霊仙院

霊仙院（れいせんいん） / 千代姫（ちよひめ）は、江戸幕府3代将軍・徳川家光の長女で、尾張藩2代藩主・徳川光友の御簾中^[3]。4代将軍・家綱、甲府藩藩主・綱重、5代将軍・綱吉の異母姉である。

霊仙院 / 千代姫
生誕	寛永14年閏3月5日（1637年4月29日）
死没	元禄11年12月10日（1699年1月10日）
墓地	増上寺
別名	法号：霊仙院長誉慈光松月大姉
時代	江戸時代
配偶者	徳川光友
子供	綱誠、松平義行
親	父：徳川家光、母：側室・於振之方（岡氏、自証院）
家族	兄弟姉妹：亀姫^[1]、千代姫、家綱、亀松、綱重、綱吉、鶴松 （出典：「幕府祚胤伝　四」『徳川諸家系譜』^[2]）

生涯

寛永14年（1637年）閏3月5日、江戸で誕生した^[4][3]。母は側室・於振之方（岡氏、自証院）^[1][3]。

同年7月16日に宮参りを行い、天海により千代姫と命名された。同15年（1638年）2月20日、徳川光友と縁組し、同16年（1639年）9月21日、尾張藩の市谷藩邸に輿入れした^[4]。

（以上は、「幕府祚胤伝　四」『徳川諸家系譜　第二』による。「徳川幕府家譜」『徳川諸家系譜 第一』では、寛永16年（1639年）9月21日、光友と縁組、正保2年（1645年）に輿入れ、同4年（1647年）12月29日に婚姻としている^[1]）

正保2年（1645年）12月11日、水痘にかかる^[4]。同3年（1646年）5月、麻疹にかかる^[4]。同年6月には回復した模様^[4]。

承応元年（1652年）8月2日に長男・綱誠（後の尾張藩藩主）、明暦元年（1655年）5月19日に長女・豊姫（早世）、同2年（1656年）11月9日に次男・松平義行（後の高須藩藩主）、万治元年（1658年）6月1日に次女・直姫（早世）を生んだ^[5]。

側室所生の松平義昌（陸奥国梁川藩藩主、生母は樋口信孝女）、松平友著（川田久保松平家当主、生母は鈴木氏）は千代姫の養子となっている^[6][7]。

慶安4年（1651年）、父・家光が死去した際、遺金2万両と茶壺を賜っている^[8]。

元禄11年（1698年）12月10日、江戸・市ヶ谷屋敷で死去した^[8][3]。62歳^[8]。増上寺に葬られた^[8]。法名は霊仙院長誉慈光松月大姉^[8]（「徳川幕府家譜」では「霊仙院殿長誉松月慈光〔ママ〕大姉」としている^[1]）。

死後

平成8年（1996年）に、徳川美術館所蔵の千代姫所用の婚礼調度（初音の調度及び他の調度、文書類）が国宝に指定された^[9]。

補足

千代姫には3人の異母弟（家綱、綱重、綱吉）がいた。家光の血筋で現在にまで伝わるのは、女系の千代姫の血筋のみである。第126代天皇徳仁^{[注 1]}や多くの大名家や公家、旧皇族などにも繋がる。家綱は死去時に実子がなく^{[注 2]}、綱重の系統は孫の代で断絶^{[注 3]}。綱吉には鶴姫と徳川徳松の1男1女がいたが、2人とも早世したため、家光の男系子孫は現存しない。

1600年の関ヶ原の戦いは東軍総大将の徳川家康と西軍の中心となった石田三成が覇権を争ったことで知られるが、千代姫にとって家康は曽祖父に、三成は高祖父に当たる^{[注 4]}。

脚注

注釈

1. ^ 千代姫－綱誠－吉通－三千君－二条宗基－治孝－九条尚忠－道孝－節子（大正天皇皇后）－昭和天皇－上皇明仁―天皇徳仁
2. ^ 側室2人が家綱の子を身籠ったが、いずれも流産と死産であり、男子のみならず女子にも恵まれなかった。
3. ^ 長男で第6代将軍の家宣の系統は、その四男で第7代将軍家継が1716年に死去したことで途絶えた。次男清武の系統はその長男清方が1724年に死去。同年、他に子女がないまま清武自身も死去したため、断絶。
4. ^ 石田三成－小石殿（岡重政室）－岡吉右衛門－お振の方（自証院）－千代姫

出典

1. ^ ^{a b c d} 続群書類従完成会 1970, p. 47.
2. ^ 続群書類従完成会 1974, pp. 80–86.
3. ^ ^{a b c d} 続群書類従完成会 1974, p. 200.
4. ^ ^{a b c d e} 続群書類従完成会 1974, p. 79.
5. ^ 続群書類従完成会 1974, pp. 201–202.
6. ^ 続群書類従完成会 1974, p. 202.
7. ^ 続群書類従完成会 1974, p. 205.
8. ^ ^{a b c d e} 続群書類従完成会 1974, p. 80.
9. ^ 国宝 初音の調 千代姫の嫁入り道具｜企画展案内 徳川美術館、2021年10月15日閲覧

参考文献

• 「徳川幕府家譜」『徳川諸家系譜』 第一、続群書類従完成会、1970年7月30日。(NDLJP):12211158。 (要登録)
• 『徳川諸家系譜』 第二、続群書類従完成会、1974年8月30日。(NDLJP):12211157。 (要登録)