経歴
北海道余市郡余市町出身。北海道小樽潮陵高等学校、北海学園大学経済学部を卒業し、北海道庁総務部札幌北道税事務所に勤務[1]。
1989年から中村建設株式会社に入社し、1993年より代表取締役に就任[1]。北海道PTA連合会会長、日本PTA全国協議会副会長、(社)日本青年会議所道南ブロック会長等を務めた。
2003年、当時の北海道4区選出の衆議院議員である佐藤静雄の影響を受け、北海道議会議員(後志管内)へ出馬し、トップ当選[2][3]。その後、3期連続で当選を果たした。
2012年の第46回衆議院議員総選挙において、北海道4区(札幌市手稲区・後志管内)から自由民主党公認で出馬。民主党の元経済産業大臣だった鉢呂吉雄に比例復活を許さず、初当選を果たした。
2014年の第47回衆議院議員総選挙でも、鉢呂に比例復活を許さず、再選となった。
2017年の第48回衆議院議員総選挙では、立憲民主党の本多平直と希望の党の高橋美穂を破って3選(本多は比例復活)。
2018年の第4次安倍改造内閣で文部科学政務官に就任 [4]。就任後は幼児教育の無償化、公立小中学校に対する1人1台のパソコン・タブレットの支給実現に取り組んだ[5]。
2021年自由民主党総裁選挙においては、自身と同じ麻生派に所属する河野太郎では無く、積極的な財政出動で景気浮揚と国土強靱を目指す高市早苗の支持を表明[6]。
2021年10月に発足した第1次岸田内閣で農林水産副大臣に任命された[7]。
同年10月13日、日本共産党は第49回衆議院議員総選挙で立憲民主党と競合する22の選挙区で候補者取り下げを発表[8]。北海道4区も共産党小樽地区委員会副委員長の松井真美子が立候補を見送った。この結果、中村は不適切発言で辞職した本多平直に代わり立憲民主党公認候補として出馬した大築紅葉との一騎打ちとなった[9]。選挙期間中、中村の応援演説に駆けつけた麻生太郎が「温暖化で北海道の米がうまくなった」等と発言したことが物議を醸し[10]、開票日(10月31日)直前は大築に先行を許したとの報道もあったが[11]、僅か696票差で大築を上回り、4選を果たした(大築は比例復活で初当選)[12][13][14]。
IR汚職事件
資金提供を巡る問題
統合型リゾート(IR)事業をめぐり、秋元司と共に逮捕された500ドットコムより、2017年9月頃に衆議院議員5名へ100万円を渡したとする供述があり、中村の名前も挙げていたことから、2019年末に東京地検特捜部からの捜査を受けた[15]。これに対して中村は、500ドットコムからの資金提供は無く、加森観光代表取締役会長の加森公人から200万円の寄付があり、うち100万円を自身のセミナーの講師として来た岩屋毅へ寄付し、収支報告書上へも記載したと説明した[16][17]。
2020年2月3日、東京地検特捜部は、500ドットコム側から計約385万円相当の賄賂を受け取ったとして、収賄罪で秋元を追起訴したが、政治資金規正法違反罪で起訴が検討された中村、岩屋ら衆議院議員5人の立件は見送られた[18][19]。
政策・主張
憲法
- 改正すべき項目として「自衛隊の保持を明記する」「家族の尊重や家族間の相互扶助に関する条項を新設する」「各都道府県から必ず1人は参議院議員を選出するよう明記する」「緊急事態に関する条項を新設する」と主張[21]。
北海道関連
- 北海道唯一の原子力発電所である泊発電所再稼働に関し、2021年10月時点の回答として、二酸化炭素を排出しない発電方法であり、再生可能エネルギーによる発電は電力供給量が不安定であることから、安全性を確認した上での再稼働容認の立場を取っている[24]。また、2014年のアンケートにおいても、「原子力規制委員会の審査に合格した原子力発電所は運転を再開すべきだ」との問いに「どちらかと言えば賛成」と回答している[25]。
- JR北海道在来線の維持について、2021年10月時点の回答として、小樽―余市間は利用者数が全道7番目と多いことから、維持存続を主張している。また、長万部―余市間については、新幹線が通る倶知安町を起点としたバス路線を拡充し、バスへの転換を進めるべきとしている[24]。
