『カダッシュ』 (Cadash) は、1989年にタイトーから稼働されたアーケード用横スクロールアクションRPG。
ジャンル | アクションRPG |
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対応機種 | アーケード (AC) |
開発元 | タイトー |
発売元 | タイトー |
プロデューサー | はせがわけいすけ |
ディレクター | 辻野浩司 |
デザイナー | 辻野浩司 |
プログラマー | 堀崇真 |
音楽 | 西賢二 |
美術 | 辻野浩司 仙波隆綱 加藤久和 五十嵐恒三 岩田吉弘 篠田徹也 小川貴之 今枝賢一 |
人数 | 1 - 2人(協力プレイ) |
メディア | 業務用基板 (1.59メガバイト) |
稼働時期 | 1990年3月 |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
デバイス | 8方向レバー 2ボタン |
CPU | MC68000 (@ 12 MHz) Z80 (@ 4 MHz) |
サウンド | YM2151 (@ 4 MHz) |
ディスプレイ | ラスタースキャン 横モニター 320×240ピクセル 60.00Hz パレット4096色 |
戦士、魔法使い、僧侶、忍者の4人から主人公を選択し、悪魔バーログを倒してサラサ姫を救出するのを目的としている。
1991年に日本国内および北米にてPCエンジンに移植された他、北米のみでメガドライブにも移植された。PCエンジン版は2008年にWii用ソフトとしてバーチャルコンソールにて配信された(現在は終了)。
アーケード版は後に、日本国内ではPlayStation 2用ソフト『タイトーメモリーズ 下巻』(2005年)に収録された他、北米および欧州にてPlayStation 2ならびにXbox、Windows用ソフト『Taito Legends 2』(2006年)に収録された。
アーケード版はゲーム誌『ゲーメスト』の企画「第4回ゲーメスト大賞」(1990年度)にてベストアクション賞8位、ベスト演出賞3位を獲得した。
ゲーム内容
システム
8方向レバー、2ボタン(攻撃、ジャンプ)で操作。ゲーム開始時に4つの職業があり、職業ごとにスピード、攻撃方法、使用できる武器、使用できる魔法の有無が全く異なる。HPやMP、経験値などがあり、レベルアップによって各種数値が上がるなどRPG性が色濃く出ている。また、お店・宿で使用する資金や各種アイテムも存在し、敵の撃破や特定の地点の攻撃で出現するほか、隠し通路先で入手できるものも存在する。
本作では時間制を採用。特定アイテムを入手することで残り時間を延長することが可能。
ロケテストや海外販売の一部など、筐体2台を使用した最大4人同時プレイが可能な基板が存在するが、国内正式販売時は機能が削除された。しかしプログラム的には機能は残されており、通信機能付き海外版基板に国内版ROMを差し替えることで、日本語で4人同時プレイが可能となる[1]。国内版でも、デモ画面には4人同時プレイを見ることができる。
職業
戦士
肉弾戦重視のキャラで攻撃力は全キャラ中トップ(最大83)だが、剣のリーチはあまり長くない。防御力はかなり低めだが兜、鎧、盾と装備品が多く、兜と鎧を合わせると防御力は最大となる。盾を持てるのは戦士のみで、これがあると敵の飛び道具を防げるが、喰らい判定も大きくなるため、一長一短である。魔法の追加効果が得られる剣もある。すばやさは2番目に高く(最大163)、すばやさが増える剣を持ったときには全キャラ中最高のすばやさとなる。最初に使っておけば損のないキャラである。最高レベルになるために33000ポイントの経験値が必要。
魔法使い
タフさと移動速度(最高でもすばやさ98)が最低のキャラクター。打撃攻撃力は意外にも低くなく、魔法は使用制限があるものの一撃必殺の威力であるため、かなり使いやすい。さらにレベルアップが非常に早く、中盤でも最高レベル(必要経験値22000)まで上げられるため、プレイ自体も安定しやすい。終盤、魔法消費力が半分になるローブや魔力が1秒ごとに回復する杖が手に入り、魔法がほぼ使い放題になるものの、魔法の効かないザコも現れるため苦戦しやすい。ラスボスを最強呪文数発で一瞬で葬り去れるのはこのキャラだけの特権である。杖の中には魔法の追加効果があるものもある。
僧侶
紅一点。通常攻撃は非常にリーチの長いフレイル攻撃だが、軌道が直線的で威力が低く、さらに隙も大きいために使いづらい場面もある。そのため、終始敵を倒すのに手数が多く必要になる。最強武器がもっとも早い段階で手に入るため中盤一気に楽になる。またレベル6からは非常に有益な魔法、プロテクションが使用可能である。この魔法を使うとレベルに関係なく32ポイントまでのダメージを打消し、さらにのけぞりと毒を無効化できるため、他の回復魔法を使う必要がなくなる。中盤からはプロテクションを使うだけでクリアできてしまう。しかし序盤から中盤がかなり貧弱なため、ある程度基礎のしっかりできている人向けのキャラクターである。最高レベルになるためには42000ポイントの経験値を要する。
