のぶみ(1978年〈昭和53年〉4月4日[2] - )は、日本の絵本作家。代表作に「ぼく、仮面ライダーになる!」や「しんかんくん」、「ママがおばけになっちゃった!」といったシリーズがある[14][6]。「うちのウッチョパス」はNHK教育でアニメ化された[15][16]。「おかあさんといっしょ」の歌「おしりフリフリ」、「おっとっとのオットセイ」の作詞も担当した[17][18]。
来歴・人物
東京都品川区出身[3]で、実家はプロテスタントの教会[19]。少年時代はいじめを受けたり不登校になったり[14]、自殺をしようとしたこともあったいう[2][20]。日本児童教育専門学校に在学[4]。1999年2月発行[7]の『ぼくとなべお』でデビューするが[5][6][注 1]、2007年の『しんかんくんうちにくる』までなかなか作品が売れなかった[2][18]。
2011年、他の漫画家と共同で東日本大震災チャリティ同人誌『pray for Japan』で執筆[21]。震災から約2週間後のボランティア体験をまとめたエッセイ漫画『上を向いて歩こう!』(講談社)を刊行[11]。翌2012年には森川ジョージがこれを原作とした『会いにいくよ』を、『週刊少年マガジン』2012年31号から短期集中連載した[11][12]。また、同年には復興チャリティアイドル「あたまがふくしまちゃん」をデザインする[22][23]。
一方でEXILE・USA著「ダンスアース」シリーズ(木楽舎)のイラストも担当し[3][24]、2015年には内閣府子ども・子育て支援新制度(すくすくジャパン)のシンボルマーク制作に無償で協力[25]。同年に出版した『ママがおばけになっちゃった』は、賛否両論を呼ぶもののベストセラーとなる[19][26][20]。2016年には知人の全盲のカメラマン大平啓朗が製作した、世界初となる手話・字幕・音声ガイド付MV「プリチュー」の挿絵イラストにも協力した[27]。2016年時点で絵本は170冊以上出版され、『ママがおばけになっちゃった』は累計54万部に達した[14]。
2016年には「情熱大陸」に出演し、『いのちのはな』の制作過程が取り上げられた[14]。同年8月には[28]、シンガポールで話題となった「ママがスマホばっかりみてるから、ぼくはスマホになりたい」という小学生の作文を元にした絵本『ママのスマホになりたい』を刊行した[29]。また、キングコングの西野亮廣とはニコ生チャンネル「会議を見せるテレビ」を配信している[30]。2017年、2018年には「世界一受けたい授業」にも出演し、国語の先生として家族で読みたい絵本[31]や、2018年に読みたい絵本[32]を紹介した[33]。
2018年にはのぶみが作詞した楽曲「あたしおかあさんだから」が、(Hulu)の番組「だい!だい!だいすけお兄さん!!」において横山だいすけにより歌われたが批判を浴び[34][35](作詞の評価参照)、動画の該当部分は削除されるに至る[34][35]。この余波で仕事が激減したのぶみは、「達成しなかったら絵本作家引退!絵本を買う事ができない子どもたちに届けたい!」というクラウドファンディングをCAMPFIREで実施し、148%の資金を集めた[36][注 2]。一方、Tokyo FMの番組「サステナ*デイズ」では子どもが描いた絵を絵本にまとめる企画で絵本制作を担当し、2021年4月に公開された[37][38]。
その後、東ちづるから誘われて2021年開催の東京オリンピック・パラリンピック2020の文化プログラムに参加していたが、「役割を継続することはできない」として、出演を辞退した[39][20][40]。なお、2019年には幻冬舎ルネッサンス新社の「子育て絵本大賞」で選考委員長を[41][42]、幻冬舎グループ主催となった2022年の第2回「絵本コンテスト」では特別審査員を務めている[43][44]。
作風・評価
制作スタイル
自身の息子をモデルにした「かんたろう」、娘をモデルにした「アンちゃん」というキャラクターをいろいろな作品に登場させている[14]。「絵本の場合はエンドユーザーである母子の声を直接聞くことが大切」と考えており[6]、作品を作る際には多くの人に読み聞かせを実施し[14][6]、そこで得られた意見を踏まえて修正を重ねている[14][6]。制作には半年をかけ、読み聞かせは2000回に及ぶという[6]。「いのちのはな」は3000回以上読んでもらい、9か月を制作にかけた[14]。
絵本の評価
『ママがおばけになっちゃった!』は「Amazonランキング大賞2015(年間ランキング)」の絵本部門で1位、和書部門で13位となり[45]、絵本雑誌『MOE』の第8回MOE絵本屋さん大賞2015では第6位[46]、キノベス!2016でも第9位になった[47]。2015年に話題となった同作はシリーズが3作制作され[48][49][19]、2016年にはシリーズ累計54万部を超えている[19]。