- 道路除雪費国庫補助金の拡大(札幌2.5倍、小樽後志1.7倍)、手稲IC小樽方面行き乗口の新設決定、高速道路の共和~余市間新規事業化実現等[26]、インフラ関連の政策を重要視している。
外交・安全保障
- 「日本の防衛力はもっと強化すべきだ」について、2021年のアンケートで「賛成」と回答[25]。
- 「他国からの攻撃が予想される場合には敵基地攻撃もためらうべきではない」との問題提起に対し、2021年のアンケートで「賛成」と回答[21]。
ジェンダー
- 2021年1月、選択的夫婦別姓の導入反対を求める文書を地方議会議長に郵送した(後述)[27]。
- 同性婚を可能とする法改正について、2021年のNHKのアンケートで「どちらかといえば反対」と回答[22]。「同性婚を制度として認めるべきだと考るか」との2021年の毎日新聞社のアンケートに対し「認めるべきでない」と回答[23]。
消費税
- 新型コロナウイルスを取り巻く状況を踏まえ「消費税0%の検討」を掲げた日本の未来を考える勉強会の副会長を務め、『国民を守るための「真水100兆円」令和2年度第2次補正予算に向けた提言』に賛同している[31]
その他
- 森友学園への国有地売却をめぐる公文書改竄問題で、2021年5月6日、国は「赤木ファイル」の存在を初めて認めた[32]。しかし5月13日、菅義偉首相はファイルの存在を踏まえた再調査を行わない考えを報道各社に書面で示した[33]。9月の自民党総裁選挙で総裁に選出された岸田文雄も10月11日、衆議院本会議の代表質問で再調査の実施を否定した[34]。国の対応をどう考えるかとの問いに対し、同年の毎日新聞社のアンケートで「これ以上、調査や説明は必要ない」と回答[23]。
- 受動喫煙防止を目的に飲食店等の建物内を原則禁煙とする健康増進法改正に反対。自身のブログにおいて「分煙を徹底し店前に表示することにより、喫煙者も非喫煙者も飲食店等経営者もビルオーナーも葉タバコ農家もタバコ販売店も、権利を守ることができる」と主張している[36]。
- 「大企業や所得の多い人への課税を強化し、国の財源に充てることについてどう考えるか」について、2021年のアンケートで「賛成」と回答[22]。
- 「国会議員に定年を設けることの必要性をどう考えるか」について、2021年のアンケートで「どちらかといえば必要」と回答[22]。
人物
統一教会との関係
- 2014年12月14日に行われた総選挙後の同月21日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関係者を中心に構成された自身の支援組織「裕世会」の幹部らと面会した。中村は統一教会の北海道地区幹部を務めた人物と握手する写真をブログに載せ、「献身的に応援して下さった皆様です」とコメントを添えた[37][38]。
- 2021年6月11日、統一教会の関連団体「天宙平和連合」が創設した世界平和国会議員連合の議員連盟「日本・世界平和議員連合懇談会」の総会に、中村を含む国会議員20名が出席した[39][40]。教団は同年10月の衆院選に立候補した議連参加者の支援を熱心に行った[39]。
- 2022年6月13日、「日本・世界平和議員連合懇談会」は総会を開催し、中村は幹事に就任した。顧問で国際勝共連合会長の梶栗正義が講演し、その際に統一教会の関連団体「平和政策研究所(IPP)」が発行する「政策情報レポート」が配られた。[41]。
- 2022年8月、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりについて問われた北海道新聞のアンケートに対し、「選挙の手伝いを受けた」「関連団体のイベントに出席した」と回答した[42]。
その他
- 衆議院議員当選後は麻生派に所属。
- 安倍晋三から「一緒にいると、こっちもおおらかになる」と評された[43]。
- 2021年現在も出身地である余市町に在住している[43]。
- トドの食害対策に関心を示しており、対策拡充を呼び掛けている[44]。
- 喫煙者であり、超党派の議員連盟であるもくもく会にも所属している[45]。
