連続テレビ小説 | ||
第-作 | 題名 | 放映期間 |
5 | たまゆら | 1965年4月5日 - 1966年4月2日 |
6 | おはなはん | 1966年4月4日 - 1967年4月1日 |
7 | 旅路 | 1967年4月3日 - 1968年3月30日 |
『おはなはん』は、NHK連続テレビ小説の第6作である。1966年4月4日から翌1967年4月1日にかけて1年間放送された[1]。
概要
明治中期の愛媛県大洲市出身のお茶目で明るい主人公・はなは、軍人とお見合いで結婚し子供も授かったが夫は病で他界してしまう。女手一つで子供たちを育てながら、幾多の困難を乗り越えて成長していく姿を描いた。
モデルは原作者の母・林ハナ(旧姓:深尾、1882年4月13日 - 1981年6月12日[2])である。連続テレビ小説で実在人物を主人公のモデルとして描いたのは本作が初めてであり、明治時代以前を描いた作品としても同様である[3]。
主人公はな役は当初、森光子に内定していたが、撮影開始直前の1965年11月に急病(乳腺炎)により降板し、急遽白羽の矢が立ったのが樫山文枝であった[4]。
再放送時間は、前作『たまゆら』までは月 - 土 12:40 - 12:55枠であったが、本作から現在の12:45 - 13:00に変更された。
あらすじ
明治36年、「おはなはん」という愛称で呼ばれる浅尾はなは、明るくお茶目で人気者であった。おはなはんが松山県立女学校を卒業するとすぐに父は、はなと速水中尉との縁談を決めた。お見合いを嫌がるはなは縁談を壊そうとしていたが、一方の速水中尉も予想されるロシアとの戦争を前にしている今なので、縁談を断りに来たのであった。しかし、2人は妙に親近感を覚えて結婚することとなった。2人とはなの父母は、婚礼のために鹿児島へ向かった。男尊女卑が色濃い鹿児島で速水の祖父はよそ者に冷たかったが、はなの明るさが気持ちをやわらげた。婚礼の後、2人は速水の転属先である東京で新婚生活を始めた。長男・謙一郎が生まれたときに、日露戦争が勃発し、速水は出征したが、やがて無事に帰って来た。速水の転属により、一家は弘前へ移ることになったが、長女が生まれたばかりであったおはなはんと2人の子は春まで出発を延ばして速水だけが赴任することになった。赴任先へ向かう途中の汽車で速水は自殺しようとしていた女を助ける。その女は弘前の芸者であった。いつしか彼女は速水の自宅に通うようになっていた。長い冬が終わり弘前に着いたおはなはんはその事実を知り苦悩する。どうにか縁が切れて一安心していたところへ速水のドイツ大使館勤務が決定する。忙しく荷造りをしていたところ、夫の速水は演習中に急死してしまう。
未亡人となったおはなはんは愛媛に戻るが実家の稼業は傾きかけており子供たちを残して医者を志して単身東京に行き東京女子医専で学ぶ。しかし母の急死や様々な理由で医者になることを諦め産婆として働き始める。
視聴率・人気
1966年 - 1967年の平均視聴率は45.8%、最高視聴率は56.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)[5]。
本作が放送が始まると主婦がテレビの前でくぎづけとなり、東京都の水道局員がNHKに「朝ドラが始まった途端に水量メーターが急に下がり、水の出がよくなります」と伝えてきたという逸話も残っている[6]。
キャスト
- 浅尾はな
- 演 - 樫山文枝
- 速水謙太郎
- 演 - 高橋幸治
- 長男・謙一郎
- 演 - 津川雅彦、(古関八州夫)
- 謙一郎の妻・由紀子
- 演 - 川口敦子
- 息子・謙吾
- 演 - (小川吉信)
- 謙吾の妻・マリーナ
- 演 - (コニー・ウィリアムソン)
- 謙太郎の父・平造
- 演 - 中村俊一
- 謙太郎の母・てる
- 演 - 楠田薫
- 謙太郎の弟・正太
- 演 - 小林幸雄
- 謙太郎の祖父・襄介
