『江戸前エルフ』(えどまえエルフ)は、樋口彰彦による日本の漫画作品。『少年マガジンエッジ』(講談社)にて2019年7月号より連載中。月島で江戸時代から400年以上続く「高耳神社」[2]を舞台に、異世界から召喚されご神体として祀られてきたエルフと、その巫女としての役割を引き継いだ女子高生による日常コメディが描かれる[3]。また、作中を通して江戸時代の東京の風習や浮世などを解説している。
登場人物
声の項はテレビアニメの担当声優。
小金井 小糸 ()〈16歳〉[6]- 声 - 尾崎由香[4]
- 東京都中央区月島にあり、創社400年以上という設定の高耳(たかみみ)神社15代目になって3か月の巫女(みこ)[6]。巫(かんなぎ)として高耳毘売命(たかみみひめのみこと)に仕える[6]。オシャレなレディを目指しているが、中学3年間のお年玉を貯めて高級ブランドのバッグを買い、そのまま高校通学のバッグにするなど若干残念な所がある。また、カタカナ言葉が苦手な他、第二次成長期なためか食の誘惑に抗えない所があり、エルダの深夜の間食のお誘いを受ける事もしばしばある。中学時代は陸上部所属。
- エルダリエ・イルマ・ファノメネル〈621歳〉[6]
- 声 - 小清水亜美[4]
- 通称・エルダ。異世界から400年以上前に召喚された(エルフ)で、高耳神社のご神体として祀(まつ)られる高耳毘売命[6]。現代文明と趣味を満喫するひきこもりで「ダメな奴」で毎日「ダラダラ」しているが、町内の人たちに人気がある[6]。おたく文化の幅が広く、時には散財が酷い事も。特に江戸時代に見た舶来品のギヤマンを見て以来ガラス工芸に興味を持ち、現在も様々な空き瓶を収集している。記憶力が高い上に江戸時代から現在までの風習や文化の造詣が深く、毎回小糸達に解説する。プラモやゲームなどで指を鍛えているが、400年間あまり運動していないため、指以外の筋肉が衰えており、近所を走っただけでも翌日には脚が筋肉痛になるほど。夜更かしの為にレッドブル(原作ではレッドベル、アニメ版は実名)を愛飲している。
- 光の精霊
- エルダの召喚魔法により召喚される精霊。遠くの対象に思念(会話)を繋げる役目を仰せつかっているが、対象の所に行く必要があり、毎回対象を探しに月島中を飛び回っている苦労人(?)。
桜庭 高麗 ()- 声 - 相川遥花[7]
- 小糸の幼なじみで親友。高校のクラスメイト。快活で歯に衣着せない言動をしばしばする。学力も高く、授業内容を聞くだけでほとんど覚えるほど。そのそつなくこなす性格なため常に暇を持て余しており、暇潰しついでに学校行事の実行委員などに立候補したりしている。
小金井 小柚子 ()- 声 - 関根瞳[7]
- 小糸の妹で小学生。料理が得意でエルダの食事を一手に担う。礼儀正しい性格。食材を買うために毎日早朝に豊洲市場に赴き、その目利きは本職ですら唸らせるほど。そのため豊洲(や前身の築地市場)の業者から信頼され、地元の観光協会からも新メニューの相談を受けるほど信頼されている。
門井 きらら ()- 声 - 木村珠莉[8]
- 月島のもんじゃストリートでもんじゃ焼き屋「もんべえ」を経営する女性。小糸達とは顔なじみで、面倒見の良いお姉さん的存在。茜曰く、高校時代はヤンキーだったとの事。
- 島田八千代
- 声 - 宮寺智子
- 氏子の老婆で、TVゲームショップ「島田電気」を経営している。エルダとは自身の御誕生詣で祝ってもらった頃からの仲で、彼女の性格を理解しており、時々TVゲームの本体やソフトを神饌として奉納している。
- ヨルデリラ・リラ・フェノメネア〈622歳〉
- 声 - 釘宮理恵[9]
- 通称・ヨルデ。大阪にある廣耳神社にご神体として祀られているエルフで、神名は廣耳比女命(ひろみみひめのみこと)。エルダとは旧知の仲で、エルダと同時期に豊臣秀吉により召喚された。子供っぽくて負けず嫌いで何かとエルダと張り合いたがる。方向音痴。
小日向 向日葵 ()〈16歳〉- 声 - 生田輝[10]
- 廣耳神社の第15代巫女。何かとヨルデに振り回されているがサポート役としてヨルデを支えている。小糸とメル友になってからは近況報告などをしており、クールな見た目とは裏腹にメールは乙女チック。
- 佐々木茜
- 声 - 内山夕実
- 江戸時代から続くエルダの掛かり付け医の当代の女医。毅然とした態度の診療がエルダからは「前代(母親)の薫と違って優しくない」として敬遠され気味。きららとは中学時代からの友人。私生活では一変して眼鏡をかけ、身なりや態度もだらしない。また酒癖が悪く、職務での鬱憤を晴らすために大抵はもんべえで酒を呑む。
小金井 菊次郎 ()- 小糸と小柚子の祖父にして高耳神社宮司。1人娘で巫女の小夜子が亡くなり、孫娘の小糸が巫女を継承するまでの10年間、エルダの世話役をしていた。町内会の会合や神事などで多忙であり、一応登場はするものの姿を見せた事がない。
