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いるか座

いるか座(いるかざ、Delphinus)は、(現代の88星座)の1つ。2世紀頃にクラウディオス・プトレマイオスが選んだ「トレミーの48星座」の1つ。海獣イルカをモチーフとしており、天の川の近くに位置する。最も明るい星でも4等星と暗い星座だが、星が密集しているため見つけやすい星座である。

いるか座
Delphinus
属格 Delphini
略符 Del
発音 [dɛlˈfaɪnəs] Delfínus, 属格 /dɛlˈfaɪnaɪ/
象徴 イルカ
概略位置:赤経 20.7
概略位置:赤緯 +13.8
20時20分正中 9月26日
広さ 189平方度[1]69位
主要恒星数 5
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
19
系外惑星が確認されている恒星数 4
3.0等より明るい恒星数 0
10パーセク以内にある恒星数 0
最輝星 β Del(3.63
最も近い星 HD 197076;(68.45光年)
メシエ天体 0
隣接する星座 こぎつね座
や座
わし座
みずがめ座
こうま座
ペガスス座
(テンプレートを表示)

主な天体

α・β・γ・δの4つの4等星で形作られる菱型のことを、欧米圏では旧約聖書ヨブ記の主人公にちなんで「ヨブの棺 (Job's Coffin) 」と呼ぶ[2]。同じ星の並びを日本では「ヒシボシ(菱星)」と呼ぶ地方がある[3]

α星の固有名「スアロキン (Sualocin)」とβ星の固有名「ロタネブ (Rotanev)」は、1814年にパレルモ天文台台長のジュゼッペ・ピアッツィが刊行した星表『パレルモ星表』の第2版で初めて使われた。これは、『パレルモ星表』の編纂作業を指揮していた助手のニコロ・カチャトーレの名前をラテン語化した Nicolaus Venator を逆から読んだものをそれぞれの固有名としたものである[2]

恒星

国際天文学連合 (IAU) によって4個の恒星に固有名が認証されている[4]

  • α星見かけの明るさ3.800等の4等星[5]三重連星。主星のAa星に「スアロキン[6](Sualocin[4])」という固有名が付けられている。
  • β星:見かけの明るさ3.63等の4等星[7]。いるか座で最も明るい。A星に「ロタネブ[6](Rotanev[4])」という固有名が付けられている。
  • ε星:見かけの明るさ4.03等の4等星[8]。「アルドゥルフィン[6](Aldulfin[4])」という固有名を持つ。
  • 18番星:見かけの明るさ5.506等の6等星[9]2008年太陽系外惑星が発見され[10]、2015年に主星の恒星には「ムジカ[6](Musica[4])」、惑星には「アリオン (Arion)」という固有名が付けられた。

その他に以下の恒星が知られている。

  • (γ星):見かけの明るさ4.96等のγ1[11]と4.25等のγ2[12]からなる連星[13]
  • δ星:見かけの明るさ4.417等の4等星[14]
  • R星:ミラ型変光星[15]。285.07日の周期で、見かけの等級が7.6等から13.8等の振幅で変光する[16]
  • わし座ρ星:見かけの明るさ4.946等の5等星[17]。いるか座との境界近くに位置するわし座の恒星だったが、その非常に大きな固有運動により1992年頃に境界線を越境しているか座の領域に入った[18]。これは、IAUにより星座の境界が確定した1930年以降、バイエル符号を付された恒星が越境した初めての例となった[19]

星団・星雲・銀河

   
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した、衝突中の相互作用銀河 ZW II 96。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した渦巻き銀河NGC 6956。

由来と歴史

 
19世紀イギリスの星座カード集『ウラニアの鏡』に描かれたいるか座。

紀元前3世紀半ばにマケドニアで活動した詩人アラートスの教訓詩『ファイノメナ (: Φαινόμενα, : Phaenomena)』にこの星座への言及が見られる[21]。2世紀頃にクラウディオス・プトレマイオスの著書『ヘー・メガレー・スュンタクスィス・テース・アストロノミアース (古希: ἡ Μεγάλη Σύνταξις τῆς Ἀστρονομίας)』の中で48個の星座のうちの1つとして選ばれた[2]

