イイギリ(飯桐、椅、学名: Idesia polycarpa)は、ヤナギ科(クロンキスト体系など従来の分類ではイイギリ科とされていた)の落葉高木。和名「飯桐(いいぎり)」の由来は、昔、葉で飯を包んだためといわれる[2]。果実がナンテンに似るためナンテンギリ(南天桐)ともいう。イイギリ属の唯一の種。
分布
形態
落葉高木で、樹高8 - 21メートル (m) 、幹径50センチメートル (cm) 程度で、樹皮は灰白色でざらざらしている[2]。シュートは灰褐色で太い髄がある。葉は互生、枝先に束性する。葉身はキリやアカメガシワに似て幅広い心形で[2]、長さ8 - 20 cm、幅7 - 20 cm。表は暗緑色、裏は白っぽい。縁には粗い鋸歯がある。葉柄は4 - 30 cmと長くて赤く、先の方に1対の蜜腺がある(アカメガシワもこの点似ているが、蜜腺は葉身の付け根にある)。
花期は春(4 - 5月ごろ)[2]。花は小さく黄緑色で、香気があり、ブドウの房のように垂れ下がった13 - 30 cmの円錐花序をなす[2]。花弁はなく、萼片の数は5枚前後で一定しない。雌雄異株で雄花は直径12 - 16ミリメートル (mm) 、雌花は9 mmで子房上位。雄花には多数の雄蕊があり、雌花にも退化した雄蕊がある。果実は液果で直径5 - 10 mm。熟すと橙色から濃い赤紫になり、多数の2 - 3 mmの褐色の種子を含む。果実は落葉後も長く残り、遠目にも良く目立つ[3][4][5]。
利用
果実は生食可で、加工して食べられることもある[6]。
秋から冬に熟す多数の赤い果実が美しいので、(観賞用樹木)として、ヨーロッパ等を含む他の温帯域でも栽培される[4]。また生け花や装飾などの花材としても使われる[2]。白実の品種もある。
画像
幹
葉と花
果実
脚注
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Idesia polycarpa Maxim. イイギリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月4日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 143.
- ^ a b Flora of China: Idesia (genus page), Idesia polycarpa (species page)
- ^ a b Rushforth, K. (1999). Trees of Britain and Europe. Collins (ISBN 0-00-220013-9).
- ^ “イイギリ”. 森林総合研究所 九州支所. 2014年12月20日閲覧。
- ^ Tanaka, T. (1976). Cyclopaedia of Edible Plants of the World. Keigaku Publishing.