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青木 保(あおき たもつ、1938年10月30日 - )は、日本の文化人類学者、元文化庁長官[1]。大阪大学名誉教授[2]、前国立新美術館館長[1]。
東南アジアの宗教をはじめ、異文化の本質を研究。タイの僧院で修行した体験をまとめた『タイの僧院にて』(1976年)が評価された。著書に『儀礼の象徴性』(1984年)、『異文化理解』(2001年)、『「文化力」の時代』(2011年)などがある。
経歴
1938年、東京府生まれ。1962年に上智大学文学部独文科を卒業し、文学士。1964年に東京大学教養学部を卒業し、教養学士号を取得。1967年、同大大学院文化人類学専修修士課程修了し、社会学修士号を取得。
卒業後は、東京大学東洋文化研究所助手となった。立教大学文学部助教授、大阪大学人間科学部教授。1994年に学位論文『儀礼の象徴論的研究 -儀礼の基礎論を目指して』を大阪大学に提出して博士号(人間科学)を取得。1996年、東京大学先端科学技術研究センター教授となった。1999年からは政策研究大学院大学教授、2005年からは法政大学企画・戦略本部特任教授、2006年からは早稲田大学アジア研究所客員教授。この間にハーバード大学客員教授等も務めた。
2007年4月から2009年7月まで、18代目の文化庁長官に在任。民間出身者としては、4人目の長官であった。学界では、日本民族学会会長を務めた。青山学院大学特任教授、国立大学法人一橋大学経営協議会委員兼学長選考会議委員等も歴任[3]。
受賞・受勲
社会的活動
著書
単著
- 『タイの僧院にて』(中央公論社 1976年/中公文庫 1979年/青土社 2021年)
- 『沈黙の文化を訪ねて』(日本経済新聞社 1976年/中公文庫 1982年)
- 『文化の翻訳』(東京大学出版会 1978年、新装版2012年)
- 『儀礼の象徴性』(岩波書店 1984年/岩波現代文庫 2006年)
- 『御岳巡礼―現代の神と人』(筑摩書房、1985年/講談社学術文庫 1994年)
- 『異文化遊泳』(新曜社 1985年)
- 『境界の時間―日常性をこえるもの』(岩波書店 1985年)
- 『カルチャー・マス・カルチャー』(中央公論社 1985年)
- 『文化の否定性』(中央公論社 1988年)
- 『「日本文化論」の変容―戦後日本の文化とアイデンティティー』(中央公論社 1990年/中公文庫 1999年)
- 『逆光のオリエンタリズム』(岩波書店 1998年)
- 『アジア・ジレンマ』(中央公論新社 1999年)
- 『憩いのロビーで 旅のやすらぎ、ホテルとの出会い』(日本経済新聞社 2000年)
- 『異文化理解』(岩波新書 2001年)
- 『多文化世界』(岩波新書 2003年)
- 『作家は移動する』(新書館 2010年)
- 『「文化力」の時代-21世紀のアジアと日本』(岩波書店 2011年)
- 『エドワード・ホッパー 静寂と距離』(青土社 2019年)
編著
- 『聖地スリランカ 生きた仏教の儀礼と実践』(日本放送出版協会 1985年)
- 『ホテルからアジアが見える』((海竜社) 2001年)
共編著
- (青野聰対談)『地球の尻尾を掴む―文化人類学講義』(朝日出版社レクチャーブックス 1984年)
- (黒田悦子)『儀礼―文化と形式的行動』(東京大学出版会 1988年)
- (佐和隆光・中村雄二郎・松井孝典)『21世紀問題群ブックス(全24巻)』(岩波書店 1995年-1996年)
- (内堀基光・(梶原景昭)・小松和彦・清水昭俊・(中林伸浩)・福井勝義・船曳建夫・山下晋司)『岩波講座文化人類学(全13巻)』(岩波書店 1996年-1998年)
- (佐伯啓思)『「アジア的価値」とは何か』(TBSブリタニカ 1998年)
- (梶原景昭)『情報化とアジア・イメージ』(東京大学出版会 1999年)
- (川本三郎・筒井清忠・御厨貴・山折哲雄)『近代日本文化論(全10巻)』(岩波書店 1999年-2000年)
- (姜尚中・小杉泰・坂元ひろ子・莫邦富・山室信一・吉見俊哉・四方田犬彦)『アジア新世紀(全8巻)』(岩波書店 2002年-2003年)
訳書
- エリック・J・ホブズボーム『反抗の原初形態 千年王国主義と社会運動』編訳 中公新書 1971年
- マーシャル・D・サーリンズ『部族民 現代文化人類学 5』鹿島研究所出版会 1972年
- エドマンド・リーチ『人類学再考』井上兼行共訳(思索社 1974年)
- エドマンド・リーチ『文化とコミュニケーション―構造人類学入門』宮坂敬造共訳(紀伊國屋書店 1981年)
外部リンク
- 早稲田大学アジア研究機構 OAS
- 青木保の学有所思 (早稲田大学アジア研究機構 OAS)
- 【特別対談】青木保×ピーター・バラカン「日本のソフトパワーを考える」