エディー・ジョーンズ(英語: Eddie Jones, 1960年1月30日 - )は、オーストラリアタスマニア州バーニー出身のラグビーユニオンの元選手、指導者。現ラグビーオーストラリア代表ヘッドコーチ、元ラグビー日本代表ヘッドコーチ、元ラグビーイングランド代表ヘッドコーチ、東京サントリーサンゴリアスアドバイザー[1]、ゴールドマン・サックス日本アドバイザリーボード[2]。
生年月日 | 1960年1月30日(63歳) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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出身地 | オーストラリア タスマニア州 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
身長 | 1.73 m (5 ft 8 in) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学校 | (マトラヴィルスポーツ高校) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ラグビーユニオンでの経歴 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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人物
オーストラリアタスマニア州バーニー出身。メルボルン出身のオーストラリア人の父と、広島県をルーツに持つ日系アメリカ人2世のハーフ[3][4][5]の母の間に生まれる。兄弟は姉が2人。シドニー大学で体育学を専攻し1982年に卒業(学位は教育学士)。大学卒業後は教員となり、体育を教える。プロラグビーコーチ転身前の1994年は「インターナショナル・グラマー・スクール」(シドニー)で学校長を務めていた。インターナショナル・グラマー・スクール時代に出会った[6]妻のヒロコ夫人は日本人[7]の日本語教師で、娘が1人いる。
選手として
現役時代のポジションはフッカー。身長173センチ、体重82キロ(公式発表)と大柄なフッカー選手が揃うオーストラリアラグビー界では小柄な体形であるが機敏な動きで活躍した。ニューサウスウェールズ州代表に選出された経歴を持つ。1992年シーズンで現役生活から引退した。
マトラヴィル・ハイスクール在学時にはD・ノックス(ワラビーズ13キャップ)、エラ兄弟(マーク(ワラビーズ25キャップ)、ギャリー(ワラビーズ6キャップ)、グレン(ワラビーズ4キャップ))らと共にランドウィッククラブでプレーした。
コーチとして
東海大学ラグビー部監督 兼 日本代表スタッフ
1995年、東海大学体育会ラグビーフットボール部の青森合宿に参加するため初来日。1996年に同部コーチに就任。ラグビー指導者としてのキャリアは日本が始発点となる。同年ラグビー日本代表フォワードコーチを兼任。
ブランビーズヘッドコーチ
1997年4月、サントリーサンゴリアスフォワードコーチに就任するも、スーパーラグビーACTブランビーズヘッドコーチに内定したため同年9月に移籍。ACTブランビーズとは4年契約を結び2001年までヘッドコーチを務める。2001シーズンにはスーパー12ファイナルで南アフリカのシャークスに36-6で勝利し初タイトルを獲得。オーストラリアのラグビーチームとしては初となるリーグ制覇を達成。この間の通算成績は28勝20敗。
1999年にオーストラリアン・バーバリアンズコーチを兼任。
オーストラリア代表ヘッドコーチ
2001年、ロッド・マックイーンの後任として、ノンキャップながらワラビーズのヘッドコーチに就任。代表キャプテンにジョージ・グレーガンを指名。2003年ワールドカップではワラビーズを決勝戦延長まで進めるもイングランド代表を前に17-20で敗北。オーストラリアラグビー協会とは2007年ワールドカップ終了までの契約を結んでいたが、2005年シーズンに9戦8敗と大きく負け越しこの年に代表ヘッドを更迭された。ワラビーズでの通算成績は57戦33勝23敗1分。2007年、レッズのヘッドコーチに就任するもチームは14チーム中14位に終わり、ジョーンズのコーチ業は終わったと酷評された。
南アフリカ代表スタッフ
2007年に南アフリカ代表(スプリングボクス)のチームアドバイザーに就任し、2007年ワールドカップでのスプリングボクスの優勝に貢献。
サラセンズヘッドコーチ
2008-2009シーズンはイングランドのサラセンズヘッドコーチ(12チーム9位)。
