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羽生世代

羽生世代(はぶせだい)は、1970年9月27日生まれの羽生善治と年齢が近い強豪将棋棋士を指す呼称。

概要

羽生善治は、1990年代から2010年代までおよそ30年間にわたって多数のタイトルを獲得した棋士であるが、同時代に活躍したトップ棋士たちの中には羽生と年齢が近い者が非常に多かった。そこで、これらの強豪棋士たちの総称として羽生世代という言葉が使われるようになった。もっとも、羽生世代という言葉は「羽生と年齢が近い強豪棋士」を漠然と指しており、具体的に誰が含まれるのかについてはメディアによってまちまちであり、明確な定義は存在しない

羽生と年齢が近いという点に関して

「世代」という言葉は、30年程度の広い範囲を指すのが本来の用法であるが、「羽生世代」といった場合には、もっと狭い範囲を指すのが通常である。

一般的には、

  • 羽生と同学年の棋士のみを羽生世代と呼ぶ用法(羽生、森内、先崎、丸山、郷田、藤井猛、増田裕司の7名)
  • 羽生と同学年または1学年上の棋士を羽生世代と呼ぶ用法(上記に加えて村山聖と佐藤康光など計14名)
  • 羽生と同学年または1学年違いの棋士を羽生世代と呼ぶ用法(上記に加えて屋敷と深浦など計19名)

の3つがある。

このうち、同学年または1学年上とするものは、1学年上は含めるが1学年下は含めないという少々恣意的な基準であるが、1学年上の代表的な棋士である村山や佐藤が当初からチャイルドブランド(後述)という言葉で羽生と同じ括りで注目されていたという事情によるもので、初期に用いられた[注釈 1]

「羽生世代」の棋士たち

強豪棋士

ここでは、羽生世代と呼ばれることのある棋士を広く紹介するという趣旨から、順位戦A級を経験した羽生と同学年、1学年上、1学年下の棋士10名を列記する。通算勝利数は2023年4月16日時点。

(生年月日順)

棋士名 生年月日 プロ入り
四段昇段
九段昇段 初タイトル 全棋士参加
棋戦初優勝
竜王戦1組
初昇級
[注釈 2]
順位戦A級
初昇級
タイトル獲得数
その他
通算勝利数
受賞
村山聖 (1969-06-15) 1969年6月15日
(29歳没)
1986年11月 1998年8月
[注釈 3]
(1992年度
王将位挑戦)
1996年度
早指し選手権
[注釈 4]
1994年 1995年 タイトル0期
順位戦A級在位中の1998年に逝去
356勝
佐藤康光 (1969-10-01) 1969年10月1日(53歳) 1987年3月 1998年6月 1993年度
竜王
1993年度
竜王
1992年 1996年 タイトル13期
永世棋聖資格
1092勝
特別将棋栄誉賞
先崎学 (1970-06-22) 1970年6月22日(52歳) 1987年10月 2014年4月 - 1990年度
NHK杯
1995年 2000年 タイトル0期
2017年度に鬱病で休場
700勝
将棋栄誉賞
丸山忠久 (1970-09-05) 1970年9月5日(52歳) 1990年4月 2000年6月 2000年度
名人
1998年度
全日本プロ
1998年 1998年 タイトル3期
竜王ランキング戦最多優勝(8回)1組最多優勝(5回)
980勝
将棋栄誉敢闘賞
羽生善治 (1970-09-27) 1970年9月27日(52歳) 1985年12月
[注釈 5]
1994年4月 1989年度
竜王
1987年度
天王戦
1989年 1993年 タイトル99期
永世七冠達成
1528勝
(特別将棋栄誉敢闘賞)
藤井猛 (1970-09-29) 1970年9月29日(52歳) 1991年4月 2000年10月 1998年度
竜王[注釈 6]
1998年度
竜王
1998年 2001年 タイトル3期
藤井システム角交換四間飛車考案(升田幸三賞を2度受賞)
725勝
将棋栄誉賞
森内俊之 (1970-10-10) 1970年10月10日(52歳) 1987年5月 2002年5月 2002年度
名人
1988年度
全日本プロ
1996年 1995年 タイトル12期
十八世名人資格
963勝
将棋栄誉敢闘賞
郷田真隆 (1971-03-17) 1971年3月17日(52歳) 1990年4月 2001年8月 1992年度
王位[注釈 7]
1992年度
王位
1999年 1999年 タイトル6期
将棋日本シリーズ最長連覇(3連覇)
939勝
将棋栄誉敢闘賞
屋敷伸之 (1972-01-18) 1972年1月18日(51歳) 1988年10月 2004年4月 1990年度
棋聖[注釈 8]
1990年度
棋聖
1997年 2011年 タイトル3期
四段昇段からタイトル挑戦・獲得までの最短記録(1年2か月・1年10か月)
818勝
将棋栄誉敢闘賞
深浦康市 (1972-02-14) 1972年2月14日(51歳) 1991年10月 2008年9月 2007年度
王位
1992年度
全日本プロ
2007年 2004年 タイトル3期
早指し新鋭戦最多優勝(最長の3連覇含む4回)
895勝
将棋栄誉敢闘賞

