「HOME」(ホーム)は、日本の音楽ユニット・B'zの楽曲。1998年7月8日にRooms RECORDSより25作目のシングルとして発売された。
概要
ベスト・アルバム『』発売から約2か月後に発売されたシングル。収録曲のレコーディングは、『B'z LIVE-GYM '98 "SURVIVE"』の合間を縫って行われた[4]。
『LOVE PHANTOM』から使用されたB'zロゴはシングルでは本作、アルバムでは2000年に発売された『』を最後にしばらく使われなかった。その後2004年発売の『BANZAI』より再び使用されるようになった[注 1]。
正式には「HOME」の単独A面であるが、発売当初のオリコンや日本レコード協会が発行した機関誌『The Record』では『HOME/The Wild Wind』と両A面扱いをされ[5][1]、松本も会報のインタビューで「どっちが1stでもいいと思うんだよね」と発言したことがあった[6][注 2]。実際にジャケットの両A面シングル的なデザイン、両曲ともPVが製作されていること、今作のプロモーションで出演した音楽番組では常に1st beatと(2nd beat)の2曲とも披露していたため、実質的な扱いとしては両A面に近い形になっている。
初回限定盤はジャケットの文字が浮き出る仕様になっている。
記録
L'Arc〜en〜Cielのシングル3作同時リリースと同日発売であったが、2位の『HONEY』を抑えてオリコンチャートで21作連続の初登場1位を獲得[3]。初動・累計売上共に前作を上回り、初動売上は『Calling』以来の50万枚超となった。プラネットチャートでは初登場4位となり、前作まで続いた19作連続の初登場1位の記録が途絶えた[8]。オリコンでは僅かにミリオンには届かなかったが、日本レコード協会の集計ではミリオンセラーとなっている[1]。
収録曲
全作詞: 稲葉浩志、全作曲: 松本孝弘、全編曲: 松本孝弘・稲葉浩志。 | ||
# | タイトル | 時間 |
---|---|---|
1. | 「HOME」 | |
2. | 「The Wild Wind」 | |
合計時間: |
楽曲解説
- HOME
- 歌詞やタイトルに登場する「HOME」は、「自分の中のよりどころ、ゆるぎないもの、それがあれば当面何がおきても大丈夫」という稲葉の思いから付けられた[9]。
- イントロに入っているアコーディオンは、かつてパリを訪れた際に駅で演奏しているのを見た稲葉が、「パリの地下鉄駅構内風のイントロを入れたい」という要望を採り入れたもの[9]。
- コーラスにひみつのアッコちゃんに登場する魔法の呪文「テクマクマヤコン」が出てくる。このコーラスは、合いの手としてコーラスを入れることが考えられた際に稲葉が歌いだしたもの[9][6]。
- MVは『B'z LIVE-GYM '98 "SURVIVE"』ツアー終了後の6月に香港で丸2日かけて撮影されたもので、一部スタッフと出演者は現地の人間[10][11]。また、本曲と「The Wild Wind」の監督は下山天が担当している[12]。
- オリジナル・アルバムには未収録であり、バラード・ベスト・アルバム『』でアルバム初収録となった[注 3][注 4]。
- 音楽番組においては、冒頭のサビをカットし、アコースティック・ギターのパートから始まるアレンジで披露された[注 5]。
- リリース直前まで行われていた『B'z LIVE-GYM '98 "SURVIVE"』では披露されず、翌年に開催された『』でライブ初演奏となった。その際は冒頭のサビは演奏されたが、イントロのアコースティック・ギターのパートが省かれている。
- 2007年にiTunes Storeで配信された『B'z』に、この曲の英語バージョンが収録されている[注 6]。このバージョンはベストアルバム『』でファン投票17位にランクインし[13]、初CD化された(ライブでは2006年9月1日に行われたdwango提供の完全招待制のプレミアムライブ『B'z NETWORK LIVE in Japan』にて初披露されている)。2011年に、東日本大震災の支援を目的としたコンピレーションアルバム『ダウンロード・トゥ・ドネート・フォー・ジャパン』にも収録された[14]。
- 2020年4月27日、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛に伴い、公式YouTubeチャンネルにてメンバー2人でこの曲をセッションする動画が公開され[15][16][17]、4月30日には『B'z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-』のサポートメンバーを加えたバンドセッション動画を公開した[18][19][20]。
- 上記のセッション動画について松本曰く『B'zとして何かアクションを起こすべき』という想いから行われた。当初は新しい曲を作るつもりだったがまだ出せないと判断し、その後稲葉から「HOME」を演奏することを提案され、松本もタイトルも歌詞の内容的にもわかりやすいとのことで「HOME」が選曲された[21]。
- The Wild Wind
- 映画『不夜城』主題歌で、B'zにとってデビュー10年目で初の映画主題歌である。
- 元々は松本がライブでソロコーナーで歌うために用意された楽曲で、主題歌を制作する際に出来た楽曲を稲葉に聴かせ、映画と合っているということから本作が選ばれた[22]。歌詞に登場するブランコは、「揺れている不安定な心」の象徴して描かれている[22]。
- 2003年に発売された著書「ウルトラクロニクル」のインタビューで、松本がB'zの中で特に好きな曲としてあげた1曲でもある[注 7][7]。
- PVは「HOME」と同じく香港で撮影された。また、この曲のPV撮影には不夜城のスタッフも参加している。
- 「HOME」(シングルバージョン)より先にマスト・アルバム『』でアルバム初収録となった。
- テレビ出演などでも表題曲と共に披露され、稲葉がアコースティック・ギターを弾いており、松本はコーラスも担当した。
- リリースに先駆けて『B'z LIVE-GYM '98 "SURVIVE"』の終盤で未発表曲として先行披露された[注 8]。その後、『B'z SHOWCASE 2007 -19-』、『B'z SHOWCASE 2007 -B'z In Your Town-』で約9年ぶりに演奏され、『B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-』と無観客配信ライブ『B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-』のDay2でも演奏されている[23]。
タイアップ
参加ミュージシャン