サントリーサンゴリアスGM 兼 ヘッドコーチ
2009-2010シーズンはジャパンラグビートップリーグのサントリーサンゴリアスGM、2010-2011シーズンはサントリーサンゴリアスGM 兼 ヘッドコーチを務め日本選手権優勝。2011- 2012シーズンはトップリーグ制覇と日本選手権優勝の2冠達成。外国人指導者としては初となるリーグ制覇を達成した。
日本代表ヘッドコーチ
2011年12月、ラグビー日本代表ヘッドコーチに内定。契約期間は2012年4月からラグビーワールドカップ2015終了後の12月31日まで。2012年4月に正式就任し、同年6月にウェールズ代表から初勝利をあげるなど日本チームの向上に貢献した。2013年10月に脳梗塞と診断され、一時入院した[8]。
2013年11月から歴代最多連勝記録11を達成し、2013年6月のウェールズ戦や2014年6月のイタリア戦での初勝利など数々の実績を挙げていたが[9]、ジョーンズは「日本ラグビーを変えるにはW杯で勝つことがすべて。サッカーみたいにW杯で勝てないチームになりたくはない」とW杯での勝利に強いこだわりをみせていた[10]。ジョーンズは、日本独自のスタイル「ジャパン・ウェー」を掲げ、俊敏性、フィットネス、スタミナを生かした攻撃ラグビーを磨き上げた[11]。また、2014年12月にはジョゼップ・グアルディオラと会談し「ラグビーとサッカーはボールを常にスペースに運ぶということでとても似ている。そしてバイエルンとグアルディオラが以前率いていたバルセロナは、私たちが見てきた中で一番素晴らしいパスサッカーをしていた。その原理原則は同じなんだ」と語るなど、ワールドカップへ向けての準備を進めていた[12][13]。
2015年9月19日、2015年ラグビーワールドカップの初戦で南アフリカと対戦したが、英国の大手ブックメーカー・ウィリアムヒルにおける事前の南ア勝利の倍率は1倍で、勝利は確定的とされていた[14]。しかし、試合は終了間際に途中出場のカーン・ヘスケスが逆転トライを挙げ34-32で勝利。勝利宣言してきたジョーンズも「本当に感慨深いとしか言いようがない。南アフリカを破るなんて、最後の結果が本当かどうかを疑った。選手たちは勇敢なんてもんじゃない」と語るほどのW杯史上最大のアップセットとなった[15]。続くスコットランド戦は中3日の日程などに苦しみ敗れたが、サモア戦・米国戦と連勝し、目指してきた8強進出は逃したもののW杯で3勝を挙げた[16]。
林敏之はジョーンズについて「彼は小さい選手だったし、日本人とのハーフで、日本のことを理解している。それは大きいと思います。単なる外国人の指導者ではない」と評価している。一方で松尾雄治は「FWであれば日本のサイド攻撃を使ってもらいたい。モールからもそう。単調に出していてはだめだと思う」「BKはある程度、キックを使わないと強くはなれない」と注文を付けている[17]。
2015年8月25日、同年11月1日付けで日本代表ヘッドコーチを退任することが日本ラグビーフットボール協会より正式に発表される[18]。2015年9月21日、スーパーラグビーに参戦するストーマーズヘッドコーチに内定[19][8]。契約期間は2018年シーズン終了までの2年。
イングランド代表ヘッドコーチ
2015年11月13日、ストーマーズヘッドコーチに正式に就任。その就任前からイングランド代表ヘッドコーチを退任したスチュアート・ランカスターの後任候補として注目され[20]、同年11月20日、ラグビー・フットボール・ユニオン(イングランドラグビー協会)はジョーンズがストーマーズとの契約を解除し、イングランド代表ヘッドコーチに同年12月に就任と発表した[21]。契約期間は2019年シーズン終了までの4年契約。イングランド代表としては初の外国人ヘッドコーチ就任となった。
ラグビーワールドカップ2019において、3大会・12年ぶりに決勝進出を果たしたが、南アフリカに敗れ準優勝となった。
シックス・ネイションズ2021では2勝3敗で5位となり[22]、多くの批判を浴びた[23][24]。
翌年シックス・ネイションズ2022でも2勝3敗で3位[25]。2022年の戦績は5勝6敗1分で、2008年の4勝7敗以来の不調だった[26]。
2022年12月6日、ラグビー・フットボール・ユニオンはイングランド代表ヘッドコーチから解任したことを発表した[26]。ワールドカップ2023終了までの契約を前に、大会開始まで9か月の段階で、早期解約となる[26]。
