この記事は(検証可能)な(参考文献や出典)が全く示されていないか、不十分です。(2017年12月) |
紙の寸法(かみのすんぽう)では、紙の工業規格について記述する。サイズの系統にはA列、B列、四六判、菊判、ハトロン判、AB判などがある。
国際的な紙の寸法の規格
A列、B列、C列はISO 216で画定されている紙の仕上がり寸法の国際標準である。ドイツの工業規格 DIN 476が基になっており、世界各国で使われている。仕上がり寸法とはノートやコピー用紙など、製品に仕上がった紙の寸法である。
A列ならもとの大きさを「A0」、それを長辺で半分にしたものを「A1」、さらにA1を半分にしたものを「A2」という具合に呼びサイズを下げていく際に長辺を半分にすることにより縦横の比率(白銀長方形)が同じ(つまり相似)になるように設計されている。しかし規格寸法は1mm未満の端数が出た段階でその端数値が切り捨てられるため、逆算で単純に短辺を倍にすることによりサイズを上げていくと規格寸法の数値に誤差が生じる。日本では「A1」を「A全」、「A0」を「A倍」と呼ぶことがある。
A列
縦横比は 。数字が1減るに従い面積は2倍・辺長は 倍になる。これらはA列以外でも多くの標準に共通である。
A0の面積は1m2である。つまりメートル (m) で表した縦横の辺長は互いに逆数になっており、 である。
An判の丸めをしたサイズ(長辺)は次の式で得られる。短辺はnを1増やせば得られる。 は床関数である。
短辺×長辺 (mm) | 比 | 用途の例[1] | |
---|---|---|---|
A0 | 841×1189 | 1.414 | |
A1 | 594×841 | ||
A2 | 420×594 | ||
A3 | 297×420 | ||
A4 | 210×297 | 写真集・美術全集 | |
A5 | 148×210 | 学術書・教科書 | |
A6 | 105×148 | 文庫本 | |
A7 | 74×105 | ||
A8 | 52×74 | ||
A9 | 37×52 | ||
A10 | 26×37 |
これらの値には許容値が定められているが、ISOや各国の国家標準で異なる。
特別延長サイズおよび例外延長サイズ
「ISO 5457 製図 - 製図用紙のサイズ及び図面の様式」では、「特に長い用紙が必要な場合」のために、以下のような「特別延長サイズ」および「例外延長サイズ」が定められている。
- 特別延長サイズ
短辺×長辺 (mm) | |
---|---|
A3×3 | 420×891 |
A3×4 | 420×1189 |
A4×3 | 297×630 |
A4×4 | 297×841 |
A4×5 | 297×1051 |
- 例外延長サイズ
短辺×長辺 (mm) | |
---|---|
A0×2 | 1189×1682 |
A0×3 | 1189×2523 |
A1×3 | 841×1783 |
A1×4 | 841×2378 |
A2×3 | 594×1262 |
A2×4 | 594×1682 |
A2×5 | 594×2102 |
A3×5 | 420×1486 |
A3×6 | 420×1783 |
A3×7 | 420×2080 |
A4×6 | 297×1261 |
A4×7 | 297×1471 |
A4×8 | 297×1682 |
A4×9 | 297×1892 |
B列
B0の辺長は である。
B列のサイズは、A列と1つ小さいA列の間を等比分割する。つまり、B0 : A0 : B1 : A1 : … の隣り合う面積比は全て ≒ 1.414、辺長比は ≒ 1.189である。これは、A列内で A0 : A1 : A2 : … の面積比が2、辺長比が となっている思想と一貫している。コピーを取る時などにA4→B4にする倍率とB5→A4にする倍率が同じ1.189倍となる利点を持っている。
Bn判の丸めをしたサイズ(長辺)は次の式で得られる。短辺はnを1増やせば得られる。 は床関数である。
短辺×長辺 (mm) | 比 | 用途の例[1] | |
---|---|---|---|
B0 | 1000×1414 | 1.414 | |
B1 | 707×1000 | ||
B2 | 500×707 | ||
B3 | 353×500 | ||
B4 | 250×353 | 画集・グラフ雑誌 | |
B5 | 176×250 | 週刊誌・一般雑誌 | |
B6 | 125×176 | 単行本 | |
B7 | 88×125 | ||
