensten psychischen Funktionen)」であるとし、Schizo(分裂)、Phrenia(精神病)と呼称した。ここでいう精神機能とは、当時流行した連合主義心理学(en:Associationism)の概念であり、また精神機能の分裂とは主に連合機能の緩みおよび自閉症状を意味する。クレペリンは死後の脳解剖から前頭葉に類似の細胞変性を観察しており、早発性痴呆群を統一的な統計カテゴリーとした。しかし、ブロイラーは相当多数の疾患群の集合からなると予想しており、現在まで決着はついていない。クレペリンおよびブロイラーが例示した疾患群は単純型痴呆、破瓜病、緊張病、妄想性痴呆の4つである。

年表

  • 古代ギリシアから統合失調症が存在したという説がある[194]
  • 1852年、フランスベネディクト・モレルが、統合失調症を初めて公式に記述し、Demence precoce(「早発性痴呆」)と呼称した。
  • 1871年、ドイツの(エヴァルト・ヘッカー)(英語版)が「破瓜病」[注 37]を著す。
  • 1874年、ドイツの(カール・カールバウム)(英語版) が「緊張病」[注 38]を著す。
  • 1899年、ドイツのエミール・クレペリンDementia Praecox(「早発性痴呆」)を著し、破瓜病緊張病に妄想病を加えてまとめる。
  • 1911年、スイスのオイゲン・ブロイラーは、必ずしも若年時に発症するとは限らず、また必ずしも痴呆に到るとは限らず、この病気の本性は観念連合の弛緩にあるとして Dementia PraecoxSchizophrenie と改名し疾患概念を変えた。
  • 1935年以降、日本では公式には1975年まで多くの人がロボトミー大脳外科手術)を受けた。
  • 1937年、日本精神神経学会の(神経精神病学用語統一委員会)が、当疾患を「精神分裂病」と定めた[195]。それ以前は、日本国内では、「精神内界失調疾患」「精神解離症」「精神分離症」「精神分裂症」など、様々な訳語が使用されていた。
  • 1939年から1941年、ナチス・ドイツが統合失調症の患者などを虐殺した(T4作戦)。
  • 1967年、イギリスの精神科医デヴィッド・クーパー反精神医学を提唱し、精神分裂病は存在しないと主張した。その理論は、大方の承認を得るまでには至っていない[196]
  • 1990年、中安信夫が初期分裂病(現・初期統合失調症)という臨床単位を提唱した[197]
  • 1993年、「精神分裂病」という名称が、精神そのものが分裂しているというイメージを与え、患者の人格の否定や誤解、差別を生み出してきた経緯があることから、精神障害者の家族の全国連合組織である全国精神障害者家族会連合会(全家連)が、日本精神神経学会に対し改名の要望を出した。
  • 2002年8月、日本精神神経学会の決議で、精神分裂病は統合失調症と改名された。同月、厚生労働省が新名称の使用を認め、全国に通知した。
  • 2005年5月、文部科学省科学技術政策研究所の第8回デルファイ調査報告書によると、2022年までに統合失調症の原因が分子レベルで解明されると予測している。

統合失調症治療薬の年表

 
クロルプロマジンの分子モデル。1950年代に統合失調症の治療に革新をもたらした。
  • 1952年、フランスの精神科医である(ジャン・ドレー)(フランス語版)(ピエール・ドニカー)(英語版)クロルプロマジンの統合失調症に対する治療効果を初めて正しく評価し、精神病に対する精神科薬物療法の時代が幕を開けた。
  • 1957年、ベルギーの薬理学者である(パウル・ヤンセン)(英語版)が抗精神病薬のハロペリドールを開発した。
  • 1984年、非定型抗精神病薬のリスペリドンが開発された。
  • 1996年、日本で非定型抗精神病薬のリスペリドンが発売された。
  • 2001年、日本で非定型抗精神病薬のオランザピンが発売された。
  • 2001年、日本で非定型抗精神病薬のクエチアピンが発売された。
  • 2001年、日本で非定型抗精神病薬のペロスピロンが発売された。
  • 2006年、日本で非定型抗精神病薬のアリピプラゾールが発売された。
  • 2008年、日本で非定型抗精神病薬のブロナンセリンが発売された。
  • 2009年、日本で非定型抗精神病薬のクロザピンが発売された。
  • 2009年、日本で非定型抗精神病薬持続性注射剤のリスパダール・コンスタが発売された。
  • 2011年、日本で非定型抗精神病薬のパリペリドンが発売された。
  • 2016年5月26日、日本で非定型抗精神病薬のアセナピンが発売された[112]
  • 2018年4月18日、日本で新規抗精神病薬のブレクスピプラゾールが発売された[113]
  • 2019年10月、第11回デルファイ調査報告書によると、2035年までに統合失調症の脳病態解明に基づく、社会復帰を可能にする新規治療薬の科学技術的見通しが立つと予測している[198]
  • 2020年6月11日、日本で非定型抗精神病薬のルラシドンが発売された[114]

江戸時代の日本

江戸時代の日本の医家の間では、「柔狂」や「剛狂」と呼ばれる精神疾患が知られており、それぞれヨーロッパでの「破瓜病」、「緊張病」に相当する病状であったとされている[199]。中期の(儒医)の香川修徳は著書『一本堂行余医言』(いっぽんどうこうよいげん)[注 39]で「狐憑きも野狐の祟りなどではない。被害妄想、誇大妄想、(感情荒廃)、強迫観念、自閉、不眠幻想、抑うつなどは狂の症状である」との意味を記している[201]

病名呼称の歴史

19世紀には原因は不明であり、認知症が早期に発症したものと誤解されたため早発性痴呆という名称がベネディクト・モレルによってつけられ浸透した。古代ギリシア語σχ?ζειν+φρ?να(分裂+理性、心)に由来する、ドイツ語Schizophrenie という言葉が作られた。

日本では、明治時代精神分裂病が、ドイツ語の Schizophrenie に対する日本語訳として用意された。精神分裂病の「精神 (phrenie)」は、本来は心理学的な意味合いで用いられた単語であり、知性や理性を現す一般的な意味での精神とは意味が異なる。また、「分裂 (schizo)」は、精神そのものの分裂を言うのではなく、「太陽に対して暑い」などの言語連想の分裂を指していた[195]。ところが日本では、「精神分裂病」という名称から、文字通り「精神が分裂する病気」と解釈され、さらには「理性が崩壊する病気」と誤った解釈がされてしまうことが多々あった。

統合失調症の患者の家族に対して、社会全体からの支援が必要とされておりながら、誤った偏見による患者家族の孤立[202]も多く、その偏見を助長するとして患者・家族団体などから、病名に対する苦情が多かった。また、医学的知見からも「精神が分裂」しているのではなく、脳内での情報統合に失敗しているとの見解が現れ始め、学術的にも分裂との命名が誤りとみなされてきた。そこで、2002年に、日本精神神経学会総会で Schizophrenia に対する訳語を統合失調症にするという変更がなされた[203]。訳出にあたっては、その訳語が当事者にとって社会的な不利をもたらさない原則を加味することや、「病」ではなく「症状群」であるといった指摘がなされた[203]。名称変更にかかった費用の一部は、治療に使われる抗精神病薬を販売している外資系企業から提供されたという[204]全国精神障害者家族会連合会を参照のこと)。

治療史

古代ギリシア時代から色々な治療が試みられており、近代医療においても100年以上の歴史を有することから、膨大な種類の治療が試みられてきた。現代の主流は、薬による薬物治療が効果をあげており、それにより80 - 90%が治癒する。しかし、再発する確率も高く、治療および再発防止には家族の協力が不可欠とされる。古くは、日本において漢方薬での治療[205]が試みられ、西洋などでは治療不可能と判断して監禁したり、手足を拘束する、あるいは折檻する、また、近代においても脳の一部を切断するなど現代から見たら非人道的な行為が行われてきた。長らく説得(あるいは根気よく話を聞くことや対話)による治療が試みられてきたが、それらについてはあまり効果が確認できず、近代医学では掃除などの簡易作業を行わせる軽作業型の作業治療による若干の改善が認められて一時期盛んに研究され実施された。この軽作業型の作業治療は、医療現場で患者と接することが多い看護婦(当時の名称)から好まれたという。しかしながら、患者を安全に作業させるには医療機関の手間・暇などの負担が大きい上に、劇的に効果を確認できるものでもなく、症状が若干改善したとしても、他のストレスなどの悪化要因があれば、一進一退を繰り返すなど、根気と忍耐がいるものであり、当時は労務させられる患者や一刻も早く治癒を望むその家族からは不評であり、軽作業型の作業治療は下火となっていった。軽作業の代わりに、趣味園芸など)を行う作業治療が登場したが、患者の要望に応えるためには看護師が、その趣味を指導できる程に覚える必要があり、趣味には膨大な種類があることから患者から寄せられる数多い要望に対応できず、また、要望を出しても病院が対応できない場合は患者症状に悪化をもたらすこともあることから、次第に医療現場では減少した。しかしながら、薬ほど劇的ではないものの、確かに改善効果は認められるために、現在では専門の作業療法士制度を創設して担当している。1950年代から様々な薬が開発されると、劇的に効果を上げるようになったため、歴史的に様々な経緯を経て薬物治療がその主流に存在しており、他の治療法はその補佐的に利用されている。

かつて行われていた治療法

精神外科による外科手術
脳の前頭葉部分の神経細胞を切断する手術で、ロボトミーと呼ばれる。向精神薬の開発と副作用、医療倫理の問題で行われなくなった。1975年(昭和50年)に、日本精神神経学会が精神外科を否定する決議を可決しており、医学上の禁忌である。
インスリン・ショック療法
患者に対してインスリン注射を行い、失神させショック状態に陥らせた後に、グルコースを投与し覚醒させるというものである。強制的な低血糖による医療事故の危険性や、薬物療法・抗精神病薬の出現により、2020年現在では、行われない治療法となった。
信仰療法
自分が絶対ではなく、神が絶対と信じることにより、独特の考えを是正したり、謙虚に聞き入れる姿勢をもたせる。自分が絶対者でないことがわかればよいとするものである。
私宅監置
患者の処遇の一つで自宅の一室などに専用の部屋を確保して患者を監置[注 40]するものであるが、1950年(昭和25年)の精神衛生法施行にて禁止された。

社会的側面など

統合失調症を患ったとされる著名人

日本人

  • 夏目漱石 - 小説家である。精神科医の呉秀三博士に妄想性痴呆(妄想型統合失調症)と診断された[207]。エピソードとして「恋愛妄想」があり、病院で出会った女性が自分との結婚を熱望しているという妄想だが、実際にそうした事実はなかった[208]
  • 高村智恵子 - 画家である。彫刻家詩人である高村光太郎の妻である。46歳の時に統合失調症の最初の兆候が現れた[209]
  • 草間彌生 - 芸術家である。少女時代に統合失調症を患い、幻覚や幻聴の症状から逃れるために絵を描き始めた[210]
  • ハウス加賀谷 - お笑いコンビ「松本ハウス」のメンバーである。著書『統合失調症がやってきた』の中で明らかにし、以後も罹患者としての体験をテレビ番組などで語っている[211]
  • 山田花子 - ガロで活躍した漫画家である。1992年3月統合失調症と診断される。2ヵ月半の入院生活を経て5月23日に退院するが、翌24日の夕刻、団地11階から投身自殺した。24歳没。遺族が出版した、彼女の闘病中の日記が読者の共感をよび、統合失調症への理解が広がった。

