可部駅(かべえき)は、広島県広島市安佐北区可部二丁目にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)可部線の駅。駅番号はJR-B14。
可部駅[* 1] | |
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東口(2008年7月) | |
かべ Kabe | |
◄JR-B13 中島 (1.4 km) (0.8 km) 河戸帆待川 JR-B15► | |
所在地 | 広島市安佐北区可部二丁目27-63 |
駅番号 | JR-B14 |
所属事業者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
所属路線 | B 可部線 |
キロ程 | 14.0 km(横川起点) 広島から17.0 km |
電報略号 | カヘ |
駅構造 | 地上駅 |
(ホーム) | 2面2線 |
乗車人員 -統計年度- | 1,713人/日(降車客含まず) -2020年- |
開業年月日 | 1911年(明治44年)7月13日[1] |
備考 | (業務委託駅) (みどりの券売機プラス)設置駅 広島市内駅 |
歴史
開業当初は終着駅であり、1936年の延伸により途中駅になるものの、可部線の電化区間と非電化区間の境界駅であった。その後非電化区間が2003年(平成15年)11月30日限りで廃止され、一時は終着駅となった。しかし、2017年(平成29年)3月4日に可部線の当駅 - あき亀山駅間が開業した事により、再び途中駅となった[2]。
年表
- 1911年(明治44年)7月13日:大日本軌道広島支社線(当時)が太田川橋停留場(現在の上八木駅)から延伸し、その終着である可部駅として開業[1]。(一般駅)[1]。
- 日付不詳:可部町駅(かべちょうえき)に改称。
- 1919年(大正8年)3月11日:大日本軌道広島支社線が可部軌道へ譲渡され、同社の駅となる。
- 1926年(大正15年)5月1日:可部軌道が広島電気に合併され、同社の駅となる。
- 1928年(昭和3年)11月9日:線路改軌・電化工事に伴い営業休止。
- 1929年(昭和4年)12月2日:営業再開。
- 1931年(昭和6年)7月1日:広島電気線が広浜鉄道へ譲渡され、同社の駅となる。
- 1933年(昭和8年)4月20日:広浜可部駅(こうひんかべえき)に改称[1]。
- 1936年(昭和11年)
- 1972年(昭和47年)9月1日:国鉄(→JR)の特定都区市内制度が広島市に導入されたが、当駅は「広島市内」の駅から除外される[4][注釈 1]。
- 1973年(昭和48年)5月1日:国鉄(→JR)の特定都区市内制度における「広島市内」の駅となる[5]。
- 1984年(昭和59年)
- 1987年(昭和62年)
- 2003年(平成15年)12月1日:当駅 - 三段峡駅(非電化区間)が廃止され、67年ぶりに終着駅となる。
- 2006年(平成18年)7月1日:当駅構内に設置されていた可部鉄道部が廃止される[7]。
- 2007年(平成19年)9月1日:ICカード「ICOCA」の利用が可能となる。
- 2014年(平成26年)8月20日:平成26年8月豪雨により広島市で土砂災害が発生。緑井駅 - 当駅間で8月31日まで運転を見合わせた[8][9][広報 1][広報 2]。
- 2016年(平成28年)
- 2017年(平成29年)3月4日:当駅 - あき亀山駅間が開業し、再び途中駅となる[2]。このダイヤ改正で当駅始発・当駅止まりの運用が消滅した[広報 3]。
- 2021年(令和3年)11月1日:管理駅業務を当駅から横川駅に移転[11]。また、業務委託駅となる。
- 2022年(令和4年)
駅構造
相対式ホーム2面2線を持つ地上駅。1番のりばと2番のりばはそれぞれ改札口が独立しており、改札内ではつながっていない。
横川駅管理[13]し、JR西日本中国交通サービスが駅業務を受託する(業務委託駅)であり、 ICOCA対応の自動改札機、(みどりの券売機プラス)が設置されている[12]。駅構内には可部線全線の保守・運営を管轄していた可部鉄道部があったが、2006年(平成18年)7月に廃止された[7]。
JRの特定都区市内制度における「広島市内」の駅である。
のりば
- 当駅 - あき亀山間の延伸開業までは2番のりばからも横川方面の列車が発車し、夜間留置が行われていた。
かつての構造
2016年(平成28年)12月のホーム改良前は、電車用の行き止まりの線路とホーム(いわゆる「櫛形ホーム」)の1番・2番線(現在廃止)と、三段峡方面に伸びる3番線(現1番線)・側線(現2番線)があった。
駅構内(2005年)
電車(手前)と気動車(左)との乗り換え(2003年)
構内踏切(2008年)
改札(2012年)
