来歴
奄美大島南部の海辺に30世帯くらいが寄り集まっている瀬戸内町嘉徳(かとく[1])[2]集落で育つ。通っていた(瀬戸内町立嘉徳小学校)(2005年廃校)は全校児童が4人ほどの複式授業で、卒業式は1人きりであった。幼少より三味線を習っていたが、古仁屋で(中野豊成)に師事して(ひぎゃ唄)と呼ばれる地元のシマ唄を習う。1993年、中学3年生の時「(塩道長浜節)」で(奄美民謡大賞)少年の部優秀賞を受賞。
1994年、鹿児島県立古仁屋高等学校1年在学時に「(俊良主節)」で(奄美民謡大賞)青年の部新人賞を受賞し、翌1995年奄美市のセントラル楽器からシマ唄のカセットテープ『ひぎゃ女童(めらべ)』発売[2]、元が唄う「(朝花節)」が1995年の松竹映画『男はつらいよ 寅次郎紅の花』で劇中歌に使われた。1996年、高校3年生の時、「(嘉徳なべ加那節)」を歌い、高校生初、史上最年少(当時)で(奄美民謡大賞)を受賞。1996年11月にシマ唄のCD『故郷・美ら・思い (しま・きょら・うむい)』が発売[2]された。高校卒業後、美容師を目指して三重県に転居、その後兵庫県尼崎市で美容師となるが薬剤アレルギーのため断念。
1998年10月、歌手デビューを目指し上京。HMV数寄屋橋店でアルバイトをしながら、自分の音楽を模索する日々を送る[3]。2001年3月、The Sugarcubes、山崎まさよしらの曲をカバーしたミニアルバム『Hajime Chitose』でインディーズデビュー。7月にはオリジナル曲を収録したミニアルバム『コトノハ』をオーガスタレコードより発売(奄美民謡では前述の通り奄美在住中にCDデビュー済み)[要出典]。
2002年、エピックレコードジャパンより発売したメジャーデビューシングル「ワダツミの木」が発売2ヶ月後にシングルチャートで1位となる。サウンドスキャンジャパンの2002年度年間シングルチャートでも1位を記録(オリコン・プラネットでは年間3位)。2002年度の新人歌手では最大のヒット曲となった。同年7月、ファーストアルバム『ハイヌミカゼ』を発売。2週連続でチャート1位を記録。『第44回日本レコード大賞』ベストアルバム賞受賞。また同年、ディープ・フォレストのアルバム『Music Detected』に参加[4]。2002年10月 2003年3月まで放送されたNHK連続テレビ小説『まんてん』の主題歌「この街」を歌唱[注釈 1]。
2003年は6月に「千の夜と千の昼」、8月に「いつか風になる日」のシングル2作品を発売。9月に発売のセカンドアルバム『ノマド・ソウル』はアルバム・チャートで初登場1位(2003年9月15日)を記録。ファーストに続いてアルバム2作連続初登場1位となった。同月、初の全国ツアー「元ちとせ コンサートツアー2003 "はじめまして"」を行う。
2005年6月、PlayStation 2向けに発売された『GENJI』の主題歌「月を盗む」を歌唱[注釈 2]。同年8月5日、出産後初めてテレビに登場し、TBS『筑紫哲也 NEWS23』に坂本龍一と共に生出演、広島市の原爆ドーム前で反戦歌「死んだ女の子」を演奏した。同年11月23日、新曲「語り継ぐこと」を発売し、歌手活動を再開。
2006年6月、パイオニアのCMに出演[注釈 3]。2007年にはデビュー5周年を迎え、アイルランドの国民的バンド、チーフタンズとのコラボレーションが実現。6月には彼らの全国ツアーに参加し、大きな話題となる。同年8月、フジテレビ系アニメ『ミヨリの森』で、一本桜の精として声優に初挑戦した。
2008年11月、福耳のメンバーである山崎まさよし、杏子とともに、ハウス食品ウコンの力CMに出演した。
2011年に奄美大島出身の中孝介との二人ユニット「お中元」を発足。3月9日に同ユニットにて、九州新幹線 (鹿児島ルート)全線開業のイメージソング「(春の行人)」をエピック・レーベルより発表。作曲は大橋卓弥、作詞は岡本定義。[5]同年、所属レーベルをオフィスオーガスタのレーベルがあるアリオラジャパンに変更。
2012年11月からは奄美市のあまみエフエムでレギュラー担当番組『Do you know me?』が開始、バーの常連客「スタートちゃん」(はじめの直訳)を演じて、店のネオママとトークしている。
私生活では、2004年1月に飲食店経営の男性と結婚。その際妊娠していたが流産した。しかし2005年1月、待望の第一子となる女児を出産。更に2009年7月、第二子の妊娠を公表。同年12月12日に第二子となる男児を出産した。2021年現在、奄美在住[6] 。
ディスコグラフィ
シングル
枚 | 発売日 | タイトル | 順位[注釈 4] |
---|---|---|---|
1st | 2002年2月6日 | ワダツミの木 | 1位 |
2nd | 2002年5月22日 | 君ヲ想フ | 6位 |
3rd | 2002年11月7日 | この街 | 7位 |
4th | 2003年6月11日 | 千の夜と千の昼 | 6位 |
5th | 2003年8月13日 | いつか風になる日 | 8位 |