19世紀のイギリスの天文学者(リチャード・アンソニー・プロクター)(英語版)は、星座名を簡略化するために、Delphinus から Delphin に変更することを提唱した[22]が、世に受け入れられることはなかった。

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Delphinus、略称はDelと正式に定められた[23]

中国

 
古今図書集成』の「女宿圖」。

中国の天文では、いるか座の星々は二十八宿の北方玄武七宿の第三宿「女宿」に配されていた[24]。ε・η・θ・ι・κの5星は、熟れ過ぎて腐った瓜を表す星官「敗瓜」を成した[24]。これとは対照的に、α・γ・δ・β・ζの5星は、良い瓜を表す星官「瓠瓜」を成した[24]

日本

日本では、江戸後期の畑維竜(鶴山)の随筆『四方の硯』に

星象を見ることは農民よりくはしきはなし大和の國は水のとぼしき處なれば四月頃より夏中農民夜もすがらいねずして星象をはかり見て種おろしあるひは夜陰の露おきたるに苗のしめりをしり米穀の實のるとみのらざるとをあらかじめはかりしる事なりその星にからすきぼしひしぼしすばるぼしくどぼしなどようの名をつけて某の星は何時に何の位にあらはれ何時に何の方にかくるなどいひてその目つもりにてはかること露たかはじ
畑維竜、『四方の硯』月の巻[25]

と記されており、「ひしぼし」という呼び名が使われていたことをうかがい知れる[3][26]

神話

紀元前3世紀頃の学者エラトステネースは著書『カタステリスモイ』の中で、ポセイドーンの妻になることを拒んで逃げたアムピトリーテーを探し出して連れ戻ったイルカを記念したもの、としている[2][27]

紀元前1世紀頃の著作家ヒュギーヌスオウィディウスは、紀元前7世紀頃の詩人アリオンにまつわる話を伝えている。アリオンがシチリア島や南イタリアの音楽会から故郷に帰る際、彼の持つ報酬に目がくらんだ船員がアリオンを殺害しようとした。アリオンは死ぬ前に琴を弾かせて欲しいと願い、船員たちはこれを許した。アリオンが弾き始めると、どこからともなくイルカの群れがやってきて、曲を鑑賞した。アリオンが身を投げると、イルカがその背にアリオンを乗せて故郷に連れ帰った。イルカはその功績が称えられ星座になったとされる[2][27]

呼称と方言

日本では、1879年(明治12年)にノーマン・ロッキャーの著書『Elements of Astronomy』を訳した『洛氏天文学』が刊行された際には「ドルフィン」という英訳が充てられたのみであった[28]が、のちに「海豚」という訳が充てられ、1908年(明治41年)4月に創刊された日本天文学会の会誌『天文月報』では同年6月の第3号から「海豚」という星座名が記された星図が掲載されている[29]。1910年(明治43年)2月に訳語が改訂された際も「海豚」がそのまま使用された[30]。戦後の1952年(昭和27年)7月、日本天文学会は「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[31]とした。このときに、Delphinus の訳名は「いるか」と定まり[32]、以降この呼び名が継続して用いられている。

方言

日本では、α・β・γ・δの4星を「ヒシボシ」と呼ぶ伝承が、静岡・長野・奈良・和歌山・広島・大分・熊本に伝わっていた[3][26]。また、これが転訛したとされる「ヘシボシ」が奈良県宇陀郡大宇陀町上片岡(現・宇陀市)や兵庫県神崎郡に、「シシボシ」が奈良県山辺郡丹波市町(現・天理市)に伝わっていた[3]

α・β・γ・δが作る菱形を生活道具等に見立てる例も見られる。たとえば、納豆を入れる藁苞に見立てた「ツトボシ(苞星)」という呼び名が静岡県榛原郡白羽村(現・御前崎市)、小笠郡日坂村(現・掛川市)、愛知県知多郡日間賀島村(現・南知多町)に伝わっていた[3]。また、これを織物を織るときの道具である「梭」に見立てた「ヒボシ(梭星)」という呼び名が熊本県上益城郡甲佐町に、「ヒノホシサン(梭の星さん)」という呼び名が徳島県鳴門市に伝わっていた[3]