- 2021年1月30日、中村ら自民党国会議員有志50人は、47都道府県議会議長のうち同党所属の約40人に、選択的夫婦別姓の導入に賛同する意見書を採択しないよう求める文書を郵送した。一部の地方議員や市民団体は、地方議会の独立性を脅かす行為であると批判した[27][46][47][48][49]。
所属団体・議員連盟
- 日本の未来を考える勉強会(副会長)
- 世界平和国会議員連合
- 自民党たばこ議員連盟[50]
- もくもく会[45]
- 日本会議国会議員懇談会[51]
- 神道政治連盟国会議員懇談会[51]
- みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会[51]
- 水産物に親しむ給食プロジェクトチーム(座長)[52]
- 自民党パークゴルフ普及振興議員連盟[53]
- 石油流通問題議員連盟[54]
- 物流倉庫議員連盟[55]
- ジビエ議員連盟[56]
- 医師偏在と良質な地域医療を考える勉強会[57]
- 木造住宅振興議員連盟
- 子どもの貧困対策推進議員連盟
- 有用微生物利活用推進議員連盟[58]
- アイヌ政策を推進する議員の会[1]
- 国際観光産業振興議員連盟[1]
脚注
- ^ a b c d “プロフィール”. 中村裕之 オフィシャルWEBサイト. 2015年4月13日閲覧。
- ^ “衆議院議員 中村裕之氏 インタビュー”. 選挙ドットコム. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “北海道議会議員選挙(2003年4月13日)”. 統一地方選挙・前半戦(2003年4月13日). 2017年9月22日閲覧。
- ^ “第4次安倍改造内閣 副大臣25人、政務官27人の顔ぶれ”. 産経新聞. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “政策提言”. 中村裕之オフィシャルWEBサイト. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “道4区中村氏は高市氏支持 自民総裁選 財政出動など評価 強い保守色、地元懸念も”. 北海道新聞. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “農林水産副大臣に任命いただきました。”. 中村ひろゆきオフィシャルWEBサイト. 2021年10月29日閲覧。
- ^ 佐野格 (2021年10月13日). “共産党、22選挙区で候補取り下げ 野党一本化目的に”. 毎日新聞2021年11月3日閲覧。
- ^ “ニセコ地区で双方第一声 北海道4区で一騎打ち 与野党の訴えは”. 朝日新聞. 2021年11月1日閲覧。
- ^ “麻生副総裁「温暖化で北海道の米がうまくなった」発言で疑われる自民温暖化対策への本気度”. 東京新聞. 2021年11月1日閲覧。
- ^ “[衆院選2021]終盤情勢 北海道の注目選挙区”. 読売新聞. 2021年11月1日閲覧。
- ^ “696票差で敗れるも比例復活、立憲の大築氏が意気込み 北海道4区”. 朝日新聞. 2021年11月1日閲覧。
- ^ “衆議院選挙2021 北海道(札幌・函館など)開票速報・選挙結果”. 衆議院選挙2021特設サイト. NHK. 2021年11月1日閲覧。
- ^ “【2021年 衆院選】北海道ブロック(比例区)開票速報”. 衆議院選挙(2021年総選挙)特設サイト. 朝日新聞社. 2021年11月18日閲覧。
- ^ “IR汚職、5衆院議員を任意聴取”. ロイターニュース (トムソン・ロイター). (2020年1月3日) 2021年5月12日閲覧。
- ^ “IR汚職 議員への資金提供「中国企業が原資」と供述”. AERA (朝日新聞出版). (2020年2月3日) 2021年5月12日閲覧。
- ^ “1月3日の読売新聞の記事について。”. 中村裕之 オフィシャルWEBサイト. (2020年1月4日)2021年8月8日閲覧。
- ^ “収賄罪で秋元司議員を追起訴”. ロイター (2020年2月3日). 2022年7月27日閲覧。