B8 | 63×88 | ||
B9 | 44×63 | ||
B10 | 31×44 |
なお、一部の国(日本を含む)では、上記の国際規格のB列ではなく、日本を始めとする JIS B列が一般的に使用されている。国際規格のB列とJISのB列は呼称が同じものの寸法が異なるため、混同しないよう注意が必要である。例として、
- JIS B5:182mm × 257mm
- セミ B5: 179mm × 252mm
C列
ISO 269ではC列が標準化されている。C列は、B列 (ISO) とA列の間を等比分割する。つまり、B0 : C0 : A0の隣り合う面積比は ≒ 1.189、辺長比は ≒ 1.091である。
Cn判の丸めをしたサイズ(長辺)は次の式で得られる。短辺はnを1増やせば得られる。 は床関数である。
短辺×長辺 (mm) | 比 | |
---|---|---|
C0 | 917×1297 | 1.414 |
C1 | 648×917 | |
C2 | 458×648 | |
C3 | 324×458 | |
C4 | 229×324 | |
C5 | 162×229 | |
C6 | 114×162 | |
C7 | 81×114 | |
C8 | 57×81 | |
C9 | 40×57 | |
C10 | 28×40 |
C列は主に封筒に使われる。C4サイズ(日本の角形20号と同じ)はA4より一回り大きいため、A4を折らずにそのまま入れられる。A4二つ折りを送るときはC5サイズ(日本の角形6号と同じ)を選ぶ。
RA列およびSRA列
RA列、SRA列は(ISO 217)で画定されている原紙寸法の国際標準である。原紙寸法とは印刷時に紙の端を機械のツメがくわえたり、裁断加工時のトンボに必要な余白を加えたもので、仕上寸法よりひとまわり大きい。RA列、SRA列はそれぞれ同じ番号のA列に対応する。
RA | 短辺×長辺 (mm) | SRA | 短辺×長辺 (mm) |
---|---|---|---|
RA0 | 860 × 1220 | SRA0 | 900 × 1280 |
RA1 | 610 × 860 | SRA1 | 640 × 900 |
RA2 | 430 × 610 | SRA2 | 450 × 640 |
RA3 | 305 × 430 | SRA3 | 320 × 450 |
RA4 | 215 × 305 | SRA4 | 225 × 320 |
各国における独自の紙の寸法の規格
DIN(ドイツ)
ドイツの工業規格 DIN 476は1922年に公表され、後にISOのA列、B列などの基になった規格であるが、DIN 476はA0より上の2A0と4A0が標準化されており、それぞれA0の2倍ないし4倍の寸法となる。
短辺×長辺 (mm) | 比 | |
---|---|---|
4A0 | 1682×2378 | 1.414 |
2A0 | 1189×1682 |
SIS(スウェーデン)
スウェーデンの(SIS) 014711ではISOのA列、B列、C列に加え、D列、E列、F列、G列が標準化されている。D列はB列と1つ大きいA列の間を等比分割し、D0 : B0 : C0 : A0 : D1 : B1 : … の面積比は となる。E列・F列・G列はそれをさらに等比分割して D0 : F0 : B0 : G0 : C0 : E0 : A0 の面積比は 、辺長比は ≒ 1.044となる(A0とD1の間を等比分割する標準はない)。
JIS(日本)
日本のJIS P 0138「紙加工仕上寸法」は1951年に制定された規格で、1929年に商工省が(日本標準規格)第92号として発表した「紙ノ仕上寸法」が元となっている。なお1940年に「紙ノ仕上寸法」は(臨時日本標準規格)第138号としても制定され、JIS P 0138は規格番号にこの数字を引き継いでいる。
A列が「ISO-Aシリーズ」、B列が「JIS-Bシリーズ」として規定されている。A列はISOと全く同じだが、B列はISOと寸法が異なるローカル規格となっており、国際規格とは互換性がない。JIS B列はほとんど日本・中国・台湾の3地域のみで使われている。江戸時代の公用紙である美濃紙をもとに定めた美濃判に由来する。
JIS B0の面積は1.5m2、つまり辺長は である。これは本来のB0より3%大きい。
B列の長辺はA列の対角線に等しく、短辺は1つ小さいA列の対角線に等しい。