このゲームにおいて敵の攻撃を受けて減る体力は、「防御力から計算したダメージ」と「レベル」のうち大きい数字である。プロテクションを多用する僧侶はレベルを15にとどめておくと、プロテクション1回で敵の攻撃を3度受け止めることができる。
忍者
最高の速度(最高レベルですばやさ178)と戦士と大差ない攻撃力(最高で82)を持つ。全キャラ中唯一、飛び道具での通常攻撃を持つ。とにかく足が速いため、かなり有利である。攻撃力と防御力は同じレベルの戦士と同程度だが、同じレベルになるためには戦士の倍程度の経験値が必要。3方向に飛ばせる武器や敵を貫通する武器など、他キャラよりも強力な武器に恵まれており、敵に攻撃が当てやすい。最大パラメータは全項目とも最高クラスだがレベルの上がり方がとても遅いので、要所で経験値を集めておく必要がある。最高レベルになるまでに54000ポイントの経験値を要する。
移植版
No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 備考 |
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1 | カダッシュ | 1991年1月18日 1991年 | PCエンジン | タイトー | タイトー | 3メガビットHuCARD[2] | TP02015 WTG040501 | |
2 | CADASH | 1992年4月 | メガドライブ | Cyclone System | タイトー | 4メガビットロムカセット | 11086 | |
3 | タイトーメモリーズ 下巻 | 2005年8月25日 | PlayStation 2 | タイトー | タイトー | DVD-ROM | SLPM-66092 | |
4 | Taito Legends 2 | 2006年3月31日 PS2: 2007年5月16日 Win: 2007年7月28日 | PlayStation 2 Xbox Windows | タイトー | Empire Interactive Destineer | DVD-ROM | PS2 SLES-53852 SLUS-21349 | アーケード版の移植 Xbox版は欧州のみの発売 |
5 | タイトーメモリーズ 下巻 TAITO BEST | 2006年9月7日 | PlayStation 2 | タイトー | タイトー | DVD-ROM | TCPS-10164 | 廉価版、アーケード版の移植 |
6 | タイトーメモリーズ 下巻 エターナルヒッツ | 2007年6月28日 | PlayStation 2 | タイトー | タイトー | DVD-ROM | SLPM-66776 | 廉価版、アーケード版の移植 |
7 | カダッシュ | 2008年11月11日 | Wii | タイトー | タイトー | ダウンロード (バーチャルコンソール) | - | PCエンジン版の移植 2019年1月31日配信・発売終了 |
8 | CADASH | 2019年3月19日 | PCエンジン mini | 瑞起[3] ※本体の開発元 | コナミデジタルエンタテインメント ※本体の発売元 | プリインストール | 北米版PCエンジン (TurboGrafx-16)版を収録 | |
9 | カダッシュ | 2022年3月2日 | イーグレットツー ミニ | 瑞起[4] ※本体の開発元 | タイトー ※本体の発売元 | プリインストール | アーケード版を収録 |
- PCエンジン版
- 1991年1月18日発売
- 2008年11月11日よりWii版バーチャルコンソールで配信開始。上記表にて前述したとおり、2019年1月31日をもって配信・発売を終了(既に購入し記録媒体などに保存されているコンテンツについては、当面はプレイ可能)。
- Genesis版
- 日本国外のみ発売。職業は「戦士」と「魔法使い」の2業種だが、グラフィック、サウンドなど、アーケード版に対する移植度の高さは好評を得ている[5]。詳しくは英語版ページを参照。ゲーム中のメッセージは全て英語化されている。
- PlayStation 2版
- PCエンジン mini収録版
- コナミデジタルエンタテインメントがリリースする、PCエンジン系ソフトを58作(海外版は57作)あらかじめ収録した復刻系ゲーム機に収録。
- 海外版を収録しているため、ゲーム中のメッセージは全て英語。
