森 敬斗(もり けいと、2002年1月28日 - )は、静岡県静岡市葵区出身[1]のプロ野球選手(内野手)。右投左打。横浜DeNAベイスターズ所属。
経歴
プロ入り前
静岡市立清沢小学校3年時に兄の影響で軟式野球を始める[3]。小学校時代は地元のサッカーチームにも所属し、平日はサッカー、土日は野球をやっていた[4]。静岡市立藁科中学校在学時は硬式の島田ボーイズでプレー[5]。外野手兼投手で3年春から三塁手となった[6]。島田ボーイズ時代の1学年上には村松開人がいた[7]。
中学卒業後は神奈川県の桐蔭学園高等学校に進学。1年夏からベンチ入りし、2年秋から主将となる[8]。その秋季大会では県大会で準優勝の成績を収めると、関東大会でチームを24年ぶりの優勝に導いた[8]。特に初戦の常総学院高戦では逆転サヨナラ満塁本塁打、決勝の春日部共栄高戦でも2本塁打を打つ活躍を見せた[9]。3年春に出場を果たした第91回選抜高等学校野球大会では[10]、初戦で啓新高に3対5で敗れたものの[11]、3番・遊撃手として出場し4打数3安打1打点の成績を残した[11]。3年夏の選手権大会への出場は叶わなかったが、8月から9月にかけて韓国で行われたU-18ワールドカップの日本代表に内野手として選出され、1番打者を任された[12]。ただし、遊撃手を6人選出したチーム事情から、身体能力の高さを買われ中堅の守備に就いた[13]。ワールドカップ終了後にプロ志望届を提出[14]。桐蔭学園は多数のプロ野球選手を輩出しているが、多くが大学・社会人を経由しており、高卒でプロ入りした選手は1977年にヤクルトスワローズに入団した渋井敬一が最後で、森も周囲からは大学に進学してからプロを目指す事を勧められていたが、自らの強い意志でプロ志願届提出を決意した[15]。
2019年10月17日に行われたドラフト会議では横浜DeNAベイスターズから1位指名を受け[16]、11月23日に仮契約を結び、契約金1億円、年俸1000万円(金額は推定)という条件で入団した[17]。背番号は6。担当スカウトは稲嶺茂夫[18]。
横浜DeNA時代
2020年は、二軍で開幕を迎えた。シーズン終盤の10月27日に初めて一軍に昇格すると、同日の読売ジャイアンツ戦(横浜スタジアム)、8回裏に石田健大の代打で初出場。チアゴ・ビエイラから左越え二塁打を打ち、初打席で初安打を記録した[19]。10月31日の阪神タイガース戦(横浜)では、2番・遊撃手でプロ初スタメンを果たした[20]。二軍では遊撃手として58試合に出場し、打率.210、2本塁打、13打点、7盗塁、OPS.580という成績だった[21]。
2021年も二軍で開幕を迎えた。7月10日に同年一軍初昇格を果たすと翌日の7月11日の中日ドラゴンズ戦(バンテリンドーム ナゴヤ)ではスタメン出場し、プロ初犠打、プロ初複数安打を記録した[22]。7月12日の阪神戦(甲子園球場)では、青柳晃洋からプロ初打点を記録した[23]。後半戦からシーズン終了まで一軍に帯同し、遊撃手として44試合に出場した一方で、30打席連続無安打に陥り、打率.194、0本塁打と課題を残した。二軍では遊撃手として69試合に出場し、打率.255、6本塁打、29打点、16盗塁、OPS.670という成績だった[24]。
2022年は、春季キャンプから初の一軍スタートとなる[25]。遊撃手としてレギュラー獲得に意気込んでいたが[26][27]、2月27日の巨人とのオープン戦で本塁を狙った走塁で転倒し、右太腿裏の肉離れと左足首の捻挫と診断され、開幕から出遅れる[28]。その後、リハビリと二軍での調整を経て、6月3日の楽天ゴールデンイーグルス戦(横浜)で一軍に合流[29]。翌4日の同じく楽天戦で7回裏の同点の場面から代打起用されると、シーズン初安打とシーズン初盗塁を決め、チームの勝利に貢献[30]。その後、スタメン起用を増やしていくと好守備でもチームを盛り立てていき、6月23日の巨人戦(東京ドーム)では、6回表に戸田懐生からプロ初本塁打を記録した[31]。7月22日に新型コロナウィルスの陽性判定を受け一時離脱をし[32][33]、大和や柴田竜拓が遊撃手のポジションに入る事も多かったが、9月に入ると3ヶ月ぶりに本塁打を放つなど、調子を上げていき連続安打も重ねていく[34]。前半戦の離脱が響き最終的には61試合の出場に留まり、打率.234、2本塁打、6打点、5盗塁という成績だった。
