株式会社農口尚彦研究所(のぐちなおひこけんきゅうしょ)は、石川県小松市にある日本酒メーカーである。現代の名工として表彰された農口尚彦が杜氏を務める。
概要
2017年11月、現代の名工にも選ばれた、能登杜氏四天王の農口尚彦が杜氏として復活。
社名は農口尚彦の酒造りにおける匠の技術・精神・生き様を研究し、次世代に継承することをコンセプトとして「農口尚彦研究所」と名付けられた。働きやすい環境を目指し、農口自らが図面を描き、それを株式会社カフェの森井良幸が設計している[1]。一から新設された酒蔵はまさにこれまでの農口の酒造りの集大成であり、社員寮まで完備する等理想的な設備が整う。
総合プロデュースは、大阪府大阪市にあるスーパープロジェット株式会社が担当。[2]開業プロジェクトには、大樋焼作家の十一代 大樋長左衛門がアートディレクターとして建築・内装・商品などのディレクションを行なった[3]。ロゴコークは、農口尚彦の頭文字である「の」の字をかたどりながら、利き酒で使うおちょこの「蛇の目」をイメージしたデザインとなっている[4]。酒蔵は、石川県小松市観音下町(かながそまち)という山に囲まれた場所に位置し、名前のとおり33体の観音菩薩の石像が祀られた山のふもとにある。
蔵内には、ティスティングルーム「杜庵(とうあん)」・ギャラリーが併設。「杜庵」は裏千家ゆかりの小松市にちなみ、茶室をイメージした寂空間。日本酒を酒器違いや温度違いによって楽しめたり、地元石川県のおつまみと楽しめる。12席限定で窓からは田園風景が見渡せる。ギャラリーでは、農口尚彦のこれまでの生き様を時代を追って展示。どちらの部屋からも、醸造室を見ることができ、今までとは違った新しい酒蔵見学のスタイルを築いている[5]。
2017年12月26日に、初めての日本酒である「農口尚彦研究所本醸造酒」を発売[6][7]。その後、2018年1月16日に「農口尚彦研究所純米酒」(石川県限定)、2018年1月26日に「農口尚彦研究所山廃純米酒」、2018年2月21日に「農口尚彦研究所山廃吟醸酒」、2018年3月26日に「農口尚彦研究所純米大吟醸」を発売した。これらは「農口五彩シリーズ」と呼ばれ、石川県の伝統工芸で定義されている五つの色彩を基調としている[8]。
クラウドファンディング「マクアケ」で支援を募ると、国内クラウドファンディングにおける「日本酒」ジャンルの資金調達額で最高記録となる2000万円超えの調達に成功。また、ふるさと名品オブ・ザ・イヤーでは、クラウドファンディング部門賞を獲得[9]。
2018年11月、同社は農口杜氏が2015年の引退前に勤めていた農口酒造を相手取り、日本酒などのラベル表記に「杜氏農口尚彦」の名前を使用しないよう金沢地裁に仮処分を申し立てた。2019年5月30日、地裁は申し立てを認める仮処分を決定をした[10]。
主な銘柄
- 農口尚彦研究所本醸造酒無濾過生原酒
- 農口尚彦研究所純米酒無濾過生原酒(石川県限定)
- 農口尚彦研究所山廃純米酒無濾過生原酒
- 農口尚彦研究所山廃吟醸酒無濾過生原酒
- 農口尚彦研究所純米大吟醸無濾過生原酒
脚注・出典
- ^ “日本酒の未来。名工が紡ぐ懐かしき未来の味-石川県・農口尚彦研究所探訪記”. GQJAPAN. 2018年4月15日閲覧。
- ^ “農口尚彦研究所”. スーパープロジェット株式会社. 2018年5月9日閲覧。
- ^ “日本酒の未来。名工が紡ぐ懐かしき未来の味-石川県・農口尚彦研究所探訪記”. GQJAPAN. 2018年4月15日閲覧。
- ^ “伝説の杜氏・農口尚彦84歳が最後に挑むSAKEイノベーション”. Forbes. 2018年5月9日閲覧。
- ^ “試飲・酒蔵見学、セットで体験 日本酒の農口尚彦研究所”. 日本経済新聞. 2018年5月9日閲覧。
- ^ “話題の新設蔵”. SAKETIMES. 2017年12月26日閲覧。
- ^ “酒造りの神、農口尚彦の酒が復活”. 婦人画報. 2018年1月19日閲覧。
- ^ “”酒づくりの神様”、杜氏の農口尚彦さんが再始動!待望の新酒を続々リリースします。”. Pen Online. 2018年5月9日閲覧。
- ^ “ふるさと名品オブ・ザ・イヤークラウドファンディング部門”. ふるさと名品. 2018年5月8日閲覧。
- ^ “「酒造りの神様」ラベルに名前使うな 金沢地裁が仮処分:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2019年6月25日閲覧。
外部リンク
- 株式会社農口尚彦研究所
- 農口尚彦研究所-FACEBOOK
- 農口尚彦-Instagram