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ハーバード大学

ハーバード大学英語: Harvard University)は、マサチューセッツ州ボストン近郊のケンブリッジ本部を置くアメリカ合衆国私立大学

ハーバード大学
Harvard University
ラテン語: Universitas Harvardiana
モットー Veritas
モットー (英語) Truth
種別 私立研究大学
設立年 1636年 (1636)
資金 約370億ドル
学長 (ローレンス・バコウ)(2018-)
教員数
2,400人
学生総数 22,000人
学部生 6,700人
大学院生 15,200人
所在地  アメリカ合衆国
マサチューセッツ州ケンブリッジ
キャンパス 都市型
210エーカー (85 ha) (Main campus)
21エーカー (8.5 ha) (Medical campus)
360エーカー (150 ha) (Allston campus)
4,500エーカー (1,800 ha) (other holdings)
学生新聞 The Harvard Crimson
スクールカラー   クリムゾン
運動競技 NCAA Division I – アイビー・リーグ
スポーツ 42チーム
ニックネーム Harvard Crimson
NAICU
AICUM
AAU
URA
公式サイト Harvard.edu
(テンプレートを表示)

アイビー・リーグの中でも特に伝統のあるビッグスリーの1つで、イギリス植民地時代1636年に設置されたアメリカ最古の大学である。各種の大学ランキングでは常に最上位に位置する名門校で、政財界から学術分野まで幅広い分野で指導的な人材を輩出し続けている。2018年時点で8人のアメリカ合衆国大統領[1]、48人のノーベル賞受賞者・14人のチューリング賞受賞者・48人のピューリッツァー賞受賞者が出ているほか、32人の元留学生が母国で国家元首となっている[2]

卒業生や企業からの巨額の寄付と巧みな投資戦略によって極めて富裕なことでも知られ、米国で財政状態の指標とされる大学基金[3]額は、2018会計年度では全米の大学で最大の370億ドル超にのぼる[4]。また2017年に億万長者(資産10億ドル)となった卒業生の数188人も、全米の大学で最多である[5]

歴史

 
創立者ジョン・ハーバード像として設置されている彫像。「3つの嘘の像[注 1]」の呼び名がある。足に触れると幸運が訪れるという言い伝えがあるため、左の足先がすり減っている。ダニエル・チェスター・フレンチ(1850-1931)作。

ハーバード大学はアメリカ最古の高等教育機関であるが、大学がいつの時点で発足したのかは明確になっていない。イギリス植民地時代の1636年9月18日に招集されたマサチューセッツ湾植民地の議会で「学校またはカレッジ」新設のために資金を支出することが議決されたため[6]、これが創立年とみなされている。

1639年、清教徒派の牧師ジョン・ハーバードが遺贈した財産と蔵書をもとにカレッジとしての活動が本格的に稼働し始め、同時に「ハーバード・カレッジ Harvard College」という名称が用いられるようになった[7]

自身も卒業生の数学者チャールズ・W・エリオットは1869年から1909年まで約40年にわたって学長をつとめ、多くの大胆な改革を行ってハーバード・カレッジの研究・教育機関としての位置を大きく引き上げた[8]

1782年の医学部設立とともにカレッジからユニバーシティ (University) となる[9]。1817年にはハーバード・ロー・スクールが設立された[10]

2018年時点の教員数:約2400人[2]、学部生:約6700人[2]、大学院生:約15,000人[2]

キャンパス

大学の中核キャンパスは、ボストン近郊ケンブリッジのハーバードヤードにある。3キロほど離れた場所にキャンパスがあるマサチューセッツ工科大学を筆頭に周辺には60を超える大学があり、国内有数の学園都市を形成している。

ハーバードヤードには、大学事務や1年次の学生が住む寮のほか、学生戦死者を祈念して作られたメモリアル教会タイタニック号沈没で息子を失った(ワイドナー夫妻)によって設立されたワイドナー記念図書館、ロマネスク様式建築のセバーホールなどの建築物がある。

