櫛田ふき

櫛田ふき（くしだふき、1899年 2月17日 - 2001年 2月5日）は、日本の女性運動、民主運動家^[1]。

山口県生まれ、父は東京外国語学校教授^[2]でドイツ語の翻訳辞典を編んだ山口小太郎 (1867年-1917年)。日本女子大学中退。夫は父の教え子の櫛田民蔵(1885年 - 1934年)。

概要

1930年代半ばに櫛田民蔵と死別し第二次世界大戦中はひとりで子ども2人^[3]を育てながら敗戦を迎える。やがて壺井栄や壺井繁治^[4]、宮本百合子を知り、1946年婦人民主クラブが創設されると書記長、その後委員長^[5]を10年務める。また同クラブ発足直後に発刊した「婦人民主新聞」の編集長の任を引き受ける^[6]。

日本婦人団体連合会が結成され、国際民主婦人連盟副会長になって平塚らいてうが抜けると、1952年より櫛田が委員を務め、1958年には3代目会長^[7]となる。この間、1950年（昭和25年）の第2回参議院議員通常選挙に全国区から無所属で立候補したが落選した^[8]。新日本婦人の会 (1962年) の結成に加わって以降、亡くなるまで代表委員を務める。1975年国際民主婦人連盟副会長^[9]。全国革新懇世話人^[10]。1976年 (昭和51年) 設立の日本共産党全国女性後援会^[11]の代表委員として、後進の候補を支持しつづけた。2001年に102歳になる直前に死去^[12]^[13]^[14]。

子どものしあわせ

宮本百合子との出会いにより、夫を亡くし生計を立てるため仕立物や保険の外交をして子ども2人を育てた経験^[15]を買われ、戦後、社会運動に関わる。婦人民主クラブが初めて開いた日本母親大会 (1955年) では議長団の一員として小笠原貞子 (日本共産党元副委員長) らと共に母親の声を聴き「母親しんぶん」をまとめ、あるいは子どもに注ぐまなざしから「ソ連の小学生と中国の幼児」^[16]や、子どもと交通事故^[17]について執筆する。

戦争反対

「戦争と核兵器のない世界に」と唱え、原水爆禁止世界大会の議長団に加わるなど^[18]、反戦運動に生涯にわたり積極的にかかわった^[19]。1970年代半ばには招待を受けてベトナムにわたり^[20]、「ブーゲンビリア花咲くハノイよ」を作詞する (木下そんき作曲)。100歳になる1999年には法案反対の「銀座デモ」の呼びかけ人に名前を連ね^[21]、自らも実際に街頭を行進する。

主な著作

『たくさんの足音そのなかの一つが歩いた道』、新読書社、1965年^[22]。
- 『たくさんの足音その一つが歩んだ道』、草土文化、1978年。
『愛と希望の星みつめて』、新日本出版社、1988年。
『素敵に長生き』、新日本出版社、1991年^[23]。
『八度めの年おんな』、岩波書店、1995年^[24]。
『二〇世紀をまるごと生きて』、日本評論社、1998年。

共著・監修

『女性は解放されたか』(共著)、三一書房、1951年。
- 「荊の道をゆく日本の婦人運動」、3頁。
『われら母なれば平和を祈る母たちの手記』平塚らいてふ (共監修)、青銅社、1951年。
- 「あとがき」、262頁。
『いのち永遠（とわ）に新し』住井すゑ、(石井あや子)、矢島せい子 (共著)、労働旬報社 1985年。