ISOのB列、A列の相似比が ≒ 1.189であるのに対し、JIS B列のサイズはA列の ≒ 1.225倍で、A列は一つ小さいJIS B列の ≒ 1.155倍である。
JIS Bn判の丸めをしたサイズ(長辺)は次の式で得られる。短辺はnを1増やせば得られる。 は床関数である。
短辺×長辺 (mm) | 比 | |
---|---|---|
JIS B0 | 1030×1456 | 1.414 |
JIS B1 | 728×1030 | |
JIS B2 | 515×728 | |
JIS B3 | 364×515 | |
JIS B4 | 257×364 | |
JIS B5 | 182×257 | |
JIS B6 | 128×182 | |
JIS B7 | 91×128 | |
JIS B8 | 64×91 | |
JIS B9 | 45×64 | |
JIS B10 | 32×45 |
原紙寸法の規格としては、ISO 217を元に日本独自の寸法を規定したJIS P 0202「紙の原紙寸法」が存在する。以下の5つが定められている。
種類 | 短辺×長辺 (mm) | 比 |
---|---|---|
A列本判 | 625×880 | 1.408 |
B列本判 | 765×1085 | 1.418 |
四六判 | 788×1091 | 1.385 |
菊判 | 636×939 | 1.476 |
(ハトロン判) | 900×1200 | 1.333 |
ANSI(アメリカ合衆国)
アメリカ合衆国のANSI/ASME Y14.1では、伝統的なデファクトスタンダードだったレター(レターサイズ)を基準とした用紙サイズが標準化されている。
A列などと異なり、レターがAとなり、アルファベット順に面積が倍になる。
ANSI A(レター)はA4に似るがやや短く、縦横比は ではない。そのためANSI系列は、面積が倍になるにつれ縦横比が1.294と1.546(=2/1.294)の間で交互に入れ替わる。辺長も 倍にはなっていない。
その他のデファクトスタンダード
数多くのデファクトスタンダードがあるが、プリンターやDTPが多く対応しているものを挙げる。
北米
短辺×長辺 (mm) | 短辺×長辺 (in) | 比 | ANSI | 近いISO | ||
---|---|---|---|---|---|---|
タブロイド レジャー | Tabloid Ledger(LDR) | 279×432 432×279 | 11×17 17×11 | 1.546 | B | A3 |
リーガル | Legal(LGL) | 216×356 | 8½×14 | 1.647 | ||
フォリオ | Folio | 210×330 | 8.27×13 | 1.625 | ||
クォート | Quarto | 229×279 | 9×11 | 1.222 | ||
レター | Letter(LTR) | 216×279 | 8½×11 | 1.294 | A | A4 |
エグゼクティヴ | Executive(EXEC) | 184×267 | 7¼×10½ | 1.448 | ||
ステイトメント ハーフレター | Statement(STMT) Half Letter | 140×216 | 5½×8½ | 1.545 | A5 |
なお、フォリオやエグゼクティヴには複数のサイズがあり、また他の国(チリ、フィリピン、メキシコなど)には別寸法のリーガルもある。このため購入などでサイズを指定する時には、名称でなくインチ数で表した方が無難である(レター・・・8½×11 Eight and a Half by Elevenなど)。
日本
本の判型などに使われる。このほかにも多くのデファクト・スタンダードがある。
菊判・四六判は正確な寸法が定まっておらず、ここに記したのは一例である。AB判はA4の短辺とB5(JIS)の長辺を持つ。B40判・三五判はB5・A5(32取)の80%の幅である。
mm×mm | 比 | 全紙取り | |
---|---|---|---|
(AB判) | 210×257 | 1.225 | AB判16取 |
菊判 | 152×218 | 1.434 | 菊判16取 |
四六判 | 127×188 | 1.480 | 四六判32取 |
B40判 | 103×182 | 1.768 | B判40取 |
(三五判) | 84×148 | 1.768 | A判40取 |
写真
写真の焼付け用紙は、508mm×610mm(20in×24in)の原紙から切り出す場合が多い。したがって四つ切、六つ切など分割数を名称に冠する。英語ではインチ数で表記する。美術におけるカンバスサイズとは異なっている。
