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日本の道路標識

道路標識 > 日本の道路標識

日本の道路標識(にほんのどうろひょうしき)では、日本における道路標識について記述する。日本では道路上の安全と円滑のために道路標識が設置され、その様式や設置方法などは道路標識、区画線及び道路標示に関する命令に基づいて定められている。

標識の設置管理者による違い。手前の「幅員減少」「徐行」は道路管理者が設置、奥の「大型貨物自動車等通行止め」「最高速度30 km/時」の「規制の始まり」は公安委員会が設置したもの。道路管理者と公安委員会とで支柱は別々に建てられている。
上から「一時停止」、「駐車禁止」「横断歩道 (407-A)」の3つを路側式で設置した例。一番上の「一時停止」標識は、2017年から設置が始まった新形式で、英語の"STOP"が併記されている。東京都板橋区・2018年設置。

日本における道路標識は本標識案内標識警戒標識規制標識指示標識)と、その本標識に付属する役割を持つ補助標識に区別されている。道路標識を設置する主体は都道府県公安委員会道路管理者に分けられる。

道路標識の源流は江戸時代から設置が始まったとされる「道標」であり、日本で統一されたデザインの標識が設置され始めたのは大正時代のことである。その後、国内における道路交通情勢の変化に応じて様式の変遷・追加が行われ現在にいたる。

概要

一時停止 (330) (旧)と横断歩道 (407)。いずれも本標識であり、上の一時停止は規制標識、下の横断歩道は指示標識に区分される。

日本では道路標識道路における交通の安全と円滑を図るために設けられる[1]路面標示信号機とは有機的あるいは補完的に設けられる[2]

日本の道路標識を大別すると本標識補助標識に分けられる。本標識は案内標識警戒標識規制標識指示標識の4つに区分され、補助標識は本標識に付属するものとしている[2]

案内標識は、道路案内のため主に青地または緑地に白の2色で表された標識で、目的地の方向や距離、現在地の情報、道路の路線番号などを通行者に伝えるために設置される[3]。警戒標識は黄地に黒の2色で表された菱型の標識で、その先の交差点踏切車線減少、信号機や学校があることを通行者に注意を促すために設置される[3]。規制標識は赤地に青・白または青地に白で表される。多くは円形あるいは四角形・逆三角形の標識で、通行者に通行規制や禁止事項を伝えるために設置される[3]。指示標識は青地に白の2色で表される主に五角形や正方形の標識で、横断歩道中央線駐車可、優先道路などを運転者に伝えるために設置されるものである[3]。補助標識は距離や区域、時間、車両の種類、方向など本標識を補足するための標識で[3]、本標識の下に設けられる。

なお、これ以外に案内、注意喚起、指導用の看板類が設置されることがあるが、これらは一般に道路標識には含まれない[2]。しかし、法令上で正式には定められていない標識として法定外標識と呼ぶことがある[4]

道路標識を設置・管理する主体で区別すると、都道府県公安委員会が所轄するものと、道路管理者国土交通省都道府県市町村NEXCOなど)が所轄するものに分けられる[5]。規制標識および指示標識は都道府県公安委員会・道路管理者の両者が所轄する対象となるもの、もしくはどちらか片方が所轄するものが混在する[5]。その一方で、案内標識と警戒標識は全て道路管理者の下で設置・管理が行われている[5]

法令上では定められていないが、交通に対する案内、警戒、規制、指示の内容を表現するために用いられる板を「標識板」、その標識板を固定するために用いられる支柱を「標識柱」と呼ぶ[6][注釈 1]

世界各国との比較

陸上で国境を接する国同士では自動車による越境が日常的に行われているが[7]島国であり他国と接続する道路を持たない日本ではこのようなことがないため、日本とそれ以外の国では道路標識の内容やデザインに大きな差がある。

国家間で道路標識や交通制度を統一することは陸路貿易の活性化や交通安全保持のために必要であり[7]、実際に多くのが「道路標識及び信号に関するウィーン条約(ウィーン条約)」に則って道路標識を制定している[8]。この条約で提示された国際連合道路標識(国連標識)は、古くから国境を越えて道路網が発展してきたヨーロッパの様式を基に、母語に関係なく意味が理解できるように設計されているため[9]、結果的にこの目的に適うものとなっている[10]

日本はウィーン条約を批准しておらず[11]、更に独自の基準で道路標識を制定しているため、諸外国との統一性はあまり見られない[12]。実際は、一部ウィーン条約を尊重した法整備や[12][13]訪日外国人のレンタカー利用増加に向けた対応を行っているものの[14]、依然として国際標準とは大きく異なっている。

例えば「一時停止」の標識は国際的に八角形または円形が一般的だが、日本は逆三角形のものを使用している[11]漢字のみでデザインされた標識(「危険物積載車両通行止め」「停車可」など)もあり[15]、このように外国人旅行者がその意味を解するのが困難な標識は、運転時に混乱を引き起こしストレスや事故の原因となり得るため、国連標識に近づけるなどの対策や再整備が必要であるという指摘がある[16]2019年に行われた中部国際空港からレンタカーを利用する外国人への調査によると、「一時停止」の標識の意味を理解できる外国人の割合は3割以下であった[17]。一方、日本の禁止を表す標識は原則として赤い丸に赤い斜線を加えるという原則が保たれているため、これと赤い丸のみで禁止を表す標識が混在する国連標識などと比べて統一感があると言える[18]