2023年は、開幕一軍を迎えるが、打撃の調子が上がらず調整のため一軍に帯同しながら4月14日のイースタン・リーグの埼玉西武ライオンズ戦に出場していたところ、自打球が顔に直撃し、左鼻骨を骨折[35]。プレーに支障はないという判断で同日の夜の一軍の試合にはフェイスガードを付けてベンチ入りした[36]。
選手としての特徴
全身にバネがあるような身体能力を持ち[37]、50メートル5秒8、遠投120メートルという俊足強肩を誇る[38]。
守備ではフットワークが良く[39]、肩の強さを活かし、三遊間の深い位置からも走者をアウトにできる矢のような鋭いスローイングを見せる[40][41]。
人物
スピード感あるプレーと母校の先輩でラグビー選手の松島幸太朗の愛称から「ハマのフェラーリ」と呼ばれている[42]。
静岡市のオクシズと呼ばれる大自然広がる中山間地で生まれ育ち、山や川で遊びまわる野性的な幼少期を過ごす中で、持ち前の高い身体能力が培われた[43][44]。
詳細情報
年度別打撃成績
年 度 | 球 団 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 二 塁 打 | 三 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 打 | 犠 飛 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | DeNA | 8 | 12 | 12 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .250 | .250 | .333 | .583 |
2021 | 44 | 113 | 103 | 15 | 20 | 4 | 2 | 0 | 28 | 5 | 4 | 2 | 1 | 2 | 7 | 0 | 0 | 30 | 1 | .194 | .241 | .272 | .513 | |
2022 | 61 | 168 | 154 | 15 | 36 | 3 | 0 | 2 | 45 | 6 | 5 | 4 | 1 | 0 | 13 | 2 | 0 | 42 | 4 | .234 | .293 | .292 | .586 | |
通算:3年 | 113 | 293 | 269 | 33 | 59 | 8 | 2 | 2 | 77 | 11 | 9 | 6 | 2 | 2 | 20 | 2 | 0 | 73 | 5 | .219 | .271 | .286 | .558 |
- 2022年度シーズン終了時
年度別守備成績
年 度 | 球 団 | 遊撃 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2020 | DeNA | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.000 |
2021 | 32 | 32 | 71 | 6 | 22 | .945 | |
2022 | 50 | 63 | 122 | 6 | 22 | .969 | |
通算 | 84 | 95 | 194 | 12 | 44 | .960 |
- 2022年度シーズン終了時
記録
- 初記録
- 初出場:2020年10月27日、対読売ジャイアンツ21回戦(横浜スタジアム)、8回裏に石田健大の代打で出場[19]
- 初打席・初安打:同上、8回裏にチアゴ・ビエイラから左越二塁打[19]
- 初先発出場:2020年10月31日、対阪神タイガース22回戦(横浜スタジアム)、2番・遊撃手として先発出場
- 初盗塁:2021年7月11日、対中日ドラゴンズ15回戦(バンテリンドーム ナゴヤ)、9回表にニ盗(投手:ライデル・マルティネス、捕手:木下拓哉)
- 初打点:2021年7月12日、対阪神タイガース13回戦(阪神甲子園球場)、7回表に青柳晃洋から適時二塁打
- 初本塁打:2022年6月23日、対読売ジャイアンツ10回戦(東京ドーム)、6回表に戸田懐生から右中越2ラン
背番号
- 6(2020年 - )
脚注
- ^ a b “森(静岡市出身) DeNAAが1位指名”. 中日新聞しずおかWeb (2019年10月18日). 2021年8月20日閲覧。
- ^ “DeNA - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2022年11月23日閲覧。