6th | 2005年11月23日 | 語り継ぐこと | 12位 |
7th | 2006年3月8日 | 春のかたみ | 26位 |
8th | 2006年5月3日 | 青のレクイエム | 48位 |
9th | 2007年8月22日 | あなたがここにいてほしい/ミヨリの森 | 33位 |
10th | 2008年7月2日 | 蛍星 | 53位 |
11th | 2011年8月31日 | 永遠の調べ | 173位 |
配信シングル
※厳密には配信シングルではないものも含む(配信後、アルバム等に収録されるなどした楽曲。)
配信日 | タイトル | 収録アルバム | 備考 |
---|---|---|---|
2005年8月5日[注釈 5] | 死んだ女の子 | 3作目のアルバム『ハナダイロ』(初回限定盤ボーナストラック) | 映画「キャタピラー」主題歌 |
2006年11月22日 | 六花譚(ロッカバラード) | 4作目のアルバム『カッシーニ』 | ドラマ『氷点(2006年版)』主題歌 |
2007年12月26日 | 恵みの雨 | コンピレーションアルバム『image7』 4作目のアルバム『カッシーニ』 | P&G シャンプー「h&s」テレビCMソング |
2009年3月4日(着うた/RBT) 2009年3月21日(着うたフル) | 遠い海へ旅に出た私の友達 | 11作目のシングル「永遠の調べ」 | TBS系ドキュメンタリー番組「ウミガメが教えてくれること」テーマソング |
2010年1月27日(着うたR) 2010年2月1日(着うたフルR、RBT、PC) | やわらかなサイクル | 11作目のシングル「永遠の調べ」 | 2010 JFL ECO MESSAGE SONG 新千歳空港エコエアポート2010公式応援ソング |
2012年10月3日 | ワダツミの木 with SLY&ROBBIE | (アルバム未収録) | 1作目のシングル「ワダツミの木」のリプロダクト曲 |
2012年10月10日 | 語り継ぐこと 2012 | (アルバム未収録) | 6作目のシングル「語り継ぐこと」のリプロダクト曲 |
2013年12月25日 | 星めぐりの歌 | (アルバム未収録) | ソニー4K対応ブラビア TVCFソング 宮沢賢治作詞・作曲の曲のカバー |
2016年8月3日 | 君の名前を呼ぶ | (アルバム未収録) | 映画『ゆずの葉ゆれて』主題歌 |
アルバム
インディーズ作品
民謡
枚 | 発売日 | タイトル | 備考 |
---|---|---|---|
1st | 1995年4月 | ひぎゃ女童(めらべ) | カセット。(奄美民謡大賞)新人賞受賞記念作品。発売元は奄美市のセントラル楽器。現在入手可能な最も初期の音源で、18曲入り、「子守唄」はCD未収録。収録曲は全てシマ唄。囃子:(森山ユリ子)、中野末子 |
2nd | 1996年11月 | 故郷・美ら・思い (しま・きょら・うむい) | CD。(奄美民謡大賞)受賞記念作品。22曲入り、収録曲は全てシマ唄。一部はカセットと同じ音源、一部再録音[7]。セントラル楽器。囃子:森山ユリ子、中野末子。2002年6月10日にジャケットを変えて再発売。 |
ポップス
枚 | 発売日 | タイトル | 順位[注釈 6] | 備考 |
---|---|---|---|---|
1st | 2001年3月10日 | Hajime Chitose | 43位 | 全曲カバーのアルバム。2010年5月26日再発売され、ポップスでは現在入手出来る初の音源。 |
2nd | 2001年8月1日 | コトノハ | 37位 | 全曲オリジナルによる初の音源。2010年5月26日再発売。 |
メジャーレーベル作品
枚 | 発売日 | タイトル | 順位[注釈 7] |
---|---|---|---|
1st | 2002年7月10日 | ハイヌミカゼ | 1位 |
2nd | 2003年9月3日 | ノマド・ソウル | 1位 |
3rd | 2006年5月10日 | ハナダイロ | 4位 |
4th | 2008年7月16日 | カッシーニ | 15位 |
5th | 2010年8月4日 | Orient | 38位 |
6th | Occident | 100位 | |
7th(Best) | 2012年10月24日 | 語り継ぐこと | 41位 |
8th | 2015年7月22日 | 平和元年 | 125位 |
9th | 2018年11月14日 | 元唄(はじめうた)~元ちとせ 奄美シマ唄集~ | 192位 |
10th(Remix) | 2019年11月27日 | 元唄 幽玄 ~元ちとせ奄美シマ唄REMIX | |
11th | 2021年8月4日 | トコトワ ~奄美セレクションアルバム~ | 138位 |
12th | 2022年7月6日 | 虹の麓 | 109位 |
未音源化楽曲
- サンスベリア ハニー(作詞・作曲:アナム&マキ)
- 2011年の冬の「ハイヌミカゼ」(定期的に行われるワンマンライブ)にて初披露。
参加作品
- 福耳
- 「福耳」を参照。