在任中の主な功績は、シックス・ネイションズでの優勝3回(2016・2017・2020)およびグランドスラム(全勝優勝)1回達成(2016)、ラグビーワールドカップ準優勝1回(2019)[27]。ヘッドコーチを務めた81試合で勝率73%は、それまでのイングランドヘッドコーチ歴代で最高[24]。
東京サントリーサンゴリアス アドバイザー
イングランド代表ヘッドコーチ在任中、東京サントリーサンゴリアスのアドバイザーを2019-20シーズンから担当しており[28]、2022-23シーズンで4年目となる[1][24]。
ヘッドコーチとしての戦績
オーストラリアの戦績
対戦相手 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 勝率 (%) | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アルゼンチン | 2 | 2 | 0 | 0 | 100 | 41 | 14 |
イングランド | 7 | 2 | 0 | 5 | 29 | 165 | 158 |
フランス | 6 | 3 | 0 | 3 | 50 | 140 | 139 |
アイルランド | 4 | 3 | 0 | 1 | 75 | 101 | 64 |
イタリア | 2 | 2 | 0 | 0 | 100 | 103 | 24 |
ナミビア | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 142 | 0 |
ニュージーランド | 11 | 5 | 0 | 6 | 45 | 201 | 246 |
(パシフィックアイラダーズ) | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 29 | 14 |
ルーマニア | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 90 | 8 |
サモア | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 74 | 7 |
スコットランド | 5 | 5 | 0 | 0 | 100 | 164 | 75 |
南アフリカ共和国 | 12 | 4 | 1 | 7 | 33 | 283 | 267 |
スペイン | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 92 | 10 |
ウェールズ | 3 | 2 | 0 | 1 | 67 | 73 | 47 |
合計 | 57 | 33 | 1 | 23 | 58 | 1698 | 1073 |
オーストラリアでの記録
- ラグビーワールドカップ
- 準優勝: 2003,
- トライネイションズ
- 優勝: 2001
- 準優勝: 2002, 2003, 2004
- ブレディスローカップ
- 獲得: 2001, 2002
- (ピューマトロフィー)
- 獲得: 2002
- クックカップ
- 獲得: 2004/6, 2004/11
- (バイセンテナリーズトロフィー)
- 獲得: 2002, 2005/7
- (ホープトゥーンカップ)
- 獲得: 2004/6, 2004/11
- (ランズダウンカップ)
- 獲得: 2003, 2005
日本の戦績
対戦相手 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 勝率 (%) | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
カナダ | 3 | 3 | 0 | 0 | 100 | 70 | 44 |
フィジー | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 49 | 74 |
ジョージア | 3 | 2 | 0 | 1 | 67 | 62 | 67 |
香港 | 5 | 4 | 1 | 0 | 80 | 195 | 8 |
イタリア | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 26 | 23 |
カザフスタン | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 87 | 0 |
ニュージーランド | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 6 | 54 |
フィリピン | 2 | 2 | 0 | 0 | 100 | 220 | 10 |
