特徴
1970年代に社会問題となっていた公害をモチーフとした怪獣で、ヘドロをもじった名前の通りヘドロの塊のような姿をしている[3]。公害やヘドロで汚染された田子の浦港から生まれ、オタマジャクシ状から直立2足歩行体まで、数段階に渡って変態する。
登場作品の『ゴジラ対ヘドラ』および本怪獣は公害をテーマにしており、核をテーマにした第1作『ゴジラ』以来の、社会問題が根底にあるキャラクターでもある[出典 1][注釈 1]。
登場作品
公開順
- 『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)
- 『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)
特撮テレビ番組『ゴジラアイランド』、小説『(GODZILLA 怪獣黙示録)』、YouTube映像作品『(ゴジラvsヘドラ)』にも登場している。
『ゴジラ対ヘドラ』のヘドラ
ヘドラ HEDORAH[出典 2][注釈 2] | |
---|---|
別名 | 公害怪獣[出典 3] |
身長 | 0.1 mm - 60 m[出典 4] |
体重 | 0 - 4万8千 t[出典 5][注釈 3] |
出身地 | 宇宙[出典 6][注釈 4] |
出現地 | |
(水中棲息期) | |
体長 | 0.1 mm - 20 m[出典 7] |
体重 | 不定[出典 8] |
出現地 | |
(上陸期) | |
体長 | 30 m[出典 7] |
体重 | 不定[出典 8] |
出現地 | 田子ノ浦[11] |
(飛行期) | |
体長 | 40 m[出典 7] |
体重 | 不定[出典 8] |
(完全期) | |
体長 | 60 m[出典 9] |
体重 | 4万8千 t[出典 10] |
劇中での命名者は、海洋生物学者・矢野徹の息子である研少年。最初に上陸した際には、驚いた研に短剣で腹部を切り裂かれている。出現地点は駿河湾(水中棲息期)→田子ノ浦(上陸期)→富士市→富士山麓→境沢[11]。
宇宙より隕石に付着して海に降って来たとうかがえる鉱物起源の宇宙生命体ヘドリューム[出典 11](へドリュウム[30][15])が、都市近海に堆積していたヘドロや公害による汚染物質、カドミウム、コバルト、水銀、鉛、硫酸などの鉱物を食糧として組成した身体で生命活動を始め、分裂・合体を繰り返して汚染物質を吸収しながら成長した姿である[出典 12]。
眼を中心にヘドリュームで形成された神経組織というべき筋が体内に流れており、粒子の集合体であるトコロテンのような肉体は風穴を開けられてもダメージを受けず、切断や分離も自在に可能で、分離後も意志を持つ分身のように動く[25]。しかし、行動に目的や意志は存在しない[31]。
身体は熱に極度に弱く乾燥するとボロボロに崩れるが、完全死を迎える前にヘドロをかけられると、破片の個々がオタマジャクシ似の形態に実体化する。それらは磁力によって引き合い、合体してゼラチン状の光沢を帯びた外皮を持つ大きな身体を形成するうえ、成長するにしたがって生える陸上用の足による二足歩行化や爬虫類のように四足歩行化を経て、最終的には飛行能力や巨大な目の上から噴射する猛毒の黒煙に変化する赤色の熱線(ヘドリューム光線[出典 13])の発射能力まで発現する。飛行形態でゴジラを楽々と持ち運ぶほどの怪力や自らの体液でもある強い毒性を持つ弾丸状のヘドロ(ヘドロ弾[出典 14])など、さまざまな能力を駆使してゴジラを苦しめた強敵である。
硫黄の結晶をヘドリュームの触媒作用によって作り、飛行期が通過した後には膨大な硫酸ミストを排泄して生体に害を及ぼす多量のヘドロが残留するため、金属は腐食して錆び、人間は白骨化する[出典 15]。ヘドロや工場地帯の煤煙、ガソリンを吸収して取り込むことから、一時的には環境を改善しているようにも思えるが、結局はその汚染物質を他の地域へ拡散させるため、「公害問題が、工業地帯など限られた地域に犠牲を強いている」という批判をも体現している。
飛行や光線の原動力は体内での核爆発と設定されており、劇中で矢野博士は「恒星同様のもの」と解釈している。