ヤード周辺には、南北戦争の戦死者を祈念して作られたメモリアルホール、科学教育施設であるサイエンスセンター、デザイン学関係のガントセンターなどがある。

また、西洋美術のフォッグ美術館、東洋美術のサックラー美術館、ガラス製植物標本で有名な自然史博物館など、常設公開施設もあり、多くの観光者が訪れる場所となっている。

オールドヤード

 
オールドヤード

ハーバードホール(1766年)、マサチューセッツホール(1720年)、ホールデンチャペルのある付近がハーバード大学の一番古い部分であり、オールドヤードと呼ばれる。ユニバーシティーホール(1815年、ワシントンDCアメリカ合衆国連邦議会議事堂と同じ(チャールズ・ブルフィンチ)(英語版)設計)の裏側のメモリアル教会、ワイドナー図書館がある部分は、6月に卒業式が行われる広場でターセンテナリー劇場という。[注 2]

ワッズワースハウス

ワッズワースハウス[en 1]は1726年建築で、19世紀半ばまで学長の住居だった。独立戦争時にジョージ・ワシントンが司令部を置いたことで知られる。

メモリアルホール

南北戦争の戦死者を祈念して作られたゴシック風建築。内部は、サンダース劇場と呼ばれるコンサートホールになっている。毎年9月末恒例のイグノーベル賞(ノーベル賞のパロディー賞)の授賞式はここで行われる。下部は、ロッカーコモンズと言われ、学生食堂、溜まり場になっている。

 
フォッグ美術館

フォッグ美術館

ハーバード大学最古の美術館。西洋美術、印象派やピカソの作品が有名。連結した(ブッシュ・ライジンガー美術館)(英語版)は、北欧美術。

アーサー・M・サックラー美術館

東洋美術、イスラム美術など非西洋美術が中心。東洋美術、イスラム美術や写本など非西洋美術が中心。

自然史博物館

ハーバード大学の教授であった博物学者ルイ・アガシーの理想である『Study Nature, not books(書籍でなく自然から学べ)』を実現した博物館。鉱物学地質学博物館、比較動物学博物館、有名なガラス製植物標本があるハーバード大学標本館・植物博物館からなっている。ピーボディー考古学・民族学博物館と物理的に接続している。ルイ・アガシーは、大森貝塚を発見したエドワード・S・モースと師弟関係にある。

 
サックラー美術館

ホリオキセンター

ホリオキセンター[en 2]はハーバード大学の運営事務棟。一階には、ハーバード大学の案内所などがある。学生によるハーバード大学ツアーの開始点。

そのほか

ザ・コープ(: The Coop)ハーバード大学生協であるが、マサチューセッツ工科大学にもある。ハーバードスクエアには、書籍を扱う店とハーバードグッズを扱う店[11]の2店がある。

ハーバード大学に入学した学生は、1年次をハーバードヤードとその周辺にある寮で過ごすが、2年次から4年次卒業までは、「ハウス House」と呼ばれるシステムに属し、大部分の学生がハウスに寄宿する全寮制となっている。ハーバード大学のハウスは、ハーバードヤードからチャールズ川の間を中心に12個ある。それぞれのハウスには、専攻、学年、人種の違う学生が400人ほど集まり、専任の教員がいて指導が行われ、同窓会組織も強い。日本皇后雅子がハーバード在学中に寄宿したローウェルハウスなど、外観が優美な建築物も多い。

校風

清教徒会衆派の指導者育成校として設立され、現在でも神学校(ディビニティー・スクール)があり、卒業式にはプロテスタント関係者が参加するなどの関係がある。また、キャンパス内にあるメモリアル教会でも宗教関連の行事が開かれる。設立当初の目的は「社会と教会の指導者を育成する」となっており、教育標語はヨハネ福音書17章3節から取った「神とその子キリストを知る」だった。