- イーグレットツー ミニ収録版
- タイトーがリリースする、アーケードゲーム作品40作をあらかじめ収録した復刻系ゲーム機に収録。
スタッフ
- プロデュース:はせがわけいすけ
- ディレクト:ONIJUST(辻野浩司)
- ディレクター・オブ・ソフトウェア:すがわらとおる
- メイン・プログラマー:TAK(堀崇真)
- モンスター・プログラマー:こうやまゆういち
- トラップ・プログラマー:YMOT(八木政樹)
- シナリオ・プログラマー:たいこいちせいいち
- プロダクション・デザイナー:ONIJUST(辻野浩司)
- グラフィック・デザイナー:ONIJUST(辻野浩司)、仙波隆綱、加藤久和、五十嵐恒三、岩田吉弘、篠田徹也、小川貴之、今枝賢一
- アシスタント・グラフィック・デザイン:ビジュアル・アーツ・プロダクション
- スーパービジング・エディター:YMOT(八木政樹)
- マップ・エディター:ONIJUST(辻野浩司)
- ハードウェア・デザイナー:くしろただし
- エレクトリシャン:たけだとみお
- サウンド・プロデューサー:POCHI(大縫一行) (ZUNTATA)
- ミュージック・コンポーザー:PINCH PUNCH(西賢二)
- サウンド・エフェクト:PINCH PUNCH(西賢二)
- メカニシャン:はつだやすのり
- パブリシティー・スーパーバイザー:なかがわかずお
- ソフトウェア・アナライザーズ:藤原英裕、広重勇治
- データ・エントリー:いわのまり
- ゲーム・デザイナー:ONIJUST(辻野浩司)
評価
評価 |
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- アーケード版
ゲーム誌『ゲーメスト』誌上で行われていた「第4回ゲーメスト大賞」(1990年度)において、ベストアクション賞8位、ベスト演出賞3位、年間ヒットゲーム32位を獲得した[8]。
- PCエンジン版
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計で23点(満40点)、『月刊PCエンジン』では95・75・85・85・85の平均85点(満100点)、『マル勝PCエンジン』では8・7・7・7の合計29点(満40点)、『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、21.56点(満30点)となっている[2]。また、この得点はPCエンジン全ソフトの中で197位(485本中、1993年時点)となっている[2]。同雑誌1993年10月号特別付録の「PCエンジンオールカタログ'93」では、「キャラクタが大きめで、アクションシーンの難易度は高い」と難易度に関して否定的なコメントで紹介されている[2]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | 操作性 | 熱中度 | お買得度 | オリジナリティ | 総合 |
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得点 | 3.73 | 3.45 | 3.66 | 3.71 | 3.45 | 3.57 | 21.56 |
脚注
- ^ [1]2017/06/09 09:24投稿
- ^ a b c d e 「10月号特別付録 PCエンジンオールカタログ'93」『PC Engine FAN』第6巻第10号、徳間書店、1993年10月1日、39頁。
- ^ PCエンジンミニ(瑞起公式サイト)
- ^ EGRET II mini(瑞起公式サイト)
- ^ 株式会社QBQ編 『懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー !!』マイウェイ出版発行、2018年。(ISBN 9784865118704) p125
- ^ “Cadash for Genesis (1992)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
- ^ a b “Cadash for TurboGrafx-16 (1991)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
- ^ a b c d 「ゲーメスト大賞11年史」『GAMEST MOOK Vol.112 ザ・ベストゲーム2 アーケードビデオゲーム26年の歴史』第5巻第4号、新声社、1998年1月17日、18 - 19頁、ISBN (9784881994290)。
外部リンク
- PCエンジン mini 公式サイト
- 本作のプレイ映像とスクリーンショットが簡単に解説されている。