金門県(ジンメン/きんもん-けん)は、中華民国の県。欧米では「Quemoy」英語: [k(w)ɪˈmɔɪ, ˈkwiːmɔɪ]と呼ばれることも多い。
別称: 前線 | |
地理 | |
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座標: | 北緯24度27分7秒 東経118度21分28.3秒 / 北緯24.45194度 東経118.357861度座標: 北緯24度27分7秒 東経118度21分28.3秒 / 北緯24.45194度 東経118.357861度 |
面積: | 151.6560 km² |
各種表記 | |
繁体字: | 金門縣 |
日本語読み: | きんもんけん、きんぼんけん |
拼音: | Jīnmén Xiàn |
ウェード式: | Chin¹-mên² Hsien⁴ |
注音符号: | ㄐㄧㄣ ㄇㄣˊ ㄒㄧㄢˋ |
片仮名転写: | ジンメン シェン |
台湾語: | Kim-mn̂g-koān(キンムンコアン) |
客家語: | Kîm-mùn-yen |
行政 | |
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行政区分: | 県 |
上位行政区画: | 福建省 |
下位行政区画: | 3鎮3郷 |
金門県長: | 楊鎮浯 |
公式サイト: | 金門県政府 |
情報 | |
総人口: | 140,045[1] 人(2019年10月) |
世帯数: | 41,167[1] 戸(2019年10月) |
郵便番号: | 890~894、896 |
市外局番: | 082 |
金門県の木: | 木綿 |
金門県の花: | 四季蘭 |
金門県の鳥: | 載勝 |
概要
中国大陸に近接する大金門島などを領域とする。台湾海峡対岸の台湾に依拠する中華民国の「福建省政府」が置かれているが、1996年から省としての機能を「凍結」している。一方、中華人民共和国の行政区分上は、福建省泉州市の管轄とされているが、実効支配できていない。国共内戦で中国大陸から撤退した蔣介石率いる中華民国軍が、1949年の古寧頭戦役や1959年の金門砲戦を経て防衛に成功。それ以来一貫して中華民国の統治下にある。
地理
九龍江口や泉州の囲頭湾を望む大金門島、小金門島および大胆島(別称・大担島)や二胆島など12個の島から構成される。総面積は150.3397平方キロメートルである(代理管轄の烏坵郷を含まず)。中華人民共和国側の厦門市や泉州市とは海を隔てて接する。中国大陸側の支配地域とは最小2.1kmしか離れておらず、国共内戦期間中は最前線となった。
右の地図で見える台湾海峡にある群島は澎湖諸島である。金門は(亜熱帯海洋性気候)に属し、4月から9月にかけてが最も降水量が多い。年間平均降水量は1,049.4ミリ。年間平均気温は20.9℃である。地質は花崗岩が主体であり、農業には適していない。
金門県の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 27.0 (80.6) | 25.5 (77.9) | 28.1 (82.6) | 31.6 (88.9) | 32.7 (90.9) | 38.4 (101.1) | 39.1 (102.4) | 36.3 (97.3) | 36.7 (98.1) | 34.0 (93.2) | 31.0 (87.8) | 26.6 (79.9) | 39.1 (102.4) |
平均最高気温 °C (°F) | 16.8 (62.2) | 16.5 (61.7) | 18.8 (65.8) | 22.8 (73) | 25.8 (78.4) | 29.3 (84.7) | 31.9 (89.4) | 32.0 (89.6) | 31.6 (88.9) | 27.4 (81.3) | 23.5 (74.3) | 19.5 (67.1) | 24.6 (76.3) |
日平均気温 °C (°F) | 12.7 (54.9) | 12.9 (55.2) | 15.0 (59) | 19.1 (66.4) | 23.1 (73.6) | 26.1 (79) | 28.2 (82.8) | 28.2 (82.8) | 26.8 (80.2) | 23.5 (74.3) | 19.4 (66.9) | 15.5 (59.9) | 20.8 (69.4) |
平均最低気温 °C (°F) | 10.0 (50) | 10.1 (50.2) | 12.2 (54) | 16.2 (61.2) | 20.6 (69.1) | 23.8 (74.8) | 25.8 (78.4) | 25.7 (78.3) | 24.3 (75.7) | 20.7 (69.3) | 16.5 (61.7) | 12.5 (54.5) | 18.2 (64.8) |
最低気温記録 °C (°F) | 1.3 (34.3) | 3.6 (38.5) | 3.0 (37.4) | 9.0 (48.2) | 15.0 (59) | 18.0 (64.4) | 20.0 (68) | 22.4 (72.3) | 17.5 (63.5) | 13.0 (55.4) | 11.0 (51.8) | 3.8 (38.8) | 1.3 (34.3) |
出典: |
歴史
かつては泉州府同安県の管轄であった。明末清初には鄭成功による反清復明の抵抗の拠点にもなった。1914年に(思明県)の所属とされ、翌1915年に金門県が新設された。