廃止された河戸駅方に設置されていた車止め(2005年)
延伸計画に伴う駅改良
2013年(平成25年)2月、広島市とJR西日本は、2015年(平成27年)春を目標に旧河戸駅方面へ再び延伸(事実上の電化復活)することで合意した[広報 4]。その後、踏切設置の調整や駅建設用地取得の手続きに手間取った事で[15]、開業予定が2度延期されており、2017年(平成29年)3月の開業の予定となった。JR西日本は同年11月に許可申請を行い[16]、2014年(平成26年)2月に事業許可を取得した[広報 5]。延伸時には旧1・2番のりばを廃止し、旧3番のりば(=現1番のりば)と、旧側線部分に新設されるホーム(=現2番のりば)を使用した相対式ホームに改良されることとなった[広報 6]。そのホーム改良に合わせて従来の西口への通路は封鎖され上下線分離駅となり、東西間の自由通路を設置すると2015年(平成27年)2月に発表した[広報 7]。これらの改良工事については延伸開業に先駆ける形で、2016年(平成28年)12月に東西自由通路やホームの改良がそれぞれ完成し、使用を開始した[10]。
利用状況
以下の情報は、「広島県統計年鑑」、「広島市統計書」及び「広島市勢要覧」に基づいたデータである。
年度 | 1日平均 乗車人員 | 年度毎 総数 | 定期券 総数 | 普通券 総数 |
---|---|---|---|---|
1968年(昭和43年) | 2,596.5 | 1,895,417 | 1,656,438 | 238,979 |
1969年(昭和44年) | 2,318.4 | 1,692,437 | 1,440,726 | 251,711 |
1970年(昭和45年) | 2,161.3 | 1,577,726 | 1,353,048 | 224,678 |
1971年(昭和46年) | 2,105.7 | 1,541,393 | 1,325,648 | 215,745 |
1972年(昭和47年) | 1,945.7 | 1,420,383 | 1,210,776 | 209,607 |
1973年(昭和48年) | 2,138.6 | 1,561,208 | 1,265,254 | 295,954 |
1974年(昭和49年) | 2,311.3 | 1,687,279 | 1,354,128 | 333,151 |
1975年(昭和50年) | 2,280.2 | 1,669,138 | 1,289,922 | 379,216 |
1976年(昭和51年) | 2,344.8 | 1,711,731 | 1,272,520 | 439,211 |
1977年(昭和52年) | 2,386.1 | 1,741,845 | 1,278,100 | 463,745 |
1978年(昭和53年) | 2,335.7 | 1,705,045 | 1,265,298 | 439,747 |
以上の1日平均乗車人員は、乗車数と降車数が同じであると仮定し、年度毎総数を365(閏年が関係する1971・1975年は366)で割った後で、さらに2で割った値を、小数点第二位で四捨五入。小数点一位の値にした物である。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
1979年(昭和54年) | 2,371 |
1980年(昭和55年) | 2,323 |
1981年(昭和56年) | 2,198 |
1982年(昭和57年) | 2,172 |
1983年(昭和58年) | 2,167 |
1984年(昭和59年) | 2,247 |
1985年(昭和60年) | 2,242 |
1986年(昭和61年) | 2,395 |
1987年(昭和62年) | 2,818 |
1988年(昭和63年) | 2,947 |
1989年(平成元年) | 3,101 |
1990年(平成2年) | 3,286 |
1991年(平成3年) | 3,513 |
1992年(平成4年) | 3,829 |
1993年(平成5年) | 4,043 |
1994年(平成6年) | 4,098 |
1995年(平成7年) | 4,015 |
1996年(平成8年) | 3,944 |
1997年(平成9年) | 3,756 |
1998年(平成10年) | 3,645 |
1999年(平成11年) | 3,603 |
2000年(平成12年) | 3,780 |
2001年(平成13年) | 3,601 |
2002年(平成14年) | 3,709 |
2003年(平成15年) | 3,781 |
2004年(平成16年) | 3,893 |
2005年(平成17年) | 3,927 |
2006年(平成18年) | 3,569 |
2007年(平成19年) | 3,509 |
2008年(平成20年) | 3,582 |
2009年(平成21年) | 3,528 |