講談社によると同作は賛否両論を呼び、Amazonのレビュー評価も両極端だったという[50]。涙やユーモアを交えて母の死をわかりやすく子供に伝えているとされ[48]、本屋で同作を読んだ際に「娘が大泣きしながら『これ買って』と訴えてきた」という母親の声もある[19]。一方で家庭文庫「子どもの本の家ちゅうりっぷ」主宰の神保和子は、「幼い子どもの発達段階や心理」に配慮できておらず、「母子分離不安をあおる」と問題視した[26]。
剣淵町絵本の館が実施している「けんぶち絵本の里大賞」では、2012年に『ぼく、仮面ライダーになる!フォーゼ編』で「アルパカ賞」を[51]、2016年には『ママがおばけになっちゃった!』で「びばからす賞」を受賞し[52]、2017年に『さよなら ママがおばけになっちゃった!』で大賞を受賞した[53][48]。また、「わかやま絵本大賞2017」[注 3]では『あたまのうえのかみさま』で大賞を受賞している[54]。
作詞の評価
ネット動画配信サービス(Hulu)の番組「だい!だい!だいすけお兄さん!!」の2018年2月2日放送で発表された、のぶみが作詞し横山だいすけが歌唱した楽曲「あたしおかあさんだから」は、「母親の自己犠牲を賛美」[34]、「母親に我慢や自己犠牲を一方的に強いている」[35]といった批判を浴び、動画の該当部分は削除された[34][35][39]。他方、「泣きました。解(わか)ってくれる人もいるんだなと感じた」という声があり、のぶみは「あるべき母親像を押しつけたつもりはまったくない」と語っている[35]。
絵本作品
- 講談社
- 「ぼくと」シリーズ
- 「ぼく、仮面ライダーになる!」シリーズ〈講談社の創作絵本〉
- 『ぼく、仮面ライダーになる!』2010年、ISBN (978-4061324213)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! オーズ編』2010年、ISBN (978-4061324503)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! フォーゼ編』2011年、ISBN (978-4061324862)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! ウィザード編』2012年、ISBN (978-4061325272)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! ガイム編』2013年、ISBN (978-4061325609)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! ドライブ編』2014年、ISBN (978-4061325951)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! ゴースト編』2015年、ISBN (978-4061332775)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! エグゼイド編』2016年、ISBN (978-4061333116)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! ビルド編』2017年、ISBN (978-4061333420)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! ジオウ編』2018年、ISBN (978-4065136393)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! ゼロワン編』2019年、ISBN (978-4065176054)。
- 『ぼく、仮面ライダーになる! セイバー編』2021年、ISBN (978-4065221204)。
- 「よわむしモンスターズ」シリーズ〈講談社の幼児えほん〉、(NHKエディケーショナル) 共著
- 「ママがおばけになっちゃった!」シリーズ〈講談社の創作絵本〉
- その他〈講談社の創作絵本〉シリーズ
- 『バスたろうはじめてのうんてん』2009年、ISBN (978-4061323964)。
- 『ぼくんちのティラノサウルス』2010年、ISBN (978-4061324305)。
- 『ハラヘッターとチョコリーナ』2013年、ISBN (978-4061325470)。
- 『きのこほいくえん』2014年、ISBN (978-4061325814)。
- 『トッキュウジャーかぞく』2014年、ISBN (978-4061325739)。
- 『ニンニンジャーかぞく』2015年、ISBN (978-4061332607)。
- 『ジュウオウジャーかぞく』2016年、ISBN (978-4061332928)。
- 『ともだちドロボウ』2018年、ISBN (978-4065124949)。
- その他〈講談社の幼児えほん〉シリーズ
- その他
- あかね書房
- 「はなちゃん」シリーズ
- 「しんかんくん」シリーズ〈あかね・新えほんシリーズ〉
- 『しんかんくんうちにくる』2007年、ISBN (978-4251009531)。
- 『しんかんくんのパンやさん』2008年、ISBN (978-4251009623)。