日本人以外

 
エドヴァルド・ムンクの代表作『叫び
 
統合失調症を患った後のルイス・ウェインの作品

病跡学との関係

統合失調症を患った著名人は少なくなく、ドイツの物理学者、アルベルト・アインシュタインの二男エドゥアルト・アインシュタインや、イギリスの数学者・哲学者バートランド・ラッセルの多くの家族・親類(叔父、叔母、息子、孫娘)、アイルランドの小説家・詩人、ジェイムズ・ジョイスの娘ルチアなども統合失調症を患ったため、病跡学の研究対象となっている[217][221]

統合失調症が描かれている作品

法律

統合失調症は精神保健福祉法の対象となる精神障害者である[223]。統合失調症者で症状が安定し、就労可能な場合は障害者雇用促進法の対象となる[224]。統合失調症は日本の刑法における心神喪失者、心神耗弱者の要因である精神の障害に含まれる[225]。統合失調症者は医療観察法による入院対象者になりうる[226]。精神障害者に対する差別や虐待は障害者差別解消法および障害者虐待防止法で禁止されている[227][228]障害者手帳障害年金の統合失調症の障害認定では、障害の状態に応じて1から3の等級がある[229][230]。患者の申請によって、障害者総合支援法自立支援医療(精神通院医療)が受けられる[231]。長期間の治療に対する医療費の自己負担軽減策として、国民健康保険の3割負担に加えて、公費負担医療による医療費減額が受けられる。統合失調症など精神上の障害により判断の能力が低下した人を支援する成年後見制度がある[232]日本の民法おいて重度の統合失調症で意思疎通が取れない場合は(離婚事由)となる[233]。統合失調症を含む精神障害はいくつかの資格免許において相対的欠格事由となっている[234]

コスト

2017年の国内の統合失調症関連の年間の医療費は男性が4602億円、女性が4869億円であり、年齢別では0歳から14歳が10億円、15歳から44歳が1703億円、45歳から64歳が3713億円、65歳以上が4045億円であった[235]。2008年の調査によると日本における統合失調症の社会的コストは約2兆7700億円、約7割が間接費用と推定されている[236]アメリカ合衆国の統合失調症関連の経済的負担額は少なくとも600億ドルと見積もられている[237]

統合失調症の一日当たりの一般医療費は入院が13,745円、入院外が9,206円となっている[238][239][注 41]

記念日

5月24日は「世界統合失調症デー」と定められている[240]。また、1992年から世界精神保健連盟により10月10日は「世界メンタルヘルスデー」と定められている[241]