ハーバード大学の校風はリベラルであると言われ、社会的少数者の受け入れにも積極的である。アメリカ合衆国の政権でいえば、前学長がクリントン政権にいたことからわかるように民主党と関わりが深いと言われているが、ハーバード・ビジネス・スクール出身のジョージ・W・ブッシュ元共和党大統領やヘンリー・キッシンジャーのように共和党政権の主要人物が教鞭をとっていたこともある。

マサチューセッツ州のアマースト大学ウィリアムズ大学、コネチカット州のウェズリアン大学、ペンシルベニア州スワースモア大学といった名門リベラルアーツ・カレッジを卒業して、ハーバード大学の大学院に入学する学生も少なくない。大学院の教育は、専門職大学院を始めとして、その質の高さから世界の教育機関の規範となっている。ただ、(GSAS)など、他の大学に比べて放任教育の傾向があるといわれる。

ハーバード大学基金

アメリカの大学は、一般的に学生の払う学費と富裕層からの寄付金、そして、その運用益などで大学を運営している。

ハーバード大学は、ハーバード大学独自の大学基金を持ち、2020年6月現在、その基金残高は約4兆4000億円 (419億ドル)ほどである。これは全米でトップの規模を誇り、その次を、イェール大学など他の有名大学が追う展開となっている。ハーバード大学はその大学基金を厳格に管理し、一年間に基金から取り崩せる金額を最大で基金残高の5%程度までと制限している。そして、ハーバード大学の運営予算の35%をその大学基金が支えている。[12]

また、ハーバード大学は大学の教育機関でありながら資産運用にも積極的で、その資産運用の業務を「ハーバード・マネジメント・カンパニー」が担っている。その運用責任者には投資において高度な専門知識と経験をもつプロの人材を雇い、完全実力主義でその大学基金の運用業務を任せていく。もし運用責任者が高い運用成績を残せなければ、ハーバード大学はその責任者を容赦なく解雇していき、そして、別の新たなプロの人材を雇って運用業務を任せていく。このようなシビアなことはハーバード大学に限らず、他の大学にも普通に見られ、アメリカの各大学は、教育・研究と同様に、自分たちの大学基金の運用成績を互いに競い合っているのが現状である。そこには、アメリカの大手金融機関ヘッジファンドも絡むので、マーケットの世界ではアメリカの大学の動向はニューストピックスにもよく取り上げられる。

2020年のハーバード大学基金の投資運用先は、上場株式…18.9%、プライベートエクイティ(未上場株式)…23.0%、ヘッジファンド…36.4%、不動産…7.1%、資源…2.6%、債券…5.1%、その他不動産…1.3%、現金…5.6%、と多岐にわたる。そして、2020年に実現したハーバード大学基金の運用利回りは、上場株式…12.2%、プライベートエクイティ(未上場株式)…11.6%、ヘッジファンド…7.9%、不動産…▲0.5%、資源…▲6.2%、債券…8.2%、その他不動産…▲17.5%、利回りの合計…7.3%であった。このようにハーバード大学は、幅広く分散投資をしてリスクを抑え、全体で高い利回り、リターンを狙っていくという投資スタンスを基本戦略としている。[13]

教育内容

College/school 設立年度
Harvard College 1636年
Medicine 1782年
Divinity 1816年
Law 1817年
Dental Medicine 1867年
Arts and Sciences 1872年
Business 1908年
Extension 1910年
Design 1914年
Education 1920年
Public Health 1922年
Government 1936年
Engineering and Applied Sciences 2007年

大学

ハーバード・カレッジ。Faculty of Arts and Sciences(ファカルティ・オブ・アーツ・アンド・サイエンシーズ)というリベラルアーツ学部によって運営されている。