- 演 - 花沢徳衛
- 謙太郎の叔母・よし
- 演 - 木村俊恵
- 馬丁・細倉亀吉
- 演 - 大辻伺郎
- 亀吉の妻・細倉とく(おとく)
- 演 - 野村昭子[7]
- 謙一郎の初恋の人・久米絢子
- 演 - 真屋順子
- 溝呂木老人
- 演 - 殿山泰司
- 溝呂木の妻・しげ
- 演 - 夏川静枝
- おぎん
- 演 - 菅井きん
- 弘恵
- 演 - (植田多華子)
- 坪井
- 演 - 陶隆
- 早川紀代
- 演 - (長谷川澄子)
- 江島好江
- 演 - (香川久美子)
- 鈴木秋子
- 演 - 鈴木弘子
- 永井とみ
- 演 - (加藤澄江)
- お手伝い・おまき
- 演 - (高山真樹)
- 孝男
- 演 - (篠原賢治)
- 竹内先生
- 演 - 水島晋
- 小川先生
- 演 - 中山昭二
- 伊勢屋・番頭
- 演 - (近江俊輔)
- 道で会った学生
- 演 - (松島滋広)
- 校長
- 演 - 石島房太郎
- 教頭
- 演 - (中江隆介)
- 教師
- 演 - 高木均
- 写真屋
- 演 - 落合義雄
- 電報配達人
- 演 - 及川ヒロオ
- 医者
- 演 - 北見治一
- 酒蔵若主人
- 演 - 井上真樹夫
- その他
- 演 - 沢村貞子、水谷八重子、花柳喜章、高田敏江、加藤治子、岡田英次、露口茂、宮脇康之、江守徹、市原悦子、長山藍子、加藤嘉、戸浦六宏、蜷川幸雄、久米明、二木てるみ、大滝秀治、井川比佐志、嵯峨善兵、桜むつ子、横森久、茅島成美、田島義文、長谷川哲夫、加藤武、原泉、寺田誠、井上昭文、冨田恵子、中澤敦子、小山源喜、小峰千代子、巖金四郎、荒木道子、文野朋子、鈴木光枝、森塚敏、生井健夫、野本礼三、西田昭市、小川真由美、近藤洋介、三遊亭圓生、中村伸郎、佐々木愛、柳谷寛、北城真記子、本郷淳、夏川大二郎、小林哲子、松下砂稚子、武藤英司、成瀬昌彦、(一戸宏)、(石川登)、美川陽一郎、岡村文子、(勝間典子)、浮田佐武郎、清水一郎、和沢昌治、横井徹、渡辺篤、荒木玉枝、設楽幸嗣、(福田秀実)、(矢代京子)、(御園悦子)、大森義夫、(小金井宣夫)
ほか
スタッフ
映像の現存状況
オリジナルと3種類の編集版がある。現存する映像はすべてテレビ画面をフィルムカメラで撮影し編集したものである(キネコ)。
- オリジナル版
- 本放送で放送されたもので放送回数全310回のうち現存する回は、第8回、第10回、第58回、第91回、第95回、第96回、第155回、第168回、第228回の9話のみである。
- 特集おはなはん版
- 大変な人気を博したため、時間帯の都合で見られない視聴者のために、1週間の内容15分×6話を1時間に再編集した『特集おはなはん』を、1966年7月3日から毎週日曜日(10月9日までは13:40 - 14:40、10月16日以降は22:10 - 23:00)に放送した。
- この特集おはなはん版48話は全話現存する[注釈 2]。
- BSアンコール版
- セルビデオ版
- おはなはん総集編として前後編各100分全10巻がセルビデオとして発売。現在視聴可能なのはこのセルビデオ版である。
- すでに編集された特集おはなはんの映像を、さらに16時間半に大幅にカットしたため、前半の当時一気に人気を加速させたおはなはんと速水の見合いのいきさつや、結婚後の義祖父との確執と和解、三雲先生とのいきさつ、さらに話の途中何度も登場する溝呂木などの登場人物の描写など、重要な場面がすべてカットされている。
ドラマ『おはなはん一代記』
『おはなはん』放送以前の1962年11月2日、単発のドラマとしてNHKで放送された[9]。第17回芸術祭奨励賞受賞。
単発ドラマで森光子が主演を務めていたことから『おはなはん』でも森が主演となる予定であった。
地域性
舞台となる県の変更
