京王観光株式会社（けいおうかんこう、英文社名：Keio Travel Agency）は、東京都渋谷区初台に本社を置き、旅行業と保険事業を営む京王グループの企業である[1]。日本旅行業協会会員[1]、国際航空運送協会代理店[1]。
| 京王観光 多摩センター駅営業所（2016年撮影） | |
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 日本 〒151-0061 東京都渋谷区初台一丁目54-2 京王初台1丁目ビル[1] 北緯35度40分49秒 東経139度41分8.2秒 / 北緯35.68028度 東経139.685611度座標: 北緯35度40分49秒 東経139度41分8.2秒 / 北緯35.68028度 東経139.685611度 |
| 設立 | 1953年6月11日 （桜菊観光株式会社の設立日） |
| 業種 | (サービス業) |
| 法人番号 | 8011101005978 |
| 事業内容 | 旅行業、保険事業[1] |
| 代表者 | 代表取締役社長 竹内健[1] |
| 資本金 | 1億円[1] |
| 売上高 | 246億円（2016年度） |
| 純利益 | ▲14億7000万円 （2022年03月31日時点）[2] |
| 総資産 | 27億8500万円 （2022年03月31日時点）[2] |
| 従業員数 | 434名（2021年3月現在） |
| 主要株主 | 京王電鉄株式会社 100% |
| 外部リンク | www |
| 特記事項：観光庁長官登録（旧国土交通大臣登録）旅行業第10号[1] | |
概要
京王電鉄沿線を中心に、個人向けカウンター営業所および、団体旅行支店・営業所を展開する[3]。
1953年（昭和28年）6月24日に株式会社京王帝都観光協会を設立[4]。同年6月11日設立の関西を地盤とする旅行会社「桜菊観光株式会社」と1969年（昭和44年）9月1日付で合併[4]。京王沿線外の店舗を桜菊観光から継承した。
また、1958年（昭和33年）4月1日より企業組合京帝互助会から駅売店事業および保険代理店事業を継承し[4]、京王電鉄各駅の売店を運営していたが、2005年に駅売店事業を分社化する形で京王リテールサービス（現在は京王ストアに合併）を設立し[4]、駅売店全店舗の営業権を譲渡した。
旅行事業部門と保険事業部門を2本の柱とし、旅行部門では国内旅行および海外旅行、訪日外国人旅行の斡旋を行う[1]。また(募集型企画旅行)「キングツアー」も主催する[1]。愛称は京王の「王」に由来する。そのほか、航空券や私鉄乗車券・乗船券の発券、旅行傷害保険の取り扱いなど旅行に付帯する業務を行う[1]。
保険部門では、損害保険（自動車保険、火災保険、傷害保険など）の代理店業務を行うとともに、1996年からは生命保険の代理店業務も開始した[4]。
沿革
- 1953年（昭和28年）
- 1957年（昭和32年）2月1日 - 株式会社京王帝都観光協会を京王観光株式会社へ商号変更[4]。
- 1958年（昭和33年）
- 1960年（昭和35年）4月7日 - 富士観光開発株式会社を合併し、山中湖畔で観光事業を開始[4]。
- 1964年（昭和39年）6月1日 - 日本航空・全日本空輸・日本国内航空の代理店となる[4]。
- 1965年（昭和40年）2月22日 - 京王帝都電鉄が桜菊観光株式会社を買収[5]。
- 1969年（昭和44年）9月1日 - 桜菊観光と京王観光が合併（桜菊観光を存続会社として京王観光に社名を変更した逆さ合併）[4]。運輸大臣登録一般第10号、日本旅行業協会加盟及びJR団体手数料交付業者の資格指定を受ける[4][注釈 1]。
- 1973年（昭和48年）9月28日 - 国際航空運送協会 (IATA) の代理店として承認を受ける[4]。
- 1982年（昭和57年）9月1日 - 両替商の許可を受ける[4]。
- 1986年（昭和61年）
- 1993年（平成5年）6月12日 - 本社を京王初台駅ビルへ移転[4]。
- 1996年（平成8年）9月27日 - 生命保険代理店業務を開始[4]。
- 1999年（平成11年）8月30日 - 本社を京王初台一丁目ビルへ移転[4]。
- 2003年（平成15年）6月11日 - 会社設立50周年を迎える[4]。
- 2005年（平成17年）4月1日 - 京王リテールサービスを設立[4][5]、駅売店を運営していた京王観光販売事業部を分社化[4]。
- 2007年（平成19年）4月1日 - 新旅行システム「REX」を稼動開始[4]。
- 2013年（平成25年）6月11日 - 会社設立60周年を迎える[4]。