- 徳川家康
- 400年前の江戸開拓の折に江戸の御神体にと神職に命じてエルダを召喚させた張本人。エルダから「家康君」と呼ばれるほどの親しい仲であり、エルダに未来永劫江戸(東京)を見守ってくれるよう託した。
- 豊臣秀吉
- 400年前、徳川家康が異世界からエルダを召喚して江戸の御神体にした事を知り、天下人としての面子からか、ならばとヨルデを召喚して大阪の御神体にした。ヨルデとは気が合い、彼を「ウッキー」と呼んでいた。エルダも面識があり、「秀吉君」と呼んでいたが、派手好きでパリピな性格から、家康とエルダは苦手意識を持っていた[11]。
用語
高耳神社 ()- 東京・月島に位置する神社で、エルダを「高耳毘売命」として祀っている。400年前の江戸開拓の折に、徳川家康が江戸の御神体にと神職の小金井に命じてエルダを召喚し、天正18年(1590年)8月1日の江戸入城の折に佃島に神社を創建してエルダを祀り、小金井も宮司として入社した。時は流れて明治25年、東京湾澪浚計画で埋め立て地として月島が誕生したのを機に神社も月島に鎮座して現在に至る[12]。不老不死の高耳毘売命にあやかり、病気平癒、身体健康などの恩恵をもたらすと言われている。24時間参拝できるが、たまに真夜中に高耳毘売命が境内を散歩している時に遭遇する事がある[13]。
- 本殿兼エルダの部屋にはこたつが置いてあり、「巣」として真夏でも仕舞わずにエアコンを効かして使用するほどで、万年こたつと化している。
- 月島の小学校の卒業式には高耳毘売命の花として、「栄光」「不死」「不滅」の花言葉を持つ沈丁花の苗木が贈られる[14]。
- 社務所で販売している御守りにはエルダが着潰した神御衣の切れ端が入っており、御利益があると評判。
- ちなみに本殿前の狛犬の代わりに、エルダの居た世界にあやかって飛竜が鎮座している。
巫女継承の儀 ()- 小金井家の娘が16歳になって巫女を継承する際、冬至の深夜に高耳毘売命と共に、提灯の灯りだけ灯った月島を一周して氏子達に巫女を見せる儀式。氏子達は2人が家の前を通る際に、高耳毘売命の不老不死を讃える唄を歌う。
- 元々は江戸時代に夜鳴きそばを食べたいと駄々をこねて初代巫女を困らせ、ならばと大義名分の理由をつけて食べさせたのがはじまりであり、それが転じて現在はゴール地点のコンビニでカップラーメンを食べる事になっている。
夏祭り ()- 毎年の夏祭りの際、高耳毘売命が神輿の中に入って月島を練り歩く。引きこもりで他人と接しようとしないエルダは炎天下の中でも神輿の窓を閉めるため、毎年汗だくになり2kg痩せる。
富士遥拝の儀 ()- 50年に1度の大晦日、東京で最も高い建物の最上階から夜明けの富士山を拝み、徳川家康に江戸の厄除けを祈願する儀式。元々は江戸幕府創立後も家康は思い入れのある駿河城での生活が多く、また富士山への思い入れが深かったのもあり、彼のためにと行なっていた。江戸時代は江戸で1番高い江戸城本丸天守閣で行っていたが、明治になり東京に改名されてからは、東京で1番高い建物で行うようになり、高い所が苦手なエルダは「何故人類は高い建物を建てたがるんだ」と不平不満を漏らしている。本編では東京スカイツリーで行い、本来参拝はエルダだけで行うが、高耳毘売命として家康に小糸を紹介したいと特別に同伴した。
廣耳神社 ()- 本殿から通天閣が見えている事から、大阪・浪速に位置すると思われる神社[15]。ヨルデを「廣耳比女命」として祀っている。
カエルせんしゃ ()- エルダが集めている食玩シリーズで全国的に有名。エルダ曰くハードな世界観と、食玩レベル以上のクオリティのあるフィギュアが魅力の一つとの事。作中では現在第4弾まで出ている。
機動武士ゴンゲム ()- 全国的に有名なテレビロボットアニメシリーズで、エルダは1970年代の1stの頃から観ており、その知識は「ゴンゲム博士」と自負するほどであり、全シリーズのBD-BOXを持っている。ゴンゲムのプラモデル、略して「ゴンプラ」もそのクオリティから全国的に有名。
書誌情報
- 樋口彰彦 『江戸前エルフ』 講談社〈マガジンエッジKC〉、既刊7巻(2023年3月16日現在)
テレビアニメ
2023年4月より毎日放送・TBS『アニメイズム』B2枠ほかにて放送中[7][5]。副題のアルファベット部分が原作漫画版の「EDOMAE ELF」から英語版準拠の「OTAKU ELF」に変更されている。また一部商品が実名で登場している。
スタッフ
- 原作 - 樋口彰彦[4]
- 監督 - 安齋剛文[4]
- シリーズ構成 - ヤスカワショウゴ[4]
- キャラクターデザイン - 小田武士[4]
- 総作画監督 - 小田武士、中尾隆文、SAI[23]
- プロップデザイン - 横山友紀[23]
- 色彩設計 - 最相茂[23]
- 美術設定 - 近藤由美子、柴田千佳子[23]
