ナツハゼ(夏櫨、学名: Vaccinium oldhamii)は全国の山地・丘陵地に生育するツツジ科スノキ属の落葉低木。日本、朝鮮半島、中国原産。夏にハゼノキのような紅葉が見られることから名づけられた。
特徴
高さは1.5 - 3 mになる。樹皮は灰褐色で縦に裂け、薄い縦長の裂片となってはがれ落ちる。若い茎は赤褐色で稜があり、曲がった短い軟毛と開出した腺毛が生える。葉は長さ1 - 2 mmの葉柄をもって互生する。葉身は卵状楕円形で、長さ4 - 10 cm、幅2 - 5 cmになり、先端は鋭くとがり、縁は全縁。葉の両面に粗い毛がまばらに生え、縁には多数の腺毛が生える。トラフシジミの幼虫が食草としている[1]。
花期は5月から6月。新枝の先端に長さ3 - 4 cmの総状花序を出し、多数の花を下向きにつける。萼筒は腺毛が散生する杯形で、先端は5裂し裂片は三角形となり先端は鋭くとがる。花冠は赤みを帯びた黄緑色で、長さ4 - 5 mmあり、鐘形で先端は浅く5裂し、先は鈍く反曲する。雄蕊は10本ある。果実は径7 - 8mmになる球形の液果で、黒色に熟し食用になる。
分布と生育環境
種の保全状況評価
利用及び栽培
果実は10月から11月にかけて熟し、ブルーベリーに似た黒褐色になる。甘酸っぱいため、生食のほか、ジャムや果実酒に加工できる。
観賞用にも栽培されている。挿し木は6月。夏は乾燥を防ぐためにやや日陰になる場所に置く。剪定は開花後に行う。
なお都道府県別の収穫量では福島県がシェアの100 %を占める。
ギャラリー
花序(6月)
若い果実(7月)
樹皮は縦に裂ける。
下位分類
- ウラジロナツハゼ Vaccinium oldhamii Miq. f. glaucum (Koidz.) Hiyma - 葉の裏面が白色を帯びる品種
脚注
- ^ 須田真一 (2012)、129頁
- ^ “日本のレッドデータ検索システム「ナツハゼ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年7月3日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
参考文献
外部リンク
- 岡山理科大学植物生態研究室HP-ナツハゼ
- ナツハゼの標本(兵庫県飾磨郡夢前町で1966年10月9日に採集) (千葉大学附属図書館)
- Vaccinium oldhamii (The Plant List)(英語)