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藤島 敏男（ふじしま としお、1896年（明治29年）7月12日 - 1976年（昭和51年）9月9日[1]）は、日本の登山家、銀行家。日本銀行監事[2]。作家の藤島泰輔は実子。ジャニーズ事務所代表取締役社長の藤島ジュリー景子は孫。
来歴
神奈川県横浜市に生まれる[1]。三重県人・藤島範平の長男[3][4]。小学生の時に、三重県菰野町の御在所岳山麓にある祖父母の許に寄寓[5]。
第一高等学校在学中に旅行部に所属して登山に親しむ。1915年（大正4年）、旅行部の依頼で講演を行った木暮理太郎の話に感銘を受けて、本格的な登山を始め、岩登りやスキー登山など様々な形の登山を行うようになる[6]。1919年（大正8年）日本山岳会に入会。日本山岳会早期の会員で、開拓的山行を重ねた。当時、指導者であった木暮理太郎とは1919年（大正8年）皇海山へ[7]、1920年（大正9年）利根川源流大水上山・平ヶ岳・至仏山・湯ノ小屋[7]に同行している。この年、利根水源の登山の直前には、登山者としては初の仙ノ倉山と茂倉岳・谷川岳縦走をこなしている[8]（記録に残る最古の谷川岳登頂[9]）。その他にも数多くの山行を活発におこなった[10]。
1921年（大正10年）東京帝国大学法学部政治科を卒業し、日本銀行に入行[3][4][10]。熊本、京都各支店長、文書局局長、監事を歴任した[1]。
川原五郎の長女と結婚、1933年（昭和8年）に長男の泰輔が誕生。
1935年（昭和10年）から3年間は日本銀行パリ駐在時にマッターホルンなどのスイス・フランスのアルプスの山々に登った。[5]
第二次世界大戦後は、混雑する山を嫌い、避衆登山と称して人気のない山を訪ね歩いた[10]。晩年、深田久弥とはウマが合ったようで山行を共にすることが多かった[10]。その深田が1971年（昭和46年）茅ヶ岳において、脳卒中で急逝した際も同行していた[11]。その際に藤島は「僕達は眠った深田君の傍で、刻々色調の変ってゆく富士を眺めながら、黙然として、暗然として、悄然として佇んでいた。」と回想している。[12]
晩年、日本山岳会名誉会員となる[1]。深田久弥、(小林義正)、望月達夫らの勧めもあり、1970年（昭和45年）には50余年の文章を集めた『山に忘れたパイプ』（茗溪堂）を出版。これが唯一の著書となった。
人物
家族・親族
- 藤島家
- 父・範平[13]（1871年 - ?、旧姓・山内、三重県士族・山内俊徳の二男で、藤島萬治郎の養子[4][13]、横浜船渠社長、帝国海事協会理事長[3][4]、工学博士[3][4]） - 住所は東京小石川区駕籠町[3]、神奈川県横浜市中区長住町[13]。
- 先妻・孝子（1909年 - ?、東京、川原五郎の長女）[3][4]
- 後妻・紀子（1911年 - ?、東京、関場保の妹）[2]
- 男・泰輔[3][4]（1933年 - 1997年、作家） - 住所は東京都港区六本木。
- 親戚
脚注
- ^ a b c d 藤島 敏男とはコトバンク。2019年7月10日閲覧。
- ^ a b c d 『人事興信録 第15版 下』フ16頁（国立国会図書館デジタルコレクション）。2019年7月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g 『人事興信録 第14版 下』フ58頁（国立国会図書館デジタルコレクション）。2019年7月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g 『人事興信録 第13版 下』フ61頁（国立国会図書館デジタルコレクション）。2019年7月10日閲覧。
- ^ a b 『山に忘れたパイプ』
- ^ 山崎安治「藤島敏男」徳久球雄 編『岳人事典』東京新聞出版、1983年 (ISBN 978-4-808-30148-4) P.163
- ^ a b 『山岳』及び『山の憶ひ出』
- ^ 『山岳』奥上州号
- ^ 羽根田治『山岳遭難の傷痕』山と渓谷社、2020年 P164.
- ^ a b c d 『わが愛する山々』
- ^ 『百名山の人 深田久弥伝』、12項
- ^ 日本山岳会会報『山』311号
- ^ a b c 『人事興信録 第8版』フ58頁（国立国会図書館デジタルコレクション）。2019年7月10日閲覧。
- ^ 『昭和人名辞典II 第1巻 東京編』、870頁。