有名棋士

この世代には棋戦での成績以外の点で有名な棋士も多い。

歴史

「チャイルドブランド」の台頭

後に「羽生世代」と呼ばれる棋士達のうち、10代から目覚ましい活躍をした羽生・村山・佐藤・森内の4人は、島朗によって「チャイルドブランド」[2]と命名された[3]。「アンファン・テリブル[注釈 9]と呼ばれることもあった[要出典]。4人のうち羽生・佐藤・森内の3人は、島が主宰する研究会「島研」で腕を磨いたメンバーであり、研究重視からパソコン将棋、コピー将棋とも言われた[4]

1980年代後半、彼らは先輩棋士達を打ち負かしていく。1988年度のNHK杯戦では、18歳の羽生が4人の名人経験者、すなわち大山康晴十五世名人、加藤一二三九段[注釈 10]谷川浩司名人(準決勝)、中原誠棋聖・王座(決勝)を破って[注釈 11]優勝したことで、注目を集めるようになる。

1989年度の竜王戦で当時19歳の羽生が竜王位を獲得。続く棋聖戦で当時17歳の屋敷伸之が挑戦権を獲得し羽生の最年少挑戦記録をすぐに更新したことで、10代棋士の活躍が騒がれるようになる。近代将棋1990年2月号「プロ棋界最前線」で武者野勝巳五段は「チャイルドブランド」として羽生、村山、佐藤、森内、先崎、屋敷の6名の名前をあげている。残りの4名は当時はまだ奨励会員だったが、郷田と丸山は1990年度、藤井と深浦は1991年度に四段昇格して後を追った。

羽生よりも1学年下の屋敷と深浦は若い頃はポスト羽生世代と見られたこともある。羽生より1歳半年下でプロ入りも数年間遅かった深浦は、若い頃は自分を羽生世代に入れず、羽生と同学年の藤井猛や1学年上の佐藤康光らを羽生世代と考えていた[5]。だが屋敷は1990年度の棋聖位を18歳で獲得して史上最年少タイトル(当時)と騒がれ、深浦もプロ入り2年目の1992年に早々と全棋士参加棋戦で優勝するなどすぐに羽生世代に追いつき、後年には周囲から羽生世代として扱われ、それを受け入れるようになった[6]

「羽生世代」の台頭と村山聖の死

1988年から90年にかけて、羽生と屋敷がタイトル獲得、森内と先崎が全棋士参加棋戦で優勝。続いて1992年から93年にかけて、郷田と佐藤がタイトル獲得、深浦が全棋士参加棋戦で優勝した。

以上7名は順位戦A級昇級よりも優勝・タイトルが先行した。一方、1992年に谷川王将に挑戦して敗れた村山は、1995年に羽生に次いで森内とともに順位戦A級に昇級。しかし生来の病身で1997年に膀胱癌を発症、タイトルを獲得しないうちに1998年8月に29歳で逝去した。

村山と入れ替わるように1998年に、藤井が谷川竜王をストレートで破って初タイトルを獲得し、順位戦A級に昇級した丸山も全棋士参加棋戦で優勝し、ともに「羽生世代の一人」として認知されるようになる。

「羽生世代」による将棋界の席巻

羽生世代の棋士は、1980年代末から30年近くにわたり棋戦や(A級順位戦)の主役で、タイトル獲得の過半数を占め続けた(将棋のタイトル在位者一覧 を参照)。羽生世代だけで全タイトルを制覇した年が4回ある(1995、1998、2000、2001、そのうち1995は羽生が単独で制覇)。また2005年度は竜王戦以外の6つのタイトル戦すべてが羽生世代同士の戦いになった。

