「Blurry Eyes」(ブルーリー アイズ)は、日本の(ロックバンド)、L'Arc〜en〜Cielの1作目のシングル。1994年10月21日発売。発売元はKi/oon Sony Records。
「Blurry Eyes」 | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
L'Arc〜en〜Ciel の シングル | ||||||||||||||||
初出アルバム『Tierra』 | ||||||||||||||||
B面 | Wind of Gold (Many Kind of Percussion Mix) | |||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||
規格 | 8cmシングル 12cmシングル デジタル・ダウンロード | |||||||||||||||
ジャンル | ポップス ロック | |||||||||||||||
時間 | ||||||||||||||||
レーベル | Ki/oon Sony Records | |||||||||||||||
作詞・作曲 | hyde (作詞) tetsu (作曲) | |||||||||||||||
プロデュース | L'Arc〜en〜Ciel | |||||||||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||||||||
※ いずれも日本レコード協会認定 | ||||||||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||||||||
| ||||||||||||||||
L'Arc〜en〜Ciel シングル 年表 | ||||||||||||||||
| ||||||||||||||||
|
解説
メジャーデビューシングル「眠りによせて」以来約3ヶ月ぶりとなるシングル。本作の表題曲は、1994年7月14日に発売した2ndアルバム『Tierra』からのリカットとなっている。また、本作は"1作目のCDシングル"に位置付けられるため、これがメジャーデビューシングルであると勘違いされやすいが、メジャーデビュー作品は1994年7月1日に発表したビデオシングル「眠りによせて」である。
本作の表題曲「Blurry Eyes」は、軽やかなギターにリズミカルに駆け巡るベース、テクニカルなドラミングが印象的なロックナンバーとなっている。L'Arc〜en〜Cielは、活動最初期の頃に発表した楽曲をあまりライヴで演奏しないバンドであるが、この曲は比較的コンスタントにライヴで演奏されている。また、表題曲は1994年10月7日から日本テレビ系列で放送されたテレビアニメ『D・N・A² 〜何処かで失くしたあいつのアイツ〜』のオープニングテーマに使用されており、シングルカットはこのタイアップがきっかけで決まっている。ただ、タイアップはおろかシングルカットをすること自体、メンバーの与り知らぬところで決定されていたという[3]。バンドのリーダーを務めるtetsuyaは、1996年に発売されたインタビュー本において、「僕らの知らないところでいろいろと動いてた[3]」と述懐している。一方でアニメタイアップを受けることに関し、tetsuyaは前向きだったという。2021年に行った中山道彦(元Ki/oon Music代表)との対談において、tetsuyaは「(この当時)アニメのタイアップはちょっと下に見られていた時代だったんです。今はCMやドラマよりアニメのタイアップが優先順位の一番上でしょ?僕はアニメとタイアップすることで世界に出ていきやすくなるなって途中から気づいたので、どんどんそういう話を持ってきてもらうようにしました[4]」と語っている。
表題曲のミュージック・ビデオは、1995年5月21日に発表したビデオシングル『and She Said』に初収録されている。また、2003年3月19日に発表したベストアルバム『The Best of L'Arc-en-Ciel 1994-1998』の初回限定盤特典DVD、さらに2007年2月14日に発表したクリップ集『CHRONICLE 0 -ZERO-』にもこの映像が収録されている。2019年12月11日には、公式YouTubeアーティストチャンネルにおいてYouTube Music Premium限定で映像の有料公開を開始している。前述のYouTubeチャンネルでの有料公開開始から約2年4ヶ月後となる2022年4月1日からは、同サイトで映像の無料公開が開始されている。ちなみに、この映像のディレクターは後藤新吾が担当している。映像には、真夜中に光るメリーゴーランドが映し出された幻想的なシーンが挿入されているが、このシーンはよみうりランドを貸切にし撮影したものとなっている。この撮影場所は、1996年に放送されたラジオ番組におけるtetsuyaとsakuraの会話により明らかになっている[5]。ただ、こういったエピソードがありながら、未だに撮影場所をとしまえんと誤解しているリスナーが多い[6]。2020年には、tetsuyaがパーソナリティを務めるラジオ番組において、tetsuyaの口から再び「あれはよみうりランドです[6]」と実際の撮影地が語られている。