近年はフォトプリンターの普及でこれをもとにしたサイズの写真用プリンター用紙がつくられているが、ビジネス用途との互換性からA・B判が用いられることも多い。またA・B判の出力幅を活かしたままで伝統的なカメラ(35mmフィルム・デジタル一眼レフ)の2:3の寸法比率をなるべくトリミング(切り取り)せず出力できるよう、この分野特有のノビ判サイズの用紙も使用されている。
A3ノビは写真プリンター特有の紙型である。
mm×mm | in×in | 比 | |
---|---|---|---|
大全紙 | 508×610 | 20×24 | 6:5(1.200) |
全紙 | 457×560 | 18×22 | 11:9(1.222) |
A3ノビ | 329×483 | 13×19 | 19:13(1.462) |
半切 | 356×432 | 14×17 | 17:14(1.214) |
大四つ切 | 279×355 | 11×14 | 14:11(1.272) |
四つ切 | 254×305 | 10×12 | 6:5(1.200) |
六つ切ワイド | 203×305 | 8×12 | 3:2(1.500) |
六つ切 | 203×254 | 8×10 | 5:4(1.250) |
2L | 127×178 | 5×7 | 7:5(1.400) |
ハガキ(KG) | 102×152 | 4×6 | 3:2(1.500) |
L(サービスサイズ) | 89×127 | 3½×5 | 10:7(1.429) |
DSC | 89×119 | 3½×4.69 | 4:3(1.333) |
新聞
- 国際的な判型 - おおむねの標準寸法。地域や新聞社によって違いがある。世界的には紙面小型化と発行コストの削減を目的に、従来より安価な幅が狭いロール紙で印刷できるように紙面レイアウトを再設計する「ウェブカットダウン」(Web cut down)と呼ばれる取り組みが進んでおり、ブロードシート判でも左右寸法がタブロイド判並みに狭い新聞もある。
判型 | 寸法(mm×mm) | 寸法(in×in) |
---|---|---|
ブロードシート判(Broadsheet) | 375×600 | |
ノルディッシュ判(Nordisch) | 400×570 | |
レニッシュ判(Rheinisch) | 350×510 | |
350×520 | ||
360×530 | ||
スイス判(NZZ判、Schweizer Format) | 320×475 | |
ベルリナー判(Berliner) | 315×470 | 123⁄8×18½ |
タブロイド・エクストラ(Tabloid Extra) | 305×455 | 12×18 |
ハーフ・ブロードシート判(Half Broadsheet) | 300×375 | 12×14¾ |
ハーフ・レニッシュ判(Half Rheinisch) | 255〜265×365〜370 | 10〜10½×14½ |
260×325 | 10¼×12¾ | |
ハーフ・スイス判(Half Schweizer Format) | 240×330 | 9½×13 |
(ハーフ・ベルリナー判)(Half Berliner) | 230〜240×310〜320 | 9〜9¼×12¼〜12½ |
タブロイド判(Tabloid) | 285×400 | 11¼×15¾ |
235×315 | 9¼×12½ |
- 日本ローカルの判型
- ブランケット判 - 406×545
- 日本の主要な新聞社が採用している。
- タブロイド判 - 273×406
- ブランケット判の半分の大きさで、国際的なタブロイド判のサイズとはやや異なる。夕刊フジ・日刊ゲンダイ・フジサンケイ ビジネスアイなどのほか、自治体の広報紙、新聞形式のフリーペーパー・機関紙、新聞の折り込み広告などで、広く採用されている。
- 菊判 - 469×636(菊半裁)、318×469(菊四裁)
- オフセット枚葉機による印刷を行っている中・小規模地域紙においては、ブランケット判代用としてJIS B3判(364×515)を、タブロイド判代用としてJIS B4判(257×364)を用いる例が多い。
- ブランケット判 - 406×545
その他の規格
- バイブルサイズ(聖書サイズ) - 95×170
関連項目
脚注
外部リンク
- JIS規格 P0202「紙の原紙寸法」 - 日本産業標準調査会(JISC)