芦原温泉駅(あわらおんせんえき)は、福井県あわら市春宮一丁目にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)北陸本線の駅である。
概要
当駅の駅名は「芦原温泉」であるものの、旧芦原町ではなく旧金津町の中心部に位置する同地区の主要駅・代表駅である。事務管コードは▲541434[5]を使用している。
優等列車の特急「しらさぎ」・「サンダーバード」の停車駅(速達のサンダーバードは通過)であり、芦原温泉や東尋坊などの観光地など、福井県北部への玄関口となっている。なお、北陸新幹線の金沢駅 - 敦賀駅間の開業後は停車駅になる一方[6]、北陸本線は経営分離によりハピラインふくいに移管される予定である[7][8][9]。これに伴い、当駅を発着する特急の運行も終了される予定となっている[10][11][12]。
主要駅であることから、朝晩を中心に当駅から福井・武生方面へ折り返す普通列車も設定されている。なお、福井方面からの終電は当駅止めとなっている。
歴史
- 1897年(明治30年)9月20日:鉄道院の福井 - 小松間延伸により、金津駅(かなづえき、(一般駅))として開業[1][2][3]。
- 1909年(明治42年)10月12日:線路名称制定、北陸本線所属駅となる[13]。
- 1911年(明治44年)12月15日:鉄道院三国線の金津 - 三国間が開業[4]。
- 1929年(昭和4年)8月14日:永平寺鉄道の金津駅が開業(共用駅)。永平寺鉄道線の金津 - 新丸岡(後の本丸岡駅、現在の丸岡バスターミナル)間開業[14]。
- 1944年(昭和19年)
- 1946年(昭和21年)8月15日:国鉄が三国線の金津 - 芦原(現在のえちぜん鉄道三国芦原線あわら湯のまち駅)間営業再開[4][17]。
- 1969年(昭和44年)9月18日:京福電気鉄道永平寺線 金津 - 東古市(現在のえちぜん鉄道勝山永平寺線永平寺口駅)間廃止[18]。京福の駅としては廃駅となる。
- 1972年(昭和47年)
- 1986年(昭和61年)11月1日:荷物の取扱を廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、JR西日本・JR貨物の駅となる[20]。
- 2015年(平成27年)
- 2018年(平成30年)
- 2020年(令和2年)11月19日:北陸新幹線の駅舎工事着工[29][30][31]。
- 2024年(令和6年)春:北陸新幹線の金沢 - 敦賀間延伸開業に伴い[7][8][9]、新幹線芦原温泉駅が開業。また北陸本線のハピラインふくいへの移管に伴い、在来線芦原温泉駅を同社へ移管(予定)[7][8][9]。
駅構造
島式ホーム2面3線(新幹線建設前は2面4線[32])を有し、待避設備を備えた地上駅で[2]、橋上駅舎を持つ[3]。当駅は福井地域鉄道部管理の直営駅である。
建設中の北陸新幹線の停車予定駅であり[33][34]、あわら市が駅周辺の整備を進めている[35][36][37][38]。
駅構内にはみどりの窓口・みどりの券売機(えきねっとで予約したきっぷの受け取りが可能)[39]・タッチパネル式自動券売機・有人改札口・ICカード専用簡易型自動改札機[27]・化粧室・売店が設置されている。
当駅には現在の駅舎が完成した当初からバリアフリー設備が一切なかったが、2009年10月に地元住民や観光業者の声を受けて、芦原温泉の女将で構成された親睦団体「若草会」が市長に駅にエレベーターを設置の要望書を提出し、陳情した[40]。それを踏まえてJR西日本は6年後の2015年にJR北陸本線の整備事業の一環としてエレベーターの新設を発表[41]。その後、2台のエレベーターが整備され供用が開始された。
線路は、内側2線が本線、下りの外側1線が待避線の構成である。なお、運転指令上では1番のりばから順に「下り1番線」「下り本線」「上り本線」とされている。特急列車は上下本線(2・3番のりば)を、福井方面からの折り返し列車は1番のりばをそれぞれ使用する。
のりば
北陸新幹線は当駅の設置が予定されており[43][44]、(相対式ホーム)2面2線を持つ高架駅として計画されている[33][45]。新幹線駅舎は現在の駅舎の北側[46]、かつ駅舎の東側(金沢寄り)に設置される[47][48]。駅のコンセプトは「あわらの大地に湧き出る贅の駅」で[33][49]、コンコースの天井に間接照明を取り入れた「折り上げ天井」が設置される[33][48][50]。3階建の構造で[48]、最上階の3階にホームが設置され、駅事務室などの本屋が2階に設置される予定である[31]。また、新幹線と在来線の両駅舎間の連絡通路も設けられる[47][48]。
駅舎外観は2021年12月時点でほぼ完成しており、新幹線の駅舎は2022年秋に完成を予定している[47][48]。
改札口(2016年3月)
ホーム(2008年8月)
北陸新幹線の工事により撤去された4番のりば(2018年8月)
貨物取扱