執筆記事

櫛田ふき Ciniiの論文検索より。

脚注

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^ 「櫛田フキ」『ドキュメント人と業績大事典』 8巻、ドキュメント人と業績大事典編集委員会 (編)、ナダ出版センター、東京、2000年12月、164頁。(全国書誌番号):(20141127)。
^ 「敍任及辞令 / - / - / 山口小太郞等(文部省)/」『官報』1917年01月26日、442頁、doi:10.11501/2953456“賜二級俸東京外国語学校教授山口小太郎”
^ 子の一人は櫛田克巳で、朝日新聞社の学芸記者となった。
^ 櫛田ふき「ミニエッセイ・壺井繁治とわたし壺井繁治の示唆」『詩人会議』第36巻第10号、1998年9月、116頁。
^ 松尾尊兊「敗戦直後の京都民主戦線 (The People's Front in Postwar Kyoto, 1945-47)」（pdf）『京都大學文學部研究紀要 = Memoirs of the Faculty of Letters, Kyoto University』第18巻、京都大學文學部、1978年3月31日、204頁。
^ 宮本百合子『その人の四年間』青空文庫。
^ 『前衛 : 日本共産党中央委員会理論政治誌』8月臨時増刊(312)、日本共産党中央委員会出版局、中央書籍株式会社、1970年8月、doi:10.11501/2755745。日本婦人団体連合会会長櫛田ふきと記載あり。
^ 『国政選挙総覧 1947-2016』541頁。
^ 『現代日本人名録』1987年
^ 全国革新懇 (編) (2016年). “全国革新懇35年のあゆみ : 「国民が主人公」の政治をめざして”. 国立国会図書館オンライン. 平和・民主・革新の日本をめざす全国の会. 2020年1月4日閲覧。
^ 「日本共産党全国女性後援会」(※総務省その他の政治団体一覧（2920団体）) 60頁。※平成30年12月31日における総務大臣届出の政治団体の一覧。2020年01月04日閲覧。
^ 高橋マス子 (2001年2月19日). “婦団連会長櫛田ふきさん（101）亡くなる：私の思い出”. 農民 (農民連) (481) 2020年1月4日閲覧。
^ 「櫛田ふきさんを偲ぶ--『生きることは行動すること』らいてうからのバトンを頼んだよ」『女性&運動』第73号、4-7頁、新日本婦人の会、2001年4月。
^ 守谷武子「櫛田ふきさん長い間、ありがとうございました」『女性のひろば』第266号、104-107頁、日本共産党中央委員会、2001年4月。ISSN 0387-9429。
^ 「第六構未亡人はどう生きるか」『現代女性十二講』帯刀貞代ほか (編著)、ナウカ社、1950年、179-頁。　櫛田フキ名義。
^ 『子どもに聞かせたいとつておきの話』第4集、阿部知二 ; 国分一太郎 (編)、英宝社、1959年、77-頁。
^ 櫛田ふき『子どものしあわせ : 母と教師を結ぶ雑誌』第138号、福音館書店、1967年11月、10-12頁、doi:10.11501/6062837。
^ 「あの頃のこと(櫛田ふき)」『平和運動20年記念論文集』日本平和委員会 (編)、大月書店、東京、1969年。(全国書誌番号):(72003207)。
^ 「女性「平和アピ-ル」全文/よびかけ人氏名櫛田ふきさんの思い (特集戦争への道は許さない!)」『女性&運動』第35号、1998年3月、10-12頁、NAID 40005096437。
^ 櫛田ふき「私たちもお祝いがしたい (ベトナム問題をめぐる歴史的決算 ; ベトナム人民の勝利に思う)」『前衛 : 日本共産党中央委員会理論政治誌』(通号 384)、日本共産党中央委員会、東京、1975年7月、72-73頁、ISSN 1342-5013。
^ 「櫛田ふき、井上美代、内田妙子「よびかけ・賛同人の発言」」『女性&運動』第50号 (通号 201)、新日本婦人の会 (編)、1999年6月、10-13頁。
^ 櫛田ふき「出版ニュース = Japanese publications news and reviews : 出版総合誌」第654号、1965年4月、doi:10.11501/3434983、ISSN 0386-2003。
^ 「すてきに長生き」『月刊民商』第34巻10 (377)、4-11頁、doi:10.11501/2860920。
^ 「四月の新刊案内 / 中村昭夫 ; 大河内昭爾 ; 吉田精一 ; 櫛田ふき」『図書』第550号、1-31頁、doi:10.11501/3448557。

参考文献

『国政選挙総覧：1947-2016』日外アソシエーツ、2017年。

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