誕生当初は駿河湾でタンカーなどを襲っていたが、それ以上の大きさまで成長した後には上陸して富士市工業地帯を襲撃して煤煙を吸収し、そこでゴジラとの初戦に突入する。ゴジラの放射能火炎を受けて一時退散した後、まもなく飛行能力を得て富士山麓に再来した際には周辺の主要都市と人間に1千万人を超える犠牲者を出すなど大被害を与え、再戦したゴジラを硫酸ミストで昏倒させている。その後、矢野博士の研究から最後まで水分を飛ばせば完全に殺すことが可能と推察され、自衛隊の協力で建造された大型の電極板におびき寄せられるが、トラブルが続発してダメージとならず、三度現れたゴジラと交戦する。そこでもゴジラの左目をヘドロ弾で潰し(自身も左目を潰される)、右手を白骨化させるなど激しい戦いを繰り広げた後、ゴジラの放射能火炎で機能を発揮した電極板の雷電攻撃による高熱で水分を失い、生命活動が停止する[14]。これで絶命したかに思われたが、乾燥が完全ではなかったため、残骸の内側から脱皮するように新たなヘドラが出現し、逃亡を図る。最後は、放射能火炎の応用による空中飛行で追撃してきたゴジラに電極板へ連れ戻されて電撃を浴びせられたうえ、再び押し倒されて未乾燥の内部をえぐり出されてからさらなる電撃を浴びせられたことにより、ようやく完全死を迎える。ただし、エピローグではすでに別個体が誕生していることが示唆されている。
上記のように高熱や乾燥には弱いが、完全に倒すことは非常に難しい[注釈 5]。
- 他の怪獣を交えずに全編通してゴジラと1対1で戦った怪獣は、『キングコング対ゴジラ』(1962年)のキングコング以来9年ぶりである[33]。
- スーツアクターは中山剣吾(現:薩摩剣八郎)が担当しており[出典 16]、彼の入った最初の怪獣である[37][35]。中山は特技監督の中野昭慶によって起用され、当初は顔出しの役だと思っていたところを着ぐるみの役と知って落胆したが、事務所からギャラがいいと言われ、本役に挑んだ[36]。スーツデザインと重量の関係からあまり動けず[出典 17]、ゴジラに入っていた中島春雄がリードしてゴジラが立ち回る感じのアクションにされたという[38][36][注釈 6]。劇中、ヘドラが工場の煙突から煙を吸い上げるシーンはスーツ内に中山が入ったままであり、「非常に苦しかった」と語っている[出典 18]。また、一度撮影中に転んで起き上がれなくなってしまったことがある。中野によれば、スーツでのアクションに制約が出るため、『宇宙大怪獣ドゴラ』を参考に飛行形態が設定されたという[41]。
- 名称
- 関連書籍などでは各形態は水中棲息期[注釈 7]、上陸期、飛行期と表記される[出典 19]が、最後の形態は成長期[出典 20]、完全期[18][12]、巨大化期[出典 21]、最終形態[1]、万能期[注釈 8]と表記が分かれている。劇場予告編では「公害怪獣」ではなく、「忍者怪獣」と表記されていた[注釈 9] 。
- 企画初期は、ヘドロンという名称であった[42]。また、光化学スモッグをイメージしたピカゴンという案もあった[43]。撮影中、現場の中島やスタッフからは「ゴミ」と呼ばれていた[44][45]ほか、中山からは「ぼろぞうきんを重ね合わせた海坊主の幽霊みたい」と呼ばれていた[46][]。
- デザイン
- 「陸・海・空」3態のデザインはすべて井上泰幸による[出典 22][注釈 10]。飛行期はカブトガニをモデルにしている[5][49][注釈 11]。美術監督の井上を経由して監督の坂野義光の指示により、最終形態の目の縁のディテールは女性器をモチーフとしており、縦型の目に赤い目玉にしたという[出典 23][注釈 12]。頭部をへこませたのも坂野の指示である[47]。
- 中野は、定番の怪獣のシルエットを崩すため、汚いダルマになったと述べている[41]。井上が描いたものには廃棄物や汚れた海のガラクタが身体に付いたものもあったが、造形を担当した安丸は納得がいかなかったことから、コンニャクのような得体が知れない怪物を作るため、大量のコンブやワカメに覆われた海坊主のシルエットで、全体に垂れ下がったドロドロのヒダを造形し、ドロドロした感じを狙ったという[51]。
- 中野は、飛行期のデザインを実際の飛行をするものとして空気抵抗の少ないものとした井上の論理的なアイデアを評価している[3]。
- 造型