研究事例

  • 新しい診断法の研究
    • 大阪大学大学院連合小児発達学研究科の研究グループは、統合失調症患者の眼球運動の特徴の研究の結果、統合失調症患者と健常者を88%以上判別できることを報告した[242]。統合失調症の客観的な診断法は未だなく、医師の主観により診断していたが、客観的な診断法につながるとして精神医学界で注目され、統合失調症の補助診断法の開発に発展する可能性がある[242]
    • 探索眼球運動(EEM)の検査をすることで、251人の統合失調症患者のうち184人を統合失調症と判別でき(73.3%)、389人の非統合失調症者のうち308人を非統合失調症と判別できた(79.2%)[243]
    • 慢性期統合失調症および健常対照者から計測された複数のMRI画像の脳構造画像データセットを用いて機械学習を行うことで、70%以上を判別可能な機械学習器が開発された[244]
    • 統合失調症の患者の一部では、タンパク質修飾体の(ペントシジン)(英語版)の蓄積とビタミンB6の減少が認められ、このことから、血液中のペントシジンやビタミンB6の濃度をバイオマーカーとして早期診断の可能性がある[245]
  • 新しい治療薬の研究
    • 天然代謝産物ベタインが統合失調症の新しい治療薬の候補に加わった[246]
    • ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプター(peroxisome proliferator activated receptor:PPAR)αアゴニストが治療薬になり得る可能性が示された[247]
    • (トレースアミン関連受容体1型)(英語版)(trace ammine associated raceptor 1、TAAR1)フルアゴニストとセロトニン1A受容体パーシャルアゴニストの作用を有する化合物「SEP-363856」の新規抗精神病薬として有効性が示された[248]
    • (代謝型グルタミン酸受容体1型)(英語版)(mGluR1)拮抗薬が新しい統合失調症治療薬のターゲットになりうることが示唆された[249]
    • (α7 ニコチン性アセチルコリン受容体)(英語版)(α7 nAChR)フルアゴニスト活性を有する統合失調症治療薬の有望性が示唆された[250]
    • 神経栄養因子様作用を有する低分子化合物である「T-817MA」は統合失調症の形態学的異常[注 42]に働きかけることで予防的・根治的治療薬としての可能性を有する[252]
  • 治療薬・持効性注射剤の研究
    • デンマークオールボー大学の調査によると、第2世代抗精神病薬持効性注射剤は支持されるという結果となった[253]
    • リスペリドン持効性注射剤はリスペリドン錠と同様の治療効果を有し、また、服薬の煩雑さの回避が可能な持効性製剤でありアドヒアランスの向上が期待できることから、統合失調症薬物療法の有用な選択肢になると考えられる[254]
    • リスペリドン持効性注射剤(RLAI)と統合失調症患者の主観的評価について、RLAIの投与により「症状改善」「再発の減少」「継続の意思」「治療満足度」の項目で有意な正の相関が認められ、また、RLAI投与前からRLAIへの切り替えにより入院回数の有意な減少が認められた[255]
    • アセナピン舌下錠の長期投与は、統合失調症の幅広い患者集団[注 43]で、良好な安全性と有効性を示すと考えられた[256]
    • ブレクスピプラゾールは統合失調症の急性増悪期および長期維持療法に有効であることが示されており、また有害事象については、錐体外路症状、高プロラクチン血症、体重増加の発現が低いことが示された[257]
    • 統合失調症患者の治療としての抗精神病薬の使用により、静脈血栓塞栓症の発症のリスクが増加する[258]
  • 脳研究
    • 統合失調症患者の脳において淡蒼球と呼ばれる部分の体積が大きくなっている[259]
    • 統合失調症者の脳は前頭前野上側頭回で(ALDH4A)が有意に上昇していることが確認された[260]
    • 金沢大学は、統合失調症患者の共通点として、複数の大脳皮質の部位で特定の神経細胞の変化があることを報告した[261]
    • 統合失調症患者は健常者と比較して白質統合性の指標となる異方性比率[注 44]が全脳レベルで有意に低下しており、両半球の皮質灰白質厚と有意な相関を示し、広範な白質経路で統合性が低下していた[263]
    • 統合失調症の傾向がある人と創造性豊かな人の脳内ではともに、思考中であっても、注意と集中にかかわる部位とされる楔前部が活動を続けており、いずれの脳も大量の情報を取り込む一方で、雑音となる情報を排除できないと考えられる[264]
  • 遺伝子解析
    • 藤田保健衛生大学の研究によると、統合失調症患者には痩せ傾向の遺伝子を持っている人が多いという[265]
    • 染色体16p13.11 領域のNDE1-S214Fや22q11.2 領域のRNT4R-R292Hといったアミノ酸置換が統合失調症と有意な関連があることが示唆された[266]
    • 統合失調症のリスクと関連する(RELA遺伝子)の3つの機能的な一塩基多型(SNP)が同定された[267]
  • 遺伝学的研究
    • 2016年2月、日本の研究で統合失調症原因因子であるQKI-7[注 45]の機能が解明された[268]mRNAポリA鎖伸長過程を調節することでオリゴデンドロサイト分化を行い、CNSミエリンが形成するのである。
    • 統合失調症患者の前頭前野内において、GAD67[注 46]およびZif268[注 47]のmRNA量は有意に低下しており、その発現量は正の相関を示した[271]
    • 統合失調症の発症に強く関与するゲノム変異には、先天性心疾患も同時に引き起こすものが多く、統合失調症は、精神症状の基盤となる脳病態に加えて心臓にも病態があると予想される[272]
  • 神経学的研究
    • ミスマッチ陰性電位(MMN)[注 48]は統合失調症およびその発症リスクが高い状態で低下している[273]
    • ミスマッチ陰性電位が自閉症スペクトラム障害例における統合失調症の併存リスク評価にも有用である可能性が示唆された[274]
    • 認知機能や知覚処理の障害、自我意識障害を有する統合失調症患者は、特にγ帯域の周期的皮質活動[注 49]が障害されていることが明らかになってきた[276]
    • 統合失調症患者由来の神経幹細胞では、神経細胞への分化効率の異常など神経発達障害を示唆する表現型がみられ、これらの異常には特定のmiRNAp38の発現変化が関係していることが明らかになった[277]
    • 統合失調症の神経細胞において、4例の神経突起で対照4例と比較して有意に大きな曲率を見出した[278]
  • 分子病態の研究
    • 統合失調症者の末梢血は健常者と比較してAGEsの有意な蓄積を認められ、ビタミンB6は有意に低下していた[279]
    • 統合失調症の前頭前野微小血管における(クローディン-5)(英語版)の選択的消失が明らかとなり、機序としてcAMP-PKA経路の関与が強く示唆された[280]
    • ポリシアル酸[注 50]は、正常な神経回路の形成や神経発生に関わるとされているが、統合失調症患者において報告された翻訳領域[注 51]における一塩基多型は、酵素活性を顕著に低下させ、それを反映するポリシアル酸構造の質と量を低下させ、そのことによりポリシアル酸の保持機能が失われることが明らかとなった[281]
  • 発症リスクの研究
    • 理化学研究所は脳発達期の脂肪酸の摂取不良が統合失調症発症リスクに関与する可能性があると発表した[283]
    • 富山大学は統合失調症の発症高リスク群のうち、のちに発症する群は、発症しない群と比較して、左後頭葉の脳回の過形成を示すことを報告した[284]
    • 軸索回路網の発達不全に由来する軸索容積の減少は、構造的機能的に粗雑な情報処理系であり、これらが思春期の統合失調症の発症脆弱性を形成する可能性がある[285]
  • 自殺・突然死リスクの研究
    • 台北医学大学のチームは、措置入院には、任意入院と比較し、統合失調症入院患者の自殺リスク低減に対する保護効果がないことが示唆されるとする研究を発表した[286]
    • 慢性期統合失調症患者の自殺リスクの判断に必要な精神科看護師の視点として「潜在化した精神症状」「精神運動興奮への移行」「患者の特有な感覚」「患者-看護師関係の長期化に伴う弊害」が挙げられる[287]
    • 統合失調症患者の自殺の危険因子には、自殺未遂歴や自殺の家族歴といった一般的なものの他、陽性症状や病識の獲得などといった特異的なものがあり、また、精神病症状だけでなく抑うつ症状も自殺に関係すると言われる[288]
    • 統合失調症患者で強迫症状を併存する場合、重い抑うつ症状、多くの自殺企図、重い社会機能不全、低いクオリティ・オブ・ライフ、長い入院期間を呈する[289]
    • 統合失調症患者における突然死について、抗精神病薬総投与量と抗精神病薬・ベンゾジアゼピン系薬剤数が多いことが、突然死のリスクを高める要因である可能性が認められた[290]
  • 自傷行為などの研究
    • 統合失調症患者が妄想により連日にわたり磁石を摂取し、小腸穿孔による急性汎発性腹膜炎と診断された[291]
    • 統合失調症患者において罪業妄想が出現し、自らを罰するために自傷行為を行い、広範囲な頭皮が剝脱した[292]
    • 人工肛門造設術を施行した慢性統合失調症患者が人工肛門を自身で牽引し自己抜去したため、人工肛門再造設術を施行した[293]
    • 統合失調症患者が、過度なブラッシングを行い、歯ブラシを誤用したことで歯肉外傷の自傷行為が生じたが、適切な口腔衛生指導を行い、症状が寛解した[294]
    • クロザピンが様々なタイプの自傷行為・自殺企図に極めて有効であり、自殺関連症状のある症例に極めてよい適応であることが示唆された[295]
  • 再発・再入院の研究
    • 精神科訪問看護師は、統合失調症患者の病状悪化に、「生活様式の逸脱」「病的体験の増悪」「治療意欲の低下」「コミュニケーションの変調」が伴うことを経験的に体得していた[296]
    • 統合失調症患者の再入院の予防には入院中の目標指向的な個別作業療法、良好な外来通院・服薬遵守が有効であるとされる[297]
    • 統合失調症患者の再入院の有意な要因として低学歴、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系薬剤高用量使用が挙げられた[298]
  • 看護援助の研究
    • 自殺未遂をして入院した統合失調症者に対する看護援助は、「自殺行為の再発予防に直接関連する看護援助」、「精神科において基本となる看護援助」、「日常生活の援助」の3つから成り立ち、看護援助に影響する経験は、「自殺行為に接した経験」 、「他の看護師からの自殺に関連した看護援助の学び」 、「精神科看護師としての経験」の3つから成り立っていた[299]
    • 長期入院統合失調症患者の退院支援に関する熟練看護師の看護実践のプロセスのカテゴリーは「患者を捉え直すことで見えてきた退院可能性」「心の奥底にある退院への希望を引き出す」「退院支援に消極的な主治医との意思統一」「退院に賛同できない家族の心情と背景を理解する」「プライマリーナースが主体となるネットワークの構築」「安心を提供するプライマリーナースの役割遂行」「1対1の関わりから自信を持たせる」の7つであり、特に「患者を捉え直すことで見えてきた退院可能性」は他の全てのカテゴリーに影響を与える中心的な現象と示唆された[300]
    • 熟練した精神科看護師による統合失調症者の術後疼痛の判断として、「手術侵襲の影響と回復状態からの判断」「幻覚・妄想からの判断」「疼痛時・不穏時・不眠時指示薬からの選択の判断」「言語的表現と客観的情報の整合性からの判断」「複数の立場からの判断」の5カテゴリーが明らかとなり、そのうち、「幻覚・妄想からの判断」「疼痛時・不穏時・不眠時指示薬からの選択の判断」は術後疼痛のある統合失調症者への特有の判断と考えられる[301]
    • 精神科看護師は、統合失調症者の自己性の形成不全という生き辛さを、間身体性[注 52]による付き合い方の身体知によって築いた関係性によって癒すことが示唆された[302]
    • 地域で生活する統合失調症者と交渉を行う際に看護師が考慮している要素として、統合失調症者の「脆弱な自尊心」「不得手な親密さ」「現実認識の不調和」「固く譲れない意志」「表現されない文脈」「生活全般に影響する精神症状」「変化する生活能力」の7要素に考慮していることが明らかになった[303]
    • 精神科看護師は自己譲渡[注 53]に対して、「待つ」「ケア者の価値観を捨てる」「失敗を活かす」の3つの看護支援を基本に実践しており、また、不参加の自由に対して、「本当の意味での「不参加」はないと信じる」「対象者のペースでコミュニケーションをとる」「諦めない」の3つの看護支援を基本に実践していた[305]