- ^ “DeNA1位・森敬斗 田舎町から現れたジャニーズ級スター候補”. 日刊ゲンダイ (2019年11月21日). 2022年6月14日閲覧。
- ^ “DeNA・森敬斗、〝サッカー王国〟の地元・静岡で野球教室「静岡の野球人口を増やすためにも大事」”. サンスポ (2022年12月20日). 2022年12月27日閲覧。
- ^ “ベイ、桐蔭・森敬斗を1位指名し交渉権獲得”. カナロコ (2019年10月17日). 2023年2月2日閲覧。
- ^ “【中日】村松開人、1日200本ノック 明大先輩・阿部から助言「ひたすらノックを受けろ」”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ. 中日新聞社 (2022年12月30日). 2023年1月5日閲覧。
- ^ a b “センバツ16年ぶり出場の桐蔭学園 「きつい時こそ楽しく」主将・森敬斗の決意”. 高校生新聞オンライン (2019年3月14日). 2022年6月24日閲覧。
- ^ “桐蔭学園 24年ぶり関東大会V「全国で勝って名を広めたい」”. スポニチアネックス (2018年10月29日). 2020年10月29日閲覧。
- ^ “桐蔭学園、16年ぶり甲子園は初出場校と初戦 森主将「100%出す」”. スポーツニッポン. (2019年3月16日)2020年4月30日閲覧。
- ^ a b “第91回センバツ高校野球大会 試合速報 第5日 啓新 対 桐蔭学園” (2019年3月27日). 2020年4月30日閲覧。
- ^ “U18侍 最初の山場、米国戦のスタメン発表 先発投手は近江の林”. スポーツニッポン. (2019年9月1日)2020年4月30日閲覧。
- ^ “【U-18W杯】遊撃手6人の高校代表、プロ注目3選手が外野兼務 武岡は初挑戦「試合に出られれば」”. full-count (2019年8月25日). 2022年6月24日閲覧。
- ^ “桐蔭学園・森敬斗、プロ志望届提出へ U18代表では「1番・中堅」”. スポーツニッポン. (2019年9月25日)2022年6月18日閲覧。
- ^ “ハマの一番星 森敬斗の原点(5)プロで生き抜く覚悟”. カナロコ (2020年1月10日). 2022年6月17日閲覧。
- ^ “DeNA 単独で桐蔭学園・森を1位指名 地元横浜の高校№1遊撃手 ラミレス監督「ファンも喜んでいる」”. スポーツニッポン. (2019年10月17日)2022年3月7日閲覧。
- ^ “DeNA1位森が仮契約「筒香さん超えられるよう」”. 日刊スポーツ (2019年11月2日). 2020年2月19日閲覧。
- ^ “DeNA・森敬斗 CLOSE-UP INTERVIEW 夢中で駆け抜けた1年目「こんなに打てないものか、と悩んだりもしました」”. 週刊ベースボールONLINE (2020年11月30日). 2022年11月23日閲覧。
- ^ a b c “DeNA森が初打席で二塁打、離脱佐野に代わり昇格”. 日刊スポーツ (2020年10月27日). 2022年6月18日閲覧。
- ^ “DeNA高卒2年目・森敬斗が今季初スタメン 昨年10月31日の阪神戦以来”. サンスポ (2021年7月11日). 2021年6月13日閲覧。
- ^ “DeNA待望のスピードスターへ!ルーキーイヤーに大器の片鱗見せた森敬斗”. 高校野球ドットコム (2021年1月12日). 2021年6月13日閲覧。
- ^ “2021年7月11日(日) vs. 中日 セ・リーグ 公式戦”. 横浜DeNAベイスターズ (2021年7月11日). 2021年10月27日閲覧。
- ^ “2021年7月12日(月) vs. 阪神 セ・リーグ 公式戦”. 横浜DeNAベイスターズ (2021年7月12日). 2021年10月27日閲覧。
- ^ https://baseballdata.com/stats-farm/hitter-yb/
- ^ “DeNA・森 スイング「千弱くらい振ったかも」”. カナロコ (2022年2月22日). 2022年4月2日閲覧。
- ^ “DeNA森敬斗 キャンプ2日目で“結構きつい”石井琢朗コーチによる熱血指導”. 日テレNEWS (2022年2月2日). 2022年4月2日閲覧。
- ^ @sanspo_baystars (2022年2月2日). "【#宜野湾キャンプ】" (ツイート). Twitterより2022年7月2日閲覧。