なお、日本は他国と比べて道路標識が数多く至るところに設置されている[12]。公安委員会が設置する道路標識が他国と比べ多い理由は、道路網が密であり、主要幹線道路も都市内を貫通することで通過交通と地域交通が混在しており、これらの道路環境の中で安全と円滑を確保するにはきめ細やかな交通規制を実施せざるを得ないからである[19]

法律上の位置づけ

道路標識の設置に関する法律
道路管理者は、道路の構造を保全し、又は交通の安全と円滑を図るため、必要な場所に道路標識又は区画線を設けなければならない。 — 道路法第45条
都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。 — 道路交通法第4条

道路法道路交通法に基づき道路管理者と都道府県公安委員会は道路標識を設置しなければならない。

前項の道路標識及び区画線の種類、様式及び設置場所その他道路標識及び区画線に関し必要な事項は、内閣府令・国土交通省令で定める。 — 道路法第45条第2項
道路標識等の種類、様式、設置場所その他道路標識等について必要な事項は、内閣府令・国土交通省令で定める。 — 道路交通法第4条第5項

ここで言う「内閣府令・国土交通省令」が道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(以下、標識令)である。標識令によって様式や設置基準、設置主体が規定されている[20]。なお、都道府県や市町村が設置する案内標識や警戒標識の寸法や文字の大きさは条例によって独自に定めることができる(道路法第45条第3項)。

法律には定められていない事項に関してはマニュアルや基準が整備され、これに則って計画・設計・施工・維持管理が行われている[21]

道路交通法と道路標識

道路交通法に基づく交通規制は道路標識または道路標示による明示によってはじめて強制力を持つものであり、明示が無い場合は法定の規制が働く[22]。この原則を「標識標示主義」と呼ぶ[22]。すなわち、交通規制を行う規制標識・指示標識は分かりやすさ・見やすさがなければ効力が発生せず、適法な設置の標識でも認識できない状況のものはその効力が失われる[22]。そのため、樹木に隠れるなどして見づらい規制標識・指示標識は無効となる[23]。公安委員会から正規の手続きを受けないで設置された規制標識・指示標識も無効とされ、たとえ取締を行ったとしても違反者に対して反則金の返還や違反歴の削除を行うこととなる[24]

設置方法

標識を設置する際は建築限界を侵さず、視認性を損なわないようにしなければならない[25]。道路標識の設置方法に関しては、道路管理者と公安委員会との設置主体の違いによって道路利用者に不便な道路標識が設置されているという指摘が存在する[26]。同じ情報が複数表示されることのないよう、標識板の集約化などを行うことが望ましいとされている[27]

標識が受ける力

道路標識が受ける力には自重(道路標識自体の荷重)、風荷重、地震の影響や雪荷重、衝突荷重などがあり、構造上の安全性や耐久性の観点からこれらを考慮して設置方法を設計する必要がある[28]

風荷重は1975年(昭和50年)7月15日に通知された「道路付属物の基礎について」(建設省道路局企画課長通達)の規定に従い計算を行うこととなっている[29]。路側式の標識では風速40 m/s、片持式・門型式・歩道橋添架式などは風速50 m/sの風が短期荷重として載荷されるものとして計算する[29]が、地域や設置環境に応じて風速60 m/sと設定する事例もある[30]。また、風を受ける方向によって正面から風を受ける場合(直風時)と斜め45度の方向から風を受ける場合(斜風時)の2種類の計算を行うことが考えられ、斜風時は直風時と比べ標示板には1/2倍、円形の1/√2倍の風荷重が掛かるものとする[30]

地震の影響については、一般に標示板の自重が比較的軽くて面積が大きいことから風荷重が地震により作用する慣性力を優越するため、地震の影響に対する安全性もある程度は確保されているものとして考えられてきた[30]。ただし、道路情報板などが併設された道路標識の場合は地震の影響が風荷重よりも支配的になることも考えられる[30]。また、共振により標識柱が座屈した事例が報告されている(地震発生時以外でも高架橋と標識柱の固有周期が一致して座屈する可能性はある)[31]

こうした標識が受ける力を設計するにあたっては、「常時(自重+雪荷重)」「暴風時(自重+雪荷重+風荷重)」「地震時(自重+地震の影響)」の3つの条件を仮定して行われることが一般的である[32]

設置方法の分類

道路標識の設置方式は標識柱の形態によって以下のように分類される[33][34]

  • 路側式:標識板を単一又は複数のに取り付け、道路の路端や歩道などに設置する方式。柱が1本のみの場合を単柱式、柱が複数ある場合は複柱式と呼ぶ。
  • 片持式(オーバーハング式):道路の路端や歩道などに設けられた柱から、を用いて車道部の上方に張り出させる方式。柱の形状によって逆L型F型テーパーポール型T型などに分けられる。
  • 門型式(オーバーヘッド式):柱を道路を跨ぐように設置し、車道部の上方に標識板を設置させる方式。
  • 添架式信号機道路照明灯横断歩道橋などに取付金具を用いて標識板を設置させる方式。
着雪対策

多雪地域において標識板に着雪することは視認性の悪化を招くため、標識板を傾斜して設置して風の流れを強くすることで着雪を防止してきた[35]。一方で、大型の案内標識板は裏面に雪が積もって落雪が起こることがあるため、それを防ぐためにフラット型・屋根型・カバー型などの方法で標識板裏面の積雪を防いでいる[36]

基礎

道路標識の基礎は標識板や標識柱の自重および荷重を安全に地盤に伝え、標識を堅固にする[37]。基礎は支持、転倒および滑動に対して安定する設計されなければならない[38]。なお、地震発生後の液状化現象により基礎の傾斜が見られることはあっても、倒壊に至ったケースは報告されていない[39]