    • 統合失調症者に対する身体ケア技術は、「精神及び身体の状態を観察・把握する」「身体感覚の機能を代理し、回復を促す」「自我を保護し、補足する」「看護師の身体性を通して、空無化した身体の存在を保証する」「身体像の修復を促す」という5つの技術から構成されており、特に「身体感覚の機能を代理し、回復を促す」技術の重要性が示唆された[306]
  • 訪問看護の研究
    • 効果的な訪問看護においては、利用者の地域生活に対する意志を看護師が了解する前後で目的が変化していた[307]
    • 地域に住む単身の統合失調症者にとって必要なのは、地域で生活していける実際的な能力であり、そのような能力を引き出し、発揮し自立に向けての訪問看護師の看護技法を発展させていくことが必要と考えられる[308]
    • 訪問看護師は、統合失調症患者が地域生活において対処できない服薬、清潔、金銭管理、熱中症予防などの問題に対して、患者の状態に適合させて段階的に継続的な支援を行っていた[309]
  • 支援に関する研究
    • 有効と考えられる退院支援について、支持的な援助関係を築き、意欲を引き出していく基本的な治療技術や、治療チームとその運営の技術が重要とされる[310]
    • 退院の意向をもつ長期入院統合失調症患者の退院調整の障壁を打破するためには、必要な追加教育を精神科看護師に紹介し、専門的な技術を展開できるように支援する必要性が示唆された[311]
    • 統合失調症未治療・治療中断の本人の家族から受診に関する相談を受けて、本人が医療保護入院となった支援事例において、行政専門職による家族への支援内容として「介入の見通しを立てる」「家族と相談関係を築く」「家族の決心を待つ」「家族による説得を見守る」「入院までの体制を整える」「入院後も本人と家族を支える」の6つのカテゴリが抽出された[312]
  • 他疾患の発症
    • 統合失調症、呑気症および難治性便秘があり多剤向精神薬、下剤を長期常用していた患者が、2次性偽性腸閉塞をきたし、何らかの増悪因子が加わり腹部コンパートメント症候群(ACS)に至った[313]
    • 統合失調症に横行結腸軸捻が併発した事例があり、発症要因として複数の向精神薬を服用しており、慢性便秘であったことが考えられた[314]
    • 統合失調症に異食症を合併したという報告が多数あり、約3%の患者にみられたとの報告がある[315]
    • 統合失調症患者の口腔内は、抗精神病薬の副作用による唾液分泌の低下や、口渇のための清涼飲料水に含まれる糖分摂取が原因で齲蝕が発生しやすく、また患者の多くが好む喫煙は歯周病の要因となる[316]
    • 統合失調症患者に身体的低活動、栄養障害、骨粗鬆症骨折などが多い[317]
    • 統合失調症を抱えながら慢性腰痛を持つ患者に対して運動療法による介入を行った過程で、痛みの原因に認知のゆがみが関係していることに行きつき、これらは非特異的腰痛であると考え、心理社会面へのアプローチを進めたところ改善へと向かった[318]
    • 統合失調症治療薬の消化管有害事象では、便秘は日常診療上最も頻度が高く、増悪するとイレウス消化管穿孔などの致死性を有する[319]
    • 統合失調症患者は肺炎COPDCOVID-19罹患率が高い[320]
    • 統合失調症に合併しやすい循環器系疾患として、虚血性心疾患や、クロザピン使用による心筋炎心筋症、心伝導系の障害による致死的不整脈があげられる[321]
    • 統合失調症を合併した急性虫垂炎症例では虫垂穿孔および術後合併症の頻度が高く、それらのリスクを考慮したうえで周術期管理に臨む必要がある[322]
    • 酸化マグネシウムは下剤として頻用されているが、抗精神病薬投与中は、抗コリン作用の腸管蠕動低下に伴うマグネシウム製剤の腸管内停滞によりマグネシウムの吸収率が高まり、高マグネシウム血症をきたすことがあるため、抗精神病薬を服用中の統合失調症患者では、常用量のマグネシウム製剤の内服であっても、注意深い臨床症状の経過観察および血清マグネシウム濃度のモニタリングが必要であると考えられた[323]
    • 水中毒の既往がある統合失調症患者に透析を導入する場合、多飲に対する有効な抗精神病薬はないうえで水分制限を課す必要があり、水分制限ができない場合は予後不良になる可能性がある[324]
    • 統合失調症の嚥下障害者では、嚥下機能の低下だけではなく、日常生活行動(ADL)や栄養状態の低下が誤嚥性肺炎の発症と密接に関連していた[325]
    • 統合失調症患者の安全な周術期管理のためには、精神科医の協力による精神的ケアが重要であった[326]
  • 他疾患との関連
    • 名古屋大学大学院の研究により、統合失調症と自閉症スペクトラム障害は発症メカニズムにオーバーラップがあることが発見された[327]
    • 統合失調症患者の(自閉症スペクトラム指数)総得点は対照群より高得点を示し、左上側頭溝周辺領域の皮質における灰白質体積と負の相関を示しており、統合失調症と自閉症スペクトラム障害は部分的に神経解剖学的基盤を共有することが示唆された[328]
    • 幻臭と異嗅症[注 54]との区別は難しいが、基礎に統合失調症が存在すれば統合失調症の病態と判断ができる[329]
  • 生活習慣病・メタボリックシンドローム・肥満との関連
    • 統合失調症患者と生活習慣病の関連において、患者の生活習慣病罹患率は高率で、健康状態について健康と回答した割合や生活習慣について健康的と回答した割合は低率であったが、生活習慣の改善を実行しようとしている割合や生活習慣に対してアドバイスが欲しい割合といった意識については高い傾向を示した[330]
    • 統合失調症患者のメタボリックシンドローム発症率(MS)は男性で27.2%、女性で15.3%、全体で22.1%と一般成人と比較して極めて高率である[331]
    • 統合失調症患者の薬物療法において、非定型抗精神病薬の登場により、抗精神病薬の副作用の主軸が従来の錐体外路症状などの不随意運動から肥満を含めたメタボリックシンドロームのリスクへと移行してきており、その対策として薬物療法の調整だけでは効果は不十分で、食事や運動など行動変容を目的とした健康管理プログラムが重要とされる[332]
    • 入院中の統合失調症患者におけるメタボリックシンドローム有病率について、抗精神病薬の種類とMSとの関連性は認められず、脂質異常や血圧異常によるMS発生が多いことが示唆された[333]
    • 地域で生活する統合失調症患者のメタボリックシンドローム発症について、男性では「BMIの増加」と「喫煙の傾向」がMS発症頻度を増加させ、「洗濯をする」がMS発症頻度を減少させた[334]。女性では「BMI増加」がMS発症頻度を増加させ、「リスペリドン服用」がMS発症頻度を減少させる結果であった[334]
    • 統合失調症者で糖尿病を合併する患者の血糖コントロール困難の要因は「自制困難」と「精神症状の悪化」が強く影響していた[335]
    • 統合失調症患者の治療における抗精神病薬の副作用としてメタボリックシンドロームや2型糖尿病の発症を捉えると、様々な交絡因子が複雑に絡み合っているがゆえに、合併について大きな個人差が生まれている可能性があるため、これらの合併症の出現を予測することは容易ではなく、どの抗精神病薬を使用しても注意深い血糖モニタリングを継続することが必要と考えられる[336]
    • 非定型抗精神病薬のメタボリックシンドローム誘発機序として、特にオランザピンが脂肪細胞を直接刺激して脂質の取り込みを亢進させるとともに、交感神経系を活性化するという相乗効果によって肥満を引き起こすことが明らかとなった[337]
    • 入院体験を契機に肥満となり退院後も肥満が持続している統合失調症患者に対する看護援助として「肥満を予防するために、入院中と退院後の活動性拡大の機会を見逃さない」「抗精神病薬の副作用について正確な知識を普及し、主体的な肥満対策ができるように援助する」「効果的な減量のための家族を含めた積極的な相談体制を確立する」の3つの必要性が明らかとなった[338]
  • 作業療法の研究
    • 統合失調症に対する作業療法、および作業療法士が実施している心理社会的介入は特に認知機能が多くの介入で効果を示す重要な治療標的であることが示唆された[339]
    • 統合失調症患者の男女が合同して作業療法を行う影響として、「社会参加の広がり」「外見への配慮」の項目で女性に顕著な結果が現れ、社会性の獲得に影響を与えることが示唆された[340]
    • 作業療法の介入が、統合失調症患者の社交不安症状の改善に寄与できる可能性が示唆された[341]
  • 理学療法の研究
    • 統合失調症者に対する理学療法は身体面、精神面の両方に有効である可能性がある[342]
    • 身体合併症がある精神科病棟入院患者に対する理学療法は生活機能だけでなく精神機能の改善も期待できることが示唆された[343]
    • 理学療法拒否が見られた統合失調症患者に対する(応用行動分析学)的な介入において、対象者の受け入れやすい行動目標(歩行)を取り入れ、歩行距離の延長という強化刺激をフィードバックすることで、理学療法への参加行動を定着させることに成功した[344]
  • 音楽療法の研究
    • メタ分析により精神病症状に音楽が与える影響を評価した結果、音楽は精神病症状の抑制に有意に有効であることが示されたが、生演奏と録音音楽、構造化された集団音楽療法と受動的音楽聴取、および好みに基づく音楽と療法士の選択した音楽の間で効果に違いはみられなかった[345]
    • 慢性期統合失調症患者に対して音楽療法を介入することにより精神機能面、社会機能面、認知機能面における効果が認められたが、これら効果は個人の音楽背景によって変化が異なっており、患者の音楽背景に基づいて音楽療法を導入することが治療効果を高めるということが示唆された[346]
    • 緊迫感と自閉の強い統合失調症患者に対し数年にわたり個人音楽療法を施行したところ、既成曲の歌唱・聴取の形で音楽に没入する時期を経て緊迫感と自閉が軽減したことから、「音楽体験への没入」と「それが患者の好む既成曲であること」に意義が見出せた[347]
    • 無為自閉状態が課題の統合失調症患者には音楽療法の同質の原理[注 55]に基づき、好きな歌手に関連する働きかけを行うことが有効である可能性が示唆された[349]
    • 統合失調症患者の好みに応じて音楽活動を取り入れることは、短期間であっても、患者の症状改善に有効である可能性が示唆された[350]
    • 短期間でも音楽療法実施中は日常生活評価と比較して、働きかけや指示に対する反応が改善しており、また、社会性が一時的にせよ向上し、周囲への無関心が改善されていると考察された[351]。さらに、活動性や意欲が向上すると思われる一方、表情は日常生活と比較して変わらないことが明らかになった[351]
    • 精神科作業療法における音楽活動を実践する際に、生演奏はバーバル[注 56]な水準での関与が困難な患者に対して有効な、治療導入時の手段やセラピストと患者間の関係作りとなりえる可能性があり、さらには外部からの感覚入力の手段としても有効であることが推測された[353]
    • 看護師の視点として、音楽療法は患者理解を助け、患者と看護師との関係作りに効果を認めることができると実感していた[354]
  • 芸術療法の研究
    • 軽躁状態を呈する統合失調症患者に通常の精神療法と並行して絵画療法を行った結果、軽躁状態の改善とともに作品の描画時間が有意に減少しており、絵画療法の時間を測定することで患者の全体的な理解に役立つ可能性が示唆された[355]
  • 施術などによる改善の研究
    • ハンドマッサージは統合失調症患者に対して生理的・心理的リラクセーション効果があることが示唆された[356]
    • 残遣型統合失調症患者に足浴・フットマッサージの介入を行った結果、介入終了6か月後においても効果は持続していることが示唆された[357]
    • 気分変動の激しい統合失調症患者に対して交換日記を用いた面接を行い気持ちを言語化した結果、落ち着きを感じるようになり、看護師の患者理解が進み、患者と看護師関係の構築に繋がった[358]。また、現実的な会話が増え、治療に対する積極性が得られ、 暴言に変化はみられなかったが暴力は減少し、攻撃性は言語的なものに限られた[358]
    • メタ認知トレーニングが統合失調症の症状改善に有効だとするエビデンスが示された[359]
    • オープンダイアローグ、すなわち、当事者を支えるネットワークに関わる人達が集まり対話を行うことで、統合失調症をはじめとする精神疾患の再発率が激減している[360]
    • 統合失調症患者に外科的矯正治療を行うことは悩みから開放されることから、形態面、機能面だけでなく心理面でも大きい影響を与え、患者の感情の変化や行動にも影響を及ぼすことが示唆された[361]
  • 当事者の体験
    • 統合失調症者の思い描く生活は、まず発病前に「病気になる前の生活」を体験し、発病前後に「あたり前の生活からあたり前ではない生活へ」「変わりゆく生活に苦しむ」を体験、病状の安定によって「健康であるという実感」「自分の存在を認めてくれる他者の存在」「活動の場がある」に変化し、さらに自らの主体性を取り戻すことにつながり「新たな生活の思い」を可能にしていた[362]