1992年度から2016年度までの25年間178回のタイトル棋戦で、11回の例外を除くすべてに羽生世代が出場している。特に棋聖戦については1989年度から2018年度までの30年にわたって毎年、羽生世代が出場していた。また王位戦については1992年度から2017年度までの26年間すべてに羽生世代が出場し、王座戦については同じく1992年度から2017年度までの26年間すべてに羽生善治が出場している。

竜王戦は最初に羽生世代が奪取したタイトルで、1989年度(第2期)から2020年度(第33期)までの32回の七番勝負に羽生世代は27回登場している。しかし竜王位獲得はそのうちの13回しかない。2003年度までは先輩の谷川浩司、2004年度以降は後輩の渡辺明が強力なライバルとなったためである。2004年度(第17期)以降、羽生世代の竜王位獲得は2回しかない。渡辺の竜王10連覇を森内が阻止した2013年度(第26期)と、羽生が47歳で渡辺を破って最年長竜王となり永世竜王の資格を獲得した2017年度(第30期)である。

名人戦では、1994年度から2016年度までの22年間、毎年彼らのうちの誰かが七番勝負に登場している。羽生対森内のカードが特筆して多く、名人戦で9回(第54、61-63、66、69-72期)対戦しており、大山康晴-升田幸三と並び名人戦の中で1番多いカードとなっている。

その結果、タイトル獲得数3期以上(九段昇段の基準の一つ)の者が8人、うち(永世称号)保持者が3人(羽生、佐藤、森内)、竜王名人同時在位者が2人(羽生・森内)もいる[注釈 12]特異な世代となった。

新世代の台頭

1990年代後半から2000年代前半にかけてポスト羽生世代の三浦弘行久保利明、羽生世代より一回り年下の渡辺明といった棋士がタイトル戦に出場するようになり、2000年代後半にはタイトル群の一角を占めるなど、徐々に実力が拮抗してくる。

羽生世代は1992年度以来ずっとタイトルの過半数を保持してきたが、2010年度それが一時的に崩れ、タイトルの過半数を羽生世代以外の棋士が占めることになった(羽生三冠、久保利明二冠、渡辺明竜王、広瀬章人王位)。2011年度以降は、再び羽生世代がタイトルの過半数を占めたが、その数はピーク時に比べると少なくなった。

羽生世代の大半が40代後半になる2016年度に入ってから、急速に世代交代の動きが始まった。まず名人戦で佐藤天彦が羽生を破り16年ぶりの20代新名人となった。さらに同年度の順位戦では、稲葉陽が名人挑戦権を得て、翌年度の名人戦が21年ぶりの20代対決となる一方で、森内がA級から陥落し直後にフリークラス宣言を行った。この年、羽生世代は棋王以外の6タイトルの番勝負に出場するが3勝3敗に終わり、タイトル保持者は羽生三冠のみとなる。タイトル保持者に占める羽生世代の割合は6年ぶりに過半数を割った(羽生三冠、渡辺明二冠、佐藤天彦名人、久保利明王将)。

2017年度には、前年に歴代最年少の14歳2か月でプロ入りした藤井聡太がデビューから無敗連勝を続けて、6月に歴代記録を更新する29連勝を達成、また最年少で全棋士参加棋戦優勝を成し遂げた。さらに羽生王位に挑戦した22歳年下の菅井竜也が番勝負を制して平成生まれ棋士の初タイトルを獲得、続いて同じく20代の中村太地が羽生から王座を奪取し、若手の台頭が注目された。一方、羽生は渡辺明から竜王のタイトルを奪還して永世竜王の資格を獲得し永世称号「七冠」を達成したが、菅井と中村にタイトルを奪われたため二冠に後退する。

世代交代

2018年度は、叡王戦がタイトル戦に昇格して合計8タイトルになったが、羽生が棋聖と竜王を失冠して27年ぶりに無冠となり、羽生世代のタイトル保持者が28年ぶりにひとりもいなくなった。一方、NHK杯戦ではベスト4を羽生世代(羽生、郷田、丸山、森内)が独占し、健在ぶりを示した。