- 『しんかんくん ひっこしする』2009年、ISBN (978-4251098429)。
- 『しんかんくんけんかする』2010年、ISBN (978-4251098443)。
- 『しんかんくんのクリスマス』2011年、ISBN (978-4251098535)。
- 『しんかんくんとあかちゃんたち』2012年、ISBN (978-4251098603)。
- 『しんかんくん でんしゃのたび』2013年、ISBN (978-4251098672)。
- ひかりのくに
- 「いつでもいっしょどこでもいっしょ」〈まるごとひゃっかシリーズ〉、NCID BA80391762
- 「ものしりずかん」シリーズ
- 「いつでもいっしょ知育えほん」シリーズ〈まるごとひゃっかシリーズ〉
- 「知育まるごとひゃっか」シリーズ〈いつでもいっしょ知育えほん〉
- 「のぶみのなあにかな?」シリーズ
- 「うんこちゃん」シリーズ
- その他
- 『つちのなかのもぐらでんしゃ』2008年、ISBN (978-4564018268)。
- 『ヘラクレスオオカブトムシのいちばんくん』2009年、ISBN (978-4564018305)。
- 『きょうりゅうようちえん』2014年、ISBN (978-4564018572)。
- 『イルカようちえん』2013年、ISBN (978-4564018510)。
- (えほんの杜)
- 「おひめさまようちえん」シリーズ
- その他
- KADOKAWA
- 「ウッチョパス」シリーズ
- その他
- 主婦の友社
- 「るんた」シリーズ〈主婦の友はじめてブックシリーズ〉
- 「赤ちゃんと」シリーズ〈主婦の友はじめてブックシリーズ〉
- (教育画劇)
- そうえん社(草炎社)
- 学習研究社、学研プラス
- ART BOXインターナショナル
- 『ホネのことならガイコツマン』〈Art box gallery〉2007年、ISBN (978-4872987737)。
- アリス館
- 『きょうりゅうといぬどっちがつよい?』ひすいこたろう 共著、2015年、ISBN (978-4752007197)。
その他の作品
映像作品
コミック
- 『夢って叶うじゃん!』2008年、ISBN (978-4072612323)。- エッセイコミック[5]
- 『上を向いて歩こう!』講談社、2011年、ISBNISBN (978-4062171663)。- エッセイコミック[59]
- 『会いにいくよ』講談社〈講談社コミック〉、2011年、ISBNISBN (978-4-06-395041-0)。- のぶみ 原作、森川ジョージ 著[10]
イラスト
デザイン
- 復興チャリティアイドル「あたまがふくしまちゃん」[22](2012年より、あたまがふくしまちゃん実行委員会が運営。2018年からは福島県授産事業振興会による管理)[23]
- 愛知県瀬戸市キャラクター「せとちゃん」[60]
- 内閣府「子ども・子育て支援新制度(すくすくジャパン)」シンボルマーク、2015年[25]。
作詞
- 「おしりフリフリ」(中川ひろたか 作曲)[61]-「おかあさんといっしょ」の年間月歌人気ランキングで1位[17]
- 「おっとっとのオットセイ」(村治崇光 作曲)[62]-「おかあさんといっしょ」の年間月歌人気ランキングで1位[17]
- 「パパパ」(中川ひろたか 作曲)[63]
- 「ブラブラせいじん」(谷口國博 作曲)[64]
- 「へびダンス」(中川ひろたか 作曲)[65]
- 「コチョコチョむしのコチョたろう」(谷口國博 作曲)[66]
- 「めがねおじさん」(中川ひろたか 作曲)[67]
- 「あたしおかあさんだから」(のぶみ 作詞、横山だいすけ 歌、ネット動画配信サービス(Hulu)の番組「だい!だい!だいすけお兄さん!!」2018年2月2日放送)[35][34]
自伝
脚注
注釈
- ^ a b なお、福音館書店が編集する『おおきなポケット』第83号、1999年2月、26-34頁にも、のぶお作の「なべお」という作品が掲載されている[8]。
- ^ 期間終了日までに集まった応援購入額を獲得できる「All-In方式」でのプロジェクト[36]。
- ^ 「わかやま絵本大賞2017」は、地元書店員が選んだ10冊の中から来店客が投票する賞で、和歌山市から新宮市にある21の書店・ブックカフェで実施され、300通近い投票があった[54]。リビングソーシャルプロジェクト主催[54]。
- ^ 文 - 山本和子、絵 - 松本かつぢ、あべ弘士、飯野和好、柿本幸造、高畠那生、(中村みつを)、西内としお、(西村敏雄)、のぶみ。NCID BB15382025。
出典
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外部リンク
(SNS)
(関連動画)
- 講談社えほんチャンネル (2010年12月1日). のぶみさん制作秘話&絵の描き方 - YouTube
- 【公式】幻冬舎ルネッサンス新社 (2019年-2020年). のぶみ先生の絵本づくり講座 - YouTubeプレイリスト