ハーバード大学の学生の専攻(concentration)は、他の大学のようにmajor(メイジャー)とは呼ばず、concentration(コンセントレイション)と呼ばれる。その他、他の大学とは学期試験(2セメスター制)の時期が異なるなど、ハーバード大学独自の方式や伝統が見られる。同じケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学MIT)とは、単位交換などができる姉妹校として基本的に協同的な運営が行われている。近年、MITとハーバード大学の共同事業として(ブロード研究所)が設立されるなど関係が深まる一方、工学系が弱かったハーバード大学でも工学系学科の充実が行われつつある。

41専攻(アフリカ・アフリカンアメリカン研究、人類学、応用数学、生化学、生物学、化学、化学物理、古典、コンピューター科学、地球惑星科学、東アジア研究、経済学、工学、英米文学と言語、環境科学と公共政策、伝承と神話学、政治学、歴史学、文学史、科学史、芸術史、言語学、文学、数学、音楽学、中東言語文化、哲学、物理学、心理学、宗教比較、ロマンス語と文学、サンスクリット・インド研究、スラブ語と文学、社会科学、社会学、特別専攻、統計学、視覚環境学、女性・性に関する研究)。

 
メモリアル・ホール

大学院

 
ハーバード・メディカル・スクール

大学院は、学術系大学院のGSASなどのほか、ビジネス・スクール(HBS、経営学大学院)、(ハーバード・エクステンション・スクール)(英語版)ハーバード・ロー・スクール(HLS、法科大学院)、ケネディ・スクール(HKS、行政・政治学大学院)、ハーバード大学医学大学院(医学)など12の専門職大学院とラドクリフ研究所で構成している。ロースクールはハーバードヤード北側、ケネディスクールはヤードから少し離れた場所にある。ビジネススクールはチャールズ川をはさんだオールストン(ボストン)キャンパスに、メディカルスクールは距離的に離れたロングウッド(ボストン)キャンパスにある。これらの大学院は全米で常にトップクラスにランキングされている。

  • ハーバード・メディカルスクール(1782年創設)— このメディカルスクールは、マサチューセッツ総合病院の運営を行っている他、いくつかの病院と提携をしている。世界最先端の医療研究も行われている。
  • (ハーバード神学校)(英語版)(1816年創設)
  • ハーバード・ロー・スクール(1817年創設)
  • ハーバード・デンタルスクール(1867年創設)
  • (ハーバード大学文理大学院)(英語版)(1872年創設) — GSASは、ファカルティ・オブ・アーツ・アンド・サイエンシーズ[en 3]の大学院で、大学院生数は最多。人文科学・社会科学・自然科学・工学・生命科学を含む学術大学院。主に博士号であるPhDの学位を授与するが、少数ながら修士号であるAM[en 4]、SM[en 5]、ME[en 6]、MFS[en 7]を授与するプログラムも存在する。現在GSASで提供されている学位プログラムは数学、物理学、天文学、化学物理学、化学と化学生物学、化学生物学、応用数学、応用物理学、コンピュータ科学、工学/応用科学、建築/ランドスケープ/都市計画、生物医学、免疫学、分子細胞生物学、神経科学、生物進化学、ウイルス学、生物物理学、生物統計学、システム生物学、人間進化生物学、歯科医学における生物科学、公衆衛生における生物科学、統合生命科学、地球/惑星科学、経済学、ビジネス経済学、経営学、人類学、森林学、心理学、アフリカ・アフリカンアメリカン研究、ケルト語/ケルト文学、古典、比較文学、東アジア学、英語、映画/視覚学、ドイツ語/ドイツ文学、行政学、健康政策、歴史学、アメリカ文明化の歴史、芸術と建築の歴史、科学史、内陸アジア/アルタイ研究、言語学、医療科学、中東研究、音楽、近中東言語と文明化、組織行動、哲学、政治経済と行政、公共政策、地域研究(ロシア/東ヨーロッパ/中央アジア)、宗教、ローマ語/ローマ文学、サンスクリット/インド/チベット/ヒマラヤ研究、科学/技術/経営、スラブ語/スラブ文学、社会政策、社会学、南アジア研究、ビザンチン/中世研究、統計学である。[14]
  • ハーバード・ビジネス・スクール(1908年創設)
  • ハーバード・エクステンション・スクール(1910年創設)
  • ハーバード・デザインスクール(1914年創設)
  • (ハーバード教育学大学院)(1920年創設)
  • ハーバード公衆衛生大学院 - (武見国際保健プログラム)が設置されている。(1922年創設)
  • ハーバード・ケネディスクール(1936年創設)
  • (ハーバード・工学/応用科学スクール)(2007年創設)ハーバードで最も新しいスクール。他のアイビー・リーグの大学同様、歴史的にハーバードでは工学や応用科学の研究が手薄であった。しかし、これらの分野の重要性の高まりを受け、スクールとして独立することで近年拡大を続けている。
  • (ラドクリフ研究所):1879年創立のラドクリフ・カレッジは、ハーバード大学と提携した女子大学であったが、1999年に完全に吸収されラドクリフ研究所となった。ヘレン・ケラーが卒業したことで知られる(1904年)。

