樹皮（じゅひ、バーク、羅: Cortex、英: Bark、仏: Écorce、独: Rinde）とは、木本幹の表面に形成される組織である。
樹皮の特徴
樹皮は木本の周りを覆うように形成される。一般的に葉には形成されない。元々は死んだ組織の集まりで、(コルク形成層)から形成され、やがて剥がれ落ちてしまう。普通は古くなるにつれて部分的に剥がれ落ちる。この剥がれ方には種によって独特の特徴がある。サルスベリのように樹皮が全体にきれいに剥がれるものもある。また、バクチノキは、その剥がれ方が派手なのを博打に負けて身ぐるみ剥がされる様子になぞらえたものである。
また、樹皮には呼吸のための独特の穴を生じるものがあり、これを(皮目)（ひもく）という。
樹木に於いて、中心の木部は細胞壁が発達した後に死亡した細胞の集まりであり、樹皮の外側もまたそうである。樹皮の下層のコルク形成層から木部表面の形成層までの部分が生きた細胞で作られている。木が枯れるとこの部分が早くに崩壊し、樹皮と材とが剥がれやすくなる。
切り倒した樹木は樹皮が付いたままだと湿りやすく虫が付きやすいため皮剥（かわむき、かわはぎ）と呼ばれる道具で落とすことがある[1]。また、スギやヒノキの樹皮を屋根材などに利用するときも皮剥と呼ばれる道具を使う[1]。
樹皮を剥ぎ取って樹木の一部を食べる野生生物も存在する。日本では、ニホンジカやエゾシカの樹皮食害[2]による、林業への打撃や森林荒廃が問題になっている。
樹皮の利用方法
バークチップス
- コルクガシの樹皮はコルクを作るために重要。
- スギやヒノキの樹皮は屋根や壁などの建材として利用する[1]。これら針葉樹の樹皮で葺かれた屋根を檜皮葺きという。
- 樹皮を破砕した製造物は、バークチップス（Bark chips）として、ガーデニング資材、マルチング材に使用される。
- サクラの樹皮は染物に使われることがある。また、秋田県角館にはサクラの樹皮を用いた細工物・桜皮細工が伝統工芸として伝承されている。
- 樹皮から繊維を取り出し、樹皮紙や樹皮布を作るために使われることもある。南太平洋各地では「タパ」と呼ばれる、多彩な紋様入りの樹皮布が古来作られている[3]。アイヌ民族は、オヒョウダモやシナノキの樹皮から採った繊維で、民族衣装のアットゥシを仕立てた。
- キハダなど多くの樹皮が生薬として用いられる。
- オークなどのタンニンを含む樹皮は皮革のなめしに用いられてきた。