菅野 剛士(すがの つよし、1993年5月6日 - )は、東京都府中市出身のプロ野球選手(外野手、内野手)。右投左打。千葉ロッテマリーンズ所属。
経歴
プロ入り前
山野辺翔とは実家が近所で幼なじみ。府中市立日新小学校時代に武蔵府中リトルリーグで野球を始め、全国大会準優勝を経験。府中市立府中第八中学校時代は武蔵府中シニアに所属し3年春には全国大会ベスト8に進出[2]。当時のチームメイトには、前述の山野辺のほか、茂木栄五郎、横尾俊建らがいる。
東海大相模高校に進学後、1年生秋からレフトのレギュラーを獲得。甲子園には2010年春(1回戦敗退)、2010年夏(準優勝)、2011年春(優勝)の計3回出場した 。チームメイトは1学年上に一二三慎太、大城卓三、同期には田中俊太、渡辺勝がいる。
明治大学に進学後、1年生からベンチ入りし2年の春からはレギュラーを獲得。2年春と4年春に外野手のベストナインに選ばれた他、慶應義塾大学・髙木大成の記録を更新する東京六大学歴代最多の28二塁打を記録した。全国大会には、2年春の全日本大学選手権(ベスト4)、2年、3年秋の神宮大会(いずれも準優勝)と3度出場。ベストナインを2回受賞。 4年次の2015年プロ野球ドラフト会議では指名が有力視されるも、チームメイトの髙山俊(阪神タイガース1位)、坂本誠志郎(阪神2位)。上原健太(北海道日本ハムファイターズ外れ1位)の名が続々呼ばれていく中、菅野はプロ志望届を出した選手の中から唯一の指名漏れとなった。身長171cmと小柄であるほか、大学レベルでは安定感こそあるものの長打など突出した能力がないこと、走・守において雑なプレーが散見されたことなどが指名漏れの理由とされる。
2016年、大学を卒業して社会人野球の日立製作所へ進み、高校時代の同期である田中俊太と再びチームメートになる。新人ながら4番ライトでレギュラーの座を獲得。同年夏の第87回都市対抗野球大会ではチーム初の決勝進出(準優勝)に貢献し、田中とともに若獅子賞を受賞。社会人ベストナインにも選ばれた。2年目の2017年には、第28回BFAアジア野球選手権の日本代表に選出。全試合で5番打者を務め、打率4割をマークし、チームの優勝に貢献した。
2017年10月26日に行われたプロ野球ドラフト会議にて千葉ロッテマリーンズから4位指名を受けた。 契約金5000万円、年俸1150万円(推定)で契約。背番号は31[3]。
ロッテ時代
2018年、オープン戦から好調だったこともあり、3月30日に行われた東北楽天ゴールデンイーグルスとの開幕戦(ZOZOマリンスタジアム)で「6番・左翼手」として開幕スタメンに抜擢され、4回に則本昂大からプロ初安打を放った[4]。この試合では、同じくルーキーの藤岡裕大も「2番・遊撃手」で開幕スタメンを果たしていて、ルーキー2人がスタメンに入るのは、1997年の小坂誠と清水将海以来、21年ぶりの出来事だった[5]。しかし、打撃不振に陥るなどシーズンを通して一軍と二軍を行き来し、53試合の出場で、打率.176、2本塁打、18打点に留まった。しかし、打率に対し、出塁率は.304と高く、IsoDは0.130と優秀な成績を残した。シーズン終了後には、打撃強化による一軍定着を誓い、中村晃に弟子入りをした[6]。
2019年は、二軍で打率.424と結果を残し、4月7日に一軍に昇格した[7]が、3試合で11打数無安打4三振と結果を残せず、4月14日に二軍降格。その後一軍に復帰し、6月21日の東京ヤクルトスワローズ戦(明治神宮野球場)で2打席連続本塁打を放つ活躍を見せた[8]が、打率.197と調子が上がらず、7月4日に二軍降格。その後一軍に上がることなくシーズンを終えた。前年優秀だったIsoDも0.077と、成績を落とした。
2020年は、2月の練習試合では打率.415(41打数17安打)、2本塁打、4打点と結果を残したが、3月のオープン戦、6月の練習試合では当たりが止まり、開幕は二軍で迎えた[9]。しかし、二軍で打率.400(15打数6安打)、3本塁打、7打点と結果を残すと、7月7日に一軍昇格[9]。7月11日の埼玉西武ライオンズ戦(ZOZOマリン)で1号本塁打を放つと、この試合から3試合連続マルチ安打の活躍を見せるなど[9]、7月は打率.300、出塁率.458と結果を残し、左翼手のレギュラーとして出場を重ねた[9]。9月8日の北海道日本ハムファイターズ戦(ZOZOマリン)では、不振の井上晴哉に代わり、春季キャンプから練習していた一塁手として、初めて先発出場した[9]。10月6日には、新型コロナウイルスに感染したことが明らかになり、離脱した[10]が、10月22日に復帰した[11]。最終的に自己最多の81試合に出場。打率.260、2本塁打、20打点の成績を残した。特に、出塁率は.389で、IsoDは0.126と前年に比べ、選球眼の良さが光った。