図書館

 
ワイドナー記念図書館

(ハーバード大学図書館)(英語版)は1638年に創設され、アメリカで最も歴史がある図書館になっている[15]。 図書館システムは1530万冊の蔵書を持ち、学術図書館として世界最大級の規模を誇る[15]。この規模は、米国議会図書館に次いで全米2位の蔵書数であり、世界では米国議会図書館、大英図書館フランス国立図書館に次いで4位となっている。

図書館システムの中心にあるのは、ワイドナー記念図書館であり[15]、その他、90個あまりの図書館を有する。例えば、多数の日本語書籍を所蔵するイェンチン図書館やカウントウェイ医学図書館などがある。

主要世界大学ランキング

TIMES HIGHER世界大学ランキング(2018年)[16]
分類 順位
総合 第6位
社会科学 第2位
芸術人文学 第3位
生命科学 第1位
医学保健 第2位
自然科学 第2位
工学 第11位
法学 第9位
経済学 第6位
コンピュータ科学 第11位
心理学 第4位
教育学 第2位
QS世界大学ランキング(2017年)[17]
分類 順位
総合 第3位
分野別
芸術・人文科学 第3位
社会科学・経営学 第1位
経済学 第2位
生命科学・医学 第1位
自然科学 第2位
数学 第2位
工学・技術 第13位
ARWU世界大学学術ランキング(2017年)[18]
分類 順位
総合 第1位
分野別
自然科学 第1位
生命科学 第1位
医学 第1位
工学 第37位
社会科学 第1位
学問別
数学 第3位
物理学 第3位
化学 第2位
コンピュータ科学 第4位
経済学 第1位
US News世界大学ランキング(2018年)[19]
分類 順位
総合 第1位
分野別
社会科学・公衆衛生 第1位
経済学・ビジネス 第1位
教育学 第1位
生物学生化学 第1位
分子生物学遺伝学 第1位
免疫学 第1位
細菌学 第1位
微生物学 第1位
神経科学行動学 第1位
植物学動物学 第8位
環境生態学 第2位
臨床医学 第1位
精神医学心理学 第1位
薬学毒物学 第1位
農学 第12位
化学 第7位
材料科学 第8位
物理学 第3位
宇宙科学 第2位
地球科学 第4位
数学 第8位
コンピュータ科学 第2位
工学 第41位

特筆すべき関係者

エピソード

 
ホリオキセンター(大学事務棟)

ハーバードと地理学

アメリカ合衆国最高の教育水準を保つハーバード大学であるが、地理学に関しては1956年以降地理学者がいない状態が続いている[20]。ハーバード大学は、かつて地形輪廻を提唱したウィリアム・モーリス・ディヴィス環境決定論で知られるエルズワース・ハンティントン人文地理現象を自然との関係で捉えようとしたイザイア・ボウマンなどの地理学者を輩出してきた[20]が、1948年2月に財政難を理由に地質・地理学科の地理学部門の閉鎖が決まった[20]。実際には地理学者(エドワード・アッカーマン)(英語版)の準教授への昇任をめぐる駆け引きがきっかけとされ、学内からはエドワード・アルマン、学外からはリチャード・ハーツホーンカール・O・サウアーが地理学部門を守るために尽力したが、結局廃止に追い込まれた[20]