ルーマニア | 2 | 2 | 0 | 0 | 100 | 52 | 36 |
ロシア | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 40 | 13 |
サモア | 3 | 2 | 0 | 1 | 67 | 85 | 46 |
スコットランド | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 27 | 87 |
南アフリカ共和国 | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 34 | 32 |
韓国 | 5 | 5 | 0 | 0 | 100 | 300 | 58 |
スペイン | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 40 | 7 |
(スリランカ) | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 132 | 10 |
トンガ | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 57 | 82 |
(アラブ首長国連邦) | 2 | 2 | 0 | 0 | 100 | 199 | 6 |
アメリカ合衆国 | 4 | 3 | 0 | 1 | 75 | 121 | 90 |
ウルグアイ | 2 | 2 | 0 | 0 | 100 | 70 | 8 |
ウェールズ | 2 | 1 | 0 | 1 | 50 | 41 | 30 |
合計 | 48 | 34 | 1 | 13 | 71 | 1913 | 785 |
日本での記録
- アジアラグビーチャンピオンシップ
- 優勝: 2012, 2013, 2014, 2015
- ワールドラグビーパシフィックネイションズカップ
- 優勝: 2014
イングランドの戦績
対戦相手 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 勝率 (%) | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アルゼンチン | 5 | 5 | 0 | 0 | 100 | 160 | 91 |
オーストラリア | 11 | 10 | 0 | 1 | 91 | 348 | 215 |
カナダ | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 70 | 14 |
フィジー | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 58 | 15 |
フランス | 8 | 5 | 0 | 3 | 63 | 185 | 155 |
ジョージア | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 40 | 0 |
アイルランド | 9 | 5 | 0 | 4 | 56 | 209 | 165 |
イタリア | 8 | 8 | 0 | 0 | 100 | 324 | 76 |
日本 | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 35 | 15 |
ニュージーランド | 2 | 1 | 0 | 1 | 50 | 34 | 23 |
サモア | 1 | 1 | 0 | 0 | 100 | 48 | 14 |
スコットランド | 7 | 3 | 1 | 3 | 43 | 163 | 130 |
南アフリカ共和国 | 7 | 4 | 0 | 3 | 57 | 153 | 155 |
トンガ | 2 | 2 | 0 | 0 | 100 | 104 | 6 |
アメリカ合衆国 | 2 | 2 | 0 | 0 | 100 | 88 | 36 |
ウェールズ | 11 | 8 | 0 | 3 | 73 | 231 | 211 |
合計 | 77 | 58 | 1 | 18 | 75 | 2263 | 1290 |
イングランドでの記録
- ワールドラグビー年間最優秀コーチ賞
- 獲得: 2017
- ラグビーワールドカップ
- 準優勝: 2019
- シックス・ネイションズ
- 優勝: 2016, 2017, 2020
- 準優勝: 2019
- (グランドスラム)
- 優勝: 2016
- (トリプルクラウン)
- 獲得: 2016, 2020
- カルカッタカップ