道路標識の基礎は以下のものが一般的である[40]

  • 直接基礎:一般道等の大型標識で多く見られ、長方形断面を道路進行方向に長くすることで風荷重に抵抗できる構造となっている。
  • ケーソン基礎:小型標識で見られる縦長の基礎で、支柱をコンクリートに埋め込むことが多い。
  • 杭基礎:高速道路等の法面に設置される標識で多く用いられる。コンクリート本体にH形鋼2本を使用したタイプが多いが、一方で市街地の片持式標識で設置スペースが制約される場合はH形鋼とアンカーボルトを直結した1本杭も用いられる。
  • 根かせ基礎:公安委員会が設置する小型標識に使用されることが多い。根かせのついた標識柱を土中に埋め込み、地際部をコンクリートで固める。
  • 置き基礎:一時的な仮設の標識で見られる形態で、コンクリートブロックに支柱を埋め込んだ構造が多い。

基礎と支柱の接合部は大別して「支柱埋め込み式」と「ベースプレート式」の2種類に分けられる[41]。支柱埋め込み式は支柱を基礎の中に直接埋め込み、支柱が設置後に傾斜しないように空隙部にモルタルを充填する[41]。ベースプレート式は支柱端部に溶接された(ベースプレート)と基礎をアンカーボルトにより接合する[41]。このときベースプレートを含め支柱下端部をコンクリートで覆うことがある[42]

標識板

寸法

標識令において、道路標識の寸法が規定されている[43][44]

  • 警戒標識 : 一辺45 cm
  • 円形の本標識 : 直径60 cm
  • 三角形の標識 : 一辺80 cm
  • 正方形の標識 : 一辺60 cm(一部の標識は90 cm)
  • 補助標識 : 横40 - 60 cm、縦10 cm以上

一部の案内標識[注釈 2]は寸法の制限が設けられてなく、代わりに文字の大きさの基準値が設けられている(後述)。

道路の(設計速度)や交通の条件によって、道路標識の拡大や縮小が可能である。警戒標識の場合、設計速度が60 km/h (時速60キロメートル)以上の道路においては規定の2倍の大きさまで標識を大きくでき、設計速度が100 km/h 以上の場合は同様に2.5倍の大きさまで大きくできる。一方、規制標識や指示標識は規定の2倍の大きさまで拡大、又は1/2倍の大きさまで縮小できる。拡大する場合は通常は1.5倍に拡大したものを採用される[45]

道路標識の基準は、従来はすべての道路について、標識令によって規定されていたが、地方分権の流れのなかで、2012年4月1日からは、都道府県道市町村道で設置する標識の寸法については、道路管理者である自治体の条例で定めることになった[46]。具体的には、道路法第45条の規定が改正され、以下のようになった。

都道府県道又は市町村道に設ける道路標識のうち内閣府令・国土交通省令で定めるものの寸法は、前項の規定にかかわらず、同項の内閣府令・国土交通省令の定めるところを参酌して、当該都道府県道又は市町村道の道路管理者である地方公共団体の条例で定める。 — 道路法第45条第3項

このように改正されたきっかけは、金沢市2006年(平成18年)3月31日内閣府構造改革特別区域(周辺環境に調和した道路標識金沢特区)に認められ[47]、この特区の全国展開として地域の特性に応じて柔軟に対応できるよう基準を緩和すべきと判断されたためである[48]

反射材料等による分類

標識板は夜間における視認性を確保するための方式によって以下のように分類される。

  • 反射材料による方式:夜間における道路標識の視認性の向上のため標識板表面に反射シートが用いられたもので、反射式標識板とも呼ばれる[45][49]。反射材にはガラスビーズを用いたもの(封入レンズ型、カプセルレンズ型)とプリズムを用いたもの(封入プリズム型、カプセルプリズム型、広角プリズム型)がある[2]。反射材を使用しつつも、太陽電池などによって輪郭などを発光させる「自発光式道路標識」の設置もできる[49]
  • 照明装置を持つ方式[50]
    • 外部照明方式:反射式標識板の判読性、視認性を高める目的で補助的に蛍光灯[51]を用いて照明する方法。反射材の性能向上によって新設が無くなっている。外部照明方式の中には反射式標識板を照らす光源にサーチライトを用いた遠方照明方式もある[52]。この遠方照明方式を応用して標識板の反射材料に紫外線によって発光するものを使用して、照射した紫外線による発光で視認性を向上させるものが存在する[53][54]
    遠方照明方式は光源が比較的低く設置され、高所となる標識柱に上ることがなく、付属されることが多い梯子や作業台を使えば良いために光源の点検・交換が容易な事から、後述する内部照明方式に代えて高速道路インターチェンジ(IC)・ジャンクション(JCT)の案内標識に使われることもある。
    • 内部照明方式:標識板の内部に光源を設け、自発光することにより判読性、視認性を確保する方式。高速道路インターチェンジ(IC)・ジャンクション(JCT)における行動点など重要度の大きな標識に用いられる。
可変標識
表示内容を日時や道路状況によって変えられる構造を持ったものを可変式道路標識(可変標識)と呼び、このような形態は規制・指示標識のみならず道路情報の提供にも用いられる[55]。交通規制がきめ細かく行われる場合には道路利用者が補助標識の判読に時間がかかることが多いため、その負担を軽減させるために必要な標識図柄を必要な時間帯だけ表示するようにした道路標識である[56]
逆光対策標識
東西に走る道路にある道路標識は朝夕の太陽の位置によって逆光になり著しく視認性が落ちることがある[57]。そのため、時間帯を問わず標識の視認性を維持する目的で文字部分にスリットを入れたり、白色部分に(パンチングメタル)を使用するなどした道路標識を設置することがある[58]