杉浦芳夫は、『二〇世紀の地理学者』の中で卒業生のイザイア・ボウマンが時のハーバード大学総長ジェームス・コナントに存続を働きかけていたら、状況は変わっていたかもしれないと述べている[20]。しかしボウマンは、同じ政治地理学分野で考えの合わなかったダウエント・ホイットルセーがハーバード大学で教鞭を執っていたこともあってか、コナントに働きかけをすることをしなかった[20]。閉鎖にともなってアッカーマンはシカゴ大学へ、アルマンはワシントン大学へ移籍し、最後まで残ったホイットルセーは、1956年に急死し、ハーバード大学の地理学は終焉を迎えた[20]

そのほかのエピソード

  • 特にイェール大学とのライバル関係で知られている[21][]。アイビー・リーグのフットボールの試合の最終戦は伝統的にハーバード対イェールであり、"The Game"と呼ばれる一大イベントとなっている[22][]
  • ハーバード大学、イェール大学プリンストン大学は、この3大学の関係者内で「ビッグ・スリーBig Three」または各校の頭文字をとってHYPと呼ばれている。

学生生活・課外活動

 
キャンパス俯瞰

学生寮

上級生向けに12の学生寮(ハウス)がある。三月上旬に行われるハウジング・デイ(Housing Day)で 二年生からどこの寮で暮らすのかが知らされ、夏休み明け直前に一斉に引越しをする。二年生以上も、一年おきに部屋が変わる。それぞれの寮に教授が住んでおり、教授宅でのパーティを始めとしたイベントは多岐に渡る。

12寮それぞれがマスコットキャラクター・旗・色を持っており、3月頭に行われるHousing Dayではそれぞれの寮をモチーフにしたビデオを撮影・公開したり、オリジナルのユニフォームを作ったり、着ぐるみを着たりと様々な個性・工夫が凝らされキャンパスは賑わいを見せる。

またダドリー・ハウスはハーバード13番目のハウスとして、大学院生を組織化している。ハーバード大学が、不動産部門、アパートを持っており、大学院生のための住居を斡旋している。コナントホールなどの大学院生専用居住施設もある。

スポーツ

  • ハーバード大学のスポーツチームは、スクールカラーから「クリムゾン」と呼ばれている。
  • ザ・ゲーム(The Game): 毎秋恒例のイェール大学とのフットボール交流戦。ハーバード大学で行われる場合は、オールストン(ボストン)側にあるハーバードスタジアムが会場。
  • アイスホッケーはハーバード大学が全米大学体育協会(NCAA)の全米選手権チャンピオンになった初めてのスポーツであり、1989年に優勝している。フローズン・フォー(全米ベスト4)にも13回もの進出を果たしており、ハーバード大学の中で最も成功しているチームの一つ。長年のライバルはコーネル大学であり、全米でも有名なカレッジアイスホッケーのライバル関係である。
  • その他、約40個のスポーツチームがある。

その他

  • WHRB: 学生により運営されているFM局(95.3MHz)
  • ローブ・ドラマ・センター[en 8]:現代劇上演劇場。
  • ヘイスティ・プディング・シアトリカルズ[en 9]マン・オブ・ジ・イアー[en 10]ウーマン・オブ・ジ・イアー[en 11]という男優、女優を選定する。
  • M2: ハーバード大学ケンブリッジキャンパス、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学メディカルキャンパス(ロングウッド地区)の3キャンパスを結ぶシャトルバス。ハーバード大学の学生は無料で利用できる。
  • (ハーバード・クリムゾン)(英語版): ハーバード大学日刊の学生新聞。
  • (ハーバード・ガゼット)[23]: ハーバード大学の広報新聞。
  • (ハーバード・ランプーン)(英語版): 全米最古の風刺雑誌。

