『愛の世紀』(あいのせいき、原題:Éloge de l'amour、「愛の賞讃」の意)は、1999年製作、2001年公開、ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランス・スイス合作の長篇劇映画である。
愛の世紀 | |
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Éloge de l'amour | |
1944年、レジスタンスの闘士たち | |
監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
製作総指揮 | アラン・サルド ルート・ヴァルトブルゲール |
音楽 | デヴィッド・ダーリング ケティル・ビヨルンスタ (ジョルジュ・ヴァン・パリス) モーリス・ジョベール カール・アマデウス・ハルトマン アルヴォ・ペルト |
撮影 | (クリストフ・ポロック) (ジュリアン・イルシュ) |
編集 | (ラファエル・ユルタン) |
製作会社 | ペリフェリア アルテ・フランス・シネマ アッヴェントゥーラ・フィルム テレヴィジオン・スイス・ロマンド ヴェガ・フィルム カナル・プリュス |
配給 | (ARPセレクシオン) (プレノンアッシュ) |
公開 | 2001年5月16日 2001年11月23日 2002年4月13日 |
上映時間 | 97分 |
製作国 | フランス スイス |
言語 | フランス語 |
概要
「現在」と「2年前の回想」との2部構成で、第1部の現在が白黒のフィルム、第2部の過去がカラーのHDカムで撮影されている[1]。共同製作会社の一社、テレヴィジオン・スイス・ロマンドがデジタル放送を導入したのは、本作が完成した2001年である。
公開前の2001年2月5日、かつてのレジスタンスの闘士である「祖父」を演じた(ジャン・ダヴィ)がパリで逝去、本作が遺作になった。1968年(昭和43年)にゴダールらが結成した「ジガ・ヴェルトフ集団」に20歳で参加したジャン=アンリ・ロジェ、『アルファヴィル』(1965年)や『新ドイツ零年』(1991年)に主演したエディ・コンスタンティーヌの子息(レミー・コンスタンティーヌ)、ドキュメンタリー映画の巨匠ヨリス・イヴェンス夫人であり、ジャン・ルーシュとエドガール・モラン共同監督による(ヌーヴァルヴァーグ)初期の代表的ドキュメンタリー『ある夏の記録』(1960年)に主演したマルセリーヌ・ロリダン=イヴェンス 、映画監督の(ノエル・シムソロ)、脚本家の(レモ・フォルラーニ)が出演している。
2001年5月15日、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、ワールドプレミア上映された[1]。同年、バリャドリッド国際映画祭審査員特別賞、2002年、(ファジュル映画祭)水晶のシームルグ賞をそれぞれ受賞した。ほかにも、2001年には、8月のモントリオール世界映画祭、9月のトロント国際映画祭、(ヘルシンキ国際映画祭)、10月のニューヨーク映画祭、11月のロンドン映画祭、釜山国際映画祭、台北の金馬奨、2002年1月のロッテルダム国際映画祭、3月のマール・デル・プラタ国際映画祭、4月の(ブエノスアイレス国際映画祭)、2003年8月のコペンハーゲン国際映画祭と多数の国際映画祭で上映された。
スタッフ
- 監督・脚本 : ジャン=リュック・ゴダール
- 撮影監督 : (クリストフ・ポロック)、(ジュリアン・イルシュ)
- 編集 : (ラファエル・ユルタン)
- 音楽 : デヴィッド・ダーリング、ケティル・ビヨルンスタ、(ジョルジュ・ヴァン・パリス)、モーリス・ジョベール、カール・アマデウス・ハルトマン、アルヴォ・ペルト
- 製作主任 : ジャン=ポール・バッタジア
- プロデューサー : アラン・サルド、ルート・ヴァルトブルゲール
- 製作 : ペリフェリア、アルテ・フランス・シネマ、アッヴェントゥーラ・フィルム、テレヴィジオン・スイス・ロマンド、ヴェガ・フィルム、カナル・プリュス
キャスト
- (ブリュノ・ピュジュリュ) (エドガール役)
- (セシル・カンプ) (彼女役)
- (ジャン・ダヴィ) (祖父役)
- (フランソワーズ・ヴェルニー) (祖母役)
- (オードレー・クルバネール) (エグランティーヌ役)
- (ジェレミー・リップマン) (ペルスヴァル役)
- (クロード・ベニエール) (ローゼンタール氏役)
- (レモ・フォルラーニ) (フォルラーニ市長役)
- (マーク・ハンター) (合衆国のジャーナリスト役)
- ジャン・ラクチュール (歴史家役)
- (フィリップ・リレット) (エドガールの助手フィリップ役)
- (ブリュノ・メスリーヌ) (魔術師役)
- (ジェユール・ベグーラ) (アルジェリア人役)
- (ヴィオレッタ・フェレール) (女1役)
- (ヴァレリー・オルトリープ) (女2役)
- (セルジュ・スピラ) (ホームレスの男役)
- (ステファニー・ジョベール) (若い女役)
- ジャン=アンリ・ロジェ (フォルラーニ市長の助役役)
- (レミー・コンスタンティーヌ) (合衆国国務省の助手役)
- (ヴィリアム・ドエルティ) (合衆国国務省の役人役)
- 以下アルファベット順
- (マリー=フランソワーズ・オードラン)
- (リュドヴィク・ベルティヨ) (放浪者役)
- (ロランス・コリュシ)
- マルセリーヌ・ロリダン=イヴェンス (映画館にいる女役)
- (ノエル・シムソロ)
- (イゼ・トラン) (メイド役)
- (マリー・デグランジュ) (パリのベンチに座る女役)
ストーリー
- 第1部
現在のパリ。芸術家のエドガール(ブリュノ・ピュジュリュ)は、愛の4つの瞬間(出逢い、性的交流、別離、和解)を、若者、成人、老人の3世代の男女3組によって描く構想をかかえていた。主演にと願う女性は職業女優ではなく、「彼女」(セシル・カンプ)である。清掃の仕事をしながら子どもを育て、コソボ紛争についての集会に通う生真面目な「彼女」は、エドガールの依頼には応じない。エドガールは構想の実現にこぎつけるが、「彼女」の死を知る。
- 第2部
2年前のブルターニュ。当時のエドガールは、第二次世界大戦時のレジスタンスの研究をしており、ある歴史家(ジャン・ラクチュール)のもとを訪ねていた。エドガールがそこで目撃するのは、ハリウッドの「スピルバーグ・コーポレーション」のエージェントと合衆国国務省の役人(ヴィリアム・ドエルティ)が、かつてレジスタンスを闘った老夫妻(ジャン・ダヴィ、フランソワーズ・ヴェルニー)に、回想録の映画化権交渉であった。交渉の窓口に立って、契約書を精査するのは、老夫妻の孫娘であった。それがのちの「彼女」なのであった。エドガールは、ふたたび、パリに降り立つ。
註
外部リンク
- 愛の世紀 - (プレノンアッシュ)による公式
- Eloge de l'amour - ポンピドゥー・センター(フランス語)
- Eloge de l'amour - BiFi(フランス語)
- 愛の世紀 - allcinema
- 愛の世紀 - KINENOTE
- Éloge de l'amour - IMDb(英語)