セフィーロ ワゴン(CEFIRO WAGON)はかつて日産自動車が製造していた3ナンバーサイズのステーションワゴンである。
日産・セフィーロワゴン A32型 | |
---|---|
前期型(1997-1999年) | |
後期型(1999-2000年) | |
リア(前期型、10thアニバーサリー) | |
概要 | |
販売期間 | 1997年 - 2000年 |
デザイナー | 和田智 |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドアステーションワゴン |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動 |
(パワートレイン) | |
エンジン | VQ30DE 3.0L V6 DOHC 220PS/28.5kgm VQ25DE型 2.5L V6 DOHC 190PS/24.0kgm VQ20DE 2.0L V型6気筒 DOHC 155PS/19.0kgm |
変速機 | フルレンジ電子制御4AT |
サスペンション | |
前: マクファーソンストラット式 後: マルチリンクビーム式 | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,700mm |
全長 | 4,800mm |
全幅 | 1,770mm |
全高 | 1,455mm |
車両重量 | 1,470kg |
その他 | |
発売地域 | 日本のみ |
系譜 | |
後継 | ステージア/プリメーラワゴンに統合 |
概要
当時一世を風靡していたステーションワゴンブームに便乗する格好で、セフィーロ(セダン)をベースに2年弱という短期間で開発され1997年(平成9年)に発売。車格としてはアベニールの上位であり、ステージアと並ぶ最大級の寸法且つ最高級クラスのステーションワゴンである。[1]生産はセダン同様追浜工場が担当。開発当初から輸出は考えられておらず、国内専用車であった。
エクステリアについてはBピラーまではセダンと共用するが、リアドアやルーフも含めてそれ以降は専用設計としている。チーフデザイナーは後にアウディAGに移籍してアウディ・A6やアウディ・Q7などのデザインを手がけ、その後フリーとなった和田智である[2]。
セフィーロ同様、駆動方式は前輪駆動(FF)のみで四輪駆動(4WD)の設定はない。
発表当時、2年弱という短期間で開発された割には使い勝手や完成度に優れ、特に狭地でも荷物の取り出しが可能なガラスハッチや荷室の広さは高く評価された。また、トヨタ・マークIIクオリスやカムリグラシア、ホンダ・アヴァンシアなどライバルの多くが低グレード車に直列4気筒エンジンを搭載していたのに対し、本車では全グレードで静粛性に有利なV型6気筒エンジンを搭載していた上、セダンでは上級グレードにしか採用されていなかった電子制御エンジンマウントを全グレードに採用していたのが大きな優位点(アドバンテージ)となった。
歴史
前期 WA32/WPA32/WHA32型(1997年-1999年)
セダン同様、全車にVQエンジンが搭載され、グレードに応じて2,000cc(VQ20DE)、2,500cc(VQ25DE)、3,000cc(VQ30DE)の3種が設定された。グレード名はセダンの「エクシモ」(Excimo)系、「イニシア」(Initia)、「Sツーリング」(S-Touring)系とは異なり「クルージング」(Crusing)系とされた。全車4ATのみの設定であり、パーキングブレーキもハンドレバー式のみで足踏み式の設定はない。
グレードは大別すると「クルージング」と「クルージングG」があり、後者は運転席パワーシートやSRS両席サイドエアバッグ[注釈 1]、ファインビジョンメーターなどが標準装備であった。また、全車に16インチアルミホイール[注釈 2]、専用グリル、カラードドアハンドル、オフブラック内装などを装備した「スポーティーパッケージ」がメーカーオプションで設定されていた。
1997年9月29日、オーテックジャパン扱いの「エアロセレクション」を発売[4]。25クルージング / 20クルージングをベースに、フロント・サイド・リヤに専用のエアロパーツをまとっていた。
1998年1月、特別仕様車「20クルージング Gパッケージ」を設定。
1998年5月19日、小改良。塗装色「ディープワインレッド」を廃止。同時に、セフィーロ誕生10周年を記念して「10th ANNIVERSARY」を発売[5][注釈 3]。25クルージング / 20クルージングをベースに、本革&ウッドのコンビステアリングや専用デザインのアルミホイール[注釈 4]、10周年記念オリジナルキーなど、通常のモデルではオプション設定すらない装備が奢られた。また、このモデルに限ってボディ色はホワイトパールのツートーンやブラックも選択可能であった。