    • 統合失調症患者が抱く希望は、家族の存在、友人・支援者の存在、信仰・信念、人への奉仕、就労による社会復帰、地域での生活の持続、異性の友人づくり・結婚、趣味の充実、将来の夢の実現、病状の回復、家族の成長と健康であった[363]
    • 自分はこれでいいという気持ちは統合失調症患者が血みどろといえる闘いのあとで辛うじて確保できるものであり、患者はなんども行きつ戻りつした後で厳しい現実の中で生活方法や生き方を身につける[364]。患者の行きつ戻りつの揺らぐ気持ちに寄り添うことが重要な看護援助と考えられる[364]
    • 統合失調症者の病いとの折り合いの概念は「自分らしく生きる」であったが、偏見をはじめとする病いの体験に苦しんでいた[365]
    • 統合失調症患者の発症前の生活エピソードとして、「対人関係をめぐる苦痛」「認識の歪み」「的外れな対処」「状況把握の困難」「日常生活上の障壁」「仮面の生活」の6つの軸が挙げられた[366]
  • 当事者家族の体験
    • 統合失調症当事者の家族の手記の研究から「統合失調症の発症により激変した生活」「辛く苦しい状況」「症状に 振り回される日々」「助けを求め彷徨い相談の場を獲得する」「壮絶な状況を経て医療に繋がる」「自責の念を抱く」「統合失調症を学び自分を取り戻す」「当事者と共に回復していく」「現在の当事者の家族と当事者の落ち着いた生活」「当事者の家族としての経験の内省」の体験のテーマが存在し、それらの体験には、医療につながるまでの時期、入院から社会復帰までの時期、社会復帰から現在、と様相が違う3つの時期の事象が語られた[367]。そこには家族にとって語るに外せない体験のエッセンスが存在し家族に大きな影響を及ぼした[367]
    • 混乱時期における統合失調症患者の家族の体験は「家族の変調に対する対処困難」「(スティグマ)が招く憂い」「家族のきずなが崩壊する危機」「発症に対する自責の念」「当事者との生活が限界に達してからの援助の希求」「資源に対する渇求」「医療介入により感じる緊張からの解放」の7つに集約された[368]
    • 在宅で療養する統合失調症者の親は、夫婦で協働して多くのケアを担っており、父親は情緒的な母親を支え、子を客観的に見ながらも精神的に支える援助をしていることが多い[369]
    • 地域で適応的な生活を送っている統合失調症者の両親の体験として「激変した子どもに動揺する中で、母親は状況打開の方法を探し求める行動をとっていたが、父親は社会との関係を意識して一人で抱え込む対応を行い、両親で異なる体験」をしていた[370]。 また、両親ともに子どもを精神科に入院させたやるせなさに激しく苦しみ、心中を考える程の苦悩を体験する一方で、子どもを護れるのは自分たちしかいないと連帯感を強めており、以降は、子どもへの慈愛とともに信頼感をもって見守る思いへと変化し、関係の質の発展が認められた[370]
    • 統合失調症の子を持つ父親の体験として「経済的サポートを中心に間接的に子どもを支え、時間的余裕が増えた以降に子どもへの関わり方や父親自身の人生について考えていた」「子どもとの関わりに迷いながらも家族成員の最善を考え、最終意思決定者の役割を担っていた」がある[371]
    • 統合失調症の子をもつ父親の子と病気への対処と病気との向き合い方について、「家族への気遣い」と「父親としての在り様」の2つのテーマが得られた[372]。また、父親は、母親とは異なる責任感をもって子と接していると考えられ、家族など周囲の人々と少し距離を置きながら、間接的に子の日常的ケアを行っていた[372]。父親が子に対応していると考える程度と、母親が考える程度にはズレがあり、また、自分の感情を表出することが少なく、専門職者ともつながりにくい傾向がある[372]
    • 統合失調症患者の子を持つ母親は自身の養育態度に統合失調症発症の原因があると考え、罪の意識を持ちながら生活している[373]。母親がより希望を持ち自己成長を感じ取るためには、母親が罪の意識から開放されることが必要である[373]
    • 統合失調症患者の子を持つ母親は統合失調症に関して混乱と恐怖を強く記憶に留めており、母親がもつ恐怖体験に対して、早期に心理的ケア行うなどの支援が必要であると示唆された[374]
    • 統合失調症患者の親の家族会入会の体験として、家族会入会までの家族の心理的変化には「混乱」「後悔・自責感」「孤立」「元に戻る・期待」「元に戻らない・覚悟」「家族会入会」の6段階があり、家族会で得たものには「情報」「未来への希望」「居場所」「信頼できる仲間」「体験的知恵」「自信」の6つが含まれた[375]
    • 当事者が発症後、長い年月を経た家族は落ち着いているようであり、病気や当事者を受け入れることに葛藤しているようにはみえないが、きょうだい[注 57]は長い年月を経ても、病気と当事者の受け入れに対する葛藤を抱えてアンビバレントな心的態度が認められ、当事者のきょうだいであることを不名誉に感じることが、他者に配慮する姿勢につながっていると考えられる[376]
  • 当事者家族の研究
    • 統合失調症患者の家族の感情表出を高める要因は患者の精神症状より日常生活と直結した認知機能障害である可能性が示唆された[377]
    • 統合失調症を抱える家族はPTSD傾向の影響によりストレスフルな状態にあり、精神健康の悪化に伴い主観的困難感や負担感をきたしやすい可能性が示唆された[378]
    • 統合失調症患者の家族介護者が抱える苦悩として、「親亡き後の子どもの将来」と「介護者としての自分自身の苦悩」が示され、「精神症状に対する対応の困難性」「精神症状の再燃」「経済的負担」「家族介護者自身の体調不良」「副介護者がいないこと」の5つの苦悩の内容が明らかとなった[379]
    • 家族の介護負担感に関しては、当事者が娘よりも息子である母親のほうが、介護負担感は深刻であるとされる[380]
    • 統合失調症者の発症は、きょうだい[注 57]に混乱を経験させ、その後の日常生活やライフイベントに負の影響を与えていた[381]。また、統合失調症者のきょうだいが日常生活支援に加えて、親と統合失調症者の関係調整を担っていることが報告された[381]
  • 統合失調症者の描く絵
    • 統合失調症者の描く樹木の絵は健常者と比較して、描画の位置が中央からずれていること、サイズが小さいこと、描かれた枝や幹が一本線であることなどが認められ、また構造的特徴に関して指標値が有意に小さく、統合失調症者の描く樹木のバランスの悪さを特徴づけていることが示唆された[382]
    • 統合失調症患者は描画において健常者より対称性を強く選好することが明らかになり、理由として意欲の低下、感情の平板化による想像力や創造性の低下といった陰性症状と意図的抑制の欠如、不安や緊張といった陽性症状が関連していることが示唆された[383]
    • 慢性期統合失調症者のバウムテストの特徴として、全体を通じて造形性が貧困化しており、平板で常同的であったが、活動性や社会性の回復に伴い、樹冠の拡大や、二次元枝の出現、葉数の増加などの変化が見られた[384]。また、共通して形式化の傾向や二次元水準での幹と枝の関連付けの欠如が見られた[384]
    • 統合失調症患者の症例において、動作を描くことができる描画から動作を描くことができない描画に変化したことから状態の悪化が見られ、統合されない描画であったものが、身体的不調を自覚し、訴えられるようになるにつれ、描画に歪みはあるものの空間構成は適合的なものに変化し、長期入院から退院した[385]
    • 統合失調症患者の描いた樹木画の心理評定の前処理としてファジィ推論を用いることで、入力画像がもつ描かれた樹木の形態や濃度に関する特徴を組み合わせた出力画像を得ることができ、それらの特徴に基づき、描画画像に対する評定とは異なる評定が可能であることが示された[386]
  • 妄想・幻覚の研究
    • 統合失調症患者の妄想的観念はその主題に基づいて分類することができ、負の感情価の主題を持つ観念は被害妄想的観念となり、正の感情価の主題を持つ観念は誇大妄想的観念となり、さらに、被害妄想的観念は「疎外」「被害」の主題を持つ観念で、誇大妄想的観念は「被好意」「庇護」「他者操作」「自己肯定」の主題を持つ観念で構成されると想定できる[387]。主題に対する感情と原因帰属の影響を検討した結果、正あるいは負の感情価の主題を持つ妄想的観念ごとに抑うつや怒りなど共通する影響要因が存在した一方で、各主題ごとに異なる影響要因も存在した[387]
    • 統合失調症患者の被害妄想的観念の頻度には抑うつと全般性[注 58]が、確信度には抑うつ、外的-人的帰属[注 59]、および全般性が、苦痛度には抑うつと不安が影響を与えていた[388]
    • 脳の左半球の80 Hz-ASSR[注 60]の障害が強い統合失調症者ほど幻聴の程度が重度であるということが示唆された[389]
    • 統合失調症患者でカタトニア[注 62]を認めた群では幻視の出現頻度が有意に高かった[391]
  • 感情の研究
    • 統合失調症患者の鈍麻・減退に伴う感情をサポートすることは、彼らの自尊感情を回復させることに繋がることが示唆された[392]
    • 統合失調症患者がより良い自尊感情を得るには、社会生活技能を高めたり維持することが有効な方法の一つである[393]
    • 統合失調症発症の影響を受けて保持できなくなった自尊感情と同一性を当事者が再形成していく過程には、重要他者との相互性をもとに、他者との比較や社会的価値観にとらわれず自分の存在や人生を肯定的に捉えることが出来るようになったことが影響したと推察できた[394]
    • 統合失調症者が模倣による経験学習[注 63]をすることで感情認知の向上が認められた[395]
  • 意志の研究
    • 長期入院する統合失調症患者の以前の生活体験や生きる姿勢は自主性に大きく影響し、また、病識の有無という観点ではなく、その人にとって障害がどのような意味をもたらし、生活にどのような影響を与えているのかということも自主性と深く関連していた[396]
    • 長期入院する統合失調症患者は、生活者として自ら周囲の人、モノや環境に働きかける意志と、未来への意志決定を見失わずに持ち続けていることが明らかになったが、同時に、その意志を十分に発揮することができない現状もあった[397]
  • 陰性症状の研究
    • 妄想型統合失調症の治療中に出現した陰性症状に対して、加味逍遥散と補中益気湯が奏功した症例を経験した[398]
    • 陰性症状に対する効果がメタ解析で示された治療法は少なからず存在するが、その効果量はいずれも小さく、臨床的に意味がある大きさではない[399]
  • 認知機能の研究
    • 統合失調症患者の表情認知における視線運動の特徴として、顔の一部分だけを見る傾向が強く、また、表情を漠然と見ており、視覚情報の不足が推測されること、および、顔のパーツを選択的に捉える能動的な視線の動きが少ないことが明らかになり、表情認知機能の障害との関連が示唆された[400]
    • ヒューマノイドロボットの感情表出に対する感情知覚を統合失調症患者と健常者で比較した結果、健常者群の誤知覚が陽性感情や陰性感情のそれぞれのグループ内で生じる傾向があるのに対し、患者群では陽性感情を陰性感情と誤知覚、または陰性感情を陽性感情と誤知覚することが生じていた[401]
    • 統合失調症患者は認知機能に対しての洞察が十分でなく、自身の認知機能障害を正しく評価することが困難であると予想され、また、患者は家族に比べて自身の認知機能障害を重く評価する傾向があることが示唆された[402]
    • 統合失調症患者のリズム同期能力[注 64]ワーキングメモリに相関が認められた[403]
    • 羅布麻は統合失調症治療薬を補完し、認知機能障害を改善する効能がある可能性が示唆された[404]
  • 社会機能の研究
    • 神経認知や社会的認知を直接の標的とする介入技術は、これまでの心理社会的治療では十分な効果がみられなかった社会的機能をさらに改善する可能性がある[405]
    • 長期入院の統合失調症者においては社会機能と陰性症状の関連として、日常生活や労働には意欲の低下が、対人関係には非社会性や感情鈍麻が有意に寄与することが示された[406]
    • 統合失調症患者のリズム同期能力[注 64]が低いと社会機能が低い結果となった[403]
    • 長期入院統合失調症者の日常生活、労働には意欲の低下が、対人関係には非社会性、感情鈍麻が有意に寄与していた[407]
    • 発散的思考[注 65]を高めることで統合失調症患者の陰性症状や日常生活能力の改善が望めると考えられる[408]
  • 自我の研究
    • ラバーハンド錯覚測定(RHI)により統合失調症者は自我障害によって健常者と異なる内容の錯覚が起こることが示唆され、自我障害を評価するツールとなりうることが示された[409]
    • コロナ禍における非接触支援としてソーシャルディスタンスを保ちながら、言語教示を用いて行う動作法による支援が統合失調症の自我障害に作用しうることが示唆された[410]