- ^ “IR汚職、5議員の立件見送り=金額など考慮か―東京地検”. 時事通信 (時事通信社). (2020年2月3日) 2021年5月12日閲覧。
- ^ a b c d e “中村裕之”. 2017衆院選 候補者アンケート(朝日・東大谷口研究室共同調査). 朝日新聞社. 2021年10月22日閲覧。
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- ^ a b c “自民 北海道4区 中村裕之”. 第49回衆院選. 毎日新聞社. 2022年6月7日閲覧。
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- ^ 石井潤一郎 (2021年5月13日). “菅首相、再調査を否定 「赤木ファイル」所在確認も”. 朝日新聞. 2023年5月12日閲覧。
- ^ 皆川剛 (2021年10月11日). “岸田首相、森友問題再調査を否定 赤木さん妻「再調査を期待していたので残念」”. 東京新聞. 2023年5月12日閲覧。
- ^ “特定秘密保護法 国会議員の投票行動”. 東京新聞. 2014年12月13日閲覧。
- ^ “2月9日朝、厚生労働部会では受動喫煙防止法案に対し反発の意見が相次いだ。”. 中村裕之オフィシャルWEBサイト (2017年2月9日). 2018年8月8日閲覧。
- ^ HTB北海道ニュース (2022年8月1日). “【独自】「献身的に応援して下さった…」自民・中村裕之衆院議員がブログに 「旧統一教会」後援組織の支援”. YouTube. 2022年8月2日閲覧。
- ^ “12月21日昼、中村裕之を応援する「裕世会」の皆様にご挨拶に伺いました。”. 中村裕之オフィシャルWEBサイト. 2022年8月1日閲覧。
- ^ a b “”. TBS NEWS DIG. TBSテレビ (2022年7月26日). 2022年7月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ “原田義和 Facebook 2021年6月15日” (2021年6月15日). 2022年7月18日閲覧。
- ^ 今西憲之、吉崎洋夫 (2022年7月29日). “旧統一教会系団体に参院選の応援「希望する議員いれば記入を」 自民党が幹部の議連でアンケート”. AERA dot.. 2022年8月1日閲覧。
- ^ “道内国会議員21人、旧統一教会と「接点なし」 「あり」は4人 北海道新聞アンケート”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2022年8月5日) 2022年8月25日閲覧。
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- ^ “丸川大臣「残念すぎる」選択的夫婦別姓、反対議員50人へ質問状 市民団体”. 東京新聞. (2021年2月27日)2021年3月2日閲覧。
- ^ 奥野斐 (2021年4月1日). “選択的夫婦別姓 自民議員が反対派に思うこと「理解不足と差別思想を感じた」”. 東京新聞2021年4月7日閲覧。
- ^ “自民党たばこ議員連盟臨時総会(出席者)”. 2018年4月11日閲覧。
- ^ a b c 俵義文、日本会議の全貌、花伝社、2016年
- ^ “学校給食に魚介類を、自民党・水産物に親しむ給食PT”. 日刊水産経済新聞. 2017年10月21日閲覧。
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- ^ “物流倉庫議員連盟”. 中村裕之 オフィシャルWEBサイト. 2017年9月30日閲覧。
- ^ “ジビエ議員連盟”. 中村裕之 オフィシャルWEBサイト. 2017年9月30日閲覧。
- ^ “地域医療”. 中村裕之 オフィシャルWEBサイト. 2017年9月30日閲覧。
- ^ “プロフィール”. 中村裕之オフィシャルWEBサイト. 2018年12月17日閲覧。