色彩

表示面の色彩

道路標識に用いられる色彩は、標識令では「緑色」、「青色」、「黄色

  1. 番号付き箇条書きの項目

」などとされているのみであり、具体的な色度の指定はされていない。一方で、日本産業規格(JIS)により保安用反射シート及びテープの規格が決められており、道路標識の色彩はこちらに準拠している[59]

表示面以外の塗装

標識板や標識柱には腐食防止のため(防錆処理)が行われ、その一環として塗装が施される。塗装で用いられる色は原則として白色か灰色(大型の標識柱の場合は重たい印象を与えないため亜鉛めっきが主流[60])だが、周辺環境や景観との調和のために異なる色を用いることもある[61][62]。その場合はダークグレーやダークブラウンなどが採用される[63]

道路標識の種類

以下の説明において、()は標識の番号を示す。

本標識

案内標識

案内標識は道路利用者に対して市町村の境界、目的地や通過地への方向および距離などを示すとともに、利用者の利便のため必要な沿道に関する各種の案内を行う標識である[2]。全ての案内標識が道路管理者によって設置される[64]

  • 目的地や通過地への方向、距離、経由路線などを示すものを「経路案内」、行政境界や地点の案内を行う「地点案内」、登坂車線駐車場などの道路上の施設を案内を行う「付属施設案内」の三種類に分けられる[65][66]。通常、経路案内標識は「日本語(かな漢字)」「英語(ローマ字)」の2種類で表記されるが、自治体によってはさらに「ロシア語(キリル文字)」表記が追加される。
  • 案内標識は文字数や内容によって標識板の寸法が異なるため、文字などの大きさが定められている[67]
    • 文字などの大きさは寸法と同じく都道府県や市町村が条例に基づき設定することができる(道路法第45条第3項[46]。この例として、東京都などではローマ字寸法を拡大し、外国人旅行客を含め視認性が向上したことなどがあげられる[68]
    • 漢字の大きさは下表の通り(いずれも基準値)。
    • ローマ字の大きさは大文字が漢字の1/2、小文字が大文字の3/4程度である。
設計速度 漢字の大きさ
70 km/h以上 30 cm
40、50、60 km/h 20 cm
30 km/h以下 10 cm
経路案内標識
  • 一般道路に設置される経路案内標識はその色から「青看」と呼ばれる[69]。「国道番号」や「都道府県道番号」はその形状からそれぞれ「おにぎり」や「ヘキサ」と愛称が付けられている[70]
  • 「国道番号」「都道府県道番号」で番号の後ろに「-B」「-C」が付く様式は「交差道路標識」[71][72]や「卒塔婆」[73]と呼ばれる。原則として両面設置を行い[72]、地図と連動させて案内できるよう、赤(一般国道)、緑(主要地方道)、黄色(一般都道府県道)のように色分けして設置する[71][74]
  • 案内標識で案内の対象となる地名を「目標地」と呼ぶ。目標地の案内方法には「地名方式」「路線番号方式」の2種類に分けられ、日本では地名方式が採用されている[75][注釈 3]。経路案内標識で案内される目標地は下表のように「基準地」「重要地」「主要地」「一般地」に分類されている[77]。案内の対象となる道路の種類に応じて、案内される目標地が決まる[78]。すなわち、経由地・目的地がほとんど一致する道路であっても、必ずしも同じ案内内容になるとは限らない。
    • 目標地は都道府県ごとに、国土交通省地方整備局国道事務所と都道府県及び政令指定都市の道路管理者により構成される連絡調整会議で決定される[79]。殆どは市町村名だが、施設名(空港等)や著名な史跡、名勝地等が選ばれることがあるなど、必ずしも市町村名・町丁名であるとは限らない。
    • 距離を示す際に用いられる「目標地の中心地点」は、市町村名の場合は原則として「市役所や町村役場の正面地点」としているが、不適当な場合は主要交差点や駅など、その地域を代表する別の地点が選ばれることもある[80]。なお、目標地としての「東京」は、日本橋((日本国道路元標))を中心地点として定めている。
    • 現行の案内標識は表示されている地名を順次入れ替えていくのがルールであるが、目標地が見慣れないものに入れ替わる、掲示情報が途中で途切れているものも存在する問題点が指摘されている[81]。この背景には平成の大合併による影響や、道路管理者ごとで案内標識の内容を定めるため異なった管轄のものと調整が取りづらいこと、参照にできるレイアウト図が少ないことに加え、関係者がコミュニケーションデザインについての理解が不十分であることなどが挙げられる[81]
区分 候補となる地点 例(東京都の場合)[76][82]
基準地 重要地の中で特に主要な地点。概ね1県1地点(後述) 東京
重要地 都道府県庁所在地政令指定都市地方生活圏の中心都市など 東京、八王子、日本橋、上野、新宿など
主要地 二次生活圏[注釈 4]の中心となっている自治体など 奥多摩、府中、銀座、本郷など
一般地 上記以外の自治体、著名地点など 日野、武蔵野、秋葉原、早稲田など
地点案内標識
  • 「市町村」や「都府県」は市町村都府県界に設置し、これから入る市町村・都府県名を記す。この標識には自治体名のほか、都府県章市区町村章を併記することができる[83]。「カントリーサイン」とも呼ばれ、特に都府県章・市区町村章や地域のシンボルやイメージを描いた絵を挿入した標識を指す[84]
  • 「著名地点」は観光地官公庁などの著名地点を案内する場合に設けられる。著名地点まで誘導を行いたい場合は矢印と距離が設けられ、更には必要に応じてシンボルマークが設けられる[85]。歩行者向けに角を丸く取った様式(114-B)が存在し、地図と併設したものを「地図標識」と称している[86]
  • 「主要地点」は主な交差点橋梁トンネルなど交通上の目標となる地点に設置され、その名称を記す。通常は横型のものを用いるが、設置が困難な場合に限り縦型のものを用いる[87]観光先進国や地方創生の実現に向けて、観光地等付近ではその観光地等の名称に変更するよう改善を進めている[88]
付属施設案内標識
  • 「非常電話」や「非常停車帯」は自専道でそれぞれの手前又は頭上に設置し、その存在を記す[89]
  • 「登坂車線」は登坂車線の存在を記す。一般道路では原則として開始位置に設置される[90]。ただし、自専道においては開始位置のほか、予告や終了位置にも違う様式のものが設置される[91]
  • 「エレベーター」 - 「便所」までの案内標識はそれぞれの施設の位置を明示する。「バリアフリー標識」と呼ばれるもので、高齢者身体障害者等の移動を円滑にするために設置される[92]
ギャラリー