2019年度は、竜王戦で第1期から31年間続いていた羽生世代の決勝トーナメント進出が途絶え、羽生世代のタイトル戦番勝負出場も、羽生が王位挑戦者決定戦でポスト羽生世代の木村一基に敗れるなどして31年ぶりに途絶えた。NHK杯戦では前年の羽生に続き深浦が初優勝して羽生世代が一矢を報いた。

2020年度は、藤井聡太が棋聖戦でタイトル挑戦、渡辺明から棋聖のタイトルを奪取し、屋敷伸之のタイトル挑戦・獲得の年少記録を30年ぶりに更新した。一方、羽生が50歳で竜王戦の挑戦者に決定するなど巻き返しを見せたが、タイトル獲得はならなかった。

2021年度は、王位戦で羽生、王座戦で佐藤康光、棋王戦で郷田が挑戦者決定戦に登場したが、いずれも挑戦者にはなれなかった。また羽生世代を牽引してきた羽生善治が、公式戦年間成績14勝24敗でプロ入り36年目で初の負け越しとなり、順位戦で降級が決定した。これによりA級に残留する羽生世代は佐藤康光だけとなった。羽生と入れ替わるように、10代の藤井聡太竜王(五冠)がA級に昇格した。

2022年度は、6月に羽生が史上初の通算1500勝を達成。達成時の現役棋士通算勝利数ランキングでは、1位から順に羽生、(谷川)、佐藤康、丸山、(森下)、森内、郷田、深浦と羽生世代がトップ8人中6人を占めた。さらに羽生は王将戦で挑戦者決定リーグを6戦全勝で制し2年ぶりにタイトル戦の挑戦者となったが、2勝4敗で奪取はならなかった。相手の藤井聡太王将(五冠)は32歳年下で、羽生世代とのタイトル戦は初めてであった。一方、順位戦ではA級に唯一残留していた佐藤康光が開幕からの7連敗で降級が決まり、B級1組の羽生、屋敷、郷田、丸山も昇級できず、29年ぶりに羽生世代がA級から姿を消して、A級は1980年代以降生まれの世代で占められた。

羽生世代のタイトル戦の成績

  •    :タイトル獲得
  •    :タイトル獲得・永世位獲得
  • 無印:挑戦失敗または失冠
開催
年度
名人戦
4-6月
棋聖戦
6-7月
12-2月
王位戦
7-9月
王座戦
9-10月
竜王戦
10-12月
王将戦
1-3月
棋王戦
2-3月
名人 棋聖 王位 王座 竜王 王将 棋王
1989 第47期
 