- 2015年（平成27年）4月 - 福岡支店を新設[6][7]、九州地区へ進出。
- 2016年（平成28年）9月 - 公式Twitterアカウントを開設[8]。
- 2018年（平成30年）
- 2019年（平成31年/令和元年）
- 2022年（令和4年）
店舗
京王沿線外の店舗は、合併した桜菊観光から引き継いだものである。2016年11月時点で、個人旅行向けのカウンター店舗は京王電鉄の駅構内かその周辺のみで、沿線外の店舗はすべて閉店していた。ただし団体旅行営業部の管轄店舗では、大阪支店が2017年1月13日まで個人向けカウンター営業を行っていた。
個人向けカウンター店舗
京王電鉄の駅にあった店舗名は、特記以外はかつては「○○駅営業所」であったが、のちに「駅名+店」へ改められた。
一部のの店舗では、京王バスの定期券・回数券を取り扱っていた[10]。取り扱い券種は京王バスの紙式定期券および回数券（いずれも廃止）、金額式IC定期券「モットクパス」、神奈川中央交通との共通定期券[11]。
現存する店舗
2022年10月1日時点[3]。
過去に存在した店舗
2022年閉店
特記なき店舗は2022年9月30日閉店[9]。
- 吉祥寺店
- 千歳烏山店
- つつじヶ丘店
- 京王リトナードつつじヶ丘2階[3][12]
- 京王リトナードつつじヶ丘開業に伴い出店[12]
- 調布店
- 調布サウスゲートビル トリエ京王調布サウスゲート1階[3][12]
- バス定期券・回数券取扱店[10]
- 府中店（旧店名：トラベルプラザ府中）
- 多摩センター店
- 京王八王子店
- 仙川店（旧店名：トラベルプラザ仙川）
2020年 - 2016年閉店
- アトレ吉祥寺営業所
- 京王橋本駅営業所
- 南大沢駅営業所
- 高尾駅営業所
それ以前に閉店
- 京王線沿線
- 笹塚駅営業所
- 明大前駅営業所
- 下高井戸駅営業所
- 府中駅営業所
- 京王府中ショッピングセンター1階[12]
- SC改装に伴い、2階トラベルプラザ府中（→府中店）へ統合[3]
- 高幡不動駅営業所
- 京王稲田堤駅営業所
- 永山駅営業所
- 井の頭線沿線
- 沿線外
- 用賀営業所
- 世田谷ビジネススクエアタワー棟（東急田園都市線用賀駅直結）[12]
団体旅行営業部・旅行事業部
団体旅行を扱う支店・事務所として、以下の拠点を有する[17]
- 団体旅行営業部
- 団体旅行営業部 戦略プロモーション室：東京都渋谷区初台（本社所在地と同一）
- 東京中央支店、東京南支店、東京東支店、イベント&ツアーセンター
- 調布支店：東京都調布市布田
- 八王子支店：東京都八王子市東町
- 立川支店：東京都立川市錦町
- さいたま支店：埼玉県さいたま市大宮区宮町
- 神奈川北支店：神奈川県相模原市中央区鹿沼台
- 札幌支店：北海道札幌市中央区北1条
- 仙台支店：宮城県仙台市青葉区本町
- 福岡支店：福岡県福岡市博多区博多駅前 - 2015年4月新設[6][7]
- 旅行事業部
- 関西事務所：大阪府大阪市西区阿波座
不祥事
大阪の支店での不正発券
京王観光は2019年（平成31年）1月、大阪支店と大阪西支店（2018年11月に大阪支店へ統合済[6][7]）において、約10年前から支店長の指示でマルス端末で不正発券し不正乗車を行っていたと週刊誌で報道されたことを事実と認めた[18]。JRを利用する団体旅行客の客数を過少申告していた問題を受け、同年2月5日から全支店・営業所を対象にJR乗車券類の委託販売停止処分を受けた（払戻・変更等は3月1日まで取扱）。その時点では発券停止期間は未定とされた[19][20]。
同年4月19日、JRグループより発券業務の委託契約を休止のまま解除され[21][22]、同時に同社旅客営業規則に基づき、不正乗車による被害額約6000万円分の3倍にあたる約1億8100万円を賠償するよう請求された[22]。
同年4月25日、京王観光は不正行為に関する社内調査に基づく報告書を提出し、JRグループ各社に対し同年5月31日までに賠償金を全額支払う旨を表明するとともに、大阪支店閉鎖と関係者の更迭を発表した[23][6][7]。社内調査の過程で、大阪支店と大阪西支店の他にも、福岡支店でも同様の不正行為が行われていたことを公表した[6][7]。
