小深田 大翔(こぶかた ひろと、1995年9月28日 - )は、兵庫県佐用郡佐用町出身のプロ野球選手(内野手、外野手)。右投左打。東北楽天ゴールデンイーグルス所属。
経歴
プロ入り前
小学校1年からソフトボールを始める[2]。中学生時代はヤングリーグの佐用スターズに所属し遊撃手を務めていた[2]。
神戸国際大学附属高等学校に進学するも、3年夏は県大会2回戦で敗退し甲子園出場経験はなかった[2]。高校の同級生に蔵本治孝がいる。
進学した近畿大学では1年春から試合に出場し、関西六大学野球リーグでの通算成績は107安打、2年春、4年春、4年秋とベストナインを3度受賞している[2][3]。
大学卒業後は大阪ガスに入社し、1年目の都市対抗野球大会では遊撃のレギュラーとして全5試合に出場し初優勝に貢献。若獅子賞を受賞した[2][4]。
2019年10月17日に行われたプロ野球ドラフト会議において、東北楽天ゴールデンイーグルスから1巡目で指名を受け、11月10日に契約金1億円、年俸1,500万円(推定)で仮契約を結んだ[5]。背番号は0。
楽天時代
2020年は開幕一軍入りを果たし、6月19日の開幕戦・対オリックス・バファローズ戦(京セラドーム大阪)で9回裏に遊撃手の守備固めとして初出場[6]。開幕直後は代走や守備固めが多かったが、6月30日の対千葉ロッテマリーンズ戦(楽天生命パーク)では途中出場で東條大樹からプロ初安打を放ち[7]7月4日の対ロッテ戦では「1番・二塁手」でプロ初のスタメン出場[8]。7月15日の対埼玉西武ライオンズ戦(楽天生命パーク)では7回2死満塁という場面で浜屋将太から走者一掃となるタイムリーツーベースヒットを放ち、プロ初打点を記録した。その後は茂木栄五郎との兼ね合いで二塁と遊撃でスタメン出場が続いたが、茂木がコンディション不良で遊撃を守れない試合が増えていき小深田の遊撃でのスタメン出場が多くなっていき、最終的には「1番・遊撃手」として定着。9月27日の対西武戦(メットライフドーム)ではに松本航からプロ初ホームランも放ち[9]、最終戦まで離脱することなく試合出場を重ね、最終的に112試合に出場しルーキーイヤーながら規定打席に到達。打率.288とリーグ6位の好成績を残し、ベストナイン遊撃手部門で1位の源田壮亮の161票に次ぐ103票を獲得[10]。新人王の投票では平良海馬の144票に次ぐ125票を獲得した[11]。オフにはスピードアップ賞を受賞し[12]、1800万円増となる推定年俸3300万円で契約を更改した[13]。
2021年は開幕ゲームの対北海道日本ハムファイターズ戦(楽天生命パーク)を「2番・遊撃手」で先発出場。その後は昨年同様「1番・遊撃手」として試合に出場した。交流戦前まで打率.214と打撃が低調であったが、交流戦に入ると調子を上げ[14]、7月5日に監督推薦でオールスターゲームへの初出場が決まった[15]。しかし7月以降は再び打撃が低調となり、また前年と比べ失策が増加[16]。9月に入ると山﨑剛が浅村栄斗の欠場により出場機会を得て評価を高め、浅村がスタメンに復帰すると山﨑が1番遊撃に抜擢され、小深田はベンチスタートとなる試合が増えていった[17]。10月はスタメン出場が無く、代走や代打での出場となったが、シーズン最終戦の対ロッテ戦(楽天生命パーク)では8回に代打として佐々木千隼から決勝タイムリーを放った[18]。最終的にレギュラーシーズンでは新人から2年連続で規定打席には到達したが、121試合の出場で打率.248・3本塁打・21打点という成績にとどまった。その後フェニックスリーグへ参加し、ポストシーズンを見据えて中堅手として実戦経験を積んだが[19]、チームはクライマックスシリーズファーストステージで敗退し、小深田自身も代打出場1試合のみに終わった。オフに400万円増となる推定年俸3700万円で契約を更改した[20]。
2022年は開幕ゲームの対ロッテ戦(楽天生命パーク)を「9番・中堅手」として先発出場したものの、遊撃手のポジションは昨年から山﨑剛が確保していたため、ベンチを温める試合が続いていたが、4月21日の対日本ハム戦(楽天生命パーク)で先発出場すると、5打数2安打3打点を記録しお立ち台に上がる活躍を見せ[21]、その後は「2番・遊撃手」としてショートのレギュラーを奪い返した。オールスターゲームにも代替選手としてではあるが2年連続の出場を果たした。[22]。シーズンでは内野手だけではなく、外野手としても一定の試合に出場し、最終的には打率.267、2本塁打、29打点の成績を残し、盗塁ではキャリアハイとなる21盗塁を記録した。また新人から3年連続で規定打席にも到達した。オフには2020年以来2度目のスピードアップ賞を受賞して[23]、1300万円増となる推定年俸5000万円で契約を更改した[24]。
選手としての特徴・人物
50メートルは5秒9で、一塁までのタイムは3秒78と、走力については即戦力と評される[25]。広い守備範囲と内野であればどこでも守れる器用さが持ち味[25][2]。打撃については内角を苦にせず引っ張ることができ、シュアな打撃が評価されている[25][2]。
愛称は「コブちゃん」[26]。
近畿大学時代、プロ野球No.1決定戦!バトルスタジアムにデモンストレーション役として出演したことがある[28]。
詳細情報
年度別打撃成績