- この年をもって利光貞三や八木康栄ら主要スタッフが退職し、代わって造形チーフを引き継いだ安丸信行が製作を担当した[出典 24]。ゴジラよりも全体も上背も大きくし、首の長いゴジラより高さもボリュームを出そうとしたという[51]。そのため、発泡スチロールで作られた空洞の芯に発泡ウレタン(フォームラバー、エバーソフト[5])を表面にヒダ上に貼り、ドロドロ感のあるディテールにするために増やしたヒダにラテックスを何度も盛り付けたことから分厚くなり、ゴムと混ぜて重ね塗りした塗料や中に入れた電飾や仕掛けの重みで、100キログラムを超える重量となったため、5人がかりで運ぶ必要があったという[出典 25][注釈 13]。そのため、背負子式の仕掛けで、両肩と首で上に伸びたシャフトに付いた頭を支える構造にし、背負子に仕込まれたモーターで、左右に頭を回すことができたという[出典 26]。ただし、重かったことから、補助として頭頂部をピアノ線で吊っていたという[51]。目は、過去の作品で使用された透明アクリル球を2つに切って半球にしたものに光彩を描いている[7][51]。瞼にはバイクのアクセルワイヤーを用いており、手動で開閉している[43][52]。頭部はドーム状のコアを入れて丸い形を維持し、頭頂部には風船式の仕掛けを入れ、頭にエアを送り込んで膨らませている[51]。手足が2本ずつあるように見えないように、左右のバランスを崩したり、長さを工夫したという[51]。元は全体が鈍い銀色であったが、坂野が赤、青、緑、黄色などの原色を足して彩色したという[51]。
- 完全体が放つヘドロは、高圧ホースから糊を噴出させている[53]。
- このスーツとは別に1尺大の「幼生期」や「飛行期」のミニチュアが作られている[出典 27][注釈 14]。飛行期の造形物は、バラゴンのギニョールを芯に用いている[37]。発泡スチロールで作られた芯にラテックスを盛り、下から煽って撮ることが多いため、背中側を切り開いてその中に後述のメカを入れており、メンテナンス時にも背中が開ける造りとなっている[51]。
- 上陸期が煙突から煙を吸う描写は、内部にホースを入れて掃除機でスモークを吸っている[53]。そのため、着ぐるみの中が黒煙だらけになり、中山が窒息しかけたという[51]。
- 「飛行期」の噴射する硫酸ミストは、中に入れたフロンガスを吹くメカを使って撮影されている[51][54]。死亡時に噴出する煙もフロンガスを用いている[53]。
- 備考
-
- 坂野はヘドラの造形に関し、脚本にト書きを入れるほどのこだわりを見せ、飛行態などのデザインにも積極的に関わっている。撮影初日にはヘドラの体に毒々しい反射素材の色彩を加えようと思いついて塗装を始め[39]、ついにはこの作業に1日を費やしたほか、シーン毎に塗装を変えていった[35]。井上は、デザイン段階から坂野はあくどい色彩を要望していたといい、どこまで色彩に手を入れるかは難しい問題であったが、坂野の施した色彩は実際に映したらアクが強くて面白かったと述べている[47]。
- 水槽内で泳ぐオタマジャクシ状の幼体ヘドラは、生きたドジョウにバルサ材とコンドーム(ラテックス製の口がすぼまった袋状の頭部[51])を被せてメイクを施したもの[出典 28]で、水槽に電気を流して動きを撮った[出典 29]。当初は合成で表現する予定であったが、撮影直前になって坂野が井上に打診し、井上もアイデアを考えていたために実現した[49]。
- 陸上ヘドラの頭頂部にはひび割れがあるが、公開当時は「怒ると脳味噌がはみ出てくる」と説明されていた[要出典]。
- 飛行形態の一部シーンはアニメーションで表現されているが、このシーンには漫画家のつげ義春を起用することも検討されていた[33]。
- 坂野によれば、玩具化しにくいために宣伝部からの評判は良くなかったという[4]。
- スーツの目玉部分は、幼少期から東宝撮影所に出入りしていた特撮監督の原口智生が1973年ごろに廃棄されたものを拾っており、2021年時点でも所有している[56]。当初は周囲のウレタン部分も残っていたが、次第に劣化してなくなったという[56]。
- 2019年には、映画監督の横川寛人により、別個体が登場する短編映画『Hedorah Silent Spring』が制作されている[57]。
- 2022年には、東京都現代美術館にて開催されたイベント「生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展」に、本作品のヘドラのスケッチや絵コンテ、撮影に用いられたミニチュアなどが展示されている[58]。
『ゴジラ FINAL WARS』のヘドラ
チューブ状の突起が付けられたほか、顔つきもより凶悪でグロテスクなデザインに変更されている[69]。武器は目から放つ赤色溶解熱線[出典 33]、顔の管から放つ溶解毒の噴霧・硫酸ミスト[出典 33][注釈 15]。