- 獲得: 2016, 2017, 2020
- ミレニアム・トロフィー
- 獲得: 2016, 2019, 2020
- (キルターカップ)
- 獲得: 2016, 2017, 2019
- エラ=モブス・トロフィー
- 獲得: 2016, 2017, 2018, 2021, 2022
- オータム・ネイションズカップ
- 優勝: 2020
コーチング・チームマネージメント哲学
この節に(雑多な内容が羅列されています)。 |
- サントリー時代、従順で真面目だが失敗を極端に避けようと躊躇する日本の学生部員ら見て違和感を感じ、大人気ドラマだった「スクール☆ウォーズ」全エピソードを視聴して高校における運動部活動を分析。本人によるドラマの感想は「Just stupid」
- ジョーンズは日本代表のスケジュールを、怪我人の発生や天候不順による練習や試合の中止などを考慮して、常に変化するものと割り切っていた。それをジョーンズは「まず考えるべきは、スケジュールではなく、チームをどこに連れて行きたいか。つまり目的地だ」と表現[29]。その上でジョーンズは、2か月ごとの目標を立てて定期的にレビューを行うことで、達成したい目標を明確化している[30]。
- ジョーンズは体格やフィジカルを言い訳とすることを決して許さず、それらを問題にしたことも1度もない。ジョーンズはバレーボールでは男子よりも女子の方が成績で優れていることに注目しており、バレーボール男子はパワー勝負中心なのに対し、女子はスキルで勝てる要素も比較的大きいという点に着目しているのだろう、というのは関連書籍のライターによる分析である[31]。
- 2015年の時点では、日本社会にある特長がラグビーとリンクしていない、つまり日本には独自のラグビー文化と呼べるものが無いと指摘。同時に「ゲームの進め方まで礼儀正しく序列を重んじるばかりでは、その先の道を閉ざしてしまうことにもなる」と言い切っている。また「『ノーサイドの精神』だけでは足りないんだ。ラグビーをしている限り勝たなければいけないのだから」とも述べている。ジョーンズはそれらを踏まえた上で「"できない理由"を探すよりも、"何ができるのか"を考えるべきだよ」と話している[32]。
- 人の名前を覚えるのが苦手、妻の誕生日を忘れるなど、ジョーンズの記憶力は一概に高いとは言い切れない。しかしジョーンズは会話の中で具体的な数値を用いて説明することが多く、手元に資料がなくてもそうした説明を行うことができる。そんなジョーンズは「データの活用法は、チームによって変わる」と前置きした上で「チェックする項目は3つに絞る」としている[33]。
- 「練習というものは、逆算して計画されるべきもの。チームをどうやって勝たせるかを決めたら、そのための最善の方法、環境を事前に計画していく」という考えの持ち主。オーストラリア代表の監督を務め、ニュージーランド代表に手痛い負け方をした時、その翌日物凄く過酷な練習が始まるように匂わせておきながら、選手達を連れて行った先はゴーカート場。もしここでハードな練習をさせていたら敗戦で落ち込んでいた選手たちの気分をさらに落ち込ませていたかも知れなかった。気分転換させたことによって選手達はその翌日しっかりと練習し、翌週の南アフリカ戦はいい試合をしてくれた[34]。
- 1991年のワールドカップでオーストラリアを優勝させたヘッドコーチ、ボブ・ドゥワイヤーの影響を受けている。試合を分析し、ゲームの中でプレイが継続する時間を割り出す作業を行い、そこで割り出された時間に基づいて、30秒を5回、45秒を6回という具合に有酸素運動のトレーニングを組み立てる方式をジョーンズはそのまま取り入れている。実戦から逆算して練習を計画するジョーンズからすれば、ランパスや1分以上継続したアタック練習は「実戦的でない」と批判的に見られるものである[34]。
- データを見る前に自分の目でビデオをチェックし、その後にデータが上がってきたら自分が見たことがデータ化されているかどうかを確認するのがジョーンズの仕事の1つである[35]。
- 雨中の試合対策としてボディソープをボールに塗ってわざと滑りやすくしたり、ボールを大切に扱えるようにと生卵でパスを交換し合う練習を行ったり、ジムの室温を30度まで上げた上で選手達のジャージの下にゴミ袋を着せてハードトレーニングを行わせたりすることがあるが、これには心理的なアドバンテージを得る狙いもある[36]。
- 練習では監督である自身が最も重要な人物となって選手に影響を与えるという考えを持っているが、試合では自身が最も重要でない人物となるべきと考えている。そのため、前者の場合では最後にグラウンドに入り、後者の場合では最初にグラウンドに入る[37]。