後期 WA32/WPA32型(1999年-2000年)
1998年にフルモデルチェンジしたA33型セフィーロにならった丸型4灯式ヘッドライト(アウターレンズはプラスチック製からガラス製に変更され、クリアランスレンズとは分離された)や新意匠のフロントグリル・リヤガーニッシュ&エンブレム(「CEFIRO」→「Cefiro」に書体を変更)、新デザインのアルミホイール&ホイールカバー[注釈 5]、グレー塗装のルーフレール、ボディーカラーの入れ替え(シャンパンシルバーの追加など[注釈 6])、エンジンヘッドカバーの全部分シルバー塗装化[注釈 7]、新意匠のステアリングやセレクターレバーを採用するなど主としてエクステリアとインテリアの意匠変更に重点が置かれた。
また、ゾーンボディ[注釈 8]を採用するなど衝突安全性能も向上させた。ただし、それと引き換えにSRS両席サイドエアバッグは全車メーカーオプションとなっている。
「スポーティーパッケージ」は引き続き設定され、選択すると前期の内容[注釈 9]に加えて木目調センタークラスターパネルがブラックウッド調に変更され、ヘッドライトのインナーハウジングがチタン調に、そしてクリアランスレンズの色がアンバー(橙)となる。
なお、このマイナーチェンジを機に3Lエンジン搭載の「30クルージングG」と「25クルージング」[注釈 10]、そしてオーテックジャパン扱いの「エアロセレクション」は廃止され、それらと入れ替わりに「20クルージングG」が追加された。
また、ディーラーオプションで台湾仕様のフロントバンパーとフロントグリル、フォグランプ&コーナリングランプで構成される「VIPセレクション」が全車に設定された。
なお、セダンではブレーキ時に両側テールランプが全部で4灯点灯するが、ワゴンでは両側テールランプ下部の2灯のみ点灯する。
2000年7月[7]、日産リバイバルプランによる車種整理の対象とされ、ステージアやプリメーラワゴンに統合される格好となり生産を終了。
2000年8月[8]、在庫対応分が完売し販売終了。販売期間は前後期型を通して、わずか3年3ヶ月余りで、後期型だけで見ると1年と極めて短いものとなった。
出典
- ^ 全長は当時のステージアとほぼ同じ4800㎜だが、全幅はセフィーロワゴンの方が広い為、日産のステーションワゴンでは最も寸法が大きい。
- ^ モーターファン別冊 第209弾 NISSANセフィーロワゴンのすべて
- ^ 『セフィーロワゴンを新発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1997年6月2日2022年3月16日閲覧。 。
- ^ 『セフィーロワゴンの特別仕様車「エアロセレクション」を発売』(プレスリリース)株式会社オーテックジャパン、日産自動車株式会社、1997年9月29日2022年3月16日閲覧。 。
- ^ 『セフィーロ10周年記念車を発売』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1998年5月19日2022年3月16日閲覧。 。
- ^ 『「セフィーロワゴン」をマイナーチェンジ』(プレスリリース)日産自動車株式会社、1999年8月30日2022年3月16日閲覧。 。
- ^ “セフィーロワゴン(日産)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
- ^ “セフィーロワゴン”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
注釈
- ^ SRS両席エアバッグは全車に標準装備。
- ^ 2Lのみ15インチアルミホイール。ただし、後期は2Lでも16インチアルミホイールとなる。
- ^ セダンにも設定されていたが、ベースが20エクシモだったため内容は全く異なるものだった。
- ^ センターキャップ以外はインフィニティI30「Limited」と同一デザイン
- ^ ともに同時期に出たC35型ローレル後期と同一デザイン。ただし、スポーティーパッケージに設定される16インチはデザイン変更なし。
- ^ シャンパンシルバー(EV0)はT31型エクストレイル・アクシスで採用されているものと同一である。
- ^ 「V6 2500 TWINCAM 24VALVE」「V6 2000 TWINCAM 24VALVE」の周囲がブラックからシルバーになった。
- ^ 前期型も「ゾーンボディコンセプト」を採用していたが、自動車事故対策センターの定める最高基準「AAA」を獲得できなかった。そこでそれに対応すべく後期型では衝突安全性能を強化した。
- ^ 16インチアルミホイール、オフブラック内装、カラードドアハンドル、専用グリル、本皮革ステアリング
- ^ 「25クルージング スポーティパッケージ」としての継続設定はあった。
関連項目
外部リンク
- WEBカタログバックナンバー セフィーロワゴン(後期型)