(X星人)に操られ、当初はエビラとともに東京湾の海底でゴジラと闘っていたとうかがえる[59][65]が、放射熱線で地上へ吹き飛ばされ、ビルに激突する。そこへ飛ばされてきたエビラのハサミが顔に突き刺さった後、ゴジラの放射熱線でエビラとビル共々吹き飛ばされ、爆散する[65][62]。
劇中に名前すら出てこず短い出番ではあったが、後にインターネットや書籍などで全身像が公開されたほか、フィギュアも発売された。
- 書籍『ゴジラ大辞典【新装版】』では、名称をヘドラ(2代目)と記載している[67]。
- デザイン・造形
- デザインは西川伸司[出典 34]。顔の左目の左側に小さな第3の目である幼体の白目があるなど、初代ヘドラの各形態の特徴を取り入れている[出典 35]。また、初代の目が女性器をモチーフとしていたことにちなみ、顔のチューブ状の器官は男性器をモチーフとしている[出典 35]。
- 造形はスタートレインが担当[出典 36]。造形の若狭新一は、出番が消える可能性も考慮してスーツの制作は一番遅かったといい、あまり手をつけなかったと語っている[78]。
- スーツは2021年時点でも現存しており、同年配信の『(ゴジラvsヘドラ)』で使用されている[79][77]。
- 撮影・演出
- スーツアクターは(吉田和宏)[80][81]。
- 初代以来となる再登場のため、公開前は活躍が期待されていたが、実際の映像では登場怪獣の中でも極端に出番が少なく、ファンからは落胆の声が挙がった[61]。監督の北村龍平はヘドラをお台場に出現させてレインボーブリッジを破壊し[75]、その場面で『踊る大捜査線』シリーズのパロディも行う予定にしていたが、これらの展開はプロデューサーの富山省吾に却下され、結果的に出番も少なくなった[要出典][注釈 16]。
- 出番の少なさについてはスタッフから不満の声が上がり、エンドロールに「街で暴れるヘドラ」の映像が挿入されることになった[出典 37]。また、雑誌グラビア用に「ゴジラと戦うヘドラ」の特写スチールの撮影も行われている[82][83][注釈 17]。
- エビラとともに放射熱線で吹き飛ばされるシーンは、2体のスーツとビルのミニチュアを台車に乗せてレール移動させている[82]。吉田は、ビルに激突するシーンでもスーツに入って演じることを要望したが危険なため却下され、本編中での演技は移動時にあえいでいるのみとなった[80]。
『ゴジラアイランド』のヘドラ
X星人ザグレスの操る怪獣として、「モスラ編」に登場。武器は目からのヘドリューム光線と口からの毒ガス。物理的な攻撃が通用せず、パンナトルテのビーム砲も通用しない。
隕石の姿でゴジラアイランドに飛来し、ザグレスがGガード科学プラントを爆破した影響で降り注いだ酸性雨や有毒ガスを吸収して成長し、怪獣の姿になって暴れ始める。窒素酸化物などの有毒物質を拡散させる威力を持ち、ゴジラアイランドを大混乱に陥れる。熱を吸収するため、トレマの銃撃やゴジラの熱線をものともしない。寿命が尽きかけている親モスラを攻撃し、ついには子モスラも襲い始めたため、それを見た親モスラにゴラス火山の火口に落とされる。
それでも生きており、火山の中で温水化物を吸ってパワーアップした後、火山から再び出現する。繭になった子モスラを潰そうとしたことで、ゴジラと再戦する。その時、トレマの呼びかけで成虫化した新モスラの光線とゴジラの熱線を吸い過ぎて苦しみ始め、そこに新モスラの放った雷を受けて乾燥して崩れ落ち、その中から出てきた赤く丸い核らしきものをゴジラに踏みつぶされ、完全に絶命する。
- 造形物はバンダイのソフビ人形。元になったソフビ人形の造型から、尾がない。
ネオヘドラ
ランデスがキノコの胞子から作り出した新種のヘドラ。「ファイヤーラドン編」に登場。ピンクと水色の体色をしている。ヘドリューム光線に加え、浴びるとキノコが生える霧を口とうかがえる箇所から吐く。この霧は怪獣や無機物にも有効で、この霧を浴びた怪獣は背中にキノコが生え、Gガード基地の対獣レーザー砲もキノコまみれになっている[84]。自身もキノコと同じ菌糸類で構成されているため、10万度の熱を浴びせない限りは倒せず、それ以下の熱は通常のヘドラ同様に吸収してしまう性質を持つ。