- ソニック『失竊千年』(2014年12月29日 禾廣 Hove CHFC141229)
- M10 「暮沉武德殿(民謠版)」(「Defenders of Bú-Tik Palace (acoustic)」)
出演番組
テレビ
ドキュメンタリー
- BS列島スペシャル「私の愛した島唄 元ちとせ18歳の旅立ち」(1997年5月31日、NHK BSプレミアム)
- 情熱大陸(2002年5月26日、毎日放送)
- 音楽達人倶楽部(2002年8月9日、NHK総合)
- JNN共同制作番組 ウミガメが教えてくれること(2009年3月21日、南日本放送)
- NNNドキュメント'14 日本地図から消えた島 奄美 無血の復帰から60年(2014年1月20日、鹿児島読売テレビ制作、日本テレビ系列) - ナレーター
- スーパーラグジュアリートレイン ニッポン再発見!西日本1500キロの旅 (2017年12月27日、NHK BSプレミアム) - 知花くららと旅人として。
その他
- アニメ『ミヨリの森』(2007年8月25日、フジテレビ系) - 一本桜の精 役
- バラエティ『日曜もアメトーーク!』(2017年5月28日、テレビ朝日)「ド田舎芸人」回に出演[8]。
ラジオ
- あまみエフエム『Do you know me?』
- 2012年11月に始まったレギュラー担当番組。毎週金曜22:00から30分間。再放送は土曜23:00。インターネットのサイマル・ラジオ、ListenRadioによって世界各地でも聴くことができる。
CM
脚注
注釈
- ^ NHKより早くから『第53回NHK紅白歌合戦』の出演打診を受けており、一部メディアに「出場確実」と報じられていた。しかし、事務所側より「元ちとせ単独ではなく、福耳ユニットとの抱き合わせでないと出場させない」と杏子の紅白出場に森川社長が執着したが、NHKがその要望を断ったため、最終的に元は出場を辞退した。
- ^ シングル「語り継ぐこと」収録。
- ^ 「青のレクイエム」を歌うシーンで、自身初のCM出演となった。
- ^ オリコン週間シングルランキング
- ^ 初回配信は2005年8月5日から8月15日までで、その後、毎年8月に限定配信された。
- ^ オリコン週間シングルランキング
- ^ オリコン週間シングルランキング
出典
- ^ 角川日本地名大辞典編纂委員会(1983) p.888
- ^ a b c “島唄 元ちとせ”. 株式会社セントラル楽器. 2017年12月3日閲覧。
- ^ sonymusic - 元ちとせ久々のインストアライヴ「千の夜と千の昼」初披露 (2003年6月4日) 。
- ^ Deep Forest: will you be ready angela mcclusky and chitose hajime - YouTube(投稿日: 2007年6月16日)
- ^ . 西日本新聞. (2010年10月25日). オリジナルの2010年11月26日時点におけるアーカイブ。2019年3月16日閲覧。
- ^ "元ちとせ、現在の暮らしを明かす 12年前に奄美に戻る「食べるものも自給自足」島の魅力語る". リアルライブ. REAL LIVE. 28 December 2021. 2021年12月29日閲覧。
- ^ 指宿良彦 (2007年). “大人青年 唄者・元ちとせさん 2”. 株式会社セントラル楽器. 2017年11月26日閲覧。
- ^ “元ちとせ「アメトーーク!」で“ド田舎芸人”千鳥・大悟と離島対決”. 株式会社ナターシャ (2017年5月25日). 2017年11月26日閲覧。
参考文献
関連項目
- 福耳 - 事務所の仲間とともに活動するユニット。
- ヴァージンVS - 冬のサナトリウム・百合コレクションの原曲を作ったあがた森魚のバンド。
- 中孝介 - 元ちとせと同じ奄美大島出身で、元ちとせの唄を聞いて島唄を始めた男性歌手。「お中元」のメンバーで、ジョイントコンサートもたびたび開催。
- RIKKI(中野律紀) - シマ唄を習った中野豊成の姪で、鹿児島県立古仁屋高等学校の先輩。1990年に史上最年少で(奄美民謡大賞)を受賞。
- 里歩寿 - 元ちとせと同じく中野豊成に師事、中学校の後輩、元ちとせが持っていた(奄美民謡大賞)最年少受賞記録を更新。
- 城南海 - 元ちとせと同じ奄美大島出身で、中学校の後輩、元ちとせの唄などを聞いて島唄を練習した女性歌手で、親交がある。
- ハシケン - 元ちとせに楽曲を提供してる奄美大島在住のシンガーソングライター。奄美観光大使。
外部リンク
- オフィスオーガスタ - 公式
- ハナダイロの日々 - ブログ
- - ウェイバックマシン(2008年3月6日アーカイブ分)
- HajimeChitose.official (@hajimechitose.official) - Instagram
- セントラル楽器・元ちとせ - 最初期のシマ唄音源『ひぎゃ女童』と『故郷・美ら・思い』の発売元。通販可。
- (元ちとせ)の作品 - MusicBrainz(英語)