年 度 | 球 団 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 二 塁 打 | 三 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 打 | 犠 飛 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 楽天 | 112 | 437 | 378 | 61 | 109 | 16 | 5 | 3 | 144 | 31 | 17 | 9 | 11 | 2 | 42 | 0 | 4 | 59 | 5 | .288 | .364 | .381 | .745 |
2021 | 121 | 455 | 391 | 60 | 97 | 10 | 3 | 3 | 122 | 21 | 5 | 5 | 16 | 1 | 44 | 0 | 3 | 65 | 1 | .248 | .328 | .312 | .640 | |
2022 | 118 | 479 | 424 | 54 | 113 | 16 | 5 | 2 | 145 | 29 | 21 | 7 | 12 | 3 | 37 | 0 | 3 | 65 | 6 | .267 | .328 | .342 | .670 | |
通算:3年 | 351 | 1371 | 1193 | 175 | 319 | 42 | 13 | 8 | 411 | 81 | 43 | 21 | 39 | 6 | 123 | 0 | 10 | 189 | 12 | .267 | .339 | .345 | .684 |
- 2022年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
年度別守備成績
年 度 | 球 団 | 二塁 | 三塁 | 遊撃 | 外野 | ||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | 試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2020 | 楽天 | 21 | 44 | 40 | 1 | 7 | .988 | - | 98 | 113 | 206 | 7 | 34 | .979 | - | ||||||||||
2021 | 2 | 2 | 3 | 0 | 0 | 1.000 | - | 109 | 134 | 229 | 12 | 38 | .968 | - | |||||||||||
2022 | 19 | 24 | 24 | 0 | 1 | 1.000 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 95 | 133 | 216 | 10 | 36 | .972 | 10 | 11 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | |
通算 | 42 | 70 | 67 | 1 | 8 | .993 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 302 | 380 | 651 | 29 | 108 | .973 | 10 | 11 | 1 | 0 | 0 | 1.000 |
- 2022年度シーズン終了時
表彰
- スピードアップ賞:2回(打者部門:2020年、2022年)
記録
- 初記録
- 初出場:2020年6月19日、対オリックス・バファローズ1回戦(京セラドーム大阪)、9回裏に鈴木大地に代わり遊撃手として出場
- 初打席:2020年6月20日、対オリックス・バファローズ2回戦(京セラドーム大阪)、8回表に神戸文也から二塁ゴロ
- 初盗塁:同上、6回表に二盗(投手:山田修義、捕手:若月健矢)
- 初安打:2020年6月30日、対千葉ロッテマリーンズ1回戦(楽天生命パーク宮城)、7回裏に東條大樹から中前安打
- 初先発出場:2020年7月4日、対千葉ロッテマリーンズ5回戦(楽天生命パーク宮城)、1番・二塁手として先発出場
- 初打点:2020年7月15日、対埼玉西武ライオンズ2回戦(楽天生命パーク宮城)、7回裏に浜屋将太から左中間3点適時二塁打
- 初本塁打:2020年9月27日、対埼玉西武ライオンズ17回戦(メットライフドーム)、7回表に松本航から右越ソロ
- その他の記録
背番号
- 0(2020年 - )
登場曲
脚注
- ^ “楽天 - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2022年11月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g “関西社会人ナンバーワン野手の大阪ガス・小深田 快音響かずも決勝ホーム 遊撃の守備でも軽快な動き”. スポーツニッポン. (2019年9月28日)2020年4月12日閲覧。
- ^ “関大から3人選出、秋季ベストナイン 関西学生野球”. 日刊スポーツ. (2017年10月26日)2020年4月12日閲覧。
- ^ “小深田大翔(大阪ガス) 攻守走で魅了する勝負の2年目/「黒獅子旗」奪取へのキーマン”. 週刊ベースボールONLINE (2019年7月12日). 2021年4月30日閲覧。
- ^ “楽天ドラ1小深田 契約金1億円、年俸1500万円で合意 武器はイチ流の“アシ””. スポーツニッポン (2019年11月11日). 2021年7月17日閲覧。
- ^ “楽天ドライチ・小深田の1年目、オコエ、辰己と比べてみると……”. 週刊ベースボールONLINE (2020年7月3日). 2021年7月17日閲覧。
