松田 陸(まつだ りく、1991年7月24日 - )は、大阪府大阪市北区出身のプロサッカー選手。Jリーグ・セレッソ大阪所属。ポジションはディフェンダー(右サイドバック[2]、センターバック[3])。
来歴
プロ入り前
インドネシア人の父と日本人の母の間に生まれ、幼稚園生の頃にサッカーを始め[4][5]、小学校1年時から地元クラブに加入。以後大学卒業に至るまで弟の力と同じチームでプレーを続けた[6][4][7]。
2007年、「全国大会に出られる」という理由で[8][9]島根県の立正大学淞南高校に進学。FWからDFへとコンバートされると[8]2年連続で全国高校サッカー選手権に出場[注 1]。3年時には主将を務め[11][8]、抜群の身体能力[12] と高い攻撃センス[13] を併せ持つ(センターバック)[14]として注目された[15][16]。
2010年、びわこ成蹊スポーツ大学へ進学。総監督からは「大学史上もっとも優れた選手が入ってくる[17]」、望月聡監督からは入学当初から「フィジカルでは既に大学レベル」[18] と評価され、(サイドバック)として出場機会を掴む[14][8][9]。運動量、スピード、クロス精度に磨きをかけ[14]力の得点をアシスト[8]。力が得点王になって注目を浴びた時は"誰がアシストしてると思ってんねん!"とライバル心を燃やした[19]。4年時には主将としてチームを牽引した[20]。
FC東京
2013年4月、Jリーグ・FC東京に特別指定選手として登録[21][22]。プレー面だけでなく練習態度や人柄でも好感触を与えて[23] 早々とチームに溶け込み[24]、7月23日に行われたCEサバデルとのフレンドリーマッチに途中出場した[25]。
複数クラブから獲得を打診されていたが[23][26]、特別指定期間中に既にFC東京入りを決めており[23]、2014年より正式に同クラブへ入団[27]。日本代表でFC東京の長友佑都を目標に[2][24][23]、背番号「50[注 2]」を自ら選択し[29]、左右両サイドでの練習に励んだ[2]。右サイドバックのレギュラーには徳永悠平が定着していたが[30]、松田のスピードやクロス精度に対する評価は高く、シーズン序盤より攻撃のオプションとして出場機会を確保[31][32]。J1第10節名古屋戦ではプロの舞台で双子の弟の力との初対戦を果たした[33]。J1第30節G大阪戦ではウイングバックで出場し、太田宏介のクロスにヘディングを合わせてJ初得点を記録した[34]。
セレッソ大阪
FC東京とは2016年末までの契約を残す中[35]、争奪戦を経て[36]、2016年より幼少から応援していたという地元大阪のセレッソ大阪へ完全移籍[37][38]。同年はチーム唯一のリーグ戦全試合出場を達成し、リーグ2位のクロス数を記録した[39]。
2017年、山口蛍に若い数字を着けてみたらと勧められ背番号を2にした。「J1でもやれることを証明したい」と意気込んだ[40]。シーズン序盤は途中交代となる試合もあり、チーム内の紅白戦では控えに回る事もあったが、持ち前の「負けん気」と反骨精神で這い上がり31試合に出場、右サイドの水沼宏太との縦関係はチームの大きな武器になった[41]。
2018年、リーグ戦第2節から3試合連続で警告を受けて出場停止にリーチがかかりながら、結局最後まで4枚目はもらわずシーズンが終了した[42]。最終節横浜F・マリノス戦では2得点の起点になり、チームの逆転勝利に大きく貢献した[43]。退任が決まっていたユン・ジョンファン監督は「キックがうまくなった。この2年間で伸びた選手。」と賞賛した[44]。
2019年、開幕戦では、1-0でリードする中、途中出場からフォワードとしてワントップで起用された[45]。
2020年、戦術によって3バックの右に入る事もあった[46]。退任が決まっていたロティーナ監督の最終戦、第34節鹿島アントラーズ戦でミドルシュートでシーズン初ゴールを決めた。試合は1-1で引き分けだったがチームのACL出場権獲得に貢献した[47]。
2021年、双子の弟の松田力が加入した際には「夢であった兄弟でプロの世界でプレーする願いがこのチームで叶ったことを嬉しく思います」とコメントした[48]。小菊昭雄新監督の初陣となった第27節G大阪戦でミドルシュートでシーズン初ゴールを決めて1-0の勝利に貢献した[49]。 ルヴァンカップ決勝では後半32分にペナルティエリア外から走り出した大久保嘉人の動きを見て、絶妙な低軌道の高速パスを出し大久保は合わせたが、ゴールの枠に飛ばなかった。