2010年(平成22年) | 3,504 |
2011年(平成23年) | 3,515 |
2012年(平成24年) | 3,527 |
2013年(平成25年) | 3,559 |
2014年(平成26年) | 3,483 |
2015年(平成27年) | 3,665 |
2016年(平成28年) | 3,663 |
2017年(平成29年) | 2,472 |
2018年(平成30年) | 2,282 |
2019年(令和 元年) | 2,247 |
2020年(令和2年) | 1,713 |
1994年に大町駅が開業するまでは、可部線で最も利用者が多い駅だった。
駅周辺
駅舎は複数の河川が山からの土砂を運び堆積させた沖積平野にあり、西側を太田川、東側を大田川支流の根谷川に挟まれている。これは水害が起こりやすい地形であり駅近くの品窮寺には1928年6月の水害を記録する石碑が残る[17]。広島市が作成したハザードマップでは治水対策が施された2020年代でも太田川、根谷川氾濫時には駅周辺で最大3mの浸水が予想されている[18]。
旧市街地は駅の東側にあり歴史ある醸造所、石州街道、県道に格下げされたかつての国道も皆東側にある。駅の西側は1960年代までは水田が多かったが[19]、その後開発が進み可部鋳物の関係で大和重工本社工場を始めとする鉄工・鋳造メーカーの工場が立地するようになった。旧市街地を迂回する形での国道の拡幅と線形の改良も駅の西側を通ることで行わた。2003年の可部線北部区間の廃止以後、代替バスと列車との連絡改善のためなどとして、国道に近い西口広場の再開発と整備が進められ2008年に開業した。
- 根谷川(太田川の支流)
- 大和重工
- 八千代工業
- 中川醤油
- 広島市農業協同組合(JA広島市)可部葬祭会館
- 耳観音(大石観音)
- 寺山
- 寺山公園
- 広島県立可部高等学校
- 広島文教大学附属高等学校
- 広島文教大学附属幼稚園
- 国道54号(可部バイパス)
- 国道183号(可部街道)
- 広島県道240号可部停車場線
バス路線
可部駅西口広場にあり勝木・大林方面の1 - 4と国道上に設けられた広島方面の5か所ののりばがある。2007年(平成19年)12月に使用を開始。これに伴い、下り便は、元「可部駅前」停留所に停車する代わりに、一旦国道183号を右折して、全便がこの停留所に停車するようになった。また、可部線廃止区間の代替バス(広電バス・広島交通)もここから発着しているが、広島・三段峡直行便は高速道路を経由するため可部駅には入らない。
路線は、おおむね5方面に分けられており、会社を問わず同じ方面のバスが同一のりばまたは隣接のりばに到着するように振り分けられている。
- 1番のりば:国道54号経由便
- 2番のりば:国道54号北上便
- 3番のりば:国道191号経由便
- 4番のりば:国道191号西行便
- 国道上のりば:広島方面
のりば | 運行事業者 | 系統・行先 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 広島交通 | 南原公会堂 桐原 30-7・32-7・72-7:桐陽台 72-1:南原 74-2:南原研修センター | 南原公会堂行は可部小学校の生徒用として運行し、土日祝日運休 桐原行(北部医療センター経由便)は平日のみ運行 桐陽台行(可部上市経由便)の高陽C団地・高陽A団地始発は路線番号なし 桐陽台行(北部医療センター経由便)は高陽C団地・高陽A団地始発のみで、平日のみ運行 |
2 | 可部上市 30-8・32-8・72-8:大林車庫 72-2:下浜が谷 | 可部上市行は平日・土曜深夜のみ運行 「72-2」は土日祝日のみ運行 | |
広電バス | 72-4:吉田出張所 | 吉田小学校経由便は吉田小学校の登校日のみ運行 | |
3 | 広島交通 | 73-1:虹山県住 73-2:勝木 73-3:勝木台 73-4:大畑 | |
4 | 広島交通 | 飯室 千代田IC 千代田高校 73-5:飯室 73-6:星が丘 73-7:今吉田 73-9:琴谷 | 飯室行(柳瀬経由便)は旧可部線代行バス。上原始発は、朝・夕日・日祝日運休 千代田IC行は平日のみ運行 「73-5」のふじビレッジ経由便は土日祝日運休 「73-7」の虹山団地経由便は土日祝日運休 |
広電バス | 74-7:三段峡 | 旧可部線代行バス | |
広島交通 広電バス | 73-5:飯室 | ||
5 (国道上) | 広島交通 | 上原 30G・30K・32H:広島バスセンター 72G・72H・73G・73H・74G・74H:広島駅 | 上原行は日祝日一部運休 高陽C団地・高陽A団地行は平日・土曜のみ運行 「72G」「73G」は平日朝ラッシュ時のみ運行 |
広島交通 広電バス | 72K・73K・74K:広島バスセンター 72G・73G:広島駅 |