- ^ “楽天のドラフト1位・小深田がプロ初安打「ホッとしました」”. Sponichi Annex (2020年6月30日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “楽天1位小深田プロ初スタメン「良かった」監督評価”. 日刊スポーツ (2020年7月4日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “楽天のドラ1・小深田が誕生日前日にプロ初本塁打「しっかり捉えられた」”. ベースボールキング (2020年9月27日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “2020年度 表彰選手 投票結果(ベストナイン)”. 日本野球機構. 2020年12月17日閲覧。
- ^ “2020年度 表彰選手 投票結果(最優秀新人)”. 日本野球機構. 2020年12月17日閲覧。
- ^ “楽天・小深田 スピードアップ賞を初受賞 「1年目からこのような賞を頂けてうれしい」”. Sponichi Annex (2020年12月16日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “楽天小深田1800万円増 藤田一也に弟子入り志願”. 日刊スポーツ (2020年11月26日). 2021年7月17日閲覧。
- ^ ““内野の要”ショートは機能しているか? パ・リーグ6球団「遊撃手」事情”. 週刊ベースボールONLINE (2021年6月12日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “球宴の監督推薦は楽天から5人選出 パ・リーグ打点王の島内は守備でアピール?「僕のグラブさばき見て」”. Sponichi Annex (2021年7月5日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “「もっと強いボールが行く投げ方を」楽天の正遊撃手・小深田大翔の失策が増えた理由とは?”. 週刊ベースボールONLINE (2021年8月25日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “【楽天】山崎剛が先制V三塁打!ラストスパートへ“起爆剤””. スポーツ報知 (2021年9月16日). 2021年9月19日閲覧。
- ^ “楽天・小深田、代打で殊勲打「最後の最後で打つことができてめちゃくちゃうれしい」”. サンスポ (2021年10月27日). 2021年11月19日閲覧。
- ^ “【巨人】高橋優貴が先発 フェニックス・リーグ最終戦スタメン”. スポーツ報知 (2021年11月1日). 2021年11月19日閲覧。
- ^ “楽天・小深田が400万円アップで2年連続昇給も「成績に納得できない悔しいシーズン」”. Sponichi Annex (2021年11月25日). 2021年11月26日閲覧。
- ^ “【楽天】小深田大翔「絶対に打つ」走者一掃逆転打「後手に回らずしっかりスイング」石井監督分析 - プロ野球 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2023年2月21日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “楽天 小深田選手が代替選出 プロ野球オールスターゲーム|NHK 東北のニュース”. NHK NEWS WEB. 2023年2月21日閲覧。
- ^ “【楽天】小深田大翔 2年ぶりスピードアップ賞「またいただくことが出来てうれしく思います」 - プロ野球 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2023年2月21日閲覧。
- ^ “【楽天】小深田大翔1300万円増、入団から3年連続規定打席評価 理容室営む父へバリカン贈る - プロ野球 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2023年2月21日閲覧。
- ^ a b c “大阪ガス・小深田は楽天1位 抜群走塁センス”. 日刊スポーツ. (2019年10月16日)2020年4月12日閲覧。
- ^ “楽天・石井GM、新人に愛称指令!ドラ1小深田は「コブちゃん」ドラ2黒川「クロちゃん」 - スポニチ Sponichi Annex 野球”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年11月26日閲覧。
- ^ “楽天ドラ1小深田「近本超え」で新人王獲る!憧れは西武・源田「遊撃レギュラー獲りたい」”. 日刊スポーツ. (2019年10月24日)2020年4月12日閲覧。
- ^ bat_staのツイート(1343874409329696768)
- ^ “選手登場曲|東北楽天ゴールデンイーグルス”. 楽天イーグルス オフィシャルサイト. 2020年11月8日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 個人年度別成績 小深田大翔 - NPB.jp 日本野球機構
- 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)、The Baseball Cube