ストリーキングの行事

期末試験の最終日前夜、ハーバード大学では、学部生たちによる「産声(Primal Scream)」といわれるストリーキングが行われる。学生はを問わず衣服を脱ぎ、ハーバードヤードを2周する。中にはパンティーを着用する人もいた。2学期制のハーバード大学では、この行事が年2回開催されるわけだが、その1回は極寒を誇るニューイングランド地方の冬に行われることになる。参加者の中にはケープマスクを身につけるものもいるが、性器は丸出しのままである。ストリーキングが行われる周辺は見物者で埋め尽くされ、開始前には楽隊の演奏が群集を盛り上げる。2018年現在も行われている。[24]

不祥事

  • (サマーズ発言と不信任決議):2005年1月、サマーズ学長が、「科学や工学の分野で秀でた業績を残した女性が少ないのは、男女間に生まれつきの素質の差があるからだ」という趣旨の発言をし、世界中に配信された。これをきっかけに、ハーバードカレッジの教員会が、サマーズ学長を不信任とする決議を採択している。2006年2月21日、同年6月に学長を辞任することを発表した。
  • 2012年5月、リベラルアーツ学部で行われた政治学の試験でカンニングが発生。後日、学年の約半数にあたる125名が退学停学、仮進級といった処分を受けた。この試験は、出題された課題を自宅で答案(レポート)としてまとめて提出するもので、インターネット等の資料の閲覧が認められるものの、丸写しや他の学生との相談による作成は認められていない。しかし多数の学生の回答ぶりが酷似していたことから、大学側が調査を開始。一部の学生側からは、特定の学生のノートをコピーして資料として使用したもので、答案作成そのものを相談して作成した訳ではないとの弁明が出されたが、学校側は大量処分に踏み切った[25]

日本との関係

著名人

ハーバード大学関係の日本人会

同志社大学

ハーバードの授業(夏期集中講義)を、同志社大学のキャンパス・施設において実施している。アメリカから大学の教員・大学生が来日し、講義はすべて英語で行われる。同志社大学の学生もスタディーパートナーとして、講義とフィールドトリップに参加することができるが、交流目的の参加であり、単位は付与されない。

フィクションに登場したハーバード大学

  • 小説 『響きと怒り』(W.フォークナー)は代々ハーバード大学に通う名門一族の子弟が主人公。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 銘版には、「John Harvard Founder 1638」と書かれているが、ジョン・ハーバードは、ハーバード大学創設者ではなく、寄贈者である。ハーバードカレッジの創設は、1638年ではなく1636年。モデルが、1884年作製当時の学生
  2. ^ ここには、ボストンのトリニティー教会設計のリチャードソンがデザインしたロマネスク様式建築セバーホール、イタリアルネサンス様式のボイルストンホールなどがある。ハーバード大学の建物のほとんどすべてに固有名詞が入っており、同じケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学が、建物を番号で呼んでいるのとは対照的である。毎学期の終わり、試験週の始まる前日には、このハーバードヤードで「プライマルスクリーム」と呼ばれる、全裸で学生たちが走り回る伝統が行われる。
英語
  1. ^ : Wadsworth House
  2. ^ : Holyoke center
  3. ^ : Faculty of Arts and Sciences
  4. ^ : Master of Arts
  5. ^ : Master of Science
  6. ^ : Master of Engineering
  7. ^ : Master of Forest Science
  8. ^ : Loeb Drama Center
  9. ^ : Hasty Pudding Theatricals
  10. ^ : Man of the Year
  11. ^ : Woman of the Year

