芝山鉄道線(しばやまてつどうせん)は、千葉県成田市の東成田駅から千葉県山武郡芝山町の芝山千代田駅までを結ぶ芝山鉄道の鉄道路線である。芝山千代田駅付近を除き路線の大部分は成田国際空港の地下を走る。駅ナンバリングで使われる路線記号はSR[注釈 1]。
概要
路線の全長は2.2 kmで、(普通鉄道)における1事業者の保有総延長としては日本最短である(詳細は「(芝山鉄道#路線)」を参照)。なお、路線単位では当路線より短い路線は複数存在する(関東地方の普通鉄道では東武大師線、西武豊島線、京王競馬場線、京王動物園線など)。京成電鉄東成田線と一体的に運行されており、線内完結列車の設定はない。
京成電鉄と直通運転する路線では唯一、ICカード「PASMO」等が使えない(交通系ICカードで芝山千代田駅へ乗り越した場合は、現金で精算後に「PASMO・Suica処理連絡票」が渡され、各社の駅窓口に提出して処理を依頼する形になる[4])。また、2008年まで京成などで利用できたパスネットも同様に使えなかった。
全線が成田国際空港敷地内・隣接地内に所在しており、その関係で駅構内だけでなく、列車車内でも空港警備の一環として制服着用の警察官(千葉県警察成田国際空港警備隊)が常に乗車して警備していたが、現在は警乗は行われておらず、警備員による警備となっている[5]。
芝山鉄道線では警察官が必ず乗車し、警備にあたっていた。
路線データ
運行形態
全列車が京成東成田線と相互直通運転を行っている。運転業務は京成に委託しており、東成田駅で乗務員交代は行われず京成の乗務員が芝山鉄道線内も乗務する。従って芝山鉄道に所属する乗務員はいない。
ラッシュ時などには京成本線・押上線、都営地下鉄浅草線、京急本線・空港線との相互直通運転を行う。日中は40分サイクルで京成成田 - 芝山千代田間を1編成(4両)が往復する形となる。2022年(令和4年)11月26日より、日中の4両編成の列車ではワンマン運転を行っている[7]。
所要時間は京成成田 - 芝山千代田間が約10分、東成田 - 芝山千代田間は約4分である。なお、東成田 - 芝山千代田間の成田市木の根付近では、空港反対派の敷地「(木の根ペンション)」を半径160メートルの急曲線で迂回しているため、35 km/h制限で運転しており、所要時間は当初予定より1分ほど長くなっている。
芝山千代田行き列車の行先表示は、京成・都営・京急線内において内外の旅客にわかりやすくするため「芝山千代田」ではなく「(東成田)芝山」となっている。京成成田駅方面から東成田駅に到着した後もこの表示のまま本路線に入り、芝山千代田駅まで運転される。一方、車内案内表示器や各駅の発車標ではそのような特殊な表示は行わない。
現行ダイヤでは快速特急、特急、通勤特急(上りのみ)、快速、普通が存在する。京成線・都営線・京急線直通列車は以下の運行パターンが存在する。
- 京成東成田線・京成本線方面
- 芝山千代田駅 - 京成上野駅
- 朝・夕を中心に運転されている。通勤特急は平日のみの運転となる。
- 芝山千代田駅 - 京成高砂駅、京成津田沼駅、宗吾参道駅、京成成田駅
- 土休日の京成高砂行きの夜1本は快速[注釈 2]で運転されていたが2019年10月26日のダイヤ改正で京成成田駅までの設定になった。それ以外は朝・夕に普通で運転される。
- 芝山千代田駅 - 京成上野駅
- 都営地下鉄浅草線・京急空港線方面
- 芝山千代田駅 - 西馬込駅
- 西馬込行きは平日朝に快速特急、平日夕夜間に快速が運行されており、都営線内は普通で運転される。芝山行きは平日は快速特急・特急による設定で、土休日は現在のダイヤでの設定はない。
- 芝山千代田駅 - 羽田空港第1・第2ターミナル駅
- 芝山千代田行きのみ運転。京急線内はエアポート急行で運転され、都営線内はエアポート快特か京成線内及び都営線内でエアポート快特以外の列車は快速特急または特急で運転される。エアポート快特は押上駅で種別変更する。
- 芝山千代田駅 - 西馬込駅
平日ダイヤでは、通勤特急京成上野行き(8両編成)2本の最後部車両は女性専用車となっている。
車両
以下の自社所属車両のほか、京成電鉄の車両も運用される。芝山鉄道の車両運用は京成電鉄と共通のため、日によっては自社所属車両が自社線に一切入らない場合がある。東京都交通局の車両にも行先表示の用意があり、過去には実際に乗り入れ運用があったが、2021年現在は通常ダイヤでは運用されていない。
過去の車両
- 3600形 - 2002年10月27日の開業時から2013年3月31日まで京成からリースしていた車両。先頭車が電動車ではなく付随車であることから、先頭車両は電動車と取り決めている京急線には直通しなかった。当時、日中の芝山鉄道線は京成車4両編成か6両編成での運行のため、8両編成でかつ京急線に入線できないこの車両は京成上野 - 成田空港間や京成佐倉 - 都営浅草線西馬込間を往復する運用が多く、自社線を走行するのは朝夕に限られた。
芝山鉄道3500形(帯色変更後)
芝山鉄道3600形
駅一覧
- 全線千葉県内に所在。
- 全列車が各駅に停車する。
延伸計画
芝山千代田駅は芝山町の端にある駅であり、芝山町中心部を経由して九十九里方面への延伸も検討されている。
脚注
注釈
出典
- ^ “芝山鉄道きょう開業 空港を抜け都心と直結 地元待望、式典で祝う アート展”. 千葉日報 (千葉日報社). (2002年10月27日)
- ^ a b c d e f g h i j 日本鉄道施設協会『日本鉄道施設協会誌』2002年12月号特集「新線開業」「6. 芝山鉄道(東成田 - 芝山千代田間)pp.42 - 44」。
- ^ a b 鉄道ピクトリアル 臨時増刊号 京成電鉄 2007年 03月号
- ^ 芝山鉄道線ご利用案内
- ^ 小川裕夫 (2023年2月28日). “開港45年「成田空港」 京成・芝山…いまも公にできない「鉄道」をめぐる激動(抜粋)”. デイリー新潮. 2023年2月28日閲覧。
- ^ 平成21年度安全報告書 - 芝山鉄道
- ^ (PDF)『2022年11月26日(土)京成線ダイヤ改正を実施します』(プレスリリース)京成電鉄株式会社、2022年10月24日2022年10月24日閲覧。 。
- ^ 所属車両を変更します - 芝山鉄道ホームページお知らせ 2013年3月28日
参考文献
- 日本鉄道施設協会『日本鉄道施設協会誌』2002年12月号特集「新線開業」「6. 芝山鉄道(東成田 - 芝山千代田間)」(石橋昇策・芝山鉄道(株)工務部長)
関連項目
- 千葉県道62号成田松尾線 - 線路の脇を通る道路。
- 日本の鉄道路線一覧
- 成田鉄道多古線 - かつて近隣地域を走行していた鉄道。
外部リンク
- 芝山鉄道
- 京成東成田線・芝山鉄道線 - 列車走行位置