- 過去の路線に関して
隣の駅
かつて存在した路線
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)
- 可部線
- 可部駅 - 河戸駅
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、281頁。ISBN (978-4-533-02980-6)。
- ^ a b 清水康志 (2017年3月5日). “県内3新駅、期待乗せて発車 可部線で一部復活し2駅、山陽線は「寺家」開業”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 広島版
- ^ 大蔵省印刷局, ed (1936-08-28). “鉄道省告示 第254号”. 官報 (国立国会図書館デジタルコレクション) (2898) .
- ^ 『国鉄監修 交通公社の時刻表』1972年10月号、巻頭「今月のお知らせ」、p.438「運賃の計算」。
- ^ 『国鉄監修 交通公社の時刻表』1973年5月号、巻頭「今月のお知らせ」、p.438「運賃の計算」。
- ^ 『国鉄監修 交通公社の時刻表』1987年2月号、p.235。
- ^ a b データで見るJR西日本2021 - 西日本旅客鉄道 p.197
- ^ 8月16日から続く大雨等による被害状況について(第6報) (PDF) - 国土交通省 災害情報、2014年8月20日 15:00現在
- ^ 広島大規模土砂災害で可部線など不通 - レスポンス 2014年8月20日
- ^ a b c 『JR可部線可部~あき亀山間、年内試運転へ - 可部駅新設ホーム12/18使用開始』(プレスリリース)マイナビニュース、2016年12月5日2016年12月19日閲覧。 。
- ^ “”. 中国新聞. 2021年12月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月11日閲覧。
- ^ a b c “”. 西日本旅客鉄道. 2022年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月19日閲覧。
- ^ 防犯アナウンスの可部高放送部に感謝状 安佐北署 - 中国新聞
- ^ a b “可部駅|構内図:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2023年4月6日閲覧。
- ^ “”. 中国新聞. 2013年9月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月21日閲覧。
- ^ “”. 中国新聞. 2013年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月21日閲覧。
- ^ 水害碑が伝えるひろしまの記憶 -過去が教えてくれること-. 広島市危機管理室 危機管理課. 2022年9月9日閲覧
- ^ [広島市洪水ハザードマップ] 広島市危機管理室 災害予防課. 2022年9月9日閲覧
- ^ 国土地理院, 地図空中写真閲覧サービス図面整理番号MCG628. 2022年9月9日閲覧
広報資料・プレスリリースなど一次資料
- ^ 『可部線 路線バスによる代行輸送のお知らせ』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2014年8月22日 。
- ^ 『可部線(緑井〜可部駅間)の運転再開について』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2014年8月29日 。
- ^ (PDF)『平成29年春のダイヤ改正について』(プレスリリース)西日本旅客鉄道広島支社、2016年12月16日 。2016年12月19日閲覧。
- ^ 『JR可部線の電化延伸について』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2013年2月4日 。
- ^ 『可部線電化延伸事業について「鉄道事業許可」を取得しました』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2014年2月25日 。
- ^ “可部線電化延伸事業 事業概略図” (PDF). 西日本旅客鉄道 (2013年2月4日). 2015年2月21日閲覧。
- ^ 『可部線電化延伸区間の新駅について』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2015年2月6日 。
参考文献
- 各 広島市統計書
- 各 広島市勢要覧
関連項目
外部リンク
- 可部駅|駅情報:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道