神田信夫

神田 信夫（かんだ のぶお、1921年（大正10年）10月2日 - 2003年（平成15年）12月30日）は、日本の歴史学者。専門は東洋史、特に清朝史、満州族史。明治大学名誉教授。父は東洋史、書誌学者の神田喜一郎。岳父は恩師でもある和田清^[1]。

神田 信夫

人物情報
生誕	(1921-10-02) 1921年10月2日 日本京都府京都市
死没	2003年12月30日(2003-12-30)（82歳）
学問
研究分野	東洋史(清朝史、満州族史)
研究機関	明治大学 東洋文庫
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略歴

1921年、京都府京都市生まれ。父の喜一郎が京都帝国大学文学部史学科支那史学専攻を卒業した年に生まれ、1929年に父が台北帝国大学に赴任した際には同行して当時日本領だった台湾に移住。

1941年に台北高文科を卒業して東京帝国大学に入学^[2]し、文学部東洋史学科で山根幸夫と同期で学んだ。1943年9月に卒業、10月より2年間(大学院特別研究生)として、指導教授和田清のもと「満州八旗の研究」のテーマで研究を始める^[3]。

1949年に明治大学助教授、1956年に同大学教授となり、1992年まで教壇に立った（同年名誉教授）。東方学会会長（1993.9-1999.9）^[4]、東洋文庫研究員をつとめる^[5]。

1957年には、ヌルハチとホンタイジが統治した清朝初期の時代について満州語で記録された『満文老檔』^[6] を翻訳し解釈を加えた研究・訳註により^[7]、第一・二冊に対しその主著者として日本学士院賞を授与される^[8]、受賞研究題目は「満文老檔 本文篇 第一巻太祖1 および 第二巻太祖2」^[9]。受賞後も訳注を続け、毎年ほぼ一冊のペースで刊行し、1963年の第七冊をもって完了する^[10][11]。その後も清朝や満州族についての研究を続け、山川出版社からを中心として何点かの書籍・研究を発表した。

2003年12月30日、肺炎のため、東京都狛江市の病院で82歳で死去^[12]。

著書

単著

• 『清帝国の盛衰』（講談社〈図説 中国の歴史 8〉、1977）NCID BN02423430
• 『満学五十年』（刀水書房、1992）ISBN (978-4887081369) NCID BN07578048 ^[13]
• 『清朝史論考』（山川出版社、2005）ISBN (978-4634674400) ※遺著^[14]

共著・編著

• 『紫禁城の栄光―明・清全史』（講談社学術文庫、2006） - 岡田英弘・松村潤と共著。ISBN (978-4061597846)。(全国書誌番号):(21118052)。  ※神田信夫著『紫禁城の栄光〈大世界史 11〉』文藝春秋 1968年刊の増訂
• 『北アジア史（新版）』（山川出版社〈世界各国史 12〉、1981）- 護雅夫と共編 ISBN (978-4634411203)
• 『中国史籍解題辞典』（燎原書店、1989）- 山根幸夫と共編（代表） ISBN (978-4897480817)
• 『東北アジアの民族と歴史』（山川出版社〈民族の世界史 3〉、1989）- 三上次男と共編 ISBN (978-4634440302)
• 『清朝と東アジア―神田信夫先生古稀記念論集』（山川出版社、1992）- 同 編纂委員会 ISBN (978-4634655003)
• 『中国史』（全5巻、山川出版社〈世界歴史大系〉、1996-2003）- 編集委員 ISBN (978-4634461505)、ISBN (978-4634461604)、ISBN (978-4634461703)、ISBN (978-4634461802)、ISBN (978-4634461901)

東大東洋史同期生

• 神田信夫, 山根幸夫『戦中戦後に青春を生きて – 東大東洋史同期生の記録』山川出版社、1984年。ISBN (978-4634640702)。  ※神田信夫「戦争末期の東洋史研究室と下宿生活」。 
• 山根幸夫、谷井精之助『東大卒業五十年 われわれの道程―東洋史同期生の記録』山川出版社、1996年。ISBN (978-4634643802)。 NCID BN1517892X。http://id.ndl.go.jp/bib/000002502038。 

脚注・出典

1. ^ 同期生の記録 1984, pp. 135, 225.
2. ^ 神田信夫『出身県別 現代人物事典 西日本版』p372 サン・データ・システム 1980年
3. ^ 神田信夫 1984, p. 43.
4. ^ 一般財團法人東方學會
5. ^ 著者略歴：(紫禁城の栄光)
6. ^ 『(満文老檔)』 - コトバンク
7. ^ 戦後間もなく神田信夫を中心として東京帝国大学東洋史研究室で（のち東洋文庫）、満文老襠研究会が組織された：(松村潤 2004)
8. ^ 第47回（1957年/昭和32年5月14日） 。同時受賞者は(岡本敬二)・(石橋秀雄)・松村潤・岡田英弘
9. ^ 滿文老檔研究会『満文老檔 I 太祖 1』東洋文庫〈東洋文庫叢刊第十二〉、1955年。 および『満文老檔 II 太祖 2』1956年。https://www.bunsei.co.jp/item_images/1276724.JPG。  (全国書誌番号):(49000091):第1－2 冊、NCID BN09365693:第1－3冊
10. ^ 松村潤「神田信夫先生を偲んで」『満族史研究』第3号、満族史研究会、2004年7月、216-217頁、2022年8月21日閲覧。 
11. ^ 杉山清彦「神田信夫先生の満洲=清朝史研究」『満族史研究』第3号、満族史研究会、2004年7月、218-227頁、2022年8月21日閲覧。 
12. ^ 共同通信配信、2004年1月3日付、「神田信夫氏死去 明治大名誉教授^[]」
13. ^ 自選小論集 主要目次：刀水書房
14. ^ 杉山清彦「神田信夫著『清朝史論考』の刊行」『満族史研究』第4号、満族史研究会、2005年6月、232-238頁、2022年8月21日閲覧。 

外部リンク

• "神田 信夫". 20世紀日本人名事典（2004年刊）. コトバンクより2022年9月5日閲覧。
• CiNii(神田信夫 著作)