    • 青年期統合失調症患者の寛解期以降の生きにくさは、「病気の本態に関連する生きにくさ」に対して「病気である自分に対する思い」と日々格闘しながら「他者との間で葛藤」し、「日常生活の制約」を強いられるという相互関係があり、またそのことが自己を確かな者と感じることを妨げており、その「不確かな自己」がさらに生きにくさを助長する構造をなしていた[411]
    • 統合失調症患者において、他者の視点から捉える自己が、他者の捉え方と非常に近い在り方である可能性が示唆された[412]
  • 病識の研究
    • 精神症状の重症度は病識の低下のせいぜい5%しか説明できないことが示され、精神症状の重症度と病識はある程度独立したものであると考えられる[413]
    • 統合失調症者の病識の認識向上の支援には「現実的認知の促進」や「精神障害者観と自己価値の改善」の必要性が示唆された[414]
    • 統合失調症者の病識のレベルを高める看護介入として、「病的体験を客観視できるようにかかわる」「服薬体験の表出を促す」ことが考えられる[415]
  • 機能の研究
    • 統合失調症患者において、疼痛感受性の低下が指摘されており、疼痛感受性の低下は診断の遅れや誤診につながる可能性がある[416]
    • 長期在院中の統合失調症患者は、3年間の経過で、特に(下肢筋力)と静的バランス能力[注 66]が低下していることが判明した[418]
    • 男性統合失調症患者の59.3%、女性患者では49.1%が何らかの性機能障害に関連する症状を有していた[419]
    • 統合失調症患者の首尾一貫感覚(SOC)[注 67]総得点は低値で、SOCを高めるには、日常生活動作の自立や拡大、心身面への健康度などの健康水準を高める援助が必要である[420]
    • 化粧には統合失調症を持つ女性の現実感覚を回復させ、日常生活行動を改善する効果があることが示唆された[421]
    • 統合失調症者のパソコン操作技能習得過程において、統合失調症者は健常者と比較して多くの困難理由があり、統合失調症者だけに認められる困難理由も存在した[422]
    • 統合失調症患者と健常者の図形分割課題時の眼球運動を測定した結果、健常者と比較して統合失調症患者の方が有意に注視時間が長い傾向が認められた[423]
  • 服薬・アドヒアランスの研究
    • 服薬体験が服薬態度に影響を与えるのではなく、服薬体験によって生じた感情が服薬態度に影響を与えることが示唆された[424]
    • 「過去の服薬に対する気持ち」を尋ねることでDAI-10やKIDIといった既存の服薬アドヒアランス評価に比べて簡易的で負担が少なく、より客観的な服薬アドヒアランス評価ができる可能性があることがわかった[425]
    • 病識と服薬態度には強い関連があり、病識を高める関わりが統合失調症者の服薬態度を良好にする可能性が示唆された[426]
    • 統合失調症者の服薬意識向上に影響を与える看護師の介入として、「専門的知識の習得を基盤とした看護師の介入」「統合失調症者の意向を汲み取ることに念頭を置いた看護師の姿勢」がカテゴリとして抽出された[427]
    • 統合失調症患者の退院時点から6ヵ月間の服薬状況として、服薬良好群は全体の64%、服薬不良群は12%であり、24%が調査期間中に脱落した[注 68][428]。服薬率の低下が特に目立つのは、退院直後の1週間から1ヵ月にかけてであり、この時点で20%の対象者が服薬遵守不良を示した[428]。また、服薬不良群においては、定められた服薬時間からのズレが大きく、日ごとのばらつき具合も大きかった[428]
    • 統合失調症の治療においては治療者と患者の良好な治療関係が基本となり、この関係を構築することがアドヒアランスを向上させる最大の対策である[429]
    • 統合失調症治療において、米国やドイツでシェアード・ディシジョン・メイキング(共同意思決定)を導入した例では、臨床的転帰や服薬へのイメージ、さらにはアドヒアランスも改善したと報告されている[430]
  • リカバリーの研究
    • 統合失調症者のリカバリー(回復)には、デイケアや施設、職場や友人、医療者などからの対人的な情緒的支援に対する認知の高さ、セルフスティグマ[注 69]の低さ、趣味を有していること、高年代、精神科初診年代の低さが有意に影響することが示唆された[431]
    • 地域で生活する統合失調症患者のリカバリーの構成概念として「新たな目標や願望をみつけ、主体的に生活する」「自分自身を客観視し、肯定的なセルフイメージをもつ」「主体的に支援を活用し、病状が安定する」「地域社会で相互関係を築き承認される」の4つの属性が抽出された[432]
    • 地域で生活をする統合失調症者の回復とは「他者の理解の中だけにある未知の自分の存在を認知する」ことであり、「未知の自分と既知の自分を共存させる」ことであった[433]。また、このために「既知の自分を維持・強化し続ける」ことが必要であった[433]
    • 統合失調症者のリカバリーにおけるスピリチュアルな成長[注 70]とは、病気によって発現したスピリチュアルペイン[注 71][注 72]を日々の出来事や他者とのかかわりの中で実存的・自覚的に問い続けることで、自己と他者(超越者[注 73]も含む)とつながり、絶え間ない変化とともに、人の限界と有限性において、自己と他者、その存在を慈しみ生きていく日々の生であったといえる[434]
    • 地域で生活する統合失調症をもつ人のリカバリー過程における食の意味として「栄養・エネルギー補給のための食」「健康維持増進・疾病予防のための食」「人や社会との関わりを深める食」「楽しみ・疲れを癒す・ストレス解消・気分転換のための食」「自己実現のための食」の5つのカテゴリーが生成された[435]
  • レジリエンスの研究
    • 統合失調症者のレジリエンスにおける、回復過程を促進する力は「考える力」「受け入れる力」「自分を守る力」「楽しむ力」「人とかかわる力」「社会に参加する力」「今できることをする力」「自分を成長させる力」の8つカテゴリーに分けられ、これらの力は相互作用をしていた[436]
    • 統合失調症者のレジリエンスの特徴を示すカテゴリーとして、「対象者の変化を切望する気持ち」「もう二度と同じ苦しみを味わいたくない」が得られ、2つの気持ちの高まりが回復するという覚悟を持つ変化を起こしていると考えられる[437]
  • QOLに関する研究
    • 統合失調症患者のQOL得点は健常者やうつ病患者と比較して低いことが明らかにされた[438]
    • 統合失調症患者の主観的なQOLを改善するには抑うつ・不安症状に焦点を当てた治療戦略が必要であることが示唆された[439]
    • 統合失調症患者のQOLについて入院群ではプライバシーを確保することがQOL向上のひとつの要因であると考えられ、また地域滞在群ではグループホーム居住者は生活の満足度が高く退院後の受け入れ先として良好な環境であることが示唆された[440]
    • 肥満度が統合失調症患者のQOLに与える影響について、BMI値30以上の肥満においては低下するものがある一方で、BMI値25以上30未満の過体重においてはむしろQOL指標が向上する項目があることが明らかとなった[419]
    • 在宅生活をする統合失調症患者がより良いQOLを獲得するためには、患者の居場所感を高める支援が有効であることが示唆された[441]
    • 在宅生活をする統合失調症患者がWHOQOL[注 74]で高い得点を得るには、自尊感情を高めたり維持することが有効な方法の一つである[443]
    • 統合失調症者、精神障害者家族会会員、一般住民のWHOQOL値を比較したところ、統合失調症者が有意に高い項目は「健康と社会的ケア;利用のしやすさと質」で、低い項目は「医薬品と医療への依存」と「性的活動」であった[444]
  • 理解度の研究
    • 統合失調症の理解と批判的態度は関連がみられなかったが、偏見は批判的態度を高める方向に関連がみられた[445]
    • 統合失調症者の家族の協力度と理解度との間に比較的強い相関が認められ、また疾患名、服薬の継続、家族の関わり、リハビリテーションの理解度が低いほど困難度が高い傾向にあった[446]
    • 高校養護教諭の統合失調症およびうつ病のヴィネット[注 75]に対する正答率は一般住民より高く、日々の業務の中で生徒の心身の健康問題に対応してきた表れとも考えられる[447]
  • イメージ・偏見の研究
    • 看護学生の講義に幻聴や妄想を題材にした「幻聴妄想かるた」[448]を導入することで、学生の統合失調症に対するイメージが肯定的に変化する効果を得ることができた[449]
    • 統合失調症偏見除去プログラムを提言するため当事者との直接的接触を基調にした短期介入プログラムを実施ところ、精神障害者との直接的な接触の有効性、精神障害をもつ人たちの実生活に関する情報が病気に関する知識以上に重要視されなければならないことが明らかとなった[450]
    • 精神障害を持つ家族(患者家族)と精神障害者とかかわりのない家族(一般家族)の統合失調症に対するイメージと社会的距離を調査した結果、患者家族は一般家族よりも社会的距離は低く、精神障害に対する知識も豊富であることがわかったが、病気に対する知識は豊富であるにもかかわらず、統合失調症に対するイメージは一般家族と変わらず危険なイメージであった[451]
    • 薬学部生などに統合失調症に関する意識調査を行ったところ、「精神科へのマイナスイメージ」「病院での治療の必要性」「器質的原因[注 76]での発症」「病院における治療への抵抗感」の因子が抽出された[454]
  • 統合失調症と地域生活
    • 統合失調症者の日本における「地域生活」は、「地域社会の中に生活の場を置き、生活基盤を構築し充実感が得られる生活の営み」と定義が見いだされた[455]
    • 慢性期統合失調症患者の地域生活の定着に向けた意志決定の過程は、「安心して意欲を回復する局面」「現実へ直面して自分を知る局面」「自ら判断して生活を積み重ねる局面」の3つの局面で構成されていた[456]
    • 統合失調症者が「思い描く生活のイメージ」は、時間とともに不確かな生活像から現実に即したリアルな生活像に変わっていくプロセスとしてあり、そのプロセスは「新たな生き方の気づき(新たな意味への気づき)」の影響を受け「具体的な生活のありよう」と「病気とのつきあい方」を時間とともに広げていくプロセスであった[457]
    • 高齢な親と同居している男性統合失調症患者が自立に向かうプロセスとして、「頼みの綱は親の支え」「親のかかわり変化の気づき」「ケアされる側からケアする側への行きつ戻りつの逆転」「親への依存と自立の混在からの葛藤」「つきまとう病の存在」「気負わない親子関係」「社会のなかの居場所の獲得」「親が他界することへの前準備」の8つのカテゴリーが生成された[458]
    • 長期入院を経験し精神科デイケアを利用する男性統合失調症者の地域における生活の再構築において、「長期入院によるつながりの喪失」を経験し、退院後は馴染みのない「新たなコミュニティのメンバーシップを得ることの難しさ」から寂しさを感じていた[459]。そのようななかで、専門職や親族などからの「サポートの活用による病状や生活の維持」を図りながら、「地域におけるデイケアメンバーとのつながりと役割の獲得」により生活を再構築していた[459]
    • 地域生活を送る統合失調症者の遊びには他者から見ることができる遊び、その人にとっての主観的な遊び、意図的に用いられている遊び、無意識のうちに活用されている遊びというように様々なかたちがあった[460]
    • 豪雪地域で生活する統合失調症を持つ人の経験として、積雪環境において、彼らは自身の気分変調への対処や気持ちの整理をし、周囲のサポートを受けながら「積雪環境への適応」をすることで生活を継続していることが明らかとなった[461]
    • 農村地域で暮らす統合失調症患者の地域生活継続の促進要因は「実感した病気の治癒」「焦りに気づき変化した就労への思い」「障害者年金が支援」「信仰の存在で安定」「地域の風土から生まれた支援」「将来への希望」「良好な家族関係」の7カテゴリ、阻害要因は「気になる世間の目」「仕事に対する将来的な問題」「外で働けないことによる不満足感」「治療継続への気がかり」の4カテゴリが抽出された[462]
  • 統合失調症と社会参加
    • 統合失調症者の社会参加自己効力感を促進する要因のラベルは「支えとなる情緒的関係」「必要な医療・社会資源と支援の獲得」「自尊心の回復」「生活技能・経験の獲得」「心身状態の安定」「障害のある自分の受容」「自分の目標や意味ある生き方の発見」であった[463]
    • 統合失調症者の社会復帰への準備性の構成要素として、 「原動力」「将来の予測」「取り組み」「支援の捉え」の4つの構成要素が明らかとなり、 統合失調症者は、まず、社会復帰に対する「原動力」を得て、社会で生活することに対する「将来の予測」を立てようと試み、「将来の予測」を通して社会で生活するための「取り組み」を行うことや「支援の捉え」の必要性に気づいていくと考えられる[464]