フィジカルの初回限定仕様はスペシャルキャラクターシート付きとなっている。また、フィジカルは当時8cmシングルで発表されていたが、2006年のシングル14作品再発企画において12cmシングルとして再発売されている。
発売初週となる1994年10月31日付のオリコン週間シングルチャートでは、週間22位を記録している。ただ、2006年8月30日に発売された12cmCD再発盤が、2006年9月11日付のオリコン週間シングルチャートにおいて週間12位にチャートインしたことにより、約11年10か月ぶりに最高順位を更新している。
収録曲
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
---|---|---|---|---|---|
1. | 「Blurry Eyes」 | hyde | tetsu | L'Arc〜en〜Ciel | |
2. | 「Wind of Gold (Many Kind of Percussion Mix)」 | hyde | ken | L'Arc〜en〜Ciel | |
3. | 「Blurry Eyes (Voiceless Version)」 | tetsu | L'Arc〜en〜Ciel | ||
合計時間: |
楽曲解説
- Blurry Eyes
- 作詞: hyde / 作曲: tetsu / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
- 日本テレビ系アニメ『D・N・A² 〜何処かで失くしたあいつのアイツ〜』オープニングテーマ。
- 軽やかなギターにリズミカルに駆け巡るベース、テクニカルなドラミングが印象的なロックナンバー。この曲について、作曲を手掛けたtetsuyaは「まだラルク結成以前にkenとやっていた頃、「Be destined」、「予感」の次に出来た曲ですね。ちょっと意外に思うかもしれないけど、昔からあった曲[7]」と述べている。L'Arc〜en〜Cielとしてこの曲を発表するにあたり、hydeが歌メロを作り直すなど、リアレンジ作業が行われている[7]。
- また、この曲のリズムは基本的に4/4拍子だが、Dメロの<Why do you stare at the sky with your blurry eyes?>の部分および、アウトロの部分で6/8拍子に転調されている。この曲のリズムアプローチについて、sakuraは「この曲はヴィジョンを考えることよりも勢いが強かった。オレの中にあるイアン・ペイス(ディープ・パープル)を曲に落とし込めばいいかって感じで(笑)[8]」「途中で変拍子ありポリ・リズムありで、ふつうじゃないけど。ふつうに聴こえつつも、そうではないところがラルクらしいかな[8]」と述べている。
- 歌詞のテーマ及びイメージについて、作詞を担当したhydeは「一見、楽しそうなんだけど、奥に秘めた不安な気持ちみたいなものを出したかった。たとえば別れの予感的な…[9]」「主人公は自分ではないです。たぶんあの時、相手はこうだったろうなっていうような内容です[9]」と語っている。余談だが、後年hydeは日本語の歌詞を書くうえで、自身が尊敬する小田和正(ex.オフコース)の歌詞における言葉選びや抽象的な比喩表現を参考にしたと語っており[10]、参考にして書いた歌詞のひとつの例としてこの曲をあげている。なお、小田和正の手掛ける歌詞について、hydeは「音楽を作り始めた頃は僕はハードコアや、ゴシックロックにハマってたから、ラルクを始めて、すごくキャッチーな曲がメンバーから出てきた時に、どういう詩を書いていいかさっぱりわからなかったんです。"何を言ってええんやろうな?"ってすごい迷って試行錯誤して詩を書いた時に、開いた引き出しがオフコースで。オフコースの曲って、実は都会的なクールな感じで、歌詞もすごく抽象的だと思います。言葉もかなり選んでいるし。そういうところで、"あ、こういう表現の仕方があるな"って。歌詞もその時の影響が出てる[10]」と述べている。
- また、この曲をライヴで披露する際は、演奏開始の合図を送るように、曲の冒頭でhydeがホイッスルを吹くことが定番となっている。そして1Aの歌唱前に、hydeがそのホイッスルを客席に投げ入れるパフォーマンスもひとつのお約束となっている。さらに、この曲のDメロ終わりで演奏を一旦止め、メンバーのMCを挟んだ構成で披露されることもある。
- 余談だが、タイトルは日本語読みにすると「ブラーリーアイズ」(/blɜːri aɪz/)が近い発音であるが、L'Arc〜en〜Cielのメンバーはこの曲を「ブルーリーアイズ」と呼ぶことが多い。
- Wind of Gold (Many Kind of Percussion Mix)
- 作詞: hyde / 作曲: ken / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel
- 2ndアルバム『Tierra』の収録曲「(Wind of Gold)」のリアレンジバージョン。
- ガットギターの音色が印象的な、レゲエテイストを感じるミディアムナンバー。作曲者であるkenが制作したデモ段階では、演奏時間が6分以上ある長大な楽曲であったが、制作過程において構成・展開が大きく変更されている[11]。この曲の制作エピソードについて、kenは「裏でギターがつまびいていくようなのも気持ちいいなって思って、そういう曲も欲しいっていう感じで作った[11]」と述べている。この曲の印象について、sakuraは「質素で密室的な空気が曲に流れていると感じるかもしれないけど、ある種、大陸的なところもある[8]」「スカとレゲエがかなりブレンドされていると思う[8]」と述べている。
- また、作詞を手掛けたhydeは、作詞作業を振り返り「この曲は馬車に揺られているイメージで受けとめて、そこから出てきたストーリーを書いていきました[9]」と語っている。また、hydeは「(アルバム『Tierra』の収録曲の中で)いちばん詞が出来るのが早かった曲です。歌いながら、自分の中から詞が出てきて…。それは自分としては意外な展開でしたね[9]」とアルバム『Tierra』発売当時のインタビューで語っている。
- ちなみに本作に収録されたリアレンジバージョンでは、2ndアルバム『Tierra』に収録された原曲からドラム音を抜き、sakuraがティンバレスなどの様々なパーカッションの音を入れている。他にもこのリアレンジバージョンでは、ガットギターのソロパートをフィーチャーしており、アルバム収録版に比べ華やかさを強調したアレンジが施されている。ちなみにこのバージョンは、本作のみの収録となっており、どのアルバムにも収録されていない。
- 余談だが、2015年に開催したライヴ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2015 L'ArCASINO」において、1996年開催のライヴ「Kiss me
heavenlydeadly '96 REVENGE」以来約19年ぶりに「Wind of Gold」が披露されている。この公演では、本作に収録されたバージョンをベースに、yukihiroのドラムサウンドを足したアレンジで披露されている。
- Blurry Eyes (Voiceless Version)
参加ミュージシャン
カバー
(※)音源がフィジカルに収録されているものに限り記載する。
- ヴィンス・ニール (2012年、トリビュートアルバム『L'Arc〜en〜Ciel Tribute』に収録)
収録アルバム
- オリジナルアルバム
- 『Tierra』(#1)
- ベストアルバム
- 『Clicked Singles Best 13』(#1)
- 『The Best of L'Arc〜en〜Ciel 1994-1998』(#1)
- 『TWENITY 1991-1996』(#1)
- 『WORLD'S BEST SELECTION』(#1)
- サウンドトラック
- 『D・N・A² SOUND TRACK』(#1)
参考文献
- 『ロッキンf』、立東社、1994年8月号
- 『L'Arc〜en〜Ciel is』、シンコー・ミュージック、1996年
- 『Rolling Stone Japan L'Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary Special Collectors Edition』、CCCミュージックラボ、2021年
脚注
- ^ “ゴールドディスク認定 1998年11月”. 日本レコード協会. 2021年2月15日閲覧。
- ^ “ダウンロード認定 2018年12月”. 日本レコード協会. 2021年2月15日閲覧。
- ^ a b 『L'Arc〜en〜Ciel is』、シンコー・ミュージック、p.68、1996年
- ^ 『Rolling Stone Japan L'Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary Special Collectors Edition』、p.43、CCCミュージックラボ、2021年
- ^ TBSラジオ系ラジオ番組『ボンジュール! L'Arc〜en〜Ciel』1996年12月13日放送分
- ^ a b ニコニコチャンネル『てっちゃんねる』【TETSUYA SATURDAY KING RADIO #123】2020年9月12日放送分
- ^ a b 『ロッキンf』、p.33、立東社、1994年8月号
- ^ a b c d 『ロッキンf』、p.35、立東社、1994年8月号
- ^ a b c d 『ロッキンf』、p.29、立東社、1994年8月号
- ^ a b . Rolling Stone Japan. 10 February 2016. 2017年8月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月24日閲覧。
- ^ a b 『ロッキンf』、p.31、立東社、1994年8月号