JR貨物の駅は車扱貨物の臨時取扱駅となっており[51][52]、貨物列車の発着はない[53]。貨物設備もなく、専用線も当駅には接続していない[51]。
かつては、正式な貨物駅を兼ねる駅で北陸本線と三国線と京福電鉄永平寺線との貨車の受渡しが行われていた。また、駅北側にあった明星セメントのセメントサイロへ続く三国線と並行する専用線があり、セメント輸送が行われていたが、1988年(昭和63年)に廃止された。それ以外に駅東側にある福井化学工業(旧・西野製紙)金津工場への専用線が伸びており、化学薬品の輸送を行っていたが、1982年(昭和57年)に廃止された。この専用線は1969年(昭和44年)に廃止された京福電鉄永平寺線の線路の一部を転用したもので、永平寺線時代は京福金津付近の専用線を介して行われていたが、永平寺線廃止以降は、京福金津駅構内の線路も含め専用線に転用された[54]。
駅弁
- 越前うにめし(6月 - 8月)
- 越前かにめし
利用状況
「福井県統計年鑑[56]」によると、2019年(令和元年)度の1日平均(乗車人員)は1,690人である[57]。
近年の1日平均乗車人員は以下の通り。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
1997年(平成 | 9年)2,243 |
1998年(平成10年) | 2,158 |
1999年(平成11年) | 2,065 |
2000年(平成12年) | 2,020 |
2001年(平成13年) | 2,137 |
2002年(平成14年) | 2,034 |
2003年(平成15年) | 2,048 |
2004年(平成16年) | 2,030 |
2005年(平成17年) | 2,048 |
2006年(平成18年) | 2,030 |
2007年(平成19年) | 1,994 |
2008年(平成20年) | 1,941 |
2009年(平成21年) | 1,824 |
2010年(平成22年) | 1,770 |
2011年(平成23年) | 1,761 |
2012年(平成24年) | 1,768 |
2013年(平成25年) | 1,775 |
2014年(平成26年) | 1,674 |
2015年(平成27年) | 1,799 |
2016年(平成28年) | 1,822 |
2017年(平成29年) | 1,833 |
2018年(平成30年) | 1,790 |
2019年(令和元年) | 1,690 |
駅周辺
西口周辺には土産物店や飲食店・商店・ビジネスホテルがあるが、駅直近を除いては閑散としている。東口方面は工場や駐車場が目立つ。当駅の駅名にある「芦原温泉」は、当駅から西に5kmの地点にあり、路線バス・タクシーや旅館による送迎車との結節点となっている。また温泉街へはえちぜん鉄道三国芦原線「あわら湯のまち駅」の方が近い。駅周辺には市役所などの公共施設のほか、教育機関が若干数所在する。
あわら市は2023年度末の北陸新幹線金沢 - 福井間開業に向けて、2006年より駅整備計画をもとに駅周辺を整備している[35]。
「駅から始まる 暮らし、出会い、賑わいのまち」をテーマに、当地への定住環境の向上や広域交通ターミナルの強化、広域拠点および玄関口として都市機能の強化、老朽化した駅舎の整備などに取り組んでいる[35]。その一環として地元住民と観光客が相互交流を図る施設である「aキューブ」が整備され、2015年にオープン[58]。
バス路線
いずれも西口交通広場ロータリーを発着するが、2022年に西口交通広場全体が在来線西口付近から未供用の新幹線駅西口の北側へ移転し様変わりしている。駅出入口に近い順にタクシー乗降場、路線バス1 - 3番。以下、特記がないものは京福バスが運行する路線である。
- 1番乗場
- 2番乗場
- 85 東尋坊線[59]:三国観光ホテル(坂井市三国町)
- 3番乗場
- 降車専用(到着便のみ運行の84 東尋坊線ほか)
- その他の路線など
- ボートレース三国送迎バス - 新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、無期限で運行を休止している。
- 芝政ワールドなどの観光地へ京福バスが季節運行する場合がある。
- 廃止路線
- あわら市コミュニティバスは廃止され、利用者事前登録制・デマンド型の乗合タクシーとなった。
- あわら北部周遊バス「あわらぐるっとバス」は廃止され、ルート非固定の一デマンド型・指定地点間運行の定額観光タクシー「あわらぐるっとタクシー」となった。
隣の駅
※特急「サンダーバード」「しらさぎ」「ダイナスター」「おはようエクスプレス」「おやすみエクスプレス」(うち、「サンダーバード」は一部通過)の隣の停車駅は各列車記事を参照のこと。
建設中の路線
かつて存在した路線
- 日本国有鉄道
- 三国線
- 金津駅 - 芦原駅
- 京福電気鉄道
- 永平寺線
- 金津駅 - 菅野駅
脚注
- ^ a b 変遷II 1998, p. 134.
