ライトアップ(照射、映射、英: light up)とは、夜間に歴史的建造物、モニュメント、橋、タワー、樹木などを投光器などの機器や発光ダイオード(LED照明)などを用いて照明することで夜間景観を演出するもの[1][2]。照明を当て,昼間とは違った表情を演出すること。一般には街の活性化の手段として行われることが多い。
ライトアップに類似したものに,催しとして行われる電飾の手法がある。各地のクリスマス・電飾や神戸の大震災を期に始まったルミナリエなどがある。
街路灯などのように周囲を明るくするのではなく、対象物に効果的に光を当てることによって美しく浮かび上がらせることを目的としている。和製英語であり、英語では be動詞 + illuminated などと表現される。また、(フラッドライト)の使用が多いため、floodlighting、architectural floodlightingなどとも表現される。
反対語は「ライトダウン」で、こちらは都市の照明を極力落とす事で夜空の星などを楽しむこと。
概要
都市空間の様々な場所でライトアップが施されると、その都市の魅力につながり、都市ぐるみの計画的なライトアップは「都市照明」とも呼ばれる。
日本
日本における建造物ライトアップは、1963年に竣工した神戸ポートタワーから広まったとされる。
オイルショックの影響による停滞期を経て、石井幹子による東京タワーライトアップ(1989年)の頃より盛んになり、夜間の都市景観を形作る文化として定着するようになった。
近年は、フランスの(パトリス・ワルネル)により生み出されたライトアップ芸術である(クロモリット)が2001年に神戸旧居留地エリアで披露されるなど、祭典などで都市ぐるみの計画的なライトアップも施されるようになった。
自然環境
人工物でなく、自然環境に対して行う例もあり、ナイアガラの滝では100年ほどの歴史がある。
問題点
このような照明がエネルギーの浪費であることや、照明による景観の美化を過剰なものとして疑問視する向きもある。
また、自然環境への影響も問題視されている。
生物には日照時間を概日リズムや成長段階の調節に利用している例が多々あり、たとえば植物では開花時期が日長によって調節される例が多く知られる(長日植物・短日植物)が、人工的な照明がこれらに影響を与える可能性を無視できない。
このような一連の問題は光害と呼ばれる。
ライトアップの例
施設単独の例
- 塔 - さっぽろテレビ塔(照明学会ライトアップ優秀施設賞2003年)、神戸ポートタワー(照明学会照明普及会賞1963年)、東京タワー、京都タワー、名古屋テレビ塔、東京スカイツリー
- 城 - 姫路城、大阪城、名古屋城、福知山城
- 公共施設 - 東京都庁舎、兵庫県公館、大阪市中央公会堂、名古屋市市政資料館
- 駅舎 - 東京駅、門司港駅
- 橋 - 明石海峡大橋、瀬戸大橋、来島海峡大橋、関門橋、レインボーブリッジ、横浜ベイブリッジ、名港トリトン、水晶橋
- 博物館 - 東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、国立国際美術館、国立科学博物館、姫路市立美術館、佐川美術館
- 学校 - 吹屋小学校、龍谷大学、道都大学、立教大学
- 公園 - 上野恩賜公園
- 社寺 - 神戸モスク、高台寺、清水寺、浅草寺、寛永寺、柏原八幡神社
- その他 - 三井本館
エリア全体での例
イベント
一覧
以下は期間限定で行われているライトアップのイベント。
- 嵐電桜のトンネル(京福電鉄北野線 鳴滝 - 宇多野間。3月終わりから4月上旬の桜開花時)
- 貴船もみじ灯篭(貴船神社、貴船料理旅館街、叡山電鉄鞍馬線 市原 - 二ノ瀬間・紅葉のトンネルなど。11月の紅葉時)
(嵐電桜のトンネルおよび叡山電鉄紅葉のトンネルでは、ライトアップの時間帯に電車が同区間を走行する際に車内灯を一時消灯する)
ギャラリー
塔
神社仏閣
橋
トゥインクル揖斐川橋
公共建築
京都駅大階段
その他の建築物
上野製薬四日市工場。2007年6月
ピンクリボン運動でライトアップされた名古屋城。背後にJRセントラルタワーズ。2012年10月1日
自然
脚注
- 注釈
- 出典
関連項目
外部リンク
- 一般社団法人 夜景観光コンベンション・ビューロー