- 美術監督 - アトリエマカリア[23]
- 3DCD - 山田翔、桑良人
- 撮影監督・特殊効果 - 久保田淳[23]
- 編集 - 山岸歩奈美[23]
- 音響監督 - 藤田亜紀子[23]
- 音楽 - 松田彬人[4]
- 音楽制作 - ハートカンパニー[23]
- 音楽プロデューサー - 斎藤滋[23]
- 音楽ディレクター - タノウエマモル[23]
- プロデューサー - 吉武真太郎、青井宏之、秋田規行、佐藤尚哉、曹聡
- アニメーションプロデューサー - 山田良輔
- アニメーション制作 - C2C[4]
- 製作 - 「江戸前エルフ」製作委員会(日活、毎日放送、講談社、(NetEaseGames))
主題歌
- 「奇縁ロマンス」[7][24]
- ナナヲアカリによるオープニングテーマ。作詞・作曲は和ぬか、編曲は100回嘔吐。
- 「おどる ひかり」[7][24]
- Cody・Lee (李)によるエンディングテーマ。作詞・作曲は高橋響、編曲はCody・Lee (李)。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 | 初放送日 |
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第一話 | 東京のエルフのはなし | ヤスカワショウゴ | 安齋剛文 | 辻橋綾佳 |
| 小田武士 | 2023年 4月8日 |
第二話 | いこうぜ、もんじゃストリート | 岩田義彦 | 中尾彩香 | 中尾隆文 | 4月15日 | ||
第三話 | 新米巫女と継承の儀 | 長澤剛 |
| 小田武士 | 4月22日 | ||
第四話 | 古今東西エルフ合戦 | 齋藤徳明 | 渡辺正彦 |
| 4月29日 | ||
第五話 | 月島ガールズコレクション | 安齋剛文 | 岩田義彦 |
| 中尾隆文 | 5月6日 | |
第六話 | Stand by Me | 齋藤徳明 | 堀内直樹 |
| SAI | 5月13日 | |
第七話 | 街の匂いは | 相澤伽月 | 辻橋綾佳 |
| 小田武士 | 5月20日 |
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域 [25] | 備考 |
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2023年4月8日 - | 土曜 2:23 - 2:53(金曜深夜) | 毎日放送 | 近畿広域圏 | 製作参加 |
TBSテレビ | 関東広域圏 | |||
2023年4月11日 - | 土曜 3:00 - 3:30(金曜深夜) | BS-TBS | 日本全域 | (BS/BS4K放送) / 初回は火曜 3:30 - 4:00(月曜深夜)に放送 |
火曜 23:30 - 水曜 0:00 | AT-X | 日本全域 | (CS放送) / 字幕放送[26] / リピート放送あり | |
毎日放送・TBSテレビ・BS-TBSは『アニメイズム』B2枠。 |
配信開始日 | 配信時間 | 配信サイト |
---|---|---|
2023年4月8日 | 土曜 3:00(金曜深夜) 更新 | |
2023年4月11日 | 火曜 12:00 更新 | |
火曜 22:30 更新 | ||
2023年4月13日 | 木曜 0:00(水曜深夜) 更新 |
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- |
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BD
巻 | 発売日[27] | 収録話 | 規格品番 |
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1 | 2023年7月5日予定 | 第1話 - 第4話 | HPXN-461 |
2 | 2023年8月2日予定 | 第5話 - 第8話 | HPXN-462 |
3 | 2023年9月6日予定 | 第9話 - 第12話 | HPXN-463 |
出典
- ^ 高耳神社のモデルに関する原作者からの注記 - twitter
- ^ 作者はtwiiterで特定の神社をモデルにしていないと書いている[1]。
- ^ “ひきこもりエルフと新人巫女のハートフルコメディ「江戸前エルフ」エッジ新連載”. コミックナタリー (ナターシャ). (2019年6月17日)2022年12月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “樋口彰彦「江戸前エルフ」TVアニメ化決定!小糸役は尾崎由香、エルダ役は小清水亜美”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年6月15日)2022年12月21日閲覧。