- トップリーグチームを指揮する際はシーズンレビューを作成するが、改善点は最大でも3つに絞る。その理由は「人は3つまでしか覚えられないからだ」というものから[38]。
- 「選手の習慣やリズムに変化があったら、コーチは気にかけなければいけない」と言う考えの持ち主であり、ジョーンズはその考えの下で自身の高い観察能力を発揮してきた。2009年にサントリーのGMに就任したジョーンズは選手達を観察している間に選手間のコミュニケーションが希薄であることに気付き、コミュニケーションの増加のために食堂内での携帯電話の使用を禁止した[39]。
- 選手とコーチの間、あるいはアシスタントコーチとヘッドコーチの間などで、率直な話し合いに基づいて議論を重ね、一貫性のあるコーチングを行うことを重視する考えの持ち主。ジョーンズは「日本では、会議の後に、裏の会議がもう一つ開かれると聞いた時代もあった。向き合って、正直に話し合うべきだ」とこのことに就いて言葉を残している[40]。
- 「チームにとって特別な存在であり、他の選手にはできないパフォーマンスをする選手であれば、その選手には特別な措置をすべきだ」と考えている。実際、アンドリュー・ウォーカーというブランビーズの選手に対しては「家族を置いて、長期遠征には行けない」といウォーカーの希望を飲んで遠征に妻を帯同させることを許し、他にも通常は遠征中ジャンクフードの摂取が認められない中でマクドナルドでの食事を認めた。2014年10月にオーストラリア代表のカートリー・ビールがチームスタッフへ暴言を吐いた問題に関しては「彼はアボリジニだが、所属先のワラタスでは、何の問題もなく過ごしていた。ヘッドコーチのマイケル・チェイカが、しっかり面倒をみていたからだ。一方ワラビーズ(オーストラリア代表チームの愛称)では、全くケアをされていなかったのだろう」とビールを擁護する立場をとった。山田章仁がアメリカンフットボールとラグビーの「二刀流」を行えたのも、ジョーンズの理解と考えによるという[41]。
- プロコーチは1年で勝てなければ次の契約はないという、ある意味では自分に厳しい考えを持つ[42]。
- 学生ラグビーで、試合前にロッカールームで大泣きしたり、試合中に「気持ち!気持ち!」という掛け声を上げたりして気持ちを高ぶらせることに関しては「ナンセンス。その"気持ち"なるものが試合でどのぐらい保てるか。5分か10分程度だろう」と切り捨てている。ジョーンズ曰く、精神状態の一貫性を保つには、ゲームですべきこと明確にしておく必要もあるという[43]。
メディア
テレビ
書籍
- 柴谷晋『ラグビー日本代表監督エディー・ジョーンズの言葉 世界で勝つための思想と戦略』(ベースボール・マガジン社、2015年5月16日) - (ISBN 9784583108155)
- 生島淳『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』 (Sports Graphic Number Books) (文芸春秋、2015年8月27日) - (ISBN 9784163903231)
- 『ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング』(講談社+α文庫、2018年2月22日) - (ISBN 9784062817417)
- 『ラグビー元日本代表ヘッドコーチとゴールドマン・サックス社長が教える 勝つための準備』(講談社、2017年11月30日)共著:持田昌典 - (ISBN 9784062206266)
CM
- 富士ゼロックス(業務用複写機 2017年)
脚注
- ^ a b “東京サントリーサンゴリアス スタッフ一覧”. サントリー サンゴリアス. 2022年12月10日閲覧。
- ^ “Goldman Sachs Japan - 日本における概要” (英語). Goldman Sachs. 2022年12月6日閲覧。
- ^ http://www.suntory.co.jp/culture-sports/sungoliath/spirits/0606-20.html
- ^ “後任候補に清宮氏浮上 日本代表エディーHCがW杯後の退任発表”. スポーツニッポン. (2015年8月26日)2015年9月21日閲覧。
- ^ “広島ゆかりの名伯楽|中国新聞アルファ”. 中国新聞. (2015年9月26日)
- ^ Brown, Oliver (2016年1月29日). “The Making of Eddie Jones”. The Daily Telegraph 2019年10月28日閲覧。