警戒標識

警戒標識は道路利用者に対して沿道における運転上の危険または注意すべき事象を予告する標識である[66]。警戒標識の過度な設置は警告効果を弱める原因であるため、適正な設置計画が重要である[93]。全ての警戒標識が道路管理者によって設置される[64]。デザインはアメリカに倣ったもので[94]、黄色地に黒ふち・黒模様の菱形。通常の大きさは一辺 45 cm。

交差点の予告

視認が困難で注意喚起が必要な交差点がある場合に設置する。原則として交差点手前30-120 m (メートル)の間に設置する[95]

道路の平面形状の予告

曲線が開始する30 - 200 m の間に設置され、道路の状況(設計速度、交通量、事故の有無等)から設置の必要性を十分に検討しなければならないとしている[96]

道路の縦断形状の予告

設計速度と縦断勾配の大きさからみて、急勾配の手前30 - 200 m の間に設置される[97]。 標識にある「○ % 」は、水平方向に100 m 進むと○m上がる(下がる)ということを示している。例えば5 % は水平方向に100 m 進むと5 m 上がる(下がる)勾配である。

交通流の変化の予告

該当の部分から50 - 200 m 手前の設置を原則としている[98]が、「道路工事中」のみ補助標識「距離・区域」の併設で1 km (キロメートル)手前から設置することができる[99]

路面又は沿道状況の予告
  • それぞれの施設や状態が生じるの手前に設置する。
  • 「踏切あり」は原則として全ての踏切を対象に設置され、踏切を通過する車両が確実に停止できるよう設置されなければならない[99]1986年電車が描かれた新形式のものが追加されたが、蒸気機関車が描かれた旧型式のものも現役として残っている[100]
  • 「学校・幼稚園・保育所等あり」は(通学路)を示したい場合も設置できる。この時は補助標識「通学路(508)」を取り付ける[101]
  • 「すべりやすい」は特定の季節のみ対象とする場合は補助標識を併用する[102]
気象状況、動物の飛び出し、その他の注意の予告
  • 「動物が飛び出すおそれあり」は、標識令の例示であるシカ以外の動物が飛び出すおそれがある場合は適宜その動物の図柄を表示することになっているが、タヌキウサギサルについては標準がある[103][104]。動物のイラストは自治体によって様々な種類のものが登場しており、例えば北海道では、キツネやシカのほか、帯広市内ではエゾリスがあるほか、牧場がある農村地帯ではウシと「横断注意」の文字の組み合わせ、徳島県美波町では海岸から少し離れた山に棲息するアカテガニを描いたものもある[105]
  • 「その他の危険」は設置の目的が一目でわかる場合以外は補助標識「注意事項(510)」を用いる[106]
ギャラリー

規制標識

規制標識は道路の構造を保全し、または交通の危険を防止するため、もしくは道路利用者の道路への出入を制限するために設置される標識[107]。都道府県公安委員会が設置するものと、道路管理者が設置するものがある[107]。多くが円形で、絶対的な禁止を示すものはの縁取りで青字、肯定的な命令や指定を示すものは地で白字が使われる[108]。通常の円型の場合の大きさは直径50 cm 、赤の縁取りを入れる場合その縁の幅8 cm 、赤の斜線(左上)を入れる場合角度 45°・幅 4 cm 。補助標識を伴い、一部の車種や時間などを指定した規制を表す場合もある。歩行者に向けた規制標識は一辺90 cmの正方形が用いられ、一方通行の標識の形状は例外で長方形が用いられている[108]

