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帝釈峡遺跡群（たいしゃくきょういせきぐん）は、広島県東北部の庄原市から神石郡に広がる帝釈石灰岩地帯に位置する、石灰岩の洞窟や(岩陰)などの石器時代の遺跡群である。所在地は「神石高原町永野」[1]。
概要
1962年の(帝釈馬渡岩陰)が初めて調査され、それ以降毎年調査が行われた。1977年には、帝釈峡地域に遺跡群の発掘調査室が広島大学により設置されている。日本の国立大学の中で、こうした考古学の発掘調査実習施設があるのは、本遺跡群の広島大学と、東京大学の2つのみであるため、貴重といえる[1]
この遺跡群の洞窟および岩陰遺跡には、旧石器時代から古代以降にかけて（特に縄文時代）の遺物包含層が確認されている。そのため、石器時代の研究に欠かせないものである[1]。
遺跡群から見つかったもののうち、帝釈馬渡・帝釈寄倉、帝釈名越や帝釈猿穴、帝釈猿神、帝釈白石、戸宇牛川、東山、帝釈観音堂・豊松堂面・帝釈穴神・帝釈弘法滝などが調査の対象となっている。
石灰岩地帯にあるため、石器時代の古い遺跡としては珍しく、人骨、動物骨、貝類などが出土している。そのため、考古学はもちろんのこと、人類学や古生物学、地質学など、様々な学問的な意味でも貴重なものとなっている[1]。
現在調査中の遺跡としては、1996年から発掘調査されている神石高原町(帝釈大風呂洞窟遺跡)や、庄原市(佐田峠墳墓群)などがある。前者からは、縄文時代や弥生時代など古代・中世の遺物（遺構）が出土しているほか、(ニホンモグラジネズミ)や(ニホンムカシハタネズミ)など、古代に生きていた絶滅種の動物化石が見つかった。後者は、(庄原市教育委員会)や広島大学大学院文学研究科などが共同で調査を行なっている。(佐田谷・佐田峠墳墓群)は、国史跡に指定されることが目標とされている[1]。