『K-20 怪人二十面相・伝』(ケー・トゥエンティー かいじんにじゅうめんそう・でん)は、2008年公開の日本映画。北村想の小説『完全版 怪人二十面相・伝』を原作とする。
概要
映画は北村想の原作を元にしているものの、怪人二十面相に超人的身体能力を備えたり、時代設定を第二次世界大戦が「回避」されたというパラレルワールドとしての1949年とするなど、大胆な改変がおこなわれた。そのため、舞台は日本帝国陸海軍とアメリカ・イギリス軍との平和条約が締結された後の帝都と呼ばれるところで、19世紀から続く華族制度により、帝都の富の9割がごく一部の特権階級に集中している極端な貧富の差が生じている身分制度社会とされる。また、ドイツ(ヒトラーを筆頭とするナチス政権が掌握した俗にいうナチス・ドイツかどうかは不明)との友好関係も維持されているのか、劇中では警察の車両や航空機にドイツ語で警察を意味するPOLIZEIが記されている。
ストーリー自体は、スチームパンク的な世界観で、スパイダーマンやバットマン、マスク・オブ・ゾロなどアメコミを意識した娯楽アクション作品である。アクションにはグラップネルガンのようなガジェットを使ったワイヤーアクションの他、邦画の大作としては初めてパルクールにおける動作を採用。主人公の遠藤平吉と怪人二十面相の一連の動作をロシア人スタントマンがパルクールで培われた身体能力を駆使して表現している。テスラ装置のシーンでは本物のテスラコイルを使用し、効果音を後からつけている。
企画と制作はROBOTで、東宝の配給で2008年12月20日公開。日本テレビ開局55年記念作品でもある。最終興行収入は20億円。
ストーリー
第二次世界大戦が回避された架空の昭和24年。日本は19世紀から続く華族制度により極端な格差社会が生まれていた。職業の変更は禁じられ、恋愛の自由もなく、結婚は同じ身分の者同士でのみ許されていた。帝都・東京では怪人二十面相が富裕層を狙う犯罪を繰り返していた。その二十面相は学術会議で革命的な新エネルギー機関・(テスラ装置)の模型を盗み、今度は(テスラ装置)を奪うと大胆に宣言したことから、警務局の浪越警部は名探偵・明智小五郎に捜査を依頼した。一方、サーカス団で働く軽業師・遠藤平吉はふとしたことからカストリ雑誌の記者に化けた怪人二十面相にだまされ、彼の替え玉に仕立てられたために二十面相として軍憲(この世界における警察)から追われる羽目になってしまう。平吉は疑いを晴らすために、自らも二十面相になり、本物の二十面相と対決することになる。
キャスト
スタッフ
- 原作:北村想『完全版 怪人二十面相・伝』
- 原案:江戸川乱歩『怪人二十面相』
- 監督・脚本:佐藤嗣麻子
- 音楽:佐藤直紀
- 主題歌:オアシス『ショック・オブ・ザ・ライトニング』
- エグゼクティブプロデューサー:阿部秀司、奥田誠治
- プロデューサー:安藤親広、倉田貴也、石田和義
- 撮影:柴崎幸三
- 編集:宮島竜治
- 照明:水野研一、三善章誉
- 録音:鶴巻仁
- 美術:上條安里
- 装飾:龍田哲児
- 音響効果:柴崎憲治
- VFXディレクター:渋谷紀世子
- アクション監督:小池達朗、横山誠
- 脚本協力・VFX協力:山崎貴
- VFXプロダクション:白組
- 怪人二十面相・デザイン原案:田島昭宇
- パルクール協力:トレイサーズ・ルシアン(ルスラン・ザバドフ、オレッグ・グラスニャンスキー)
- 企画・制作プロダクション:ROBOT
- 製作:「K-20」製作委員会(日本テレビ放送網、札幌テレビ放送、宮城テレビ放送、静岡第一テレビ、中京テレビ放送、広島テレビ放送、福岡放送、ROBOT、バップ、東宝、電通、小学館、讀賣テレビ放送、読売新聞社、白組、IMAGICA)
- 配給:東宝
主なロケ地
賞
- 映画館大賞「映画館スタッフが選ぶ、2008年に最もスクリーンで輝いた映画」第50位
ソフト化
2009年6月24日発売。発売・販売元はバップ。
- K-20 怪人二十面相・伝 DVD通常版(1枚組)
- 映像特典
- 特報・劇場予告編・TVスポット集
- 映像特典
- K-20 怪人二十面相・伝 DVD豪華版(2枚組)
- ディスク1:本編DVD(通常版と同様)
- ディスク2:特典DVD
- メイキング「K-20 裏絵巻」
- 「K-20」TV番組集
- 舞台挨拶映像集
- 封入特典
- ブックレット「K-20 大辞典」(64P)
- 怪人二十面相予告状レプリカ
- ブックマーカー
- 特製アウターケース&デジパック仕様
- K-20 怪人二十面相・伝 ブルーレイ(1枚組)
- 映像特典
- メイキング「K-20 裏絵巻」
- 特報・劇場予告編・TVスポット集
- 映像特典