第54期
第30期
 
第37期
 
第2期
羽生善治
第39期
 
第15期
 
屋敷伸之
1990 屋敷伸之 羽生善治 羽生善治
屋敷伸之
1991 屋敷伸之 羽生善治
 
1992 郷田真隆 郷田真隆 羽生善治 羽生善治 村山聖 羽生善治
郷田真隆
1993 羽生善治 羽生善治 羽生善治 佐藤康光 羽生善治
羽生善治
1994 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治
羽生善治
名人戦
4-6月
棋聖戦
6-7月
王位戦
7-9月
王座戦
9-10月
竜王戦
10-12月
王将戦
1-3月
棋王戦
2-3月
名人 棋聖 王位 王座 竜王 王将 棋王
1995 第53期
羽生善治
第66期
羽生善治
第36期
羽生善治
第43期
羽生善治
第8期
羽生善治
第45期
羽生善治
第21期
羽生善治
1996 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治
1997 羽生善治 屋敷伸之 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治
1998 佐藤康光 郷田真隆 羽生善治 羽生善治 藤井猛 羽生善治 羽生善治
1999 佐藤康光 郷田真隆 羽生善治 羽生善治 藤井猛 羽生善治 羽生善治
2000 丸山忠久 羽生善治 羽生善治 羽生善治 藤井猛 羽生善治 羽生善治
2001 丸山忠久 郷田真隆 羽生善治 羽生善治 羽生善治 佐藤康光 羽生善治
2002 森内俊之 佐藤康光 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 丸山忠久
2003 羽生善治 佐藤康光 羽生善治 羽生善治 森内俊之 森内俊之 丸山忠久
2004 森内俊之 佐藤康光 羽生善治 羽生善治 森内俊之 羽生善治 羽生善治
2005 森内俊之 佐藤康光 羽生善治 羽生善治 羽生善治 森内俊之
2006 森内俊之 佐藤康光 羽生善治 羽生善治 佐藤康光 羽生善治 佐藤康光
2007 森内俊之 佐藤康光 深浦康市 羽生善治 佐藤康光 羽生善治 佐藤康光
2008 羽生善治 羽生善治 深浦康市 羽生善治 羽生善治 羽生善治 佐藤康光
2009 羽生善治 羽生善治 深浦康市 羽生善治 森内俊之 羽生善治 佐藤康光
2010 羽生善治 羽生善治 深浦康市 羽生善治 羽生善治
2011 森内俊之 羽生善治 羽生善治 羽生善治 丸山忠久 佐藤康光 郷田真隆
2012 森内俊之 羽生善治 羽生善治 羽生善治 丸山忠久 佐藤康光 郷田真隆
2013 森内俊之 羽生善治 羽生善治 羽生善治 森内俊之 羽生善治
2014 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 森内俊之 郷田真隆 羽生善治
2015 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 郷田真隆
2016 羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治 丸山忠久
[注釈 13]
郷田真隆
2017   羽生善治 羽生善治 羽生善治 羽生善治    
名人戦
4-6月
叡王戦
4-5月
棋聖戦
6-7月
王位戦
7-9月
王座戦
9-10月
竜王戦
10-12月
王将戦
1-3月
棋王戦
2-3月
名人 叡王 棋聖 王位 王座 竜王 王将 棋王
2018 第76期
羽生善治
第3期
 
第89期
羽生善治
第59期
 
第66期
 
第31期
羽生善治 
第68期
 
第44期
 
2019                
2020           羽生善治     
2021                
2022             羽生善治   

羽生世代以外のタイトル戦成績

  •    :タイトル獲得
  •    :タイトル獲得・永世位獲得
  • 無印:挑戦失敗または失冠
開催
年度
名人戦
4-6月
棋聖戦
6-7月
12-2月
王位戦
7-9月
王座戦
9-10月
竜王戦
10-12月
王将戦
1-3月
棋王戦
2-3月
名人 棋聖 王位 王座 竜王 王将 棋王
1989 第47期
谷川浩司
第54期
中原誠
第30期
谷川浩司
第37期
中原誠
第2期
島朗
第39期
米長邦雄
第15期
南芳一
中原誠
1990 中原誠 中原誠 谷川浩司 谷川浩司 谷川浩司 南芳一 南芳一
森下卓
1991 中原誠 南芳一 谷川浩司 福崎文吾 谷川浩司 谷川浩司 南芳一
谷川浩司
1992 中原誠 谷川浩司 谷川浩司 福崎文吾 谷川浩司 谷川浩司 谷川浩司
谷川浩司
1993 米長邦雄 谷川浩司 谷川浩司 谷川浩司 南芳一
谷川浩司
1994 米長邦雄 谷川浩司 谷川浩司 谷川浩司 森下卓
島朗
名人戦
4-6月
棋聖戦
6-7月
王位戦
7-9月
王座戦
9-10月
竜王戦
10-12月
王将戦
1-3月
棋王戦
2-3月
名人 棋聖 王位 王座 竜王 王将 棋王
1995 第53期
森下卓
第66期
三浦弘行
第36期
 