一時停止又は徐行に関するもの

対象は車両路面電車

  • 「一時停止」が逆三角形なのは当時のドイツを参考にしたものであり、国際標準の八角形は円形と見誤る可能性があり交通規制上で重要な標識には不適と考えられた[109]英字併記に際して新しいデザインを決定するための実験が行われた時も八角形より逆三角形の方が視認性に優れていると判断された[110]
  • かつては前方優先道路・一時停止 (330の2) があったが、2008年に一時停止 (330) に統合された[111]
  • 「徐行」「前方優先道路」「一時停止」の図柄は「英語併記あり(-A)」と「英語併記なし(-B)」に分けられる。
通行の禁止・制限に関わるもの
名称 番号 通行止めの対象または意味
通行止め 301 歩行者車両路面電車
車両通行止め 302 車両
車両進入禁止 303 車両
二輪の自動車以外の自動車通行止め 304 二輪の自動車[注釈 5]以外の自動車[注釈 6]
大型貨物自動車等通行止め 305 大型貨物自動車特定中型貨物自動車大型特殊自動車
特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め 305の2 貨物自動車[注釈 7]、大型特殊自動車のうち、最大積載量が補助標識に示された値以上のもの[注釈 8]
大型乗用自動車等通行止め 306 大型乗用自動車特定中型乗用自動車
二輪の自動車・原動機付自転車通行止め 307 二輪の自動車[注釈 5]原動機付自転車[注釈 9]
自転車以外の軽車両通行止め 308 自転車以外の軽車両

荷車、手押しの台車人力車そりなど)

自転車通行止め 309 自転車
車両(組合せ)通行止め 310 図示された車両
大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止 310の2 大型自動二輪車普通自動二輪車[注釈 5]のうち、2人乗りしたもの[注釈 10]
タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め 310の3 タイヤチェーンを取り付けていない車両
危険物積載車両通行止め 319 道路法に規定する危険物を積載する車両[112]
重量制限 320 標示板で示された総重量[注釈 11]を超える車両
高さ制限 321 標示板で示された高さ[注釈 12]を超える車両
最大幅 322 標示板で示された幅[注釈 12]を超える車両
自動車専用 325 自動車専用道路」参照
自転車専用 325の2 自転車専用道路」参照
自転車及び歩行者等専用 325の3 自転車歩行者専用道路」参照
歩行者等専用 325の4 歩行者専用道路」参照
許可車両専用 325の5-A 乗合バスまたは貸切バスの特定車両停留施設であること。
許可車両専用 325の5-B タクシーの特定車両停留施設であること。
許可車両専用 325の5-C 事業用貨物自動車の特定車両停留施設であること。
許可車両(組合せ)専用 325の6 図示された車両の特定車両停留施設であること。
広域災害応急対策車両専用 325の7 防災拠点自動車駐車場であること。
歩行者等通行止め 331 歩行者、遠隔操作型小型車
  • これらの標識は規制されている区間又は区域、場所の出入口に設置することとしている。その際の設置場所として全ての標識で左側の路側が認められているが、一部の標識は道路の中央や右側での設置も認められている[113]
  • 「車両進入禁止」は一方通行の出口に設置し、この道路が(標識の面する方向において)車両の進入が禁止されていることを表す[114]。なお、多方向からの広い角度での視認性を確保するため、横方向に引き伸ばして筒状に成形することができる[115]
  • 「自動二輪車二人乗り禁止」は1978年(昭和53年)に一旦廃止となった[116]が、2005年(平成17年)4月の高速自動車国道自動車専用道路での、大型自動二輪車及び普通自動二輪車の二人乗り解禁に伴い復活している[117]
  • 「自転車及び歩行者等専用」は「普通自転車歩道通行可」を示すことができる。その際、車道から向って右側通行となる向きには鏡像を用いることとしている[118]
交差点等における右左折の制限に関するもの

対象は車両

  • 「指定方向外進行禁止」は、交差点手前の左側の路端対面する車両用信号機、または通行止め指定場所の前面に設置する。[注釈 13]矢印の方向以外の進行が禁止されていることを表す[119]。交差点の形状が複雑な場合は道路の形状に合わせた図示にすることが可能で、進行できない方向も矢印を抜いた形で表示できる[120]
通行の方法等に関するもの

歩行者等横断禁止(332)を除き、対象は車両[注釈 14]

  • 「最高速度」「特定の種類の車両の最高速度」「最低速度」を灯火(電光掲示板)によって設置する場合は文字を白色又は黄色、地を黒色にすることができる[121]。このような色彩のものが高速道路や自動車専用道路で「(可変式速度規制標識)」として設置されている[122]
  • 「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の規制は原則として同名の道路標示によって実施され、標識は必要によって設置される[123]。そのため、標識は区間の始点・終点を除き、特に必要性がない場合は設置しないこととしている[123]。「転回禁止」を区間で規制するとき、区間の始点では標識の設置が困難ならば代替として標示によって規制の開始を示すことができる[124]
  • 「歩行者等横断禁止」は歩行者及び遠隔操作型小型車の道路の横断を禁止することを示し、交通量の多い区間や、立体横断施設や信号機がある交差点の近くで乱横断を防ぎたい場合に設置される[125]。漢字の読めない児童の理解を助けるため、「わたるな」の補助標識を設置することがある[126]
  • 「歩行者等横断禁止」の図柄は標識に描かれている文字が「横断禁止(-A)」と「わたるな(-B)」に分けられる。
駐車停車に関するもの
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指示標識

指示標識は交通上必要な地点などを指示するために設置される標識[107]。大部分は公安委員会が設置に係るが、「規制予告」のみ道路管理者も設置ができる[107]。四角形、青地で白い絵がほとんど。通常の四角形の場合の大きさは一辺60 cm 。ただし、横断歩道は歩行者保護を目的に特別な五角形が採用され、辺の長さは底辺と斜辺が60 cm、その他の辺が20 cmである[108]