  • 統合失調症と就労
    • 統合失調症者の就労と生活との調和の構築過程として「働くことにより希望を実現させていくという生き方を追究する繰り返しの試み」が総括するコアカテゴリー[注 77]として生成された[466]
    • 統合失調症患者の就労関連技能へ直接影響を及ぼす因子として、社会認知機能のうち表情認知、(敵意バイアス)と全般的機能が抽出された[467]
    • A型事業所を利用する統合失調症者の就労継続プロセスとして、「統合失調症発症の時期から疾病の治療への葛藤・疾病をコントロール出来てきた時期」「一般就労を諦めて福祉就労に就いた時期」「福祉就労を含めた日常生活が確立してきた時期」の3つの段階があると考えられ、また、就労継続プロセスを支える人々の存在が大きく影響していた[468]
    • 統合失調症の発症から疾患を乗り越え、就労に至った人の経験と思いとして「受け入れ支えてくれる人の存在」「認知的対応行動の獲得」「前進への意志と行動」「仕事をすることで直面する苦悩」「人生の新しい意味の発見」の5つのカテゴリーが抽出された[469]
    • 統合失調症者の認知機能障害と就労および就労継続に必要なスキルについて、獲得必要スキル[注 78]は言語性記憶と学習、一定必要スキル[注 79]は注意と情報処理速度が因子であった[470]
    • 統合失調症者の作業体験が就労意識に与える影響について、作業体験は、自己効力感や作業能力を向上させ、また困難を乗り越える力を与え、自己の能力を適切な客観的評価に近づけることで職種とのミスマッチを防ぐなど、就労に有用な影響を与える可能性が示唆された[471]
    • 若年統合失調症者の離職を防止し就労の継続を図るには、臨床場面において罹病期間、認知機能障害のうち特に注意障害に着目し、就労支援を実施することで、その後の就労の転帰を良好なものとできる可能性がある[472]
    • 統合失調症者における障害の非開示者は、職場就業環境や仕事内容にやりがいを感じていないことが示唆され、また非開示者の職場は、一日の就業時間が長い、就業継続期間が短いなどの就業上の課題が明らかとなった[473]
  • 統合失調症と結婚
    • 結婚や出産を考えている女性統合失調症当事者へのサポートとしてパートナーや配偶者への説明、服薬調整・家事援助などの生活支援、遺伝カウンセリング、子育て相談など、精神科領域を越えた多方面にわたるサポートが必要と考えられる[474]
    • 作業療法を行っている入院統合失調症患者の26%に結婚経験があったが、そのうち離婚率は82%と高率であり、結婚を継続することの困難さが示された[475]
  • 統合失調症と妊娠・出産・育児
    • 統合失調症患者の妊娠・出産の困難は明白で、母親のリカバリーや自己実現という視点を加味しても、本人の疾病管理、祖父母等の家族の負担など、現実に後押しする理論的背景を見出すことは困難といえる[476]
    • 統合失調症患者に対するケアの向上や非定型抗精神病薬の使用により、女性患者の50〜60%が妊娠可能になったが、妊娠した患者の50%は家族計画の乏しさや性的暴行を受けたことなどによるもので、無計画や望まない妊娠となっている[477]
    • 統合失調症患者の妊娠は、偶発的な妊娠が多い、服薬中断しやすい、妊婦検診に定期的に受診しない、産後に精神症状が悪化しやすいなどの課題がある[478]
    • 統合失調症患者の妊娠中の抗精神病薬の使用については、特異的で頻度の高い形態奇形は報告されておらず、多剤併用や大量投与を避けて使用することが原則であり、また授乳中も、一部の向精神薬に注意しながら患者に効果があると判明している処方を継続することが適切である[477]
    • 統合失調症合併妊婦は、産褥期に統合失調症が悪化するといわれているが、精神科医師との綿密な連携があれば分娩自体の問題はあまりないといえる[479]
    • 統合失調症合併の妊婦、夫婦において、早期から本人の意志を確認し、育児方針を立てることで、妊娠期からサポート体制が確立され、自宅での育児が実現した例がある[480]。サポート体制の確立には多職種での連携が重要であった[480]
    • 統合失調症患者が子育てや家庭教育を行うことの課題についてインタビュー調査の結果、不安が語られる一方、当事者本人のリカバリーにつながっていると思われるカテゴリーも抽出された[481]。また、子どもが支援をする側になっていることや、専門職が重要な相談相手である一方で、地域の中では支援者を得られずに子育てを行っていることも示唆された[481]
  • 統合失調症と高齢
    • 統合失調症を患う高齢者の栄養状態低下の要因として、入院期間の長期化と社会生活の技能の低さが挙げられた[482]
    • 高齢の長期入院統合失調症患者の老いの認識は「加齢に伴う心身能力の衰え」「精神科病院で老いていくしかない現状」「満たされることのない欲求の諦め」「死に近づく過程」であり、自己の将来像は「期待が心の糧」「成り行きに身を任せる」「将来像を抱くことを断念」であった[483]
    • 高齢の統合失調症患者の超長期入院生活の中での楽しみとして、「懐かしさに感じる心の安寧」「病棟生活の中でつくりあげる夢見心地」「他者とともに過ごす時間の交流」が挙げられた[484]
    • 高齢の統合失調症患者の薬物療法について、薬理学的にも高齢者では薬剤用量などに配慮が必要なことは明らかであるが、高齢の統合失調症患者に対して病状の悪化や再燃を恐れるがあまり、若年者と同様の抗精神病薬治療を漫然と続けていることも多い[485]
    • 高齢の女性統合失調症患者に対し、エストラジオールエストリオールが臨床効果があるとする報告が見られる一方、エストロゲン投与による乳癌子宮癌の発症や不正性器出血が問題となっている[486]
    • 高齢統合失調症患者の認知機能について、アルツハイマー型認知症患者に比べて記銘力は保持されているが、干渉刺激の影響を受けやすく注意の持続が困難であり、ワーキングメモリに障害がある可能性が示唆された[487]
    • 高齢統合失調症者は健常高齢者と比較して、全般的認知機能の低下が認められ、また、怒りや悲しみなど不快情動の表情認知を誤る率が高く、反応時間も遅いことが明らかとなり、これらの特徴から、高齢統合失調症者は、とくに右側前帯状皮質扁桃体島皮質周辺領域における機能の低下が考えられ、これらのことが対人関係上の問題となる可能性を示唆する[271]
  • 統合失調症と喫煙
    • 統合失調症リスクと喫煙は部分的に因果関係がある[488]
    • 統合失調症患者の禁煙における認識は「喫煙者として社会のなかで窮屈さを感じている」などであり、禁煙を阻害する因子は「日常生活を送るなかで、タバコが日々の営みの支えや、潤い、楽しみ、さらには達成感を与える役割を果たしている」などであった[489]
    • 統合失調症患者は喫煙率が高いが、患者自身の禁煙への動機付けが低いこと、ニコチン依存度が高いこと、禁煙支援を行っている精神科医、精神科医療機関がほとんど存在しないことなどの理由により、禁煙成功率は低いとされる[490]
    • 入院中の統合失調症患者に対する禁煙指導の心理社会的な提言として、病棟でのレクリエーションや作業療法を通じて、不快な感情と取り除き、自己評価を高め、喫煙以外の選択肢を選べるような病棟活動を行いながら、ほどよい社会的刺激を与える入院治療を行うことが重要と考えられる[491]
  • 統合失調症と暴力など
    • 上海交通大学医学院は魚油の摂取と統合失調症患者の暴力行為の減少の関係を報告した[492]
    • 親に暴力を振るった統合失調症当事者の支援者は、暴力が起きる前に、健康的にエネルギーを発散できるように支援することや、親子間の関係調整を行うことで暴力の発生を予防し得ると考えられる[493]。また、暴力の発露は、リカバリーのきっかけになる可能性を秘めていることを視野に入れて関わることが望まれる[493]
    • 日本で2005年から実施されてきた心神喪失者等医療観察法に関する統計によると、心神喪失などの状態で殺人、強盗、重い傷害事件、強姦、強制わいせつ、放火にあたる他害行為をして不起訴、起訴猶予、無罪、執行猶予になり、同制度で処遇を申し立てられるのが全国で年間約360人程度であり、そのうち医療観察法指定入院医療機関で治療を受けることになる者は全国で年間おおよそ240名程度で、そのうち約80%が統合失調症圏とされる[494][495]
    • フィンランドの研究によると、統合失調症の患者が殺人的暴力を行うリスクは、一般人口に比べて男性で8.0倍、女性で6.5倍と報告されている[496][注 80]
    • 社会経済的状況が困難な統合失調症の入院患者の67%に、暴力行為の経験があったとされる[497]
    • 若年成人の21%に入院前に暴行もしくは自殺企図があったことが明らかになっている[498]
    • 米国で行われた大規模調査では、統合失調症が大半を占める精神疾患を抱える者の再犯率について、15%が2年以内に有罪判決を受け、6%が暴力的攻撃で有罪となっている[499]
    • 1970年から2009年までに行われた統合失調症患者における暴力や犯罪リスクを扱った20研究(18,423人分)のデータをメタ分析した結果、統合失調症およびその他の精神病では、一般人口に比べて暴力のオッズ比が男性で1から7倍、女性で4から29倍と算出された[500]
    • 統合失調症犯罪者が明確な誘因なく生起した犯罪においては、明らかな質的論理構造変化(思考障害)が存在し、統制の欠如した感情反応性が犯罪生起の間接誘因となっていた可能性が示唆された[501]。また、情性欠如の進んだ群では、発達水準の低さ、衝動性、知的水準の貧困、共感能力の貧困が示唆された[501]
  • 治療抵抗性統合失調症の研究
    • 治療抵抗性の統合失調症患者がクロザピン投与により徐々に幻覚体験や強迫観念に対し距離の取り方を覚え、作業所への通所回数が増加してきている1例を経験した[502]
    • クロザピンの治療継続率は導入1年後 81.7%、2年後 78.6%と高く、クロザピンの服薬アドヒアランスが良いのは治療効果が高く、患者がその効果を実感し、病識も形成されるからと推定される[503]
    • クロザピン治療に関して当事者からは「通院限定型クロザピンモニタリングシステム」創設への期待、治療抵抗性統合失調症についての正確な診断を前提として無効例に関する情報提供を踏まえた上での共同意思決定の重要性、クロザピン治療に関して当事者にもわかりやすい情報提供の必要性が述べられた[504]
    • クロザピン治療は患者も治療者もより多くの労力と覚悟を必要とするため、日本においては適応患者のごく一部である約800症例にしか用いられていない[505]
    • 実臨床で治療抵抗性統合失調症患者が呈する臨床像は、非常に多彩であり経過と共に病像も変化し、また、治療抵抗性統合失調症の診断基準は操作的で、一部の側面への偏重も指摘される[506]
    • 治療抵抗性統合失調症患者の5割以上にドパミン過感受性精神病(DSP)の関与が推定されており、長半減期型非定型抗精神病薬はその安定した体内動態から不安定な陽性症状・易再発性を特徴とするDSPに対して有用である可能性がある[507]
    • ブロナンセリンは、従来の抗精神病薬の中でも非常に強いドパミンD2受容体への結合親和性を持ち、強い抗精神病効果が期待される薬剤であり、治療抵抗性統合失調症患者にも優れた効果を発揮するとの報告も多い[508]
    • ルラシドンは十分な治療期間を確保すれば治療抵抗性統合失調症例に有効である可能性が示唆された[509]
    • 治療抵抗性統合失調症例では、適応されるクロザピンが、依然使用しにくい状況にある本邦においては、とりわけ気分安定薬であるバルプロ酸による増強療法の果たす役割は大きいと推測される[510]
    • 治療抵抗性統合失調症に対する抑肝散の有用性が報告されている[511]
  • 医療観察法医療の研究
    • 医療観察法制度による強制医療では、統合失調症による病識の低さ、治療同盟の構築の困難さもあって、医療そのものが外傷体験として受け止められ、通院や服薬のアドヒアランスを低下させる可能性がある[512]。薬物療法としては治療抵抗性統合失調症であれば、すみやかにクロザピンの適応を検討すべきとされる[512]
    • 医療観察法による強制治療においては、対象者の意味ある作業に着目することは、対象者との関係を構築し、ケアの進展を図るうえで有用であることが示唆された[513]
    • 医療観察法病棟での治療意欲の乏しい対象者に対する作業療法は、専門的多職種チームによる社会復帰に向けた治療の導入部分を担い、作業を介して対象者と関係性を結び、自己効力感を向上させ、主体的な治療への参加を可能にすると考えられる[514]
    • 統合失調症の医療観察法対象者に生活行為向上マネジメント(MTDLP)[注 81]を用いて関わり、指定通院医療機関の作業療法士と情報共有し、対象者の就労移行を支援した結果、対象者はやりがいを感じられる仕事に就くことができており、MTDLPの有用性が示唆された[516]