1945年の日本の降伏により再発した国共内戦の末期、1949年の古寧頭戦役で中華民国が防衛に成功した。
中国国民党が台湾へ移って以降は馬祖島(連江県)とともに中華民国軍の軍事的拠点となり、1956年より軍政が敷かれ、一般観光客の出入りは厳しく制限されていた。
1958年には、極東を歴訪する米国のダレス国務長官の台湾訪問を前に、対岸の中国人民解放軍(中国共産党)との間で激しい砲撃戦による金門砲戦が発生した。中華民国陸軍は中国人民解放軍から金門島を防衛することに成功したものの、多数の死傷者を出した。 砲撃は1979年まで繰り返された。末期には奇数日に限りプロパガンダ用のパンフレットを詰め込んだ砲弾が飛んでくるといった状況ではあったが、それでも死傷者は発生し続けた[2]。
1992年11月7日の戒厳令解除後、特に三通政策の実施後は、中国大陸から多くの観光客が訪れる島となっている。中華民国でありながら人民元が流通し、中華民国国旗とともに中華人民共和国の国旗も掲げる商店街も存在する[3]。
1995年には台湾6番目の国立公園・金門国家公園に指定された。
2018年8月5日、中華人民共和国から水道水を供給する海底パイプラインの開通式典が挙行された。これは、2019年8月に台湾で開催予定だった東アジアユースゲームズが中華人民共和国の圧力により中止となったことを受け、式典を先送りするとした台湾政府の意向を地元政府が無視するものであった[4]。これは2015年の金門県長による中華人民共和国への提案で建設されたものであり[5]、過去に親中的な金門県の県長や副県長は金門島への一国二制度の適用や導入を度々呼びかけてきた[6][7]。
交通
空路
台湾本島とは空路による交通が主となっている。現在金門空港から定期便が運行されているのは嘉義、高雄、台南、台中、台北の各都市である。
海路
台湾本島のみならず、水頭港及び料羅港から対岸の中華人民共和国への海運路線も開設されている。水頭港は大陸との小三通出発地点に指定され、厦門の国際定期船中心埠頭(毎日12往復)と五通埠頭(毎日6往復)[8]及び泉州石井港の間に定期航路が開かれており、金門と厦門、泉州の海運会社が運航している。厦門、泉州と台湾本島との移動に金門を経由する旅客も多く、航空会社が水頭港と金門空港の間に送迎サービスを行っている。
大・小金門島間は海路での連絡となっている。金城鎮水頭港と烈嶼郷九宮碼頭の間に連絡船が結ばれている。代理管轄している烏坵郷であるが、金門県からの直通交通手段はなく、台中を経由しなければならない。
言語
金門では台湾本島同様に閩南語が話され、同じ福建省でも馬祖島で話される閩東語とは系統が異なる。なお、金門は1937年11月2日から日本の敗戦までの約8年間、日本軍による占領を受けたが、領土化はされておらず日本語教育を受けなかったため、台湾島のような日本統治時代に流入した日本語からの借用語もほとんどない。
行政区画
行政地区
政治
歴代県長
金門県では1993年から県長の民選が行われている。
対外関係
姉妹都市・提携都市
金門の教育機関
大学
- 国立金門大学
- (銘傳大學)金門キャンパス
- (国立高雄大學)金門キャンパス-EMBA班
- (台灣首府大學)金門キャンパス-2年制技術学院
高中・高職
- (国立金門高級中學)
- (国立金門高級農工職業學校)
国民中学以下の教育機関は下部行政区域の項目を参照
金門の特産品
その他
脚注
- ^ a b c 中華民國內政部戶政司 (2018年5月1日). “中華民國 內政部戶政司 全球資訊網”. 中華民國內政部戶政司. 2019年11月14日閲覧。
- ^ “中台対立の最前線、住民の記憶に残る砲撃戦の跡”. ロイター (2021年10月29日). 2021年10月31日閲覧。
- ^ “台湾なのに…人民元が流通、中国旗はためく島”. 『朝日新聞』. (2018年9月13日) 2019年8月21日閲覧。
- ^ “中台間に送水管開設 金門島、民意取り込み”. 産経ニュース. (2018年8月5日) 2018年8月18日閲覧。
- ^ “台湾、中国に金門島への水・電力供給を要望”. 『日本経済新聞』. (2015年5月24日) 2018年8月18日閲覧。
- ^ “大陸委、親中姿勢の金門県副県長を批判/台湾”. 中央通訊社. (2018年8月10日) 2018年8月18日閲覧。
- ^ “台湾の離島・金門県「一国二制度」の導入を提議―台湾金門県”. Record China. (2006年11月9日) 2018年8月18日閲覧。
- ^ http://www.xmsssc.com.cn/Pages/ScheduleMore.aspx?tp=5 厦門海峡航運サービスセンターWebページ 2011年5月22日閲覧
- ^ 金門砲戦下、中華民国軍の現地守備隊司令であった胡璉将軍が、雨が少ない大金門島で食料を調達するため、乾燥に強い高粱栽培を奨励。島の西部で芋や米から酒を造っていた葉華成が高粱酒を醸造してみたところ絶品であったため、1952年に工場を建てた。爾来、金門酒廠が生産している。【乾杯!世界のどこかで】台湾、金門コーリャン酒/戦火から生まれた島の誇り『毎日新聞』朝刊2018年11月27日(くらしナビ面)2019年9月29日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 金門県政府
- 金門県に関連する地理データ - オープンストリートマップ
- ウィキトラベルには、金門島に関する旅行ガイドがあります。