同社の調査報告書によれば、不正を行っていた大阪地区の2支店は、1969年に関西を地盤とする桜菊観光と合併後に同社から継承した店舗で、旧桜菊観光時代からの独自の組織文化が維持継承され[6][7]、京王沿線を含む首都圏首都圏や他地域への転勤もなく、現地出身の社員が内部昇格していく人事が行われていた[6][7]。また2015年4月に福岡支店を開設した際、大阪支店から異動した社員1名が、福岡支店でも大阪支店での案件を引き続き担当して不正行為を継続、これにより福岡支店へ不正が波及した[6][7]。本社の目が行き届かず、他地域との人員の交流も乏しかった結果、不正の手口が他地域へ広がることはなく、長期間にわたり不正が発覚しなかった[6][7]。さらに京王グループの知名度が低い関西で「東京に負けたくない」というライバル意識が強かったことも背景にあった[6][7]、などと分析された[6][7]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k 会社概要 京王観光、2022年9月15日閲覧。
- ^ a b 京王観光株式会社 第72期決算公告
- ^ a b c d e f g h i j k l m “店舗一覧”. 京王観光. 2022年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 会社案内 - 沿革 京王観光、2022年9月15日閲覧。
- ^ a b c 2021年京王ハンドブック「年表」p.106-124 京王グループ、2021年7月31日、2022年9月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 京王観光、不正行為で約1億8,100万円をJRに支払いへ 社員による横領も発覚、大阪支店は閉鎖 TRAICY、株式会社トライシージャパン、2019年4月25日、2022年10月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 京王観光、JR券不正で賠償金1.8億円、大阪支店閉鎖へ トラベルビジョン、株式会社エフネス、2019年4月26日、2022年10月23日閲覧。
- ^ 京王観光【公式】 (@Keiotravel_jp) - Twitter
- ^ a b c d e f “カウンター店舗の一部営業終了について”. 京王観光 (2022年6月1日). 2022年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月15日閲覧。
- ^ a b c “回数券（紙式）”. 京王バス. 京王電鉄バス (2022年1月15日). 2022年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月15日閲覧。
- ^ a b c 共通定期乗車券発売窓口の閉店について（京王観光南大沢駅営業所） 神奈川中央交通、2018年10月、2022年9月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 京王観光 K-CH、京王観光株式会社（2012年4月14日時点のアーカイブ）
- ^ 【閉店】京王観光 アトレ吉祥寺営業所 2020年1月26日（日）閉店 開店閉店.com、2020年1月2日、2022年9月15日閲覧。
- ^ 【閉店】京王観光 京王橋本駅営業所 2018年9月27日（木）閉店 開店閉店.com、2018年9月25日、2022年9月15日閲覧。
- ^ 橋本駅の「楽天モバイル 京王橋本店」閉店へ。相模原市緑区から店舗撤退 東京都町田市の地域情報サイト 変わりゆく町田の街並み、2022年7月18日、2022年9月15日閲覧。
- ^ 【閉店】京王観光 高尾駅営業所 2016年11月15日（火）閉店 開店閉店.com、2016年11月17日、2022年9月15日閲覧。
- ^ グループ旅行 - 店舗一覧 京王観光、2022年9月15日閲覧。
- ^ “京王観光、大阪地区の支店内で不正行為”. ウイングトラベル (2019年1月11日). 2019年1月17日閲覧。
- ^ “京王観光にJR各社から発券停止処分 乗車券付きツアー販売不可に”. 毎日新聞. 毎日新聞 (2019年1月31日). 2019年1月31日閲覧。[]
- ^ http://www.keio-kanko.co.jp/info2.html[]
- ^ 朝日新聞、2019年4月25日付、34面
- ^ a b 京王観光に1・8億円請求 不正乗車でJR6社 日本経済新聞電子版、2019年4月24日、2022年9月15日閲覧。
- ^ 調査報告書 京王観光、2019年4月25日[]
関連項目
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- 京王観光 予約サイト
- 京王観光【公式】 (@Keiotravel_jp) - Twitter