アンディ・ニューマーク(英語: Andy Newmark、1950年7月14日 - )は、アメリカ合衆国の白人ドラマーである。
来歴
ビートルズなどの影響を受け、10代からドラム演奏をやり始めた。10代後半にはプロとして活動をはじめ、1971年にカーリー・サイモンのアルバム『アンティシペイション』で初レコーディングを飾る。カーリー・サイモンのツアーに参加している際に、その演奏力が観客として来ていたスライ・ストーンの目に留まり、に 1973年から1975年までドラマーとして参加する。参加時に制作されたアルバム『フレッシュ』でのドラミングは、白人によるファンク演奏の中でも高く評価された[1]。
また、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのツアー中に知り合ったロン・ウッドのソロ・アルバムの制作に携わった。ロン・ウッドのアルバムでベーシストを務めたウィリー・ウィークスとは抜群の名コンビぶりを発揮した。1970年代の人気リズムセクションとして、アンディ・ニューマークとウィリー・ウィークスは、ミュージシャンから依頼が殺到する売れっ子となった。以降はイギリスとアメリカを往復しながら、スティーヴ・ウィンウッド、デヴィッド・ボウイ[2]、ゲイリー・ライト、BBキング、キャロル・キング、ラロ・シフリン、ジョージ・ハリスン、イーヴィ・サンズ、グランド・ファンク、マーク・ファーナー・バンド、リッキー・リー・ジョーンズ、トム・ヴァーライン・バンド、ロイ・ハーパー、ジム・キャパルディ、ロキシー・ミュージック、ジョン・レノン、ヨーコ・オノ、ジェームス・テイラーなど英米を代表するアーティストのレコーディングやツアーに参加し[3]、一流スタジオ・ミュージシャンとしての地位を確立した。
- 自身のキャリアにとってのハイライトは、敬愛していたジョン・レノンの『ダブル・ファンタジー』への参加であるとインタビューで語っている。制作中はジョン・レノンから、リンゴ(リンゴ・スター)のようにシンプルに叩いてくれと指示を受け、リンゴ・スターのグルーヴを心に刻みながら演奏した。制作を通じてジョン・レノンの人柄と音楽性に感銘を受け、以降は他の仕事をキャンセルしてまでジョンのために演奏しようと心に決めていた[4]。しかし、ジョンが暗殺されたことですべてがご破算になり、2年近く虚無状態に陥ったとインタビューで語っている。
- 日本のミュージシャンとも縁があり、野口五郎、吉田拓郎らのアルバムに参加した。彼が参加した今井美樹のアルバムでプロデュースを務めた布袋寅泰は、クリックを全く使用せず、曲の収録前にシンバルのカウントを1分近く続けることによって曲全体のグルーヴを築き上げていく彼のやり方に驚く半面、その方法論に深い感銘を受けた。
ディスコグラフィ
主な参加アルバム
- カーリー・サイモン : 『アンティシペイション』 - Anticipation (1971年)
- カーリー・サイモン : 『ノー・シークレッツ』 - No Secrets (1972年)
- : 『フレッシュ』 - Fresh (1973年)
- マリー・マックリアリー : 『マリー』 - Butterflies in Heaven (1973年)
- ロン・デイヴィス : 『U.F.O.』 - U.F.O. (1973年)
- キャロル・キング : 『喜びにつつまれて』(1974年)
- ジョージ・ハリスン : 『ダーク・ホース』 - Dark Horse (1974年)
- ロン・ウッド : 『俺と仲間』 - I've Got My Own Album To Do (1974年)
- カーリー・サイモン : 『ホットケーキ』 - Hotcakes (1974年)
- デヴィッド・ボウイ : 『ヤング・アメリカンズ』 - Young Americans (1975年)
- ジョン・レノン : 『ロックン・ロール』 - Rock 'n' Roll (1975年)
- ジェイムス・テイラー : 『ゴリラ』 - Gorilla (1975年)
- ロン・ウッド : 『ナウ・ルック』 - Now Look (1975年)
- カーリー・サイモン : 『人生はいたずら』 - Playing Possum (1975年)
- ラロ・シフリン : 『ブラック・ウィドウ』 - Black Widow (1976年)
- パトリック・モラーツ : 『ストーリー・オブ・アイ』 - The Story of I (1976年)
- カーリー・サイモン : 『見知らぬ二人』 - Another Passenger (1976年)
- デイヴィッド・マシューズ : 『シューギー・ワナ・ブギー』 - Shoogie Wanna Boogie (1976年)
- スティーヴ・ウィンウッド : 『スティーヴ・ウィンウッド』 - Steve Winwood (1977年)
- アービー・グリーン : 『ザ・フォックス』 - The Fox (1977年)
- ニーナ・シモン : 『ボルチモア』 - Baltimore (1978年)
- ニール・ラーセン : 『ジャングル・フィーヴァー』 - Jungle Fever (1978年)
- リチャード&リンダ・トンプソン : 『ファースト・ライト』 - First Light (1978年)
- ダン・フォーゲルバーグ : 『フェニックス』 - Phoenix (1979年)
- ジョージ・ハリスン : 『慈愛の輝き』 - George Harrison (1979年)
- ロキシー・ミュージック : 『(フレッシュ・アンド・ブラッド)』 - Flesh + Blood (1980年)
- ジョン・レノン : 『ダブル・ファンタジー』 - Double Fantasy (1980年)
- ロキシー・ミュージック : 『アヴァロン』 - Avalon (1982年)
- ABC : 『ビューティ・スタッブ』 - Beauty Stab (1983年)
- ピンク・フロイド : 『ファイナル・カット』 - The Final Cut (1983年)
- ロジャー・ウォーターズ : 『ヒッチハイクの賛否両論』 - The Pros And Cons Of Hitch Hiking (1984年)
- ブライアン・フェリー : 『ボーイズ・アンド・ガールズ』 - Boys And Girls (1985年)
- 吉田拓郎 : 『サマルカンド・ブルー』 (1986年)
- スティング : 『ナッシング・ライク・ザ・サン』 - Nothing Like the Sun (1987年)
- 氷室京介 : 『Memories Of Blue』 (1993年)
- 今井美樹 : 『PRIDE』 (1997年)
- トゥーリン・ブレイクス : 『ジ・オプティミスト・LP』 - The Optimist LP (2001年)
- デヴィッド・ギルモア : 『オン・アン・アイランド』 - On an Island (2006年)
- デヴィッド・ギルモア : 『飛翔』 - Rattle That Lock (2015年)
脚注
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- Andy Newmark interview. Keef Trouble interviews Andy Newmark.