酸化マグネシウム(さんかマグネシウム、magnesium oxide)はマグネシウムの酸化物で、化学式MgOの化合物。白色または灰色の固体。苦土(くど)[3]、カマ[4]、カマグとも呼ばれる。
酸化マグネシウム | |
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酸化マグネシウム | |
別称 マグネシア | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 1309-48-4 |
E番号 | E530 ((pH調整剤、固化防止剤)) |
特性 | |
化学式 | MgO |
モル質量 | 40.3044 g mol−1 |
外観 | 無色結晶 |
密度 | 3.65 g/cm3(固体) |
融点 | 2852 °C, 3125 K, 5166 °F |
沸点 | 3600 °C, 3873 K, 6512 °F |
水への溶解度 | 加水分解、0.0086 g / 100 cm3[1] |
構造 | |
結晶構造 | 立方晶系(塩化ナトリウム型構造) |
空間群 | Fm3m (225) |
配位構造 | 8面体6配位 |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH | −601.7 kJ mol−1[2] |
標準モルエントロピー S | 26.94 J mol−1K−1 |
(標準定圧モル比熱), Cp | 37.15 J mol−1K−1 |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | ICSC 0504 |
EU Index | Not listed |
NFPA 704 | 0 1 0 |
引火点 | 不燃性 |
関連する物質 | |
その他の(陰イオン) | 硫化マグネシウム |
その他の(陽イオン) | 酸化ベリリウム 酸化カルシウム 酸化ストロンチウム 酸化バリウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
製法
水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを加熱分解すると生成する[5]。
性質
融点 2800 °C(3037.15K)、沸点 3600 °C(3873.15K)、密度3.65 g/cm3、水に難溶。塩化ナトリウム型の立方晶構造(Fm3m)を有する。その格子定数はa = 4.203 Åである[6]。
水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを600 °C程度の低温で焼成してつくったものは、水と反応して水酸化マグネシウムを生じ、二酸化炭素および水を吸収して塩基性炭酸マグネシウム、酸およびアンモニウム塩水溶液に容易に溶けてマグネシウム塩を生成する。しかし1000 °C以上の高温で加熱されたものはより密度が高く、安定となり酸に容易には溶解しない[5][7]。
反応
二酸化炭素や水をマグネシウムと反応させると、それらが還元されてそれぞれ炭素や水素が生じ、マグネシウムは酸化マグネシウムとなる。
また、希塩酸に溶かしたとき、マグネシウム(銀灰色)は溶けて水素を発生するが、酸化マグネシウム(白色)は水素を発生しない。
利用
この節は(検証可能)な(参考文献や出典)が全く示されていないか、不十分です。(2015年10月) |
医薬品
医薬品として使用されており、胃粘膜を刺激する過剰な胃酸を中和することで制酸薬として働き[8]、胃・十二指腸潰瘍や胃炎にともなう症状を改善する。また瀉下薬としては非常に優秀な効果を発揮する。腸管内で水分の吸収を高める役割を持ち、その結果、大腸の蠕動運動を助け、排便を促す。腸管を直接刺激する薬ではない。
副作用
腎不全患者での高マグネシウム血症(不整脈や呼吸抑制が起こる)が見られ、高齢者の死亡例が報告されている[9]。また下痢を引き起こす傾向がある[8]。
使用上の注意
大量の牛乳やカルシウム製剤と併用すると、血中のカルシウム濃度が高まり、血液がアルカリ性に傾く(アルカローシス)ことがあるので、服薬中はそれらの摂取に注意し、定期的な血液検査が必要になる。
脚注
- ^ http://fscimage.fishersci.com/msds/13450.htm
- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
- ^ [1] 苦土とは - コトバンク
- ^ 日本薬剤師会, ed. (2008), 調剤指針 (第12改訂増補 ed.), 薬事日報社, p. 62, ISBN (9784840810517)
- ^ a b 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年
- ^ a b 『化学大辞典』 共立出版、1993年
- ^ F. A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
- ^ a b 『新しい疾患薬理学』Katsunori Iwasaki, Shōgo Tokuyama, 岩崎克典., 徳山尚吾.、南江堂、Tōkyō、2018年、391頁。ISBN (978-4-524-40335-6)。OCLC 1030482447 。
- ^ 厚労省・安全性情報 酸化マグネシウムの長期投与に注意喚起 ミクスonline、2008年11月27日
関連項目
出典
- 酸化マグネシウム 蝶理
外部リンク
- 国際化学物質安全性カード 酸化マグネシウム (ICSC:0504) 日本語版(国立医薬品食品衛生研究所による), 英語版
- 酸化マグネシウム (試薬) JISK8432:2017