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マタタビ

マタタビ(木天蓼[2][注 1]学名: Actinidia polygama)は、マタタビ科マタタビ属落葉蔓性木本である[3]。別名ナツウメ(夏梅)ともいう。夏に白い花が咲くころに、枝先の葉が白くなるのが特徴。果実は虫こぶができることもある。ネコの好物、鎮痛・疲労回復の薬用植物としてもよく知られている。

マタタビ
両性花(2008年7月、福島県会津地方
蔓を持ち上げて撮影、葉は裏側
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ツバキ目 Theales
: マタタビ科 Actinidiaceae
: マタタビ属 Actinidia
: マタタビ A. polygama
学名
Actinidia polygama (Siebold et Zucc.) Planch. ex Maxim. (1859)[1]
和名
マタタビ
英名
silvervine

名称

和名マタタビの由来については、古くは『本草和名』(918年)に「和多々比」(わたたひ)、『延喜式』(927年)に「和太太備」(わたたび)の名で見える[4]

貝原益軒『(日本釈名)』(1699年)では、果実に長いものと平らなものができることから、「マタツミ」の義であろうという[5]

アイヌ語の「マタタムブ」からきたというのが、現在最も有力な説のようである。『牧野新日本植物図鑑』(北隆館 1985年。331ページ)によるとアイヌ語で「マタ」は「冬」、「タムブ」は「」の意味で、虫えいを意味するとされる。一方で、(深津正)『植物和名の研究』(八坂書房)や知里真志保『分類アイヌ語辞典』(平凡社)によると「タムブ」は苞(つと、手土産)の意味であるとする[6]

俗説として「疲れた旅人がマタタビの実を食べたところ、再び旅を続けることが出来るようになった」ことから「また旅」と名づけられたなどと言われることがあるが、マタタビの実にそのような薬効があるわけでもなく、旅人に好まれたという周知の事実があるでもなく、また「副詞+名詞」といった命名法は一般に例がない。むしろ「またたび」という字面から「また旅」を想起するのは非常に容易であることから、後づけ的に考案された典型的民間語源と考えるのが妥当である。

別名に、コヅラ、ツルウメ、ナツウメともよばれている[2]中国植物名(漢名)は、葛棗獼猴桃、葛棗子、木天蓼(もくてんりょう)と称される[1][7]

分布と生育環境

日本朝鮮半島中国などの東アジア地域に分布し、日本では北海道本州四国九州に分布する[8][9]。湿り気のある山地の沢沿いや縁に自生する[2]

特徴

落葉つる性木本[9]になり、他の木に絡みついて長く伸び[2]、若いうちは茶褐色で成長と共に黒っぽい紫がかった茶色になる。蔓を切ってみると、白い随が詰まっている。は蔓状のに長い葉柄がついて互生し、葉身は先が尖った長さ2 - 7センチメートル (cm) の卵形で、葉縁に細かい鋸歯がある[9][2]。初夏の花期になると、葉の一部または全面が白くなる性質がある[9][2]

花期は6 - 7月[9]雌雄異株は芳香があり、ウメに似た径2 cmほどの白い5弁花を下向きに咲かせる[9][2]。雄株には雄蕊だけを持つ雄花を、両性株には雄蕊と雌蕊を持った両性花をつける。花弁のない雌蕊だけの雌花をつける雌株もある。果実は、2 - 2.5 cm のフットボール様の細長い楕円形で先は尖り[2]、晩秋に黄緑色から橙色になり軟らかに熟す。しばしば、虫こぶの実(虫癭果)が(マタタビミバエ)、もしくは(マタタビノアブラムシ)(マタタビアブラムシ)の産卵により形成され、偏円形で凸凹しており[2]、正常な実が熟す前に落ちる。

効果に個体差はあるものの、ネコ科の動物は等に忌避効果[10][11]を持つネペタラクトール[12]、及び揮発性のマタタビラクトンと総称される臭気物質イリドミルメシンアクチニジン、プレゴンなど[13]恍惚を感じることで知られている。イエネコがマタタビに強い反応を示すさまから「猫に木天蓼」という(ことわざ)が生まれた。ライオントラなどネコ科の大型動物もイエネコ同様マタタビの臭気に特有の反応を示す。