ランデスが「ゴジラアイランドキノコ化作戦」のためにガイラ山に出現させ、ゴジラアイランド中にキノコを急速に繁殖させたうえ、島の怪獣たちの背中にも次々とキノコを生やしていく。Gガード基地を襲い、さらに駆けつけてきたゴジラも霧でキノコを生やし、弱らせてしまう。だが、炎の精霊と合体してファイヤーラドンになったラドンの火炎と、ゴジラの熱線が加わったことにより、弱点の10万度に達した熱で黒焦げになった後、頭部を残して崩れ落ちる。
- ソフビ人形はヘドラの色を塗り替えたもので、造形物は同一の物。
アニメーション3部作『GODZILLA』のヘドラ
アニメ3部作の前日譚である小説『(GODZILLA 怪獣黙示録)』に、水中の化学物質を食らうヘドロ沼状の微生物の集合体から構成される怪獣として登場。
1999年、中国河北省の廃鉱山から発見され、その性質に着目した人民解放軍のもとで研究されていた。2005年11月に発生したアンギラスとラドンによる北京同時攻撃の際には、怪獣2体の同時駆除というパフォーマンスのために万里の長城付近にて使用され、赤と黄色の目を持つ黒い腐った霧の姿となって2体を惨殺するが、その後は制御を受けつけなくなり、毒素を流出させて北京と天津を一夜で壊滅させ、溜め込んでいた汚染物質を放出し尽くした後、姿を消した。それまでに出た死傷者は推定で約820万人と公表される[85]が、実際は死者だけで2 - 3倍に昇るとも言われている[86]。
『ゴジラvsヘドラ』のヘドラ
昼間の工業地帯に現れ、煙突から排煙を吸入していく一方、硫酸ミストやヘドロを吐きながら周囲を蹂躙していく(人々が直接殺害される描写はないが、硫酸ミストの一射で草花や施設が朽ちる描写はある)。そこに現れた(ゴジラ)と交戦し、放射熱線を吐かれる直前に怪力で押し倒して硫酸ミストで左眼を潰すが、蹴りで反撃されて送電塔群へ倒れ込み、感電して身動きが鈍ったところに起き上がってきたゴジラから放射熱線を浴びせられ、爆散する。
人気・影響
脚注
注釈
- ^ 書籍『大ゴジラ図鑑』では、ヘドラを「公害が生んだ第2のゴジラ」と評している[9]。
- ^ 書籍『超最新ゴジラ大図鑑』では、Hedora or Smog Monsterと記述している[15]。
- ^ 資料によっては、「不定 - 4万8千トン」[21]、「不明 - 4万8千トン」[22][23]、「最大体重:4万8000トン」[25]と記述している。
- ^ 資料によっては、「宇宙-駿河湾」と記述している[17][10]。
- ^ 後年、坂野は「ヘドラがしぶとく生き返ることで一度発生した公害は根絶が難しいことを表現したかった」と述べている[32]。
- ^ 中山は、「結果的にヘドラらしい不気味さになった」と述懐している[36]。
- ^ 資料によっては水中期と記述している[5][21]。書籍『ゴジラ解体全書』では、おたまじゃくし状態を水中棲息期とは別に初期と記述している[22]。
- ^ 当時のプレスシートの表記[25]。
- ^ DVDの特典映像で見ることができる。
- ^ 書籍『ゴジラ大全集』では、水木しげるのイメージを基にしたと記述している[48]。
- ^ 資料によっては、空飛ぶ円盤とエイと記述している[35]。
- ^ 坂野は、ヘドラの目玉について脚本に「女性器のような」という記述を加えている。
- ^ 美術スタッフの高木明法は、「知っている限りでは一番重い」と語っており、これを着用して演技を行っていた中山を評価している[47]。安丸は、「デパートのキャンペーンに持ち込んだ際は重くて動けなかった」と述懐している[45]。
- ^ 書籍『キャラクター大全ゴジラ』では、水中生息期の造形物を3尺と記述している[19]。
- ^ 劇中未使用で、エンディングの映像ではパイプ状の口から噴出している。
- ^ 北村は、DVDのオーディオコメンタリーで「こんなに短くなくてもいいんじゃないの?」と不満をもらしている[要文献特定詳細情報]。また、西川も出番の短さを残念に思うと述べている[61]。
- ^ 結果として、本作品の怪獣では唯一ゴジラと単独で組んだスチール撮影となった[80]。
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- 小説
- 劇場パンフレット
- 『ゴジラ FINAL WARS』パンフレット 2004年12月4日発行 / 発行所:東宝(株)出版・商品事業室
関連項目
- 田子の浦港ヘドロ公害
- 怒髪天 - ボーカルの増子直純は日本で有数のヘドラのフィギュアコレクターである。