2022年現在、セレッソ大阪で背番号2を着用した選手で歴代最多出場選手である。
エピソード
- 弟の力とはポジション(力はFW)と身長(陸の方がやや低い)に違いがあるが、その他にも、大学時代の監督である望月は「陸はしっかり者、力は陽気」と評し[5]、力は「陸の方が垂れ目」と見分け方をコメントしている[6]。
- 2016年11月22日、モデルの七菜香と結婚[50]。
- インドネシアにルーツがあり本人やクラブのインスタグラムにはインドネシアからの応援コメントが度々送られてくる。
- お笑い芸人のワッキーは「体が強くて、ケガも少ない。プレーもすごく安定していて、ミスが本当に少ないというのはDFにとって大事な能力だと思います。ちょっとやんちゃっぽく見えるのにラフプレーはしないし。クロスの精度も高くて、アーリークロスは抜群にいい。」「松田選手は監督が変わっても絶対に重宝される。これが選手としての能力の高さを表している。酒井宏樹選手とか、山根視来選手とか、日本の右サイドバックにはレベルの高い選手が多いので、なかなかチャンスが巡ってきていないですけど、どこかのタイミングで代表に呼んでほしいとずっと思っています。」と述べた[51]。
所属クラブ
- 大阪セントラルFCジュニア[1](大阪市立豊崎本庄小学校[9])
- 大阪セントラルFCジュニアユース[1](大阪市立豊崎中学校[9])
- 2007年 - 2009年 立正大学淞南高等学校
- 2010年 - 2013年 びわこ成蹊スポーツ大学スポーツ学部競技スポーツ学科[52]
- 2013年4月 - 同年12月 FC東京 (特別指定選手)
- 2014年 - 2015年 FC東京
- 2016年 - セレッソ大阪
個人成績
国内大会個人成績 | |||||||||||
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年度 | クラブ | 背番号 | リーグ | リーグ戦 | (リーグ杯) | (オープン杯) | 期間通算 | ||||
出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||||
日本 | リーグ戦 | リーグ杯 | 天皇杯 | 期間通算 | |||||||
2014 | FC東京 | 50 | J1 | 7 | 1 | 5 | 0 | 2 | 0 | 14 | 1 |
2015 | 9 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 11 | 0 | |||
2016 | C大阪 | 15 | J2 | 42 | 2 | - | 2 | 0 | 44 | 2 | |
2017 | 2 | J1 | 31 | 2 | 3 | 0 | 2 | 0 | 36 | 2 | |
2018 | 29 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 32 | 0 | |||
2019 | 33 | 1 | 6 | 0 | 0 | 0 | 39 | 1 | |||
2020 | 31 | 1 | 2 | 0 | - | 33 | 1 | ||||
2021 | 34 | 1 | 4 | 0 | 4 | 0 | 42 | 1 | |||
2022 | 33 | 0 | 10 | 0 | 1 | 0 | 44 | 0 | |||
2023 | |||||||||||
通算 | 日本 | J1 | 207 | 6 | 34 | 0 | 10 | 0 | 251 | 6 | |
日本 | J2 | 42 | 2 | - | 2 | 0 | 44 | 2 | |||
総通算 | 249 | 8 | 34 | 0 | 12 | 0 | 295 | 8 |
- 2013年は特別指定選手。
- その他公式戦
- 2016年
- J1昇格プレーオフ 2試合0得点
- 2018年
- FUJI XEROX SUPER CUP 1試合0得点
- 出場歴
タイトル
クラブ
- 関西大学選抜
- デンソーカップチャレンジサッカー (2012年[53])
- セレッソ大阪
- Jリーグカップ:1回(2017年)
- 天皇杯:1回(2017年)