停止に該当するもの
通行の方法等に関するもの
  • 「中央線」の標識はセンターラインの位置を示したものであり、多雪地域中央線変移を行う場合に設置しなければならない[127]
  • 「並進可」の標識は自転車が2列まで並んで走行できることを示す。設置例は少なく[128]2018年には最後まで残存していた2都市の標識が撤去された[129]
駐車・停車に関するもの
横断に関するもの
  • これらの標識は、信号機により交通整理を行う交差点または横断歩道においては不要である[130][131]
  • 「横断歩道」の図柄は「一般用(407-A)」と「学童用(407-B)」に分けられる。この中で学童用は保育園幼稚園小学校等付近に設けられる横断歩道で設置する[132]
規制予告に関するもの
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補助標識

本標識に付属して本標識の意味を補足する標識[2]。一部を除き、横長で地に字(トラック、バスのマークも含む)または赤(主に矢印の使用)である。

  • 一部の規制標識・指示標識からは「区間内」(506)を省略する[133]。この省略は1992年から行われているものであり、省略が可能な標識に旧来通り付置されていても意味に相違がない[134]
  • 公安委員会が設置する補助標識の寸法は横60 cm を基準とし、文字数は1行7文字まで、行数は3行までに収めなければならない[135]。この規定に収まらない場合は可変標識を用いることとしている[135]
  • 1つの補助標識に2以上の表示を行う場合、上から「車両の種類」「日・時間」「距離区域又は区間」の順にしなければならない[135]。ただし「追越し禁止」「駐車余地」「前方優先道路」を併記する場合は最も上に表記する[135]
補助標識の用語等

補助標識においては、車両の種類の略称、その他の用語が用いられるが、その用語の定義を示す。(別表第2の備考一の(六)ほか)

用語 定義
休日 国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日[注釈 16]
大型 大型自動車
大型等 大型自動車、(特定中型自動車)および大型特殊自動車
中型 中型自動車[注釈 17]
特定中型 (特定中型自動車)(車両総重量が8トン以上、最大積載量が5トン以上または乗車定員が11人以上の中型自動車)
準中型 準中型自動車
普通 普通自動車
大特 大型特殊自動車
自二輪 大型自動二輪車普通自動二輪車小型自動二輪車も含む)、特定二輪車
いわゆる軽自動車に該当する普通自動車(軽二輪や特定二輪車は含まれない)[注釈 18]
小特 小型特殊自動車
原付 原動機付自転車
二輪 二輪の自動車および原動機付自転車[注釈 19][注釈 20]
小二輪 小型自動二輪車および原動機付自転車
自転車 普通自転車[注釈 21]
トロリー トロリーバス
乗用 専ら人を運搬する構造の自動車(乗用自動車)
大乗 乗用大型自動車
中乗 乗用中型自動車[注釈 22]
特定中乗 乗用特定中型[注釈 23]
準中乗 乗用準中型自動車
バス 大乗および特定中乗
大型バス 乗車定員が30人以上の大乗[注釈 24]
マイクロ 大型バス以外のバス[注釈 25]
路線バス 道路運送法第9条第1項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第5条第1項第3号に規定する路線定期運行の用に供する自動車
普乗 乗用普通自動車
タクシー 道路運送法第3条第1号ハに規定する一般乗用旅客自動車運送事業の用に供する自動車
大貨 大乗以外の大型(大型貨物自動車)
中貨 中乗以外の中型(中型貨物自動車)[注釈 26]
特定中貨 特定中乗以外の特定中型(特定中型貨物自動車、車両総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上の中貨
準中貨 準中乗以外の準中型(準中型貨物自動車)
大貨等 大貨特定中貨および大特
普貨 普乗以外の普通(普通貨物自動車)
貨物 大貨中貨[注釈 27]準中貨および普貨
けん引 重被牽引車(車両総重量750kg超)を牽引している牽引自動車
標章車 高齢運転者等標章自動車
遠隔小型 遠隔操作型小型車[注釈 28]
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法定外標識

法定外標識とは、道路管理者によって設置された標識のうち、標識令で定められた様式ではないものを指す[4]。法定標識と同じく交通の安全と円滑のために設置されているが[136]、法定標識では伝えられない事項を伝えることを目的としている[137]。法定標識と区別するために「看板」と称することも[4][52]。形状や色彩に規定はないが設置方法は道路標識に準じている[4]。その特徴から内容は様々なパターンに分かれており、適切な計画および基準を設けなければ、道路利用者に誤解や混乱をもたらす恐れがある[137]

道路利用者に案内する目的で設置される法定外標識の一例として、アジアハイウェイ標識や距離標などが挙げられる[138]

材料と製造

道路標識に用いられる材料で、日本国の材料規格であるJISに規定がある材料ならばその中から採用することが一般的に行われてきた[139]。一方で、性能が満足できるのであればJISなどの公的機関に定めのない材料を用いることも可能であり、道路標識に用いられてきた材料の中ではJISにないものもある[139]