収録アルバム
HOME
- (シークレットトラックとしてアコースティックショートバージョンが収録)
- (台湾盤、香港盤にのみ収録)
- B'z (2007年のアルバム)(英語詞バージョン「Home」)
- (英語詞バージョン「Home」)
- B'z The Best XXV 1988-1998
The Wild Wind
ライブ映像作品
HOME
- (特典映像ダウンロード)
- B'z LIVE in なんば(英語詞バージョン「Home」)
- (英語詞バージョン「Home」)
- B'z LIVE-GYM 2001 -ELEVEN-
- EPIC DAY(特典DVD/英語詞バージョン「Home」)
- B'z COMPLETE SINGLE BOX(特典DVD)
- B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1〜5
The Wild Wind
脚注
注釈
- ^ シングル『OCEAN』、『衝動』を除く。
- ^ また、著書「ウルトラクロニクル」内のインタビューで両A面シングルと発言したこともある[7]。
- ^ ベスト・アルバム『』収録の「RUN -1998 style-」の無音を挟んで始まる「HOME」は除く。
- ^ ただし、2001年に台湾と香港で発売された『』には、ボーナス・トラックとして収録されている。
- ^ ただし、アコースティック・ギターのパートをエレクトリック・ギターで弾いている。
- ^ ちなみに、ベスト・アルバム『』発売時(2005年)に、iTunes Music Storeにて一時ダウンロード可能な状態になっていたことがある。
- ^ もう1曲は「もう一度キスしたかった」。
- ^ 『SURVIVE』収録の「泣いて 泣いて 泣きやんだら」、「Shower」が日替わりで演奏されていたパートで、これらの曲と差し替える形でセットリストに加わった。
出典
- ^ a b c 「GOLD ALBUM他 認定作品 1998年7月度(98年6月21日〜98年7月20日)」『THE RECORD』第466号、日本レコード協会、1998年9月、9頁。
- ^ “第13回日本ゴールドディスク大賞 / Gold Disc Hall of Fame 13th|THE GOLD DISC”. 日本レコード協会. 2019年10月27日閲覧。
- ^ a b “”. ORICON STYLE. オリコン. 2012年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月13日閲覧。
- ^ mfm I 2013, p. 85.
- ^ “B'zのシングル売上ランキング 2ページ目”. ORICON NEWS. オリコン. 2013年7月24日閲覧。
- ^ a b 『be with!』第38巻、B'z Party、1998年6月。
- ^ a b 佐伯明『B'z ウルトラクロニクル』ソニー・マガジンズ、2003年、40頁。
- ^ “”. プラネット. 1999年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月20日閲覧。
- ^ a b c “MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「HOME」の項)”. エムアールエム. 2019年9月28日閲覧。
- ^ 青木優 (2013年). 『B'z The Best XXV 1988-1998』のアルバム・ノーツ [MUSIC VIDEOのライナーノーツ(初回限定盤に付属)]. VERMILLION RECORDS.
- ^ mfm I 2013, p. 188.
- ^ “WORKS”. 映画監督/映像作家 下山 天のオフィシャルサイト. テンフィルム株式会社. 2023年5月17日閲覧。
- ^ “B'z The Beat “ULTRA Treasure”リクエスト集計最終結果 TOP30”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2008年7月16日) 2019年10月27日閲覧。
- ^ “コンピレーション・アルバム『Download To Donate For Japan』で緊急援助、「どのような災害においても、最も危険で弱い立場にあるのが子供たちです」”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2011年3月24日)2019年10月27日閲覧。
- ^ “B'z松本孝弘&稲葉浩志「HOME」をそれぞれのHOMEからセッション”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年4月27日) 2020年4月27日閲覧。
- ^ “B’z初のホームで「HOME」をセッション”. ORICON NEWS (オリコン). (2020年4月27日)2020年4月29日閲覧。
- ^ B'z (2020年4月27日). B’z “HOME” session2020年4月27日閲覧。
- ^ “B'z松本孝弘&稲葉浩志「HOME」海外のバンドメンバーも加わった新たなセッション動画公開”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年4月30日)2020-04-30 閲覧。
- ^ “B'z、海外バンドメンバーが『“HOME” session』に参加 “Band playing HOME at their homes abroad!””. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2020年4月30日)2020年4月30日閲覧。
- ^ B'z (2020年4月30日). B’z “HOME” Band session2020年4月30日閲覧。
- ^ 『be with!』第126巻、B'z Party、2020年6月。
- ^ a b “MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「サウンドトラック」「soundtrack」の項)”. エムアールエム. 2019年9月28日閲覧。
- ^ “B'z無観客配信ライブ「B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day2」レポート”. ローソンチケット. 株式会社ローソンエンタテインメント. 2021年1月13日閲覧。
参考文献
- 『music freak magazine & Es Flash Back B'z XXV Memories I』エムアールエム、2013年。