近縁疾患

  • 統合失調型パーソナリティ障害(旧称:分裂病型人格障害)- 統合失調症の患者の親族に多く、統合失調症の陽性症状に似た状態である。
  • 統合失調感情障害(旧称:分裂感情障害)- 統合失調症と気分障害(感情障害)の症状が合併した場合である。
  • 非定型精神病 - 錯乱があり、意識変容も見られる。症状は激しいが予後はいい。
  • 類破瓜病 - 異常体験や人格崩壊は目立たない。単純型に類似する。
  • 接枝統合失調症 - 知的障害者が統合失調症を発症した場合である。
  • 妄想性障害
    • パラフレニー - 人格崩壊が少ない妄想型である。
    • パラノイア - 妄想型に類似するが、妄想の内容が異なる。悪役のような妄想がある。進んでしまうと悪魔ではないかと思ってしまう。悪魔主義的で支配者でありたいとする激しい気性がある。
    • 敏感関係妄想 - 関係妄想を主症状とし、その原因が患者の敏感性格[注 82]にあるもの[517]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 高次脳機能は、知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知過程と行為の感情(情動)を含めた精神(心理)機能の総称[21]
  2. ^ ここでいう痴呆は、認知症とは全く異なり、当時、精神の不調全般に使われていた用語である。
  3. ^ 原文: “Even if it had tried, the Committee could not establish agreement about what this disorder is; it could only agree on what to call it.” [24][25]
  4. ^ ix頁の記述。
  5. ^ 原文: “The limits of the concept of Schizophrenia are unclear” [26][27]
  6. ^ 181頁の記述。
  7. ^ 原文: “It should be noted that no single feature is invariably present or seen only in Schizophrenia”[26][27]
  8. ^ 188頁の記述。
  9. ^ 原文: “Schizophrenia is defined so vaguely that, in actuality, it is a term often applied to almost any kind of behavior of which the speaker disapproves.” [33]
  10. ^ 原文: “gradually changed until the diagnosis came to be applied to a population who bore only a slight, and possibly superficial, resemblance to Kraepelin's.” [23]
  11. ^ 2000年に生物科学分野でアメリカ国家科学賞を受賞している[34]
  12. ^ 原文: “Europeans can save American science by helping us figure out who really has schizophrenia or what schizophrenia really is.” [35][36][37]
  13. ^ 脳機能イメージングを用いた研究では、幻聴が発生した際に脳の言語野に変化が現れていることが分かっている[40]
  14. ^ 旧名は強迫神経症。抗不安薬などの服用でも効果および治癒率が低いとされる。
  15. ^ 不自然でわざとらしい動作や表情をするようになる症状の一つ[64]
  16. ^ ( )内英語表記は最新のICD-10は2015年版であるが、日本では平成27年2月13日付け総務省告示第35号をもって「疾病及び関連保健問題の国際統計分類ICD-10(2013年版)」に準拠する改正が行われ、平成28年1月1日から施行されている。このため日本語はICD-10 2013年版に対応している。
  17. ^ 破瓜(はか)とは女子16歳のことを指す。
  18. ^ 精神医学におけるエピソードは、ある状態(病状)が続いている期間を意味する[89]
  19. ^ アスペルガー症候群は統合失調症に似た症状がおきやすいと以前から指摘がある。アスペルガー症候群を再評価し紹介したイギリスの医師ローナ・ウィングの最初の論文(1981年発表)では報告された18人のうち1人に統合失調症様の症状があった[93]
  20. ^ 反証可能性を参照。
  21. ^ 誤りをチェックできない体系の意味で、非科学的と分類される[注 20]
  22. ^ (トーマス・サズ)(英語版)の警告参照。
  23. ^ 4週間以上にわたり、2種類以上の十分な用量の抗精神病薬を服用しても十分に改善しない統合失調症のこと[115]
  24. ^ クロザピンはクロザリル患者モニタリングサービスを活用した安全管理を行った場合のみ使用することが可能である[117]。クロザリル患者モニタリングサービスは、本剤投与中の好中球減少症無顆粒球症耐糖能異常といった本剤の重大な副作用を踏まえ、患者ごと早期発見および発現時の予後の重篤化抑制を目的とし、本剤を使用する医療従事者、医療機関、保険薬局および患者を登録し、患者ごとの白血球数・好中球数および血糖値などのモニタリングの確実な実施(ヒューマンエラーによる検査未実施などの回避)を支援する[118]
  25. ^ 毎日薬剤を使用する代わりに、週2回、または週3回使用するなどの方法を指す[123]
  26. ^ 拒薬は自己判断によって意図的に薬を飲まないこと、怠薬は無意識や記憶障害による飲み忘れを指す[125]
  27. ^ 原文: “psychotropic medication can have profound and lasting negative effects on a patient's mind and body” [127][128][129][130]
  28. ^ 原文: “are known to cause a number of potentially devastating side effects.” [127][128][129][130]
  29. ^ 精神療法の一つで、その人が現在持っている資質を十全に活かせるようにすることで適応力を挙げることを支援する治療のこと[154]
  30. ^ 原文: The current state of the evidence does not allow the general use of ECT in the management of schizophrenia to be recommended. [165]
  31. ^ 原文:There is evidence that most people will recover, although some will have persisting difficulties or remain vulnerable to future episodes. [171]
  32. ^ NIMHの助成研究である[175]
  33. ^ NIMHの助成研究である[177]
  34. ^ 健康な人の適切な思考でなく、例えば、会社を辞めればすむ問題なのに、究極の選択である自殺を考えるように、順序建てて物事を考えられない。優先順位がつけられない。
  35. ^ 統合失調症の治療薬には、副作用として体重増加をもたらすもの、糖尿病の原因となるものなどがある。
  36. ^ 抗精神病薬の服用は患者全体で見た場合は死亡率を低下させる[189]
  37. ^ : Hebephrenie
  38. ^ : Katatonie
  39. ^ 日本の医学書[200]。同書の巻五は精神神経疾患を記述している[200]
  40. ^ 監置は、監禁保護のどちらでもなく、その中間を意味する語[206]であるが、実地の運用においては監禁と解す人が多かった。
  41. ^ 全額が自己負担ではなく、自己負担が3割の人、高額療養費を活用している人などがいる[239]
  42. ^ 生物の臓器や個体が正常な形態から著しく外れて見える状態のこと[251]
  43. ^ 残遺型、多剤併用、多量投与、治療抵抗性または高齢の統合失調症患者[256]
  44. ^ 大脳皮質の核ボクセルごとに拡散の大きさと異方性の割合を算出し定量化したもの[262]
  45. ^ QKI7 KHドメイン含有RNA結合。STAR(シグナル伝達およびRNAの活性化に関与する遺伝子ファミリー)である「QKIタンパク質」の3つのアイソフォームの1つ。
  46. ^ グルタミン酸デカルボキシラーゼ67のこと[269]
  47. ^ 転写因子のひとつ[270]
  48. ^ 事象関連電位の一つで、注意に関連しない感覚情報自動処理関連電位と考えられている[273]
  49. ^ γ帯域(30〜100 Hz)の速い電気的な大脳皮質の活動で、知覚や認知機能、運動等によってその発現量が増加する[275]
  50. ^ シアル酸が多数縮重合したもの[281]
  51. ^ 遺伝子配列のうち、その遺伝子から作られるタンパク質全体のアミノ酸配列を決定する暗号となっている配列が含まれる領域を指す[282]
  52. ^ 身体性のレベルにおける相互性のことを指す[302]。他者の行為と同じ行為(またはその可能性)を自己の身体において再現すること、他者の行為の意図に応答して自己の行為を送り返すことであるとされる[302]
  53. ^ 自己の全存在を他者へあけわたす姿勢のこと[304]
  54. ^ 異嗅症とは、何かのにおいを嗅いだとき、それを本来のにおいとは異なるにおいと感じたり、あるいはにおいを発する物質が身のまわりに全く存在していないのに、何らかのにおい感覚を自覚したりする症状のこと[329]
  55. ^ 同質の原理は、気分が落ち込んでいる時にはそれに寄り添う曲調から始まり徐々に気分を高揚させて行く音楽を与えることで、精神的に良い方向へと向かわせること[348]
  56. ^ 言葉によるの意味[352]
  57. ^ a b 統合失調症患者と血縁関係のある健常な成人の兄弟姉妹のこと[376]
  58. ^ 全般性は、原因が能力や性格など出来事について共通して起こりうる一般的であるもの[388]
  59. ^ 外的-人的帰属は、原因が自分以外(外的)にあり、それが他者である(人的帰属)場合を指す[388]
  60. ^ 80 Hzのクリック音に対する聴性定常反応 (ASSR) のこと[389]
  61. ^ #下位分類を参照。
  62. ^ カタトニアは主に緊張型として統合失調症の一亜型として診断される[390][注 61]
  63. ^ 数種類の感情を有する表情イラストを観察して表情を模倣し、感情を生起する経験を繰り返し行う[395]
  64. ^ a b 打楽器を使用した簡易的なリズムテストで評定した[403]
  65. ^ 発散的思考とは思考が色々な方向性へ拡がっていき、ある刺激からそれに関連する多様な情報を次々に求めていく思考を指す[408]
  66. ^ 静的バランス能力は、動かない状態を保ち続けるための能力のこと[417]
  67. ^ 首尾一貫感覚は、ストレス下でも健康を保つ能力、すなわちストレス対処能力概念を発展させた健康保持能力で、健康状態を悪化させるストレッサーの影響を緩衝し、その結果として健康状態を良好にする働きをすると考えられている[420]
  68. ^ 服薬良好群は調査期間における総服薬率75%以上、服薬不良群は総服薬率75%未満を指す[428]
  69. ^ 精神障害者本人がもつ偏見のこと。
  70. ^ スピリチュアルな成長は、患者はステップに則って、各々の回復(リカバリー)に取り組むが、そのステップを支える根幹の理念であるとされる[434]
  71. ^ スピリチュアルペインは、危機的状況や人間の限界に直面した時に顕在化するスピリチュアリティの痛みのこと[434]
  72. ^ スピリチュアリティの定義は、一定のコンセンサスは得られてはおらず、研究者・領域によって捉え方は様々であり、宗教学分野では「神(超越者)」との関わり、心理学分野であれば「自己超越や自己実現」との関わり、医療や福祉分野であれば「人生の意味や目的」との関わりにそれぞれ重点を置かれているとされる[434]
  73. ^ 自分を超えるもののこと[434]
  74. ^ WHOQOLはWHOが定義したQOLで、「個人が生活する文化や価値観のなかで、目標や期待、基準または関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」を指す[442]
  75. ^ 精神医学的診断基準に則り、作成された何らかの症状と持つ人物について記載された模擬事例のこと[447]
  76. ^ 器質性精神障害は、体の病気が原因で精神症状を来すもの[452]。統合失調症は内因性精神病に分類される[453]
  77. ^ カテゴリーを統制して理論を生成する際の中心になるカテゴリーのこと[465]
  78. ^ 就労へ向けて獲得が必要なスキル[470]
  79. ^ スキル獲得も一定必要だが、就業後も援助が必要なスキル[470]
  80. ^ 反社会性パーソナリティ障害の人物が殺人的暴力を行うリスクは一般人口に比べて男性で10倍超、女性で50倍超である[496]
  81. ^ 生活行為向上マネジメントは、対象者がよりよい生活をおくれるようになるためにアセスメントやモニタリングなど7段階で構成されるプロセスのこと[515]
  82. ^ 敏感性格とは感じやすく、傷つきやすい性格のことで、先天的に疲労しやすい無力性の体質の持主に多く見られる[517]

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