- ^ “DeNA森敬斗は開幕微妙 肉離れ、捻挫の診断「痛いですね、状態が良かっただけに」三浦監督”. 日刊スポーツ (2022年3月1日). 2022年4月2日閲覧。
- ^ “DeNA・大田泰示&森敬斗が1軍合流!! 三浦監督「チームの雰囲気を変えられる元気者2人」”. サンスポ (2022年6月3日). 2022年6月8日閲覧。
- ^ “DeNA森敬斗が今季初安打→初盗塁で勝ち越しホーム「上がった瞬間にレギュラーをとる」大ケガから復帰”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ (2022年6月4日). 2022年6月8日閲覧。
- ^ “【DeNA】森敬斗プロ初本塁打「いやー、もう率直にうれしい」2回は今季初の適時打”. 日刊スポーツ (2022年6月23日). 2022年6月24日閲覧。
- ^ “DeNAの森敬斗、平良拳太郎とスタッフ1人が新型コロナウイルス陽性判定 3日連続で陽性者”. スポニチアネックス (2022年7月23日). 2022年8月21日閲覧。
- ^ “DeNA・大和がコロナ陽性で抹消 代わって森敬斗&ソトが阪神戦で昇格”. サンスポ (2022年8月9日). 2022年8月21日閲覧。
- ^ “DeNA・森敬斗が出場6試合連続安打 期待の20歳がシーズン最終盤の大一番で堂々プレー”. サンスポ (2022年9月25日). 2022年10月4日閲覧。
- ^ “DeNA・森敬斗が鼻骨骨折 2軍戦で顔に自打球 抹消はせずに1軍に帯同予定”. デイリースポーツ (2023年4月14日). 2023年4月15日閲覧。
- ^ “【DeNA】森敬斗が自打球で左鼻骨骨折も「痛いと言っていられない」阪神戦ベンチ入り 帯同続ける”. スポーツ報知 (2023年4月14日). 2023年4月15日閲覧。
- ^ “【横浜ベイスターズ】森敬斗は”身体能力マン”で天然キャラ!?≪石川雄洋さんオンライントーク≫”. ラブスポ (2022年2月23日). 2022年10月26日閲覧。
- ^ “桐蔭学園・森はDeNA単独1位 俊足強肩の遊撃手”. 日刊スポーツ (2019年10月16日). 2021年6月13日閲覧。
- ^ “大矢氏が若き日の“石井琢朗のような感じ”と評価した選手は?”. ニッポン放送 ショウアップナイター (2021年8月23日). 2022年1月7日閲覧。
- ^ “「日本を代表する選手になってもおかしくない」 DeNA名手が認める次代のスター候補”. Full-Count (2022年6月21日). 2021年6月24日閲覧。
- ^ “DeNA森は「どんなスナップしてんだろ?」 “突っ立ち鬼肩”は「ノビがすげえ」”. Full-Count (2022年9月10日). 2022年10月4日閲覧。
- ^ ““ハマのフェラーリ”森が番長DeNA救った 土壇場全開!超速同点ホームイン”. サンスポ (2021年7月12日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ “ハマの一番星 森敬斗の原点(2)指揮官と不思議な縁”. カナロコ (2020年1月6日). 2022年6月14日閲覧。
- ^ “「開幕スタメンとレギュラー定着が故郷への恩返し」“ハマの韋駄天”森敬斗 飛躍誓う4年目の春”. TBS NEWS DIG (2023年3月25日). 2023年4月20日閲覧。
- ^ “【DeNA】三浦大輔監督「雰囲気変えてくれる元気者の2人がきた」大田泰示、森敬斗1軍合流”. スポーツ報知 (2022年6月3日). 2022年6月24日閲覧。
- ^ “【ベイスターズ・リレー日記】「盛り上げ番長」森敬斗の日常「1人でいる時はしょんぼり(笑)」”. 日刊スポーツ (2022年2月26日). 2022年10月4日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 個人年度別成績 森敬斗 - NPB.jp 日本野球機構
- 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)、The Baseball Cube
- 選手名鑑 - 横浜DeNAベイスターズ公式サイト
- 森敬斗 (@keito.mori_0128) - Instagram