- ^ “日本、強豪南ア破る ラグビーW杯、24年ぶり勝利”. 中日新聞. (2015年9月21日)
- ^ a b 名将エディー、ストーマーズHC就任正式決定ラグビーリパブリック、2015年9月22日
- ^ 日本代表 エディー・ジョーンズヘッドコーチ ラグビーワールドカップ2015終了後 ヘッドコーチ退任決定のお知らせ2015年8月25日
- ^ スポーツ報知 2014年6月23日
- ^ エディー革命 パスラグビーと無限スタミナで大金星日刊スポーツ 2015年9月21日
- ^ エディーHC、“ペップ”バイエルンのパスサッカーに学ぶsanspo 2014年12月9日
- ^ ペップ監督がエディージャパンに助言か…ラグビーW杯での勝利を後押しsoccerking 2014年12月9日
- ^ 南アの勝利「確定的」…日本勝利のオッズは「34倍」sanspo 2015年9月19日
- ^ 日本代表 ラスト勝負のワケ エディーHC「引き分け選ばなかった主将称えたい」スポニチ 2015年9月21日
- ^ 「南ア撃破は必然」 コメントで読む日本ラグビー快進撃 日本経済新聞 2015年10月15日
- ^ ベースボールマガジン社『ラグビー 戦後70年史』p9
- ^ ラグビー日本代表に激震! ジョーンズHC、W杯終了後に退任決定。「私は新しいチャレンジをする」Yahoo News, 2015年8月25日
- ^ ジョーンズHC来期は南アのストーマーズ指揮
- ^ “エディー・ジョーンズ氏、イングランド代表指揮官に就任へ”. www.afpbb.com. 2022年12月7日閲覧。
- ^ http://www.bbc.com/sport/rugby-union/34864504
- ^ i018fe (2021年2月22日). “シックスネーションズ2021 日程・結果ハイライト 順位表 |”. rugbyspreads.com. 2022年12月10日閲覧。
- ^ “エディー解任騒動に“血の契約”を結ぶ選手が反論? 欧州の名将たちが試行錯誤する2023年W杯へのピーキングとは(竹鼻智)”. Number Web - ナンバー. 2022年12月10日閲覧。
- ^ a b c “名将エディー・ジョーンズが電撃解任…ラグビーW杯まで9カ月なのになぜ? 協会による“冷酷な聞き取り調査”と“観衆8万人のブーイング”(竹鼻智)”. Number Web - ナンバー. 2022年12月10日閲覧。
- ^ “シックスネーションズ チーム順位 2022年”. rugbydb.tokyo. 2022年12月10日閲覧。
- ^ a b c “稀代の名将エディー・ジョーンズ、イングランドラグビー協会の冷徹な判断により解任。公式発表 - ラグビーリパブリック” (2022年12月6日). 2022年12月7日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/englandrugby/status/1600101498003890177”. Twitter. 2022年12月7日閲覧。
- ^ “名将エディー・ジョーンズがサントリーに“復帰” ディレクターオブラグビー就任 - ラグビーリパブリック” (2019年11月14日). 2022年12月10日閲覧。
- ^ 柴谷晋(2015)、p14-17
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- ^ 柴谷晋(2015)、p110-115
- ^ 柴谷晋(2015)、p128-131
- ^ 柴谷晋(2015)、p144-147
- ^ 日本は、日本の道を行け
- ^ 常識を覆せ! ~ラグビー日本代表 名将エディー・ジョーンズ~
外部リンク
- エディー・ジョーンズ:ラグビー日本代表 Jsports
- ラグビーワールドカップ2015日本代表 エディー・ジョーンズ
ラグビーユニオン | ||
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先代 (ロッド・マックイーン) | ラグビーオーストラリア代表ヘッドコーチ 2001-2005 | 次代 (ジョン・コノリー) |
先代 ジョン・カーワン | ラグビー日本代表ヘッドコーチ 2012-2015 | 次代 ジェイミー・ジョセフ |
先代 (スチュアート・ランカスター) | ラグビーイングランド代表ヘッドコーチ 2015-2022 | 次代 スティーブ・ボーズウィック |