- FUJI XEROX SUPER CUP:1回(2018年)
個人
- 関西学生サッカーリーグ1部 優秀選手賞 (2012年[54]、2013年[55])
- デンソーカップチャレンジサッカー ベストイレブン (2012年[56])
脚注
- 注釈
- 出典
- ^ a b c d びわこ成蹊スポーツサッカー部:No.5 松田 陸 College Soccer Central
- ^ a b c 松田、長友になる 両SB挑戦大歓迎 東京中日スポーツ (2014年2月19日)
- ^ “【C大阪】右SB兼CBの松田陸「やることは変わらない」新布陣に手応え”. 2022年2月23日閲覧。
- ^ a b <新人紹介企画> 松田陸(上)DF転向で開花 東京中日スポーツ (2014年1月8日)
- ^ a b 松田力&陸、夢は一緒に日本代表 中日スポーツ (2013年11月12日)
- ^ a b 松田力と松田陸の見分け方 エル・ゴラッソweb版 BLOGOLA (2013年7月9日)
- ^ Jリーグを舞台に幕を開けたある双子の物語 うり二つの兄弟がともに誓う約束とは (1/4) Soccer Magazine ZONE WEB (2014年4月30日)
- ^ a b c d e Jリーグを舞台に幕を開けたある双子の物語 うり二つの兄弟がともに誓う約束とは (2/4) Soccer Magazine ZONE WEB (2014年4月30日)
- ^ a b c d TOKYO MANIA Connect 182ch (2014年7月31日)
- ^ 高校サッカー島根大会 立正大淞南逆転V 47NEWS (2008年11月11日)
- ^ a b 島根県高校サッカー 立正大淞南2連覇 47NEWS (2009年11月10日)
- ^ <高校MOM47>立正大淞南DF松田陸主将(3年) 抜群の身体能力 ゲキサカ (2009年8月3日)
- ^ 立正大淞南、奇策と堅守の勝利 (2/2) スポーツナビ (2009年12月31日)
- ^ a b c C☆voice96 びわこ成蹊スポーツ大DF松田陸「東京の練習とか行って自信がついている」 ゲキサカ (2013年6月14日)
- ^ 第88回高校サッカー選手権展望(前編)広島観音〜前橋育英 スポーツナビ (2009年12月28日)
- ^ (川端暁彦)『Jの新人』東邦出版、2014年、126頁。
- ^ “「コイツには負けたくない」F東京入りの陸と名古屋加入の力、びわこ成蹊スポーツ大の「松田ツインズ」が入団会見”. 2022年3月14日閲覧。
- ^ OFFICIAL MATCH DAY PROGRAM (PDF) 関西学生サッカー連盟 (2010年4月3日)
- ^ “「コイツには負けたくない」F東京入りの陸と名古屋加入の力、びわこ成蹊スポーツ大の「松田ツインズ」が入団会見”. 2022年3月14日閲覧。
- ^ MOM228 びわこ成蹊スポーツ大DF松田陸(4年) F東京特別指定の強力SBが別格の動き ゲキサカ (2013年5月7日)
- ^ 2013年JFA・Jリーグ特別指定選手 (4月16日付承認) 日本サッカー協会 (2013年4月18日)
- ^ 松田陸選手 JFA・Jリーグ特別指定選手承認のお知らせ FC東京 (2013年4月18日)
- ^ a b c d 「コイツには負けたくない」F東京入りの陸と名古屋加入の力、びわこ成蹊スポーツ大の「松田ツインズ」が入団会見 ゲキサカ (2013年11月12日)
- ^ a b 双子「代表で一緒に」びわこ成蹊大・松田兄弟J1入団 京都新聞 (2013年11月11日)
- ^ 試合結果 FC東京
- ^ “”. 2013年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月7日閲覧。 スポーツ報知 (2013年7月6日)
- ^ 松田 陸 選手(びわこ成蹊スポーツ大学) 来季新加入内定のお知らせ FC東京 (2013年11月1日)
- ^ ユニフォーム要項 (PDF) Jリーグ (2014年)
- ^ a b 目標は長友、背番号50の松田陸「いずれは『0』を消す」 ゲキサカ (2014年1月18日)
- ^ Jリーグを舞台に幕を開けたある双子の物語 うり二つの兄弟がともに誓う約束とは (3/4) Soccer Magazine ZONE WEB (2014年4月30日)