- ^ a b c 川島 2010, p. 57.
- ^ a b c 朝日 2012, p. 22.
- ^ a b c d e f 変遷I 1998, p. 92.
- ^ 日本国有鉄道旅客局(1984)『鉄道・航路旅客運賃・料金算出表 昭和59年4月20日現行』。
- ^ 鉄道ジャーナル 2019, p. 38.
- ^ a b c . 中日新聞Web. (2022年3月29日). オリジナルの2022年3月29日時点におけるアーカイブ。2022年4月10日閲覧。
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- ^ . 朝日新聞デジタル. (2021年8月26日). オリジナルの2021年8月26日時点におけるアーカイブ。2021年9月23日閲覧。
- ^ . 読売新聞オンライン. (2021年8月31日). オリジナルの2021年9月10日時点におけるアーカイブ。2021年9月23日閲覧。
- ^ 変遷I 1998, p. 91.
- ^ 京福 2003, p. 26.
- ^ 「運輸通信省告示第483号」『官報』1944年10月5日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 京福 2003, p. 29.
- ^ 京福 2003, p. 30.
- ^ 京福 2003, p. 33.
- ^ 京福 2003, p. 143.
- ^ a b 変遷II 1998, p. 135.
- ^ a b “芦原温泉の新駅舎使用開始”. 交通新聞 (交通協力会): p. 1. (1972年11月1日)
- ^ a b “JR芦原温泉駅のエレベータ、やっと1機目が完成しました。”. あわら市観光協会公式facebook. 2016年3月3日閲覧。
- ^ (PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道金沢支社、2018年5月30日。 オリジナルの2019年5月28日時点におけるアーカイブ2020年9月13日閲覧。 。
- ^ “JR西日本「ICOCA」9/15エリア一体化、近畿から北陸・岡山も利用OK”. マイナビニュース (2018年5月30日). 2021年9月23日閲覧。
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- ^ 川島 2010, p. 32.
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- ^ みくに龍翔館 坂井の鉄道博覧展目録。
- ^ 『JTB時刻表』2023年3月号、JTBパブリッシング、2023年、481頁。
- ^ 福井県統計年鑑 - 福井県地域戦略部統計情報課
- ^ “8.駅別JR貨客輸送状況(1日平均)” (XIS). 福井県. 2021年3月29日閲覧。
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- ^ “北陸新幹線延伸でどんな福井旅する? 東尋坊のお膝元でこれでもかと海鮮丼三昧”. マイナビニュース (2018年7月25日). 2021年12月31日閲覧。
参考文献
- 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 I』JTB、1998年10月1日。
- 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』JTB、1998年10月1日。
- 『京福電気鉄道 越前線写真帖 88年回顧録』京福電気鉄道、2003年1月31日。
- 川島令三『【図説】日本の鉄道 中部ライン 全線・全駅・全配線 第5巻 米原駅 - 加賀温泉駅』講談社、2010年8月20日。ISBN (978-4-06-270065-8)。
- 『週刊JR全駅・全車両基地 18 北陸本線②(森本~米原) 越美北線』朝日新聞出版、2012年12月9日。
- 鶴通孝「3年後が待ち遠しい北陸新幹線敦賀延伸」『鉄道ジャーナル』2019年10月号、鉄道ジャーナル社、2019年10月1日。
関連項目
外部リンク
- 芦原温泉駅|駅情報:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道