第43期
森雞二
第8期
 
第45期
谷川浩司
第21期
高橋道雄
1996 三浦弘行 島朗 谷川浩司 谷川浩司 森下卓
1997 谷川浩司 三浦弘行 島朗 谷川浩司
1998 谷川浩司 谷川浩司 谷川浩司 森下卓
1999 谷川浩司 谷川浩司 谷川浩司 鈴木大介
2000 谷川浩司 谷川浩司 谷川浩司 久保利明
2001 谷川浩司 久保利明
2002 谷川浩司 阿部隆
2003 谷川浩司 渡辺明 谷川浩司
2004 谷川浩司 渡辺明 谷川浩司
2005 渡辺明
2006 谷川浩司 鈴木大介 渡辺明
2007 渡辺明 久保利明 渡辺明 久保利明
2008 木村一基 渡辺明 久保利明
2009 木村一基 木村一基 山崎隆之 渡辺明 久保利明 久保利明
2010 三浦弘行 広瀬章人 渡辺明 久保利明 久保利明
2011 広瀬章人 渡辺明 渡辺明 久保利明 久保利明
2012 中村太地 渡辺明 渡辺明 渡辺明 渡辺明
2013 渡辺明 行方尚史 中村太地 渡辺明 渡辺明 渡辺明
2014 木村一基 豊島将之 糸谷哲郎 渡辺明 渡辺明
2015 行方尚史 豊島将之 広瀬章人 佐藤天彦 渡辺明 渡辺明
2016 佐藤天彦 永瀬拓矢 木村一基 糸谷哲郎 渡辺明 久保利明 渡辺明
2017 佐藤天彦 斎藤慎太郎 菅井竜也 中村太地 渡辺明 久保利明 渡辺明
名人戦
4-6月
叡王戦
4-5月
棋聖戦
6-7月
王位戦
7-9月
王座戦
9-10月
竜王戦
10-12月
王将戦
1-3月
棋王戦
2-3月
名人 叡王 棋聖 王位 王座 竜王 王将 棋王
2018 第76期
佐藤天彦
第3期
高見泰地
第89期
豊島将之
第59期
豊島将之
第66期
斎藤慎太郎
第31期
広瀬章人
第68期
渡辺明
第44期
渡辺明
2019 豊島将之 永瀬拓矢 渡辺明 木村一基 永瀬拓矢 豊島将之 渡辺明 渡辺明
2020 渡辺明 豊島将之 藤井聡太 藤井聡太 永瀬拓矢 豊島将之 渡辺明 渡辺明
2021 渡辺明 藤井聡太 藤井聡太 藤井聡太 永瀬拓矢 藤井聡太 藤井聡太 渡辺明
2022 渡辺明 藤井聡太 藤井聡太 藤井聡太 永瀬拓矢 藤井聡太 藤井聡太 藤井聡太

羽生世代と他の世代の強豪

順位戦A級経験者・タイトル獲得者・タイトル挑戦者・全棋士参加棋戦優勝者を生年度別に一覧にすると以下のようになる。

新人類世代と55年組

俗に言う新人類世代であり、羽生世代も登場当時は新たな新人類棋士と扱われた[7][8]

高橋道雄、南芳一、島朗ら羽生世代のすぐ上の世代にあたる強豪棋士たちは、プロ入り年度が昭和55年度(1980年度)に集中しており、55年組と呼ばれた。55年組は将棋の黄金世代の先駆けとして知られ、タイトル獲得者5人を輩出した。なお、島朗と同学年の谷川浩司は、加藤一二三に次ぐ史上2人目の中学生棋士として早々にデビューしたため55年組ではないが同世代である。

この世代は、1983年の谷川浩司と高橋道雄を皮切りに次々と先行世代からタイトルを奪ったが、羽生世代が出現すると逆に奪われる立場となり、10年後の1993年にはほぼすべてのタイトルが羽生世代のものとなった。

羽生世代とポスト羽生世代

1970年度前後生まれの羽生世代(チャイルドブランド)はタイトル獲得者8人。1990年代から他の世代を圧倒して長らく将棋界を牽引してきたが、2010年代から渡辺明をはじめとして一回り以上年下の棋士の中から強豪棋士が多数現れて徐々にタイトルを奪われ、2018年末にタイトルをすべて失ったことで世代交代となった。

木村一基、三浦弘行、久保利明など羽生世代より3~5歳下の世代については、ポスト羽生世代と呼ばれる。ポスト羽生世代もタイトル獲得者を複数輩出した強豪世代であった。ポスト羽生世代については、羽生世代と同様、明確な定義があるわけではなく、羽生世代の屋敷と深浦(1971年度生まれ)はポスト羽生世代として扱われることもある。

羽生世代、ポスト羽生世代は棋士の層が厚いため、その世代のプロ入りは困難なものとなった。史上3人目の中学生棋士となった羽生を始め、村山、佐藤、森内の4名は1987年の三段リーグ復活前の四段昇段でプロ入りの人数制限がなかったが、以降は年2回開催の三段リーグで上位2名に入らなければ四段昇段できなくなった。