ネコのマタタビ反応

日本では「猫に木天蓼」という諺があるように、ネコがマタタビを大好物とすることは古くから知られており、1704年に出版された貝原益軒の農業指南書『(菜譜)』にも記されていた。浮世絵『(猫鼠合戦)』にはマタタビでネコを酔わせ腰砕けにするネズミの様子が描かれるなど、江戸時代には「マタタビ反応」は「マタタビ踊り」とも言われ、既に大衆文化に取り込まれていた。1950年代には(目武雄)らの研究によって、マタタビ活性物質は「マタタビラクトン」と呼ばれる複数の(化学成分)であると報告されていた。マタタビ反応はネコ科の動物全般に見られるが、なぜネコ科動物だけにこの反応が見られるのか、また、マタタビ反応の生物学的な意義についてはこれまで不明であった[14]

 
マタタビに反応する猫

岩手大学は2021年1月21日、科学雑誌『Science Advances』に、名古屋大学京都大学英国リバプール大学との共同研究で、ネコのマタタビ反応が蚊の忌避活性を有する成分ネペタラクトールを体に擦りつけるための行動であることを解明したと発表した。本研究では、まずマタタビの抽出物からネコにマタタビ反応を誘起する強力な活性物質「ネペタラクトール」を発見。さらにこの物質を使ってネコの反応を詳しく解析し、マタタビ反応は、ネコがマタタビの匂いを体に擦りつけるための行動であることを突き止めた。また、ネペタラクトールに、の忌避効果があることも突き止め、ネコはマタタビ反応でネペタラクトールを体に付着させ蚊を忌避していることを立証した。ネペタラクトールは、蚊の忌避剤として活用できる可能性があるとしている[14][15][16][17]。この研究チームによる2022年6月の発表によると、マタタビ反応で葉を噛むことにより、葉からの蚊の忌避物質(ネペタラクトールとマタタビラクトン類)の放出量が10倍以上に増えることも判明した[18]

利用等

栽培は果実のつく雌株を選んで行う。両性花がある株を挿し木する。果実、若芽、つるの先は食用になる[2]。猫が好む植物であるため、猫よけの金網囲いが必要になる[8]

食用

夏から秋にかけて果実を採り[2]、虫えいになっていない正常な果実であれば食用に利用する。若い実ヒリヒリと辛く渋みと苦味があり、ふつう生では食べないが、完熟するとそのまま食べられる[9]。まだ青味が残る果実であれば、塩漬け味噌漬け薬用酒(マタタビ酒)などにして利用される[7][9][2]。塩漬けしたものを塩抜きして、天ぷら甘酢漬け粕漬けなどにする[2]。なお、キウイフルーツもマタタビ科であり、果実を切ってみると同じような種の配列をしていることがわかる。

春から初夏にかけて若芽やつる先を摘み取り、茹でて水にとりアク抜きする[2]。若芽やつる先は、おひたし和え物油炒め、椀種、生のまま天ぷらにもする[2]。葉は、おひたしにして食べる事がある[19]が、アレルギーを生じる事がある[19]

生薬

蕾にマタタビミタマバエまたはマタタビアブラムシが寄生して虫こぶ(虫えい)になったものは、漢方木天蓼(もくてんりょう)という生薬である[9]。正常な果実は、虫えいに比べてすこぶる薬効が劣るといわれている[7]。7月中旬から10月ごろに、果実、虫こぶを採取して、一度熱湯に約5分ほど浸したあと、天日乾燥させて調製される[7][8]。効能は、鎮痛、保温(冷え性)、強壮神経痛リウマチ腰痛などに効果があるとされる[8][20]

民間療法では、木天蓼の粉末を1回量1 - 2グラムを1日3回服用するか[8]、煎じて服用するときは、1日3 - 5グラムを400 ccの水に入れて煎じて、3回に分けて服用する[7]。また、乾燥させた普通の果実5グラムを、橙皮と同量で煎じて、1日3回服用する用法が知られている[8]。また、果実酒として用いられる[8]。マタタビの虫えい200グラムに対して35度のホワイトリカー1.8リットルに漬け込み、1か月以上冷暗所に置いたあと、1日に盃1杯飲用する[7]。マタタビの茎は、布袋に入れて浴湯料として用いられる[8]。保温効果から患部が冷えたり、身体を冷やすと悪化する腰痛などによいと言われているが、暑がりの人や身体がほてる人、患部が熱い人への服用は禁忌とされている[7]