- ^ a b c d “放送・配信”. TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト. 2023年4月9日閲覧。
- ^ a b c d e f "試し読み"『江戸前エルフ (1)』講談社. Amazon.com. 2022年12月31日閲覧。
- ^ a b c d e “アニメ「江戸前エルフ」は4月放送開始、コマちゃんと小柚子のキャストが明らかに”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年2月24日)2023年2月24日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/jullie_egg/status/1644574049031581698”. Twitter. 2023年4月15日閲覧。
- ^ “登場人物|TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト”. TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト. 2023年4月28日閲覧。
- ^ “登場人物|TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト”. TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト. 2023年4月28日閲覧。
- ^ コミックス第7巻37話#105より。
- ^ コミックス第3巻13話#36 あとがきにて。
- ^ コミックス第1巻おまけ「ようこそ高耳神社へ」より。
- ^ コミックス第3巻13話#35にて。
- ^ コミックス第1巻4話#12にて。
- ^ “『江戸前エルフ(1)』(樋口彰彦)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2022年12月25日閲覧。
- ^ “『江戸前エルフ(2)』(樋口彰彦)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2022年12月25日閲覧。
- ^ “『江戸前エルフ(3)』(樋口彰彦)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2022年12月25日閲覧。
- ^ “『江戸前エルフ(4)』(樋口彰彦)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2022年12月25日閲覧。
- ^ “『江戸前エルフ(5)』(樋口彰彦)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2022年12月25日閲覧。
- ^ “『江戸前エルフ(6)』(樋口彰彦)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2022年12月25日閲覧。
- ^ “『江戸前エルフ(7)』(樋口彰彦)”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2023年3月16日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “出演・制作”. TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト. 2023年2月24日閲覧。
- ^ a b “主題歌情報”. TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト. 2023年2月24日閲覧。
- ^ テレビ放送対象地域の出典:
- 政府規制等と競争政策に関する研究会 (2009年10月9日). “放送分野の動向及び規制・制度(資料2)” (PDF). 通信・放送の融合の進展下における放送分野の競争政策の在り方. 公正取引委員会. p. 2. 2018年10月24日閲覧。
- “基幹放送普及計画”. 郵政省告示第六百六十号. 総務省 (1988年10月1日). 2022年5月11日閲覧。
- “地デジ放送局情報”. 一般社団法人デジタル放送推進協会. 2022年8月5日閲覧。
- ^ “週間番組表 (2023/04/10〜2023/04/16)”. AT-X. エー・ティー・エックス. 2023年3月29日閲覧。
- ^ “Blu-ray - 商品情報”. TVアニメ「江戸前エルフ」公式サイト. 2023年4月9日閲覧。