原作は随筆家の林謙一が母・はなの半生を綴った「おはなはん一代記」。林はなが実際に生まれ育ったのは徳島市であったが、ドラマ化に際しては愛媛県大洲市に物語の舞台が変更された。
この変更は、公式には「戦災で徳島の古い街並みがほとんど失われたため、古い街並みの残る大洲が選ばれた」からであるとされているが、一説には撮影に際して徳島市が、費用などの便宜に難色を示したからであるともいわれる。後日、徳島市は大変悔しがったという。
大洲市
大洲市には「おはなはん通り」があり、名所になっている。また番組名を採った銘菓も存在する。防災行政無線の時報も「おはなはん」のテーマ曲のメロディーである。 放送が自宅で見られるよう配慮し、始業時間を繰り下げた企業もあった。
テーマ曲
ドラマのテーマ曲はインストゥルメンタルであるが、レコード版では歌詞がつけられ倍賞千恵子が歌っている。そのほか映像作品では以下の使用例がある。
- 『ウゴウゴルーガ』のショートアニメ『あにき』で内のBGM。
- 『志村けんのだいじょうぶだぁ』のコントで、老人会の人間が大正琴の演奏を練習するという設定でこの曲が使われ、演奏者の一人が音程を大きく外して全員が転ぶというものがあった。
- スタジオジブリのアニメ映画『おもひでぽろぽろ』でもこの曲が使われている。
- 2010年からはソフトバンクモバイルのCMでも使用されている。
最終回
最終回は、樫山の演じる「おはなはん」自身がドラマの第1回放送を見るシーンで終わっている(『おはなはん』の主題歌が流れ始めたところで、樫山にスポットが当たり、終了)。
ドラマの中にそのドラマ自体が登場する演出は、本作と2011年度下半期の『カーネーション』のみである。
なお、最初の構想では最終回でおはなはんが亡くなるという設定であったが、モデルとなった人物が当時存命であったため、上記の設定に変更になった。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g 日本放送協会総合放送文化研究所 放送史編修室 編『NHK年鑑'67』日本放送出版協会、1967年9月10日、132頁。(NDLJP):2474364/87 。
- ^ 林ハナ とは - コトバンク(デジタル版 日本人名大辞典+Plus)
- ^ “舞台年表”. 朝ドラ100. 日本放送協会. 2023年1月15日閲覧。
- ^ 坂本朝一著「放送つれづれ草」(1991年8月、東京新聞出版局)
- ^ ビデオリサーチ NHK朝の連続テレビ小説【関東地区】より。
- ^ “水道にも大影響、朝ドラ『おはなはん』ヒロインが語る秘話”. NEWSポストセブン (小学館). (2019年3月25日) 2023年1月15日閲覧。
- ^ 野村昭子 - NHK人物録
- ^ NHKクロニクル番組表検索、朝日新聞縮刷版 1966年4月号 - 1968年6月号
- ^ 特集ドラマ おはなはん一代記 - (NHK放送史)
外部リンク
- 連続テレビ小説 おはなはん - (NHK放送史)
- 茶の間で大人気 「おはなはん」 - (NHK放送史)
- 連続テレビ小説50年!〜日本の朝を彩るヒロインたち - (NHK放送史)(動画の2:29より番組紹介)
- テレビを見ない時間帯を変えた“朝ドラ” - マンガで読むNHKヒストリー
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
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NHK 月〜土 12:45 - 13:00枠 | ||
たまゆら(再) ※12:40 - 12:55 (海外だより) ※12:55 - 13:00 【40分繰上げて継続】 | おはなはん(再放送) | 旅路 |
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- | おはなはん (1993年度上半期) |