- ^ 【J1:第10節 F東京 vs 名古屋】マッシモフィッカデンティ監督(F東京)記者会見コメント J's GOAL (2014年4月29日)
- ^ 【ヤマザキナビスコカップ F東京 vs 清水】マッシモフィッカデンティ監督(F東京)記者会見コメント J's GOAL (2014年5月21日)
- ^ Jリーグを舞台に幕を開けたある双子の物語 うり二つの兄弟がともに誓う約束とは (4/4) Soccer Magazine ZONE WEB (2014年4月30日)
- ^ FC東京 新人松田 プロ初得点も「素直に喜べない」 スポーツニッポン (2014年10月26日)
- ^ 東京DF松田獲得へ、C大阪と福岡がPO延長争奪戦 日刊スポーツ (2015年12月8日)
- ^ C大阪 FC東京DF松田獲りへ! 争奪戦一歩リード スポーツニッポン (2015年12月28日)
- ^ 松田陸 選手 セレッソ大阪へ完全移籍のお知らせ FC東京 (2016年1月8日)
- ^ FC東京 松田陸選手 完全移籍加入のお知らせ セレッソ大阪 (2016年1月8日)
- ^ 『エルゴラッソ イヤーブック2016 (J1・J2リーグシーズンレビュー)』三栄書房、2016年、104頁。
- ^ “2018年選手別レビュー|松田陸編”. 2022年2月23日閲覧。
- ^ “2017年選手別レビュー|松田陸編”. まいど!セレッソ. 2022年2月23日閲覧。
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- ^ “続 セレッソ・アイデンティティ|第24回:膨らむ期待、ロティーナ・セレッソの船出”. まいど!セレッソ. 2022年2月23日閲覧。
- ^ “【C大阪】右SB兼CBの松田陸「やることは変わらない」新布陣に手応え”. 2022年2月23日閲覧。
- ^ “2020明治安田生命J1リーグ 第34節”. セレッソ大阪公式サイト. 2022年2月23日閲覧。
- ^ “松田陸がC大阪と契約更新、弟・松田力との共闘を「夢がこのチームで叶った」”. 2022年2月23日閲覧。
- ^ “2021明治安田生命J1リーグ 第27節”. セレッソ大阪公式サイト. 2022年2月23日閲覧。
- ^ “C大阪DF松田陸 モデルの七菜香と入籍「夫婦2人で幸せな家庭を」”. スポニチアネックス. (2016年11月22日)2016年11月22日閲覧。
- ^ “ペナルティ ワッキーが選んだこだわりのJリーグベストイレブン。「ピッチに3人いる」「ものまねするくらい好き」という選手とは?”. 2022年12月20日閲覧。
- ^ サッカー部の松田陸、松田力が「JFA・Jリーグ特別指定選手」として承認されました。 びわこ成蹊スポーツ大学
- ^ 公式記録 第27回デンソーカップチャレンジサッカー 島原大会 (PDF) 日本サッカー協会
- ^ 2012年度 第90回 関西学生サッカーリーグ 表彰一覧 (1部) (PDF) 関西学生サッカー連盟
- ^ 2013年度 第91回 関西学生サッカーリーグ 表彰一覧(1部) (PDF) 関西学生サッカー連盟
- ^ 第27回デンソーカップチャレンジサッカー 島原大会 最優秀選手・ベストイレブン (PDF) 全日本大学サッカー連盟
関連項目
外部リンク
- 松田陸 - Soccerway.com (英語)
- 松田陸 - Soccerbase.comによる選手データ (英語)
- 松田陸 - WorldFootball.net (英語)
- 松田陸 - Transfermarkt.comによる選手データ (英語)
- 松田陸 - J.League Data Siteによる選手データ
- 松田陸 - TheFinalBall.com (英語)
- 松田陸 (100003105094080) - Facebook
- 松田陸 (@rikkun05) - Twitter
- 松田陸 (@riku_matsuda_02_official) - Instagram
- TOKYO PLAYER INTERVIEWS #18 松田陸 - YouTube (2013年8月7日)
- F.C.TOKYO PLAYER PROFILES #17 松田陸 - YouTube (2015年8月5日)
- - ウェイバックマシン(2015年7月11日アーカイブ分) - FC東京
- プロフィール - セレッソ大阪