また、猫の病気にもよいともいわれており[8]、マタタビを猫に与えてしゃぶらせると、酔ったようになるが元気になる[7]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 「もくてんりょう」とも読む

出典

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Actinidia polygama (Siebold et Zucc.) Planch. ex Maxim. マタタビ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 金田初代 2010, p. 116.
  3. ^ 荒瀬輝夫、熊谷真由子、内田泰三「マタタビ(Actinidia polygama)の虫えい果の採集時期について」『信州大学農学部AFC報告』11(1-2): 11-16(2013), hdl:(10091/17025)
  4. ^ 湯浅浩史:「マタタビ」文化史/小学館日本大百科全書』(ジャパンナレッジ版)2013年8月24日閲覧
  5. ^ 「またたび」語源説/小学館『日本国語大辞典 第二版』(ジャパンナレッジ版)2013年8月24日閲覧
  6. ^ 和泉晃一「マタタビの語源」
  7. ^ a b c d e f g h 貝津好孝 1995, p. 172.
  8. ^ a b c d e f g h i 馬場篤 1996, p. 105.
  9. ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 257.
  10. ^ 上野山怜子, 西川俊夫, 宮崎雅雄「ネコがマタタビに反応する生物学的意義の解明」『化学と生物』第59巻第9号、2021年、435-440頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu.59.435。 
  11. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2021年1月21日). “マタタビ好む理由は蚊回避 猫の特異反応解明、岩手大”. 産経ニュース. 2021年1月20日閲覧。
  12. ^ 日本放送協会. “マタタビのネコに作用する物質を同定 岩手大などのグループ”. NHKニュース. 2021年1月20日閲覧。
  13. ^ 大江智子, 大畑素子, 有原圭三「ネコが反応を示すマタタビ中の揮発性成分の検索」『ペット栄養学会誌』Vol.16 (2013) No.Suppl p.Suppl_52-Suppl_53, doi:10.11266/jpan.16.Suppl_52, 日本ペット栄養学会
  14. ^ a b “ネコのマタタビ反応の謎を解明(京都大学)”. 2021年1月23日閲覧。
  15. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2021年1月21日). “マタタビ好む理由は蚊回避 猫の特異反応解明、岩手大”. 産経ニュース. 2021年1月20日閲覧。
  16. ^ “「猫にマタタビ」の謎 研究のため朝夕掃除でご機嫌取り 教授の腕でも実験”. 毎日新聞 (2021年1月21日). 2022年4月13日閲覧。
  17. ^ “ただ喜んでるわけではなかった…「ネコにマタタビ」は蚊などの害虫避けるため 大学の研究チームが明らかに”. 東海テレビ (2021年1月21日). 2022年4月13日閲覧。
  18. ^ 「マタタビで蚊よけ かんで効果増*岩手大・名大など論文」『読売新聞』夕刊2022年」6月15日8面
  19. ^ a b 石川博康、島貫美和、門馬節子「マタタビアレルギーの3例」『臨床皮膚科』62巻10号(2008年9月), doi:10.11477/mf.1412102081
  20. ^ 薬用植物一覧表

参考文献

  • 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、172頁。ISBN (4-09-208016-6)。 
  • 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、116頁。ISBN (978-4-569-79145-6)。 
  • 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、105頁。ISBN (4-416-49618-4)。 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、257頁。ISBN (4-522-21557-6)。 

関連項目

外部リンク

  • 目武雄, 藤野明, 村井不二男「マタタビ成分の化学的研究(第4~6報) (第4報)マタタビラクトンからアクチニジンの誘導1」『日本化學雜誌』Vol.81 (1960) No.9 P.1444-1445, doi:10.1246/nikkashi1948.81.9_1444
  • 目武雄、藤野明、村井不二男 ほか「S-4 マタタビの化学的研究(記念講演要旨)」『天然有機化合物討論会講演要旨集』(50), 19-24, 2008-09-01, doi:10.24496/tennenyuki.50.0_19, NAID 110007066642
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