出典

  1. ^ “Heads of State” (英語). Harvard University. 2019年2月11日閲覧。
  2. ^ a b c d “Quick Facts” (英語). Harvard University. 2019年2月11日閲覧。
  3. ^ : endowment
  4. ^ “10 Universities With the Biggest Endowments”. US News. 2019年2月9日閲覧。
  5. ^ Elkins, Kathleen (2018年5月18日). “The universities that produce the most billionaires”. www.cnbc.com. 2019年2月11日閲覧。
  6. ^ Quincy, Josiah (1860). History of Harvard University. 117 Washington Street, Boston: Crosby, Nichols, Lee and Co. , p. 586
  7. ^ Dinger, Ed. "Harvard University." International Directory of Company Histories. Ed. Derek Jacques and Paula Kepos. Vol. 125. Detroit, MI: St. James Press, 2011. 190­193. Business Insights: Essentials. Web. 11 Feb. 2019
  8. ^ Kahn, E. J., Jr. Harvard: Through Change and through Storm. New York: Norton, 1969.; Maddocks, Melvin. “Harvard Was Once, Unimaginably, Small and Humble.” Smithsonian, September 1986, 140.
  9. ^ "Harvard University." Britannica Concise Encyclopedia, Encyclopaedia Britannica, Britannica Digital Learning, 2017.; Bailyn, Bernard, et al. Glimpses of the Harvard Past. Cambridge, MA: Harvard University Press, 1986.; Blumenfeld, Sam. “How Harvard Became Liberal.” Practical Homeschooling, July—August 2004.
  10. ^ School, Harvard Law. “History of Harvard Law School” (英語). Harvard Law School. 2019年2月11日閲覧。
  11. ^ Palmer & Brattle St
  12. ^ “ハーバード大にも金融危機の余波、大学基金が80億ドル減少 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News”. www.afpbb.com. 2022年1月16日閲覧。
  13. ^ “米ハーバード大学に学べ! 長期に複利運用を続けると起こるスゴイこと【投資の基本を知る その3】(小田切尚登)”. J-CAST 会社ウォッチ (2020年11月12日). 2022年1月16日閲覧。
  14. ^ http://www.gsas.harvard.edu/programs_of_study/degree_programs.php
  15. ^ a b c スチュアート・A・P・マレー『図説 図書館の歴史』山田和子、渡辺周、原書房。ISBN (9784562047444)。(全国書誌番号):(22036827)。 
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  25. ^ . SANKEI EXPRESS (産業経済新聞社). (2013年2月4日). オリジナルの2013年3月22日時点におけるアーカイブ。. 2013年2月4日閲覧。  2013-03-22 at the Wayback Machine.
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関連文献

  • .Bethell, John T., Harvard observed : an illustrated history of the university in the twentieth century, Cambridge, Mass. : Harvard University Press, 1998.
  • Bradley, Richard, Harvard rules : the struggle for the soul of the world's most powerful university, New York, NY : HarperCollinsPublishers, c2005.
  • Bunting, Bainbridge, Harvard : an architectural history, Cambridge, Mass. : Belknap Press of Harvard University Press, 1985.
  • Wagner, Charles A., Harvard; four centuries and freedoms, New York, Dutton, 1950.
  • 菅野恵理子『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる : 21世紀の教養を創るアメリカのリベラル・アーツ教育』アルテスパブリッシング、201
  • 古村治彦『ハーヴァード大学の秘密』PHP研究所、2014

関連項目

外部リンク

  • Harvard University(英語)
  • Harvard Graduate School of Design (GSD)(英語)
  • Harvard School of Public Health (HSPH)(英語)
  • Harvard Graduate School of Education (HGSE)(英語)
  • Harvard Divinity School (HDS)(英語)
  • Lowell House(英語)
  • Yenching Library(英語)
  • Harvard Club of Japan[]
  • ライシャワー日本研究所 (RIJS)[]

座標: 北緯42度22分28秒 西経71度7分1秒 / 北緯42.37444度 西経71.11694度 / 42.37444; -71.11694

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