2021年は、3月26日に行われた福岡ソフトバンクホークスとの開幕戦(福岡PayPayドーム)に「2番・一塁手」で出場。
選手としての特徴
バットコントロールに優れ、勝負強さや内角へのボールの対処に定評があり、小柄ながらも広角に長打を放つ中距離ヒッター。 走力は50メートル6秒と、走・攻・守そろった俊足好打が売り。
人物
巨人の菅野智之とは同じ名字で、東海大相模高校出身と共通点はあるが血縁関係は一切ない[12]。
毎日、朝のテレビ情報番組でやっている占いを見てしまい、「今日のラッキーアイテム」で、自分の持っているものが出ていたりすると「よし」と思うらしい[13]。
ジブリアニメ『崖の上のポニョ』の「ポニョ」に似ているとファンの間で話題になり、ロッテ球団広報からも「菅ニョ」とSNSで紹介されている[14]。また、チーム内での愛称も「ポニョ」と呼ばれている[15][16]。
詳細情報
年度別打撃成績
年 度 | 球 団 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 二 塁 打 | 三 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 打 | 犠 飛 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018 | ロッテ | 53 | 161 | 131 | 15 | 23 | 3 | 2 | 2 | 36 | 18 | 1 | 0 | 4 | 1 | 20 | 0 | 5 | 27 | 4 | .176 | .306 | .275 | .581 |
2019 | 28 | 73 | 66 | 7 | 13 | 2 | 0 | 3 | 24 | 7 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 1 | 11 | 0 | .197 | .274 | .364 | .638 | |
2020 | 81 | 275 | 223 | 24 | 58 | 10 | 3 | 2 | 80 | 20 | 1 | 3 | 5 | 0 | 45 | 0 | 2 | 55 | 7 | .260 | .389 | .359 | .748 | |
2021 | 33 | 75 | 67 | 8 | 13 | 4 | 0 | 2 | 23 | 5 | 1 | 0 | 2 | 0 | 5 | 0 | 1 | 20 | 4 | .194 | .260 | .343 | .604 | |
2022 | 41 | 93 | 86 | 6 | 18 | 6 | 0 | 1 | 27 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 | 0 | 20 | 1 | .209 | .269 | .314 | .583 | |
通算:5年 | 236 | 677 | 573 | 60 | 125 | 25 | 5 | 10 | 190 | 56 | 3 | 3 | 11 | 1 | 83 | 0 | 9 | 133 | 16 | .218 | .326 | .332 | .657 |
- 2022年度シーズン終了時
年度別守備成績
年 度 | 球 団 | 一塁 | 外野 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 捕 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2018 | ロッテ | - | 48 | 66 | 3 | 0 | 0 | 1.000 | |||||
2019 | - | 21 | 28 | 0 | 1 | 0 | .966 | ||||||
2020 | 12 | 83 | 5 | 0 | 4 | 1.000 | 60 | 106 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | |
2021 | 14 | 75 | 9 | 0 | 5 | 1.000 | 12 | 11 | 0 | 1 | 0 | .917 | |
2022 | 6 | 18 | 2 | 0 | 1 | 1.000 | 18 | 27 | 2 | 0 | 0 | 1.000 | |
通算 | 32 | 176 | 16 | 0 | 10 | 1.000 | 159 | 238 | 6 | 2 | 0 | .992 |
- 2022年度シーズン終了時
記録