支柱(標識柱)
標識柱は用いられる材料によって鋼柱鋼管形鋼テーパーポール)、アルミニウム合金柱鉄筋コンクリートステンレス木柱などに分類される[67]。一般に標識柱の柱に用いる材料は鋼管・形鋼・鋼板などの鋼材を用いられる[139]
鋼材を加工した鋼柱を作る場合、鋼材を加工、溶接、塗装の順に工程をたどり標識柱として出荷される[140]
標示板(標識板)
反射式標識板の板面の材質はアルミニウム合金板鋼板合成樹脂板などが用いられる[141]。その中でも軽量かつ耐食性に優れたアルミニウム合金板が用いられることが多い[142]。アルミニウム合金板を用いる場合は厚さ1.0–2.0ミリメートル (mm) のものが用いられる[143]。規制標識や指示標識では比較的薄い板厚(1.0–1.2 mm)となることが多いが、このような板厚の標識板が歩行者などと接触する可能性がある高さに設置する場合は傷害のリスクを小さくするため縁曲げを施す必要がある[144]
標識板の裏面には補強のための加工として補強材がスポット溶接される[145]。この補強材には「高リブ」や「平リブ」などの種類がある[144]。面積の大きな標識板を設置する場合はアルミT型金具も補強のために用いられる[146]
一般的に耐用年数は10 - 20年と言われるが、障害がなければ20年以上も使用することができる[147]。そのため、2000年代前半で標識板の交換が盛んとなり、それ以後は交換が少なくなっている[147]
反射式標識板を製造は、基板の切断や補強材の溶接を行い、その後表示面に反射シートを貼り付け真空加熱圧着して完成となる[148]。規制標識や警戒標識などは規格通りに切断された基板や反射シートを用いて製造するが[149]、一品製作的要素が強い案内標識は素地となる反射シートを貼ってから罫書きを行った上で文字や記号の反射シートを貼り付けるという工程を経る[148]。特に大きな標識板は運搬に適したサイズに分解して製造する[149]
取付金具
小型の路側式や添架式での標識柱で、設置位置や向きの調整を容易に行えるように取付金具で標示板を設置することが多い[150]。取付金具で代表的なものとして補強材の溝を用いてボルトを締め付けるUバンドと両側に支柱を取り付けるバンドと張出部材で成り立つ腕金具があり、アルミニウム合金を用いることが多い[151]

施工

道路標識の工事施工は一般の土木工事と共通している部分が多いが、供用中の道路で作業することがあるため交通安全や施工管理には十分な注意が必要である[152]

標識の設置は基礎設置、標識柱建込み、標識板取付け、検査の順で行われる[153][154]。なお、一連の作業の準備工として、設置位置を選定し、埋設台帳や試掘により埋設物の調査を行う必要がある[153]。標識の撤去は標識板取外し、標識柱撤去、基礎撤去の順番に行われる[154]

標識の工事を施工するにあたっての資格として全国道路標識・標示業協会(全標協)による登録標識基幹技能者[155]や道路標識設置・診断士[156]が存在する。

維持管理

標識の変状は事故腐食による損傷、劣化や植生・汚れに伴う視認性の低下があげられる[157]。全ての(道路付属物)は安全かつ円滑な交通を保ち、第三者被害を及ぼしかねない変状を的確に把握して計画的に補修するための基礎的な情報を得るために点検が欠かせない[158]。特に門型柱で設置されている道路標識はそれ以外の設置方法の道路標識よりも綿密に点検されるよう取り決められている[159]。そして、道路標識の管理者は標識が常に良好な状態であるように配慮しなければならない[49][160]。このとき、管理を円滑に行うため道路標識台帳を用いて道路標識の管理を行うことが望ましい[161]。道路標識自体に概要を示す程度ではあるが設置記録を記載することもあり、標識柱と標示板では交換周期が異なるため双方にステッカーを貼るなどして記録することがある[162]

道路標識の点検を行う際に人員不足が課題となり、各々の標識の状況を十分に把握できない問題も発生していた[163]。点検の簡易化を狙うため、ICチップなどから現地で情報を読み取れるシステムの導入が開発されている[164]。また、ドライブレコーダーで得られた映像から位置を特定して自動で道路標識台帳を作成し、ARを用いて維持管理する技術も開発されている[165]

腐食に伴う耐久性の低下に伴い標識板の落下や支柱の倒壊の事案が発生している[163][166][167]。このような事案を防ぐために点検時には支柱基礎部の腐食やボルトの緩み、標識板と支柱・接合部の腐食及びボルトの緩み、曲柱の支柱曲部の亀裂の存在などが重要な確認事項となる[157]。標識板の落下を防ぐためにボルト・ナットに加えワイヤーで標識板を接合する事例も増えている[168][157]。さらには、標識柱の倒壊を防ぐため、地際部分にアラミド繊維[169]や二重構造[170]を採用したケースや柱の内部に鉄筋(棒鋼)を入れる[171]などの対策もとられている。維持管理費の削減とした根本的な対策として、必要性のない道路標識の新設抑制や撤去、維持費が節約できるタイプの標識へ切り替えることもある[172]

標識板が汚れた場合の清掃作業は、きれいな水を吹き付け(汚れによっては灯油鉱石油中性洗剤も併用し)、洗浄剤を使用して表面を洗浄し、最後に乾拭きの順番で実施される[173]。このとき、標識板表面を研磨しないよう注意しなければならない(洗浄剤の選定では研磨剤を含んだものは避けなければならない)[173]

歴史

 
現在の案内標識の役割を担った「道標」(広島県府中市

日本では明治時代以前から街道交差点に「道標」が設置され、旅人に利便を与えてきた[174]。この「道標」の発生は庶民の経済力が増し、行商・参詣・巡礼などが広く浸透した江戸時代と言われている[175]。記録されている中で最も古いとされる道標は1672年寛文12年)に設置された兵庫県川西市にある道標である[176]。行き先は寺社道や湯治道を指すことも多く、供養塔としての役割も兼ねて建立したものも存在したため、「道標」は単なる道路標識にとどまらずに宗教性を帯びていたものがあったとされる[177]

明治に入り馬車荷車人力車などが街中を盛んに往来し、各地方ごとに様式が異なる立て札「制札」が設置されていたが、1899年明治32年)6月に警視庁の通達で、道路標識の前例となる制札の様式が例示された[178][179]1908年(明治41年)9月には警察犯処罰令で制札などの標識類を汚損・破損してはならないと規定された[180]

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