出典

  1. ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e Ridpath, Ian. “Delphinus”. Star Tales. 2022年1月3日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 北尾浩一「第3章夏の星 第4節いるか座」『日本の星名事典』原書房、2018年5月30日、350-353頁。ISBN (978-4-562-05569-2)。 
  4. ^ a b c d e “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2023年1月3日閲覧。
  5. ^ "alp Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  6. ^ a b c d 『ステラナビゲータ11』(11.0i)AstroArts。 
  7. ^ "bet Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  8. ^ "eps Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  9. ^ "18 Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  10. ^ Sato, Bun’ei; Izumiura, Hideyuki; Toyota, Eri; Kambe, Eiji; Ikoma, Masahiro; Omiya, Masashi; Masuda, Seiji; Takeda, Yoichi et al. (2008-06-25). “Planetary Companions around Three Intermediate-Mass G and K Giants: 18 Delphini, ξ Aquilae, and HD 81688”. Publications of the Astronomical Society of Japan (Oxford University Press (OUP)) 60 (3): 539–550. arXiv:0802.2590. Bibcode: 2008PASJ...60..539S. doi:10.1093/pasj/60.3.539. ISSN 0004-6264. 
  11. ^ "gam01 Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  12. ^ "gam02 Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  13. ^ "gam Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  14. ^ "del Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  15. ^ "R Del". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月3日閲覧
  16. ^ Samus’, N. N.; Kazarovets, E. V.; Durlevich, O. V.; Kireeva, N. N.; Pastukhova, E. N. (2017). “General catalogue of variable stars: Version GCVS 5.1”. Astronomy Reports 61 (1): 80-88. Bibcode: 2017ARep...61...80S. doi:10.1134/S1063772917010085. ISSN 1063-7729. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ63b40f5a354cbd&-out.add=.&-source=B/gcvs/gcvs_cat&recno=20168. 
  17. ^ "rho Aql". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月4日閲覧
  18. ^ Moore, Patrick (2013-06-29). The Observer’s Year: 366 Nights of the Universe. Springer Science & Business Media. p. 234. ISBN (9781447136132). https://books.google.co.jp/books?id=p87TBwAAQBAJ&pg=PA132&redir_esc=y#v=onepage&q&f=false 
  19. ^ Kaler, James B. (2009年7月10日). “Rho Aquilae”. STARS. 2023年1月4日閲覧。
  20. ^ “複雑に絡み合う2つの銀河 ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影”. sorae.info. 2022年12月7日閲覧。
  21. ^ 伊藤博明、佐川美智子『グロティウスの星座図帳 : ゲルマニクス"アラトスのファイノメナ"の邦訳』 No.1、千葉市立郷土博物館〈天文資料解説集〉、1999年3月31日、78頁。 NCID BA84126606。 
  22. ^ Proctor, Richard A. (1872). A new star atlas for the library, the school, and the observatory : in twelve circular maps. London: Longmans, Green. p. 17. OCLC 5581005. https://books.google.com/books?id=yzRRAAAAYAAJ 
  23. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2022年12月27日閲覧。
  24. ^ a b c 大崎正次「中国の星座・星名の同定一覧表」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、294-341頁。ISBN (4-639-00647-0)。 
  25. ^ 畑維竜 著「四方の硯」、国民図書 編『日本随筆全集』 第14巻、国民図書、1927-1930年、118-119頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1243596/1/68 
  26. ^ a b 野尻抱影『日本星名辞典』(第七版)東京堂出版、1986年4月10日、91-92頁。ISBN (9784490100785)。 
  27. ^ a b Condos; Theony (1997). Star myths of the Greeks and Romans : a sourcebook containing the Constellations of Pseudo-Eratosthenes and the Poetic astronomy of Hyginus. Grand Rapids, MI, U.S.A.: Phanes Press. pp. 89-92. ISBN (978-1-60925-678-4). OCLC 840823460. https://books.google.com/books?id=9wPINXB4EAoC 
  28. ^ ジェー、ノルマン、ロックヤー 著、木村一歩内田正雄 編『洛氏天文学 上冊』文部省、1879年3月、58頁https://dl.ndl.go.jp/pid/831055/1/37 
  29. ^ 「六月の天」『天文月報』第1巻第3号、1908年6月、12頁、ISSN 0374-2466。 
  30. ^ 「星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466。 
  31. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN (4-8181-9404-2)。 
  32. ^ 「星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466。 

座標:   20h 42m 00s, +13° 48′ 00″

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