- 初記録
- 初出場・初先発出場:2018年3月30日、対東北楽天ゴールデンイーグルス1回戦(ZOZOマリンスタジアム)、6番・左翼手で先発出場
- 初打席:同上、2回裏に則本昂大から二ゴロ
- 初安打:同上、4回裏に則本昂大から中前安打[4]
- 初打点:2018年3月31日、対東北楽天ゴールデンイーグルス2回戦(ZOZOマリンスタジアム)、1回裏に美馬学から右越適時三塁打
- 初本塁打:2018年5月3日、対福岡ソフトバンクホークス4回戦(ZOZOマリンスタジアム)、2回裏に石川柊太から左越2ラン
- その他の記録
- 2試合連続でチーム唯一の安打を記録:2022年4月19日・20日、対埼玉西武ライオンズ4・5回戦(ベルーナドーム) ※史上初[17]
- 年間3度チーム唯一の安打を記録:上記に加え、同年8月21日、対東北楽天ゴールデンイーグルス20回戦(楽天生命パーク宮城)でも記録 ※史上4人目[18]
背番号
- 31(2018年 - )
登場曲
脚注
出典
- ^ “ロッテ - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2022年11月22日閲覧。
- ^ “菅野剛士 | 千葉ロッテマリーンズ | 選手 | 週刊ベースボールONLINE”. 週刊ベースボールONLINE. 2018年4月2日閲覧。
- ^ “ロッテ4位菅野「やっと…」巨人菅野に負けたくない - プロ野球 : 日刊スポーツ” (日本語). nikkansports.com2018年4月2日閲覧。
- ^ a b “ロッテ4位菅野、則本から初安打「自信につながる」”. 日刊スポーツ (2018年3月31日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ ロッテルーキー藤岡裕大&菅野剛士、開幕スタメンへ日刊スポーツ 2018年3月25日配信
- ^ “ロッテ菅野が中村晃に弟子入り、1軍定着へ打撃強化” (日本語). nikkansports.com
- ^ “ロッテ藤原登録抹消「まだまだ対応しきれてない」”. 日刊スポーツ (2019年4月7日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ “ロッテが球団4500勝、今季最多タイ猛攻で節目”. 日刊スポーツ (2019年6月21日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ a b c d e “出塁率.389、守備では無失策だったロッテ・菅野剛士”. ベースボールキング (2020年12月6日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ “ロッテ鳥谷、角中、清田ら新たに11人がコロナ陽性”. 日刊スポーツ (2020年10月6日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ “日本ハム吉田輝星登録、阪神ボーア抹消/22日公示”. 日刊スポーツ (2020年10月22日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ “プロ野球:ロッテ・井口監督、ドラ4菅野の打撃絶賛「吉田正みたいなタイプ」(スポニチ) - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞2018年4月2日閲覧。
- ^ “ロッテ・菅野剛士外野手「誰がどうやって内容を考えているんだろう?」/占い - 野球コラム:週刊ベースボールONLINE”. 週刊ベースボールONLINE2018年4月2日閲覧。
- ^ “千葉ロッテマリーンズ 公式Twitter 2018/06/27 より”. Twitter. 2021年8月24日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2019年5月26日). “ポニョことロッテ・菅野が今季初アーチ”. サンスポ. 2021年8月24日閲覧。
- ^ “31 菅野 剛士 選手名鑑2021|千葉ロッテマリーンズ”. 千葉ロッテマリーンズ オフィシャルサイト. 2021年8月24日閲覧。
- ^ “【データ】ロッテ菅野剛士が2戦連続でノーノー阻止、同じ打者は初 28イニング連続無得点”. 日刊スポーツ. (2022年4月21日)2022年4月21日閲覧。
- ^ “【ロッテ】パ単独ワースト16度目完封負けで自力V消滅…1安打に「打てる球はあった」井口監督”. 日刊スポーツ. (2022年8月21日)2022年8月22日閲覧。