この世代のプロ入りの厳しさの象徴として、1995年後期の第18回三段リーグがよくあげられる。ポスト羽生世代の堀口一史座が一抜けした後の最後の四段昇段枠を最終戦で4人が争うことになり、年齢制限ぎりぎりであった羽生世代の中座真は最終戦に勝てば自力での四段昇段が決まるところをポスト羽生世代の今泉健司に負けて万事休すとなった。しかし続くライバル3人がそろって最終戦に敗れたことで何とか26歳でのプロ入りを果たす。一方、中座と同学年だった羽生世代の瀬川晶司はこのとき負け越して年齢制限での奨励会退会となったが、10年後に編入試験に合格して35歳でプロ入りする。ドラマの一翼を担った今泉健司も4年後に年齢制限で奨励会を退会せざるを得なくなったが、41歳で編入試験に合格してのプロ入りを果たした。

谷間世代と渡辺明

1976 - 1983年度生まれ(39歳~47歳)は谷間世代として知られ、タイトル獲得者が一人もいない(その下の1984年度生まれには、羽生に次ぐ史上4人目の中学生棋士となり、若い頃から羽生世代を相手にタイトル戦で奮闘した渡辺明がいる)。

この世代の棋士の伸び悩みがしばしば指摘されたが、そのひとつの要因として、羽生世代・ポスト羽生世代の層の厚さが挙げられる。

1982年度生まれの橋本崇載は自身に加えて、同世代の山崎隆之阿久津主税松尾歩の4人を、同世代のトップとして周囲に期待されながらタイトルには手が届かない「残念四天王」と評した。橋本が一身上の都合で引退したのち、2022年の第5回ABEMAトーナメントにリーダーとして出場した山崎は、阿久津、松尾の2人をドラフト指名してチームを結成し、前厄の阿久津、本厄の山崎、後厄の松尾という「厄年」の「残念」な3人による「チーム厄払い」と命名して笑いをとった。

平成のチャイルドブランド世代

2002年の週刊将棋で奨励会の10代半ばの二段、三段が「平成のチャイルドブランド」として特集されたことに由来する[9]。これは「チャイルドブランド」と呼ばれた羽生世代にちなんだもので、これ以降、羽生世代は「昭和のチャイルドブランド」と呼ばれることがある。しかし「平成のチャイルドブランド」も生まれは昭和である。

「昭和のチャイルドブランド」同様に「平成のチャイルドブランド」の範囲も明確ではない。前述の週刊将棋の記事で特集された棋士は当時10代半ばの1985 - 1987年度生まれだけだった[9]。そのため週刊将棋元編集長の(雨宮知典)は1988年度生まれを別の世代として扱っている[9]

1986 - 1988年度生まれの黄金世代のプロ入り人数は21人で、羽生世代(1969 - 1971年度)の19人をしのぐ。タイトル獲得者も多いが、一時代を築く前に平成一桁生まれ世代にタイトルを奪われてしまった。

平成一桁生まれ世代

羽生世代がタイトル戦から遠ざかった頃から、平成生まれの棋士の活躍が目立つようになった。平成生まれで初のタイトル獲得者となった菅井竜也や、前述の渡辺明や後述の藤井聡太と合わせ一時期は「四強」と見なされた豊島将之永瀬拓矢が、この世代の棋士の活躍では顕著である。彼らに続く1993 - 1995年度生まれもプロ入り人数は20人(2023年4月1日現在)と充実しており、タイトル戦出場経験者も多数輩出している。

また女流棋士に目を移すと、この世代には里見香奈加藤桃子西山朋佳などのタイトル戦常連出場者が集中している。

藤井聡太

2002年(平成14年)生まれで、2016年に史上5人目の中学生棋士となった藤井聡太は、デビュー戦から29連勝の新記録で話題をさらい、2023年度に史上最年少での七冠に手をかけるなど顕著な成績を残すなど平成一桁生まれ世代からタイトルを奪っていった。

同じく中学生棋士であった谷川浩司や羽生善治のように同世代と切磋琢磨するか、加藤一二三や渡辺明のように前後が空白の孤軍奮闘となるかは、まだ若すぎるためわからない[10]

  • 1998年度 なし
  • 1999年度 なし
  • 2000年度 なし
  • 2001年度 なし
  • 2002年度 藤井聡太

女流三強

羽生世代に年齢の近い女流棋士林葉直子(1967年度)・清水市代(1968年度)・中井広恵(1969年度)は「女流三強」と呼ばれた。このうち、中井は羽生の1学年上(村山や佐藤と同学年)にあたり、羽生世代の女流棋士と呼ばれることがある。

脚注

注釈

  1. ^ 現在は1学年下まで含める用法が一般的で、例えばスポーツニッポンでは1学年下の深浦を羽生世代の棋士として紹介している[1]
  2. ^ 羽生は第1期竜王戦で4組からのスタート。ほかの棋士は、プロ入り後、6組からのスタート。
  3. ^ 現役八段で逝去したことにともなう追贈の昇段。
  4. ^ 「早指し将棋選手権」には「早指し新鋭戦」の優勝者・準優勝者も出場できるので、ここでは全棋士参加棋戦扱いとした。
  5. ^ 加藤一二三谷川浩司に次ぐ、史上3人目の中学生棋士。
  6. ^ この年から竜王戦史上初の3連覇。藤井は竜王位獲得の頃から「羽生世代」と呼ばれ始めた。
  7. ^ 郷田の初王位が四段でタイトルを獲得した唯一の例。その後、昇段規定が改訂され、四段の棋士はタイトル挑戦で五段(竜王戦挑戦の場合は七段)へ昇段することになったため、四段のタイトル保持者は郷田が最初で最後となった。
  8. ^ 羽生の19歳竜王獲得の年少記録を更新する18歳でタイトル獲得。30年後に藤井颯太が17歳でタイトル獲得するまで最年少記録だった
  9. ^ 「恐るべき子供達」の意のフランス語 enfant terrible より。
  10. ^ このときの羽生-加藤戦で、「伝説の▲5二銀」と呼ばれる妙手が出る。
  11. ^ 谷川浩司は「(対戦相手は抽選で決まるから)羽生が持って生まれた運」と表現している(別冊宝島380「将棋王手飛車読本」pp.16)。
  12. ^ なお、将棋のタイトル制開始以降、2022年末までに永世称号を獲得した者は10人、竜王名人は4人しかいない。
  13. ^ 挑戦者決定三番勝負の勝者は三浦弘行であったが、三番勝負敗者の丸山が繰り上げで挑戦者になった。詳しい経緯は将棋ソフト不正使用疑惑騒動を参照のこと。

出典

  1. ^ “”. スポーツニッポン (2018年6月3日). 2019年3月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月17日閲覧。
  2. ^ 田中寅彦「将棋界の超新人類 これがチャイルドブランドだ!」(池田書店)
  3. ^ 広義のチャイルドブランドには羽生世代以外の棋士も入ることがある。一例として村山の生涯を描いた『聖の青春』(大崎善生著、角川文庫刊、2015年)183ページでは羽生、村山、佐藤と共に、年上の森下卓井上慶太を「チャイルドブランド」として扱っている。
  4. ^ 二上達也九段「羽生将棋の分析を編集部から依頼され何気なく引き受けたものの、よく考えれば分かっちゃいないことを書かねばならないのだから無茶なはなしだ」 | 将棋ペンクラブログ
  5. ^ 深浦康市七段(当時)「音無神社と言えば音無流、これはもう角換わりしかない」 | 将棋ペンクラブログ
  6. ^ “藤井キラー”深浦康市九段が考える「王将に勝つ方法」 | 毎日新聞
  7. ^ さわやか流と泥沼流の間 | 将棋ペンクラブログ
  8. ^ 森内俊之八段(当時)「人間同士の戦いですから絶対的なものはないんです。だからそこは、ごまかしながらやっていくしかないです」 | 将棋ペンクラブログ
  9. ^ a b c 雨宮編集長のコゴト@天野三段|将棋情報局
  10. ^ 遠山雄亮

参考文献

  • 『将棋界の若き頭脳群団 (チャイルドブランド)』 石堂淑朗著、学習研究社、1992年、(ISBN 4-05-106369-0)
  • 『これがチャイルドブランドだ! 将棋界の超新人類』 田中寅彦著、池田書店、1989年、(ISBN 4-262-10182-7)
  • 『四人の名人を破った少年』 飛矢正順著、評伝社、1989年、(ISBN 4-89371-815-0)

関連項目

外部リンク

  • NIKKEI NET 将棋王国(2015年1月29日の更新をもってサービス終了のため、以下のリンクは全てアーカイブ)
    • (羽生善治のインタビュー記事)
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